【閲覧注意・安価SS】看守「尾形百之助？」

このスレの『囚人尾形』の概念をもとにしています。

【閲覧注意】勇作殿が　Part3【囚人尾形】｜あにまん掲示板囚人尾形概念について語るスレです変態ギャグとして語るのもアリですbbs.animanch.com

ここで囚人尾形のパートを書いていました。

兄様が　Part10｜あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/585649/続きだぜbbs.animanch.com

世界観や時代設定はふんわりしています。初の安価スレですので、お手柔らかにお願いします。

あなたは〇〇監獄の看守である。今日はここに入れられてまだ数日の囚人、尾形百之助に対面する。

あなたは彼が弟の腹を引き裂いて殺し、異変に気づいて家に入った近隣住民を射殺したという情報のみを知っている。

あなたは、尾形百之助に話しかけようとするが、何を尋ねる？

>>8

なんで殺したりした？

……なぜ殺した……？　ああ、急に入って来た男のことですか

あの男はいきなり家に入るなり血相を変えて、「お前はおかしい」だの、「その人を離せ」だの、俺の妻を無理矢理どこかへ連れて行こうとしたんです。

あれは正当防衛ですよ。ああしなければ、俺の妻がどうなっていたか分からない。……ねえ看守さん、どうか、俺の妻が今どうしているかだけでも、教えてはいただけませんかね。

……尾形は、あなたの質問が「なぜ看守を殺したか」についてだけだと思っている。

さらに、情報になかった「妻」の話を出した。　あなたは、さらに何を聞きたい？

>>12

妻とは一体誰なんだそんな話は聞いてないぞ！！！！

――― 　妻とはなにか？

俺の妻ですよ。近所の連中に聞き込めば分かるはずだ。ずっとあそこで暮らしていたんですからね。
俺の家に踏み込んだ警察だって、見たでしょう。

もう臨月が近いんですよ。早く、家に帰らなければ

あなたは強烈な違和感を感じる。　身重の妻がいたなど、一切知らされなかった。そのような重大な話が知らされないなど、あり得ない。

そこにあったのは確かに、弟の無惨な亡骸と、哀れな隣人の死体だけ。

あなたは情報が足りなさすぎると考えた。　尾形の家族について、どう質問する？

お義父さんお義母さんとの仲は？

>>14

（スレ番忘れました。失礼しました）

>>18　でお願いします。

>>15

義父と義母の仲、ですか？　何故急にそんな話を？

……妻の母にお会いできたことはまだありません。必ずご挨拶申し上げようと思っていたのですが。義父は……私のことを、嫌っていたようです。ずっと私と妻を会わせまいとしてきた。私の出自が気に入らなかったのでしょう

私と妻は、駆け落ち同然に家で暮らしていました。

義父の名前？


花沢幸次郎中将ですよ。第七師団長のね。

>>25

その通りです本当に申し訳ありません……

修正します

あなたは驚愕する。　花沢中将が義父に当たるなら、この男の妻は、花沢中将の「娘」？

しかし、あの方に娘がいたという話は聞いたことがない。同時にあなたは、中将の息子である勇作殿が陸軍の発表で病死したという話をつい最近聞いた。

……あなたは、この男について違和感を強くする。

この男は真実を言っているのか？

尾形に妻や弟について聞くことができる。

あるいは見切りをつけて、他の囚人に話を聞くこともできる。

>>35

何故妻の腹を引き裂いた？

子供を取り出すためですよ。　田舎の医者は頼りになりませんから、俺が取り上げてやろうとしたんです。

……結果は、まだ駄目でした。俺が望んでいた形では……。ですから、待っていたんです。完全な形で子を産めるのを。

今度こそきっと、産めるはずだ。あの方は祝福されているのですから。

あなたはこの男の発言に違和感を覚える。


この男は、妻の腹を自分で切って子を取り出そうとしたと話している。

弟の死体も、腹を引き裂かれて見つかっている。そして、この「男」の妻は見つかっていない。

あなたは一度尾形への聞き取りを中断する。

この男の発言には支離滅裂な点が多い。
もう少し情報を整理するべきかもしれない。明日は、他の囚人、尾形と交友を持っていた人間に聞き取りをしようと考えた。

（本日は一旦ここまでにしたいと思います。明日の21時前後に再開しようと考えていますので、よろしければ保守お願いします）

乙です
楽しみ

(安価ありがとうございます!　再開していきます)

看守であるあなたは、尾形百之助という囚人に話を聞く。

この男は態度こそ落ち着いているが、弟を腹を割いて殺した男だ。その話にもまた所々不可解な点が多い。

あなたは尾形だけに話を聞いても仕方ないと思い、尾形と話す機会のある囚人たちに話を聞いてみることにした。

何を聞いてみたい?

>>54

投獄された直後の様子

「投獄された直後?　なんかしきりに『家に帰りたい』『可哀想に』とかぶつぶつ言ってたな。あんまりうるせえからなんの話だと聞いたら、『妻が子供を産むのに、傍にいてやれない。俺はここにぶち込まれなきゃいけないようなことはしてねえんだ』とさ」

「でもあいつ、弟もお隣さんも殺してんだろ?　やたらと嫁の話ばかりしてるから、弟に嫁さんを寝取られてカッとしてやった……とかか？あいつは男を殺した理由を、『妻を奪おうとしたから。正当防衛だ』って言ってたぜ。イカれてるくらい嫉妬深い男なのかもしれねえな」

あなたはこれを聞いて、一応は筋が通っているかもしれないと思う。しかし、あなたには引っかかっている点がある。

あなたは「なぜ『妻の』腹を引き割いた?」と聞いた。尾形は自分で子を取り出すためだと答えていた。

見つかったのは弟の死体。しかし妻も同じように腹を割いている……？　なら、死体は一体どこに?

いいね…

ノベルゲーみたいで面白い

囚人に、尾形は妻について何か言っていなかっただろうか。

あなたは更に囚人に話を聞くことができる。あなたが尾形の妻について気になるのは……

>>63

何て名前だ？

「妻の名前?　聞いたことねえな。嫉妬深ぇから知らねえ男に名前を知られるだけでも嫌なのかもな。あいつの話に出てくるのは男の名前だけだよ」

「『こんな俺を愛してくれた』とか、『必ずおっ母を連れて会いに来てくれるんだ』とか言うから、最初はそいつの嫁の話だと思ってよ、『女か？』って聞いたら、『いいや、勇作さんだ』って……」

「あいつ、ショックで変になったのかねえ。妾の子に、花沢中将のご子息が会いに来るわけねえだろ。それに愛してるなんて……気味悪ぃ」

「第一、病気で亡くなられたんだろ、勇作殿は」

「……うん？あんた知らなかったのか?　尾形は、あの花沢中将の庶子なんだろ？ハハ、まあここにいる連中の方が耳は早いからなあ。却ってあんたらみたいな身分の人には箝口令でも敷かれてるのか」

あなたは、ますます混乱が増していくのが分かる。

あなたは、尾形の妻の父が花沢中将だと思っていた。しかし、尾形こそが花沢中将の子?

