- 1二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 20:10:34
『世界一』と称された、俺の殺しの腕前ができる過程。
それはまるで、故郷の郷土料理『ルンダン』のような――
半世紀以上前、俺はただの身寄りのない子供だった。
家柄とか、才能とか、秘密のバックボーンなんてものはなかった。
ある日、俺はどうしようもなく腹が減った。
2日間メシを食べていなかった俺の手元には、身体を覆い隠せる布切れと、戦場跡地で拾った古びた拳銃一丁と弾丸数発のみであった。
布切れで全身を隠した俺は、食料を独占していた強欲な豪商に弾を1発放ち、即座に絶命させた。
そして、彼が持っていた食料を根こそぎ奪い取って、足がつかないようひたすら逃げた。
それ以降、もう表社会には戻らないと腹をくくった俺は、行く先々で民衆から反感を買っていそうな富裕者を変装して撃っては、ソイツが持っていた食料を奪い去っていた。
回数を重ねるにつれ、変装と狙撃の技術はどんどん上がっていった。
やがて、「少年」と呼ばれるくらい年を重ねた俺のもとに、食料を半年分くらい買えそうな大金と共に少し裕福そうな男がやって来た。
俺は彼の依頼を引き受け、いつものように命を奪い、報酬を受け取った。そして、その金で食べ物を買って食べた。
それ以来、俺の評判が裏社会に広まった。定期的な依頼が来ては、それに応じた。
食べるために働き、働く合間に、食事をする。表の人間も、裏の人間も、腹は減るのだ。
人は俺の技量を見て、秘密の訓練や経験をしたのだと勝手に推測するが、まったくもってそんなことはない。
俺はただ、
メシを得るために変装を重ね
メシを買うためにに人を銃で撃ち
メシを食べるために仕事を重ねてきた。
それを幼少期から60~70年
本当に、ただそれだけなのだ。
秘密なんて、なかったのだ。 - 2二次元好きの匿名さん25/11/01(土) 21:56:17
ヒロシのオリジンは中々ハードだったんだな