- 1二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:09:32
- 2二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:10:58
初代
【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことを|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だったと思い込んでいる世界なので全員スバルを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみにお互いに「スバルは自分の弟だ!」と言う具合に争ったりしているスバルにとっては自分を弟と言いな…bbs.animanch.com2代目
【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことを|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だと思い込んでいる世界なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っているスバルにとっては自分のことを弟と呼ん…bbs.animanch.com3代目
【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことをPart3|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だと思い込んでいる世界 なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っている スバルにとっては自分のことを弟と…bbs.animanch.com4代目
【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことを4|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だと思い込んでいる世界 なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしている ちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っている スバルにとっては自分のことを弟…bbs.animanch.com5代目
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11代目
【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことを11|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だった思い込んでいる世界なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っているスバルにとっては自分のことを弟と呼…bbs.animanch.com11.5代目
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【閲覧注意】ここだけ大罪司教がスバルのことを12|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だった思い込んでいる世界なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っているスバルにとっては自分のことを弟と呼…bbs.animanch.com12.5代目
ここだけ大罪司教がスバルのことを12.5|あにまん掲示板前世自分の可愛い弟だった思い込んでいる世界なので全員スバルのことを自称兄(姉)として連れ戻そうとしているちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争っているスバルにとっては自分のことを弟と呼…bbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:17:25
SS
色欲は弟を探す | Writeningカペラ・エメラダ・ルグニカには弟がいる 弟といっても、妾の子で、半分の血のつながりがない弟だが 城での扱いは自分と比べれはひどいもので カペラからの扱いもひどいものだった ただ、弟はバカなのかカペラ…writening.netブラコンカペラのスバル争奪戦① | Writeningここは誰も知らない、とある人気のない 洞穴の中で少女は王座に腰掛けていた 「.......はぁ、」 少女の名前は、カペラ・エメラダ・ルグニカ 魔女教大罪司教『色欲』担当で この世の愛と尊敬は自身の為にあると…writening.net※未完成
『飽食』の『憤怒』と『嫉妬』 | Writeningライ「スバルがまだ8歳の頃だったかなァ あのときのスバルはそれはそれはもう人懐っこくて可愛かったんだよォ」 ロイ「奴隷として売られた僕たちの癒しだったもんねェ」 ライ「俺たちと同じように辛い環境だ…writening.net - 5二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:18:30
この世界線の説明 ⚠️一部個人のオリジナル設定注意
この世界線では大罪司教達がスバルの事を
前世の自分の可愛い弟だった思い込んでいる
大罪司教全員はスバルのことを自称兄(姉)として
連れ戻そうとしている
スバルに対する感情と愛は重く過剰なスキンシップを
行ったり、自身の弟を信仰する宗教団体を作り上げるほど
ちなみに全員「スバルは自分の弟だ!」という具合に日頃争い 時には争奪戦を繰り広げており スバルは度々
それに巻き込まれている
ブラコン大罪司教達からスバルを守るため
ラインハルト、ラム、ユリウス、シャウラ、レム達などで結成された『スバル親衛隊』と言う組織がある
ブラコン大罪司教が毎回スバルに迫り、その度に
ラインハルトに倒されるのはお約束の展開がある
