🎲【閲覧注意】学P「初星バトルロワイアル……?」4

  • 1◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:33:33
  • 2◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:52:02

    【まとめ】
    ・基本ルール
    小説『バトル・ロワイアル』内の架空の法律『バトル・ロワイアル法(BR法)』が存在する現代日本が舞台。
    武器・防具・道具・ドリンクなど、ランダムに支給されたアイテム3つを用いて"命"を賭けて戦う。
    優勝者には国家によって何でもひとつ願いが叶えられる特権が与えられる。
    最先端医療技術によって死亡した参加者の蘇生措置を願うことも可能(ただし、肉体の損傷が少ない場合に限る)。

    ・学Pのプロデュースしているアイドル
    ことね、麻央、星南

    ・生存アイドルの現在位置と最終時刻

    16:30 教室棟~野外ステージ間 → 撫子、四音

    16:34 体育館倉庫 → 麻央、リーリヤ、広

    16:00 校舎付近 → 手毬、清夏、莉波、佑芽、

    16:00 アイドル科教室 1年2組 → ことね、美鈴

    16:00 野外ステージ → 星南

  • 3◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:53:54

    【Side:月村手毬】

    ――青天の霹靂、という言葉がある。

    晴れ渡った空の下、唐突に雷鳴が轟くように、予想外の出来事が突然に起こることをいう。

    手毬の心は、決して穏やかではなかった。
    プログラムに参加させられ、佑芽との邂逅で一度は死を覚悟したものだ。
    佑芽の提案したボイコットに乗った後も、今度は国の方針に逆らっている現状への恐怖や不安は常に差し込んで止まない。

    間違っても晴天なんかじゃない。
    先行きの見えない薄暗さに塗れた曇天。
    悪天候もいいところだ。

    それでも、それくらいの天気のときに、ちょっとだけレッスンにやる気を出してくれる仲間がいた。
    あの雲の先に太陽があるってわかるなら、曇り空も悪くないねなんて、取り留めのない天気の話に少しだけ花が咲くことだってある。

    私の心にたなびく雲の先には、常に太陽があった。

  • 4◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:55:52

    ――ここには燐羽が、いるから。

    憧れのアイドルで、SyngUp!のリーダーで、このプログラムに一緒に参加している相手だ。
    燐羽がいるからこそ、国を相手取ったボイコットなんて無茶な挑戦にも、勝機があるような気がしてくる。
    燐羽がいるだけで、泣きたいくらいの恐怖も不安も、ほとんど吹き飛んでしまう。
    どんなに高い壁がそこにあったって、燐羽は絶対、何とかしてくれる。




    『賀陽燐羽』




    手毬「えっ……?」


    雲の奥に感じていた太陽が、雷へと反転する。
    この音をとめて――なんて願っても、縋る相手はどこにもいなくて。
    とうに沈んだ太陽は二度と昇ることはなく、明けない夜の始まりは無情にも告げられた。

  • 5◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:57:16

    【Side:花海佑芽】

    その背中を追いかけて、いつも全力で走ってきた。
    あたしはのろまだから、追いつくまでに、たくさん時間がかかっちゃう。
    うさぎとかめの童話みたいに、なまけて休んでいるなら、追い越せるかもって思うけど。
    常に全力のうさぎさんを追い越すのなんて、とにかく無謀で、途方もない挑戦だ。

    だけど、ようやく感じられた手ごたえ。
    今なら、追いつけるかもしれない。
    限りなく遠かった背中が、ようやく見えてきたその時。


    咲季『――わたし、■■の競技を始めるわ。』


    お姉ちゃんはいつも、またどこか遠くへと去ってしまう。
    あたしが見ている背中のずっと先を見ているお姉ちゃんの背中を、あたしは追いかけることしかできない。

    今度こそ、最後かもしれないんだ。
    だから、今度こそ見失わないようにしないと。

    今度こそ……勝たないと!

