- 1二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 21:58:27
- 2二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:01:16
といいつつ準備が間に合ってないので再掲多めです
- 3二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:06:40
佑芽「よおーし、勝負ですよ、プロデューサーさん!」
佑芽「今日こそ勝つぞー!!」
学P「その負けず嫌いは俺にも適用されるんですね」
佑芽「もちろんです! さあ、いざ尋常にしょお〜ぶ!!」
学P「わかりました。佑芽さん先攻でいいですよ」
佑芽「ふっふ〜ん! さてはあたしをみくびってますね! その選択、後悔させてあげます!」
学P「では、どうぞ」
佑芽「ぐぬぬ〜! 余裕ぶって〜! じゃいきますよ!」
学P「はい」
佑芽「プロデューサーさん! あ……あ、あ、あああ、愛して……ま……す」マッカ
学P「はい、照れたので佑芽さんの負けです」
佑芽「く、くそ〜、また負けたああああ!!!」 - 4二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:08:00
佑芽「プロデューサーさん! 今日も勝負ですよー!」
学P「またですか」
佑芽「負けっぱなしじゃいられませんからね!」
学P「それで、今日は何で勝負するんですか?」
佑芽「ふっふ〜ん。よくぞ聞いてくれましたね?」
学P「この流れで聞かない人の方が少ないと思いますが」
佑芽「今日は……ポッキーゲームです!」ジャーン
学P「……いいでしょう」
佑芽「ふふふ……その余裕、あたしがポッキーともども叩き折ってやります!」
学P「ポッキーを折ったら負けなんですけどね」 - 5二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:09:33
佑芽「御託はいりません! さあ、いざ尋常に勝負!!」ハム
学P「では反対側失礼します」パク
佑芽(わ、わ、わあ〜! ぷ、プロデューサーさんの顔が近いぃ! かっこよすぎる……!)ドキドキ
佑芽「……」ポー
学P「……佑芽さん? 始めないんですか?」
佑芽「……ふぇ?」
学P「え、寝てました? とりあえず終わらないので食べ進めますね」ポリポリ
佑芽「……!!?」ドッキーン
佑芽「え、えええ、え、えっちですよ!!」ポッキーン
学P「ええ……」 - 6二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:10:49
佑芽「さあ! 今日も勝負ですよ!!」
学P「今日はなんですか」
佑芽「お互いの好きなところを言い合って、先に出なくなった方の負けです!」
学P「ほほう」
佑芽「ふっふ〜ん! これならあたし自信がありますよ!!」
学P「いいえ、絶対俺が勝ちますね」
佑芽「な!? またあたしのことバカにして〜!」
学P「佑芽さんの好きなところなんて百個でも二百個でも挙げられますから、負けるはずがありません」
佑芽「…………うえぇ!?」
学P「じゃあいきますね。まずぱっちり二重の目が可愛くて好き、血色のいい肌も可愛くて好き、ちょっと名前はわからないけどあの髪の縛り方も可愛くて好き、いつも笑顔なところが可愛くて好き」
佑芽「い、一個ずつ! 一個ずつですから!」
学P「そうですか。じゃあつぎ、佑芽さんどうぞ」
佑芽「え、えーと、その……。か、かっこよくて、優しいところ、です……」カアア
学P「はい、俺の勝ち」
佑芽「……う、うえええええん! 違うのにいいい!!!」 - 7二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:11:57
佑芽「ようし、次こそ勝ちますよー!」
学P「今回の勝負はなんですか?」
佑芽「今日は……先に相手を惚れさせた方の勝ちです!」
学P「それなら俺はとっくに惚れてますよ」
佑芽「ち、ちがいますーっ! それもとっても嬉しいんですけど! アイドルとしてとかじゃなくて、男の子と女の子として、です!」
学P「はい」
佑芽「……は、"はい"?」
学P「ですから、俺はとっくに佑芽さんに惚れてますよ。異性として」
佑芽「…………んなっ!!!??」
学P「残念、今回は俺の負けですね。認めます」
佑芽「ちょちょちょ、それ本当ですか!? い、いつから!?」
学P「本当ですよ。そうですね……俺が佑芽さんをプロデュースするようになって、初めて咲季さんに挑み──負けたときでしょうか」
佑芽「ふ、ふーん。そーなんですね……」ソワソワ
佑芽(や、やっぱりあたしの負けだ……) - 8二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:13:37
佑芽「うおおおお! 今回は勝つぞ!!」
学P「次は何で勝負するんですか?」
佑芽「久しぶりの二連休ですからね! 今日明日とそれぞれが考えたプランでデートして、より楽しかった方の勝ちです!」
学P「いいでしょう。じゃあ今日は俺からでいいですか?」
佑芽「ふっふーん。負けませんよ!!」
佑芽「あ、あのプロデューサーさん」
学P「はい」
佑芽「こ、ここは……?」
学P「俺の実家です。そろそろ紹介しておきたかったので」
佑芽「…………あ」
学P「”あ”?」
佑芽「あたしの負けです!!!!」
学P「いいんですか? まだ佑芽さんの番が来てないですけど」
佑芽「コールドですよぅ……!」 - 9二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:15:23
佑芽「このまま負けっぱなしでいられません!!」
学P「次はなんですか」
佑芽「明日はあたしたちがお付き合いした記念日ですからね! より相手を喜ばせるプレゼントを贈った方の勝ちです!!」
学P「なるほど、受けて立ちましょう」
佑芽「ふっふーん。ついにあたしが勝つときが来ましたよー!」 - 10二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:16:35
佑芽「あ、あの……これは」
学P「指輪です。給料三ヶ月分、とはいきませんでしたが」
佑芽「え、えと……あの……つ、つまりこれって……」
学P「はい。佑芽さん、俺と結婚してください」
佑芽「……ふぇっ」
学P「ふえ?」
佑芽「ふぇええええん!! あたしの負けでずうううう!!!」
学P「まだ佑芽さんの番来てませんよ?」
佑芽「こんなの、勝ち目ないですよぅ」
学P「ではせめて、答えをもらっても?」
佑芽「……そんなの、もちろんおーけーですよっ」ギュ
学P(……とうとう負けてしまったか) - 11二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:17:35
佑芽「さあ、またまた勝負ですよ!」
学P「勝負の内容は?」
佑芽「お腹の子の性別を当てたほうの勝ちです! 買った人には命名権を与えます!!」
学P「ほほう、いいでしょう。では俺は女の子にベットします。きっと佑芽さんに似てすごく可愛い子になりますよ」
佑芽「じゃああたしは男の子にします! Pさんに似たかっこよくて素敵な子が産まれてきますよ!!」
医者「双子ですね」
佑芽「え!」
学P「なんと」
医者「男の子と女の子一人ずつです」
佑芽「や、やったあああ! 一気に二人も増えるなんて、すーっごく嬉しいです!」バンザーイ
学P「勝負は引き分けですが、そんなことどうでもいいくらいの気分ですね!」バンザーイ
医者(……勝負?) - 12二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:18:38
佑芽「そろそろ決着をつけましょう」
学P「俺もそう思っていたところです。勝負の内容は?」
佑芽「この子達が、パパとママ、どっちを先に呼ぶかの勝負です!」
学P「よし、負けませんよ!!」
男の子「……あう」
女の子「たあい……」
佑芽「な、なんだかそろそろな感じがします……」
学P「は、はい……」
二人「……」ゴクリ
男の子「ぱ……ぱぁぱ」
女の子「まんま」
学P「……!!」
佑芽「……!!」
二人「やったあああああ!!!!」 - 13二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:19:41
佑芽「結婚してからは引き分けばっかりですね」
学P「そうですね。いい加減白黒つけましょうか」
佑芽「ここは原点に立ち返りましょう」
学P「ほほう。といいますと?」
佑芽「愛してるゲームです!」
学P「受けて立ちましょう」 - 14二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:20:49
佑芽「よぅし。……Pさん、愛してます」
学P「佑芽さん。俺も愛してます」
佑芽「あたしのほうが愛してますよ!」
学P「いいえ、確実に俺の方が愛してます」
佑芽「い、い、え! あたしのほうがもっともーっと愛してます!!」
学P「とんでもない! 俺の方がもっともっともーっと愛してますよ!」
佑芽「……Pさん」
学P「佑芽さん……」
佑芽「……」ジー
学P「……」ジー
────ちゅ♡
息子「はあ。父さんと母さんまたやってるよ」
娘「ほーんと、飽きないよねえ」
1作目 終わり
あと9作あります - 15二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 22:22:26
佑芽への愛が爆発してる…
いいぞもっとやれ - 162本目25/11/15(土) 22:23:34
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい……」ギュウ
佑芽「暑いです〜……」ギュウ
学P「はい……。もはや異常気象ですよこれは……」ギュウ
佑芽「こんなに暑かったら、あたし溶けちゃいますよぅ〜」ギュウ
学P「なんでこんなに暑いんでしょうか。ねえ、咲季さん?」ギュウ
咲季「あなたたちが! 抱き合って! 座っているからでしょう!」
佑芽「えー? でも離れるのは違うんだ〜」ギュウ
学P「離れたところでどうせ暑いなら、くっついていたほうがいいですからね」ギュウ
咲季「……」 - 172本目25/11/15(土) 22:25:22
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい」
佑芽「プロデューサーさんは、恋人とか作らないんですか?」学Pの膝の上ちょこん
学P「そうですね、今は佑芽さんのプロデュースに専念したいので、考えていませんね」佑芽の頭なでなで
佑芽「そうなんですね〜」学Pのネクタイいじいじ
