- 1>>125/11/10(月) 17:15:59
入部したらあっ
これまでのあらすじ
中学生になるまで人の輪に混ざれず孤独だったシマキンだが、彼は円堂からの勧誘で雷門中学サッカー部に自分の居場所を見出した。
時は流れ一年と二ヶ月後。雷門中学サッカー部のFW兼GKとなったシマキン。
雷門イレブンの一員として四十年間無敗の帝国学園サッカー部との練習試合を乗り越えた。
続いてその名の通りオカルト必殺技を使う尾刈斗中学サッカー部との練習試合を迎える。
果たしてシマキンは仲間たちと試合に勝ち、全国中学生サッカー大会の"フットボールフロンティア"の参加費を学校から出資してもらうことができるのだろうか…!?
最初のスレなのん
https://bbs.animanch.com/board/5823293/?res=192
- 2>>125/11/10(月) 17:49:40
その光景を見て、パクの心に浮き上がってきたものは、尊敬だった。監督として、大人としての責任感から来る心配を上回る、テコンドーキックをその身一つで受け止めた事実に対しての感動。
「と…止めたァアアァアー!!!雷門シマキン、尾刈斗の真の切り札、テコンドーキックをタフネスブロックで見事に止めたァ!!」
興奮する角馬。一方でタフネスブロックを使ったシマキン。
(あが…がが…が…)
格闘技をサッカーに応用して生まれた技であるテコンドーキック。その圧倒的パワー、人間に当たればタダでは済まない。
おそらくシュートのダメージでシマキンはもうタフネスブロックを使えないだろう。
一世一代の大作戦。勝利を掴むための賭け。
雷門の全員が作戦を思い返す。いざ、作戦実行の時!
「うおおおおおおおおお!!!」
タフネスブロックでボールをキャッチしたシマキンは、あろうことかそのまま腹にボールを埋め込ませたまま走り出した!
そう。ボールが取れないなら、パスがカットされるなら、相手から"パス"してもらえばいい。シュートを受け止めてドリブルすればいい。
シマキンの巨体から繰り出されるドリブルはチームの中でも一番のパワーとスピードがある。パスしなくてもいいのでボールをカットされる心配も無し。
しかしこの作戦、GKがドリブルするので当然ゴールがガラ空きになってしまう。だが試合時間ものこり少ない。雷門、リスクを承知での背水の陣ッ
「つまりはボールを獲っちまえばシュートを防げなくてゴールが決まる。尾刈斗(俺たち)の勝ちってわけだ!いけ三途!霊幻!」
「「怨霊!!」」
二人から同時に必殺技を打たれるシマキン。言わばダブル怨霊か。禍々しい千手がシマキンを襲う。だが、シマキンだって気持ちでも技でも負けてない。
一年分続けたドリブルの集大成。酸素という燃料を全力で取り込み、心臓はその拍数を増していく。シマキンの第二の必殺技が発動した。
「ダッシュアクセル!!」
怨霊を弾き飛ばし、そのままゴールへ一直線で爆走していく。ここまでくればボールをカットしてくる黒上はいない。安心してパスすることができる。
「染岡ァ!!!」
痛む体を動かして染岡にパスする。 - 3>>125/11/10(月) 17:52:12
「受け取ったぜシマキン…オマエの思い!!」
歯を食いしばり、限界まで足を振り上げ、渾身の必殺技を打つ。
「ドラゴン!!!」
天空へと昇っていく染岡のドラゴン。そこへ跳躍する豪炎寺。豪炎寺も染岡と同じ気持ちだ。決してシュートを取らせるつもりはない。その熱を燃料にして炎は燃え上がる。
「トルネード!!!」
青空のような群青色の龍が豪炎寺のファイアトルネードの紅蓮色に染まっていく。ドラゴンが吠えた。炎が一際大きく燃え上がる。
全力のドラゴントルネード!
