【SS】 会長に抱かれる話

  • 1二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:15:19
    会長にtsされて抱かれたい|あにまん掲示板激しく抱かれたいbbs.animanch.com

    おめ汚し失礼します。

    このスレの>>85に感化されて勝手に書きました。

  • 2二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:15:57

     ドンドン!

    扉を叩く音に意識が浮き上がる。
    薄暗い部屋。空気は泥のように重く淀んで。
    積み重なっている汚れた食器、皺だらけの布の山。
    そして、埃を被ったトレーナーバッジ。

    私は部屋の隅で膝を抱え、虚空を見つめていた。
    髪はべっとりと頭皮にへばりつき、唇はカサカサと音を立てる。
    腹部は時折不気味な音を起こすばかりで、空腹感を訴えることも無くなっていた。

    なんでこんな事になったんだろう。錆びついた頭で回顧する。
    朝起きて女性になってしまった自分を鏡で見た時、昨日までの俺は死んでしまったのだと私は悟った。
    今までと全く違う肉体と思考。過去の俺と現在の私が等号でない事実。
    その実感は私を死んだと思わせるに十分な根拠たり得てしまったから。
    最初の数日は水だけは飲めていたが、今では生きる為の活動は一切辞めてしまった。
    親に、友人に、同僚に、…そして彼女に。
    ここまで変わってしまった私がどうして受け入れられるのだろうか。
    そう思うと、もう何もする気など起きなかったのだ。

  • 3二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:16:26

    騒音の主に少しばかり後ろ髪を引かれ首を回し、扉を見る。
    聞き覚えのある声を伴ったノックは、次第に強さと頻度を増していた。

    「トレーナー君! いるんだろう!? 私だ! ルドルフだ! 開けてくれ!」

    膝の間に頭を埋める。
    彼女にだけは今の私を見せたくはなかったから。
    二人で築き上げた皇帝の軌跡に、泥を塗りたくはなかったから。

    「おい! お願いだ! 返事をしてくれ!」

    呼び声はやがて縋りつくような悲鳴へと変わっていく。
    ルドルフの苦しみが悲しみが、くしゃくしゃになった私の心に突き刺さるようで。
    堪えかねて胸を掻きむしりたい衝動に駆られる。
    彼女は私の唯一無二のパートナーで、…愛バだったのだから。

    「生きているのなら返事をしてくれ! 頼む!」

    彼女の慟哭に応えるように何度も何度も喉の奥からこみ上げた言葉。けれども、それらはカサついた声帯を震わせることはなく、重い胸の内をぐるぐる駆け巡るばかりだった。
    心まで変わってしまった自分が惨めで情けなくて仕方がない。
    いっそ窓から飛び降りてしまおうか。そう考えた時だった。

    「クソッ! 待っていろ! 今行くからな!」

    バギャ!
    けたたましい轟音と共に彼女が転がり込んで来た。

  • 4二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:17:47

     「…誰だお前は」

    底冷えするような声色。
    見ずともわかる、修羅の顔。

    「ここで何をしている」

    皇帝の有無を言わさぬ威圧が数多の矢のように降り注ぎ、私の心臓を貫き通して。無くなったと思われた水気が、雑巾を絞る様に全身から噴き出て水滴を作り出す。命じられている。面を見せろと。

    それでも尚、顔を上げることは出来なかった。今、彼女を見てしまえば全てが終わってしまう気がしたから。

    気味の悪い沈黙。
    ルドルフは何やら思索に耽っているようで、私の前から動かない。数秒か、数分か。どれだけ経っただろうか。
    ゆっくりと彼女は切り出した。恐ろしいくらいに落ち着いた声で。

    「…ある男を探しているんだ。 私のトレーナーなんだが、ここ数日職場に姿を見せなくてね。登録された住所がこの部屋だったものだから訪ねた次第だ。何か知らないかな?」

    口が裂けても言えるはずが無かった。その男が目の前の私であるなんて。

    「黙っていてはわからないよ。そうか! ドアを蹴破ったから怒っているのかい? 軽慮浅謀な行いだった。すまない。早急に弁償すると誓うよ。…だから、何か答えてくれ」

    「…何とか言ったらどうかな? 口と耳がついてないわけじゃないんだろう?」

    丁寧な物言いにも少しずつ苛立ちと焦燥が混ざり始める。
    靴をカツカツとフローリングに打ちつける音。荒くなっていく呼吸音。喉元に短剣を突きつけられるような重圧。

    「わかった。もういい。」

    彼女の苛立ちが全てを焼き尽くす業火へと変わるのにそれほど時間は掛からなかった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:18:18

     むんずと髪を掴まれる。
    遠慮など一切なく力任せに引っ張られた。

    「私のトレーナー君は何処だ。答えろ」

    全身の骨がパキパキと音を立てながら伸ばされる。食事を数日取れていない私の体は彼女の腕力に逆らえるはずもなく、なされるがままに吊り上げられた。
    頭が焼け付くように痛い。強張った筋肉が無理やり引き延ばされ裂けそうになる。
    だが怒りは感じなかった。むしろ喜びさえ感じていた。
    この苦痛は、最後まで彼女に寄り添えなかった私に与えられた罰で、赦しのように思われて。
    しかし、その安寧もすぐに終わりを告げる。