学P「まあ、相手がいないとどうしようもないですけどね。あっはっはっ!」ギュウ
佑芽「あーあ、あたしも素敵なボーイフレンドがほしいなあ〜」ギュウ
清夏(えっ、まだ付き合ってなかったの?) - 182本目25/11/15(土) 22:26:27
佑芽「プロデューサーさんっ! もしあたしに恋人ができたらどうしますか?」
学P「アイドルですからね、スキャンダルだけはないように徹底した指導をします」
佑芽「ぶー。そういうことじゃないんです!」
学P「?」
佑芽「アイドルとかそういうの無しにして、です! プロデューサーさんの個人的な意見が聞きたいんです!」
学P「あーなるほど。だとしたら、別れさせますね」
佑芽「えー、どーしてですか?」
学P「相手が誰であれ、佑芽さんを渡すのは我慢ならないからです」
佑芽「ふぅん、そうなんですねー」
学P「佑芽さんはどうですか? もし俺に恋人ができたら」
佑芽「うーん、あたしに勝てるような人なら認めてあげます!」
学P「ははは、そんな人いるわけないじゃないですか」
佑芽「だから言ってるんですよっ!」
手毬(じゃあ二人で付き合えばいいんじゃ……?) - 192本目25/11/15(土) 22:28:03
佑芽「うーん……」
広「佑芽、どうしたの?」
佑芽「あ、広ちゃん! えっとね、どうしてもわからないことがあって、ずぅーっと考えてたんだ!」
広「ふぅん。佑芽が考え事なんて珍しい」
佑芽「ど、どーいう意味なの!」
広「それで、何を考えてたの?」
佑芽「うんとね、プロデューサーさんはどーしてあんなにかっこいいのかなって」
広「……なるほど、それは難題だ、ね」
佑芽「でしょー! 全然わかんないんだぁ〜」ムムム
広(……出ている答えに気づけないのが、一番厄介)
佑芽「うぅ〜、考えてもわからないから、とりあえず会いに行ってくるよ! じゃあね、広ちゃん!」
広「うん、バイバイ」
広(佑芽と佑芽のプロデューサー、大変そう。羨ましい) - 202本目25/11/15(土) 22:29:32
佑芽「プロデューサーさん! 質問です!」
学P「はい、どうぞ」
佑芽「どうしてプロデューサーさんはそんなにステキなんですか!」
学P「……返答に困りますね」
佑芽「えー! 自分のことなのに!」
学P「では聞きますが、佑芽さんはどうしてそんなに可愛いんですか?」
佑芽「うえ!?」
学P「つまりそういうことですよ」
佑芽「な、なるほどー……」
ことね(こいつらアホだナー) - 212本目25/11/15(土) 22:31:12
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい」
佑芽「今度のお休み、どこかお出かけしませんか?」
学P「いいですけど、この辺りのお出かけスポットはあらかた行き尽くしましたよ」
佑芽「確かにそうですね。どこか涼しくて、楽しくて、人の目を気にせず過ごせるところはないでしょーか……」ウムム
学P「……あ、じゃあ俺の家来ます?」
佑芽「え、いいんですか!?」
学P「はい。涼しいですし、周りを気にすることもないので気楽ですよ」
佑芽「確かにそうですね! じゃあお邪魔しまーっす!」
美鈴(ある意味一番危ない気が……) - 222本目25/11/15(土) 22:33:09
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい」
佑芽「プロデューサーさんはどんな女の子がタイプなんですか?」
学P「……なぜそんなことを聞きたがるんですか」
佑芽「…………? そういえば、どうしてでしょう」
学P「えぇ」
佑芽「なんだか、突然すーっごく気になっちゃったんです!」
学P「はあ、そうですか」
佑芽「それで、どんな人なんですか?」
学P「そうですね……。可愛くて、負けず嫌いで、優しくて、いつも元気で、最高の数値の人がいいですね」
佑芽「えー! そんな人なかなかいませんよ! 意外と要求高いんですね!」
学P「ははは、確かになかなかいませんよね」
佑芽「もし見つけたら紹介してあげますね!」
学P「ぜひ、お願いします」
星南(……そういうプレイなのかしら) - 232本目25/11/15(土) 22:35:46
学P「うう……苦しい」
リーリヤ「あの、佑芽ちゃんのプロデューサーさんですよね? 具合悪いんですか?」
学P「ちょっと不足気味で……」
リーリヤ「不足……? あ、熱中症ですか!? ミネラル不足! わたし、塩飴持ってます」
学P「ああ、いえ。違うんです」
リーリヤ「え、そうなんですか? じゃあ、一体何が不足しているんでしょう……」
学P「佑芽さん成分が……もう三時間も会えてないから」
リーリヤ「……あっ、そうなんですね。えーと、わたし、レッスンがあるので、失礼します」ソソクサ
学P「はい、さようなら……」ゲッソリ
リーリヤ(その気持ち……わかります……!!) - 242本目25/11/15(土) 22:37:05
佑芽「うぅ……歩けない……」
千奈「は、花海さん! どうしましたの!?」
佑芽「あ、千奈ちゃん……。あたしもう倒れちゃいそうだよ……」フラフラ
千奈「まあ! 熱中症ですの!? ほ、保健室に……」
佑芽「ちがう……ちょっと不足してきちゃったの」
千奈「不足? なにがですの?」
佑芽「プロデューサーさん成分が……。もう三時間も会ってないから」フラフラ
千奈「……そ、そうですの」
佑芽「うん……」ゲッソリ
千奈(会いにいけばよろしいのでは……?) - 252本目25/11/15(土) 22:38:31
佑芽「ぷ、プロデューサーさあん……」フラフラ
学P「佑芽さん……」ヨロヨロ
佑芽「あ、プロデューサーさん、見つけましたあ」ギュウ
学P「う、佑芽さん。探しましたよ……」ギュウ
佑芽「うあー、生き返りますぅ……」スリスリ
学P「はー、もう少し遅れたら命を落としていたかもしれません」ナデナデ
佑芽「やっぱり三時間は無理ですね……」クンカクンカ
学P「そうですね……今後はできる限り一緒にいましょう」ハムハム
莉奈(私は生徒会室で何を見せられているんだろう……) - 262本目25/11/15(土) 22:40:09
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい」
佑芽「喉渇きましたぁ……」
学P「緑茶でよければありますよ。俺の飲みかけですが」
佑芽「はい、いただきます」ゴクゴク
佑芽「ぷはーっ! 生き返るーっ!」
学P「それはよかったです」
佑芽「あたし、緑茶ってあまり好きじゃなかったんですけど、これはすっごく美味しいですね!」
学P「そうですか。近所のスーパーのオリジナルブランドのものですよ」
佑芽「あれ、じゃああたしが前飲んだやつと同じだ……。どうして美味しく感じたんだろう……?」
学P「喉が渇いてたからでしょう」
佑芽「そーいうことかあ!」
佑芽(うーん、でもなにか違うような……?)
麻央(……教えてあげたほうがいいのだろうか) - 272本目25/11/15(土) 22:46:01
佑芽「プロデューサーさんっ!」
学P「はい」
佑芽「あたし、最近悩みがあるんです」
学P「アイドルのメンタル管理もプロデューサーの仕事です。相談に乗りますよ」
佑芽「ありがとうございます! えっと、あたし最近寝不足なんです」
学P「珍しいですね」
佑芽「それに、急に胸がドキドキしたり、いきなり顔が熱くなったり……」
学P「……驚いた。実は俺も似たような症状が出ることがあるんです」
佑芽「え! プロデューサーさんもですか!?」
学P「はい。それもなぜか、決まって佑芽さんと一緒にいたり、佑芽さんの事を考えているときに……」
佑芽「あたしも同じです! プロデューサーさんと一緒にいるとき、必ずなっちゃうんです」
学P「うーん……。一度、二人で病院に行ってみましょうか」
佑芽「そうですね! 悪い病気だったらやっつけてもらいましょう!」
邦夫(医者も迷惑じゃろうて……)
二本目終わりです - 283本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:03:10
九時三十分。
通勤ラッシュの過ぎた天川駅前は、わずか一時間の間にすっかり人通りが少なくなっている。
スマートフォンをポケットにしまい手持無沙汰になった右手で着慣れないカラーシャツの襟をいじっていると、遠くからこちらへ走ってくる人影が見えた。器用に人の間を縫ってあっという間に目の前へやってきたその少女は、右手を勢いよく掲げて太陽よりも眩しい笑みを俺に向ける。
「おはようございます、プロデューサーさん!」
「おはようございます、佑芽さん」
花海佑芽。俺の担当アイドルであり、つい先日、恋人となったその少女は何かを催促するような目で俺の顔を覗き込み、大きく手を広げて見せた。当たり前ながら、佑芽さんも今日は私服を着ている。
白いシャツの上からリブカーディガンを羽織り、デニムのショートパンツ、黒いコットンタイツと秋らしいスタイルでまとめている。さらに足元のスニーカーが学生のデート感をぐっと引き上げるアクセントになっていて……と、理屈をこねることはいくらでもできるのだが、要約するとそれは――。
「すごく可愛いですね、佑芽さん」
とまあ、シンプルな一言に収まるわけで。
そしてそれは彼女が求めていたものとおおむね合致したらしく、佑芽さんは満足そうにはにかんで俺の左腕を取った。
「プロデューサーさんも、似合っていてカッコいいですよ!」
半ば勢い任せで言ったのか、俺の反応を待たずに真っ赤な顔をぷいと正面に向け、「さあ、行きましょー!」と余分に声を張り上げる。そんな彼女に引っ張られながら、俺は夜中まで考え抜いた今日のプランを反芻するのだった。 - 293本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:06:37
*****
俺が佑芽さんと交際を始めてもう二ヶ月が経つ。いわゆるデートというイベントも今日で四回目を数えるが、普段は女子寮の前まで迎えに行くところをわざわざ駅前で待ち合わせをしたのは今日が初めてで、なぜかと言われればそれは佑芽さんがそう望んだからだ。前日の晩、急に。
「だって私服でお出かけするのは初めてなんですよ! トクベツ感が欲しいじゃないですかっ」
なんとも可愛らしい理由を人差し指を立てながら力説する佑芽さんに思わず顔を綻ばせながら、頭に叩き込んだ地図を辿って市内を歩くこと十五分と少し。今日の最初の目的地であるアミューズメントパークに到着した。
ゲームセンターやカラオケ、スポーツ施設などが複合された学生の定番スポットではあるが、二人で来たのはこれも今日が初めてだ。
「うわ~! 一日中遊んじゃえそうですね~!」
ボウリング、バッティングセンター、ビリヤードと多種多様のスポーツゲームに目を輝かせる佑芽さんを見ていると、俺の方までテンションが上がってしまう。駆け足で受付を済ませ、とりあえず端から制覇していこうと入り口そばのバッティングゲージに飛び込んだ。
