【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.23

  • 1ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:22:36

    【あらすじ】

    至聖所(バシリカ)で、怪獣乱闘 始まる。

  • 2ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:43:34

    【お詫び】

    本スレではスレ主によるオリジナル設定やキャラクター、できるだけ原作キャラは原作のキャラを(こういう状況に陥ったら、このキャラは こういう善性を見せるだろう)という方向性でエミュしているつもりですが 人によっては解釈違いが発生する状況・・・等が散見されるかもしれません。
    それらが苦手な方は今すぐブラウザバックを お願いします。

    また、思うところがある方がいらっしゃるかもしれませんが、一度 走り出した以上、とりあえず 走り出した当時の最新話であるアビドス三章までは原作をなぞるつもりなので、それまでは見て見ぬフリをして頂けると幸いです。

    最後に、もう いらっしゃらないかもしれませんが、本スレの続きが僅かでも気になっているという方につきましては今後も応援して下さると嬉しいです。

  • 3ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:50:13
  • 4ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:51:40
  • 5ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:52:58
  • 6ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:55:17
  • 7ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:57:45
  • 8ホットドリンク大好き25/11/12(水) 15:59:59
  • 9ホットドリンク大好き25/11/12(水) 16:05:56
  • 10ホットドリンク大好き25/11/12(水) 16:06:56

    保守

  • 11二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 22:16:13

    保守

  • 12ホットドリンク大好き25/11/12(水) 22:54:38

    ────────────────────

    ヴィルトゥオーソ:
    『─── と、言っても私は戦えないんだけどね。 それじゃ、後を頼むよ。』

    ミヤコ:
    「はい?」

    明らかに殺意全開の竜モドキを前にして、ミヤコは思わず天井を突き破って現われた機械仕掛けの天使の方に顔を向ける。

    ミヤコ:
    「・・・あの、援軍なんですよね? 共同で作戦を行うべきでは・・・。」

    ヴィルトゥオーソ:
    『え? 無理だよ?
    もう部品的にも魂的にも出涸らしだからね。』

    ミヤコ:
    「・・・そうですか。」

    よく分からないが、とにかく一緒に戦ってくれるつもりがないことは分かった。
    困惑するミヤコの肩に、セイアがポンッと手を置く。

    セイア:
    「問題はないよ。
    前もって話した通り、彼女は『不吉な予感』を回避する為に呼んだだけだからね。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

  • 13ホットドリンク大好き25/11/12(水) 22:56:10

    確かに、通信機を渡すにあたり そういう説明はあった。
    しかし まさか、それが こういう形で作戦に響いてくるとは。

    セイアの勘に ある程度の裁量を与えていた故のコミュニケーションエラーだった。

    ???:
    【───── !!!】

    その時、殺意を振りまくだけで様子見に徹していた竜モドキが動き出した。
    狼のような顎の奥から、何か黒いモノが、何でもないようにフワッと現われる。

    ミヤコ:
    (─── っ!!!!)

    しかし それを見た瞬間、ミヤコの全身に総毛立つような怖気が走った。
    それは正に『死の予感』。

  • 14ホットドリンク大好き25/11/12(水) 22:57:10

    ミヤコは、セイアの『不吉な予感』の正体が これであったことを確信した。
    通常であれば、完全に手遅れの展開。

    ─── しかし、こちらには『援軍』がいた。

    ヴィルトゥオーソ:
    『無限の質量を持つ特異点・・・小ブラックホールか。
    確かにコレは私が いないと完全に詰みだね。』

    そういって、ヴィルトゥオーソは機械仕掛けの掌同士を強く打ち付けた。
    雑多な金属同士が打ち合ったにしては やけにキレイな金属音が響いた後、一瞬だけ手掌部の隙間から閃光が走り、次の瞬間には竜モドキの咥内にあった小ブラックホールは完全に消滅した。

    ???:
    【・・・。】

    竜モドキが憎々しげに機械仕掛けの天使を睨み付ける。

    ヴィルトゥオーソ:
    『・・・そう睨み付けないで欲しいな。
    君の本質に対して私達を蝕む神聖がメタなのは、ずっとずっと昔から分かっていたことじゃないか。』

    機械仕掛けの天使は、まるで神に祈るように手を合わせて跪きながら、肩をすくめた。

    ────────────────────

  • 15二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 06:00:12

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 12:01:12

    保守

  • 17ホットドリンク大好き25/11/13(木) 14:11:05

    ────────────────────

    ミヤコ:
    「─── モヤシ作戦を開始します。」

    つい数秒前の動揺を一切表に出さず、小ブラックホールという即死攻撃が無力化されたことを確認すると、ミヤコは作戦開始を宣言した。
    ポイントマンのサキが一気に前に出る。

    サキ:
    「・・・うぉっ!?」

    するとサキの身体が、まるで何かに引っ張られるかのように勢い良く横移動していく。

    ミヤコ:
    「─── モエっ!」

    モエ:
    「・・・ちょっと待って、今 解析中。」

    小ブラックホールという即死攻撃に備える機械仕掛けの天使の足元で、モエは機材を広げてPCと睨めっこしていた。
    その表情には余裕がなく、それなりの付き合いのミヤコには 少しでも多くの時間が必要だということが理解できた。

    ミヤコ:
    「総員! 散開!!」

    ミヤコは全体に指示を飛ばす。
    自身もサキとは逆方向に駆け出した。

  • 18ホットドリンク大好き25/11/13(木) 14:13:32

    サキ:
    「・・・ぐぅ・・・!」

    まるで見えざる巨人の手に叩き付けられたように至聖所(バシリカ)の壁に衝突したサキも、謎の圧力が消えた瞬間に銃を持ってミヤコとは逆方向に走り出す。
    それは『時間を稼ぐ』という明確な戦術と、戦術を瞬時に理解して動くという訓練の賜物だった。

    ???:
    【─────!!】

    ミユ:
    「・・・当たらない・・・どうして・・・?」

    動きながら狙撃を試みるミユだったが、放たれた弾丸は竜モドキの身体を避け、何故か明後日の方向に飛んでいく。
    まるで竜モドキの周囲に見えざる力場があるかのようだった。

    ミユ:
    (風・・・にしては弾道の曲がり方が急過ぎるし、磁力・・・だとしても弾丸の軌道がおかしい・・・。
    まるで、あの お化けの周りだけ ”空間が歪んでる” みたい・・・。)

    ミヤコ:
    (念力のような超能力的なものでしょうか・・・?
    ・・・いえ、それにしては効果が ”自然的” すぎるような・・・。)

  • 19ホットドリンク大好き25/11/13(木) 14:19:19

    モエ:
    『エウレカ!(分かった!)』

    ミヤコ達が竜モドキの周囲で発生する超現象に苦戦していると、不意に通信で、難問の解決方法を見つけた研究者のようにモエが叫んだ。

    モエ:
    『ミユ、今!!』

    ミユ:
    「え、あっ、うん!」

    突然の名指しに、直感的に『狙撃しろ』という意図だと気付いたミユが引き金を引く。

    すると、弾丸は先程とは違い、すんなりと竜モドキの身体に撃ち込まれた。

    ???:
    【─────!!!】

    ミヤコ:
    「当たった・・・!?」

    先程のサキと同じように、突然の強烈な圧力によって至聖所の床に叩き付けられていたミヤコだったが、自身へのダメージよりも竜モドキへのダメージに対する興味の方が勝った。
    不可解な現象への答えを求めるように、顔がモエの方を向く。

    モエ:
    『─── ダークマターだね、コレ。』

    モエは何でもないことのように、竜モドキが操る超現象の正体を言い当てた。

    ────────────────────

  • 20二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 21:01:19

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 03:01:06

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 09:01:07

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 10:47:51

    立て直しかんしゃあ〜
    大体ボ卿なカヤ室長が出す本家に出てきそうなとんでも兵器達すき

  • 24ホットドリンク大好き25/11/14(金) 14:32:55

    >>23


    ありがとうございます。

    もし兵器および遺物などについてアイデアがありましたら、是非ご提供ください。

    本編で出すビックリドッキリメカとして参考にさせて頂きます。


    これからも応援して下さると幸いです。

  • 25ホットドリンク大好き25/11/14(金) 14:59:45

    ────────────────────

    サキ:
    「ダークマター?
    聞いたことはあるが・・・あれって宇宙にあるヤツだろう?」

    モエ:
    『本来はね。
    でも、あの化け物の周りには おかしな重力場がある。
    これは、目に見えないけど質量のある物質・・・ダークマターの存在がないと説明つかないよ。』

    モエは こんなこともあろうかと用意しておいた最新のレーザー干渉計から来るデータを、専用のハイエンドソフト(数百万の利用費が掛かるブツ。SRTだと無料で利用可。)で解析しながら竜モドキの弱点を説明した。

    ???:
    【・・・。】

    モエ:
    『これで重力場を ねじ曲げるだけの大質量のダークマターを自由自在に操れるなら、ちょっと手の出しようが無かったけどねぇ~・・・。
    でも あの化け物の周りの重力場を解析したら、誰かを重力場で 吹き飛ばしてる間は自分を守れないっていう弱点があるっぽいことが分かったんだよ。』

