- 1二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:08:52
見たくて見たくて仕方がなくって…ずっとヒカル君のことを考えて…見たくて見たくてどうしようもなくなったから…
自分でぶん書いた
「ヒィイイイイイッ!!」
「クソがっ! 逃げんな雑魚!」
速水による大規模クーデターが発生し、護衛者たちが分断された中。集合し逃した護衛者たちの中には、守護者に追われて逃げ回っている者も居た。
守護者は皆各々馴染んだ獲物を手に持っており、島の各所に散ったその数も膨大。ちょうど島内の見回りを行っていた護衛者の中には、彼らのようにばったりと守護者と出くわし、対応する隙も無く各個撃破されている平隊員も少なくなかった。
少なくとも、この逃げている若い護衛者二人はそういう者たちだった。
「はぁ、はぁ……くそ、こうなったら……は、早く行け! ここは俺が食い止める!」
「ひ、ヒェエッ!? せ、先輩!? そ、そんなことできるわけ……」
「このままだと二人とも死ぬだけだ! 一人でも生き残れば希望はある、お前は本隊に合流するんだっ!」
逃げていた護衛者の一人、先輩と呼ばれた青年が立ち止まり、守護者の前に立ち塞がる。もう一人の大柄な青年は彼を助けるか逃げるかを迷っているのか、気弱そうな顔を歪めて葛藤している様子が見えた。
先輩は懐から短い棒を取り出し、それを展開して警棒にすると守護者に突進する。
「行け!ゆみが……」 - 2二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:10:38
が、その突撃が叶うことは無かった。彼が後輩の名前を言い終える前に、その頭部は胴体から離れ、頭を失った身体は見当違いの場所に警棒を振りながら崩れ落ちる。先頭に居た日本刀を構えた男が、素早く鋭利な居合で彼の首を切り飛ばしたのだ。
「せ、先輩っ!!!」
「はいはいお疲れ。あー、雑魚のクセに手間取らせんなよ……時間食っちまったじゃねえか」
居合の男は首を鳴らしながらそうぼやくと、残った大柄な男に目を向ける。男は目の前であっけなく死んだ先輩を見てあからさまに狼狽し、無意味にその死体に駆け寄っていた。
居合の男は思う。こいつは平隊員らしい馬鹿だな。今のうちに逃げれば少しは距離が稼げたのに、わざわざ残って手間を省いてくれてやがる。こういう馬鹿は追う手間が無くてありがたい。
「おっ、もう終わりました?」
馬鹿が立ち止まってくれたおかげで、追っていた守護者の仲間たちも追いついてきた。
「おう、あとはこいつだけだ。そっちは?」
「当然ばっちり皆殺しっスよ! 全員で包囲して残らず殺ったんで、そいつでラストっスね!」 - 3二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:12:39
「あ、ああ……そ、そんな……」
守護者の後輩の言葉を聞き、護衛者の男は崩れ落ちる。首無しの先輩の隣に膝から崩れ、両手を地面についてうなだれてしまった。
「あっ、そいつで最後ならオレに殺らせてくださいよ! オレも先輩みたいに居合したくて練習中なんで!」
「仕方ねえな……さっさと済ませろよ」
居合の男は思う。こいつはどうせもう終わりだ。さっさと済ませて他の増援に……もとい手柄の横取りに行こう、と。
「そ、そんな……みんな……もう、誰も残ってないなんて……」
顔を伏せ、大柄な護衛者の男は力の無い声を漏らす。
「みんな……このブロックは、俺らだけの担当なのに……他の護衛者は居ないのに……」
「そうだよ〜! そうなるようにオレらが分断したんだよ〜! ほら、いいから飛ばしやすいように顔上げろって」
「みんな……みんな……」
護衛者の男は拳を握り、地面をドンドンと叩く。仲間共々無駄死にで終わる無念は察するが、面倒だし興味も無いからさっさと死んでほしい。
「おら、モタモタすんな。さっさと殺れ」
「はいはいわかりましたよーだ」
後輩は気だるげに腰を落とし、護衛者の男を両断せんと居合の構えを取る。
居合の男は思う。俺にはまだまだ遠く及ばないが、まあ筋は良い。順当に伸びれば良い使い手になるだろう。
後輩の手が刀を掴み、しなやかに抜刀する。
「そんじゃ、バイバ……痛っ!」 - 4二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:16:20
その瞬間、護衛者の男の手が目にも止まらぬ速度で動いていた。男はいつの間にか拾っていた死んだ先輩の警棒を投擲し、後輩の手に正確にブチ当てたのだ。
「痛ってーなテメ……えっ?」