イメトレは十分にこなしてきた。頭の中の俺は、百マイルのフォーシームだろうと簡単に外野の間を抜くことができる。よし、今日は佑芽さんにいいところを見てもらおう。 - 303本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:09:11
「もう少し肩の開き抑えてください! ほら、テイクバックでタメが作れてないので上体突っ込んじゃってますよ! もっと脇締めてください、スイングブレてボールの下叩いてます!」
これは俺がバッターボックスで50球のスイングをする間に佑芽さんからかけられた言葉原文ママである。あわよくばホームランを打って惚れ直してもらおう……などと考えていた十数分前の自分を引っ叩いてやりたくなる程度には自らの才能のなさに辟易としてしまうが、佑芽さんは手本を交えつつ根気よく教えてくれる。
「もう少し足開いて、そうです。腕じゃなく腰から回すイメージで……」
後ろから手を回して、体の動かし方の指導を受ける。おそらく非常に重要で有益なことを言っているのだろうが、なにせ各所に感じる未知の柔らかさに脳のリソースを九割方持って行かれているので一切頭に入ってこない。 - 313本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:11:31
「あの、佑芽さん。教えてくれるのはありがたいんですが、色々と当たってます」
さすがに諸々と危険水準に達しつつあるので、さりげなく佑芽さんに距離を取るよう促すと、佑芽さんは「ほえ」とか「はえ」みたいな感嘆詞をぽつぽつ落としながら自分の身体と俺の身体を交互に見て――真冬のハロゲンヒーターよろしく、一気に顔中を真っ赤に染めた。
「当たって…………うわあ!? え、えっちですよ!!!」
「ちょ、声大きいです! 周りの人が見てますから!」
「え、あれって……ヤバくない?」
「とりまケイサツ? FBI?」
ヒソヒソと、周囲からそんな声が聞こえてくる。違うんです、通報はしないでください!! - 323本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:15:25
一日中遊べてしまうというのは大袈裟でも何でもなく、気が付けば一時過ぎになっていた。周りのお客さんや電話機を握りしめた施設スタッフの誤解を解くのに十分ほどロスタイムがあったことを考慮しても、かなり長い時間楽しんだと言える。
「あー! 楽しかったですね!」
「はい。勝負の方は散々でしたが」
「えへへ、今日はあたしの勝ちですねっ」
さすがに切り上げて昼食を摂ろうとやってきたファミレスで、佑芽さんはメニューを開いてご機嫌にそう言った。真っ黒に塗られている自分の戦績表を見返す気には到底なれないので、立てかけてあるもう一冊のメニューに手を伸ばそうとして――ぷくっと頬を膨らませる佑芽さんと目が合う。可愛い。
「もう! こういうのは一緒に見て決めるんですよ!」
「そうなんですね、勉強になります」
「な、なんですかその返事……」
佑芽さんは一瞬微妙な表情を作るが、すぐにいつものコロッとした笑顔になってメニューに記載されているカロリーをまじまじと見つめている。
「うーん。お姉ちゃんの許可なしに食べるには百の位が大きすぎる……」 - 333本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:17:24
恨めしそうな顔でハンバーグセットを睨め付ける佑芽さんの顔を見ていると、つい頬が緩むのを感じる。コロコロと変わる表情豊かな彼女に俺は惹かれたのだろうとしみじみ思いつつ、助け舟を出すことにした。
「午前中たくさん体を動かしましたし、サラダバーも付ければ問題ないでしょう。その辺りのカロリー管理は、ある程度裁量を与えられていますから、俺の責任で許可しましょう」
「ほ、本当ですか!? わーい!」
俺の出した助け舟はまさに渡りに船だったようで、佑芽さんは今日何度目かの満開の笑顔でタッチパネルに商品番号を打ち込んでいく。そのおよそ十分後、現れた猫型配膳ロボを見つけたときの佑芽さんの喜びようは…………しばらく忘れられそうにない。
「お客様、もう少々お静かに願います!」
「す、すみませ~~ん!!!」
「佑芽さん、謝る声が一番大きいです」
「うわあ!! ごめんなさい!」
……主に、このやりとりのせいで。 - 343本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:19:02
*****
腹拵えを済ませ、次の目的地へ向かう。ファミレスからバスに揺られること数十分、やってきたのは水族館。
五分ほど列に並びチケットを購入し、中へ入る。ふと佑芽さんの手が触れて、思わず視線が跳ねた。佑芽さんは気付いていないようで、俺の半歩先をスキップしそうな勢いでどんどん進んでいく。
「わー! お魚がたくさんいますよー!」
左右の壁はもちろん天井にまで水槽が広がり、大小様々な魚たちが悠々と泳いでいるその真ん中で、佑芽さんは大きな瞳をキラキラ輝かせて楽しそうに周りを見渡している。
思わず見惚れてしまう。スクラップして大切にしまっておきたくなるような彼女の姿の前に、俺の視界にはクラゲもグッピーもジンベエザメも映らなかった。 - 353本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:21:09
「佑芽さんは海が好きだと以前言っていたので、動物園より水族館なのかな、と思って」
「おー! 大正解です!」
でもでも、プロデューサーさんと一緒ならどこでも楽しいですけどね!
売店でたくさんのストラップを見比べながら、佑芽さんはそう言って笑う。それは俺のセリフですよ、と言いかけたとき、こちらをじっと見ている佑芽さんと目があった。
「……どうしました?」
「これ、お揃いで買いませんか?」
佑芽さんが持っているのは、ピンクと青の二匹のイルカのストラップ。くっつけると口と尾ひれでハートの形になるようなありがちなもので、当然恋人同士でそれぞれ持つことを想定された商品だろう。
「お互いカバンに付けましょうよ!」
「……」
なんとも高校生らしいその提案は、大学生の俺にとってもやはり魅力的なものだった。しかし、アイドルとプロデューサーであるという前提が邪魔をして、周囲に関係を悟られるようなことは控えなくてはならない。
そのため俺は返答に悩んだのだが、佑芽さんは自らその理由に辿り着いたのだろう、「あ」と声を上げて、いたずらを咎められた子供のような表情で唇を尖らせた。
「じゃあせめて、お部屋に飾っておきたいです」
佑芽さんはお菓子をねだるような瞳で、上目遣いに俺を見つめる。最愛の女の子にこんな表情をされてしまっては、断ることなどできようもない。まして、俺だってお揃いのストラップは欲しいのだから。
「いいですよ、買いましょうか」
「本当ですか!? やったー!」
バンザイで喜びを表現する佑芽さんからストラップを受け取り、レジに並ぶ。その間もずっと隣でニコニコしている彼女を見て、俺はどうしようもなく胸を高鳴らせるのだ。 - 363本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:28:10
*****
水族館を出るとあたりはすっかり夜になろうとしていて、紫の空の向こう側にぼんやりとキンモクセイ色が沈んでいる。
「運動の秋なのに、どうしてすぐ暗くなるんですかね」
二人並んで寮までの帰路を歩く道中、イルカのストラップを夕日に透かしながら佑芽さんがつぶやいた。
お気に入りの本の背表紙を閉じるときの音に似た、寂しそうな声音。
「なかなかに難しい質問ですね」
「お昼が短いと、なんだか損した気分になっちゃいます」
「ああ、なんとなくわかります」
「時間が短くなったわけじゃないんですけどね~」
伸びた影の先端をぶつけ合いながら、見慣れた舗装路を歩く。例えばこの影のように長く、こんな時間が続いたらと思うのは、俺が欲張りなのだろうか。 - 373本目 結構真面目に書きました25/11/15(土) 23:31:55
「着いちゃいましたね」
気がつけば、学園に戻ってきていた。女子寮の前で立ち止まり、二人向かい合う。上目遣いの大きな瞳が、一番星を反射した。あどけなさの残る唇が、小さく動く。
「プロデューサーさん、大好きです」
「どうしたんですか、いきなり」
「えへへ。そういえば今日、まだ言ってなかったなって思いまして」
ぴょこぴょことお団子を揺らして、頬を真っ赤に染めた佑芽さんが笑う。それは、夕陽のせいなどと言い訳にもならないほど綺麗で、そして尊くて。
「佑芽さん」
「プロデューサーさ──わわ!?」
「佑芽さん。俺も好きですよ──誰よりも、ずっと」
「……えへへ。はいっ」
俺たちはアイドルとプロデューサーで。決して恋人同士になるわけにはいかなくて。誰にもバレてはいけない関係性で。唇を重ねることすらもできないけれど。今この瞬間、彼女を抱きしめることぐらいは。
「それじゃあ、また明日も頑張りましょーね、プロデューサーさんっ!」
許されたっていいじゃないか――と、俺はその小さな背中に乞うのだった。
おわり。
だいぶ短くまとめました。 - 38二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 23:33:55
あぁ~…良い…好きすぎる…
あまりにも澄んだ純愛が五臓六腑に染みる… - 39二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 23:35:42
この辺の素が出てる学P好き
- 40二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 23:40:14
このレスは削除されています
- 414本目25/11/15(土) 23:42:21
佑芽「もう、そんなに見つめて、どうしちゃったんですか〜?」
学P「いえ、佑芽さんがあまりにも可愛いなと思いまして」
佑芽「え、ええ!? なんですか、いきなり!」
学P「俺にとってはいきなりじゃないんです。一目見た時から、俺は佑芽さんのことが──」
佑芽「そ、そんなあ〜、だめですよぅ〜うへへへへ」ムニャムニャ
佑芽「プロデューサーさぁん、そんないきなり……ぐへ、ぐへへへ……」ムニャムニャ
佑芽「も、もぅ〜……────は!?」ガバッ
学P「……おはようございます。気持ちよさそうにお昼寝していましたね」
佑芽「…………あ、あたし、なにか寝言とか言ってましたか?」
学P「いえ、特にはなにも」
佑芽「そ、そうですか……ほっ」
佑芽(うう〜、プロデューサーさんのえっちな夢を見ちゃったなんて、あたしのバカー!)
