- 1二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 21:35:13
- 2二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 21:41:29
- 3二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 21:53:12
モラトリアム物として良かったのは大人達が出しゃばらず、また大人達が道を決めてしまうようなことも無かったところで。
天草は導き、アショカ王は見守り、怠惰メタトロンは癒し、モリアーティとダンテは社会の先達として引っ張り、言峰は宿題の期限を伝えてくれる。その上でカドック、マシュ、主人公は自分で自分の動静を決める。罪と罰は社会に出るに当たり背負わされる義務と責任の言い換えとも言えるでしょう。
自分で見て、考えて、自分で決める。重くてしんどい足枷や殻の装着をそれでも自分の意志で決める。それは自己実現の一部でもある。
それが自分の人生の結びになるというのが悲しいところでしたが。
そういう意味ではグラナートでの生活や交流はカドックの為にこそ必要な時間だったように思います。 - 4二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 22:25:06
カドックの身の上はとても余裕を持てるものでなく、それでも世界を救える自分であると証明したい、自分の意味を叫びたい。自分、自分、自分、寧ろ学生らしい学生の生活を経ずここまで自己実現に身を砕けるのは大したもんだとは思いますが、魔道という過酷な世界に身を置いたからこそ楽を選ぶ選択肢が浮かばなかったのかもしれず、結果的に罪人となる。
状況を考えればそれをただ罪と呼んでしまうのは憚られると個人的には思いますが、罪悪感は何より当人を苛むもの。命を拾われ振り返るより新たな環境と職務に邁進し、病による短い寿命を告げられる。自分のことなのに自分で何を決められるでもない無力感。残酷。
だからただなんとなく暮らして、なんとなく遊び、なんとなく誰かと時間を共にする、そういう無駄な時間が何時も冷静に見えたカドックに真の意味で心の余裕を与えたでしょう。カドックが決めた「友に託す」というゴールはあの時間を経ず決められたかどうか。
だから奏章4はカドックにとって遅れて来たモラトリアムであり、病と向き合う緩和ケアであり、短い時間でやり残しを思う終活でもありました。
あの若さでなんという……神はいないのか。いえ神はいます、あんたらが嫌いです(裁判長Mの発言 - 5二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 22:42:29
今章はそういう始まりと終わりを克明に描かれたカドックの章である、という印象もあります。
死はキャラクタ―最大最後の見せ場。そこに至る過程、決断、今際、臨終、全てがドラマ。
自分は必要な死に必要な要素を用意してくれるなら誰を何人殺してもOK派ですが、それは本当に必要十分用意してくれるならという話で、カドックのそれは十分なものであったと。
元よりここまでサーヴァントとの出会いと別れを繰り返してきたお話だから、これもまた大きな主題の一部であったのでしょう。
その分グラナートでの日々がマシュに与えた影響は少し小さめ少なめに見えたのは残念でした。
彼女は彼女で明確なタスクを与えられていたので仕方なくはありますが、もっと雀士マシュとかギターマシュとかアルバイターマシュ……はもういた気がする。
実際マシュのモラトリアムは先輩と駆け抜けた日々それ自体とも言えるんですよね。タフな女。 - 6二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:08:33
マシュの課題……マシュ自身はもう情緒豊かで皆が愛する一人の少女ですが、だからこそ力の源と相反してしまうのが重たい。
神童が才能を伸ばせず只人に堕すなんてありふれた話ですが、無菌室で純粋培養された無垢を野に放って罹患せずなんてそも無茶な話だったんですが。宿した英霊がギャラハッドでなければ良かったのか、でもギャラハッドでもなけりゃ力貸してくれないのか。うーん詰み。
奏章は歪な戦力運用のツケを払うエピソード群でしたがマシュ自身もそこにかかってくるのは予想外でした。
マシュもまたカドックとは違う意味で選択の余地がない人生を送って来ただけあって一本の道が断たれることで己の意味、アイデンティティを喪失する恐怖と虚無は察するに余りある。その道は仲間達と築いてきた彼女の人生と誇りそのものだから。
競争能力を喪失したアスリート、視力を失った狙撃手、竜骨の折れた船……人として生きていくことが出来ても、それを咎める仲間がいないとしても、真面目な人ほど自分を責める。
そもそもマシュは余裕がないのを皆と分かち合うことでなんとかやってきた子だったんだなぁと。 - 7二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:24:42
なりたい自分になる、言葉にするのは簡単で皆が持て囃すような観念だけども、じゃあ皆本当になりたい自分になりたいの?