なら、あそこにあった『弟』の死体は、勇作殿……?

ならばなぜ、勇作殿は『病死』と発表された?

一体、何が隠されている？

サスペンスが加速してきたな

あなたは、自分が危険な深みにはまっていくような感覚を覚える。しかし、好奇心を唆られるようにも感じる。

尾形は、捕まる前は一時期あの第七師団に所属していたという。軍部の人間であれば、もっと尾形について詳しく知っているかもしれない。

幸いにして、あなたには第七師団に所属する親戚がいる。そのツテで、尾形と付き合いのあった軍人に話を聞けるかもしれない。

誰に話を聞く?

>>75

宇佐美

宇佐美上等兵、彼はかつての尾形の戦友だったそうだ。彼なら過去の尾形について詳しく知っているだろう。

ただ、突然訪れて質問に答えてくれるだろうか。それに見合う理由……あるいは『手土産』が必要だろう。

あなたはどう宇佐美上等兵を説得する?

>>80

尾形の現状報告

>>78

第七師団にとっても、かつて所属していた兵士が猟奇殺人を犯したというのは痛手であるらしく、度々軍人が出入りして尾形の様子を探ろうとしていることをあなたは知っている。

ならば、『尾形の現状報告』という形で尾形について聞き出せるかもしれない

あなたは第七師団の本部へ向かうことにする。

おお、なるほど

あなたはそこで宇佐美上等兵に接触することができる。初めは胡散臭そうにこちらを眺めていたが、『尾形の現状報告』だと言うと、一瞬目を細めて、話を聞く態度に変わった。

あなたは今自分が知っている情報を素直に宇佐美上等兵に話す。……彼は、何がおかしいのか笑いを必死に堪えているような様子に見える。

あなたは、宇佐美上等兵に何を質問する?

>>84

日露戦争の時の様子

宇佐美上等兵「え、日露戦争の時、ですか？確かに僕とは同じ部隊に居ましたよ。でもまあ、そんな仲良くお喋りしてたわけでも……ああ、でも確かにあの時から変なことは言ってましたっけね」

宇佐美上等兵「あいつ、自分が愛されて育った子じゃないってこと、かなり気に病んでたんですよ。自分には、祝福された人間じゃないって。……それが急に、『俺に祝福を与えてくれるかもしれない人がいる』って言い出してねえ。……誰のことかって？さあ、知りませんよ。好きな人でもできたのかもね。カワイイでしょ」

……色々とはぐらかされているように感じる。

『妻』についてなにか聞けるだろうか。

あなたは『妻』について、宇佐美上等兵に何を聞きたい?

>>94

妻の姿を見た事はあるか？

>>93

宇佐美上等兵『え、奥さんですか？……ハハッ。あいつ、奥さんができて身籠ってるんだって話してたんですよ。あの仏頂面が嬉しそうに。でも僕には近寄らせようとしませんでしたね。僕がヘンなことするかもとか思ってたのかも。ムカツクな〜」

宇佐美上等兵「まあ、祝福がどうこうなんて拘る男が惚れるような人ですから……穢れなんてまるでないような、美しい人だったんじゃないですかねえ」

(今更コテハン入れ忘れに気づきました)

恐らく彼が話していることは嘘ではない。しかしどこか、躱されているような印象は受ける。

……これが最も核心に迫る質問になりそうだ。

宇佐美上等兵に、『弟』について何を聞きたい?

>>100

尾形は弟の事をどう思ってそうだった？

宇佐美の台詞がそれっぽくて凄いな…

宇佐美の言いそう感すごい わかる

「………わざわざここに来て弟さんの話を持ち出すてことは、もう知ってます？あいつの父君のこと」

「ええ。花沢中将殿です。やっぱりどんどん漏れちゃってるんですね。本当なら、妾の子は本妻との子を妬んだり憎んだりするんでしょうが……あいつ、変なやつでね。本当に愛してたんです。自分の『弟』をね」

宇佐美上等兵「最初に話しかけてきたのは勇作殿だったみたいですよ。『兄がほしかった』って笑顔で言ってきたとか。……あの人もちょっと変ですね。あいつ、その時はあしらってたみたいですが、あの人の屈託のなさにだんだん絆されたみたいで……」

宇佐美上等兵「あいつが言うには、あの人こそ本当に『祝福』をうけた人だって。だから、自分に『祝福』を与えてくれるのはこの人しかいないとかなんとか……適当にあしらってましたけど、今思えば本気で言ってたんですね」

宇佐美上等兵「……あなた、結構面白い話を教えてくださったので、お礼に教えてあげてもいいかな。ただし、他言は無用ですよ。……第七師団に目をつけられることの意味、分かりますよね?」

宇佐美と話す時の独特の緊張感いいな…

宇佐美上等兵「あいつが殺したのは、花沢勇作殿で間違いありません。ならどうして病死などと発表されたか?　恥だからですよ。まさかお屋敷で守られてる花沢中将のご子息がむざむざと攫われ、腹を割かれて見つかったなんて! しかも下手人は妾の子！ 」

宇佐美上等兵「そりゃあ黙ってるしか無いでしょ。まあでも、父君は当然腸が煮えくりかえってるみたいで、身柄をこっちに渡せと矢の催促だとか。自分の手で成敗でもする気ですかね。自分が蒔いた種ですけど……まあ警察にも面子ってやつがありますよね。まだ応じてないからあいつはまだあそこにいるわけですよ」

宇佐美上等兵「え？やっぱり憎くなって殺したのか?……あなた思ってたよりニブいですね。違いますよ。僕が思うに、あいつは……」

宇佐美上等兵がさらに話を続けようとするが、あなたの務める監獄から連絡が入る。

それはあなたを、隣で聞いていた宇佐美上等兵さえ驚愕させる内容だった、


尾形百之助が、脱獄したのだ。

ウワーッ！やべぇ！

(本日はここまでとします。明日もまた同時刻に再開するつもりでいます。お手数ですが、保守お願いいたします)