学P(……危なかった。寝ている佑芽さんの耳元でしゅきしゅき言い続けてるなんて、絶対バレるわけにはいかないからな) - 424本目25/11/15(土) 23:43:21
佑芽(うーん、最近えっちな夢を見ることが増えたような……。それも、事務所でお昼寝しているときばかり)
佑芽(もしかして、何かいたずらされてたり? でも、事務所にはあたしとプロデューサーさんしかいないし……)
佑芽(……確かめてみよう)
佑芽(もうそろそろプロデューサーさんが来る時間だ。寝たふりをして待ってよう)
佑芽(……ん、プロデューサーさんのにおいが近づいてきた)
学P「お疲れ様です──おや、またお昼寝中ですか」ガララ
佑芽(来た! 寝たふり、寝たふり……)クークー
学P「……」ススス
佑芽(ち、近づいてきた? わわわ、耳元にプロデューサーさんの顔が……!?)ドキドキ
学P「──好きです」ボソッ
佑芽(!!!!!!????) - 434本目25/11/15(土) 23:44:32
学P「佑芽さんかわいい、好き好き大好き。世界一可愛い、愛してる」ボソボソ
佑芽(ぷ、プロデューサーさんがあたしのこと!? 何が起こってるの!?)ドッドッドッ
学P「佑芽さん超好き、付き合いたい。好き好き」ボソボソ
佑芽(あ、あわわわわわわ)
学P「佑芽さんマジ天使。結婚して。好き好き」ボソボソ
佑芽「ちょ、ちょっともうダメです!!!」ガバッ
学P「うおっ、びっくりした。起きてたんですか」
佑芽「起きてたんですかじゃないですよ! さっきから何を言ってるんですか!」
学P「聞かれてしまった以上白状しますが……あれは俺の素直な気持ちです」
佑芽「プロデューサーさんの……?」 - 444本目25/11/15(土) 23:45:48
学P「はい。俺は佑芽さんのことが大好きなんです。それはもう、結婚したいくらいに」
佑芽「うえええええ!!?」
学P「もうどうせバレてるので全部言ってしまいますが、俺は佑芽さんが寝ているのを見かけると必ず、今日のように耳元で愛を囁き続けていました」
佑芽「ど、どうしてそんなことを」
学P「アイドルとプロデューサーという立場上、この気持ちを表に出すわけにはいかない。しかし、もう自分の一人の中に抑えておくにはこの気持ちは大きくなりすぎてしまったんです。だから、寝ている佑芽さんになら言っても聞こえていないだろうと」
佑芽「そ、そうだったんですね」
学P「それで……」
佑芽「?」
学P「俺の気持ちを聞いたからには、返事をもらいたいのですが……佑芽さんは俺のこと、どう思ってますか」
佑芽「あ、あたしは……。あたしも──」
佑芽「あたしも、プロデューサーさんのこと、大好きですっ!」ダキッ - 454本目25/11/15(土) 23:47:41
学P「う、佑芽さん……」ドキドキ
佑芽「えへへ……。やっと言えました」ギュウ
学P「あ、あの、佑芽さん……? いろいろ当たってるんですが……」
佑芽「しょうがないです。ぎゅーってしたら、当たっちゃうんですから」ギューッ
学P「それはそうですが……」
佑芽「……どきどき、しちゃいますか?」
学P「う、佑芽さん?」
佑芽「プロデューサーさんがイヤじゃなかったら、あたしは……」
学P「……いいんですね。もう、抑えられないかもしれませんよ」
佑芽「……はい」
学P「……佑芽さんっ!」
佑芽「きゃっ……♡」
※規約違反のため削除されました。 - 464本目25/11/15(土) 23:48:53
学P「ぐー……」zZZ
佑芽「プロデューサーさん、す〜き♡」ボソッ
学P「ぐうー……すぅー……」zZZ
佑芽「プロデューサーさんは世界一かっこいい♡ だいすき♡」ボソボソ
千奈「……花海さんはなにをやってらっしゃいますの?」
広「なんか、二人はいつもどっちかが寝てるとき、耳元でしゅきしゅき言い合ってるんだって」
千奈「…………へ、へぇ。か、変わった趣味ですのね……」
広「ふふ。ママになる日も近い、ね」
千奈「しゃ、シャレになりませんわ〜!!?」
おわり。とりあえず今日はここまで。 - 47二次元好きの匿名さん25/11/15(土) 23:59:46
バカップルP佑芽大好き
- 48二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 06:57:03
保守
- 495本目25/11/16(日) 08:37:36
佑芽「あたし、プロデューサーさんにどう思われてるんだろう」
佑芽「美鈴ちゃんや星南先輩に聞いても、妹ーとか、ウメブレイドーなんて答えばっかりだし……」モヤモヤ
佑芽「やっぱり本人に直接聞くしかない!」
佑芽「というわけでプロデューサーさん、あたしのことどう思ってますか!」
学P「……いいんですか。事情を全部話してしまっても」
佑芽「……?」
学P「おそらくあまり聞いてほしくないようなことまで聞いたしまった気がするんですが……」
佑芽「……あー! ち、違うんですぅ〜!」アワアワ
学P「まあよくわかりませんが……俺は佑芽さんのこと、可愛いって思ってますよ」
佑芽「うえぇ!?」
学P「可愛い妹みたいだと」キラン
佑芽「………………ぷ」
学P「ぷ?」
佑芽「プロデューサーさんの……ばかーー!!!ドコオッ」
学P「がふっ……!?」 - 505本目25/11/16(日) 08:39:00
広「つまり佑芽は、プロデューサーさんに女の子として見てもらいたいんだ」
佑芽「……うーん、そうなのかな〜?」
広「えっちな目で見てもらいたいんだ」
佑芽「そ、そこまでは言ってないよっ!!」
広「じゃあ、そういう目では見てほしくないの?」
佑芽「う、うーん……?」
広「プロデューサーに抱きしめてもらったり、キスをしてもらったり、その先も……佑芽はしたくない?」
佑芽「そ、それは……」
広「それも全部、男の人にえっちな目で見てもらえないとできないんだよ」 - 515本目25/11/16(日) 08:40:10
佑芽「そ、そうなのかな。あたし、プロデューサーさんにえっちな目で見てもらいたいのかな」
広「たとえばプロデューサーさんがわたしとキスをしてたり抱きしめあってたらどう思う?」
佑芽「そ、それはだめー!!」グー
広「待って、例えばだから。その拳を下ろして」
佑芽「ああそっか。ごめんごめん、壊しちゃうところだったよ、えへへ」
広(えへへで済まされても)
広「それで、佑芽はどう?」
佑芽「……うん。あたし、プロデューサーさんにえっちな目で見てもらいたい!」
広「ふふ。じゃあ、一緒に方法を考えよう」
佑芽「うん! ありがとう、広ちゃん!」
千奈(……か、会話に入れませんわ〜!!) - 525本目25/11/16(日) 08:41:29
佑芽「でも、具体的にどうすればいいのかな?」
広「簡単だ、よ。佑芽には誰にも負けない武器がある」
佑芽「それってなあに?」
広「……91」
佑芽「うええええ! え、えっちだよ!」
広「えっちなのは当たり前。だってそれが目標なんだから」
佑芽「ううう〜、広ちゃんが厳しい……」
広「だからまずは、それをアピールするのが一番手っ取り早い」
佑芽「そっかぁ〜。でもどうやって?」
広「千奈はどうするのがいいと思う?」
千奈「ここでわたくしに振るんですの!?」 - 535本目25/11/16(日) 08:43:59
千奈「そうですわね……。ろ、露出の激しいお洋服を着る、というのはどうでしょうか?」
広「例えば?」
千奈「そ、それは……具体例はありませんけど」
広「ふ。意見が浅い」
千奈「……さりげなくお身体に触れてみるとか」
広「安直」
千奈「花海さん、離してくださいませ! 一発……一発入れないと気が済みませんわ!」
佑芽「千奈ちゃん落ち着いて〜!」 - 545本目25/11/16(日) 08:46:10
佑芽「うーん、でもそっか。露出の多い服とボディータッチ……。とりあえずやってみるよ!」
千奈「はい! うまく行くことを祈っておりますわ!」
広「佑芽、待って」
佑芽「なあに?」
広「いざというときのために……これを」
佑芽「これは?」
広「ちょっとだけ、素直になれる薬。困ったら飲むといい、よ」
佑芽「わかった! 広ちゃん、千奈ちゃん、ありがとう!」
千奈「グッドラックですわ〜!」
広「がんばれ〜」
千奈「ところで篠澤さん。そんな素敵なお薬、いつのまに用意しておりましたの?」
広「ふふ……素直になる薬っていうのは嘘。本当は結構ガチ目の媚薬。佑芽のプロデューサーがどれだけ鋼の理性だったとしても、佑芽に迫られれば断れるはずはない」
千奈(おいたわしや花海さん……。篠澤さんに頼ったのが運の尽きですわね) - 555本目25/11/16(日) 08:47:17
佑芽「うぅーん。でも露出の激しい服なんて、あたし持ってないなぁ」ガサゴソ
佑芽「衣装の水着ならあるけど……でもいきなり水着で行ったらヘンな子だって思われそう……」
佑芽「せっかくだし温泉水着にしようかな?」キガエ
佑芽「……やっぱり恥ずかしい。パーカーは羽織っていこう」
佑芽「あとはこの素直になれる薬を持って──んん? もしかして……」
佑芽「この薬、プロデューサーさんに飲ませたらいいんじゃ……?」
佑芽「あ、あたしって天才かも……!」 - 565本目25/11/16(日) 08:48:39
学P「……マズい。本当にマズい」
学P「最近、佑芽さんのことが頭から離れない……」
学P「なんだよあれ、マジで可愛すぎんだろ……デカいし」
学P「犬みたいに懐いてくるし、褒めたら尻尾振ってるのが見えるくらい喜ぶし、デカいし」
学P「デカいし、それにデカいし……辛抱たまらんて」
学P「……もうね、ぶっちゃけ好き。付き合いたい。付き合いたいし結婚したい。好き過ぎてヤバい」
学P「こうして誰もいない事務所で吐き出さないと溢れてしまいそうなくらいにはヤバい」
学P「……ん、佑芽さんのにおいがしてきた。もう直ぐ来るな」
学P「佑芽さんといるうちに、俺まで鼻が利くようになってしまったよ。佑芽さん限定だけど」
佑芽「おはようございます!」ガラガラ
学P「佑芽さん、おはようござ──!!!?」 - 575本目25/11/16(日) 08:49:41
学P「な……な……な……、なんですかその格好は……!!」
佑芽「え、えへへ。どーですか?」
学P「どうですかって……。一体なんのつもりですか」
佑芽「え、えーとですね……」
佑芽(うう〜、何も考えてなかったよ〜。こうなったら、素直になる薬を飲ませて、ストレートに聞いちゃおう)
佑芽「とりあえず、栄養ドリンクを持ってきたので、飲んでくださいっ」
学P「は、はあ。いただきます」グビグビ
佑芽「……」ドキドキ
学P「それで、一体なんだってそんな──うっ!?」ドクンッ
学P(なんだこれは……? 体が……体が熱い……!) - 585本目25/11/16(日) 08:51:36
学P(ヤバい……衝動が抑えられない……ぐうぅ……佑芽さんっ……!)
佑芽(よーし、聞くぞ……!!)
