- 1進行◆7QYSFer3VU22/04/30(土) 23:52:29
- 2進行◆7QYSFer3VU22/04/30(土) 23:58:06
入力は以下を踏襲
何もなし→メタ会話
「」→セリフ
()→心情など
【】→状況描写(【傷だらけでなんとか立っている】みたいな)
基本はSSの垂れ流しがメインになりますが序盤だけダイス等もなしの簡易な探索パート?があります。
ハッキリ言えば貴公子の過去をいい加減公開してえ!となって突発的に作ったので色々ぐだぐだだとは思います。申し訳ない… - 3進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:07:51
とりあえず導入?から
【「名もなき愛の帰る場所」。それは愛の貴公子とその使い魔たちが生活を共にする古城と、その城が存在する異空間である。普段は貴公子本人に頼まなければそこへ通じる魔法陣はくぐれないはずだが...今は違った。】
【城の奥の貴公子の部屋には、すでに多くの使い魔たちが集っていた。あるものは楽器を奏で、あるものは歌を歌い、なんとか主を起こそうとしていたが、ベッドに横たわる貴公子は依然として目を覚まさない。そしてその様子を、魔術師と白蛇が心配そうに見つめていた】
蛇「主 貴公子 どう?」
魔「…ダメだ。なんの魔法を使ってもビクともしない」 - 4鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:14:01
たて乙です。参加します……でも寝落ちしちゃうかも
- 5二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:14:42
今更だけどちょっとコテ違いますね
- 6重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 00:15:36
立て乙です…!
寝落ちてしまうかもですが参加させていただきますっ! - 7進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:17:01
ありがとうございます!
とりあえず適当に会話に参加して頂くスタイルでも、閲覧に徹してもご自由にどうぞ…!
コテはイベスレ進行するならこれかなと… - 8進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:18:52
【魔術師は念のためもう一度、状態異常魔法陣を展開させ、貴公子へ向けて詠唱を唱えるが、効果はあいかわらずだった。普段はワイワイと騒がしい城内は、一気に暗いムードに包まれていた】
魔「クソ…!あの時単独で三人で分かれて探索なんてしなきゃよかった………!そしたらこいつは…!」
蛇「主…」
【魔術師が己の無念を悔やむように膝をつき歯を食いしばる。城内は泣き声や心配の声が飛び交うまま。そして貴公子の隣には、彼が倒れていた時なぜか落ちていた黒い本がおいてあった】 - 9進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:21:09
- 10鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:21:59
- 11進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:24:31
- 12重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 00:25:02
- 13二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:26:08
このレスは削除されています
- 14鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:27:31
- 15進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:29:31
- 16鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:31:31
- 17永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:33:34
- 18鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:36:33
- 19永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:37:45
魔「あいつの…過去…?って、うわあっ…!?」
【冒険者達の視界に突如、奇妙な光景が映し出される。それはどうやら、貴公子が貴公子である前の過去の姿のようだった。】
夜も更けた頃、名も無きダンジョンの奥底で、1匹の化け物が蠢いていた。そいつは真っ黒な泥溜まりが集まって出来たような己の体を動かし、人の腕…とは到底呼べない不格好な何かに変形させようとしていた。