どう言うわけなのか、大罪司教達にはスバルと死に戻りと
似た能力を持っており 何度殺されても死ぬことはない
スバルに嫌われたくないため、魔女教による被害は
少ない
スバルにとっては自分のことを弟と呼んで追いかけてくる不審者扱いをされているが、最近では前世の記憶があるのか、絆されてしまったのか 少しだが彼らの求愛を受け入れている - 6二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:21:05
人物紹介
ナツキ・スバル
自称兄を名乗る不審者達の被害者 初めて『怠惰』の大罪司教に出会ったときに
感動の再会と言わんばかりに抱擁し、自身の兄だと名乗られる
それがきっかけで、彼とその関係者の非日常の毎日が始まる
ペテルギウス・ロマネコンティ
『怠惰』の大罪司教にして、ブラコン1号
スバルとは一番最初に再会する(スバルにとっては初対面)
再会の感激のあまり嬉しくなっているところを、隙をつかれてスバルに逃げられてしまう
それをきっかけにスバルの存在が 他の大罪司教達にも
知れ渡ることになる
レグルス・コルニアス
『強欲』の大罪司教にして、ブラコン2号にしてノミ以下
79番目の空席を埋める為にプリステラに来たが
そこでかつての前世の弟に似たスバルに遭遇し
花嫁と一緒にスバルも連れ去ろうとする
後に失敗し、以降他の大罪司教と共にスバルに付き纏う
事になる
シリウス・ロマネコンティ
『憤怒』の大罪司教にして、ブラコン3号
レグルスと同じく、刻限の塔で前世の弟と似たスバルに
思いがけず再会し、接触を試みるが剣聖に阻止される
それ以降、スバルは執拗に執着されることになる - 7二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:22:33
ライ・バテンカイトス
『暴食』の大罪司教 『美食家』にしてブラコン4号
奴隷時代に溺愛して、食よりもかけがえのない存在で
死に別れた前世の弟が再び現れるのを
福音書で知り、再会できる日を今か今かと心待ちにしていた
そしてプリステラでそれが叶うことになる
ロイ・アルファルド
『暴食』の大罪司教 『悪食』にしてブラコン5号
ライと同じように食と同じく大好きだった前世の弟
との再会が叶うと福音書で知り、再会を待ち焦がれていた
ライより先にプリステラで再会したとき、嬉しさのあまり
そのままスバルの方に向かうも、タイミング悪くルイが出てきて、邪魔された上に同行していたクルシュと
ユリウスに阻止され スバルに逃げられてしまい
スバルとの再会を台無ししたルイと二人に憎しみの感情を剥ける - 8二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:23:40
ルイ・アルネブ
『暴食』の大罪司教 『飽食』にしてブラコン6号
ライとロイのように弟のスバルを愛しているが
お腹の中にいた母と一緒に死んでしまったため
ライとロイが魔女因子を取り込んで兄を身体を乗っとり
ようやく自分もスバルと、思っていたときにはもうとっくにスバルは死んでしまっており
唯一スバルと関われていないため、幼いスバルと過ごしてきたライとロイには嫉妬と憎しみの感情を向けている
ライとロイ経由から、スバルと再会出来ることを知り
ようやく自分もスバルと思いロイと肉体を乗っとり
兄弟の中で唯一出来なかったスバルとの触れ合いを実行しようとするも、ロイにすぐに戻され
生前はスバルとあんなに過ごしてきたくせにどうして
わたしたちの邪魔をするんだとロイに怒り狂う
その後もライにも阻止され続けて、拉致が開かず
このままだとスバルに会うことも出来ないと考えたルイは
プレアデス監視塔の『緑の部屋』にいる精霊を取り込み
遂に実体化することに成功し、スバルの元へ向かい
無事、再会することになった - 9二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 03:24:51
カペラ・エメラダ・ルグニカ
『色欲』の大罪司教にしてブラコン7号
かつてはルグニカ王族で大変美しく、聡明な人物であった
生前の弟は、妾の子で血の繋がりは無く
みずぼらしく、カペラ達から蔑まれていたが
よくカペラに懐いて、カペラを姉様と慕っていた
カペラはそんな弟を蔑むながらも、媚びを売る他の人間とは違う純粋に慕う弟にいつしか絆されていった
ある時、カペラは龍の呪いを受けて、持っていた
美貌、美声、知識を失い 見る影も無くなった彼女に
周囲は価値を失ったとばかりに
奴隷も家来も家族ですら彼女から離れていった
そんな中、弟だけは離れずに彼女の側にいた
呪いでろくに動けないカペラの世話を毎日して
自分もボロボロになっても、彼女が治る事を信じて
献身的に彼女の看病をし続けた
ある日、カペラは奇跡が起き 呪いが解けて
美貌や美声や知識を取り戻すと、それを報告する為に
弟の元へ向かうと、変わり果てた弟の姿を目の当たりにする
奇跡では彼女を慕う弟が彼女の呪いの代わりに受けていたのだ
それを知った彼女は絶望し、命の灯火が今にも消えそうな弟に必死に呼びかけるも弟は彼女に愛を伝え死んでしまい
彼女は亡骸を抱えて慟哭した 弟が姉を愛していたように
カペラもそんな弟に絆されて愛を感じていた
弟を失った後はぽっかりと穴が空いた心を埋める為
弟の代わりの愛を求めたが、自身の心が満たされる事は
なかった
後にプリステラでスバルに再会することになる - 10『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:26:20
度々スレ落ちすみません、一旦一から貼り直します
- 11『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:28:05
冒頭 ルグニカの街
「スーちゃんは私の可愛い弟!」
「スーちゃんは私の愛しい弟!」
「スーちゃんは可愛い!」
「スーちゃんこそ至高、スーちゃんはただ一人の私の
愛する弟」
「スーちゃん大好きィィィィィィィ!!!!!!」
「スーちゃん愛してるぞーーー!!」
レム「スーちゃんくんは、私の愛しく大好きな弟です!」
ラム「バルスーちゃん、私を姉様と呼びなさい!