学P(も、もう無理だ……!!)ガバッ
佑芽「ぷ、プロデューサーさんっ! えとですね……あ、あたしのこと、女の子として──きゃ!?」
学P「佑芽さん、すみません……!」
佑芽「プロデューサーさん!? どうしちゃったんですか!?」ドッキンドッキン
学P「佑芽さんにもらったドリンクを飲んだら自分が抑えられなくなってしまって……佑芽さんが……佑芽さんが欲しいんです!」
佑芽「うええええ!!?」 - 595本目25/11/16(日) 08:52:57
佑芽「そ、そそそそ、それって……」
学P「俺はプロデューサー失格です。担当アイドルを本気で好きになってしまい、更に劣情まで抱いてしまうだなんて」
佑芽「す、好き!!??」
学P「……はい。ずっと隠していましたが、俺は佑芽さんのことを愛しているんです。一人の女性として……!」
佑芽「で、でもでも! プロデューサーさんはあたしのこと、妹みたいに思ってるって……」
学P「……佑芽さん」
佑芽「は、はいっ」
学P「俺は────妹萌えなんです」
佑芽「そ、そうだったのかぁ……!!」ガーン - 605本目25/11/16(日) 08:56:03
学P「佑芽さん……もしあなたがこんな俺を受け入れてくれるのなら……どうか、俺のモノになってくれませんか?」
佑芽「ぷ、プロデューサーさん……」ドキドキ
学P「佑芽さん……」
佑芽「あ、あたしも、プロデューサーさんのこと……」
学P「じゃ、じゃあ……」
佑芽「はい……。あたしの全部、受け取ってくださいっ!」チュッ
学P「んっ──ぷはぁっ」
佑芽「えへへ……。キス、しちゃいましたっ」
学P「いいんですね? 俺、もう止められませんよ」
佑芽「はい。初めてがプロデューサーさんなら、あたしは幸せです」
学P「──っ! 佑芽さん!」ガバッ
佑芽「きゃっ、そこはっ……!」
※検閲により削除されました - 615本目25/11/16(日) 08:57:54
広「千奈、千奈」
千奈「なんですの?」
広「た、たすけて」
千奈「うーん、こればっかりは篠澤さんの自業自得ですわ」
佑芽「広ちゃーん! まだ話は終わってないよ!」
学P「そうですよ篠澤さん! 俺たち篠澤さんには本当に感謝しているんですから! この気持ちを受け取ってください!」
広「ひっ!」
学P「昨日の佑芽さんは最高に可愛くてですね! なんと俺の飲みかけのコーヒーを〜」
佑芽「Pさんがね! Pさんがあたしの脱ぎたての〜」
広「も、もう勘弁して、謝るから……」バタン
千奈「し、篠澤さーん!!」
おわり。 - 62二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 10:15:09
削除された部分、書いてくれても、えぇんやで?
- 63二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 15:42:03
あと5本あんの!?
- 64二次元好きの匿名さん25/11/16(日) 20:18:37
保守
- 656本目25/11/16(日) 21:50:54
佑芽「プロデューサーさんっ」ひょこ
学P「こんちには、佑芽さん」
佑芽「えへへ〜。今日もカッコいいですねっ♡」
学P「なんですかそれ。それよりも佑芽さん、シャツのボタン開いてますよ」
佑芽「あ、あー、ホントダー」むぎゅっ
学P「……まさかその状態でここまできたんですか? わざと?」
佑芽「あはは〜。……ど、どうしたんですか、そんなコワイ顔して」
学P「男子生徒もいるんですよ? 見られたらどうするんですか」壁ドン
佑芽「あっ、あの……プロデューサーさん?」ドキドキ
学P「佑芽さんは俺の(担当アイドル)なんですから、軽率な行動は控えてくださいね」
佑芽「ひゃ、ひゃいっ……ごめんなさい……」ドッキンドッキン - 666本目25/11/16(日) 21:52:29
佑芽「好きだから〜言えないの〜♪」チラッ
佑芽「あなたのこと想う〜その瞬間がhappyだね♪」チラチラ
学P「佑芽さん、ライブお疲れ様です」
佑芽「ありがとうございますっ! どーでしたか? あたしのライブ!」
学P「とても良かったと思いますが……」
佑芽「思いますが?」
学P「曲中に何回も俺の方をチラチラみるのはやめた方がいいと思います」
佑芽「…………うえぇ!? あたしそんなことしてました!?」
学P「無意識だったんですか」
佑芽「は、はい……どーしてでしょう。えへへ(まさか気付かれていたとは……)」
学P「まあ、俺も気がつくと佑芽さんを目で追ってしまうことあるんで、気持ちはわかりますけどね」
佑芽「おそろいですね!」
学P「はい。では、俺は挨拶回り行ってくるので、着替えて待っていてください」
佑芽「はーい! 〜♪」
佑芽「……………………ん?」 - 676本目25/11/16(日) 21:53:29
佑芽「それでサァ! プロデューサーさんがサァ!」
千奈「うふふ。花海さんは本当にプロデューサーの方がお好きなんですね!」
佑芽「うん!」
広「ふふ……もしかして、恋愛的な意味で?」
佑芽「うん!!」
千奈「ふ、ふわぁぁぁ〜! ドキドキしてきましたわ〜!」
広「プロデューサーも佑芽のこと好き?」
学P「はい」
佑芽「!!!!!!!?????」
千奈「いいい、いつの間にいらっしゃいましたの!?」
学P「それでサァ! の辺りから」
広「え、二人ともわかってて喋ってるのかと思った」
佑芽「盗み聞きなんて、え……えっちですよ!!!!」
学P「ええ……」 - 686本目25/11/16(日) 21:54:43
佑芽「プロデューサーさんっ」ギュッ
学P「うわ、なんですか急に」
佑芽「えへへ〜、プロデューサーさぁん♡」ムギュッ
学P「佑芽さん、いろいろ当たってます。控えてください」
佑芽「あ、当ててるんですよっ! ……ドキドキしますか?」
学P「……はぁ。佑芽さん」顎クイ
佑芽「ひゃ、ひゃいっ……」キュンキュン
学P「自分の言ったことの意味分かってます? 本当にいいんなら遠慮なくいただきますけど」
佑芽「…………ご、ごめんなさい」ドッキンドッキン
学P「気をつけてくださいね」
夜
佑芽(……う、頷いておけばよかった……!) - 696本目25/11/16(日) 21:56:30
男子「〜」ペチャクチャ
佑芽「〜」ペチャクチャ
学P(……佑芽さんと、アイツはプロデューサー科の……。消すか?)
学P(いや、一応佑芽さんに事情くらいは聞いておこう)
学P「というわけで、一体何を話していたんですか? 回答次第ではこの学園の生徒数が一人減ります」
佑芽「うええ!? プロデューサーさん、どーしちゃったんですか!?」
学P「それはこっちのセリフです。なぜ俺の許可なく男子生徒と会話していたんですか」
佑芽「だ、だって話しかけられたので……」
学P「なんて話しかけられたんですか?」
佑芽「ただの世間話ですよぅ……。天気がいいですねって」 - 706本目25/11/16(日) 21:57:49
学P「ハァ〜(クソデカ溜め息)。いいですか佑芽さん。男子が女子に世間話を振るのは、あわよくばナンパしようとしているからなんです」
佑芽「ええ!? そうなんですか!?」
学P「そうですよ。とりあえず会話のきっかけをつかんで、そこからなんとか繋がりを持とうとするんです」
佑芽「な、なるほど」
学P「男なんてみんな下心ありきなんですから、気をつけてくださいね」
佑芽「わ、わかりました」
学P「では今日は手を繋いで帰りましょうか」
佑芽「はいっ! ……はい?」
学P「さ、いきますよ」ぎゅっ
佑芽「え、あの、プロデューサーさん!?」 - 716本目25/11/16(日) 21:59:31
佑芽「てことがあったんだー」
千奈「ふわぁ〜殿方の嫉妬……なんだか聞いてるだけできゅんきゅんしてしまいますわ〜!」
広「ふふ……。佑芽、愛されてるね」
佑芽「え、えへへ〜、そうかな?」
千奈「間違いなく! すごーく愛されていますわ!」
佑芽「でもさ、ちょっと男の人と話してただけで怒るなんて、いくらなんでも気にしすぎだと思うんだー」
広「例えば佑芽のプロデューサーが、わたしや千奈と二人で楽しそうにお話ししてたらどうする?」
佑芽「うーん……。アイドル科の生徒が減る……?」
千奈「ひ、ひぃああぁぁあ〜……」
広「ち、近づかないでおくね……」 - 726本目25/11/16(日) 22:00:32
学P「佑芽さん、こんなところにいたんですか」
佑芽「あ、プロデューサーさん、お疲れ様ですっ!」
学P「はい、お疲れ様です。篠澤さんと倉本さんも、こんにちは」
千奈「ご、ごきげんようですわ〜」
広「こんにちは。あ、用事思い出したからもう行くね、ばいばい」ソソクサ
千奈「わ、わたくしも〜」ソソクサ
佑芽「うん、ばいばーい!」
学P「……? なんか俺避けられてました?」
佑芽「えー、そんなことないと思います!」
学P「それならいいんですが……。ああそうだ、佑芽さん」
佑芽「はい?」
学P「今日は変な男に話しかけられてないですか?」 - 736本目25/11/16(日) 22:02:47
佑芽「大丈夫ですけど、プロデューサーさん!」
学P「はい」
佑芽「そうやってすぐヤキモチ焼いたらダメなんですよ! そんなんで、もしあたしに恋人ができたらどうするんですか?」
学P「……………………できたんですか?」
佑芽「え? あ、いえ、例えばの話で」
学P「…………ならいいですが、佑芽さんはアイドルなんですから、くれぐれもそういった異性間の問題は気をつけてくださいね」
佑芽「わ、わかってます!」
学P「それなら安心しました。俺以外の恋人なんてもってのほかですからね」
佑芽「うー、でもそれじゃああたしいつまで経っても素敵なボーイフレンドができないじゃないです……か?」
佑芽「ぷ、プロデューサーさん?」
学P「はい?」
佑芽「い、今なんて……」 - 746本目25/11/16(日) 22:07:24
学P「それなら安心しました」
佑芽「そのあとです!」
学P「もってのほかですからね」
佑芽「そのちょっと前」
学P「俺以外の恋人なんて」
佑芽「そ、それです! それ! どーいう意味ですか!?」
学P「どういうもなにも、佑芽さんは俺以外と付き合っちゃダメですよっていう、そのまんまの意味です」
佑芽「…………うえええええ!!!?」
学P「声大きいです。大型トラックのクラクションじゃないんですから」
佑芽「て、てことはつまり、あたしがお付き合いしたい相手がプロデューサーさんだったとしたら……?」
学P「晴れて両想いカップルの出来上がりですね」
佑芽「…………ぷ、プロデューサーさん!」
学P「はい」
佑芽「好きです!!!」 - 756本目25/11/16(日) 22:12:57
学P「はい」
佑芽「お、お付き合いしてください!!!!」
学P「はい、もちろんです」
佑芽「……や、やったあああ!!!!」
学P「しかしくれぐれも周りにはバレないようにですよ」
佑芽「わかってまーす! 明日早速千奈ちゃんと広ちゃんに報告しなきゃ!」