機先を制され刀を抜けなかった後輩に、弾けるような速度で男が接近する。槍術を思わせる構えから放たれた親指が後輩の目を正確に捉え、後輩の目玉が潰れながら親指分奥に叩き込まれる。折れるような割れるような、潰れるような嫌な音が響き、後輩は力無く崩れて動かなくなる。
「なっ……!?」
「……誰も残ってねーってことはよぉ」
護衛者の男は立ち上がりながら後輩の刀を無遠慮に掴み、僅かに痙攣する身体からするりと抜き取る。
「……暴れても誰にもバレねぇってことじゃねえか♪」
そして刀をベルト穴に通し、警棒も拾って肩に担ぎ、守護者たちを見渡して不敵に笑う。
「ストレス解消に付き合えよ、雑魚どもっ!」 - 5二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:18:46
そう叫ぶと、護衛者の男は手近な守護者に突進する。二振りのナイフを構えた守護者は咄嗟に突きを放ち迎撃するが、状況に頭が追いついていなかったのか単純で甘い突きになる。
護衛者の男はそれを警棒で容易に払いながら、手首を返して警棒を首に絡め、即座に捻って捩じ曲げる。
「オラァッ!」
ナイフの守護者の首はあらぬ方向に向き、その場に崩れ落ちた。
二人目。 - 6二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:20:23
- 7二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:20:45
ナイフの守護者を処理した護衛者はそのナイフを奪い取り、そのまま止まることなく身体を回して槍を構えた守護者に向けて投擲する。
ナイフは正確に頭部に飛び、槍の守護者は素早く上体を傾けて回避するが、
「雑ァ魚がよォ!」
体勢が崩れた隙に、ナイフと同時に飛び出していた護衛者の男が身体を捻りながら足元に潜り込み、一気にその捻りを解き放つ。銀色の線が閃いた瞬間、槍の守護者は下段から逆袈裟に切り裂かれて絶命していた。見事な居合であった。
三人目。 - 8二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:24:16
もちろんめちゃくちゃ一切まったくこれっぽっちも無い
ただ出すところがどこにも無かったからせめて吐き出したかったんや…
まっほっとけばすぐに落ちて消えると思うから大目に見てくださいよっ
「ィィィイイィィッッ……!」
護衛者の男は止まらない。次は槍を引っ掴むと、全身を使った槍投げの動きで護衛者の一人に投擲する。
「シャアッッッッ!!」
一直線に飛ぶ槍を、トンファーを構えた守護者は見事な受けで弾き落とし、油断なく両手のトンファーを構える。
そこに、先ほど同様に投擲と同時に突撃していた護衛者の男が突っかかり、ナイフと警棒でのコンビネーションを仕掛けていく。ナイフが閃き、警棒が襲う中を守護者の男は冷静に二本のトンファーで捌き、逆にトンファーを回して護衛者の男に打撃を叩き込む。
「チッ!」
ナイフと警棒では分が悪いと見ると、護衛者の男はその二つを相手の顔面に投げつけて隙を作り、一歩下がってまた居合を構える。トンファーの守護者は警棒とナイフも捌き、居合を見逃さず即座に距離を詰めてトンファーでの突きを放つ。
が、
「引っかかったな♪」
護衛者の男の身体は居合の体勢以上に沈み、ほぼ地面に伏せるほどに低くなっていた。突き出したトンファーは空を切り、そこに伏せた勢いのままに飛び出した護衛者の肩がブチ当たる。
そしてそのタックルで体勢を崩したところに、構えていた刀が吸い込まれるように入っていった。
四人目。
- 9二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:26:31
トンファーの男は相当な実力者だったのか、男が切り裂かれた瞬間に守護者たちにさらなる動揺が走る。
「キィイィィィィッッ!」
護衛者の男はそれを見逃さず、返す刀で近くで狼狽えていた無防備な男を切り裂いた。
五人目。 - 10二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:28:34
続けて刀を納めて槍を拾うと、今度は正確なフォームでの見事な突きを放って呆けていたもう一人の喉を刺し貫く。
六人目。
さらに後ろから襲いかかってきた守護者の脚を槍の石突で払い、転倒した守護者の首を踏みつけて破壊する。
七人目。 - 11二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:30:08
……なんだ!? 何が起こってる!?