レムとバルスーちゃんは私の大好きな妹と弟だわ」
オットー「ナツキさんは、いやスーちゃんは僕の弟!大切な弟!」
ガーフィール「スーちゃんの大将は俺様が守りたい弟だァ!!
手を出すやつはぶっ◯す!」
エミリア 「私の可愛い可愛いスーちゃん どこにいるのー?」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
「スーちゃん!」「スーちゃん!」「スーちゃん!」
スバル「......なんだよこれ、どうしてこうなった...?」 - 12『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:31:03
数時間前
「....あぁ...あぁぁぁぁ....」
酷く陰鬱な雰囲気に満たされた空間 そこに床にうずくまり、すすり泣く全身包帯で覆われた女が1人いた
彼女の周りには無数の大きな鏡が浮遊して囲んでいる
シリウス「どうして... どうして.....どうしてどうして.....
スーちゃんは私の愛する弟なのに....」
レグルス「またうじうじと泣いてるわけ?」
すすり泣く女の周りに浮かぶ鏡の一つが光ると、性別の
異なる声とともにウンザリとした様子の白髪の男が現れる
レグルス「そうやって泣き喚いていれば、スバルが
君の元に来るとでも思っているのかなぁ?
浅ましい、図々しいことこの上ないと自分で思わないの?
こんな情けない醜態を晒して、仮にも君の前世の弟だったスバルが哀れでならないよ」
「きゃははは テメェが言えたことですかぁ?」
白髪の男の左隣の鏡が高笑いとともに光り、少女が姿を
現す
カペラ「テメェは、男としても、人としても器が小せえ上に中身クソガキで独りよがりを相手に押しつける
兄失格、人間失格のキモクズ野郎だから
テメェの弟だった時のスバルは、そんなテメェのお守りは
さぞかし大変だったでしょうねぇ」
レグルス「はっ!自分の事を随分と棚に上げて言ってくれるじゃないか!
君みたいな人間の尊厳と価値観を弄ぶ心も体も醜い肉女を姉に持っていた前世のスバルはさぞかし命がいくつあっても足りなかっただろうね
もし、その時期に僕がいたら今頃君をバラバラにして
スバルを救っていたさ!」
カペラ「......あぁ?身も心も美しい姉のアタクシ様が
可愛い可愛い肉弟に、そんなことするとでも思ってん
のかぁ?」
- 13『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:33:31
ライ「──あァ、わかるよ、わかるさ、わかるとも!」
今度はレグルスの右隣から光り、褐色の肌をした
長髪の青年が現れる
ライ「大事な大事なこの世で唯一の僕たちの宝物に
汚い虫ケラがたかっていたら そりゃあ僕たちも頭にくるってもんサ」
『暴食』の大罪司教ライは心底ウンザリしたように
毒々しい言葉を挑発げにぶち撒ける
それを聞いたレグルスとカペラは
カペラ「.....おい餓鬼テメェ コラ
その汚ねぇ虫ケラってのは このアタクシ様のことを
言ってんのか?
虫ケラは餓鬼とそこの器極小の童貞野郎だろ?
後テメェ、誰の唯一の宝物だぁ?」
レグルス「.....あのさぁ、僕に向かって汚い虫ケラって
どう言うことなのかな?バテンカイトス
この肉女に向かって、言うのならわかる 事実だからね」
カペラ「あ?」
レグルス「けど、僕にそれを言うのはいくらなんでも
おかしくはないかい?