めっちゃいい所で！！
明日も楽しみに待ってます！！

勤務中に脱獄されたわけじゃないから
責任負わされる心配は無いな！（現実逃避）

ウワーッ！ドキドキするな！
宇佐美との会話のそれっぽさと緊張感もだし、真相に近付いたところでこの脱獄…怖…

乙です
めちゃくちゃ面白い…
明日も楽しみだ…

うわぁ〜！ハラハラする…

滅茶苦茶気になるところじゃん！！！

『祝福』の使い方が本当にキリスト教の教えを中途半端に歪んで知った感出てて良いな…

オツでした。

保守

（ちょうどサーバーダウンと重なり書いてた文章全部消えました（泣））

今から再開します。保守してくださった方ありがとうございます！　少々お待ちください！

あなたは尾形百之助について詳しく知るため、宇佐美上等兵の許を訪れた。しかしあなたはそこで尾形脱獄の報を聞く。


あなたは眩暈を感じながらも、部下に詳しく話をさせる。牢を無理にこじ開けたような形跡はない。そして、監獄の外には看守が一人眉間を撃ち抜かれた死体で転がっていた。……恐らく、脱出を手引きしたところを尾形に裏切られ殺されたのだ。看守が護身用に下げていた銃も無くなっているという。尾形に情が湧いたのか、はたまた花沢中将の庶子であると知り、利用できるとでも考えたのか。

……あなたは看守だ。尾形を追い、捕まえねばならない。

ヒェッ…

尾形はあの日露戦争から生還した猛者である。実戦経験のない人間だけで捕獲に向かうのはあまりにも危険だ。第七師団にも知らせが届いたために、宇佐美上等兵と手練れの兵士が幾人かあなたと共に捜索に加わることになる。

尾形が向かうとすればどこだろう。まずは潜伏するために山の中に入ったか、恨みを晴らすために花沢中将の屋敷に向かうか……「妻」のいる時分の家に向かうのか。はたまたこちらが思い付きもしないような場所にいるのか……

あなたはまず、>>132を探ることを提案する。

花沢中将の家

あなたは、一度花沢中将の屋敷へ向かうことを宇佐美に提案する。尾形は花沢中将の庶子である。そして、尾形は自分のことを嫌っていたと考えている。そして、「妻」との仲も邪魔された、と……。そして、自分の身柄を引き渡すように催促があると仮に知っていたのだとしたら、恨みを抱く理由としては十分だろう。

更に、花沢中将であれば、自分には伏せられているような今回の事件の全容を必ず知らされているはずだ。尾形が来ないにせよ、手掛かりは集まるのではないか。

宇佐美上等兵「う～ん……。あの人が素直に全部話してくれるなんて期待はしないほうがよさそうですけど。まあ、身辺警護のため、っていう名分はできますよね。じゃあ、今から向かいましょうか」

そして、あなたは尾形脱獄の知らせを持って花沢中将の屋敷へ向かう。

……花沢中将の屋敷に到着したあなた方は、花沢中将に尾形脱獄を伝え、今は迅速に尾形捜索に力を入れていると説明した。そして、尾形を捕獲するためにも、協力が必要であると。

花沢中将は、苦り切った顔をしている。もうこちらが、尾形が花沢中将の血を引いていること、そして殺されたのが他ならぬ勇作殿であるということも知っているのは彼も分かっているのだろう。

宇佐美上等兵の言う通り、家の恥である事件の全容を全て教えてくれるという訳ではないかもしれない。しかし尋ねる価値はある。

あなたは中将に何を聞く？>>138

尾形の事を疎ましく思っていたのか

あなたはあえて、「妾の子である尾形が疎ましかったか」と思い切ったことを尋ねた。

花沢中将「……あれの母親を、私は大切にしていた。あいつが生まれたこともしっていたし、私なりに気に掛けてもいた。……だが、分かるだろう。私には、勇作ができた。あの子が私の後継ぎなのだ。我が子をなおざりにして、妾の子を可愛がるなどできるはずもなかろう。それでも、疎ましいなどと思ったことは無いだが……」

花沢中将「あいつは、勇作に執着していた」

花沢中将「勇作は、私に百之助に会っていることなど言わなかった。しかし、家の者が教えてくれた。あいつは一度、あの子を連れて遊郭に行こうとしたと。……分かり切っている。あいつを堕落させ、私への面当てにしようと思ったのだろう。私は、あの子に百之助とかかわりを持つことを禁じた。それでも、あいつは勇作にまとわり続けたらしい」

花沢中将「だが、あの子は優しい子だ。いや、優しすぎたのだ。……どうやらあの子はそれでも百之助との交流を続けていたらしい。……後になって初めて知った。あの子は人前では私を欺くために話しかけていなかった。だが、密かに文通をしていたのだ。家の書生に頼み込み、兄様に届けて欲しい、と言っていたそうだ。……それで、このザマだ。あいつは、屋敷が手薄な時間帯、屋敷の死角……全て知っていた。家の者総出で探したのに、あの子は……」

そこまで言って、花沢中将はがっくりと肩を落とす。

勇作さんの殺害の全容は朧気ながら見えてきた。尾形は勇作殿に並みならぬ執念があったこと。そして勇作殿も尾形を慕い、二人は文通を続けていたこと。それが、勇作殿を誘拐させる隙を作ってしまったこと……

しかし、これだけでは核心には至らない。　尾形の、勇作殿への執念は、囚人の証言を聞く限り、「恨み」だけだとは思えない。もっと深い理由がありそうだ。

事件前の勇作殿について、もっと詳しく聞けないだろうか。あなたは、どう尋ねる？>>145

「勇作殿はなぜ妾の子である尾形を慕ったのか？」

それにしても中将「尾形母子を疎ましいと思ったことがない」か
他人（看守）相手だから醜聞気にして嘘をついているのか…
もしくはこの世界線の中将は本当にそう思っていたのか…

その日ご子息に何か変わった様子はなかったか

花沢中将「……私の眼から見て、いなくなる前のあの子は別段変わっているとは思わなかった。様子も態度も、まるで普段通りだった。……いや……」

急に中将は口ごもる。あなたはどんな些細なことでもいいから教えて欲しいと頼み込むと、ようやく中将は重い口を開いた。

花沢中将「あの子が突然、聖書を買ってきた」

花沢中将「私には、キリスト教などと言うあの考えは分からん。あの子が急に聖書を買ってきたときは、西欧文化を学ぼうとしているのかと思っていたが、あの子は真剣にこの教えについて知ろうとしていた。……このことは事件とは関係なかろうと思っていた。だが今にして思えば、あの子は何か、酷く気に病んでいたことがあったのかもしれない。異国の教えに救いを求めたいほどに……」