学P(わかってねえ) - 766本目25/11/16(日) 22:14:35
学P「佑芽さん」
佑芽「はい、なんですか?」
学P「今朝、またプロデューサー科の男に声をかけられていましたね?」
佑芽「だってあまりにしつこいから……」
学P「ハァ、佑芽さんは全然わかってないですね。いいですか、佑芽さんは世界一可愛くて最高の肉体なんですから、迂闊に男に近づいたら何されるかわかんないんですよ」
佑芽「そんなこと言ったらプロデューサーさんだって! お姉ちゃんと会ってましたよね! においでわかるんですよ!!」
学P「佑芽さんのプロデューサー方針で少し話していただけですよ!」
佑芽「関係ありません! プロデューサーさんは世界一カッコいいんですから、女の子はみんな狙ってるんですからね!!」
学P「いやいや、流石にそれはないです」
佑芽「言い訳無用です! 罰としては次のお休みは一日お家デートですからね!」
学P「しかたありません、甘んじて受け入れましょう」
佑芽「えへへ〜、ならよし!」
広(あのやりとりを廊下の真ん中でするとは……)
千奈(か、隠す気ゼロですわ〜)
終わり - 777本目25/11/16(日) 22:41:39
学P「はいはい」
佑芽「今日もかっこいいですねっ」
学P「はいはい」
佑芽「それでなんですけど〜」
学P「はいはい」
佑芽「あたしのモノに……なってく〜ださいっ」
学P「はいはい」
佑芽「えへへ、なーんて冗談……え?」
学P「その代わり、佑芽さんも俺のモノになってくださいね」
佑芽「!!!!???」 - 787本目25/11/16(日) 22:43:03
佑芽「プロデューサーさ〜ん♪」
学P「はいはい」
佑芽「今日はいい天気ですね〜?」
学P「はいはい」
佑芽「なので……どこか一緒にお出かけしませんかっ?」
学P「はいはい」
佑芽「えへへ、なーんて冗談……え?」
学P「では行きましょうか」
佑芽「はいっ」 - 797本目25/11/16(日) 22:44:08
佑芽「プロデューサーさ〜ん♪」
学P「はいはい」
佑芽「二人でお出かけ、楽しいですねっ」
学P「はいはい」
佑芽「それで、その……。せっかくなので、手、繋ぎませんか……?」
学P「はいはい」
佑芽「えへへ、なーんて冗談……え?」
学P「ほら、右手出してください」ぎゅっ
佑芽「!!!?」
佑芽「……♪」 - 807本目25/11/16(日) 22:45:30
佑芽「プロデューサーさ〜ん♪」
学P「はいはい」
佑芽「今日はなんだか肌寒いですね?」
学P「はいはい」
佑芽「それで……プロデューサーさんに、あたためてもらえたらなー、なんて……」
学P「はいはい」
佑芽「えへへ、なーんて冗談……え?」
学P「届かないので、もっとそばに来てください」ぎゅっ
佑芽「!!!?」
佑芽「…………♡」 - 817本目25/11/16(日) 22:46:45
佑芽「プロデューサーさ〜ん♪」
学P「はいはい」
佑芽「あの……お、お話があるですけど……聞いてくれますか?」
学P「はいはい」
佑芽「え、えと、その……す、好きですっ! お付き合いしてくださいっ!」
学P「はいはい」
佑芽「や、やっぱりダメですよね……え?」
学P「俺も同じ気持ちです。よろこんで」ぎゅっ
佑芽「!!!!」
佑芽「…………♪」 - 827本目25/11/16(日) 22:48:04
佑芽「プロデューサーさ〜ん♪」
学P「はいはい」
佑芽「あたしたち、もう付き合って結構経ちますよね?」
学P「はいはい」
佑芽「そろそろ次のステップに進んでもいいんじゃないかなーって思うんです」
学P「はいはい」
佑芽「そっ……それでですねっ。…………ちゅ、ちゅーなんて……したいなって」
学P「はいはい」
佑芽「えへへ、なーんて冗談……え?」
学P「ほら、目をつぶってください──」ちゅ
佑芽「!!!」
佑芽「………………♡」
終わり。 - 838本目25/11/17(月) 00:12:50
佑芽「人気女優が共演者と公園でキス……。えっちだ……」雑誌ペラペラ
学P「有名になればなるほど、そういったニュースは影響が大きくなります。佑芽さんも週刊誌には気をつけてくださいね」
佑芽「わかってます! ……ところで、プロデューサーさんは女の子キスとかしたことあるんですか?」
学P「……黙秘します」
佑芽「てことはないんですね? ぷぷー! プロデューサーさん大学生なのにファーストキスもまだなんて、恥ずかしいですよぉ。ぷぷぷ」
学P「……」
佑芽「よければあたしがしてあげましょうか?」
学P「……」ピク
佑芽「あ! 今反応しましたね? 期待しちゃったんですか? ざんねーん、冗談で──んぷ!?」
学P「💢」
佑芽「んちゅ……ちゅる……んっ……!?」
学P「──ぷは。さて、レッスン行きますよ」スタスタ
佑芽「????????」ドキドキ - 848本目25/11/17(月) 00:15:09
佑芽「プロデューサーさ〜ん」
学P「はい」
佑芽「プロデューサーさんのその髪型、ちょっと変じゃないですかぁ?」
学P「そうでしょうか、自分ではあまり意識してないのでわかりませんが」
佑芽「あー! 自分の見た目に気を遣えないなんて、ダメ人間ですよ!」
学P「む。そこまで言われては黙っておけませんね。ちょっと待っててください」
佑芽「今更なにやっても無駄だと思いますけどね!」
5分後くらい
学P「どうですか」サワヤカ
佑芽「!!!!!!???」ドッキーン
学P「いやあ、前髪上げるだけでも印象変わるものですね。変じゃないですか? どうです、佑芽さ……佑芽さん?」
佑芽「…………は、はい! なんですか!」
学P「いや、この髪型変じゃないですか」
佑芽「い、いいと思います! じゃああたし急いでるので!」スタコラ
学P「?」 - 858本目25/11/17(月) 00:16:27
佑芽「プロデューサーさぁん」
学P「はい」
佑芽「プロデューサーさんって、あたし以外の女の子とお話することあるんですか? 見たことないですけど」
学P「まあ基本しませんね」
佑芽「えー、大人なのに女の子とおしゃべりできないなんて、ダサダサすぎてやばいですよ!」
学P「まあ、そもそも佑芽さん以外の女性と話す必要もないですしね」
佑芽「!!!!!!???」ドッキーン
学P「? どうしました」
佑芽「なななな、なんでもないです! あたし用事あるのでもう行きますね!」スタコラ
学P「……?」 - 868本目25/11/17(月) 00:19:23
佑芽「プロデューサーさんて、女の子と手を繋いだこととかなさそうですよね」
学P「まあ実際ないですし」
佑芽「ぷぷ。恥ずかしいですね。女の子と手も繋げないなんて、ざあこ、ざあこ♡」
学P「む。言い過ぎですよ」
佑芽「ご、ごめ──じゃなくて、じゃああたしの手、握れますかぁ? できたら撤回してあげますよぉ??」
学P「わかりました」ギュッ
佑芽「!!!!!!???」ドッキーン
学P「どうですか。俺だってこれくらいできるんですよ」
佑芽「え、ええええ、え……」
学P「?」
佑芽「えっちすぎますう〜〜!!!!」スタスタ
学P「ええ……」 - 878本目25/11/17(月) 00:20:40
佑芽「プロデューサーさんって、彼女とかいたことあるんですかぁ?」
学P「ありませんけど、それがどうかしましたか?」
佑芽「えー! その年で彼女いない歴=年齢はヤバすぎですよぅ。ざこざこですね♡」
学P(佑芽さんの変な遊びも、どんどんエスカレートしてきたな。怒ったフリでもして、お灸を据えてやらねば)
佑芽「かわいそうなので、あたしが付き合ってあげましょーか? なーんて、嘘ですよ! ぷぷぷ、本気にしちゃいましたかー?」クスクス
学P「…………いい加減にしてください」壁ドン - 888本目25/11/17(月) 00:22:50
佑芽「あ、あああああの、プロデューサーさん?」ドキドキ
学P「あまり大人を揶揄うものじゃないです。でないと……本当に俺の彼女になってもらいますよ?」
佑芽「!!!!!!????」ドッキーン
学P「何に影響されたのかはわかりませんが、あまり度を過ぎては──」
佑芽「……は、はい。なりましゅ……」ドキドキ
学P「──え?」
佑芽「す、すきですっ……」
学P「あれ?」
佑芽「プロデューサーさん、すき、すきい……♡」ダキッ
学P「?????」 - 898本目25/11/17(月) 00:23:55
佑芽「えへへへへ、プロデューサーさん♡ すきすき♡」ギュー
学P「あ、あの……くっつきすぎです」
佑芽「えへへぇ、ぜったい離しませんよっ♡」ギュウ
学P「……」
佑芽「プロデューサーさん、プロデューサーさん♡♡♡」スリスリ
学P(どうしてこうなった)
広「おめでとう佑芽。やっぱりわたしの見立て通り、男を落とすにはメスガキ属性が一番」
千奈「いろいろと間違ってますわー!!」
おわり。 - 909本目25/11/17(月) 00:25:04
学P「あの、佑芽さん」
佑芽「ふーんだ」プイッ
学P「そろそろ機嫌直してください」
佑芽「知りませんっ」ソッポ
学P「すみません、まさかそこまで怒るとは……」
佑芽「当たり前じゃないですか! おはようのちゅーを忘れるなんて、ぜっっったい許せません!!!」
学P「申しわけない……」 - 919本目25/11/17(月) 00:26:49
学P「どうしたら許してもらえますか?」
佑芽「何をしたって許しません!」
学P「そ、そんな」
佑芽「罰として今日はぎゅうしませんからね! 反省してください!」
学P「ひどすぎます! 俺はあれがないと正気を保っていられないんですよ!」
佑芽「知りません! 我慢してください!」
学P「ぐ……わかりました」 - 929本目25/11/17(月) 00:27:55
一時間後
佑芽「…………」チラ
学P「……」カタカタ
佑芽「……」ソソソ
学P「……」カタカタ
佑芽「……」ギュ
学P「! 佑芽さん、今日はしないんじゃ」
佑芽「は、反省してるみたいなので、特別です」ギュウ
学P「……すみません。今後は絶対忘れませんから」
佑芽「じゃあ、許してあげますっ」ギュウ - 939本目25/11/17(月) 00:29:07
学P「佑芽さん、そんなに怒らないでください」
佑芽「今日という今日は許しません!」
学P「そ、そんな」
佑芽「廊下ですれ違うときは絶対ぎゅーってする約束なのに、どうしてさっきしてくれなかったんですか!」
学P「あのときは友人が一緒だったので……」
佑芽「関係ないです! あたしとお友達、どっちが大事なんですか!」
学P「佑芽さんに決まってるじゃないですか!」
佑芽「!!!」
学P「俺が間違ってました。友人の前だからとカッコつけてました、すみません。今後は誰と一緒であろうと最優先で抱きしめに行きます」ダキッ
佑芽「わ、わかればいいんですよ……えへへ」 - 949本目25/11/17(月) 00:30:19
佑芽「もういい加減、我慢の限界ですよ!!」
学P「す、すみません」
佑芽「どうしてあたしが怒っているのか、わかってるんですか!」
学P「は、はい」
