- 1二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 10:07:16
- 2二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 10:08:34
ノクチルメンバーとの何気ない日常
- 3二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 10:27:08
先日のtwitter投稿企画の反省会
- 4二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 10:27:48
あさあさコンビでなんかやる話
- 5二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 10:37:05
- 6二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 11:00:19
いつものように登校すると通学路に見慣れた背中が見える。透ちゃんだ。
「透ちゃん、おはよう!」
「あ…おはよ、小糸ちゃん。ふぁ…」
「な、なんだか眠そうだね…?」
「うん…。見てたから、ドラマ。深夜のやつ」
「もう、ちゃんと早く寝ないとダメだよ!録画して見ようよ!」
「はーい…」
そうしてしばらく歩いてるとまた、見慣れた背中が2つ。
「おはよう!雛菜ちゃん、円香ちゃん!」
「うーす」
「おはよう」
「おはよう〜!」
雛菜ちゃんと円香ちゃんは2人で何かを見ているようだった。
「何見てたの?」
「あは〜、透先輩と小糸ちゃんも見て〜!」
そうして雛菜ちゃんが見せてきたのは四つ葉のクローバーだった。
「す、すごいね…!四つ葉…!」
「おー…ラッキーじゃん」
「でしょ〜!」
「2人で四つ葉探してたの?」
「別にそういう訳じゃない。雛菜のストラップが落ちて、探してたらちょうど落ちてた所に四つ葉が生えてただけ」
「ユアクマちゃんが見つけてくれたんだよね〜」
「ふふっ、やばいじゃん。…運命だね、それって」
透ちゃんはすっかり目が覚めたようだった。
- 7二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 11:26:03
「透、お疲れ様」
「うん。お疲れ、プロデューサーも」
「こないだのミュージックシェアのツイスタ担当、引き受けてくれてありがとうな」
「え?……あー、あれね。どういたしまして」
「ファンの人達も喜んでたよ。透からのファンへの想いが直接聞けたって」
「マジ?ふふっ、良かった」
「ただ、少し意図が伝わりづらい所もあったみたいだな」
「あー…言われた。冬優子さんとにちかちゃんにも」
「ああ、それで訂正してたのか…。でも、最初の頃の日誌よりずっと上手く伝えられるようになってると思う。透は成長してるよ」
「…そっか」
「だから、想いを伝えられるように頑張って練習していこうな。これからも一緒に」
「…うん。頑張るから、私」
- 8二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 12:56:58
「あ、おーい。待てー」
事務所で暇そうにしてたあさひちゃんがいたので気分転換に一緒に公園で散歩をしている。しかし、彼女は何かを見つけたようで急に走り出して行ってしまった。立ち止まると、木を指さしてこちらに話しかけてくる。
「透ちゃん!これ、見てほしいっす!」
「え、何?」
言われて見てみるとそこにはなんかの虫がいた。きらきらしてて、宝石みたいに光るやつ。
「おー…なんて虫?」
「タマムシっすよ!」
タマムシ。聞いたことはある。玉虫色ってよく聞くけど、本物はこんな色なんだ。
「レアなの?こいつ」
「そこまでレアでもないみたいっす。でも、きれいっすよね」
「うん、きれい。めっちゃ」
そのタマムシは陽の光を反射して虹みたいな色の光を放っていてきれいだ。あさひちゃんはそいつをじーっと見つめている。
「飼う?」
「うーん…。タマムシは飼うのは難しいらしいからいいっす。死なせちゃったらかわいそうっすから」
「そっか。じゃあ、写真撮ろ。こいつとの思い出」
「はいっす!」
私がスマホを構えるとピースして写るあさひちゃんとキラキラのタマムシ。2人とも、実に良い表情をしている。
- 9二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 14:28:47
ボーッとベッドに寝転がりながらスマホで映画を見ていると、チェインの通知が入る。
『透ちゃん、誕生日おめでとう!』
小糸ちゃんだ。映画を中断して時間を確認すると時刻は0時。日付けが変わって5月4日になったらしい。
『透先輩おめでと〜!🎂』
雛菜のメッセージの後にはユアクマがクラッカーを鳴らしてお祝いしてくれる動くスタンプが添えられている。
『おめでとう』
樋口らしい簡潔なメッセージだ。
『サンキューベリーマッチ』
私たち4人のグループにお礼のメッセージを送っておく。
チェインには幼なじみのみんなの他にも通知が入っていた。委員長とかのクラスの友達に、仕事で知り合った人、事務所の他のユニットの子とかも。一人一人にお礼のメッセージを返していく。あとは…。
『誕生日おめでとう!今日は直接祝えなくてごめんな。透にとって良い一年になりますように』
プロデューサーからのチェイン。今日は私も仕事だけど、プロデューサーはどうしても他のユニットの子たちの付き添いに1日着いて行かないといけない仕事があるらしい。
『サンキューベリーマッチ』
『大丈夫』
そう2つの短いメッセを送る。
大丈夫。忙しいのは分かってるから。
…直接会えないのが寂しくないわけじゃないけど。
なんだか映画の続きを見る気分にもなれなくてそのまま寝ることにした。
- 10二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 15:57:17
「おはようございまーす。今日はよろしくお願いします」