「…………ちがう」
「これ 人間 ちがう………」
その化け物は己の醜い姿何よりも嫌っていた。
全身真っ黒で、顔も腕も足も無い、地面を這いずるようにしなきゃ移動すらもできない。そんな化け物は、自分とは何もかもが違う『人間』に強く憧れていた。
「人間 腕 数 2…」
「それ わかる してる けど…。指 数 わかる しない…」
化け物は無い頭を抱えていた。『人間』に憧れて、ここにたまに来る冒険者達をこっそり観察し、人間の言葉や腕の数は覚えてきたものの、まだ分からないことは多かった。
「…えっと 指 数………5 ?」
化け物はぐじゅぐじゅと己の体を変形させる。けど、やっぱり何かが違う気がするし、どう見ても己の体は己の体だ。
- 20重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 00:39:11
- 21永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:40:13
魔「あぁ、構わないさ。それにしても…あの黒いのが、貴公子の本来の姿…だったのか……?」
―――――――――――――――――――――――
「………………うぅ…」
小さく呻き声をあげ、足もないのでそのまま地面を這う。指の数なんてその『人間』に聞くのが1番いいのだろうが、今まで声をかけようと近づいた人間は皆自分を恐れて逃げて行ってしまった。
(…これも全部、自分がこんなにも醜いからだ。)
(早く……早く人間になるんだ…そして自分も…)
『人間』はきっとこういう時には『目』から水を流すのだろう。ただ、顔すらない化け物には、そんな事は到底夢のまた夢だった、
_____はずだったのだ。
「おや、キミは見たことない子だね」
「!?」
化け物思わずその身を後ずさると、そこには『人間』が立っていた。
サラサラとした夜空のように黒く光る髪、アメジストのような透き通る瞳、初雪のように白い肌のその女は、化け物が今まで見た『人間』の中でも際立って異様な美しさを放っていた。
「私は冒険者ギルド上級所属のローズ!キミの名前は?」
- 22鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:42:09
- 23永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:42:10
- 24永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:43:33
- 25永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:44:49
__あれから数10分後
「いや~さっきはごめんね?ボク、新しい魔物とか見つけるとテンション上がっちゃうタイプで…」
「え……う、うん………いいよ…」
「それにしても、その人語はどこで覚えたんだい?それとも元々話せる種族なの?」
「違う ここ 来る 人間 話 聞く した …」
「独学ってことか!ブラボーブラボー、素晴らしい向上心だね!」
何とかテンションが落ち着いたローズは化け物の方へと座りながら、瓶の中に入った何かを飲み干していた。その頬は名前の通りバラのような赤みをほんのりと浮かべており、それがまた化け物には美しく見えた。
「改めまして、私の名前はローズ!冒険者ギルドに所属しながら日々世界に愛を広めるために頑張っているんだ~!」
「『冒険者』…?」
そう言えば、今までここに来た『人間』にも、そういう者もいた気がする。けど、ここまで友好的な冒険者とやらは初めてだった。
「そう!街の人の困り事を何とかしてやったり、人に悪いことするヤツらをやっつけたりしてるんだ!得意魔法は…」
そう言い切る前に、ローズは突然化け物の身に触れ、何か詠唱のようなものを唱え始めた。
- 26重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 00:45:20
- 27鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:46:12
- 28進行◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:46:26
- 29永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:47:26
「"怪物よ その身に血を流す運命を誓え"
"獣よ 英智と共に生きたその歴史に跪け"
"人よ 永久なる歴史にまた1つ記録を刻む定めを唱え"
"その命は『ヒューマン・オブリージュ』!"」
ローズが詠唱を唱えきると同時に、薔薇色の魔法陣が地面に浮かび上がる。魔法陣の光は化け物の身を包み、光が明けると、そこにはローズと瓜二つの黒髪の少年が座り込んでいた
「と、まぁこんな感じで、キミ達魔物や動物を一時的に人間にできる擬人化魔法、『ヒューマン・オブリージュ』を得意としているよ!凄いでしょ~?」
「え?………え!?」