まぁ....君含めたクズ達の罵詈雑言なんてまともに聞くのも
馬鹿らしいと思うから、そこは大目に見てあげるよ
けどさ、君の言うこの世で唯一の僕の宝物というのは
聞き流せないなぁ
だって、スバルは僕の愛する弟で僕はその兄だと言うの
勝手に私物化して我が物ヅラするなんてさ」
- 14『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:38:08
レグルス「.....つくづく思うんだ 本当に君たちは邪魔で
仕方がない 虫ケラですら可愛く思える
スバルに配慮して、君たちにスバルと関わる権利を
与えてあげているけど
本当ならね、スバルには僕だけいればいいんだ
邪魔する奴らは一人残らず消し飛ばしたいって今でも
思っている
存在そのものが兄である僕の権利の侵害だからね
けれど、それじゃあスバルが悲しむから 優しい僕は仕方なく配慮や譲歩してあげているんだ
なのに、君たちと来たら ここまで君たちですら譲歩してあげた僕の優しさに感謝すらせず胡座をかくどころか
僕からスバルを奪う暴挙にまで出る始末だ
本当さどこまで人として終わり続けるだけ続けるんだい?君たちは」
レグルスは、カペラとライに日頃の不満をぶち撒けるように長々と捲し立てる
ライ「何寝言を行ってるんだい?アンタ」
レグルス「はぁ?」
- 15『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:43:13
ライ「配慮?譲歩してあげたってェ?──逆だねェ
むしろ俺たちは、スバルとの時間をアンタらに邪魔されて奪われ続けてるんだァ 何が感謝だァ?ふざけんなよ
馬鹿がァ......
レグルス、アンタが僕たちを邪魔だと思うように
俺たちもアンタもそこの害毒女も邪魔なんだよォ
アンタらがスバルに群がるたびに僕たち怒りで
どうにかなりそうなんだァ
スバルには僕たちとロイとルイが入ればいいんだよォ
全く、スバルが止めなきゃ お前らなんてとっくに
ブチ殺して、俺たちはスバルとこれからも一緒に」
カペラ「随分とイキり散らかしてくれるじゃねえですか
餓鬼と童貞野郎如きが」
ライ「はァ?肉塊女が」
レグルス「はぁ?肉女までなんだ、また僕に文句でも
言うの?」
レグルスと同じように日頃の不満をぶちまけたライに
それに対して連鎖するようにカペラが口汚く二人を
罵倒し
- 16『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 03:54:37
カペラ「アタクシを殺しきれる事すらできねえ雑魚肉共が
テメェらのように、老若男女問わずこの世界の
一人を除いて全ての人物を平等に愛する博愛主義者の
アタクシ様でさえも愛せねえ、救いようのねえ
クズ肉共にアタクシの可愛い可愛いアタクシだけの
最愛の弟に汚ねぇ手で触らねえでほしいし
心底近づかねえでもらいてえんですよ
特にテメェみてえな童貞野郎には
邪魔者か...それはアタクシも同じですよ
常日頃、テメェらが邪魔で邪魔で仕方がねえと思っているんですよぉ」
ライ「いい加減諦めたらどうなのォ?肉塊女にレグルス
俺たち兄弟に散々出し抜かれて一体何が出来るのサ」
カペラ「あぁ?クソ餓鬼が生意気に
.....そうだ、この前みてえに、兄弟揃って雑魚雑魚な非力なチビ魔獣に変えてやってもいいんですよ?
その時のテメェらは、泣き喚くしか出来なくて惨めで
傑作でしたねぇ、キャハハッ」
レグルス「肉女に出し抜かれた時か、全くこんな肉女一人に兄弟揃って不意をつかれて、何も出来ずに終わるだなんて、確かに情けなくて涙が出るよ」
ライ「.....ちっ」
- 17『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:02:21
ライ「....それがどうしたってのサ まさか僕たちが
同じ手を二度も食らうとでもォ?────ないない
ガキだからって舐めすぎだよ肉女
二度も三度も同じ手を食らうのはそこの無駄に
長生きしてる、権能だけには恵まれた学習能力のない馬鹿ぐらいでしょ」
ライはレグルスを方に向き、嘲り笑いながらそう吐き捨てる
レグルスは、ライに言葉に舌打ちをし
レグルス「...あのさぁ、肉女もそうだけどさ、バテンカイトスはさっきからいい加減に僕を怒らせたいわけ?
もし鏡越しの会話じゃなかったら僕は今頃君をバラバラになってるころなのに」
カペラ「仮にしたとしても、それ無意味なんじゃ
ねーです?
だって、アタクシ達 何度死んでも生き返る不死身になってるんですから」
レグルス「....っ あぁ、そうだよ そうだったよ!