欲しいのは立場やエピソードだけでは?夢が叶った先を考えなきゃいけないのなら夢なんて叶わない方が、自己実現できない方が都合がいいんじゃないの?
夢と言うのは経験の先にあるもので、道に立ってすらいない人間の語る夢想と道の上で彼方を見た人間の語る目標は全く別のもの。現実の先にある目的地に向かう為に歩く、走る。
マシュにとって「守る」という目標と夢は既に叶えたもので、これからもこなし続けるタスクだから、パラディーンという白無垢は寧ろ既にあった、あるべき姿だったと思います。
彼女の生い立ちは非人道的だと批判されるけれど、不自由でも不足なく暮らし今正義を湛えることができたならば、それは英霊の過程として祝福された道なんだとこれまでも思っていたし、決して不幸ではなかったんだと。
妖精國の時のドレスにも思ったけど、マシュには黒より白が似合う。不幸よりも幸せと笑顔が似合う子なんだよ。
つまり白い下gなんでもありません。 - 8二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:29:04
- 9二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:38:10
- 10二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:44:42
- 11二次元好きの匿名さん25/11/12(水) 23:47:34
藤丸がいてもAチームいるなら関わることは少なくなるだろうからそんなにいい方向にはいかないだろうなって
元々召喚アイテム扱いみたいなものだったし
大令呪とかの話抜きにしてもこれまでの旅ほどマシュが人間豊かにほかのクリプター達とあそこまで仲良くなるのは無理じゃないかなぁ - 12二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 08:37:16
- 13二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 09:32:54
- 14二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 18:26:30
ここまでモラトリアムの光に当てて語ってきたわけですが、光があれば闇がある。モラトリアムの闇。
当然の如くリリス。自己実現の為にバイトに奔走し、それによって為されるのが殺人。怨敵必殺。あまりに通り魔。
それが敵討ちだというならまだ救われるんですが逆恨みによる殺傷なので……。
こんなモラトリアムがあってたまるか?うん同感、なんだけどね……所謂学生運動なんかモラトリアムの余暇・余裕を正義に注込んだ結果狭量で暴力的な人間や組織を生んだって経緯もある。小人閑居して不善をなす、人生の余裕は時に無意味以下にまで人間性を堕とすこともある。
グラナートに溶け込んでいたように見えたリリスはそれこそマシュへ攻撃する以外主体的に他の住人と関わることもなく、ただ一人殺意と憎悪を煮詰めて終盤凶行に走った。アショカ王がカドックに向けた「友と語らうべきだった」という台詞は言外にリリスにもかけられていた言葉だったようにも見えます。
前者は人生のアクセル、後者は暴走のブレーキとして。
しかし彼女もマシュを殺す以外一切の関心を持たないほど自動的ではなく、だからこそ性質の悪さの表現にもなっていました。 - 15二次元好きの匿名さん25/11/13(木) 22:55:36
リリスはそういう青春の陰、人間性の澱のメタファーとしてのヴィラン。
故に今章のボスに相応しいキャラではありましたが……ヒロイックな物語のキャラとしてはあんま好感は持てないキャラだったなと。
何せリリスがマシュを害そうとした経緯と実情はあまりにイジメ加害者のそれなんですよね。
人間理屈を超えてどうしても許容できない存在がいる、などと語っていたけどリリスの怨念に理屈と経緯は明瞭且つ理不尽なもの。
相手を貶し、責め、友を巻き込み殺傷に至る。リリスの描写があまりに対マシュに特化し過ぎててこの子に愛着持つのはまー無理だなぁって。3月のライオンのイジメ主犯の子見てるような気分。実際攻撃的なギャルとも言える性格付けはそういう人間性を意識した描写になってるんじゃないか。