居合の男は混乱していた。
つい先ほどまで、自分たちは馬鹿な護衛者を包囲し、追い詰めていたはずだ。この男は愚鈍な平隊員で、この祭りの前座として始末して終わりだったはずだ。
だが、眼前の光景は違う。護衛者の男は目まぐるしく飛び回り、包囲していた守護者たちを見る間に打ち倒していく。猿叫を上げながら獲物を取り替え、奪い、惜しげもなく使い捨てながら、一人一人次々と数が減らされていく。
こちらも腰を落として迎撃の構えを取ってはいたが、絶妙な間合いを保って周りから切り崩され、居合の範囲にも入らない。刀の扱いを見るに、この男も居合を知っている。選択を誤ったことに気付いた時には、周囲の守護者は全員動かなくなっていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:32:30
「て、テメエ……!」
「オメェで最後だ。さっさと死にな!」
護衛者の男が突っ込んでくる。槍を構え、回避困難な正中線への正確な刺突を叩き込んで来るが、
「舐めんじゃねえェッ!」
瞬時に抜刀し、向かってくる槍を切り落とすことで致命の突きを無力化する。そして突きの勢いで無防備な護衛者の男に、返す刀で袈裟懸けに切り下ろす。
が、護衛者の男は穂先の消えた槍を手元で回し、棍術の動きで腕を払ってくる。凌がれた居合の男は舌打ちをしながら下がり、刀を青眼に構えて護衛者の男と相対した。
「中々やんな。雑魚どもの中ではだけどなっ」
「ほざけっ!!」
居合の男は護衛者の男の体勢が整う前に踏み込み、刀を大上段に振りかぶって兜割りを放つ。護衛者の男は切られた槍を捨て、ベルト穴に差した刀に手をかけた。居合の構えだ。 - 13二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:34:23
居合の男の脳裏に、かつての師の言葉が蘇る。
……居合ってのは、ようは不意打ち、騙し討ちの技術だな。刀を納めた無防備な状態から、素早く抜いて即座に体勢を整える技術だ。向かい合ってよーいドンってなったら、当然抜いてる方が速いんだよ。
馬鹿が。もう振りかぶった俺と、今から抜刀するお前。どちらが速いかは明白だ。お前も居合に自信があるようだが、この体勢からなら俺の方が早い。
極度の集中で時間が鈍化し、相手の動きがゆっくりに見える。護衛者の男は居合の動きをしているが、刀はまだ鞘に納まったままだ。居合を習得している俺にはわかる。この間合いなら抜く暇も無い。抜いて切りつけられる前に、こいつの頭をかち割れる。
さあぶった斬ってやる。動いているが間に合わないだろ。見てろ。俺の刀がお前の頭をかち割って…… - 14二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:36:03
瞬間。
「!!!!!??」
居合の男の手に、爆発するような凄まじい衝撃が走った。衝撃により刀は弾かれ、あらぬ方向に叩き落とされる。
何が起こったか理解できない。こいつが刀を抜く時間など絶対に無かった。間に合うはずが無かった。絶対にだ。
だが居合の男は見た。護衛者の男は確かに居合をし、こちらより速く腕を振り抜いていたのだ。
しかし、振り抜かれたその手は、
……手刀!?