少年は驚いたまま己の頬や髪を撫で、まじまじと自分の体を見つめていた。それを見かねたローズがスっと手鏡を差し出す。
「ほら!元の姿も愛に満ちていて素晴らしかったけど、これもこれで悪くないだろう?」
「………ありがとう」
「…わっ!?どっどうしたの!?もしかして泣くほど嫌だった!?」
「違う………ありがとう。ありがとう…人間 なる できた…………ありがとう……!」
言葉は上手く出なかった。ただ、この時化け物は初めて『涙』というものを流したのだった。
そしてこれこそが、ローズとの出会いだったのだ。
- 30永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:49:26
魔「分からない…ただ今は、読み進めるしかないだろう」
「モーナ~~~~!やっと依頼から帰ってこれたよ~!」
「あ、ローズ…今日、どうだった?」
「今回は虚空神殿アビスラルドって所のペガサス討伐が依頼だったんだ!実に綺麗な愛に満ち溢れたダンジョンでね~…素晴らしいったらなんのだよ!」
「『虚空』……????『神殿』……????」
「あっ…モーナにはちょっと難しい話だったかな?ごめんね!」
ローズと出会ってから数ヶ月、化け物の生活や取り巻くものは大きく変化して言った。
まず、化け物は『モーナ』という名前をローズから与えられた。なんでもこれは、ローズが好きな小説に出てくるキャラクターの名前らしい。
次に化け物…いや、モーナは、ローズから色んな話を聞いた。自分はこの世で『愛』を何よりも愛していること、擬人化魔法を使って色んな魔物や動物と友達になり新たな愛を紡ぐことが好きなこと、ローズというのは花の名前でもありそれはそれは綺麗な花だということ、『冒険者ギルド』というローズのような冒険者達が集まる場所があることなど、ありとあらゆる事を教わった。
そして、ローズから様々な話を聞き、ローズと会話をしていくうちに、モーナは以前よりもより人に近い調子で喋れるようになっていた。
そして、何よりモーナの日々とって1番の変化となったのが……
- 31永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:51:36
「…じゃあ、そろそろ行こうか!モーナは今日は何をしたい?」
「そうだな…この前食べた『クッキー』てのが美味しかったからまた食べたいかな。あとはローズの好きにしていいよ。」
「それならいつものバラ園へ行こうよ!そこでお茶でもしてさ!その後は何か劇でも見に行かないかい?ちょうど今劇団パラノイアが新作公演をしてるらしくってさ!」
「ははは、じゃあそうしようか」
こうして、擬人化魔法で一時的に人の姿になり、ローズと共に外の世界に出るようになったことだった。
生まれてからずっとダンジョンの奥底で、人や魔物に怯え、息を潜めて暮らしていたモーナにとって、外の世界はクラクラするくらいのたくさんの刺激と衝撃に満ちていた。時折ゾッとするような事や驚くような事もあったが、ローズがどんな時も傍にいてくれるので自然とモーナも純粋に外の世界を楽しむようになっていった。
- 32永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:54:00
____バラ園にて
「…美味しい!やっぱりボク、これ好きだなぁ~」
「それは良かった!やっぱりバラ園の中で頂く紅茶とクッキーは格別だよね~!」
桃色のバラが咲く庭園で、人の姿となったモーナはクッキーを口に運んでいた。このバラ園はローズのお気に入りの場所らしく、初めてモーナが外の世界に出た時に、真っ先に連れていかれた場所でもあった。
周りはふわりと香るバラのいい香りに包まれており、空も快晴だった。
そしてモーナに向かい合うように座りポーション?とやらを口にするローズはため息が出るほどに美しく、モーナには輝いて映っていた。
モーナは、紅茶に砂糖をひとさじいれながらも、ローズに語りかける。
「…ねぇ、ローズ」
「なーに?」
「本当にありがとう。あの時ボクの事を気味悪がらず話しかけてくれて、一時的ではあるけどこうして人の姿にしてくれて、外の世界に連れて行ってくれて………こんなにいっぱい素敵な物を教えてくれて。」
「ははは!何を今更…」
「ボクはローズの事大好きだよ。きっとこれが…ローズの言う、『愛』ってやつなんだよね?」
モーナはそのまま真っ直ぐローズを見つめる。彼の目もまたローズと同じ透き通った紫色で、珍しく照れくさそうにしているローズの姿をくっきりとその瞳に映していた。
「え~?はは、は………」
そのまましばらく沈黙が訪れた後、先に口を開いたのはローズの方だった。
「…………ねぇ、モーナ、
ボクの使い魔になる気はないかい?」
- 33鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 00:54:28
- 34永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:54:35
※誤字ありました…!ローズの一人称はボクじゃなくて私です…申し訳ない!