「ダブルブレード!!」
だが相手も必死。必殺技の構えに入った。鉈の必殺技であるキラーブレード。その禁断の二刀流。この技は鉈の両腕にかなりの負荷がかかる。この試合ではあと二回しか打てない技。二回以上打てば、しばらくケガの治療に専念するために二週間ほど試合には出られないだろう。そうなっても構わない。全てを絞り尽くしてでも雷門を潰す気迫の鉈。
ドラゴンクラッシュとファイアトルネードが合体したドラゴントルネードと、キラーブレードとキラーブレードが合体したダブルブレード。合体必殺技同士の激突ッ
瞬間、攻撃と防御の激突時のエネルギーがフィールドで爆発した。
走る閃光。マネージャーも夏未も冬海も、観戦に来ていた帝国の選手にすらゴールが見えない。その末、勝ったのは、 - 4>>125/11/10(月) 18:00:19
「止めた!!尾刈斗GK鉈十三、ドラゴントルネードをダブルブレードで切り裂きましたアァーーーー!」
一瞬だけ安心し、そしてシームレスに反撃へと移行する尾刈斗。敗北のリスクが無いという心理的アドバンテージが、ここにきて響いた。対しての雷門。
「…と…止められた…?」
顔面を蒼白させる風丸。いや風丸だけじゃない。雷門の全員が、青ざめていた。シマキンはタフネスブロックに加えてダッシュアクセルも使った。もうチカラを使い果たしてGKとしての役割は果たせそうに無い。
「GKによるペナルティー・エリア内でのボールの破壊が起きたため、至急、新しく別のボールが支給されます!選手は動かず、その場で待機します!」
もう直ぐ訪れる、敗北。廃部。終焉。
絶望の中、尾刈斗がボールを蹴った。 - 5>>125/11/10(月) 18:23:47
鉈からのボールが、フィールド中を渡っていく。前半から戦い続け、ボロボロの雷門イレブン。それに対してドリブルする尾刈斗の選手は前半出ていなかった魔界。残り体力の差と必殺技の"呪い"が原因であっさりと抜かされていく。
そのままボールは敵FWの円谷に渡った。彼もまた、テコンドーキックの習得者。もう体力を使い果たし技を打てない幽谷代わり。
キャプテンのそれには威力が劣る。だが必殺技を使えない今のシマキンを葬るには十二分な威力。
まあ、そもそも満身創痍のシマキンがゴールにたどり着くことができているかも怪しい。
ゴールを見てみる。なるほど、なんとかGKにはなれそうかもしれない。
「そこに立ってるってことは、きっと、覚悟はできてるんだろうな。」
つまりは全力を出すことこそが礼儀。円谷のテコンドーキックが放たれた。弾丸のようなスピード。シマキン、諦めずタフネスブロックの構え。しかし、立つことすらままならない。
ボールが、シマキンに直撃した。 - 6>>125/11/10(月) 19:23:23
シマキンはふと、背中に伝わる熱を感じた。
なんだこれは。わからない。が、それが頼もしいものだとことだけはわかった。
熱の正体。それは…
「お前だけに…任せられるか…!」
「ゴールを守るのは…オレたちも一緒でやんす!!」
「あーあったまんないっスねえ…オレたち全員で相手のシュート一発止められるかどうかのギリギリなんスから…!」
雷門のDF陣。風丸、栗松、壁山の三人が駆けつけ、シマキンを支えてくれていた。
「今だ!行け!円堂!」
風丸が叫んだ。それと同時に、
「ゴッドハンド!!!」
シマキンと後ろの三人の背中が、巨大な神の手に支えられていく。選手越しなら、ゴッドハンドで支えてもハンドにはならない。
シマキンと風丸と栗松と壁山の4人で円堂が駆けつけゴッドハンドを発動する時間を稼ぎ、そのままゴッドハンドの"手袋"の役割を果たす。
事前の作戦会議でもこんなことをする予定はなかった。土壇場で成功させられたのは、日々積み重ねてきたチーム・ワークの賜物だろう。
そのうちシマキンの破れたグローブの中には、新品に代わったばかりのハズなのにボロボロのサッカー・ボールが収まっていた。 - 7二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 19:48:06
なんか頼りにされてるオカンみたいでリラックスできますね…
シマキンスレ…神
本編の噛ませっぷりが嘘みたいに活躍するんだスポ魂を体現するんだ絆が深まるんだ - 8二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 21:45:55
ババタレイレブン…待ってたよ…
- 9>>125/11/10(月) 21:46:22
ああーっ続きを書き終わるまでスレを保守させてくれーっ
- 10二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 21:48:16
しゃあっ!保守・ソード!