護衛者の男は刀を握っていなかった。抜刀が間に合わないと見るや、男は無手のまま居合の動作をし、刀の如くに手刀を叩き込んでいたのだ。
手刀を振り抜くのは、重い刀を抜刀するより遥かに速い。居合のように放たれた手刀は居合の男の手を正確に打ち抜き、その刀を弾き飛ばしていた。
……居合ってのは、ようは不意打ち、騙し討ちの技術だな。
師の言葉が脳裏に蘇る。この男は刀での居合が間に合わないという隙を作り、手刀での居合を見事にやってのけたのだ。
そして、振り抜かれた手首が返され、今度は背中にまで振りかぶった唐竹割りの体勢になる。刀を持っていない分、その動作は居合よりも速い。
師の言葉が脳裏に蘇る。
……初太刀で殺れれば最高だが、まあ抜き打ちで防御を崩して二の太刀で殺るのが基本だな。こう、手首を使ってな、返して斬るんだよ。
そこで居合の男は気付いた。先ほどからやたらと師の言葉が蘇るのは、相手も居合の使い手だったから、だけではない。
これは、ああ。
……これが、走馬灯か……
眼前に迫る男の手刀を見ながら、まるで他人事のように男は思った。 - 15二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:37:52
「……チッ、雑魚のクセに手こずらせやがってよ」
その場に居た全守護者を片付けた後、護衛者の男……弓ヶ浜ヒカルは、吐き捨てるようにそう言った。足元では居合をしていたリーダーらしき男が、彼の手刀により頭蓋骨を叩き割られて倒れ伏している。
居合の男とトンファーの男は少しは骨があったが、それ以外は雑兵も良いところだった。自分以外全員雑に殺られやがって、まったく情けない。
……まっ、おかげで猫被らずに暴れられて気持ちよかったけどなっ。
ヒカルは返り血に塗れた顔で醜悪な笑顔を浮かべ、殺戮と蹂躙の快感に浸る。今は下積み、彼の人生計画のための準備の段階だ。なので目立つのはまずいが、たまには暴れないとストレスが溜まる。
「……っと、いけねえいけねえ、さっさとごまかしとかねえとな……」
この快感にもう少し浸っていたかったが、今は残念ながら緊急事態だ。このクソどもがクーデターなんかを仕掛けたせいで、今の島内は大荒れだ。何が起こるか、何が見られるかわからない。
ヒカルは散らばった死体を見回し、その中から最初に死んだ護衛者の先輩を探し出す。
「おっ、居た居た」
そして首無しの死体に彼の警棒を握らせると、居合の男の近くに引きずって行き、両者が上手いこと相打ちになったように見えるよう位置を整える。
これで先輩の警棒と守護者の居合がぶつかり合い、相打ちになった……という風に見えるだろう。
「せっかくだし手柄はあげますよ、せーんぱいっ♪」
特に思い入れも無いしあれこれとうるさかった面倒な先輩だが、最期は猫を被っていたとはいえ自分を庇って死んだ男だ。実際の実力からすれば分不相応にも程があるが、まあ相手も死んでるしバレやしないだろう。 - 16二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:39:03
「さてと、んじゃ行くか」
この場はもうこれで良いだろう。そう判断したヒカルは、遠くに見える会場に目を向ける。本隊はあそこに集められていたはずだから、そこに避難する形で合流すればいいだろう。
「よっし、そんじゃ……ヒィイイイイイッ!!」
ヒカルは表情を歪め、情けなく叫びながら森の中を駆けた。仲間たちが命をかけて逃がしてくれたから、足の速い自分が命からがらなんとか逃げて助けを呼びに来た……と、そういうシナリオだ。
実際には敵も味方も全滅しているし、助けを呼んだところで意味はまったく無いのだが、その方が自分の無力さが際立つ。戦力を無駄に割かせることになるが、リーダー格の実力者であの程度の相手だったのだ。どうせお頼もしい先輩の皆様方なら、余裕で制圧できちまうだろう。
「ヒッ、ヒッ……ヒィイイイイイッ!!」
叫び、わざわざ涙まで流しながら森を駆け、ヒカルは思う。我ながら結構な演技派だ。あの間抜けな馬鹿共にゃとてもじゃないが見破れないだろう、と。
叫びながら駆けるその顔には、泣き顔か笑顔か判別がつかないような、歪んだ表情が張り付いていた。 - 17二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:40:22
終わりなのん
まあ吐き出してスッキリしたし少ししたら消しとくんで大目に見てほしいっス - 18二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:41:40
かませみたいな見た目で実際かませだったヒカルくんに悲しき過去…
なんかサラッと一人殺してる事になったりおそらく当初より無様さとか守られた結果ホセが悲惨な事になってるんだなァ - 19二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:43:16
佐為の成仏のショック乗り越えてまた碁やりだしたところとか格好良くなったやんけ
- 20二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:44:39
- 21二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:45:30
- 22二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:46:57
ただコミックスのヒカルくんおまけ漫画見るに護衛者の件はまだ何かありそうだと思ってるのが俺なんだよね
- 23二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:48:27
こいつの扱いからケンガンがなんかおかしくなったと思ってんだ
もう少し重要キャラにしても良かったんじゃないスか? - 24二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 17:51:09
- 25二次元好きの匿名さん25/11/09(日) 21:31:02