- 35永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:56:29
使い魔…?」
「実はね、私の使う擬人化魔法、『ヒューマン・オブリージュ』には上位魔法が存在してるんだ。まぁ、あれよりちょっと凄い魔法だと考えればいいよ。」
「それを使うとどうなるの…?」
「まず、ずっと人間の姿のままでいられるようになる。毎日毎日魔法をかけ直す必要はなくなるよ。」
「次に、キミは私が生きている限り不老不死になる。何度死んだって蘇ることができるんだ。」
それを聞いた途端、モーナは目を輝かせながら身を乗り出した。が、ローズはモーナとは違いどこか憂いげある瞳をしていた。
「何それ何それ!?ずっと人のままでいられるなんて素晴らしいじゃないか!」
「うん、けどね…」
ローズは何かを言おうと口を開くが、その口からは小さい呼吸しか出なかった。そして、
「………いや、やっぱりダメだ、キミはキミのままでも十分素敵だからね!」そう言い切って、いつもより若干弱々しい笑顔を見せたのだった。
「ローズ………?」
「それより!お芝居でも見に行こうじゃないか!劇団パラノイアの劇は面白いんだよ~!」
「えっ?う、うん…!」
ローズは若干強引にモーナの腕を引き、劇を見に行くためにそそくさとバラ園を出ていった。結局モーナには、ローズが何を言いかけていたのかが分からずじまいだった。
- 36永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 00:58:38
- 37永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:00:24
- 38永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:03:00
「…愛と恋?」
「うん、だってどっちもその人の事を大好き!って思うから生まれる感情なんでしょ?」
「さっきも言ったけど、ボクはローズの事が大好きだよ。本当に色々感謝してるし、いつもいつもローズは綺麗だなあって思ってる。…これは『愛』なの?それとも『恋』なの…?」
「…………」
モーナの言葉を聞いた途端、ローズの表情が曇り始めた。夕日が強く差し、ローズの長い黒髪が光に反射し、キラキラと輝いていてより一層、彼女の美しさを際立てていた。
泣きそうな表情のまま、ローズは語り出した。
「……恋はね、確かにとっても素晴らしいものだよ。」
「愛とは似ているようで全然違うものなんだ。上手く、言葉にはできないけどね…別物なんだよ、本当に。」
「ただ………恋は時に『呪い』にもなり得るんだ。」
「大好きなはずなのに、そばにいるだけで、胸にバラの棘が突き刺さるように苦しくなる…それが『恋』だよ。」
夕日の中、モーナはローズの普段と違う雰囲気に驚きながらも言葉を返す。
「ローズは……、その恋ってのをした事があるのかい?」
「……あるよ。」
ローズははにかむように笑うと、そのままモーナの元へと歩み寄り、強くモーナの事を抱きしめた。
- 39永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:04:40
「わっ!?ロ、ローズ!?急にどうし……」
「大好きだよ、モーナ。キミに出会えて本当に良かった。」
「…ローズ?」
「キミのその優しい声が、何にも分かってないのに何とか理解しようとするところが、キミの言葉が、優しさが、全てが本当に大好きだよ。愛してる…」
ローズはより一層強くモーナを抱きしめる。モーナは、胸の奥底で何かがドクドクと音を立てて暴れている事に驚きながら顔を赤くしていた。
「ロッ…ローズ!?ちょっ、くるしっ…」
「…………ごめんね、モーナ。もう少しだけ…もう少しだけ、こうさせてくれないか?」
恐らく、ローズは泣いていた。直接その顔は見れなかったが。声色とモーナの肩に伝わる水が落ちる感覚がそれを実感させていた。
「うん…」
なんでローズが泣いているのかはモーナには分からなかった。ただ、この人が少しでも早く泣き止んでまた笑ってくれるようにと願いながら、ローズの背中を優しくさするしかできなかった。
- 40鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:05:27
- 41永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:06:33
魔「それはよかった、また人になりたかったらいつでも頼んでいいからな」
蛇「やっぱり ローズ さん と 貴公子 そっくり だなぁ…」
しばらくすると、ローズはパッとモーナから離れ、いつもの調子の太陽のような笑顔を見せてきた。
「……うんっ、もう大丈夫だよ。モーナ!」
「本当?」
「うんうん!さっきは変なこと言っちゃってごめんね?じゃ、私は用事があるから帰るよ!」
ローズはそう言ってモーナの元から立ち去ろうとしたが、ピタッと足を止め、モーナの方を振り返ると大きな袋とひとつの封筒を差し出した
「モーナ、これ…」
「これは……プレゼントかい!?」
「うん!モーナにはたくさんお世話になったからね!」
「ありがとう…!大切にするよ!」
「それはよかった!…………じゃあねー!」
ローズは過去1番の笑顔で手を振り、そのまま走り去って行った。
(ボクも何かお返ししたいな……そうだ!この前ダンジョンの奥でバラの花みたいな形の石を見つけたんだ!それをあげよう!……ははは、明日が楽しみだ!)