    ルドルフに顔を覗き込まれたのだ。

    瞬間、私の胸に恐怖が溢れ出た。
    歯はガチガチと震えて、なけなしの血の気が完全に失せる。
    彼女を見たくない、自分の顔を見られたくない。
    彼女の口から存在を否定されれば、私の中にある彼女との記憶が一切合切消えてしまうように思えたから。
    とっさに目を閉じようとする。
    これは生きることさえ諦めた私の最後の意地だった。

    …だが、それは叶わなかった。
    ルドルフの瞳。思慮深さと遠大な理想を湛えた眼。それが溢れんばかりの怒気と、深い憂いを突き付けて、
    私の中の「トレーナー」が捉えられてしまったから。

     二人の視線が交差する。
    時が止まってしまったかのような静寂。
    刹那、彼女の瞳の奥に微かな揺らめきが見えた。

  • 6二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:19:29

    「トレーナー君…?」

    …え? 思考が真っ白になる。握られていた彼女の手が開かれたと気付けない程に。支えを失った身体は、糸が切れた操り人形のように床に投げ出された…かと思われた。

    「大丈夫か!? すまないトレーナー君。私はとんでもない勘違いをしていたようだ」

    優しく抱きしめられ、崩れ落ちる体を支えられる。

    「すまない。許してくれ。まさか君だとは思わなかったんだ。大丈夫か? どこか折れてはいないか?」

    その声はあのシンボリルドルフのものだった。業務に追われ、追い込まれていた自分を労ってくれた彼女の声そのものだった。微塵も疑いの無い、純粋な慰撫。
    なぜ?顔も面影もないくらい変わってしまっているはず。私が誰かわかるはずがない。

    「なんで…私だと…?」
    「君は私にとって大切な人なのだから。言っただろう、手放す気は毛頭ないと。それに…」

    ルドルフは私の顎にそっと手を添えて言った。

    「ほら、私を支えてくれた優しさは変わらずここにあるのだから」

    その言葉はすっと私の胸に染みわたり、凍り付いた心を溶かしていくようだった。
    自分自身でさえ諦めていた生きているという実感。自己の存在がここにあるという確証。
    それを他でもないルドルフに、最愛に認められた。
    その事実が私を押さえつけていた重い蓋を取り払ってくれたらしい。
    心に溜まっていた澱が、涙となって溢れ出る。

    「辛かったねトレーナー君。もう大丈夫だ。大丈夫」

    私は彼女の温かな胸の中で子供のように泣き続けた。苦しみや不安を全部吐き出し終わるまで。
    ルドルフはそんな私の背中を優しく、慈しむように撫で続けてくれた。疲れ果てて私が意識を失うまで何度も何度も。

  • 7二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:20:40



    それからというもの、ルドルフはやたらと積極的にアプローチしてくるようになった。
    今も公園のベンチで、私の腰に手を回しぴったりとくっついている最中だ。

    「ふぅ……。今日もいい天気だな、トレーナー君。こんな日は外に出かけるに限る」

    「そうだねルドルフ。でもあまり密着されると……」

    「確かに風紀を乱すという点において、トレーナーと生徒の距離が近すぎる事は問題だ。不純異性交遊になりかねない。だが今の私達は女性同士なんだ、何も問題はないだろう?」

    「そうじゃなくて恥ずかしいの! 知り合いに見られたらどうするの!」

    「つまり人目につかないトレーナー室なら構わないという事かな?」

    「うぅ、もうそういう事でいいよ。はぁ、なんでこうなっちゃったのかな…」

    「ふふ、可愛いな君は」

    さりげない言葉に当てられて、顔が熱く火照る。私、いつの間にこんなチョロくなったんだろう。
    ルドルフはそんな私を見て満足げにニヤリと笑う。
    こんな感じで彼女に振り回される毎日。でも少しも嫌に感じなかった。

    あの後、両親や友人達に事情を説明して回り、トレーナーとして復職も出来た。変化に慣れるのは大変だった。理解をされず辛い思いをした事も一度や二度ではない。それでもここまで来られたのは、ひとえにルドルフが寄り添って支えてくれたお陰に他ならなかった。彼女は何があっても、どんな姿になっても、私を私として見てくれている。
    その彼女の変わらぬ愛情がどれだけ私を救ってくれたかわからない。

    「…ありがと、ルドルフ」

    彼女の肩に頭を預けて言う。ルドルフも応えるように強く私を抱き寄せた。

  • 8元スレ122/05/03(火) 17:22:03

    うーんありがたい

  • 9二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:24:47

    続きを待機シャトル

  • 10二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:26:08

    >>9

    会長。


    それはそれとしてわっふるわっふる

  • 11二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:26:24

    素晴らしい……ありがとう………

  • 12二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:35:32

    このレスは削除されています

  • 13二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 20:50:00

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 20:51:09

    いい‥

  • 15二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 07:17:26

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 19:00:16

    ええやん

  • 17二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 19:12:51

    外出先で書き込んじゃったから証拠は何一つないけどあのスレの85です
    まさか自分の呟き幻覚が完璧な形になるとは思っていませんでいた
    ですが最大限の感謝を伝えます
    ありがとう!

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