- 11>>125/11/10(月) 22:16:35
「と…止めました…!雷門GKシマキン、立っているのがやっとの体でテコンドーキックからゴールを守り切りました!!タフって言葉は彼のためにある!!」
湧き上がる観衆。その歓声がまるで稲妻のように響き渡った。
現実、ここからの逆転はかなり難しい。
肉のヨロイがでダメージを軽減して尚、テコンドーキックの威力は胃の中身が飛び出るかと思うほどのものだった。それを二回喰らってしまったシマキンに、タフネスブロックを使う体力は残されてはいない。
だが、ダッシュアクセルなら使える。
「行くで。円堂。」
呟くシマキン。その視線は前線を見つめている。諦めるつもりはない。雷門は。
残りの試合時間も少なくなってきた。延長戦になればまず勝ち目はない。残り五分で、決着を着けなければいけない。
シマキンが必殺技を打てるのもこれが最後。 - 12二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 22:18:55
スターンダッ!スターンダッ!立ち上がリーヨ!(じーさん書き文字
- 13>>125/11/10(月) 23:12:15
汗が落ちる、音がした。
「突撃や!!」
猛烈なダッシュアクセル。その姿はまるでモンスター・トラックのようだ。避けざるを得ない尾刈斗の選手たち。
残り四分。
ゴール前まで到着すると、役目を終えたシマキンは倒れ込んだ。ボールは先ほどと同じ染岡の元へ。
腕が折れようが今、ここで勝つ気でいるようだ。鉈は既に両腕にキラーブレードを発動させ、跳躍した。落下の勢いでシュートを切断する気らしい。
残り三分。
「ドラゴン!!!」
呼び出したドラゴンは翼が生え、通常の倍近くの大きさになっている。染岡はボールが破裂するほどの威力で技を撃った。コントロールも完璧。龍は宇宙にまで飛び出す勢いで飛翔していく。
残り二分。
「トルネード!!!」
豪炎寺も極上の炎でそれに応える。その回転数、一秒につき十回転。まさに暴風雨ならぬ暴風炎だった。炎はそのエネルギーを制御できず、豪炎寺の足から全身に回っている。火だるまのシュート。
残り一分。
もはや言葉は要らなかった。
勝ちへの執念と渇望が生み出したこの世に存在するどんな名刀をも上回る程の切れ味と美しさを持つ刃と化した鉈のダブルブレード。
全ての力を出し尽くし、二人の動きが100%息の合ったものとなった、限界を超えた全身全霊の染岡と豪炎寺のドラゴントルネード。
勝利と大会出場へと掛ける思いが生み出したゾーン状態だからこそ放てる、全国にも通用する至高の技。
更にそこに、一歩踏み出す男がいた。
残り五十秒。
体を限界まで捻り、ゴム動力のように全身を回転させて放つ必殺シュート。純粋に勝負を楽しむ心の爆発力と危なっかしさを具現化したような技。
四十秒。
事前練習などしたことがなかったというのに、彼は自然と技を使っていた。自然と頭にこの技の名前が流れ込んできていた。さあ、叫べ。技の名前を。
三十秒。
ドラゴントルネードの軌道は、足を振り上げる円堂へと向かっていた。
「グレネードショット!!!」
円堂の新たなるシュートが、炸裂した。
二十秒 - 14>>125/11/10(月) 23:13:40
鉈を突き動かしていたのは、ここで潰すべきだと自分の内から囁いてくる使命感ではなく、ただ、今この瞬間勝ちたいと思うサッカー・プレイヤーとしての本能だった。二本のキラーブレードをクロスさせ、ボールに切り込む。
十秒
踏ん張る鉈。シュートのパワーでホッケーマスクは既に割れていた。それでも引かない。負けたくない。
五秒
ダブルブレードの火花が服に燃え移る。それでもシュートを斬ろうとする集中は切れない。
ただ、勝ちたい。
三秒
勝ちたい!!!勝ちたいんだ!!!
