- 1二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 14:30:50
- 2二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 14:33:30
背後で聞こえる金属音に異変を感じながらもひとまずは箱を取るのを優先する。ミカがいるのだから危険が迫っても問題はないだろう、そう考えて棚の上の箱を持って脚立を降り後ろを振り返ると
「先生はね、また騙されたんだよ」
以前も見た覚えのある、狂気を帯びた笑みを浮かべたミカがそこに立っていた。
「さっきまでは騙すつもりもなかったんだよ?これは本当のこと」
「でもナギちゃんには来るって言っておきながら私にはなーんにも言ってくれないなんて、バラしちゃったらダメだよね」
「だからね?少しの間、ここで二人でいよっ☆」
そう語る瞳に光は薄く、だけど確かに宿っているのを確認した私は改めてミカに向き合って話すべきだと、そう感じ取ったのだった。 - 3二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 14:35:18
"………ごめんね、ミカ"
「なんで先生が謝るの?私は別に怒ってなんかいないよ☆」
"私自身が誠意が足りなかったと思うから"
"まだ不安定なミカに、無用な負荷をかけてしまった"
"だから、謝る必要があると思ったんだ"
そう言って頭を下げる姿からは先生の言うとおり誠意が感じられて、なんだか急に私の心がざわざわして落ち着かなくなってきた。
──とんでもないことをしてしまったのでは?
──また間違えてしまったのかもしれない
──今度こそ本気で先生からも見限られてしまう
そんな思考に支配されそうになって、それでも何とか言葉を発しようとしたんだけど声にならない音しか口からは出てこなくなっちゃってて。
どうしよう、どうしよう、どうしよう…!
どうすればいいのか分からないままに頭までぐるぐるし始めた私を、それでも救ってくれたのは
"大丈夫、大丈夫だからね……"
"私はここにいるから、落ち着いて息を吸ってみて"
ぎゅって、抱きしめてくれた先生だった。
言われた通りに息をしようとしてみるけど、最初は上手くいかなくて。それでも先生の温もりと匂いを感じているうちに少しずつ落ち着いてきた気持ちのままに深呼吸をしてみる。
「すぅ……はぁ………」
何度か繰り返していくうちに思考もクリアになっていって、それと同時に現状認識も進んでいく。
今の私、先生に抱きしめられてる。
今の場所、鍵も壊れた密室で二人きり。
つまり今って………〜〜〜っ!
"わっ、み、ミカ…!?"
無理やりにでも振り解くとそのまま逃げ出しそうになる脚を必死に抑える。まだ駄目だ、せめて説明くらいはちゃんとしないと…!
「せ、先生っ。その、今日、って言うか今さっきまでのことは、その……わ、忘れてっ!!」
"ミカ、ちょっと待っ"
「これ以上はムリ!ごめんなさーいっ!!」
熱くなってたまらない頬を押さえながら鍵ごと扉を壊して走り去る私はまた一つ、少しだけ成長できたような気がした。
「ミ カ さ ん ?」
……うん、その後で当然のように先生同席の下ナギちゃんからのお説教を受ける羽目になったけどね。あ、言っておくけど先生は悪くないよ?ただあのままだと心配だから私ともう少し話がしたいって言っただけなんだからっ。そこで私がね?色々とボロを出したと言いますか、顔が赤くなるのを止められなかったのが原因だからね、うん。 - 4二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 14:41:47
荒れちゃったスレで書いてたけどスレごと消えちゃったので、お蔵入りも悲しくてスレ立てて投げてみた。ただそれだけの文章です、はい
- 5二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 15:35:34
まさかまたこのSSを読めるだなんて…しかもバージョンアップしてるし……
ありがとうございました - 6二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 15:44:49
これは、いつかのスレのやつ
ワァオ、完成したのか - 7二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 15:46:38
あらかわいい
- 8二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 15:47:27
- 9二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 16:27:42
とてもよかった
ありがとうございます - 10二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 17:55:15
10
- 11二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 01:33:39
保守したら他の話とか来るかな?
見たい話ある人いる? - 12二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 11:33:59
考え中…
- 13二次元好きの匿名さん25/11/04(火) 12:34:02
「ああ、またやっちゃったなぁ……」
場所は屋根裏、時間は夜。ここに移ってからはやるべきだと考えて決めた日課の最中。
──もしもまた何か失敗したのなら、真摯に見直して反省しよう。そうすればいつかはきっと、ちゃんとした"いい子"になれると思ったから。
「まずは……うん、ナギちゃんからにしよっか」
ただでさえ忙しいナギちゃんに余計な心配をさせてしまった、私を怒るのに時間も使わせちゃった。理由は私が先生相手にダメなことをしてしまったから。
だからもうあんな事しなければいいわけで……
「……うう、やっぱり現実逃避するのは無理があったみたい」
結局、今日の問題はひとつだけ。私が不安定になって先生に迫ってしまったこと、なんだけど
(振り返ろうにもあの時のことが優先されちゃって反省どころじゃないよ〜…!)
あれは私を落ち着かせるためで、実際それがなければ上手く息をすることも出来なくなっていたんだから必要なことだったよ?でもでも、まさか抱きしめられるなんてそんな…!
「……先生の腕、おっきかったな」
あったかくて、安心して、おかげで呼吸もできるようになったけど……待って、あの時の私って先生の匂いも一緒に吸い込んで
「〜〜〜〜〜!!」
無性に恥ずかしい気持ちがどうしようもないくらいにあふれてきて、枕に顔を埋めてジタバタするしかなくなっちゃった。なんで反省するはずなのにこうなってるのかな!?
「ぎ、逆に考えよう、うん!もしまた不安定になったらもう一度あんな時間が来るかと思うと………」
うん、無理だね!今度こそ頭から湯気だして倒れちゃうかもしれないし、そうでなくても嬉し恥ずかしな気持ちが山盛りになって耐えられない。先生の近くにはいたいけど、近すぎると却ってよくないって分かったのが今日の収穫で反省材料。
「うん。だから、次からは先生に会っても適切な距離感でいられるはず…!」
と言うわけで反省終わり!もうこのまま寝ちゃう!
「思い出さないように、落ち着いて、深く静かな呼吸を繰り返せば……」
よく眠るためのおまじないを繰り返しているうちに自然と眠れていたのは疲れていたせい、かな?
ただ
『"大丈夫、私はここにいるからね"』
『"ミカはいい子だね、よくやってるよ"』
『"自己反省できるなんてえらいね"』
『あ、あわわわわ……!!』
こんな夢を見たせいで次の日はドキドキしっぱなしだったんだけど!