  • 26ホットドリンク大好き25/11/14(金) 15:01:27

    ミヤコ:
    「なるほど・・・。」

    ミユ:
    「・・・。」

    サキ:
    「・・・なんで私の方を見るんだ?」

    サキがジト目で睨み返すが、二人は特に反応することなくサキに視線を注ぎ続ける。

    モエ:
    『なんでって、ねぇ・・・?』

    ミヤコ:
    「ポイントマン・・・ですよね?」

    ミユ:
    「索敵・・・進行ルートの確保・・・。」

  • 27ホットドリンク大好き25/11/14(金) 15:02:30

    サキ:
    「お前ら・・・ポイントマンを何か勘違いしてないか・・・?」

    呆れた様子を見せるサキだったが、やる気はあるらしく鉄帽を被り直した。

    サキ:
    「まぁ、作戦ならやるが・・・。」

    ミヤコ:
    「任せます。
    ・・・貴方の鉄帽が珍しく役に立ちますね。」

    サキ:
    「おい、やっぱりポイントマンのことを囮だと勘違いして───」

    次の瞬間、サキは竜モドキが操るダークマターの重力場に引っ張られて行った。

    ミヤコ:
    「よし、今です。」

    ミユ:
    「・・・うん。」

    吹き飛んでいくサキを合図に、RABBIT小隊は反撃を開始した。

    ────────────────────

  • 28二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 23:39:49

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 06:00:17

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 12:00:17

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 18:00:52

    保守

  • 32ホットドリンク大好き25/11/15(土) 18:46:59

    ───
    ─────
    ────────────────────


    アル:
    「─── あら?
    ・・・ねぇ、今 誰か吹き飛んだ音がしなかったかしら?」

    カヨコ:
    「やけに具体的な音だね・・・。
    ・・・別に そんな音は しなかったよ。」

    アル:
    「そう・・・。」

    アル達 便利屋68は、ナギサを中心に隊列を組んで、再び路地裏を縫うように歩いていた。

    ムツキ:
    「そんなことよりさぁ~・・・こんな細い道なんか飛び出して大通りで人探さない?
    その方が効率が良いでしょ。」

    カヨコ:
    「・・・それでもし敵の大軍に遭遇したら?
    もう弾薬は心許ない量しかないし、足止めの牽制射撃も出来ないよ。」

    ムツキ:
    「ぶー。」

    頭では そのことを理解していたらしく、ムツキは それ以上ごねることは無かった。

  • 33ホットドリンク大好き25/11/15(土) 18:54:41

    ハルカ:
    「その時は私が囮になりますから───」

    アル:
    「何言ってるの。
    貴方に欠けられると、いざという時の突破力が無くなっちゃうじゃない。
    いいこと? 私達の傍から離れないでね?」

    ハルカ:
    「は、はい!」

    一連の流れを見ていたナギサがアルに声を掛ける。

    ナギサ:
    「・・・仲が、よろしいのですね。」

    アル:
    「そう? 別に普通だと思うのだけど。」

    ナギサ:
    「・・・なるほど。」

    政治的な付き合いが多いナギサからすると、アル達のそれは特別仲の良い友人同士の関係に見えたが、なるほど世間一般で言う友人であれば これくらいの距離感が普通なのかもしれない。

  • 34ホットドリンク大好き25/11/15(土) 18:56:15

    ナギサ:
    (私には・・・彼女達のような関係の友人がいるでしょうか。)

    自問自答するが答えは出ない。
    答えを見出すには、ナギサの心は あまりに乱れていた。

    ナギサ:
    (もし・・・全てが無事に終わって・・・ミカさんと仲直り出来て、
    セイアさんとの仲を取り持つことが出来たのなら・・・。
    ・・・願わくば彼女達のような関係になりたいものです。)

    セイアがミカに対して、ミカとナギサの仲を取り持つ約束をしているとは露知らず、ナギサは そんなことを思った。
    知らぬは本人達ばかりである。

    ─────・・・!

    ナギサ:
    「!? これは・・・。」

    その時、ナギサの耳に銃声と・・・微かに人の声が聞こえた。

  • 35ホットドリンク大好き25/11/15(土) 18:57:25

    アル:
    「─── 急ぐわよ!」

    同じようにそれに気付いたアルが先導し、銃声と声の聞こえた方向に進む。
    やがてアル達は路地を抜け、少し開けた通りに出た。
    そこでアル達が見たものとは───



    マシロ:
    「総員 後退!
    リロードの済んだ方から援護射撃を お願いします!!」

    ヴェルギリアに『喰われて』いたはずの正義実現委員、静山マシロが、同じようにヴェルギリアに喰われていたはずのアリウス生とトリニティ生たち を統率している姿だった。

    ────────────────────

  • 36二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 03:01:09

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 12:00:23

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 18:00:32

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 00:00:18

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 06:00:47

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 12:00:43

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 18:01:00

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん25/11/17(月) 23:27:16

    保守

  • 44ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:33:54

    ────────────────────
    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・

    マシロ:
    「─── 理解しました。 なるほど、そういうことだったのですね・・・。」

    アル達との共闘によって『複製(ミメシス)』を一時撃退したマシロ達は、アリウスの廃墟を占拠する形で一息ついていた。
    その中心、以前はアリウス生達の訓練所の一つとして使われていたという広場で、ナギサはマシロに事態を説明していた。

    ナギサ:
    「・・・今更 私が こんなことを言う資格があるかどうか分かりませんが、
    今一度 正義実現委員として、私の指揮下に入って頂けませんか?」

    未だに今回の件を自身の油断が招いたこととして引き摺っているナギサが尋ねると、マシロは心底不思議そうに答えた。

    マシロ:
    「え、はい。 勿論です。」

    マシロからすれば正義実現委員としてティーパーティー・ホスト代行であるナギサの指揮下に入るのは当然であり、むしろ本来1委員に過ぎないはずの自分が100名を超える生徒達の指揮を執るのには限界があると思っていたので、指揮権を譲渡することを ありがたいとすら思っていた。

  • 45ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:35:45

    ナギサ:
    「・・・ありがとうございます。」

    しかし重度の自信喪失に陥っていたナギサにとっては自尊心の回復に繋がる貴重な栄養的経験であり、不甲斐ない自分を疑うことなく即座に指揮権を譲渡してくれた後輩に感謝した。

    両者の感情には大きな温度差があるが、残念なことに その場にそれをツッコむ存在は居なかった。
    ツッコミ不在のまま話は進む。

    マシロ:
    「? ・・・えっと、指揮権の譲渡にあたり部隊編成などを お伝えしますね。」

    ナギサ:
    「そうでした。
    それでは まず、貴方が指揮を執っていた生徒達の所属は分かっていますか?」

    マシロ:
    「はい、まず───」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 46ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:37:23

    カヨコ:
    「トリニティの生徒は勿論、アリウスの生徒に・・・まさか連邦の防衛室スタッフもいるなんてね。」

    アル:
    「でも良かったわ! お陰で弾薬を融通して貰えたもの。」

    アルは自身の狙撃銃で扱える、着弾後に爆発する特殊な弾丸を入手できてホクホク顔だった。
    どうやら防衛室スタッフの一部に、特殊な原生生物対策として同規格のスナイパーライフル弾を常備しているグループがいたらしい。

    それだけでなく、カヨコやハルカ、ムツキも弾薬や地雷などの装備を ある程度 補充できていた。

    ムツキ:
    「いや~同じ穴のムジナっていうのかな。
    探せばいるんだね~、『元ゲヘナの生徒』で同じ趣味の子♪」

    装備を分けて貰って、出撃時と同じように地雷や爆弾でパンパンになったバックを撫でながら、ムツキは満足そうに言った。

    ハルカ:
    「どこかで見たことある子が何人かいて怖かったですけど・・・。
    へへ・・・お陰様で敵を皆殺しに出来るだけの武器弾薬が手に入りました・・・!」

    アル:
    「それは頼もしいわね!」

    カヨコ:
    「・・・。」

    装備に余裕が出たことで明るい顔になる他のメンバーとは対象的に、カヨコは一層険しい顔をして考え込んでいた。

  • 47ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:39:48

    カヨコ:
    (あそこにいた防衛室のメンバー・・・間違いない、元々『雷帝』側についていた子達だ。)

    防衛室特有の黒い仮面で素顔を隠していたが、銃器や装備の趣味、装飾や日用品の好みから分かった。
    彼女達は『雷帝』の時代以来 廃れ、今や取り扱うメーカーが存在しないはずの装備と似たものを、まるで今のゲヘナへの当て付けのように使い続けていた。

    カヨコ:
    (連邦生徒会の防衛室長『不知火カヤ』・・・。
    なぜ彼女は、雷帝の元 傘下を抱えている・・・?
    当時の直接的な競合相手であり、間接的に彼女の失脚に関わったであろう彼女が どうして・・・。

    ─── 私達は本当に、『不知火カヤ』の戦略を達成させてしまっても良いの・・・?)

    アル:
    「─── カヨコ?」

    肩に手が添えられ、カヨコはハッと現実に引き戻された。

    カヨコ:
    「・・・社長。」

    アル:
    「大丈夫? 随分 白い顔をしているけれど・・・。」

    カヨコ:
    「社長は・・・───」

    アル:
    「ん?」

  • 48ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:41:01

    カヨコ:
    「社長は大丈夫だと思う・・・? このまま・・・その、『不知火カヤ』の依頼を受け続けていて。」

    アル:
    「? よく分からないけど、それって将来的な話かしら?」

    カヨコ:
    「・・・うん、多分そう。」

    アル:
    「そうねぇ・・・。」

    アルは頤に手を当てて少し考える素振りを見せた。

    アル:
    「─── 私は、ダメだと思うわ。」

    カヨコ:
    「・・・それはどうして?」

    アル:
    「だって、今 あの人には随分 お世話になっているじゃない?
    今回の依頼料だって かなり色を付けて貰っているし・・・。」

    カヨコ:
    「そういう問題・・・?」

  • 49ホットドリンク大好き25/11/17(月) 23:42:02

    アル:
    「大問題よ!
    だって それって、私達 便利屋68を贔屓してくれているとも言えるけど、『対等じゃない』とも言えるじゃない!」

    カヨコ:
    「・・・。」

    アル:
    「だから『ダメ』なの。
    私達は時に彼女の依頼を断って、彼女を『助けられる』対等な存在であるべきよ。
    アウトローが借りを返せないなんて、あってはならないわ。」

    カヨコ:
    「・・・そうだね。」

    少し顔に血の気が戻ったカヨコの手を、アルは掴んだ。

    カヨコ:
    「ありがとう、社長。 少し楽になったよ。」

    アル:
    「構わないわ、部下のケアも上に立つ者の仕事だもの。
    それよりも そろそろ作戦会議の時間になるわ、行きましょう。」

    アルはカヨコの手を引いて、ナギサ達の待つ広場へと向かった。

    ────────────────────

  • 50二次元好きの匿名さん25/11/18(火) 06:01:06

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん25/11/18(火) 14:44:28

    このレスは削除されています

  • 52二次元好きの匿名さん25/11/19(水) 00:01:08

    保守

  • 53ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:16:03

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ミヤコ:
    「─── ゲホッ、ゴホッ・・・何とかなりましたね。」

    サキ:
    「あぁ・・・主に私の お陰でな。」

    あちこち吹き飛ばされたせいでボロボロになったサキから、ミヤコは視線を逸らした。
    目の前には執拗な銃撃と爆撃を受けて、遂に倒れた竜モドキが倒れ伏している。
    確かに、ここまでやれたのはサキが率先して突撃を繰り返すことで、重力場による防御を無効化したからだった。