「透ちゃんおはよう!今日誕生日なんでしょー?ケーキ用意してるから休憩の時に食べてねー!」
「あー…。ふふっ、ありがとうございます」
撮影スタジオに着くとスタッフさんたちが誕生日をお祝いしてくれる。こうやってお祝いしてもらえるのは、やっぱり嬉しい。
雑誌の撮影を終えて家に帰り、自分の部屋に戻ろうとドアを開けるとパン!という音が鳴る。
「わっ」
「お誕生日おめでとう!」「おめでと〜!」「おめでとう」
「…ふふっ、ありがと」
樋口と小糸ちゃん、雛菜がお祝いしてくれた。こうやって私の部屋で祝ってもらうのは毎年恒例だけど、毎回このクラッカーの音には驚いてしまう。
「透ちゃん、はい!プレゼント!」
「ありがと、小糸ちゃん」
大きな袋に沢山のお菓子が詰まっている。めっちゃ豪遊出来そう。
「雛菜からはこれ〜!ユアクマちゃんのキーホルダー!鍵に付けてね〜」
「ありがと。デカイね、わりと」
ユアクマがどっかの都道府県の名物を持ってる結構大きめのキーホルダー。これを付ければ鍵も忘れないで済むはず。たぶん。
樋口は小さな袋を渡してくる。開けてみると中にはシャーペンやボールペンといった筆記用具が入っていた。
「おー、サンキュ。助かるわ、シャーペン1本しか無かったから」
「ん」
たぶんちょっと前にシャーペンが壊れたって話をしたのを覚えてくれてたんだろう。去年は樋口の誕生日を忘れてしまって当日にプレゼントを渡せなかったので、今年はちゃんと覚えておかないといけない。
そうして4人で一緒にお菓子を食べたり、ゲームで遊んだり、おしゃべりをしたりして過ごした。
- 11二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 17:15:52
- 12二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 18:08:33
みんなとこうして過ごすのはすごく楽しいし、祝ってもらえることは嬉しい。でも、ここにもしプロデューサーがいたらもっと楽しかったのになと思ってしまう。
お母さんの作った晩御飯とケーキを食べてみんなは帰っていった。自分の部屋に戻るとついさっきまでみんながいたから、1人の部屋はなんだか寂しく感じる。
昨日中断した映画の続きでも見よう。そう思った矢先にスマホが震える。着信。表示される名前は、プロデューサー。
「もしもし?」
『もしもし、透?すまん、急に電話かけて』
「いいよ、全然。どうしたの?」
『実は予定より早く帰れそうなんだ。せっかくだし直接誕生日を祝いたいんだけど…どうかな?』
「…家だよ、今。私」
『なら迎えに行くよ。事務所でパーティーしよう。帰りも車で送る』
「…うん。来て」
「透、遅くなってごめんな。誕生日おめでとう!」
「ありがと、プロデューサー」
車に乗り込むとプロデューサーはすぐに祝ってくれた。
「私こそごめん。わざわざ来てもらっちゃって」
「俺が勝手にしたいことをしただけだよ。謝らないでくれ。…誕生日プレゼントだ。開けてみてほしい」
そう言ってプロデューサーは私に小包を渡す。開けてみると、小さなピアスが入っていた。
「…かわいい、これ」
「気に入ってくれたか?」
「うん。嬉しい」
「あははっ、喜んでくれて良かった」
プロデューサーは優しく微笑みかけてくれる。なんか、ドキドキする。
- 13二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 21:20:17
事務所に着くとプロデューサーが冷蔵庫からケーキを出した。
「誕生日ケーキも一応買ってきたんだけど…もう食べたか?」
「うん。スタッフさんからもらったのと、お母さんが買ってきてくれたやつ」
「だよな…。これは俺が食べるよ。残りは明日誰かに食べてもらおう」
「え、食べるよ。私も。別腹だし」
「…3回目、行けるのか?」
「ふふっ、大丈夫大丈夫。太ったらまた走れば良いじゃん、河原」
「ははっ、まあせっかくの誕生日だからな。贅沢してもバチは当たらないか」
プロデューサーのくれたケーキはフルーツのいっぱい乗った小さめのタルト。ロウソクを付けて一緒に写真を撮ってもらってから切り分けて、2人でおしゃべりしながら食べた。結構お腹いっぱいかも。
「もう遅い時間になっちゃったな。そろそろ家まで送ってくよ」
「えー…」
時刻は23時。たしかにかなり遅い時間だ。でも、まだ帰りたくない。最近はお互い忙しくなってきてプロデューサーを独り占めに出来る時間が減っていて寂しい。
「…一緒にいたい。もうちょっと」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど…」
それに今日は、私がワガママを言って良いはずの日だから。
「誕生日だよ、私。あと1時間で終わっちゃうけど」
「…ああ」
「…だから、あと1時間だけ」
「そうだな。いっぱい、お祝いしよう」
そう言ってプロデューサーは私の頭を優しく撫でてくれた。
「見て。着けてみた」
プロデューサーに貰ったピアスを着けて見せる。
「お、似合ってるな!思ってた通りだ」
「ねー、きれい?」
「うん。綺麗だよ、すごく」
「…ふふっ」
誕生日が終わってもこのままずっと着けてようかな、このピアス。
- 14二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 23:55:58
お題くれた人ありがとうございました
P透映画館デートも明日書きます - 15二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 00:25:23
おつおつ
めっちゃ透に可愛かったぜ! - 16二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 12:09:40
- 17二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 17:03:23
ありがてえありがてえ…!
