伯爵はなぜ藤丸立香を殺さなかったのか

1二次元好きの匿名さん25/11/03(月) 16:19:30

☆☆☆☆☆ 一言で言うなら巌窟王がそれを許さなかった

二人の邂逅は西暦2017年、藤丸18？歳、伯爵52歳(享年)のことであった。
伽藍堂ともいえ血気盛んな伯爵が藤丸に後れを取るということはない。
若い藤丸のバナナを揉んでやろうという気概は当然持っていた。

本書は『なぜ』の部分にスポットを当て、関係者たちの証言によって進められるドキュメンタリーである。

マリー・アントワネット、蘆屋道満、エドモン・ダンテス、モンテ・クリスト伯爵、34号、マルタ、ウィルモア卿、ジャコモ・ブゾーニ司祭、トムソン&フレンチ商会の番頭、船乗りシンドバッド、ザコーネ氏、巌窟王などへのインタビューによって、官能的とも言われた話術を駆使し『稀代の詐欺師』と異名をとった生前の活動や、廃棄孔で行われた復讐者たちとの訣別の顛末が詳細に浮かび上がる。

そこには若くして苦難の道を往く藤丸に対する憐憫の情や、これから決戦へと向かうマスターへの期待が読み取れる。
『なぜ殺さなかったのか』ではなく『如何にして我が星が乗り越えたのか』を書き起こした著者渾身の一冊である。

このレビューは参考になりましたか？　はい/いいえ