    ミヤコ:
    「・・・念のため『配達人』を用意していたのですが、必要ありませんでしたね。」

    サキ:
    「おい、話を逸らすな。 私の方を見ろ。」

    ミヤコの真横まで迫るサキだったが、ミヤコは それを敢えて無視して、竜モドキの先、極彩色の光を受けて生物のように蠢く結晶体へと足を進めた。

  • 54ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:19:17

    ミヤコ:
    「あとは これを破壊すれば ───」

    サキ:
    「作戦だから遂行したが、それはそれとして友人として言うことがあるんじゃ───」



    ───── ボコォッ



    サキ&ミヤコ:
    「「は?」」

    なんと、極彩色の光を放つ結晶体は当然とでも言わんばかりに、プラスチック爆弾を取り付けて爆破しようとするミヤコの手から『立ち上がって』逃れた。

    RABBIT小隊:
    「『・・・。」』

    謎の結晶体:
    【・・・。】

  • 55ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:22:29

    ・・・。

    RABBIT小隊:
    「『・・・。」』

    謎の結晶体:
    【・・・。】

    ・・・・・・。

    RABBIT小隊:
    「『・・・。」』

    謎の結晶体:
    【・・・。】

    ・・・・・・・・・。

    ───── クルッ(旋回する結晶体)

    RABBIT小隊:
    「『・・・!」』



    ───── ドタドタドタドタッ



    そしてそのまま、中に人でも入っているかのように、二本の足でミヤコ達から逃走を始める。

  • 56ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:24:06

    ミユ:
    「えっと・・・撃つ?」

    サキ:
    「撃ってどうにかなるものなのか・・・アレ?」

    ミヤコ:
    「しかし・・・作戦では破壊対象なので・・・。」

    3人が突然の出来事に困惑していると、不意にモエから通信が入った。



    モエ:
    『─── 後ろ!! まだ化け物は終わってない!!!』



    鬼気迫るモエの叫びに、3人は反射的に竜モドキが倒れ伏しているはずの方を向いた。









    ───── パキョォ

  • 57ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:28:27

    竜の成り損ないのような混合獣の脊椎から、何かが『咲いた』。

    それは正に、影だった。
    人の形をした、しかし一切の光を許容しない影。

    頭部だけがまるで満開の花のようなシルエットをした、大人の影だった。



    虚無の幻影:
    【あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!】



    突然、その長身なシルエットからは想像もつかない幼い泣き声が響いた。
    それは凄まじい絶望と悲嘆と軽蔑と憎悪の感情を、その圧倒的な音圧と共に周囲に響かせる。

    近くにいたミヤコが、思わず耳を塞ぎ目を閉じるほどには、凄まじい衝撃だった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 58ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:29:36

    ヴィルトゥオーソ:
    『─── これは不味い。』

    小ブラックホールという即死攻撃に備えていた機械仕掛けの天使が、影の悲鳴に合わせて動いた。
    自らの胸部に埋め込まれたエネルギーコアを引き抜くと、そのまま それを握り潰す。
    特殊な生産方法によって製造された そのエネルギーコアは、破壊されると悍ましいほどの熱量の放出と『空間の圧縮』という超現象を引き起こす・・・はずだった。

    しかし実際は何も起こらず、エネルギーコアは凪のように消滅する。

    ─── モエのPCに バグを疑うほどの凄まじいエネルギーの乱高下を記録させて。

    モエ:
    「は? 何コレ?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・ダークエネルギーの異常集中だよ。」

    動力源を失った機械仕掛けの天使の頭部から、以前と変わらず四肢のもげた状態のヴィルトゥオーソがモエの横に落下した。
    モエの手を借りて、何とか身体を起こす。

  • 59ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:34:11

    ヴィルトゥオーソ:
    「それによって・・・急激な空間の膨張が起きた。 ・・・だから見てごらん。」

    ヴィルトゥオーソは機械仕掛けの身体で上を見上げる。
    モエも それに合わせて上を見上げると、そこには極彩色と宇宙のコントラストが広がっていた。

    ───── (瓦礫が高高度から落下し、破砕する音)

    至聖所(バシリカ)は圧倒的なナニカに引き裂かれ、瓦礫となって周囲に散らばる。
    ただ その瓦礫の一部に刻まれた『一瞬で凍り付いた』跡と『一瞬で焼け焦げた』跡だけが、自然による圧倒的暴力を受けたことを物語っていた。

    ヴィルトゥオーソ:
    「この場所は、今や色彩の聖域(サンクチュアリ)と化した。
    その眷属は、この場所この時間においては ほぼ無限のエネルギー供給を受けるだろう。
    ・・・もっとも、それは正規の手段を踏んでいないから、時間制限付きだがね。」

    モエ:
    「・・・どうすれば良い?」

    ヴィルトゥオーソはモエと目線を合わせた。

  • 60ホットドリンク大好き25/11/19(水) 00:39:08

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・非正規の手段によって集められたダークエネルギーは、科学的正規プロセスを通って本来の濃度に戻る。
    つまり、空間は徐々に萎む。
    そして、それに我々のような4次元の存在は耐えきることが出来ない。
    ・・・『空間固定アンカー』を急遽組み立てる必要がある。」

    ヴィルトゥオーソはミユから目線を逸らし、動作を停止した機械仕掛けの巨体を見た。

    ヴィルトゥオーソ:
    「パーツは全て揃っているはずだ。 ・・・急いで組み立てよう。 空間が収縮を始める前に。」

    ヴィルトゥオーソの前に、都合良く工具箱が落下してきた。
    モエが中を開いて見てみると、見たことも無いような奇妙な工具が幾つも入っており、その難解な構造に思わず頬が引き攣った。
    しかし、やらなければ 恐らく〇ぬ。

    モエ:
    「・・・あぁ、クソッ。 やれば良いんでしょ、やれば!」

    ヴィルトゥオーソ:
    「あぁ、やらなければ我々は焼け焦げた炭素の塊になるだけだ。
    ・・・もっとも、私の場合は融解した金属塊だろうがね。」

    ────────────────────

  • 61二次元好きの匿名さん25/11/19(水) 09:00:27

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん25/11/19(水) 15:00:39

    保守

  • 63カワイソウは可愛い25/11/19(水) 15:54:12

    ────────────────────
    ─────
    ───

    マシロ:
    「あの場所だけ やけに警備が厳重ですね・・・。」

    マシロは双眼鏡で、アリウスの かつてはアリウスの校舎として使われていたであろう建物を眺めていた。
    そこには無数の松明が灯され、歩哨のものと思われる明かりが幾つも見え隠れしている。

    ナギサ:
    「・・・この状況で敵方に、あれだけの人員を警備に割ける余力があるとは思いませんでした。
    これは・・・厳しい戦いになるかもしれません。」

    てっきり幽霊のように聖徒会の複製(ミメシス)が徘徊してるだけと思いきや、どうやらアリウスには未だ人員が残っていたらしい。
    ナギサは これからの戦いが暗惨としたものになることを考えて深い溜息をついた。

    ???:
    「あの・・・。」

    アル:
    「─── でも あの建物からは幾つも煙が上がっているわ。
    多分、大規模な戦闘があったのよ。
    もしかすると警備の人数はハッタリで、実際は今こそ攻め込む好機かもしれないわ。」

  • 64カワイソウは可愛い25/11/19(水) 15:55:47

    ナギサ:
    「・・・なるほど、確かに そうかもしれません。
    しかし もしかすると罠かもしれませんし・・・。」

    ???:
    「お取込み中のところ申し訳ないのですが・・・。」

    アル:
    「─── それなら奇襲の威力は下がるかもしれないけれど、斥候を送り込みましょう?
    指揮官の不安事項は取り除けるなら取り除いた方が、作戦の成功率は上がるわ。」

    ナギサ:
    「・・・すいません、私が臆病なばかりに足を引っ張ってしまって。」

    ???:
    「・・・もしかして私の声が聞こえていらっしゃらないのですか?」

    アル:
    「─── そんなことないわ。
    臆病は指揮官の美徳の一つよ。
    慎重になればなるほど作戦の精度は上がるもの。

    ・・・でも、自信なさげなのは良くないわね。
    もっと胸を張りなさい。 指揮官は虚勢を張るのも仕事の一つよ。」

  • 65カワイソウは可愛い25/11/19(水) 15:57:04

    ナギサ:
    「・・・そうでしたね。」

    ナギサは表情を引き締める為に、一度 自身の顔を手で覆い隠した。

    ???:
    「わ・・・わっぴ~・・・。(ヤケクソ)」

    ナギサ:
    「─── これで どうでしょう?」

    アル:
    「それなら問題ないわね!」

    アルは渾身のグッドポーズを繰り出した。

    ???:
    「・・・。(過酷そうな顔)」

    ナギサ:
    「─── それでは早速 斥候を出します。
    マシロさん、部隊の中で隠密に優れたグループを出撃させて下さい。」

  • 66カワイソウは可愛い25/11/19(水) 15:58:41

    マシロ:
    「承知しました。」

    アル:
    「・・・あれだけの警備を敷いているということは、多分あの中にはトリニティ生が何人も囚われてるわね。」

    ナギサ:
    「まず間違いないでしょう。
    でなければ、あれだけの警備を敷く理由がありません。
    恐らく救護騎士団の本隊か、あるいはシスターフッドの大部分が───」

    マシロ:
    「─── と、いうわけなんですサクラコ様。
    もしよろしければ、あなた方の諜報能力を貸しては頂けないでしょうか?」

    サクラコ:
    「それは構わないのですが・・・あの建物の中には我々しかいませんよ?」

  • 67カワイソウは可愛い25/11/19(水) 16:01:13

    アル:
    「─── えっ?」

    ナギサ:
    「─── はいっ?」

    サクラコ:
    「─── え?」

    マシロ・アル・サクラコ・ナギサ:
    「「・・・ん?」」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    カヨコ:
    (・・・天然しかいないと ああいうことになるんだ・・・。)

    少し離れたところから様子を伺っていたカヨコが、少し呆れた顔で溜息をついた。
    その横ではムツキが腹を抱えて爆笑していた。

    ────────────────────

  • 68二次元好きの匿名さん25/11/20(木) 00:00:23

    保守

  • 69ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:16:10

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ミヤコ:
    「─── はぁ・・・はぁ・・・。」

    サキ:
    「─── ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」

    ミユ:
    『・・・。』



    ─────(銃声)



    ───── チッ



    ミヤコ:
    「・・・サキ。」

    サキ:
    「・・・大丈夫だ。」

  • 70ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:18:50

    サキは鉄帽を外して見せた。
    その表面には、弾丸が掠めて摩擦で焼け焦げた跡がある。

    ミヤコはサキの無事を確認すると、懐から通信機を取り出した。

    ミヤコ:
    「ミユ、残念ですが背後からの狙撃も効果が無さそうです。
    ・・・むしろ続けていたら こっちに流れ弾が飛んできます。」

    ミユ:
    『・・・分かった。
    入射角は二人から90° 以内にするね・・・。』

    ミヤコ:
    「・・・お願いします。」

    ───── ブツッ

  • 71ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:21:09

    サキ:
    「・・・なぁ、ミヤコ。
    何だかこの状況にデジャヴを感じるんだが、私だけか?」

    ミヤコ:
    「奇遇ですね。
    私も つい最近、同じようなことをした気がしますよ。」

    顔を見合わせる二人。
    静寂の中、僅かに背筋に寒気が走った。

    ミヤコ:
    「─── GO!」

    ミヤコが そう叫んで二人が瓦礫の影から飛び出した次の瞬間、二人が隠れていた瓦礫がナニカによって吹き飛んだ。

    虚無の幻影:
    【いぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】

    幼児のような泣き声を垂れ流し続ける その大人の影は、周囲を取り巻く重力場を自由自在に操って、吹っ飛んでいく瓦礫の方向に指向性を持たせる。
    つまり、瓦礫は不自然な挙動を描いてミヤコ達の方へ飛んでいく。