佑芽「じゃあ答えてみてください!」
学P「可愛いって言わなかったからです……」
佑芽「わかってるならどうして言ってくれないんですか! レッスンの前には必ず言うって、プロデューサーさんから約束したことですよ!」
学P「本当に申し訳ない。ですが……」
佑芽「なんですか!」
学P「怒ってる佑芽さんも……すごく可愛いですよ」
佑芽「…………だ、騙されませんよ!」
佑芽「…………」ギュ
学P「……すみません」ナデナデ
佑芽「………………」ギュ- - 959本目25/11/17(月) 00:31:43
佑芽「何回! 言えば! わかるんですか!」
学P「佑芽さん落ち着いてください! この通りです!」フカブカ
佑芽「落ち着いてられないです! もうお昼ですよ! お昼休みまでに、好きって何回言う約束でしたっけ!?」
学P「十回です……」
佑芽「今日何回言いましたか!」
学P「か、数えてないです……」
佑芽「六回ですよ六回! 四回も足りてません!!!」
学P「すみません、今朝は立て込んでいて……。どうしたら許してもらえますか?」
佑芽「そんなのは自分で考えてください!!」プイッ
学P「……わかりました。では、俺が四回分の"好き"を込めた、渾身の"好き"を言って見せます」
佑芽「ふ、ふん! 受け付けません! ……チラッ」ソワソワ - 969本目25/11/17(月) 00:32:48
学P「いいえ受けてもらいます。いきますよ──佑芽さん!」ダキッ
佑芽「!!!?」ドキッ
学P「んちゅ!」チュ
佑芽「!!!!!???」キュン
学P「…………好きです(耳元)」ボソッ
佑芽「!!!!!!!???????」ズキューン
学P「どうでしょう、これで許してもらえましたか……って、佑芽さん?」
佑芽「えへ、えへ、えへへ……あたしも好きです……てへへへへ」ガバッ
学P「え、ちょ、力強っ……!?」ジタバタ
佑芽「えへ、えへ、すき、すきぃ……」ジュルリ
学P「ちょ、待って……きゃ、きゃあああああああ!!!!!!???」 - 979本目25/11/17(月) 00:34:38
つぎのひ。
佑芽「お、おはよう」ガララッ
広「佑芽、おはよう」
千奈「花海さん、ごきげんよう」
学P「では佑芽さん、俺は自分の教室に行きますので」
佑芽「は、はい。またあとで」
学P「ええ、また。……おっと、忘れてました──ちゅっ」
ひろちな「!!!!????」
佑芽「ぷ、プロデューサーさん、みんなの前ですよ」
学P「すみません、俺の大好きな佑芽さんが可愛すぎるのでつい」
佑芽「も、もう……ばか」
学P「じゃあ、またお昼に」
佑芽「はい、頑張ってくださいねっ」
広(これは完全に……)
千奈(やることやってますわ〜!!!)
終わり。 - 9810本目25/11/17(月) 00:36:15
キュッ、キュッ、キュッ。
おろしたてのシューズが、綺麗にワックス掛けされたフローリングの床で小気味良い音を立てる。
あたしは今プロデューサーさんに監督してもらいながらダンスレッスンを行っていて、それももう少しで二時間が経とうとしていた。
「よし、今日のレッスンおーわり!」
最後に納得のいくステップを踏めたことに満足して、自主レッスンを切り上げると近くであたしの様子を撮影していたプロデューサーさんがスポーツドリンクとタオルを片手にやってきて、それをあたしに手渡した。
「佑芽さん、お疲れ様でした」
「プロデューサーさん! ありがとうございます!」
「日に日に上達していっていますね」
「えへへー、ありがとうございますっ」
受け取りながらスポーツドリンクをあおり、タオルで顔の汗で拭く。プロデューサーさんはもう一つのタオルで、自分の顔を拭いていた。こうも暑い日が続くと、レッスン室で立っているだけでもこもった熱気で汗をかくらしい。 - 9910本目25/11/17(月) 00:40:12
「さあ、着替えて帰りましょうか」
プロデューサーさんがいつも通りの優しい笑顔でそう言った。
けれどあたしは首を振る。
「えっと、先にシャワー浴びてきますっ」
「わかりました。じゃあ、待ってますね」
「は、はい。すみません!」
ペコリと頭を下げて、着替えの入ったバッグを持ってシャワー室に駆け込んだ。
最近のあたしは少しヘンだ。
プロデューサーさんといると気持ちがふわふわするし、なんだか顔を見るのが少し恥ずかしいし、けれど胸がぽかぽかして……まるで自分じゃないみたい。
今だってそうだ。もともとダンスレッスンくらいじゃ汗をほとんどかかないから、今まではシャワーも軽く体を流す程度だったけど、最近は……なるべく念入りに、石鹸で全身を洗うようにしている。
プロデューサーさんに汗臭いなとか、汚いなって思われたくないような気がして……。
……どうしてなんだろう? - 10010本目25/11/17(月) 00:43:36
「それは恋ね!」
「うええ!? こ、恋!?」
「ええ、間違いないわ! 佑芽はそのプロデューサーに、恋をしているのよ!」
オフの日にお姉ちゃんに相談してみると、返ってきたのはそんな答えだった。
恋。漫画で何回も読んだことがある、耳馴染みのある言葉だ。
確かにあたしは、間違いなくプロデューサーさんのことが好き、大好きだ。
でも、お姉ちゃんのことも大好きだし、広ちゃんや千奈ちゃんや美鈴ちゃんのことも大好きだし、お母さんとお父さんも大好きだし、ダンストレーナーさんだって大好きだし……。
それぞれ好きの種類が違うのはなんとなくわかる。家族の好きと、友達の好きと、尊敬の好き。プロデューサーさんに対する好きは、尊敬じゃなくて、恋愛の好き、なのかな?
あたしが考え込んでいると、お姉ちゃんが「仕方ないわね」と小さく息を吐いた。 - 10110本目25/11/17(月) 00:47:18
「佑芽。今からお姉ちゃんがとーってもわかりやすい例え話をしてあげるから、よく聞きなさい」
「例え話? わかった」
あたしが返事すると、お姉ちゃんは頷いて、それから身振りを交えて話し始めた。
「もしわたしが、佑芽のプロデューサーと二人きりで仲良くお話をしているところを見かけたら、佑芽はどんな気持ちになるかしら?」
「えー? 想像できないよ」
「いいから。考えてみて」
「うーん……」
言われた通り、頭の中でその場面を想像してみる。
あたしがプロデューサーさんを呼びにいったら、プロデューサーさんはお姉ちゃんと二人で楽しそうにお話をしていて、二人ともとっても笑顔で……。
──あ。
「さすがプロデューサーさん、あたしのお姉ちゃんの魅力に気付いたか! って、嬉しくなる!」
「……まったくこの子は」
「ええ!? どうして呆れるの!?」 - 10210本目25/11/17(月) 00:48:31
我ながら納得のいく答えが出たと思ったのに、お姉ちゃんは褒めてくれるどころか一層深いため息をついて、ふるふると頭まで振っている。
ええー? あたしそんな間違えたこと言ったかなぁあ?
「本当にそれだけ? もっとよーく考えてみなさい」
「え〜? うーん、もっとよーく……」
お姉ちゃんとプロデューサーさんが仲良しなのは、すっごく嬉しいことで間違いないはず。
だってそれはお姉ちゃんがプロデューサーさんを認めてくれたってことで、プロデューサーさんもお姉ちゃんを認めてくれていて、それで……。
──ズキッ。
……あれ? 少しだけ、胸がちくってしたような……?
「あのねお姉ちゃん。全然変な意味じゃないんだけどね」
「言ってみなさい」
「うんと、自分でも不思議なんだけど……プロデューサーさんとお姉ちゃんが仲良しになりすぎるのは、なんだかちょっとだけ、イヤかも」
「ふふっ」
「な、なんで笑うのさ!」 - 10310本目25/11/17(月) 00:52:39
お姉ちゃんはケラケラと可笑しそうに笑って、目には涙まで浮かんでいる。そ、そんなに笑うことないじゃん!
「あーはっはっはっ! 佑芽。それが、その感情こそがまさに"恋"なのよ!」
「えー? でも、漫画には恋は幸せな気持ちって書いてあったよ? あたしの今の気持ちは、ちょっとだけちくちくして、痛いけど」
「それは嫉妬してるからよ。恋している女の子特有の感情なの」
「シット? あたしが、お姉ちゃんに?」
「想像だけで嫉妬しちゃうなんて、よっぽどよ。並大抵の恋心じゃ無いわね」
お姉ちゃんはまるでハムスターの成長を見守るような優しい笑顔で、あたしの頭をそっと撫でた。あたしの方が身長が高いから、腕を目一杯伸ばして。
「女の子が誰か特定の男の子に対して、"他の人に取られたくない"って思ったなら、それは恋なのよ」
お姉ちゃんはそう言って、「どう?」と聞いてくる。
あたしはもう一度自分の胸の中を手探ってみる。そうしたら、お姉ちゃんの言う"恋"というものが、確かに自分の中にあることを見つけた。 - 10410本目25/11/17(月) 00:54:05
「こ、これが恋なのかぁ……」
「うふふっ。気が付いたならあとは攻めあるのみよ!」
「せ、攻め?」
「そう! 恋なんて早い者勝ちなんだから、うかうかしてたらいつの間にか他の子に取られて、佑芽は一生担当アイドルのまま! 引退したらさようならよ」
「がーん! それはイヤだ!」
「じゃあ特攻しかないわ」
「で、でもどうやって?」
攻めろ、なんて言われても、これが初めての恋のあたしにはどうすればいいのか全然わからない。
でもお姉ちゃんは知っているみたいで、ニヤリと笑って左手を振り上げ──。
「なんのためにこんな大きいのがついているの、よ!」
「ひゃあ!?」
あたしの胸を鷲掴みにした。
「男なんて、"これ"の前にはなす術もなく沈むのよ! それはあのプロデューサーといえども例外じゃないわ!」
「お、お姉ちゃんっ。やめてよぉ〜!」
「なんだかだんだん憎たらしくなってきたわね……。どうして姉妹でこんなに差があるのかしら……」
「あたしの胸を揉みながらぶつぶつ考え事しないでよっ!」 - 10510本目25/11/17(月) 00:55:25
『いい? 作戦はこうよ!』
『は、はい!』
『まずいつも通りプロデューサーに会ったら挨拶をするんだけど、その時普段よりすこーしだけ谷間を開いておくの。そして、さりげなく腕で胸をギュッと寄せながらお辞儀をして──二秒停止! 間違いなくプロデューサーの視線はあなたの谷間に釘付けよ!』
『そ、そんなえっちなことできないよ!』
『できないじゃない、やるのよ! プロデューサーが他の子に取られてもいいの!?』
『い、イヤだ!』
『じゃあ黙ってやる!』
『うぅ〜、わかった!』
「なんて言ったのはいいけど、やっぱり恥ずかしいなあ」
次の日の朝、あたしは言われた通りシャツのボタンをいつもより多く開けて支度をした。
時計を見ると、もうそろそろプロデューサーさんがお迎えに来る時間。
ううー、緊張してきた……。
ブーブーと、スマホが通知音を鳴らした。プロデューサーさんから到着のお知らせだ。 - 10610本目25/11/17(月) 00:56:45
「よーし、いざゆけあたし!」
ペシンと頬を叩いて気合いを入れる。プロデューサーさんを手に入れるためだ、恥ずかしがってなんていられない!