  • 6◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:58:32

    『オーディションを通過したのは……花海佑芽!』

    審査員の言葉が祝福を告げた。

    ――勝ったよ。お姉ちゃん。

    ようやく、言える。
    15年間もずっと、追いかけて。
    掴み損ねては、また挑んで。

    その背中に手が届いた今だからこそ、届けられる。

    もうお姉ちゃんを待たせたりしないから。
    大好きなアイドルで、これからも勝負していきたいから。




    『花海咲季』




    ――もう……あたしを置いていかないで、って。

  • 7◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 04:59:33

    やっと、伝えられると思った。
    ようやく、一緒に走ることができるんだって、思ったのに。

    お姉ちゃんはまた遠くに行ってしまった。
    気持ちをぶつける機会は、ずっとずっと、失われてしまった。

    残ったのは、N.I.Aで四音ちゃんが教えてくれた、あの言葉だけ。


    四音『――どうやらあなたに負けてしまったせいで、プライドの高いお姉さんはアイドル活動を続けられなくなったみたいですよ?』


    嫌がらせのための言葉だって、頭では分かってる。
    だけど、その言葉には妙なリアリティがあった。
    もうすぐで勝てるって、直感が告げるたびに、いなくなってしまったお姉ちゃんと、重なった。

    どうしても、ちらついてしまう。
    あたしがいなかったら、お姉ちゃんはまだ、走っていられたのかな――って。

  • 8二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 07:52:20

    スレ立て乙

  • 9二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 09:01:41

    10までksk保守

  • 10二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 09:06:31

    たておつ!楽しみすぎるからこれからも頑張ってくれ〜

  • 11◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 12:42:47

    【Side:紫雲清夏】

    清夏「……咲季っち。」

    思わず漏れた声は、意外にも本心だった。

    運動ができて、プログラムのボイコットに走るであろう性分で――あたしの嘘にも敏感。
    咲季っちは間違いなく強敵になるはずだった。
    だから、人知れず死んでいたことは間違いなく喜ぶべきこと、なのだけれど。
    零れた感情は、そこまで合理的ではあれなかったようで。

    数か月間、同じクラスで学園生活を共にしてきた仲間を失ったこと。
    心を掻き乱すには充分だ。
    もうあの日々は戻ってこないのだと、想像するだけで足の震えが、止まらない。

    けれど――咲季っちの死を伝えられたのが、放送という、言葉の上のものでしかなかったこと。

    向かう先の日々は想像でしかなくて、実感に至らない。

  • 12◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 12:44:38

    仮にあたしの名前が読み上げられたとしても、関係のない相手からすると"こう"なるのだろう。
    "死んでしまって悲しい"のその裏に――どこかちらつく、"大切な人じゃなくてよかった"。
    そんな淡泊な感覚に付随する罪悪感が、胸の奥をざわつかせた。
    少し周りに目を向けてみれば、その感覚はいっそう強くなる。

    昔のユニット仲間を失った手毬っちに、最愛の姉を無くした佑芽っち。
    二人の瞳からは、光が失われていた。
    どちらも俯いたまま言葉も発せず、沈黙ばかりがその場を支配している。
    あたしが咲季っちに対して抱いた、安堵混じりの悲しみなんて、二人の想いと比べることすらおこがましいものなのだろう。

    清夏(……この雰囲気に飲まれちゃだめだ。)

    清夏(これを"怖い"と感じちゃ……だめだ。)

    清夏(だってあたしは……皆を殺す。こんな雰囲気を、生み出す側なんだ。)

    清夏「……ボイコット組の雰囲気が最悪でーす。」

    二人に聞こえないように、小さく呟いた。
    こんな状況は、何でもないことだと思い込めるように。
    仮面を顔になじませるように――この罪悪感すらも、日常の言葉の中に掻き混ぜて、溶かしてしまえばいい。

  • 13二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 20:26:36

    保守

  • 14◆YYjiOMVygQ25/11/03(月) 23:02:45

    ほしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 23:20:49

    保守

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