  • 72ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:22:31

    サキ:
    「─── 危ないっ!」

    ミヤコ:
    「─── っ!」

    それをミヤコ達は、振り返りもせずに直感的に避ける。
    訓練で味わった獰猛な原生生物と冷徹な防衛室スタッフの常軌を逸した追撃に比べれば、随分と躱しやすいものだった。

    サキ:
    「クソッ!」

    サキが咄嗟に振り返って牽制射撃をする。

    ───── クンッ

    しかし放たれた弾丸は、やはり有り得ない軌道を描いて地面に刺さった。

    ミヤコ:
    「・・・無駄です。
    先の形態と違って、今回は重力場に隙がありません。
    恐らく攻撃中だろうと何だろうと、アレの周囲を取り巻く空間の歪みに空白が出来ることはないでしょう。」

    サキ:
    「やっぱり逃げるしかないのか!」

    サキは機関銃の銃口を下げると、踵を返して再び逃走を始めた。
    二人は、トリニティでのクーデターに巻き込まれた際に入り込んだ、カヤの悪夢と同じように瓦礫の迷路を逃げ続ける。
    背後に ほぼ無敵の追跡者がいるという点でも、先の一件と全く同じだった。

  • 73ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:23:58

    サキ:
    「どうする!? まさか、このまま何の策もなしに逃げ続けるってワケにもいかないだろう!?」

    ミヤコ:
    「そのまさかです! 『配達人』が任務を達成するまで私達は あの怪物を引き付けないといけません!」

    サキ:
    「はぁ!? 冗談だろう!?」

    ミヤコ:
    「冗談だと思います!?」

    口喧嘩をする二人だったが、身体は忠実なもので、二人は作戦通り全力疾走で無敵の追跡者から逃げ続けていた。
    先の訓練で、頭はともかく行動は足並みを揃えないと、あっという間に制圧されるということを身体で覚えているからだ。

  • 74ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:26:28

    虚無の幻影:
    【あぁぁぁぁぁぁぁ!! いああああああああ!!!】

    ミヤコ:
    (!?)

    逃げ続けていると、怪物の幼稚な癇癪のような絶叫が聞こえた。
    それはミヤコにゾッとするような悪寒を与える。

    ─── ミヤコは咄嗟に踵を返して怪物に突貫した。

    サキ:
    「っ!? おい、ミヤコ!!」

    ミヤコ:
    「後は任せます、サキ!」

    ミヤコが怪物へと駆け出した次の瞬間、その怪物の頭部に黒い閃光が走った。

    ミヤコ:
    (あれは・・・間違いありません。 即死攻撃の小ブラックホール・・・!)

    理論上の無限の質量点であり、キヴォトスの人間でも逃げることはおろか耐えることすら不可能と予測される危険な一撃。
    ミヤコは懐からリモコンを取り出した。
    それは本来、謎の結晶体を破壊する為に用意しておいたプラスチック爆弾を起爆する為のもの。

    ミヤコ:
    「間に合って・・・!」

    ミヤコは装備からプラスチック爆弾を取り出すと、そのまま怪物へと投げつけた。

  • 75ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:28:30

    虚無の幻影:
    【!?】

    大人の影と頭部にぶつかる直前、ミヤコはプラスチック爆弾の起爆スイッチを押した。



    ───── ボッ



    怪物の目の前で、プラスチック爆弾が起爆する。
    その衝撃で大人の影は仰け反り、ミヤコは爆風で吹き飛んで瓦礫の壁に叩き付けられた。

    しかし、それによって小ブラックホールは形成される前に立ち消えた。

    ミヤコ:
    (よかっ───)



    ───── ガッ



    至近距離で爆発を食らったダメージと、爆風で壁に叩き付けられた衝撃によって倒れ込むミヤコを、何かが抱き留めた。

  • 76ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:30:02

    ミヤコ:
    (─── っ!!?)

    それは何と、件の怪物であった。

    虚無の幻影:
    【あ、あぁぁぁぁぁ・・・。】

    ミヤコを抱き留めた大人の影は、そのまま温かさを求める幼子のようにミヤコを自らに引き摺り込む。
    ミヤコの身体が、怪物の黒に溶けていく。

    サキ:
    「─── ミヤコ!!」

    ミヤコ:
    (これは・・・もう助からないでしょうね。)

    段々と視界が利かなくなり、生温い汚泥に包み込まれるかのような気持ちの悪い眠気がミヤコを襲う。
    それは瞼を踏み付けられるような強制力を持って、ミヤコの意識を奪っていく。

  • 77ホットドリンク大好き25/11/20(木) 04:31:57

    ミヤコ:
    (せめて・・・最期に・・・。)

    ミヤコは渾身のグッドポーズを繰り出した。
    そのまま全身が影に呑まれていく。

    消えゆく意識の中で、サキが自分を呼ぶ声だけが反響していた。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









    ミヤコ:
    「─── え?」

    そして気が付くと、ミヤコは真っ暗な空間に一人 投げ出されていた。

    ────────────────────

  • 78二次元好きの匿名さん25/11/20(木) 12:00:46

    保守

  • 79二次元好きの匿名さん25/11/20(木) 18:01:03

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/11/21(金) 03:01:01

    保守

  • 81ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:29:47

    ────────────────────
    ─────
    ───

    Q.蒼森ミネ団長は何処へ?

    セリナ:
    「えっと・・・負傷者を私に任された後、次の要救護者を探しに行かれましたが・・・。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    Q.蒼森ミネ団長は何処へ?

    ハナエ:
    「先程 戻られました!」

    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・

    ナギサ:
    「・・・どうして救護騎士団の方々とは合流できたというのに、ミネ団長だけ見当たらないのですか!」

    サクラコ:
    「・・・普段から良く動かれる方ですから。」

    シスターフッドと合流し、遂には救護騎士団とも合流できたナギサ達だったが、肝心の蒼森ミネ団長だけが捕まらずにいた。
    人海戦術で広い範囲を捜索しているにも関わらず、まるで情報が入ってこない。

    ナギサは焦りを募らせていた。

  • 82ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:31:35

    ナギサ:
    「・・・仕方ありません、最終手段を使います。」

    サクラコ:
    「・・・最終手段・・・ですか?」

    怪訝そうにするサクラコの前で、ナギサは おもむろに地面に倒れ込んだ。

    サクラコ:
    「な、ナギサさん・・・?」

    ナギサ:
    「私 自身が要救護者になって、ミネ団長を召喚します。」

    仰向けになって空を眺めながら、ナギサは とんでもないことを言いだした。
    サクラコは いよいよ困惑を強める。

    サクラコ:
    「何を・・・仰っているのですか? ミネ団長を何だと お思いで・・・?」

    ナギサ:
    「・・・これだけ探しても何故か見当たらない、困った人です。」

    サクラコ:
    「それは、そうですが・・・。」

    地面に横になって ふて腐れる様子を見せるナギサに、サクラコは掛ける言葉が見当たらない。
    確かに今現在、ミネ団長だけが見当たらないという状況は、ナギサにかなりの心労を掛けているはずだからだ。

  • 83ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:32:58

    ナギサ:
    「・・・まだいらっしゃいませんね。」

    サクラコ:
    「流石に地面に倒れているだけでは要救護者ということにならないのでは・・・。」

    ちょっとナギサのヤケクソ テンションに、サクラコは呑まれ始めた。
    ここでツッコむべきは そもそも要救護者でミネ団長を召喚しようとしている事実なのだが、それに違和感を覚えなくなりつつあった。

    ナギサ:
    「なるほど・・・ではサクラコさん。
    なんか良い感じに悪役を演じてみて下さい。」

    サクラコ:
    「・・・はい?」

    そんなサクラコでも理解できないようなことを、ナギサは平然と言った。
    追い詰められると、人は割と何でもする。

    ナギサ:
    「サクラコさんの手によって私が倒れたことにするんです。
    そうすれば、ミネ団長は救護の精神に則って、この場を『救護』せざるを得なくなるはず・・・。」

    サクラコ:
    「ナギサさん・・・一度 仮眠を摂られた方が・・・。」

    急に頭ミネ団長みたいなことを言いだしたナギサに、サクラコは思わず心配の言葉を口にした。

  • 84ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:34:39

    ナギサ:
    「ミネ団長が見つかった後なら、幾らでも仮眠を摂って差し上げます。 ですから・・・さぁ!」

    サクラコ:
    「・・・。(過酷そうな顔)」

    サクラコは少しの間 逡巡したが、やがて他に選択肢はないことを悟ってナギサに従うことにした。

    サクラコ:
    「・・・フ、フフフフッ・・・実は私こそが今回の黒幕だったのです。
    ですから大人しく、私の魔の手に掛かると良いですよ。(棒)」

    ナギサ:
    「な、なんということでしょう。
    まさかサクラコさんが黒幕だったなんて・・・。
    これは もう、サクラコさんの魔の手に堕ちるしか・・・。(棒)」



    ───── ゴゴゴゴゴゴゴッ



    ミネ:
    「こちらから救護を求める方の声が ───」

  • 85ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:36:36

    ナギサ:
    「─── 確保して下さい!」

    地面に倒れ込んだまま、ナギサが叫ぶ。
    それに反応して、大根演技をしていたサクラコと、周囲で一部始終を見せつけられていたトリニティ生徒達がミネ団長を押さえに掛かった。

    ミネ:
    「な、何を・・・!」

    トリニティ生徒A:
    「すみません、すみません・・・。」

    トリニティ生徒B:
    「とにかく大人しくして下さい!」

    サクラコ:
    「貴方も こちら側の人間になるのですよ?(合流して下さいの意)」

  • 86ホットドリンク大好き25/11/21(金) 05:38:42

    ミネ:
    「くっ、まさかサクラコさん。
    貴方が皆さんを操って・・・!?」

    サクラコ:
    「フフッ、何を仰っているのでしょう?
    これらは全て『ナギサさんの意思』ですよ。 貴方も聞いていたでしょう?(首謀者は私じゃないですの意)」