ただイジメ加害者の行き着く先という形は正にモラトリアムの物語の悪役として良い塩梅の位置づけには感じます。
その怨念はマシュが盾として防ぎ、希望の名を冠する剣によって糾される。学級委員長マシュの誕生であった。
そしてマシュの宿敵としてポジショニングされたリリスですが、今章の中でマシュの対として配置されているわけではないと思います。
リリスの対、それは年少組に配置された特異点の中心……裁判長メタトロン・ジャンヌその人。 - 16二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 07:58:24
裁判長とリリスの共通点は個人の嫌悪に言い訳を噛ませることで絶対の理由に仕立て上げているという部分。
リリスは自身の生い立ち等内面の感覚から自分の意見を強固にしている、裁判長は神の意志・法が貴方達を認めないと外部の価値観と自身を同一化することで頑なになった。
どちらもSNSなんかにはあり触れた心の在り様ですが、特に顕在化し易いのは若い時期で心の余白を自己肯定感で攻撃的に埋めてしまう。これを外部に出力するとイジメなどの懲罰意識が表出する。お前が悪い、だからこれは仕方ない、当然の罰なのだと。怠惰の語った「罰という感情」その在り方。
子供は成果を欲しがり大人は余裕を欲しがる、怠惰と言う大人の部分を切り離したことで嫌悪の成就という成果の為に全て擲とうとした裁判長の行動はやはり年少者のものであったと。余裕が無いから自己と外部の事象に適切な距離を取れなくなってしまった。
まぁ裁判長のは密告気質とかしょうもない言い方もできるわけですが……。
そして裁判長もまたリリスと同じく他人の意見に左右されない、というか周囲に人のいないからこその独善。
空腹、睡眠不足、そして孤独は人品を卑しめる。あたかも地獄の罪人たちのように。
じゃあ強欲カレンは腹減って眠らず人の話を聞かないからああなったってHAHAHAそんなまさか。 - 17二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 08:06:38
- 18二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 12:00:32
- 19二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 12:02:21
モーさんからのギャラハッド評とか好きなんだよな
- 20二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 12:08:00
イッチお疲れ様。
追い打ちをかけるようで悪いけど…今年のフェスの朗読会もいいぞ…良いぞ… - 21二次元好きの匿名さん25/11/14(金) 21:12:32
問題児は殴って言うこと聞かせるのが王道だけど二人共腕っぷしだけは強いし言うことも聞かないし……と言う事情を考慮したってことはないんでしょうが、やはり今章の大人組は素晴らしい人間性ばかりでした。
特に怠惰メタトロンとアショカ王はグラナートの屋台骨、どちらか欠ければあの気が抜けるような居心地に良さは無かったろうなと。
怠惰さんの空気感、普段抜けててもやるときはやる、というのじゃないんだよ。
裁判長と比べたら小指の先くらいの力量だし何なら高位天使相手にも頼りないくらい、力にはなってるけど頼れる大人というわけでもなく……上手くいくか分からない多分上手くいかないけど、面倒臭いけどやらなきゃねさぁやるぞ、という力の出し方が自分の思う普遍的善良さの体現みたいで不覚にもグッときました。
上手くいくのが分かってるからやるんじゃなくて、やらなきゃいけないから失敗するとしてもやるんだよ。そしてそのことに気負い過ぎない。
やる気が出ない、真剣みが足りない、出口が見えない、でも動いてるならそれでいいんだという、社会人への応援歌。
グラナートに住みたかった、いや本気で。 - 22二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 02:33:10
保守