君の言う通りだよ 何度殺してはしつこく甦る
キリが無いったらありゃしない
この能力は僕だけに与えて欲しかったよ
ただでさえ、鬱陶しい君達に不死身だなんて
授けた神様か何かは知らないけど 全く気が効かない上に
飛んだ迷惑だよ」
カペラ「そう言ったテメェがその神様とやらの機嫌を
損ねて
能力を剥奪されたらアタクシ的にはいいんですがねぇ」
ライ「全くだよォ、もしそうなるのなら
ただでさえうるさい奴を排除できるようになるんだから
俺たちは好都合ってもんサ、スバルを取り戻す事が
やりやすくなるからねェ」
レグルス「お前ぇぇぇ.....」
- 18『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:12:15
鏡に映る3人は互いに一人の存在などいないように
口々と罵倒し合う、そのときようやくその存在に
カペラは視線を向け
カペラ「──つーか、テメェはいつまで泣いていやがるんです?」
シリウス「....どうして?どうしてなの?どうしてですか?」ブツブツ
一人うずくまりながら何かをブツブツと呟く様子に
カペラは呆れた様子でシリウスを見る
ライ「本当、何度見ても不思議だよねェ
誰かのために流す涙なのに全然惹かれない
やっぱり素材が腐ってちゃ、どんな料理も高い残飯に
成り下がるだけだからねェ
....まあこの料理に関しては、汚物一つもかかって欲しくはないけどね」
シリウス「...貴方を、誰かが奪う....誰もが私とスーちゃんの姉弟愛を邪魔する....許さない...絶対に許さない....!
ペテルギウスを除いたお前たちを....」
シリウスはそう怨念をぶちまけた後頭を上げ、鏡に映る
3人を睨みつける
レグルス「──そう言えば、君ってスバルを取り戻すとか
言ってたけど、未だに出来てないよね?
ペテルギウスもだけど
出来かけたって言ったら僕と.....不本意だけど、肉女とバテンカイトスとアルファルドとアルネブだよね?」
ライ「....あァ、そうだったねェ 俺たちはスバルを
取り戻すためにロイとルイで一緒に逃げて
何ヶ月も逃げきることに成功したものォ
.....剣聖さえ来なけりゃ、一生逃げ切れたかもしれなかったのにサ....
全く、あの剣聖をイタダキマスさえ出来たら
僕たち敵無しなのに」
- 19『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:15:33
カペラ「負けた言い訳はいいんですよぉ
仮に剣聖を喰らったところで、アタクシに勝てるとでも?
てかアタクシ様なんて肉弟とは1年は愛を育んできましたから」
レグルス「肉女の君が言うと下品なニュアンスにしか
聞こえないんだけど、自覚はないのかい?」
カペラ「黙っててくれますぅ?」
ライ「認めたくはないけど....あのときは、カペラに一番近くにいた『悪食』のロイですら舌を巻いていたねェ....」
カペラ「あの剣聖でもアタクシを見つけることは
出来ませんでしたからねえ
他のクズ共には出来ねえ事をアタクシは成し遂げる事が
できた.....
アタクシの優秀な「息子」と「娘」に剣聖でも撒くことが出来る
アタクシの隠密技術 アタクシに隙なんて───
.......ねえと思ってたんですがねぇ」
レグルス「確か、スバルの友人の、確かオットーだったね
あのときの彼はスバルの為に本当によくやってくれたよ」
ライ「正直、あのお兄さんがあそこまで優秀で執念深い
男だとは思わなかったよォ
スバルの為に血反吐を吐いてまで探していたからサ」
カペラ「ホント、スバルの奴は煩わしく、面倒で
──良い友人を持ったもんですよ」
- 20『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:22:21
カペラは、しみじみとした様子で呟く、先ほどまで罵詈雑言をまくしあっていたレグルスとライもそれにうんうんと同調する
カペラ「....それにしても、あの1年は本当に有意義で
幸せでしたねぇ
スバルにあーんしたり、一緒に風呂に入ったり
一緒に布団に寝たり....」
ライ「.....何?次は自慢話かい?俺たちだってそれ全部
やれてんだからサ」
レグルス「....ただでさえ、何ヶ月も何年もお前らに
スバルを好き放題された事にも腹立たしいのに
肉女に関しては連絡が来たと思ったら、スバルとお前の 女共がお菓子作りしているのは見せつけられたときは怒りがどうにかなりそうだったよ...」
ライ「馬鹿に同意だねェ、その上俺たちを嘲りながら
甲高い笑い声を上げていた時は
流石に僕たちも殺意が湧いたよォ......」
カペラ「キャハハハハハハハハハ!!あのときの
テメェらの顔は思い出しても傑作でしたよぉ!