    ミネ:
    「なんということでしょう・・・。
    これは相当 強度の高い『救護』が必要なようですね・・・!」

    ナギサ:
    「逃がしませんよ、ミネ団長・・・!
    ここで貴方を逃がしたら また手間が掛かるのですから・・・!(言葉通りの意味)」

    ミネ:
    「ナギサ様まで・・・!!」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ハルカ:
    「あの・・・ムツキ室長・・・そろそろ・・・。」

    ムツキ:
    「ごめん、もうちょっと待って。 今、めっちゃ面白いとこだから。」

    ────────────────────

  • 87二次元好きの匿名さん25/11/21(金) 15:00:46

    保守

  • 88二次元好きの匿名さん25/11/21(金) 15:00:54

    このレスは削除されています

  • 89二次元好きの匿名さん25/11/22(土) 00:17:03

    草 

  • 90二次元好きの匿名さん25/11/22(土) 07:17:06

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/11/22(土) 15:01:03

    保守

  • 92ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:14:04

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ミヤコ:
    「・・・。」

    ミヤコは真っ暗な空間の中で、ただ ひたすら無味乾燥な映像を見続けていた。

    そこには一匹の狼のような獣がいて、何度も何度も獲物を仕留め、その度に古びた祭壇に仕留めた獲物を捧げる。
    それを ずっと ずっと繰り返し続けていた。

    ???:
    「あんまり人の心の中を覗くんじゃねぇよ、■■。」

    ふと、後ろから汚い言葉を浴びせられた。
    振り返ると、見たことも無い小さな子が立っていた。

    歳は10を少し超えた初等部くらいだろうか。
    どことなく先程まで戦っていた怪物に雰囲気が似た子だった。

  • 93ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:15:30

    ミヤコ:
    「・・・貴方は?」

    ???:
    「誰だって良いだろ。
    そんなことより いつまでここに居座る気だ?」

    その子はミヤコが この場所に留まっていることが不満らしく、小さな手でミヤコの手首を掴むと、その体躯からは想像もつかないような怪力でミヤコを引っ張った。

    ???:
    「こっち来い。」

    ミヤコ:
    「あっ、ちょっと───」

    真っ暗な空間で、ミヤコは一歩踏み出す。
    すると次の瞬間には、ミヤコは電車の中に立っていた。

  • 94ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:17:45

    ミヤコ:
    「・・・。」

    ???:
    「なに呆けてるんだ? さっさと座れよ。」

    ミヤコが状況を呑み込めていないでいると、小さな子はミヤコに対面に座るよう促した。
    特に断る理由もなかったので、何も考えずミヤコは その小さな子の対面に座る。

    小さな子の背後、電車の窓ガラスには、見たこともないほど朱く染まった空が広がっていた。

    ???:
    「お前のことは、ずっと見てた。 正直、ここまでやるとは思ってなかった。」

    ミヤコ:
    「はぁ・・・ありがとうございます?」

    何だか褒められているらしいので、一応 礼を口にする。
    ただ本当に誰か見当が付かなかったので、素直に喜べなかった。

  • 95ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:19:52

    ???:
    「───そこでだ。 お前、私と組む気はないか?」

    ミヤコ:
    「・・・はい?」

    ミヤコは困惑した。
    この子は一体、何の話をしているのだろうか?

    ???:
    「別に難しい話はしてない。
    ただ お前はYESと答えるだけで良い。
    そうすれば私は、お前達への攻撃をする必要がなくなる。」

    ミヤコ:
    「貴方は まさか・・・。」

    そこまで言われて、ミヤコは ようやく目の前の子の正体に検討が付いた。

    ─── あの大人の影。
    ミヤコ達を追い回していた怪物の本体だ。

  • 96ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:21:44

    虚無のキャラクタ:
    「どうだ?
    悪い話じゃないだろう?
    お前達は作戦を達成できて、私は お前という共犯者を得る。
    WIN・WINの関係になれるはずだ。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    確かに、悪い話ではない。
    もしこの子が本当に あの怪物の本体で、ここでミヤコが取引に応じれば その動きが止まるのなら、確かに作戦の遂行は かなり楽になる。

    ただ、聞くべきことがあった。

    ミヤコ:
    「・・・話が良すぎます。
    貴方は私の何処に、そこまでの価値があると感じているのですか?」

    相手には相手の作戦というものがあったはずだ。
    それを覆してまでミヤコを引き入れたい理由とは何か。
    それに納得できない限り、ミヤコは応じる気にはなれなかった。

  • 97ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:24:25

    虚無のキャラクタ:
    「お前には悪党───それも大悪党になれる才能があると思ってな。」

    ミヤコ:
    「何を言って───」

    虚無のキャラクタ:
    「───お前にも自覚はあるはずだぞ? 独善の気があるだろ。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    それは度々カヤから指摘されていたことだった。
    そしてそれこそが天と地ほどもミヤコと立場に違いがあるはずのカヤが、ミヤコを目に掛ける理由でもあった。

    虚無のキャラクタ:
    「このキヴォトスで自分の正義を貫くことは簡単じゃない。
    だからこそ、かの連邦生徒会長は かつて『不知火カヤ』を取り込んだんだ。
    圧倒的な暴力は、悪は、取り込んだ正義に強さを与える。
    月雪ミヤコ・・・私は お前にとっての『不知火カヤ』に成り得るはずだ。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    聞いたことはあった。
    他ならなぬカヤ自身から、なぜ連邦生徒会に入ったのか その顛末を。

  • 98ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:25:42

    虚無のキャラクタ:
    「なぁ・・・分かっているはずだろう。
    私とお前は同じような匂いがする・・・私達は同じ『群れ』に属せるって。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    確かに、近い匂いはする。
    それは性格や気質の相性の良さを表わし、確かに この子の言う通り、仲良くなることは出来るのだろう。
    しかし───

    ミヤコ:
    「─── お断りします。」

    虚無のキャラクタ:
    「・・・そっか。」

    どこか幼い、子供じみた諦めの言葉だった。

  • 99ホットドリンク大好き25/11/22(土) 23:28:56

    ───── ピンポーン・・・ピンポーン・・・



    その時、不意に電車が止まった。
    ミヤコが自身の背後の窓を見ると、そこには ”出口” と書かれた駅があった。
    ミヤコには直感的に、ここで降りれば現実に戻れることが分かった。

    ミヤコ:
    「・・・もう行きます。 ・・・ごめんなさい。」

    酷く落ち込んでいる様子の目の前の子に、ミヤコは そう声を掛けて後にした。
    子供は黙って見送る。

    そしてミヤコが現実に戻っていくのを窓越しに見届けながら、子供はポツリと呟いた。

    虚無のキャラクタ:
    「・・・また友達に成れなかったな。」

    ────────────────────

  • 100二次元好きの匿名さん25/11/23(日) 06:00:58

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん25/11/23(日) 12:00:33

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん25/11/23(日) 18:01:01

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん25/11/23(日) 23:59:30

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん25/11/24(月) 06:00:53

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/11/24(月) 12:01:05

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん25/11/24(月) 20:53:29

    保守

  • 107ホットドリンク大好き25/11/24(月) 23:39:54

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ───── ドッ

    弾丸のような勢いで、何かが廃墟に突っ込んだ。
    土煙が上がり、衝撃で廃墟の一部が崩れる。

    ───── ガラガラッ・・・

    土煙の中で、何かが蠢いた。
    その影は人とは思えない、逆再生のような姿勢で起き上がると、片手で衣服の土埃を払った。

    ???:
    【─────惨めなものですね、不知火カヤ。】

    カヤ:
    「・・・。」

    カヤが上を見上げると、廃墟の上から異形の白竜が覗き込んでいた。

    ベアトリーチェ:
    【連邦生徒会の防衛室長ともあろう者が、地の果てで土に塗れている。
    ・・・どんな気分ですか? 一方的に狩られる立場というものは?】

    異形の白竜が、嘲笑するように その肉食の牙を見せる。
    しかし、目は笑っていなかった。

  • 108ホットドリンク大好き25/11/24(月) 23:44:11

    カヤ:
    「お言葉ですが───」

    ベアトリーチェ:
    【・・・。】

    カヤ:
    「─── 片腕のない壊れかけの生徒相手に、どれだけ時間を掛ける つもりでしょう?」

    「随分、慎重なのですね。」・・・そういって、カヤはベアトリーチェを挑発する。

    ベアトリーチェ:
    (つまらないハッタリを。)

    ベアトリーチェは嘆息した。
    既にカヤの手は尽きかけている。
    ここから逆転するのは、逆立ちをしても不可能だ。

    ベアトリーチェ:
    【・・・もし、一緒に私の領土に侵入してきた お友達を頼りにしているのなら無駄なことです。】

    だからこそ、ベアトリーチェは慎重に立ち回る。
    目の前の不知火カヤ、この生徒モドキさえ消してしまえば全てが どうとでもなるのだ。

  • 109ホットドリンク大好き25/11/24(月) 23:45:38

    ベアトリーチェ:
    【確かに『桐藤ナギサを救出し』、『状況を見て戦術を変える』手腕は認めましょう。
    ・・・しかし、それでは手が遅すぎる。
    彼女達が戦力を纏め上げる間に、貴方を消すことは容易い。】

    ベアトリーチェにしては珍しく他人を褒めた。
    それほどまでに、彼女達の挙動は不可解でベアトリーチェにとって都合の悪いものだった。

    ベアトリーチェ:
    【そして その後に ゆっくりと貴方の お友達を───】

    カヤ:
    「───本当に。」

    ベアトリーチェ:
    【?】

    カヤ:
    「───本当に素晴らしい。
    まさか偏執的な注意力を持つ貴方ですら、そこまでしか掴めていないとは。」

    ベアトリーチェ:
    【・・・何を───】

    カヤ:
    「─── 不思議に思わなかったのですか?
    なぜ貴方の仔であるヴェルギリアが、あそこまで追い詰められていたのか。
    彼女は決して弱くないですし、無能でもありません。
    ・・・それなのになぜ、彼女は貴方が手を貸さなくてはならないほど弱り切っていたのか。」

  • 110ホットドリンク大好き25/11/24(月) 23:47:19

    ───── ゾクリッ

    ベアトリーチェの背筋に、何か悪寒のようなものが走る。
    確かにヴェルギリアの能力は、ベアトリーチェ自身が失敗作と断じているにも関わらず、それでもなお確保しておきたいと思える程には強力だ。
    認めがたいが頭の回転や物覚えも悪くはない。

    それが、あそこまで失態を演じるほどのイレギュラーがあったということ。
    なぜ こんな簡単な事にも気付かなかったのか。
    まるで、何者かが違和感なく立ち回っているかのような・・・。

    ベアトリーチェ:
    (─── 早く仕留めなくては。)

