春坂レクは恋をする【🎲・閲覧注意・オリキャラ】

[1 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:09:33]

ミレニアムに義肢職人を生やしたいと思います。

皆さんは鯖落ちの影響で落ちたスレの続きを書くことを許しました。

ありがとうございます。

落ちた前スレ

ミレニアムに義肢職人を生やしたい【🎲・閲覧注意・オリキャラ】｜あにまん掲示板

[2 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:10:16]

たておつ

[3 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:15:02]

【Character】
春坂レク
学園：ミレニアムサイエンススクール3年生
部活：先進装具研究部
年齢：17歳
身長：144㎝

先進装具研究部の部長。義肢の設計開発を専攻する。
コミュニケーション能力と生活力に難がある。
幼少期に患った大病で免疫系と呼吸器に後遺症があり、声がかすれ気味。
BMIが17を超えたことがない。

[4 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:18:11]

東雲ヒスイ
学園：ミレニアムサイエンススクール2年生
部活：先進装具研究部(自称)
年齢：1６歳
身長：159㎝
先進装具研究部の居候。対人関係に難のあるレクに変わり先進装具研究部の窓口を務める事が多い。
専攻は建築。
青と紫のオッドアイの持ち主。
極度の甘党であり底に砂糖が溶け残るくらいのコーヒーが好き。
BMIは20前後を常にキープ。

[5 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:22:33]

前回のあらすじ

語る程話が動く前に落ちてしまったので前スレを読んでもらった方がはやいです

[7 1 25/11/24(月) 21:41:10]

dice2d100=16 65 (81)

[8 二次元好きの匿名さん 25/11/24(月) 21:58:59]

はい

[9 1 25/11/24(月) 22:02:28]

研究室の扉を開けた私は、面食らう羽目になる。そこに、想定外の光景が広がっていたからだ。

「どこに行ってたんですか、レクさん。モモトークに既読も付けないで……」

こちらの顔を見るなり小言を始めるヒスイの事ではない。というよりこれは寧ろ予期できていたから、缶コーヒーを押し付けて黙らせる。

「随分遅いおかえりね、春坂レクさん」

そして、苛立ちを押し隠しつつチクリと嫌味をさしこんでくるセミナーの会計こと早瀬ユウカの事でもない。この集まりの趣旨は監査であるから、これも当然の帰結である。
では、何が私の意表をついたか。

「先進装具研究部。なるほど、道理で……」

私の顔を見るなり、合点が行ったように頷く大人の女性である。

「紹介します、こちらは……」
「いや、必要ない。先生だろう。連邦捜査部の」

気を利かせて声をかけてくるヒスイを手で制し、私は女性の正体を言い当てる。
連邦生徒会肝入りの特殊機関。その担当顧問。
そう、彼女が誰かということは既知の情報だ。飲み込めないのは、そんな大層な肩書の人間が何故この部室に居るかだ。

[10 1 25/11/24(月) 22:18:15]

そういえばミレニアムの上層部とシャーレの間には特別な縁があるという噂を聞いたことがある。厄介事の解決に幾度か協力を要請しただとか、なんとか。
もしかして、この監査もその一環だろうか。シャーレの強権を利用してまで私を縛り付けたい……とか。
困ったことに、思い当たる節は一つ大きなものがある。

「……」
「……なんだ」

思案を巡らせていると、ヒスイがじっと覗き込んできている事に気づいた。

「……いえ、レクさんも誰かを知っている、ということがあったんですね」
「……」

常々思っていた事だが、この後輩は私の事をあらゆる面で少しずつ舐めている節がある。
まあ、普段の言動を振り返れば仕方のない事ではあるのだが。

[11 1 25/11/24(月) 22:54:05]

「まあ、なんだ」

溜息と一緒に、言葉を押し出す。

「恩人だよ、ある意味ではあるが」

私と先生の関係性を言語化すると、そう表現するのが適切である。
もっとも、私の方からの一方的な見解であるが。ぽかんと呆けた顔をしている先生がその証拠である。
詳しく説明しろと、言いたげな会計とヒスイの視線を背中に感じつつ、私は作業台に向かい椅子を引き出して座る。