あのときの惨めに指を咥えて見てるテメェらはぁ
──キャアハハハハハハハハハハハハッ!!!」
ライ「あァ....これが鏡越しじゃァなかったたらなァ
そうしたら、その場で殺せるのにサ」
レグルス「......今回ばかりは君と同意見だよバテンカイトス」
- 21『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:27:13
カペラの煽り口調に、レグルスとライが苛立つ
そして再び醜い争いが始まりかけようとしたそのとき
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
レグルス「あ?」
ライ「おやァ」
カペラを映し出していた鏡が突然凄まじい破砕音と共に破壊された
袖から飛び出した、鎖をぶら下げたシリウスがゆっくりと
立ち上がる
シリウス「ふぅ....ふぅ....スーちゃんの、爪 スーちゃんの、髪 スーちゃんの、骨、血肉、魂まで何もかも.....
全て私のものなのに....そのはずなのに」
レグルス「....あのさぁ、流石にそれは弟に向ける感情じゃないよね?
君の頭がおかしいのはわかった上で言うけどさ
吐き気がするほど気持ち悪いって自分で気づかないの?
スバルが聞いたらどんな顔をするか想像できない?
そんなんだから、君は未だに僕達のようにスバルを──」
その言葉が最後まで放たれる事なくもう一つの鏡も
鎖で砕け散った シリウスは目を血走らせながら
最後に残った鏡の方に目を向ける
- 22『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:31:27
ライ「おやおや、俺たちももう及びじゃないみたい
じゃあ僕たちも小腹が空いたから──」
ルイ『お兄ちゃん、今、スバルと私たちでご飯一緒に
食べに行く約束したから早く来てよォ』
ロイ『早く、来ないと置いて行くよォ』
ライ「え? スバル来てくれたのォ!?
今すぐに行くからちょっと待っててほしいのサ!
じゃあ俺たちは、スバルから及びが来たのでバイバイ
僕たちに嫉妬しないでね─────」
シリウスによって最後の鏡も鎖で破壊された 最後の一撃は鏡の本体をも破壊していた
シリウス「ふぅ..... ふぅ..... 」
ギラギラと、異様に見開かれた紫紺の瞳が血走り
拳を強く握りしめていた そして懐から何かを取り出す
シリウス「.........スーちゃん」
それは自身がこよなく愛するナツキ・スバルの
小さなめいぐるみ いわゆるスバぬいだった
シリウスはそのスバぬいを顔に押し込み
シリウス「.....スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
大きく鼻で息を吸い込んだ やわらかい毛並み
お日様と自身の愛する弟の匂いを愛を全身に感じ
快楽がシリウスの全てを支配する
- 23『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:37:12
シリウス「.....あぁ.....❤️ スーちゃん、私は今貴方の愛を
全身に感じています.......❤️」
悦に浸った様子で、シリウスは激しく体を震わせる
シリウス「───けど、それだけでは全然足りない...
ぬいぐるみも良いですが、私は生身でスーちゃんの愛を
感じたい!!!
....ですが、それをしようとするものなら
あのクズ達と剣聖とあの半魔と鬼女姉妹どもがぁ!!!
お前らのせいで、私がスーちゃんとの時間を奪われていると思っている!?
私にはその権利すら与えられず私は一生を終える言うのか....?
....やめろ...やめろやめろやめろやめろやめろやめてよぉ!!!
お前らに奪われてたまるものか!!
スーちゃんは私のものだ!!私があの子から貰った
宝物だ!!! それはお前らは......
────決めました 私は動きます スーちゃんを
最愛の弟を取り戻すため私はもう決めました
....待っててね、スーちゃん 私と貴方でまた一つに
なりましょう」
情緒の激しい『憤怒』の大罪司教は何かを決意したように
薄暗い場所を後にする
- 24『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:40:07
人々が賑わうプリステラの広場、その中にシリウスは
ブツブツと呟いていた 民衆は関わりたくないので
素通りして立ち去っていた
シリウス「──とは言え、どうしましょうか.....
スーちゃんを取り戻すにしろ、他の大罪司教達や
剣聖達、親衛隊が邪魔する以上迂闊には動けない....