    ベアトリーチェは焦燥に駆られて、咄嗟に咥内にエネルギーを集中させた。
    朱いプラズマが異形の白竜の咥内に走る。



    ???:
    「・・・させると思うか?」

  • 111ホットドリンク大好き25/11/24(月) 23:49:19

    ベアトリーチェ:
    【!?】

    突然 背後から強い気配を感じ、ベアトリーチェは振り向き様に朱い閃光を放とうとする。

    カヤ:
    「─── 『閉じろ』。」

    しかし その前に、カヤが放った無数の触腕───『月に触れる(ファーカレス)』が異形の白竜の横っ面を捕らえた。
    そしてカヤの命令に従って、万力のような圧力で白竜の口を塞ぎ、その動きを一時的に完全に封じる。



    ───── ボッ



    そして次の瞬間、異形の白竜の背に巨人の拳が如き衝撃が走り、また同時に、咥内に集中させたエネルギーが そのまま逃げ場を失い爆発した。

    ────────────────────

  • 112二次元好きの匿名さん25/11/25(火) 06:00:55

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん25/11/25(火) 12:01:06

    保守

  • 114ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:27:51

    ────────────────────

    ベアトリーチェ:
    (・・・一体、何が。)

    異形の白竜は、衝撃で落ちた先の瓦礫の山から起き上がる。
    身体の上に乗っていた瓦礫がガラガラと音を立てて滑り落ちた。

    カヤ:
    「─── これは奇遇ですね。
    まさか このような辺境で貴方と会えるとは。 ─── 剣先ツルギさん。」

    ツルギ:
    「・・・白々しいぞ。
    『アイツ』を私のとこに送り付けたのは お前だろ。」

    カヤ:
    「おや、そのようなことが?
    彼女にしては随分 不器用な手を使ったものですね。
    私としては、別にトリニティが分裂してしまっても構わなかったのですが。」

  • 115ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:29:46

    ツルギ:
    「・・・相変わらず、人に成り切れていないな。」

    カヤ:
    「心外です。」

    ベアトリーチェ:
    (『剣先ツルギ』・・・予想していた動きより随分と早い。
    どうやって、あの『複製(ミメシス)』の包囲網を突破した?)

    戦力分析を怠っているつもりは無かった。
    特に『最強』の一角である剣先ツルギは必要以上に警戒し、動かせる『複製(ミメシス)』の多くを彼女に割いてまで その動きを制限していた。

    だから、どれだけ早くてもカヤを仕留める前に合流すること等 出来ないはずだった。
    ・・・しかし、実際には出来ている。

    ベアトリーチェは酷く混乱した。

  • 116ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:31:35

    ベアトリーチェ:
    (まさか『預言の大天使(百合園セイア)』が手を回したとでも?
    ・・・いえ、彼女の権能による先読みを織り込んだうえでの配置だったはず。
    それを上回るということは、やはり見落としている何か・・・いえ、何者かが・・・───)

    そこまで考えて、ベアトリーチェはふとゲマトリアの同志達との会話を思い出した。

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    黒服:
    「マダム、貴方の計画には致命的なミスがあります。
    拝見した計画書では、シャーレの先生に対する対策がありません。」

    ベアトリーチェ:
    「・・・あぁ、あの新参者ですか。
    確かに対策はしていませんね。
    しかしそれは、彼の者より貴方の教え子である不知火カヤの方が脅威だからです。
    そこまで言うのであれば、貴方の教え子を拘束して頂けませんか?
    あれは私の邪魔ばかりする存在です。 ・・・ゲマトリアにとっても、不利益なのでは?」

  • 117ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:33:43

    黒服:
    「・・・残念ながらマダム。
    私は彼女に対して行動を制限する権利を持っていません。
    また、私としてはゲマトリアへの利益は彼女を自由にさせた方がプラスになると考えています。」

    ベアトリーチェ:
    「それなら、私の計画に口を挟まないで下さい。
    ・・・あぁ、何でしょうマエストロ。」

    マエストロ:
    「・・・其方の提示した計画案について、先に示した述べた通り私は賛同しかねる。
    とはいえ、あえて一点を挙げるならば――不知火カヤへの過度な執着が、視野狭窄を招いている点が看過できない。
    計画とは本来、複層的な要因を包含しつつ、個別の問題群に対し柔軟かつ段階的に対処していく構造体であるべきだ。
    にもかかわらず、其方の案からは、不知火カヤさえ排除すれば他の要素は自動的に従属する――とでも言いたげな、実に稚拙な全能感が透けて見えるように思うが。」

    ベアトリーチェ:
    「貴方は不知火カヤに纏わりつかれたことが無いから、そのようなことが言えるのですよ。」

  • 118ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:37:05

    マエストロ:
    「ふむ・・・そのように語るのであれば、シャーレの先生に対する評価は再構築されるべきだ。
    彼の者は、物語のジャンルそのものに干渉しうる特異点であり、
    其方が設計したこの“惨劇”にとっては、明確に相容れぬ要素となる。
    要するに、相関性に基づけば、其方の天敵と言って差し支えない。」

    ベアトリーチェ:
    「それは貴方がしてやられたから過大評価しているのではないですか?
    彼の者のことは調査しましたが、アレは精々が調停者です。
    愚かな子供相手であれば口先だけで どうとでもなるでしょうが、今回の相手は私なのですよ?
    『調停』は不可能です。 私は、明確な意思を持った『大人』なのですから。」

    黒服:
    「・・・。」

    マエストロ:
    「・・・。」

  • 119ホットドリンク大好き25/11/25(火) 16:40:07

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    ベアトリーチェ:
    (・・・ヴェルギリアの件の、二の舞を踏んだという訳ですか。)

    正直、ヴェルギリアのテクスチャはマエストロに依頼した方が絶対良かったと後悔しているが、今回も似たようなものだった。
    今 思えば、素直にあの不愉快な同志達の忠告を聞き入れるべきだったのだろう。

    それをまた、肥え太った自尊心が邪魔をした。

    ベアトリーチェ:
    (今からでもシャーレの先生を確認するべき・・・いえ、遅すぎますね。
    それならば目の前の ”障害” を一秒でも早く取り除いた方が効果的です。)

    そう考え、ベアトリーチェは天使のような純白の、しかし どこか獣染みた翼を広げ、飛翔した。

    ────────────────────

  • 120二次元好きの匿名さん25/11/25(火) 23:59:25

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 00:09:10

    このレスは削除されています

  • 122二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 09:00:16

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 15:00:42

    保守

  • 124ホットドリンク大好き25/11/26(水) 15:56:29

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ヒヨリ:
    「─── 大丈夫ですか、姉さん!」

    サオリ:
    「ヒヨリ・・・!? ・・・そうか、助かったのか。」

    アツコを助け出した後、サオリは赤い閃光によって発生した朱い結晶に囲まれて立往生していた。
    そこに、上からヒヨリが やってきた。

    ヒヨリ:
    「待っていて下さい。 今、ロープを・・・!」

    ヒヨリは背嚢から荒縄を取り出すと、それを朱い結晶の上から投げた。
    先端がサオリ達のいる場所へと落ち、ヒヨリは反対側を そこら辺の朱い結晶の幹に括り付けた。
    サオリが試しに強くロープを引いてみると、ビクともしない心強い反発が返って来た。

  • 125ホットドリンク大好き25/11/26(水) 15:57:30

    サオリはロープを片手に、もう片手でアツコを抱えると、そのままヒヨリにロープを引っ張って貰って上に上がる。
    やがて朱い結晶の上部に膝がついた。

    サオリ:
    「助かったが・・・なぜ ここに来た。
    カヤが お前を助け出したのは分かっている。 そのまま逃げれば良かっただろう?」

    ヒヨリ:
    「逃げませんよ・・・。 私を何だと思ってるんですか・・・。」

    アツコを寝かせ、サオリを座らせる。
    そして背嚢から、ヒヨリは応急処置セットを取り出した。

    ヒヨリ:
    「私はアツコちゃんを、姉さんは・・・───」

    サオリ:
    「あぁ・・・自分でやる。」

    サオリは応急処置セットの中から糸と針を取り出した。

    ────────────────────

  • 126二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:55:46

    保守

  • 127ホットドリンク大好き25/11/27(木) 02:24:10

    ────────────────────

    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・

    ヒヨリ:
    「あの・・・本当に行くんですか・・・?」

    サオリ:
    「・・・お前達が、ついてくる必要はない。
    これは私の・・・そうだな、個人的な問題だ。」

    怪我の "処置" をしたサオリは、アツコを抱えながら歩く。

    サオリ:
    「だが・・・その前にアツコを安全な場所に移したい。
    ・・・どこか心当たりは無いか?」

    ヒヨリ:
    「う~ん、流石に今はアリウス全体が危険だと思いますけど・・・。」

    サオリ:
    「・・・そうか。
    時間は掛かるが、一度アリウスから離れるべきなのかもしれないな。」

    ヒヨリ:
    (ほっ・・・。)

    ヒヨリは一時的とはいえ、サオリが危険から離れてくれそうなことに胸を撫で下ろした。

  • 128ホットドリンク大好き25/11/27(木) 02:26:00

    ─────・・・!