花沢中将「きっと、あいつが追い詰めたのだ。何も知らないあの子を……！」

次第に中将の声が震えてきた。相当興奮しているようだ。これ以上尋ねても、冷静に話すことはできないかもしれない。
あなたは、一旦質問を切り上げることにする。

誘拐前、勇作殿が聖書を買い、熱心に読んでいたことは初めて聞いたことだ。しかし、尾形や宇佐美上等兵の話を聞いていたあなたは奇妙な符号に気づく。

尾形が繰り返し使っていた『祝福』という言葉だ。これはキリスト教がよく使う言葉である。我が国にも少しづつではあるがこの教えは浸透してきている。『祝福』とは広義で言えば、神が信徒に与える恵み、という意味であるそうだ。

……尾形は、一体勇作殿から何を与えられたかったのか。勇作殿が聖書を読んでいたというのも、尾形を理解したかったからなのか。

考え込んでいるあなたに、不意に宇佐美上等兵が声をかける。

宇佐美上等兵「あ～あ。分かっちゃいたけど、ホント上っ面なことしか言いませんねあの人。……え、あなた変だと思いませんでした？『疎ましいと思ったことなどなかった』なんて！フフッ、笑っちゃいますよねえ」


宇佐美上等兵「疎ましいに決まってるでしょうに！狂った女から生まれた男の子なんて！！」

宇佐美上等兵「ああ、あなたはこのことも知らなかったんですね。……あいつの母はね、狂ってたんですよ。元は芸者で、随分中将殿に気に入られていたそうです。でも、勇作殿が生まれてからは邪魔だと言わんばかりに実家の茨城の方へ叩き返されたんですって。……でも狂いながらも、健気に父親を待っていたって、あいつが言ってましたよ。かわいそうに」

宇佐美上等兵「だからあいつ、自分は祝福されてないって思ってるんです。目の前の我が子が見えない母と、見ようともしなかった父の間に生まれたんじゃあね」

宇佐美上等兵「何もかもすべて、百之助のせい、って思いたいんでしょうねえ。あの人は。まあ、どうでもいいんですけど。……でも手紙のやり取りしてるなんて知らなかったなあ。アイツ～。しれっとした顔でそんなこと隠してたなんて……」

宇佐美上等兵「……まだ、勇作殿の部屋は片付けられていないかもしれませんね。亡くなったのが知れたのは最近ですし」

そう言って、宇佐美上等兵は去って行った。これから屋敷の警護のために現場の指揮に当たるらしい。

勇作殿の部屋……尾形との手紙、他にも何か尾形に繋がるものが見つかるだろうか

幸いと言うべきか、花沢中将とその奥方は奥の自室に護衛と共に籠っている。他の警護の者たちも、こちらにまで注意を払いはしないだろう。勇作殿の部屋に入ること自体は容易だ。

……あなたは意を決して、かつての勇作殿の部屋に入る。

勇作殿の部屋は、まるで部屋の主がいつ帰ってきてもいいとでも言うように、きちんと整えられている。本棚や机の上も、きちんと整理されている。

あなたの目にすぐに入ったのは……レターボックスと思われる箱。そして、机の上に置かれた帳面。……これは恐らく勇作殿の日記帳だ。

……この突然の事態に浮足立った屋敷では、少しの間姿が見えなくなっても怪しまれることはあるまい。あなたは、どれから確認する？

>>157

宇佐美良いキャラしてるなあ
TRPGやノベルゲーの探索パートって感じだな…

レターボックス！

日記帳

あなたは、机の上の日記帳を手に取る。中の字は流麗で、几帳面に毎日書かれている。ぱらぱらとめくっていると、日記の中盤に「兄様」という単語が目につき、慌ててページを手繰る手を止めた。

「〇月×日

今日初めて、私の兄様にお会いすることができた。紹介されるまでもなく、顔を見てすぐに分かった。父上によく似ている。つい、自分から話しかけてしまった。ずっと一人っ子で、兄弟がほしいと思っていたこと。どうか、兄様と呼ばせてほしいということ。……『規律が緩むから』と言って、嫌がられてしまった。私も軽率だっただろうか。やはり、私に話しかけられるのは却って迷惑なのだろうか。……それでも私は、諦めたくない。いつか、兄様と『兄弟』として語り合いたい」

勇作殿マジで可哀想だなこれ

「〇月×日

きょうは初めて兄様の方から話しかけてくださった。そして、ある場所に出かけたい、と。兄様とご一緒できるのは嬉しかった。……まさか、遊郭に連れていかれるとは。私はこうしたところで遊ぶ気はないと、どうにか伝えたが、兄様は『要するに純潔・品行方正だと周りが信じていればそれでいいだろう。ここの女や俺が黙っていれば問題ない』と言われた。自分でも何を口走ったかよく思いだせない。ただ、そうではなく、こうした場所が苦手なのです。といったことを伝えた。……私は逃げ出してきてしまった。場所や女性たちが怖かったのではない。兄様の眼が、私を見透かそうとするようにじっと据えられた眼が、怖くて堪らなかったのだ。……兄様は、私を嫌っていらっしゃるのか」

「〇月×日

父上から、兄様にはもう二度と近づくなと言われてしまった。家の者が、兄様が私を遊郭の方へ連れていくのを見ていたらしい。父上は私の潔白を疑いはしなかった。しかし、私の話を聞いてくださることもない。……ひどく、寂しい。私はなぜ、こうもうまく人と交われないのか」

勇作さん……

「〇月×日

家にいる書生が、手紙を渡してくれた。兄様からだというので驚いた。書かれていたのは、無理に遊郭に連れて行ったことへの詫びだった。嫌がらせをしたかったのではないということ、勇作殿が本当に純潔な方であることを知って、却って自分自身が恥ずかしくなってしまったということ。……また、お話をしたいということ。

嬉しい。兄様がこんな風に思っていてくださったことが。私もすぐに会いたい。でも、きっと今度のことのように人に見張られているだろう。却って兄様に迷惑をかけてしまう。しばらくは、文通で兄様と話し合いたい」

「〇月×日

兄様が少しずつご自分のことを書いてくださるようになった。あんこう鍋がお好きだということ。茨木での祖父母君との思い出……そして、母君のこと。

私のかつての軽率な振る舞いを思い出し、身が縮む思いがする。私は、憎まれていてもおかしくない男なのに、それを深く考えもしないで兄様に話しかけていたのだ。なのに兄様は、私のことを気に掛けてくださっている。なんと情け深い方なのだろう。私の家族や、家でのことを知りたいと書いてくださっているのだから。

私も、兄様のことをもっと知りたい。もっと、兄様に寄り添える弟になりたい」

「〇月×日

兄様が、私のことを『祝福された人』と仰ってくださった。恐らく、最近はやり始めたキリスト教の考え方だろうか。勉強不足なせいで、兄様が何を指して私を『祝福されている』と仰ってくださったのかが分からない。今度聖書を読んで学んでみようと思う。