モーナはそんな気楽なことを考えながら、自身が住むダンジョンへと帰って行った。
___そして、その日を気に…ローズはモーナの元へと現れなくなった。
- 42永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:08:41
「…今日もローズは来なかったな。」
ダンジョンの奥地で変わった形の石や鉱石を並べながら、モーナはポツリと呟いた。
過去にもローズは長期依頼の時はモーナの元へ来なくなることがあった。ただ、そういう時でも少なくとも1週間はすれば帰ってくることが多かったのだ。
けど今回はおかしい。もう1ヶ月後も待っているのに、ローズは自分の元へと来なくなってしまったのだ。
「ローズ、ボクの事嫌いになっちゃったの…?」「あんなに好きって言ってくれたのに………」
モーナの体が微かに震える。
あの日ローズは自分に「愛してる」と言ってくれた、抱きしめてくれた。だからきっと大丈夫だ、ローズはきっと自分のことを好きでいてくれる。そう信じて待ち続けていたものの、ただ時が流れるばかりだ。ローズがいないと悲しい、ローズがいないと苦しい。そんな感情が日々強くなっていく。当然、モーナにもローズへの不安と苛立ちの感情が湧くのは時間の問題だった。
- 43重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 01:09:10
- 44鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:09:16
- 45永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:09:40
「そうだ…プレゼント……………」
ふと思い出し、ローズから貰った封筒と袋を開ける。袋の中からは、フードの着いた長いコートとやけに分厚い魔導書、それと、一封の手紙が入っていた。
「…………これが魔導書ってやつかな?ローズが使ってたやつにそっくりだ…。」
魔導書をパラパラと開いてみるも、中は難しそうな言葉ばかりだった。モーナは一旦魔導書は袋の中にもう一度しまい、今度は手紙を開くことにした。
手紙にはただ一言、
『冒険者ギルドへ行って』
と、だけ書いてあった。
モーナはしばらく手紙を見つめていたあと、覚悟を決め、真っ黒なコートと手紙を手に取った。
「よいしょっと…!」
モーナはそのまま己の体を人間のようなシルエットへと変形させ、コートを身にまとった。その姿は遠目から見れば、ある程度は人間そっくりに見えた。
「ははは、ローズと出会ってからちゃーんと覚えたんだよ!人間の指は左右それぞれ10本ずつで耳の数は2個、」
「待っててね………ローズ!」
モーナは自分に喝を入れるように人間で言うなら頬がある位置を軽く引っぱたくと、そのままダンジョン内を後にした。
- 46永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:12:07
魔「そうだな。それにしても…なんでアイツはローズさんのことを私にすら言わなかったんだ…?」
蛇「ローズさん 優しい そう なのに ねぇ。」
___それから数時間後
「すみませーん!冒険者ギルドってここですか?」
モーナは声を張りギルドの扉を開ける。ある冒険者はクエスト概要を読みこみ、ある冒険者は酒を酌み交わし、またある冒険者は闘技場の戦いを眺めていたが、モーナの姿を見た途端、皆がモーナの方を振り向いた。
「おお!新しい冒険者か?登録ならあっちだぞ!」
「あれは魔物…?見たことない種族だな。どこから来たんだ?」
「新しい仲間?よろしくねー!」
「えっ?いや、違います…!ボクはッ…!」
冒険者達はローズから聞いていた通りフレンドリーな存在だった。握手を交わされたり肩を組まれたりしながらも、モーナは話をつづける。
「ボクはモーナって言います…!そ、その…皆さん、『ローズ』って人、知りませんか…?」
「………ローズ?え、おま、なんで……?」
「…ボクの知り合いなんです。最近急に来なくなっちゃって、最後にローズから貰った手紙を見たらここに来いって…」
モーナがそう言って顔を上げるのと、他の冒険者達が思い詰めたような表情になったのはほぼ同時だった。
- 47永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:13:18
- 48永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:15:23
- 49永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:17:12
嘘であってほしかった。
頼むからこの男が、ここにいる者たちが自分を欺こうとしているだけであってほしかった。
