妄水｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん25/11/24(月) 12:16:13

夜中にふらりと、貴方の気配が揺らいだ気が致しました……
三年どころか千年の時を越えてなお、拙僧の胸を灼き続けるのは誰の所為でございましょうや？

思えば、あの頃……拙僧らは“何でも出来る気がする”などと、愚かしくも夢想しておったもの。海ではなく、陰陽の渦巻く京の底にて、互いの式神をぶつけ合い、好き勝手に遊んでおりましたなぁ……？

されど見てくだされ……今の儂を。正論だのどの面だの、外道法師だのと陰口を叩かれるこの蘆屋道満を。人を呪い、弄び、殺めようとも、もはや痛痒も感じませぬ。
　――嗚呼、それもこれも“貴様”が置いていった因果の残り香よ。

別段、晴明を求めておるわけではございませぬよ？
　されど、ふと隣に立つ幻影を思い描くたび……脳裏を掠めるのです。
　貴様が纏っていた“あの匂い”――
　ドルチェでもガッバーナでもなく、“驕りと清廉と、忌々しいほどの才能の匂い”が。
すべて……すべてすべてすべてッ！　晴明、お前の残した“かほり”のせいであろうがァッッ！！！

さて晴明……今更、貴様に会って拙僧は何と言えば良いのでしょうな？

『可愛くなった』……？ンフ、その様な上っ面の文言、拙僧が申せるわけがないでしょう。貴様は“可愛い”などという矮小な語で片付く存在ではない。拙僧を千年呪縛した、腹立たしいほどの光そのものなれば。
　
どうしたのか？晴明が煙草めいた物を咥えておるから、でございますか？悲しくなど、あるものですか。変わったのは……そも“貴様”ではなく――儂の方であろう。

しかし晴明……見よ、この拙僧の姿を。空っぽよ。人に嘘を吐こうが、蔑まれようが、涙一滴出ぬ。貴様が残した“光”の残滓に縛られ、喜怒哀楽の形さえ変じた、この羅刹の身を。

別に……求めてはおらぬ、晴明。求めてはおらぬのだが……隣に立つ幻影が見えた瞬間、拙僧の脳裏に蘇るのだ。ドルチェでもガッバーナでもない、貴様の纏っていた“清廉で嫌味な才気のかほり”が。

すべて……すべてすべてすべてッ！　貴様の残した''かほり''のせいであろうがァッ！！
　
実のところ、貴様は魔性とも疑わしき雅な男であった。
たとえ千年の月日を経たとて、儂はフラれてしまうのであろうな…