それでも、私は確かに自分が祝福されていると信じる。こんなに優しい兄様がいらっしゃるのだから」

「〇月×日

『無原罪の御宿り』

この言葉が、急に兄様のお手紙に現れた。確か、聖母マリヤが処女の身にして神の子を宿したことを指すのではなかったか。兄様はキリスト教の信仰を持っていらっしゃるのだろうか。兄様と一緒なら、共に洗礼を受けてみたいと思う。……父上を酷く怒らせてしまうかもしれないが、それでも怖くはない。

しかし何故兄様は、この言葉から私を連想なさったのだろう」

「〇月×日

急に、兄様から直接会いたいというお手紙が来た。しかし、見つかってしまえば本当にもうお会いできないかもしれない。だから、屋敷に一番人のいない日を教えて欲しいということ。……私も、本当にお会いしたい。できるなら直接お会いして、長く語らいたい。父上を裏切ってしまうような気がして迷ったが、日と時間を伝えることに決めた。少し怖いが、とても楽しみだ。兄弟とは、共に悪さをするものなのだから。

『勇作殿から祝福を受けたい』と書かれていた。これは、キリスト教の言う洗礼のことだろうか」


日記は、ここで途絶えている。

突然、戸をノックする音が聞こえた。

（随分遅い時間になってしまったので、本日はここまでとさせてください。亀更新で申し訳ありません……明日はもうそろそろ尾形を再登場させたい……！　よろしければ、保守お願いいたします）

お疲れ様です、怖くて面白すぎる…
勇作さんの内面を垣間見て本当に勇作さん可哀想だし尾形も尾形で壊れてるの可哀想で最高

お疲れ様でした
ミステリーとホラーと愛と狂気が入り混じる世界観に脱帽。

保守しときます

すごく面白いし家族と上手くいかないと思ってる勇作さん、可愛いし可哀想だ…

(今夜もやります!20時頃から開始予定です)

（すみません遅くなりました！　これから再開です！）

乙！無理せず〜

あなたは勇作殿の部屋で日記を見つける。その中には勇作殿の孤独、そして尾形を兄と慕う気持ちが記されていた。

そんな時ノックの音が響く。あなたが驚いて振り向くと、そこにいたのは宇佐美上等兵だった。眉根を寄せて、深刻な顔をしている。

「あなたの考えが当たりましたよ。…… 付近で不審な人影を見かけたと通報が。尾形でしょうね。あなたも来てください。今はみんな中将殿の寝室に集合しています」

あなたはすぐに立ち、日記を戻してから向かう。残念ながら手紙は確認できそうにない。

宇佐美上等兵の言う通り、主だった兵士は花沢中将とその奥方を守るために中将の部屋の前で護衛をしている。残りは、表口と裏口、屋敷の周辺に配置されている。屋敷の執事や警備員もいるため、万全の体勢だ。

しかし、日記を読んだあなたはある懸念が頭に浮かぶ。

花沢中将は、勇作殿が「書生に頼み込んで手紙を渡していた」と言っていた。

しかし、勇作殿の日記には「書生が手紙を渡してきた」と書いてあった。ならば、先に書生が尾形からの手紙を渡したことが2人の文通のきっかけになっているはずだ。

ではこの家の書生は、尾形の頼みを聞いて勇作殿との間を取り持ったことになる。

何故花沢家の人間が、尾形に従っていたのだ？　この家の人間なら、尾形の素性も分かっているはず。……知ったうえで、尾形の言うことを聞いたのか？


……この『書生』は、まだ屋敷に仕えているのか？

ならば今、屋敷のどこにいる？

そういえば…
全然書生の違和感に気づかなかった

あなたがこの考えに至った直後、不意に屋敷中の電気が消えた。

まさに推理小説…

「なんだ！？」　「屋敷のブレーカーが落ちた！！」　「停電じゃないぞ！」　「ブレーカーはどこに！？」　「家の地下だ！！」　


「うちの書生の長田がいたはずだろう！なぜあいつは復旧させない！」

あなたは唇を噛む。目的は分からない。だが、最初からこの書生は尾形と通じていた。恐らくあの看守を通じて連絡をとっていたのだ。


尾形は最初から、この屋敷に侵入するつもりだったのだ。

あなたは手探りで緊急事態用のカンテラを見つけ、どうにか火を入れた。

心臓が早鐘を打つ。しかし、あなたは必死に考えを巡らせる。

電気が消えるという非常事態が起これば、警備の者はまず真っ先に中将とその奥方を守るために、主力は一カ所に集まる。それこそが尾形の狙いだ。侵入できる経路は、その『書生』が見張っていた地下室以外にはあるまい。そこから屋敷の別の部屋に向かいたいのか。

つまり、尾形の狙いは花沢中将以外にある。

あなたの読みが正しければ、今尾形は内通者と共に地下室に居る。そして、もうひとつ気づいたことがある。


地下室の階段を上がれば、一階の納屋・そして台所に通じている。そこを出れば花沢中将の部屋に近寄ることなく、すぐに2階への階段を上がることができる。

2階にあるのは、勇作殿の部屋だ。

あなたは、今から宇佐美上等兵たちを伴って地下室に下り、捕縛することができるかもしれない。

あるいは、勇作殿の部屋で待ち伏せをすることができるかもしれない。

……あなたは、どちらを選ぶ？

>>196

情報と謎の散りばめ方がめちゃくちゃ上手いな…
尾形の指示を聞く書生とかなるほど確かに

勇作殿の部屋で宇佐美と共に待ち伏せ

待ち伏せで布団に枕かなんか詰めて人が入ってるように見せかける

>>194

修羅場待ったなしでは？

(安価ありがとうございます。195さんのアイデアもすごく良いので使わせていただきます！）

あなたは宇佐美上等兵に駆け寄り、考えを打ち明ける。宇佐美は一瞬驚いた顔をするが、すぐに頷き手勢を数人集め、部屋に上がることにした。待ち伏せであれば大勢で上がっても却って邪魔だ。