けど、モーナの脳裏には『まさか』という嫌な予感がどんどんと張り巡らされていった。
そう言われれば、彼女はことある事にポーションを口にしていた気がする。
あの時の涙も、近いうちに必ず来るであろう死と眠りに怯えた故の涙だとしたら納得が言ってしまう。
「嘘だ………そんなの嘘だ!!」
モーナは男の手を振り払い、一目散に掛けて行った。後ろから男たちが何かを叫んでいるがもう聞こえもしない。ただただ体の震えが治まらない。もし人間の姿をしていたら、どんな表情をしていたのだろう。それすらもわからないまま、彼は病室の扉をこじ開けた。
「ローズ!会いに来た…………………よ……?」
ローズは確かにそこにいた。
ベッドの上で横になり、目を閉じていたのだった
- 50鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:17:58
- 51永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:19:25
- 52永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:19:57
「ローズ……もしかして寝ているところだったのかい…?ははは!ごめんね、大声出しちゃって!」
震えを抑えきれない声色のまま、モーナはベッドの近くへと歩み寄る。
「そ、そうだ!見てよローズ!このコート、ローズから貰ったやつなんだよ!似合うでしょ?」
「あ…、あと魔導書!ローズが使っていたやつそっくりだね!ボクもローズみたいな魔法、使えるようになりたいな~…『ヒューマン・オブリージュ』は絶対に覚えたいね!」
「あ…えっと………そ、それと……これ!ジャジャーン!バラみたいな形の石!綺麗でしょ?ダンジョンの奥で見つけたんだ!ローズはバラの花好きだから…………」
「…………………」
「ローズ…キミはこの姿のボクも好きだって言ってくれたけど…ボクはやっぱり人間の姿の方がいいよ。だってこれじゃあ…キミを思っての涙すらも流せないじゃないか……!」
「……………ローズ、起きてよ…!全部嘘だって言ってくれよ…もう一度好きだって言ってくれよ!もう一度……もう一度だけ、ボク抱きしめてくれよ……!」
何度揺すっても、撫でてもつねっても、ローズが目を覚ます事はなかった。その呼吸だけは微かに伝わってくるが、彼女の体はピクリとも動かず、まさに永遠の安息についてしまったようだった。
- 53永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:21:54
- 54永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:24:43
きっとギルドの人達から聞いたと思うけど、私さ、生まれつき病気があったんだよね。魔術や薬で延命させることはできるけど完全には治せない、5歳まで生きれるかも怪しい。そんな怖い病気
お医者さんや親からもいっぱい言われたなぁ…
「延命は出来るけどその分体には負担がかかる」
「それでもいいのかい?」って
そこで私さ、延命してもどうせいつか死んじゃうなら、どうやって生きようかって必死に考えたんだ
で、私は『愛』のために生きようって決めたんだ
人や動物、魔物になんでもとにかく色んな『愛』を知って『愛』を紡いで、そんな生き方をいっぱいすれば死ぬ時も怖くないだろうなって思ったんだ
実際そうしてよかったよ。毎日毎日本当に楽しかったし、いっぱい友達もできた。モーナのことも、最初は普通に愛しい友達の1人だとだと思っていたんだ
- 55鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:26:08
- 56永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:27:16
魔「死から逃れた末に待つのは文字通りの永眠、か…」
- 57永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:27:30
- 58永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:28:47
プレゼントの中に入ってた魔導書あるでしょ?あれさ、私が使っていたやつなんだよね
きっとモーナなら『ヒューマン・オブリージュ』も『サーバント・オブリージュ』も使えるようになると思って入れといたんだ
…いつもかけてた擬人化魔法と、さっき言ってた使い魔化魔法だよ
分からないことがあったらギルドの人になんでも聞きなよ、あの人たちにはいつもモーナのことを話していたんだ
もちろん、私がいなくなったらモーナの事を頼んだよっても言ってるから安心してね
ははは、結局言いたいことが多すぎて、なんかよく分からんない内容になっちゃったね。最後にくどいようだけど、一つだけ書かせて