私の権能で足止めすると言う手段もありますが
剣聖に効果は全くないでしょうし...共感性のない大罪司教達にもあの女にも.....あぁ!!考えるだけでも腹立たしい!!
私はスーちゃんと繋がりあい、一つになりたいと言うのに!それをどこまでも邪魔をし、否定し 踏み躙る
姉と兄を名乗り、弟に付き纏う異常者共め!!独りよがりも大概に──」
リリアナ「さ、騒がしいと思ったら、またプリステラに
来ていたんですね あなた」
シリウス「....あら、あなたはいつぞやの歌姫」
- 25『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:42:18
リリアナ「....ま、また、何しに来たんですか?
この前もあなた...あなたきゃ」
シリウス「あら大丈夫ですか?舌を噛みましたか?」
リリアナ「失礼、噛みました いやそうではなく
この前、あなた刻限塔に来ていましたよね?
私見てましたよ
何でも、この世で生きてきた中で一番の幸せな事を
経験いたしましたとか言って
ラインハルトさんに止められていましたよね?」
シリウス「....えぇ、そうですね あの時は本当に
私は幸せに満ち溢れていたんですよ
あぁ....ありがとう、ありがとう これほどまでに
私の世界は愛と幸せに満ち溢れている!」
シリウスはもじもじと両人差し指を押し合いながら
照れながら答える
そして、今度は空を見上げ、両手の指を絡めて
祈りように握り、感謝と歓喜の声を挙げる
その様子にリリアナはドン引きする
ドン引きする理由はシリウスの様子でもあるのだが
あのときシリウスが言いかけた
『私はこの前、この世で生きてきた中で一番の幸せな事を
経験いたしました それはスバ──ゴハァ!!』
....想像したくはないが、リリアナは恐る恐るシリウスに
問いかける
※シリウスの刻限の塔については、前スレ7の195を
参照
- 26『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:43:58
リリアナ「.....あの」
シリウス「──あら?どうかされましたか?」
リリアナ「あのときの...刻限塔であなたが言っていた
幸せな事って、もしかしてナツキ様に関係があります?」
それしか浮かばない、このブラコンの姉を名乗る怪人の
幸せそうにしている理由はそれしか浮かばない
正直わざわざ聞かなくてもわかりきっていた
だが、今まで見たことがない喜び方にリリアナは嫌な予感しかしない
まともな人間であれば、まだ微笑ましく見れるだろう
だが相手は魔女教で、悪名名高い大罪司教達
絶対にロクなことじゃないと言うのはわかっている
だが、兄弟と言うのはどういうものかと言う 何気なく
思った興味に思わず聞いてしまっていた
リリアナ「(....やってしまった...大罪司教相手に)」
リリアナの返答に対し、シリウスは一瞬ぽかんとした
表情を浮かべるも、すぐに満面の笑みになり
シリウス「──えぇ、えぇ!そうなんです!」
- 27『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:45:20
同時刻 プリステラの城下町
カペラ「げっ」
プリシラ「誰かと思えば貴様は大罪司教
『色欲』だったか?凡夫に何か用事か?」
アル「また来てたのかお前
プリステラでお前ら大罪司教がよく来ているのは聞いているがよ
プリステラはお前らの庭じゃねえんだぞ」
カペラ「....アタクシ、弟に用事だなんて一言も
言ってねえんですが」
プリシラ「貴様らの行動など言わずとも
わかっている 仮に用事で無くとも ここに来たのは
凡夫に関係することであろう?」
アル「まあな、思うつったら それしかねえわな」
カペラ「....ちっ、そこのクズ肉はともかく
テメェみたいな、気分屋で傲慢のメス肉の顔なんて見たくなかったです」
プリシラ「それはこちらもじゃ、大罪司教」
- 28『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:47:36
カペラ「うるせえよ、乳デカ肉が それならアタクシに
話しかけてくんじゃねえよ」
プリシラ「その物言い、無礼ゆえに下品であるな
貴様、仮にもあの凡夫の弟であろう
貴様らの身内の事情など興味はないが
弟でありあの半魔の騎士である凡夫の顔に泥を塗りたぐるとは考えぬのか?」
カペラ「どうとでもいいやがれ アタクシはあの魔女の
娘達と一緒になる事は許しても、今でも認めてなんざ
いねえ
スバルはアタクシだけの肉弟だ
今すぐに騎士なんてやめて、アタクシの側にいつまでもいて守られていりゃあいいんですよぉ
てかもうテメェらに付き合う時間はねえからアタクシは
もう行きますから それじゃ、ごきげんよう」