    サオリ:
    「─── 待て。」

    ヒヨリ:
    「な、なんですか・・・?」

    サオリ:
    「人の声だ。 ・・・防衛室スタッフなら、助かるのだが。」

    ???:
    「あの、私が見てきましょうか!?」

    サオリ:
    「あぁ、たの ───」

    ヒヨリ:
    「そ、そうですね。 貴方であれば───」

  • 129ホットドリンク大好き25/11/27(木) 02:27:38

    サオリ:
    「・・・。」

    ???:
    「?」

    ヒヨリ:
    「・・・り、リーダー?」



    ───── カチャリッ



    サオリ:
    「・・・誰だ、お前。」

    ???:
    「ひぃっ!? 何ですか急に!!」

    サオリ:
    「・・・ヒヨリ、知り合いか?」

    ヒヨリ:
    「えっと、知りません・・・。
    で、でも、結構前から一緒にいましたよ・・・?」

  • 130ホットドリンク大好き25/11/27(木) 02:29:50

    サオリ:
    「なに・・・?」

    本当か?とサオリが視線を投げかけると、見知らぬ生徒は気まずそうに答えた。

    ???:
    「・・・30分前くらいから、その、一緒に・・・。」

    サオリ:
    「・・・。」

    ヒヨリ:
    「リーダーが反応しないので・・・その、防衛室スタッフの方かと・・・。」

    サオリは額に手を置いた。
    どうやら少し・・・いや、かなり疲れているらしい。

    サオリ:
    「・・・悪かった。 その・・・名前は?」

    ???:
    「えっと・・・トリニティ自警団の宇沢レイサ・・・です。 あはは・・・。」

    ────────────────────

  • 131二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 09:01:09

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 18:00:20

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 00:00:40

    保守

  • 134二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 06:01:07

    保守

  • 135ホットドリンク大好き25/11/28(金) 07:06:41

    ────────────────────

    スズミ:
    「─── そうですか。
    どうやらレイサさんが お世話になったようですね。」

    サオリ:
    「・・・。」

    謎の声の主は、レイサと同じくトリニティ自警団の守月スズミだった。
    どうやら はぐれたレイサのことを探していたらしい。

    サオリ:
    (何か保護していたと勘違いしているようだが・・・今は都合が良いか。)

    サオリは流れで、そのまま二人と合流することにした。
    トリニティの生徒を信用する理由もないが、この非常事態に敢えて少人数でいる理由もない。

    スズミ:
    「・・・それで、あなた方はアリウスの生徒ですか?」

    ヒヨリ:
    「!?」

    サオリ:
    「・・・。」

    周囲を警戒しながら歩いていると、不意にスズミが尋ねてきた。
    明らかに動揺するヒヨリとは対照的に、サオリは冷め切った反応を返す。

  • 136ホットドリンク大好き25/11/28(金) 07:07:53

    サオリ:
    「・・・そうだと言ったら?」

    スズミ:
    「・・・別に深い意図はありません。
    ただ、我々以外のトリニティ生徒に会っては都合が悪いのではないかと思いまして。」

    サオリ:
    「・・・。」

    どうやら こちらの事情を詮索するつもりはないらしいと、サオリは内心 胸を撫で下ろした。

    サオリ:
    「・・・私達は お前達を信用しない。
    だから、お前達も私達を信用するな。」

    スズミ:
    「・・・そうですね。 きっとそれが一番良いのでしょう。」

    レイサ:
    「えぇっ!? 仲良くしましょうよ!」

    ヒヨリ:
    「へへ・・・レイサさん。
    世の中 敢えて仲良くしない方が関係が回ることもあるんですよ・・・。
    悲しいですけど、しょうがないですよね・・・。」

    レイサ:
    「そ、そういうもの・・・ですか。」

  • 137ホットドリンク大好き25/11/28(金) 07:09:16

    サオリ:
    「・・・。」

    サオリが、ヒヨリとレイサの何でもない雑談にボンヤリと耳を傾けていると、不意に建物の向こうに人影を見た。

    サオリ:
    「─── 待て。」

    スズミ:
    「・・・何ですか?」

    サオリはジッと目を凝らす。
    チラチラと建物の影から覗く制服は、トリニティの物のように見えた。

    サオリ:
    「・・・恐らく、トリニティ生徒の集団だろう。 ここで共闘は終了だな。」

    レイサ:
    「そうですか・・・残念です。」

    スズミ:
    「・・・いえ、待って下さい。 あれは あなた方の制服ではありませんか?」

    サオリ:
    「そんなワケが・・・───」

    サオリが見返すと、確かにアリウスの制服らしきジャケットの裾が見えた。
    サオリは目頭を押さえる。

  • 138ホットドリンク大好き25/11/28(金) 07:11:00

    サオリ:
    「・・・ヒヨリ、私の視界はアテにならないらしい。 お前からも見てくれないか?」

    ヒヨリ:
    「え・・・は、はい。」

    ヒヨリはサオリに代わって建物の影を覗き込んだ。

    ヒヨリ:
    「えっと・・・私にはトリニティの制服が見えます。」

    スズミ:
    「そんなことは・・・。」

    サオリ:
    「つまり・・・どっちだ・・・?」

  • 139ホットドリンク大好き25/11/28(金) 07:12:36

    レイサ:
    「はいっ! ここはトリニティのご意見番である この宇沢レイサが見極めようと思います!!」

    サオリ:
    「何でもいい、頼む。」

    レイサはヒヨリと同じように、コッソリ建物の影を覗き込んだ。

    レイサ:
    「分かりました! 私にはトリニティの制服とアリウスの制服の両方が見えます!!」

    サオリ:  ヒヨリ:  スズミ:
    「なに?」 「えっ?」 「はい?」

    4人:
    「どういうこと(ですか?)(だ?)」

    ────────────────────

  • 140二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 16:44:00

    謎かけみたいになっちゃったな

  • 141二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 22:47:52

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん25/11/29(土) 07:05:05

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん25/11/29(土) 15:00:16

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん25/11/29(土) 21:01:00

    保守

  • 145ホットドリンク大好き25/11/30(日) 02:18:58

    ────────────────────

    建物の影にいたのは、先生と補習授業部、そしてシスターフッドのヒナタのグループだった。


    ” やぁ、久しぶりだね。”

    サオリ:
    「・・・そうか、生きていたのか。」



    ───── カチャリ(先生に銃口を向けるサオリ)



    ヒヨリ:
    「り、リーダー・・・。」

    サオリ:
    「何をしに来た?
    返答次第では今すぐ眉間を撃ち抜く。」

    ”・・・。”

    ミサキ:
    「・・・待って、リーダー。」

    先生とサオリの間に、ミサキは立った。
    サオリから先生に対して射線が通らなくなる。

  • 146ホットドリンク大好き25/11/30(日) 02:21:08

    サオリ:
    「・・・何のつもりだ、ミサキ。」

    サオリは銃口を下ろした。
    曲がりなりにも、対話の姿勢が整う。

    ミサキ:
    「・・・私が、防衛室を通してシャーレに依頼した。
    だから・・・今に限っては この大人を信用しても良いと思う。(大ウソ)」

    ヒフミ:
    (・・・えっと、そういう話でしたっけ?)

    アズサ:
    (恐らく・・・サオリが先生を信用できるバックストーリーを でっち上げている。 もう少し様子を見よう。)

    サオリはヒヨリの方に視線を向ける。

    サオリ:
    「・・・そうなのか?」

    ヒヨリ:
    「えっ、あ、はい!」

    咄嗟にヒヨリはミサキと話を合わせた。

  • 147ホットドリンク大好き25/11/30(日) 02:22:46

    サオリ:
    「・・・そうか。」

    ヒフミ:
    (明らかに怪しかったですけど、何とかなりましたね。)

    アズサ:
    (サオリは 少し天然なところが あるからな。)

    ヒフミ:
    (・・・それ、アズサちゃんが言います?)

    アズサ:
    (・・・?)

    サオリは先生に向き直った。

  • 148ホットドリンク大好き25/11/30(日) 02:24:33

    サオリ:
    「仲間が、世話になったらしいな。」

    ” それが私の役目だからね 。”

    サオリ:
    「・・・悪いが、私は 貴様を信用できない。」

    ” それで構わないよ。”

    サオリ:
    「・・・。」

    ” でも、私を頼ってくれた仲間のことは信じてあげて欲しいかな。”

    サオリ:
    「・・・そうだな。」

    サオリは銃を収めた。

    ────────────────────

  • 149二次元好きの匿名さん25/11/30(日) 09:01:22

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん25/11/30(日) 15:01:14

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん25/11/30(日) 21:01:08

    保守

  • 152二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 03:01:10

    保守

  • 153二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 09:01:08

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 18:00:37

    保守

  • 155ホットドリンク大好き25/12/01(月) 20:20:06

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ツルギ:
    「・・・ッ!」

    ベアトリーチェ:
    【さっさと! 潰れなさい!!】

    ベアトリーチェの竜爪がツルギを捉えた。
    黒い稲妻のエフェクトを伴う神秘のエネルギーが、ヘイローの護りを貫通してツルギに浅くない傷を負わせる。

    ベアトリーチェ:
    【『最強』が、何だと言うのです!
    あなた達が どれだけ強い神秘を纏っていようと、今の私には遠く及ばない!!
    私が! 私こそが『崇高』なのです!! 私だけが『根源』へと至ることが出来る唯一の者!!!】

    カヤ:
    「・・・。」

    カヤが『明星へ登る(ギャングウェイ)』で白竜の全身を光の帯で貫くが、ベアトリーチェは一切 動じていない様子で振り向き様に朱い熱線を放った。
    しゃがんで躱すカヤだったが、熱線の通った跡から急速に成長した結晶の破裂に巻き込まれ、少なく無い裂傷を負う。

  • 156ホットドリンク大好き25/12/01(月) 20:21:51

    ベアトリーチェ:
    【不知火カヤ・・・貴方に煩わされるのも これで最後です・・・。
    貴方 亡き後は、貴方が築いたもの全てを破壊して差し上げますよ・・・。
    未だ未練がましくキヴォトスの闇を彷徨う『亡霊共』も、私の領地から貴方が盗んだ者も、貴方を慕う『家族』とやらも!】

    ベアトリーチェが興奮気味に叫ぶ。
    既に自身の許容量を超える力を色彩から引き出しており、正気が失われ始めていた。
    あるのはただ、勝利への欲望と、傲慢な独善だけである。

    カヤ:
    「そうでしょうね。」

    しかし、そんなことは最初から分かっていたことだった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 157ホットドリンク大好き25/12/01(月) 20:23:14

    ツルギ:
    (・・・初めてかもしれない、傷の治りが遅いと感じるのは。)

    ツルギは衝撃で吹き飛ばされた先、廃墟の瓦礫の中で首をゴキリと鳴らした。
    その首筋には頭からの血が幾筋も流れている。

    ───── ブルブルブルッ

    頭を振ると、目に垂れかけていた血の雫が周囲に飛び散った。

    ツルギ:
    (・・・私とカヤだけでも、『善戦』は出来る。
    だけど、やっぱり攻めに転じるには『手』が・・・足りない。 せめて───)