あなたたちは息を殺して2階に上がり、部屋の布団を敷き、枕を詰め込んで人が寝ているような形にする。そして、自分たちは押し入れの中に隠れていることにする。

……尾形は、何故か自分が手に掛けた弟が生きていると信じ込んでいる。ならば、布団に入っているのを勇作殿だと思い込み近づいてくるのではないか。

あなたたちは狭い押し入れで息を殺して待ち構える。

……実際には数分でも、まるで数時間のように感じられる。固唾をのんで待っていると、部屋の扉がぎし、と音を立てた。

序盤の「なんで殺した？」って質問に正当防衛での隣人殺害だとしか言ってなかったもんな尾形…

>>200

なんなら勇作さんがおっ母を連れて会いに来てくれると思ってるぞ…

「お迎えに上がりましたよ。　　　勇作殿」

こわいいいいいいいいいい！！！！！

ヒェッッッッホラー画像すぎる

>>201

ああ他の囚人から尾形が弟のこと

『必ずおっ母を連れて会いに来てくれるんだ』

って言ってたの聞いたんだったな…

あなたは恐怖で全身が総毛立つのを感じる。だが必死に声を飲み込み、じっと待ち続ける。

尾形は、そこに寝ているのが勇作殿だと信じて疑っていないようだ。

きし、きし、と床を踏み、静かに布団に近づき、膝をつく。

まるで妻を起こそうとするかのように、優しく布団に手を置いた。


「そこまでだよ。百之助」

尾形が布団に触れた瞬間、がっと押し入れを開けて宇佐美と兵士が飛び出す。あなたも一拍遅れて押し入れから出る。

宇佐美「百之助～。随分手間かけさせてくれたなあ。……まず銃を捨てろ。それからゆっくり立ち上がって両手を上げるんだ」

宇佐美は銃を構えながら、淡々と指示する。脱獄犯とはいえ、かつての戦友を前にしているとは思えないほど事務的な態度だ。他の兵士たちも銃を構え、油断を見せない。

……しばらく尾形は宇佐美と睨みあっていたが、諦めたようにため息をつき、腰に下げていた銃を床に置く。

ドキドキしてきた…

宇佐美「お前もいよいよヤキが回った？　さすがに無謀すぎるだろ。勇作殿を抱えてこの警備をかいくぐって逃げる気だったわけ？」

尾形「…………」

宇佐美「だんまりのままでいる気？……お前の考え、当ててやろうか」

宇佐美「お前は母親に愛されなくって、御父上もお前を一度も見ようとはしなかった！誰も愛してくれなくって不貞腐れてるところに勇作殿と出会った！！勇作殿はお前みたいな奴にも優しかったし、兄様なんて呼んでくれた！しかも勇作さんは自分と同じ血を引いてるのに、自分とはまるで違って祝福された清い人間だった」

宇佐美「だから夢を見たんだろ。勇作さんなら」



宇佐美「祝福してくれなかった母親の代わりに、祝福を与えてくれる母を『産み直してくれる』って！」

ついに言っちゃった！

宇佐美「お前、どこからか知らないけどキリスト教てやつを聞きかじってたもんな。それで、自分の都合のいいように解釈して勝手に満足してたんだろ？ それを手前勝手に、勇作さんに押し付けたんだ！ 僕には分かるんだ！お見通しだぞ！！」