- 18二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 19:52:54
約束の日曜日、俺は集合時間の20分前に待ち合わせ場所に到着した。家に迎えに行こうかと提案したが何故か断られてしまった。
「あれ、透?」
待ち合わせ場所にはベンチに座りながらスマホをいじっている透がいた。水色の涼しげなワンピースを着ていて変装用なのかサングラスと白い帽子を身につけている。
「あ、やっほ。プロデューサー」
「今日は早いな。絶対俺の方が早く来たと思ったんだけど」
「あー…うん。時間間違えて1時間前に来たから」
何とも透らしい理由だった。
「ねー、あれやってよ。あれ」
「何だ?あれって」
「ごめーん、待ったー?みたいなやつ」
「いや、俺は遅刻してないぞ…」
デートの待ち合わせで遅刻した時の決まり文句だが、一応約束の時間より早く来ている。
「良いから良いから」
「…すまん、透。待ったか?」
「ううん。今来たとこ」
「……ぷっ、あははっ。嘘じゃないかそれ」
「ふふっ」
なんだか透は満足そうだ。
- 19二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:56:17
「じゃ、行くか」
「うん」
映画館に向かいチケットと、ポップコーンと飲み物を2人分買って席に着く。隣に座ったのでかなり距離が近い。透の髪からはシャンプーの良い香りが漂ってきて、思わずドキッとしてしまう。透の方を見ると目が合い、微笑まれた。
映画の内容はよくあるラブストーリーだった。幼少期に出会っていた主人公とヒロインが高校生になって再会する。主人公は最初、ヒロインが昔出会った少女であることは知らなかったが山場のシーンで思い出し、ヒロインへの想いを自覚する。そうしてなんやかんやあってラストシーンには告白し、結ばれてハッピーエンド。ベタだけど途中に挟まれる小ネタや演者の演技力も良くて結構面白かったと思う。
エンドロールが終わって館内が明るくなったので透に話しかける。
「映画、すごく良かったな!」
「…」
「透?」
「え、あー…うん」
透はぼんやりしている。
「面白くなかったか?」
「そういう訳じゃないけど…」
「けど?」
「ううん、ごめん。出よっか、映画館」
「ああ…」
- 20二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:56:45
夕飯を食べるには早い時間だったのでゲームセンターで一緒に遊んだり、服屋や雑貨屋を見て回ったりして映画館の入ったショッピングモールの中を散策した。最初は口数が少なかった透もすぐに笑顔が増えて楽しそうにしてくれた。そうしてあっという間に時間が過ぎて、気づけばもう夕方になっていたのでフードコートで夕飯を食べ、解散することにした。
「今日はありがと。めっちゃ楽しかった」
「ああ、俺も楽しかったよ」
「…さっきね、少し羨ましいと思ったんだ。あの映画のヒロイン」
「え?」
「思い出してもらって、想いが報われてハッピーエンドになるの」
ふと、WING優勝後に夜の公園で透とした会話を思い出す。映画を見終わった後、少し元気が無かった理由もそこにあるのだろう。
「…透、ごめんな。昔会った時のこと、まだ思い出せなくて」
「あー…。ううん。違くて」
透は俺を安心させようとしているのかニコッと笑いかけて話す。
「今がめっちゃ楽しいから。これから先も楽しいじゃん。プロデューサーと一緒なら。だから、あの映画の通りじゃなくても良いよ」
「透…」
「まあ、思い出してくれたら嬉しいんだけど。それはそれで」
「…善処します」
「じゃ、おつかれ。また明日」
「ああ、また明日」
透が手を振り、去っていく背中を見送った後、俺は帰路についた。