    ─── ハスミがいれば。

  • 158ホットドリンク大好き25/12/01(月) 20:26:29

    そう考えたとき、不意に背後から足音が聞こえた。
    それはツルギにとって、聞き覚えのある靴音だった。

    ツルギ:
    「・・・遅かったな、何かあったのか?」









    ハスミ:
    「えぇ、少し。
    ・・・お待たせしてしまいましたか?」

    ツルギ:
    「・・・別に。」

    「丁度お前の手が欲しかったところだ」・・・とは気恥ずかしくて言えなかった。

    ────────────────────

  • 159二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 23:11:50

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 06:00:44

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 12:00:42

    保守

  • 162二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 18:00:54

    保守

  • 163ホットドリンク大好き25/12/02(火) 20:51:12

    ────────────────────
    ─────
    ───

    サオリ:
    「・・・ミサキ。」

    ミサキ:
    「・・・何?」

    サオリはミサキに向き直ると、ずっと大事に抱えていたアツコを預けようとする。

    ミサキ:
    「・・・。」

    サオリ:
    「・・・頼む。
    私には、まだやるべきことがある。」

    難色を示すミサキに、サオリは真剣な様子で頼み込んだ。
    その瞳は、恐ろしいほど冷たく澄んでいる。

  • 164ホットドリンク大好き25/12/02(火) 20:53:14

    ミサキ:
    「・・・私には、今のリーダーが理解できない。」

    サオリ:
    「・・・。」

    ミサキはアツコの身体を押し返す。

    ミサキ:
    「でも、助けになることは出来る。 ・・・そうでしょ?」

    サオリ:
    「・・・。」

    心なしかサオリの瞳が揺れた。
    そこには感動というよりも、想像もつかないような苦渋の思いがあるように見えた。

    ミサキ:
    「・・・。」

  • 165ホットドリンク大好き25/12/02(火) 20:54:18

    サオリは周りを見る。
    ・・・とてもではないが、独りで行くと言える気配では無かった。

    サオリ:
    「・・・。」

    サオリは一度 深く息を吸うと、諦めたように溜息をつく。

    サオリ:
    「・・・分かった。
    ” 至聖所(バシリカ)” に引き返す。 ・・・我々で。」

    そう言って、周囲を安心させた。
    この後の作戦について話し合う為に、サオリはアツコを安全な遮蔽物の影に寝かせようとする。

    ───── ガッ

    サオリ:
    「・・・。」

    そこで、いつの間にか起きていたアツコから袖を掴まれた。

  • 166ホットドリンク大好き25/12/02(火) 20:59:02

    そして そのまま、反対の手でサオリの『懐』に手を伸ばそうとする。

    ───── ガシッ

    しかし その手は、他ならないサオリの手によって防がれた。
    負傷者とは思えないような強力で手を伸ばすアツコを、サオリは それを上回る無慈悲な強力で押さえつける。

    アツコ:
    「・・・嘘つき。」

    サオリ:
    「・・・あぁ、嘘をついた。」

    サオリは後ろを見て 誰も こちらを見ていないことを確認すると、片手でアツコを押さえつけつつ もう片方の手でポーチを素早く漁り、中から睡眠薬を取りだした。
    そしてそれを、無理やりアツコに飲ませる。

    声を上げられないよう、手で その口を塞ぎながら。

  • 167ホットドリンク大好き25/12/02(火) 21:00:30

    アツコ:
    「っ・・・! ・・・っ!!」

    サオリ:
    「これだけは お前達の手を借りるつもりはない。 ・・・前回も・・・そして、今回も。」

    サオリに伸ばされたアツコの手が、パタリと地に落ちた。
    サオリはアツコが眠ったことを確認し、『懐』に入れた ” ソレ ” が しっかりとあるかどうかも確かめる。

    サオリ:
    「・・・すまない、少し手間取った。」

    確認が済むと、サオリは何事もなかったかのように皆が待つ場所へ戻った。

    ────────────────────

  • 168二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 03:01:12

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 11:42:49

    覚悟が重い

  • 170二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 18:00:55

    保守

  • 171二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 00:01:10

    保守

  • 172ホットドリンク大好き25/12/04(木) 03:13:17

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ???:
    「─── ・・・ヤコ! ミヤコ!!」

    見知った声が自身を呼んでいるのを聞いて、ミヤコは目を覚ました。

    ミヤコ:
    「うるさいですね・・・まだ夜ですよ、サキ。」

    サキ:
    「言ってる場合か!」

    ミヤコは軽く頭を叩かれた。
    仕方が無いのでノソリと起き上がる。

    ミヤコ:
    「あの お化けは・・・。」

    サキ:
    「あぁ・・・お前を吐き出したと思ったら急に倒れたぞ? ・・・何かしたのか?」

    ミヤコ:
    「いえ、まぁ・・・そうですね。」

    見れば確かに蹲るようにして倒れている化け物の姿があった。
    それを見ると、あの取引をフッたのが悪い事のように思えてくる。

  • 173ホットドリンク大好き25/12/04(木) 03:15:55

    ミヤコ:
    「・・・今回の事が終わったら、友達くらいにはなれると思うんですけどね。」

    サキ:
    「? 何の話だ??」

    ミヤコ:
    「・・・いえ、個人的な話です。
    それよりも『配達人』は・・・?」

    サキ:
    「あぁ、確認したが あの結晶?が走って逃げ回るせいで まだ『配達』できてないらしい。
    もう少し掛かるそうだ。」

    ミヤコ:
    「そうですか・・・。」

    「私達も手伝いましょう」・・・そう言おうとしたタイミングで、背後から寒気を感じた。
    ミヤコは慌てて振り返る。

  • 174ホットドリンク大好き25/12/04(木) 03:19:26

    虚無の幻影:
    【・・・。】

    すると そこには、いつの間にか立ち上がっていた化け物の姿があった。

    ミヤコ&サキ:
    「─── っ!」

    咄嗟に銃を構える二人。
    しかし次の瞬間、二人の身体は宙に投げ出されていた。

    ミヤコ:
    「・・・!?」

    それは正に上向きの重力で、身体が宇宙に向かって落ちていく感覚があった。
    そして、やがて その勢いは止まり・・・───

    ───── ドゴォッ

    一瞬の内に、強力な加速を伴ってサキとミヤコは地面に叩き付けられた。

    サキ:
    「何だ・・・今の!?」

    ミヤコ:
    (重力場が・・・攻撃に・・・。)

    辛うじて銃から手を離してはいない二人だったが、体勢は大きく崩れてしまった。

  • 175ホットドリンク大好き25/12/04(木) 03:20:55

    ───── パァンッ

    そこに、銃声が響く。

    ミユ:
    『銃弾が・・・当たった・・・?』

    困惑した様子のミユの声が通信から響いた。
    見れば、肩に銃弾が当たったらしい化け物もまた、大きく体勢を崩していた。

    ミヤコ:
    「・・・なるほど。 どうあっても取引の結果は守るというワケですか。」

    ミヤコは化け物の動きに、先程までは無かった理性を見た。
    どうやら『あの子』は徹底的にミヤコの邪魔をすることに決めたらしい。
    その為に、自身を無敵たらしめていた重力場すら攻撃に回して。

    ミヤコ:
    「・・・ミユ、狙撃を続けて下さい。
    もう、彼女は無敵ではありません。」

    ミヤコは銃を構え直し、サキに反撃開始のハンドサインを送った。

    ────────────────────

  • 176二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 12:00:19

    保守

  • 177二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 18:01:03

    保守

  • 178二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 23:33:26

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん25/12/05(金) 06:00:53

    保守

  • 180二次元好きの匿名さん25/12/05(金) 12:00:39

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん25/12/05(金) 18:00:32

    保守

  • 182ホットドリンク大好き25/12/05(金) 22:47:52

    ────────────────────

    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・

    ミヤコ:
    「はぁ・・・はぁ・・・。」

    サキ:
    「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」

    虚無の幻影:
    【・・・。】

    激しい銃撃戦の後、再び倒れ伏す化け物の姿があった。

    サキ:
    「・・・もう、起き上がってこないよな。」

    ミユ:
    『もう・・・弾薬は残ってない・・・。 もし、起き上がられたら・・・。』

    ミヤコ:
    「・・・。」

    ミヤコは何も言わなかった。
    ただ、脳裏では ここから更に化け物が起き上がってきた場合の最善の策を考え続けていた。

  • 183ホットドリンク大好き25/12/05(金) 22:49:36

    ミヤコ:
    「『配達人』・・・現状は・・・?

    ・・・。

    ・・・そうですか。」

    状況は芳しくなかった。
    逃げる体力も、戦う為の弾薬も尽きかけている。
    ここでもし、また化け物が起き上がってくれば───



    ───── ベキッ・・・バキッ・・・



    ミヤコ:
    「・・・ゴキブリか何かですか、貴方は・・・?」

    化け物は、起き上がった。
    背中から、樹木の新芽が芽吹くように黒い翼が生える。
    それは堕天使の翼のようで、しかし天使のモノと見るには余りにも獣染みたシルエットをしていた。

  • 184ホットドリンク大好き25/12/05(金) 22:51:20

    虚無の執念:
    【・・・。】

    大人を模したその化け物は、もはや幼子のような叫びは上げない。
    ただ ずっと棒切れのように その手に握っていた大型の散弾銃を、一度 胸の前まで持ってきたかと思うと、そのまま足下まで振り下ろした。

    それは彼女の独特な『銃礼』とも言うべき捧銃であり、そこには戦士への敬意という知性・・・そして何より殺意があった。

    ミヤコ:
    「・・・いいでしょう。」

    ミヤコは大切なはずの愛銃を地面に置いた。
    そして掌で拳を包むハンドサインをサキとミユに送る。

    ミユ:
    『え・・・うそ・・・。』

    サキ:
    「おい・・・ミヤコ、まさか・・・。」

    しかし それは正気の沙汰とは思えない戦術であり、ミヤコを信頼しているミユからしても、規範に重きを置くサキからしても、拒否したいレベルの代物であった。

  • 185ホットドリンク大好き25/12/05(金) 22:52:39

    ミヤコ:
    「・・・何をしているんですか?
    早く、銃器を置いて下さい。
    ここから先はCQC(近接戦闘)だけで戦いますよ。」

    ミヤコは拳をポキポキと鳴らす。
    そこには どこか熟れた雰囲気があった。

    サキ:
    「・・・別にCQCは徒手格闘だけを指してるんじゃないぞ?」

    ミヤコ:
    「逆に聞きますけど・・・もう弾薬も殆ど入っていない機関銃を抱えて近距離で戦えるんですか? ・・・アレと?」

    サキ:
    「・・・。」

    ミヤコが示す方向には、ミヤコ達が自身にCQCを挑むと見て興奮を隠しきれずにいる化け物の姿があった。
    それは無邪気にはしゃぐ子供のようであり、餌を前に過度に興奮した猛獣のようにも見える。

  • 186ホットドリンク大好き25/12/05(金) 22:54:50

    サキ:
    「・・・やるしかないのか。」

    サキは自身の機関銃を地面に置いた。
    ついでに、CQCにおいて必要のない装備も、その場で外す。

    ミヤコ:
    「ミユ・・・万一の時は、頼みます。」

    ミユ:
    『・・・うん。』

    虚無の執念:
    【・・・!】

    準備を終えた両者が、ついに衝突しようとし ───

    ────────────────────

  • 187二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 06:01:21

    保守

  • 188二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 15:01:31

    保守

  • 189二次元好きの匿名さん25/12/07(日) 00:01:27

    保守

  • 190二次元好きの匿名さん25/12/07(日) 09:00:35

    保守

  • 191二次元好きの匿名さん25/12/07(日) 15:01:42

    保守

  • 192ホットドリンク大好き25/12/07(日) 15:40:09

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