……尾形は押し黙って膝をついたまま、身じろぎもしない。

あなたは、次々と宇佐美の口から出てくる言葉にただただ呆然とする。

しかし次第に、勇作殿の日記に書かれていた『祝福』『無原罪の御宿り』という単語が、あなたの頭の中で結びついていく。

この男は、聖母マリアの処女懐胎を、弟で再現するつもりだったのか？　だから、腹を裂いて子……いや、産まれ直した母を手に入れたかったのか？

ならば、この男の『妻』とは、ずっと、勇作殿を指していたのか？

あなたの背筋に、ゾッと冷たいものが走る。


目の前のこの男は、本当に狂っている。

しかしあなたはどうにか気を取り直し、ベラベラと言葉を並べる宇佐美を止めて、身柄を拘束しようとする。

すると、尾形の口が微かに動いたのが見えた。宇佐美もそれにすぐ気が付いたらしい。

宇佐美「え？何か言った？」

宇佐美が聞き取ろうとして、わずかに身を乗り出す。

尾形は、こちらにも聞こえるようなはっきりとした声で答えた。

「自分を駒としか見ていないと分かってる相手に愛を求めるようなてめえに、何が分かる」

理解出来る宇佐美もイコールで狂ってるのが分かるのが良いね……常人だったら絶対わからなくても宇佐美ならわかるかもっていう説得力がすごい

宇佐美が味方なのなんか頼もしいけど、その宇佐美を殺めたのは尾形なので安心しきれねぇ……

尾形が宇佐美に色々見透かされてる原作再現いいな…

こっからどう転ぶんだろ…

一瞬、宇佐美上等兵の表情が凍り付く。

次の瞬間、尾形は置いていた銃を手に取り、渾身の力を込めて宇佐美の顎を銃床で殴った。

宇佐美の体がそのまま後ろに倒れる。

あなたは一瞬の出来事に頭が追い付かず、体を動かせない。

「貴様っ！！」

控えていた兵士が引き金を引こうとするが、引くよりも先に、尾形の撃った弾が兵士の眉間を貫いた。

呆然としているあなたを置いて、尾形は身をひるがえし、窓枠に足をかけて飛び降りた。

もう一人の兵士が尾形の背中を撃とうとするが、弾は外れる。

あなたもやっと正気を取り戻し、一階に駆け下りて声を限りに叫ぶ。

尾形が逃げる！！　裏門の方角に逃げた！　追いかけろ！！

屋敷は一瞬騒然とするが、それでも何人かの兵士はすぐに屋敷から飛び出し、尾形を追おうとする。

あなたも屋敷の裏に飛び出すと、屋敷の厩舎から盗んだと思われる馬に飛び乗り、今にも走り去って行こうとする尾形の背が見えた。

……宇佐美は顎を強く殴られ、気を失っているだけだ。しかし、この男は裏切り者とはいえ自分と同じ看守を撃ち、兵士が目の前で撃ち殺された。

あなたが今ここで尾形を撃っても、正当な防衛であったと答えれば、咎めはないだろう。

あなたの腰には、護身用の銃が下げられている。

あなたは引き金を引くこともできる。今なら尾形を撃つことができる。尾形を追い、説得して捕縛することもできるかもしれない。

あなたはどうする？

>>224

馬のすぐ近くに撃って、馬を暴れさせてからの落馬を狙う

>>223

追って説得
好奇心が抑えられない…こうやってTRPGやゲームブックの主人公は死ぬのかもしれんが

怖いけどやっぱり戦闘シーンしてる尾形格好良いな…

>>227

👺

あなたはあえて、馬の近くを銃で撃った。音で馬を怯えさせ、落馬を狙おうと考えたのだ。

期待通り、銃声に驚いて馬は大きく体を跳ねさせ、尾形を振り落とすように暴れだす。

尾形はしばらく耐えて落ち着かせようとしていたが、ついに体が投げ出され、地面に叩きつけられた。その衝撃により、尾形が背に括り付けていた銃も遠くへ投げ出される。

あなたは銃を抱えたまま走り寄り、尾形に銃口を突き付ける。

…勝負はついた。あなたは、尾形を取り押さえることに成功する。

（今日の更新はここまでにしたいと思います。明日も同じくらいの時刻で、エピローグを書きたいと思っています）

（随分引き延ばしてしまったような気がしますが、明日には終わると思っています。最後までお付き合いいただけると幸いです）

終わりかぁ…面白かったなぁ…

お疲れ様！
は〜ドキドキした…面白い…
名残惜しいけど締めもめちゃくちゃ楽しみにしてます

おつ保守！
宇佐美の扱い方が本当に上手くてビックリする 面白いよ

更新分ハラハラしながら読んだ
面白いしこれを無料で読んで良いのか
嬉しい

（保守ありがとうございます！再開します！）

あなたは花沢中将の屋敷に宇佐美たちと向かい、遂に尾形百之助を捕縛する。

あなたは尾形にこれ以上の抵抗の意志がないことを確認すると、素早く手を後ろに縛る。

尾形はあれだけ暴れたことが嘘のように、静かに俯き何も言わない。

……これから尾形を護送する準備ができるまで、もう少し時間がかかるだろう。

あなたは、尾形に何を聞きたい？

>>248

妻を、いや弟を殺してしまったことを認めたくなかったのか？

>>246

…………

何を、言っている？　勇作さんは戻って来るんだ。必ず俺の許に戻って来る。

『イエスは、わたしたちの罪のために死に渡され、わたしたちが義とされるために復活させられたのです』……だったか。

俺は祝福されていない。まるであの人とは違う穢れた存在だ。俺の罪穢れを清めるために、今は眠っておられるんだ。俺におっ母を、祝福を与えてくれるために、あの人は還って来てくれる。

あの人は俺を信じて屋敷から出てきてくれたんだ。だから俺の家まで連れて、『おっ母』を産んでもらおうと思った。

……あの方は随分嫌がられていたが。「自分には産めない」と。きっと怖かったんだ。子を産むのは、一大事だからな。

でも、毎日俺の為に泣いてくださったよ。「兄様は祝福された人です。穢れた人間なんかじゃない」と。いよいよ月が満ちて、俺が腹を切って取り上げると言うと、不安そうに身を震わせていたが、受け入れてくれたんだ。

…………でも、お腹におっ母はまだいなかった。勇作さんが悪いんじゃあない。俺が祝福されていないせいだ。だから、今勇作さんは俺を清め、赦してくださる為に眠っていらっしゃるんだ。

聖母と救世主を合わせた上で勇作をソレに見立てた？
狂ってる感じがひしひしと

神への信仰のようなものを勇作さんに見ていた尾形…

あなたは、言葉を失う。夜も更けて肌寒い時間帯だというのに、汗が背中を伝っていく。

この男は、神と聖母の姿を二つながらに勇作殿に見ていたのか。……今目の前にいるこの男は、間違いなく狂人だ。

あなたは、勇作殿の日記を思い出す。……あの人は、真っすぐにこの男に向き合おうとしていたのに、この妄執に囚われた男には届かなかったのだろうか。それほどまでに、この男の孤独は深いのか……。

（安価の数字ミスです。すみません）

………馬車の音が遠くから聞こえてくる。護送用の馬車がようやく到着したようだ。

尾形は、もう語ることは無いと言うように黙って立ち上がり、大人しくそれに乗り込もうとする。

あなたはそれを黙って見送ることもできるが、何か伝えたいことがあるだろうか。

>>258

自分が行なった残酷な現実を突きつける…いいね

あなたは、無駄かもしれないと思いつつも、口を開く。勇作殿はお前を兄として慕う、一人の人間だったのだ。決して甦りはしない。

……尾形は、無言でこちらの顔をじっと見つめている。兵士の1人が、尾形を早く乗せてしまおうと背中を押す。

……本当に普通の人間なら、俺を愛そうなんて思ってはくれなかったさ。母と父さえ見ようとはしなかった俺を


あんたには感謝しているよ。看守さん。俺を撃つこともできただろうに、あえて殺そうとはしなかった。

産まれてくる子を、父無し子にするわけにはいかんからな

ﾋｪｯ

……あなたは、馬車に押し込まれ運ばれていく尾形を黙って見つめる。

この男は、残りの人生をずっと妄執に囚われたまま送るのか。

終わりのない暗闇の中で、一筋の光が射すのを待つような人生を。

…………尾形を無事捕縛して数日後、宇佐美上等兵があなたの許を訪れる。顎に紫色の痣がある以外は、いたって元気そうだ。尾形の現状について聞きに来たらしい。

あなたは正直にその後の取り調べ、今の尾形について答える。

本編もなかなかだけど、ここの尾形も狂ってる…

取り調べで花沢中将の屋敷に侵入した理由は、復讐ではなかった。尾形は自分の牢を第七師団の兵士が様子を探っていることに気づいていた。そこからこう考えたそうだ。

勇作さんがなかなか会いに来てくれないのは、自分を嫌う父君が勇作さんを捕らえて解放しようとしないからではないか、と。

「でも、あの屋敷の中にはいなかった。……俺の穢れは、まだ清めきれないらしい」

屋敷に手引きした書生は、屋敷に居た兵士が逃げようとしているのを見つけて捕らえた。尾形もあっさりと書生との関係を答えた。

「あいつは花沢中将の遠い親族にあたります。とはいえ、親は事業に失敗したようで、1人では大学に通う金を捻出しきれず、花沢中将殿を頼って来たそうです」

「彼はなかなか優秀だったようでね、中将殿も彼に期待していたとか。……ですが、ある芸者に惚れ込んだそうなのですよ。相手も真剣で、ぜひ妻にしたいと」

「それを、中将殿は許さなかった。その芸者を売女と罵り、二度とその店に入ることは許さないと言い渡したそうです」

この尾形は凶悪な囚人なんだけど…
でも自分のことをとことんまで穢れた存在として考えてるのが切ない

「それから、一度も彼はその芸者と会っていないそうですよ。その女の方が、自ら身を引いたのです。遠い九州の小さな店に移ってまでね」

「………許せないと言っていました。自分は芸者に子を産ませておきながら、本妻との間に子ができた途端見殺しにした男が、なぜ自分の本当の恋を踏みにじるのだ、と」

「俺が花沢中将の妾の子だと知り、あいつの方から協力を申し入れてくれました。手紙のやり取りや、脱獄後の屋敷の侵入の手はず、屋敷の見取り図までくれました。……俺の考えは分からないといっていましたが、どうでもよかったようです。とにかく花沢中将を困らせたかったようですね」