大好きだよモーナ。愛してる。じゃあね
- 59永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:31:15
「ローズ…………」
その手紙はよく見ると、何度も書き直したような跡や涙で文字が滲んだような跡が残っていた。
「……そうだね、ローズ。恋はまさに呪いだ」
「ボクはきっと一生キミの事を忘れない。一生キミに恋焦がれ続け、ずっと心臓にバラの棘が突き刺さったような苦しみを味わい続ける。そういう呪いを…キミにかけられてしまったからね」
「………ねぇローズ。ボクも、キミみたいに生きてみてもいいかな?沢山の愛を紡いで、沢山の愛を知って…そういう存在になりたいんだ。」
「ありがとう。ボクも愛しているよ、ローズ」
体の震えはいつの間にか収まっていた。モーナは真っ黒な腕のようなものでそのままローズの頬を優しく撫でると、病室から去っていった。
- 60鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:31:21
「愛に生きて愛に死ぬと……まっすぐな人生です」
- 61永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:33:14
- 62鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:35:25
- 63重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 01:35:54
- 64永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:37:56
- 65鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:40:28
「よかったです貴公子さん、心配しましたよ?」
(……過去を見たことは言ったほうがいいのでしょうか) - 66永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:42:04
- 67鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:45:31
- 68永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:48:40
- 69重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 01:50:21
- 70鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:52:34
- 71永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:53:58
貴「ありがとう。そう言って貰えて本当に嬉しいよ!…今のギルドには、ローズのことを覚えている人もそんなにいないだろうからなぁ。こうして彼女のことを覚えていてくれる人がいたのは嬉しいような…ちょっとだけ嫉妬しちゃうような……。ははは、恋って本当に呪いみたいだね」
貴「は~い…あんな魔物もいるんだね…気をつけるよ…」
魔「貴公子、その……大丈夫か?色々と…」
貴「ボクは大丈夫だよ!…なんてったってボクは愛の貴公子!愛と共に生きて愛と共に死ぬ、世界で1番素晴らしい男だからね!」
魔「まーた言ってるよコイツ…」
蛇「まぁ こう 言う するのが 貴公子 だから ねー」
貴「ははは!ブラボーブラボー!みんな幸せで愛に満ちているのなら何よりさ~!」
【貴公子の笑い声と共に、バラの花が咲き乱れる城内はより一層騒がしくなる】
【きっと彼に最期が訪れることがあっても、彼は悔やむことなく笑い続けるのだろう。己を愛してくれて、恋という呪いすらも与えたたった1人の少女のために】
- 72永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:55:31
- 73重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 01:57:47
- 74鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 01:57:47
- 75永遠の安息を◆7QYSFer3VU22/05/01(日) 01:59:19
- 76重装冒険者◆IRjp04k5N.22/05/01(日) 01:59:23
「それでは私はこのへんで…今度行くときはも色々貴公子さんのお城の中見ちゃいますね…」
【魔法陣へ入り帰っていった】 - 77鉱石食〈炭鉱竜〉◆MS0.l7uzcI22/05/01(日) 02:01:42