「……私は、無理を言ってユウカに同行させてもらっているだけだから。いないものだと思ってくれていいよ」
「……と、そうですね。揃った事ですし本題に入りましょう」

横たわりかけた沈黙を先生が破り、会計がそれに便乗し居住まいを正した。

[12 1 25/11/24(月) 23:59:22]

「春坂レクさん。別途提出していただいた活動記録の方は確認させてもらいました。その上で、数点確認させてもらいます」
「承知した、手早く済ませてもらおうか」

私の言い草に会計の眉間に皺が寄る。ごつ、とヒスイに脇腹を突かれた。

「……まず部員ですが、貴女一名ということで相違ありませんか？」
「ない」
「では、ヒスイとの関係は？随分仲が良いようですが」
「居候だ。ただの」

ごつ、ともう一度小突かれる。いたい。
会計がバインダーをかつかつとペン先で叩く。

「……部活動の人数規定はご存知ですか？」
「知っている。相応の成果を上げれば酌量があることもな」
「……確かに、申し分ない実績です。あんな事があったとは思えませんね」

会計の表情は渋い。まあ、面白くは無いだろう。皮肉の一つも言いたくなる気持ちもわかる。

「では、最後に。何か要望があれば聞きましょう」
「……そうだな」

瞼を閉じる。
そうして、網膜に焼き付いた景色を反芻する。あの地下闘技場の光景を。彼女の鮮烈な戦いを。

「私からの要望を伝える」
言葉にする。私の本命を。ただ一つの望みを。

「美甘ネルを、研究させろ」

[13 二次元好きの匿名さん 25/11/25(火) 07:52:17]

保守

[14 1 25/11/25(火) 11:09:45]

「……何を言ってるんですか？」

困惑がはっきりと滲み出た声で、会計が聞き返してきた。
奇妙な事だ。単純明確な要求だというのに。聞き返されると思っていなかった私の方が戸惑ってしまう。

「そう難解な要望ではないと思うが。美甘ネルを研究させろと言っている」
「待ってください、レクさん。流石に説明がたりません。どういうことですか？」

ヒスイが口をはさんできた。そういえば、この件は彼女にも伝えていなかった。説明が必要な事柄とは思えないが……ヒスイがそう言うなら伝えておこう。

「美甘ネル。メイド部所属の三年生。コールサインはダブルオー。身長は目算だが150cm以下で……」
「レクさん！」
「……ふざけているんですか？」

ヒスイが叫び、会計は苛々と眉間のしわをもみほぐす。

「……？メイド部はセミナーの管轄だろう。筋を通した要求だと思うが」

理解できない。何故、こうもこじれるのだ。イエスかノーで済む問答だろう。それがなぜこうも突っつかれる。ああ、頭が痛い……
その時、これまで口をつぐんでいた人物が声を発した。

「ごめんね、少し口を挟ませてもらうよ」

ヒスイの、会計の、そして私の視線が一斉にそちらを向く。
先生が穏やかに微笑しつつ、小さく挙手をしていた。

[15 二次元好きの匿名さん 25/11/25(火) 19:52:13]

変な人だ

[16 1 25/11/25(火) 20:39:54]

「レク、ユウカはきっと理由が知りたいんじゃないかな」
「……理由？」
「うん、どうして君がネルのことを知りたいと思ったのか、その理由を」

ああ、と。言葉にならなかった息がこぼれる。
噛み合わなかった理由に納得がいく。それと同時に、また失敗をしたのだという理解が、重く、腹の底へ落ちていく。

「そうだよね、ユウカ」
「えっ？……まあ、そうですが……」

水を向けられた会計が、気の抜けた声で答える。冷酷と名高い相手が見せた隙を可笑しく思い……すぐに、後輩の振舞いをあげつらう自分の精神性に、舌を噛みたくなった。

「改めて、話を聞かせてもらえますか？レクさん」

会計が私を真っすぐ見つめる。その圧に耐え切れず、私は目を逸らした。

[17 1 25/11/25(火) 20:45:40]