取り調べで新たに分かったのはこの程度だ。あとは、屋敷で語っていた内容と同様に、要領を得ない。

宇佐美は黙って聞いていたが、時々馬鹿にするようにフンと鼻を鳴らしていた。

「ふーん……でもまあ、そんな奴の手引きのせいで死ななきゃいけなかったうちの兵士のほうが気の毒ですよ……あいつもホント、おセンチだなあ。素直に愛されときゃよかったんだ。馬鹿みたいな理屈捏ねないでさ」

宇佐美「これはただの推理ですが。僕が考えるに尾形が勇作殿を遊郭に誘い出したのは、本当にあの人が純潔かどうか確かめたかったんじゃないですかねえ。あいつがやろうとしたことって要するに、『無原罪の御宿』ってやつでしょ？処女のまま子を産んだとかいう……。それを勇作殿ならできるって考えたんじゃないですか？……自分で言っててキモチワル～」

散々尾形をこきおろしてから、宇佐美は腰を上げる。そして、一枚の紙きれをあなたに手渡した。

「……尾形が最後に勇作殿に渡した手紙です。実はあの後、部屋からくすねて来たんですよ～。流石に全部取ったらバレると思って、一枚だけ。でもあいつからの手紙なんて、花沢中将殿だって持っていたくないでしょうし。僕ももう読んだし興味ないんで、差し上げます」

「ああ、そうそう。尾形に会ったら伝えといてもらえます？

「少なくとも、僕はお前ほど強欲じゃないぞ、って」

引いててもなんだかんだ同僚というか友人みたいな立ち位置の宇佐美、すごくいい…

本当にここの宇佐美いいな…

宇佐美上等兵が去ってから、あなたは手紙を受け取り、開く。

「勇作殿

ご返信ありがとうございます。望むなら俺と共に洗礼を受けてもいいという申し出、とても嬉しかった。しかし今の俺では、洗礼さえ意味を持ちますまい。神は、全ての者に等しく祝福を授けると言う。しかし、親からさえ祝福されたと信じきれない俺には、知りもしない神父のもとで行う洗礼など、それが俺自身の清めになるとは思えないからです。

俺が信じることができる存在がこの世にあるとすれば、それは勇作殿、あなたをおいて他にはいません。同じ血が流れ、俺を知り、そして、知ったうえで兄様と呼んでくださるあなたを。

過ぎた願いであることは承知していますが、是非あなたにお会いしたい。しかし、このことが露見すればいよいよ父君は俺たちを許さないでしょう。ですから、もっとも警備が手薄になる日と時間帯を教えていただきたい。あなたと直接、お話がしたい。そればかりが、俺にとっての救いです。

どうか、勇作殿が祝福を与えてくださるという俺の願いを叶えていただきたいのです

尾形百之助」

思った以上に切実な文面だ…

………読み終えたあなたは、深く息を吐く。

今度の事件は、あなたにとって一生忘れることの出来ない強烈な体験だろう。尾形百之助という一人の男の、哀れな狂気が引き起こした悲劇により、高潔な士官の命が喪われ、関係のない者や欲や憎しみに目がくらんだものまで巻き込まれていった。

ふと、澄んだ歌声が耳に届く。この監獄の近くには、小さな教会がある。そこの聖歌隊が歌っているようだ。……この歌声は、あの男の耳にも届いているのだろうか。

『いばらの　枯れ木も　キリエ・エレイソン（主よ憐れみたまえ）

　血に染みし後に　清き花咲きぬ

　キリエ・エレイソン』

「……。ああ、讃美歌が聞こえる。」

「この曲は……聖母マリアの故事を基にしているのでしたっけ」

「聖母マリアが追ってから逃れるため、まだ赤子のイエスを胸に抱いていばらの中を進んでいた。すると、いばらがマリアの足を裂き、足から血が流れた」

「しかし、その血から白い薔薇が咲き始めた、と」

「………ふふ、俺の血からは、何が産まれるのでしょうな」

「それでも、清らかな人からは、清らかな人が産まれるのでしょう。……ああ、早くお会いしたい」

「ずっとお待ちしていますから……その時が来たらどうか、おっ母と共に来てくださいね。勇作さん」

この手紙を貰って勇作殿は本当に嬉しかっただろうな…
そして尾形の信じることができる存在は勇作殿だけっていうのも真実なのが切ない

これで終わりとなります。読んでいただいた皆様、応援していただきありがとうございました！

数々のコメント、とても励みになりました。………なんだか他のスレでもこの尾形が現れそうな不穏な気配がしていますね。楽しみと不安が交叉しています。（またもやお邪魔することになるかもしれません）

また、別の形で囚人尾形の物語や、他のキャラクターの話も書いてみたいと思っています。その時はまた、読んでいただけたら幸いです。

乙ですめちゃくちゃ面白かったです！！

乙

お疲れ様です！面白かった！
『終わりのない暗闇の中で、一筋の光が射すのを待つような人生を。』
囚人尾形へのこの一文が心に刺さった
原作でも感じた尾形へのやりきれなさをまた感じれて良いSSだったな…

スレに留めるには勿体ないぐらい凄い出来でした どっかにログ残して欲しいぐらいだ…乙でした！

>>282

お疲れ様でした！

非常に読み応えのある文章で、物語の世界にグイグイ引き込まれてしまいました

囚人尾形の一見静かな、おぞましい狂気の描写

生まれつきタガが外れているが故にそれを理解できる宇佐美

彼はこういうこと言うよね！と納得してしまう台詞回しがとても良かった

あと安価当たらなかったけど枕の替え玉作戦が採用されて嬉しい

お疲れ様でした！
ドキドキしながら読んでました。
内面の描写の丁寧さやキャラのリアルにありそうな口調がとても良かったです…！

深夜なのに夢中になって読み進めちゃった…
めっちゃ面白かったです
お疲れ様でした！

宇佐美推しなんだけどここの宇佐美めちゃくちゃすっごく好きだった…宇佐美単体も見てみたいなぁ 乙でした！！

乙です！
この尾形はこれからも一生醒めない幻想に囚われ続けるんだろうな…

これは良スレ

死んだことで勇作殿は偶像になってしまったんだな
泣き喚きも逃げもしない拒絶される心配もない
けど人並みに悩んだり喜んだりする人間の彼と
分かり合って愛し愛される未来は永遠に失われた…

何が悲しいって原作と違って罪悪感に苦しむ事なく、幻想に浸れるから心穏やかにいられる事なんだよな……

囚人尾形の狂気や全体に漂う仄暗い雰囲気がとても良かった
お疲れさまでした

すごかった