玄関のドアを開け、自分なりの200%スマイルでプロデューサーさんに挨拶をしようとして──。
「お待たせしまし……た……」
「佑芽さんおはようございます。……どうしました?」
固まってしまった。
だって……なぜなら……。
…………か、かっこいい〜〜〜!!!
昨日までもすーっごくかっこよかったけど、今日は一段とかっこいいというか、なんだかキラキラ輝いて見えるよ!
もしかして、これも恋のチカラ……?
「あの、佑芽さん? 顔が真っ赤ですが、具合でも悪いんですか?」
「……っ!」
プロデューサーさんが心配そうにあたしの顔を覗き込む。
そんなに顔を近づけられたら、胸がドキドキ……胸? そういえば、今あたしの胸……はだけてる……!? - 10710本目25/11/17(月) 00:57:54
「〜〜〜〜っ!!!」
「あ、佑芽さん!?」
「すみません、今日は走りたい気分なのでお先に行きます〜〜!!!」
「ちょっと──速っ!」
背中にプロデューサーさんの困惑した声を聞きながら、胸元を抑えて全速力で走る。
うぅ〜、あたし、あんなかっこいい人に谷間を見せようとしてたなんて……恥ずかしすぎるよぅ!
プロデューサーさんにえっちなコだと思われたら、もう生きていけない……。
ということでお姉ちゃん。作戦は失敗だ!!! - 10810本目25/11/17(月) 00:59:40
「佑芽さん、一度休憩にしましょうか」
「は、はい!」
今日は一日、プロデューサーさんの顔をまともにみられていない。恥ずかしすぎて、つい逃げ出しそうになってしまうからだ。
そのせいかダンスレッスンにもいまいち身が入らずにいたので、この小休憩はかなりありがたい。
これ以上心配かけないように、気持ちを切り替えないと!
「今日は朝から少し様子が変ですけど、本当に体調不良ではないですか?」
「大丈夫です! 花海佑芽、今日も元気いっぱいですよー!」
いつも通りプロデューサーさんからタオルとスポーツドリンクを受け取って、できるだけいつも通りに答えてみせる。
プロデューサーさんは「ならよかったです」と微笑みながら自分の汗を拭ったタオルを近くの棚に置くと、鞄から財布を取り出してこちらに振り返った。
「アイスでも買ってきます。佑芽さんはもう少し休んでいてください」
「はい! ありがとうございます」
プロデューサーさんがレッスン室を出ていくのを見届けてから、床に腰を下ろしてスポーツドリンクを一口飲む。
手持ち無沙汰になってなんとなくキョロキョロ辺りを見回すと──ふと、あるものが目に留まった。
「プロデューサーさんの、タオル……」 - 10910本目25/11/17(月) 01:01:42
さっき、プロデューサーさんが汗を拭ったタオルが、棚の上に無造作に置かれている。
別になんてことない、どこにでも売っているような白いタオルだ。
なのになぜか、あたしの視線を惹きつけて離さない。
立ち上がって、そっとそれを持ち上げてみる。
「……」
……いや、いやいや。さすがにそれはダメだよ。そんなことしたら、本当にヘンタイさんだもん。
でも、でも。ちょっとだけ。本当にちょっとだけなら……いい、よね?
ドッドッ、ドッドッ。
心臓がありえないくらい激しく叩かれる。
今あたし、とんでもないことをしようとしてる。でも、もうダメだ。我慢できない。
あたしはゆっくりと、手に持った柔らかいタオルに顔を埋めて──息を吸い込んだ。
「〜〜〜〜っ!!」 - 11010本目25/11/17(月) 01:03:09
くらっと、強い眩暈がした。
頭の中をなにかがぐちゃぐちゃに掻き回すような感覚に襲われて、思わず床にへたりこんだ。
プロデューサーさんのにおいはとっくの昔に完璧に覚えたけど、こんなに濃厚なにおいを嗅いだのは初めてだった。
身体中のあちこちが熱くなって、心臓がうるさいくらい高鳴って、呼吸が苦しくなって──。
タオルに顔を埋めて、何度も深く息を吸った。鼻から思いっきり吸い込んで、少しだけ息を止めて、小さく吐く。
「プロデューサーさん……」
無意識に、大好きな人を呼ぶ声が漏れる。
どこからか汗のようなものが垂れるのを感じて、思わず内ももをぎゅうと締めた。
「ぷろでゅうさぁ……さんっ……」
何度目かの呟きの直後、あたしはとてもイヤな予感を感じて振り返る。
そこには、アイスの入った袋を片手に驚いた顔であたしを見るプロデューサーさんが立っていた。
「佑芽さん……それ、俺のタオルですよね……?」
──ああ、終わった。 - 11110本目25/11/17(月) 01:05:16
「あ、あの、えと……これは違くて……えーとですね」
必死に言い繕おうとしても、全然言葉が出てこない。自分でもわかるくらい声がうわずって、目が泳ぐ。
「佑芽さん……もしかして……」
プロデューサーさんがゆっくりとあたしに近づいてくる。朝みたいに走って逃げ出したいけど、足に力が入らない。
うう、やばいやばい、どうしよう、どうしよう。プロデューサーさんにバレたら、嫌われちゃう……!
「──え?」
と、思っていたのに。プロデューサーさんが見せた反応は、あたしの想像とは全く違ったものだった。
「やはり少し熱っぽいようですね。大事をとって今日は終わりにしましょう。寮まで送ります」
プロデューサーさんはあたしのおでこに手のひらを当てて、心配そうに優しくそう言った。
プロデューサーさんの顔がすぐ近くにあって、プロデューサーさんの柔らかい声が、温かい吐息が感じられて──。
「……好きです」
気がつけば、そんな言葉が溢れていた。 - 11210本目25/11/17(月) 01:06:28
「……え?」
プロデューサーさんがキョトンとした顔であたしを見つめる。本当に何も飲み込めていない顔だ。
プロデューサーさんを驚かせちゃったかな、困らせちゃうかな。
でもダメだ。もう止まらない。
あたしが気づいていなかっただけで、ずっと募らせていたこの想いは、一度あふれてしまえばもう抑えることなんてできない。
「あたし、プロデューサーさんのことが好きです。あたしを見つけてくれたことも、あたしを見捨てないでいてくれたことも、かっこいい顔も、優しい声も、落ち着くにおいも、全部、全部──」
「あ、あの、佑芽さん? 落ち着いてください」
「ごめんなさい、いきなりこんなこと言われても迷惑ですよね。でもあたしももう抑えられないんです」
「ちょ、佑芽さ──」
ドサッ。
そんな音がして、プロデューサーさんが床に寝転がった。あたしはそれに跨るようにして、プロデューサーさんを見下ろしている。あれ、どうしてこんな体勢になっているんだろう? - 11310本目25/11/17(月) 01:09:13
「プロデューサーさん……プロデューサーさんは、あたしのこと、好きですか?」
「……もちろん、好きですよ」
「それはどういう意味ですか? アイドルとして? それとも、あたしとおんなじ──異性として、ですか?」
プロデューサーさんは、一瞬目を逸らして、それから小さく溜息を吐いた。
そして、次にあたしに視線を戻したときには、思わず吸い込まれそうになるくらいに真剣な目をしていて──。
「佑芽さん。よく聞いてください」
「……はい」
「俺は、アイドルとしての佑芽さんが好きです」
「…………はい」
……そっか、あたしフラれて──。
「ですが」
「わわっ!?」
ぐいっと引っ張られるような力が加わって、あたしはプロデューサーさんの上に倒れ込んだ。
ぎゅうっと、プロデューサーさんの腕があたしの背中に回されて、強く抱きしめられている……!?
「あの、えと、プロデューサーさん?」
「それ以上に、花海佑芽という女性を、俺は心から愛しています」
「あ、う、えと」
「佑芽さん。好きです。俺の、恋人になっていただけませんか」
「うぇっ……あの、えっと……あ、あたし!」
うう、やばい、やばい。心臓が破裂しそうなくらい高鳴っていて、自分の声が聞こえない。
でも、あたしの答えは決まってる。あとは間違わないように、それを伝えるだけ。深呼吸して、息を整えて、それから──。 - 11410本目25/11/17(月) 01:10:16
「あたしも、プロデューサーさんの恋人になりたい、です……えと、よろしくおねがい……します」
「はい、こちらこそ」
ばくんばくん。
触れ合った胸から、早鐘を打つ音が聞こえる。これはあたしの? それともプロデューサーさんの?
それすらもわからないほど密着しあったあたしたちの身体で、まだ唯一離れ離れになっている場所。
どちらからともなく、ゆっくりと。その最後の一箇所を結ぼうと、顔を近づけていって──。
「花海さーん? こちらにいらっしゃいますのーって、まあ!!」
「「〜〜〜っ!!?」」
いきなり開け放たれたレッスン室の扉の音と、聞きなれた友達の声に驚いて、飛び跳ねるように起き上がった。