「見たんだ」
「それは、ネル先輩をですか？」

頷く。

「……見たんだ。たった一度、それも遠くから。なのに、今も忘れられない」

瞼を閉じる。消えない幻想の輪郭をなぞる。

「美しかった。彼女ほど自由に動ける人体を、私は見たことがない」

熱が宿る。骨と皮ばかりの身体の内に、火がともる。

「あの跳躍を生み出す下肢の筋肉を。巧みに銃を操る五指の稼働を。体重以上の荷重を容易く支える上腕の強度を。被弾をものともしない胸郭を。運動量を支える骨格を。神経の伝達速度を。背後からの攻撃すら感知する鋭敏な感覚を。常識を超越した強い肉体を」

……そして、私にはない、強い肉体を。

「私は知りたい。いや、知らなければならない。余すことなく解析し、学びたい。そうすれば、私の作る義肢はより良いものになるだろう」

視線が高い。気づけば、立っていた。

「ああ、そうだ。私は焦がれている。美甘ネルという未知に、心惹かれている」

身体が熱い。自分でも律しきれないほどの熱。17年の生の中で、初めて知る感情。それはきっと、こう形容するべきだろう。

「恋をしているんだ、私は」

すなわち、初恋であると。

[18 1 25/11/25(火) 23:26:54]

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[19 １ 25/11/26(水) 00:25:52]

そう、言い切って……くらりと、立ち眩む。
世界が歪み、視界の中心に向けて狭窄していく。興奮しすぎだ。ごうごうと、血の巡る音が煩い。それに、喉が焼ける。声を出しすぎた。
椅子に手を付いて、倒れ込むように座った。
私の主張を聞いた面々の反応は様々だった。
まず先生は、何かを考えこんでいる様だった。口元に手を宛がい、じっと床を睨んでいる。
ヒスイは……戸惑いながらも、どこか面白がっているように見えた。行動から読み取ったのではなく、なんとなくそんな気がする、程度の直感だが。
何を考えているか一番わかりやすいのは、会計だった。彼女はさらさらとバインダーに何かを書き込み、それから私を見た。

「いまひとつ要領を得ませんが……要するに、研究の進展の為にネル先輩を研究したいと。そういう理解でよろしいですね？」
「……それで、構わない」
「そうですか」

また何かを書き、そして言った。

「結論からお伝えしますが……それは、セミナーの管轄ではありません」
「……何？」
「当然です。研究に際して誰かの協力が必要なら、当人と交渉してください」

有無を言わさぬ口調だった。この結論を一切譲るつもりはないと、言葉にせずとも伝わってくる。

[20 二次元好きの匿名さん 25/11/26(水) 10:06:09]

それはそう

[21 1 25/11/26(水) 12:14:31]

「だいたい、恋だなんて……やっぱり、ふざけているとしか思えません」
「私はいたって真剣だが」
「それが信じられないんです」
「それに個人で交渉しろというが私は彼女の動向を知らん。セミナーに頼るのも仕方がないと思うが？」
「アポイントを取る方法を含めて研究です。第一、エージェントの動向は機密情報です。伝えられるわけないでしょう」

引き下がるわけにはいかない。何としても認めさせなければ。
私は次の言葉を選び……

[22 1 25/11/26(水) 12:46:30]

──
────
「……あの、すみません。先生」

レクとユウカが舌戦を繰り広げる中、ヒスイが先生にそっと耳打ちをした。

「図々しいお願いなのは承知していますが……なんとかしてあげられませんか？」
「レクの頼み、だよね。ヒスイは知らなかったの？」
「はい、初耳です。監査に向けて何か考えているとは思っていましたが……まさか、恋だなんて言いだすなんて」

ヒスイは思わずといった風に小さく笑った。手袋を付けた手をこすり合わせながら、彼女は言葉を続ける。

「春坂の言っていることはただのわがままです。駄々をこねているだけ。この場においては、ユウカさんが一方的に正しいんです。本来、私もいさめるべきなんですが……」

次の言葉を探り、ヒスイは瞬きをして

「ただ……それでも、できる事なら叶えてあげたい。初めてなんです。あの人があんなに我を出すの」

ちょっと妬けちゃいますね、と冗談めかして笑う。
先生は眼鏡を押し上げ、興味深そうに口を開く。

「レクの事、大事に思っているんだね」
「身内びいきと言われればそれまでですが」
「良いことだよ。あとは私に任せて。一つ考えがあるから」

そう言って先生は、一歩前に出た。

[23 二次元好きの匿名さん 25/11/26(水) 21:30:18]

頼もしいね