一秒
GKごと、ボールはゴールに突き刺さった。 - 15二次元好きの匿名さん25/11/10(月) 23:33:51
未だかつてここまで尾刈斗中学とシマキンが輝いてるssは無かったと思うんだよね
- 16>>125/11/11(火) 00:13:46
ホイッスルが鳴り響く。それ以外何も聞こえない。ゆっくりと、汗だくの首を回し、スコアボードを確認した。そこに合った数字に向けて、目の焦点を合わせる。
尾刈斗、三点に対して
雷門、四点。
「オオ オオ オ オオ オ オ」
「………ぃやったぞォオオォ!!」
集中が解けて、やっと周りの状況が分かるようになってきた。歓声と円堂の叫び声が雷門中に響き渡る。彼らは夢へと向かう道が開けたのだ。全国の一番を決める戦いへの切符を手に入れたのだ。
全身の血が爆速で巡ってる。耳もいつもよりよく聞こえて、目もいつもよりギンギンに見えた。
空を見上げた。雲は全てなくなり、綺麗な夏空が見える。太陽ってこんなにも美しかったのか。
美しいはずのに、心にくしゃりとシワがついた気分で綺麗だと思えない。
「豪炎寺、染岡、お前たちのドラゴントルネードが教えてくれたから勝てたんだ!一人じゃできないことも二人で力を合わせればできるようになる。二人でダメでも三人で力を合わせればできるようになるってな!」
「エース・ストライカーの座は譲らねえぞ、豪炎寺。」
「染岡チャンも素直やないのォ。」
「染岡チャンだと!?」
じゃれ合う雷門イレブンたち。
「すまなかった。」
地木流監督が、円堂たちに話しかけた。
「君たちを弱小のサッカー部などと侮辱したことを、撤回したい。」
尾刈斗の選手たちも、横一列に並んでいた。顔に付いたままのホッケーマスクの残骸の隙間から涙がこぼれ出てきていた。
「いいですよ。」
円堂が言葉を返す。
「それで、尾刈斗中も地区予選に出るんですよね?スッゲー技でした!お互いめちゃくちゃサッカー強くなって、地区予選を勝ち残ったらまた」
ホッケーマスク越しでも太陽より眩しく感じる光が見えた気がした。
「サッカーやろうぜ!!」
ホッケーマスクの残骸を顔から取る。涙を拭いて、笑って右手を差し出した。相手も右手を差し出してくる。握手した。
「…ああ。またやろう。サッカー。」
「…おい円堂!言葉遣いが乱れとったで!?」
「え!?どこだった!?」
「お前もキャプテンならもうちょっと国語の成績を上げろよな…」
笑い合う全員。サッカーの真髄は、やはり楽しむことにあるのかもしれない。
オレンジ色に輝く夕日が、綺麗だった。 - 17二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 00:15:25
あーっやべー
最新作プリロードしてるのにホントの本気で初代イナイレやりたくなってきた - 18>>125/11/11(火) 00:15:30
あっ0時を過ぎてしまったから…
ここで一旦終わらせるでやんす
ご鑑賞よかった…ありがとうございました - 19二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 00:20:59
仮面キャラの定石だ、美形がマスク割れで印象が加算されたりするっ
- 20二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 07:04:55
大健闘って言葉は鉈十三のためにある
- 21二次元好きの匿名さん25/11/11(火) 14:24:54
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