アル「....やれやれ、聞いてたとおり過保護なお姉さんだ こった 過保護なのは他の大罪司教の連中も同じか
アイツらが原因で、魔女教の活動がめっきり減って
組織内が衰退の危機になってるとか噂になってるらしいぜ
もう一つ噂と言ったら、最近 アイツらが兄弟を信仰する組織が創って、そっちの方が活発化してるみたいだぜ
姫さん
全く、一体何をやらかしたらああなんだよ兄弟」
プリシラ「愛着に執着か、大罪司教の連中にそんな
感情を植え付けるとは
凡夫もなかなか楽しませてくれるな」
- 29『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:50:10
- 30『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:52:59
シリウス「───私の、私だけのスバルはですねえ」
そこからはとても信じがたい内容だった
あのスバルがこの狂人にキスをするなど熱烈な
スキンシップをしたと言うのだ
姉と兄を名乗る彼女たちに付きまとわれていると以前
聞いた事があるが、そこから一体何があったと言うのだろう
いやそんなことよりも、聞くんじゃなかった
兄弟のいる感覚がわからない自分でもわかる、これは
おかしい こんなの姉弟ですることではない
と言うかあのスバルがそんなにこの大罪司教を好きになっていたなんて
....いやこの狂人のことだ、スバルに何か洗脳か何かをしたのだろう そうに違いない
リリアナ「(....ナツキ様、お気の毒に)」
スバルの境遇に心からの同情を感じたリリアナ
シリウスは構わず、幸せに満ち足りた様子で自分がどれほど幸せだったかなどの惚気話を語り続けている
- 31『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:55:02
- 32『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:57:12
リリアナ「へ....歌?えっと、えと....歌ですか?」
シリウス「えぇ、突然の質問をごめんね
いえ、質問では無く相談ですね ここに来た目的を思い出したのですが
最近スーちゃんがね、プリステラにいた歌姫の歌声が
良いと話していましてね
....一体そのスーちゃんを誑かした、身の程知らずの歌姫はどこの女かと会いに来たのですが
.....あなた...ですよね?」
リリアナ「え?──ひぃ!?」
穏やかな口調が別人のように氷のような冷たい口調に
変わる
表情を見れば無表情だが、その目はリリアナを憎むかの
ように睨みつけていて リリアナは思わず尻餅をつく
シリウスはお構いなしにはぁっ...とため息をつき
シリウス「......私もねえ、そんな女の歌声なら
私の歌声で塗り替えてやれば良いとスーちゃんの前で
歌を披露したんですよ 歌は素晴らしいものですからね
.....ですがダメでした、なぜかスーちゃんに怒られてしまいました
それだけではなくそれを聞いていた他の大罪司教達から」
- 33『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 04:59:26
『そんな醜く汚物のような歌声をアタクシの可愛い弟に
聞かせるなや!怨念慕情の変態メス肉が!』
『あのさぁ、そんな酷く耳障りな雑音を僕のスバルに
聞かせるなんて、君どんな思考してるの?
歌を歌うのはいいと思うよ 歌と言うのは心を潤してくれるものだ
けどそれは、歌が上手い場合の話だ 君の歌声は酷い
自分で酷く音程が外れていてうるさいだけの声になっているのわからない?
それって、僕のスバルに対する権利の侵害だよね?』
『これは酷いねェ、食事で例えるなら、ハエの集ってる上にカビだらけの生ゴミさァ
こんなのルイはもちろん『悪食』のロイでも吐き出すぐらいだよォ』」
シリウス「.....それだけではなく、ペテルギウスにまで...」
『アナタが、スバルを元気づける為に歌を歌ったと言うのはわかりました
その勤勉と献身的な姿勢は認めるのデス
.....デスが、それは結果で示さなければ意味はありません
アナタはスバルを元気づけるどころか、逆効果になりました
私達はスバルへの愛に常に応えなければならない使命が
あるのデス
それを怠ってしまったアナタは──『怠惰』デスねえ?』
- 34『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 05:00:42
シリウス「──あぁ!どうして!どうして!どうしてぇ!」
リリアナ「....嘘でしょ、今度は泣きだしましたよこの人」
今度は人目も憚らず、膝をついて大声で泣き喚くシリウス
リリアナは思った 今日この広場で歌いに来たのに
それがどうして『憤怒』の大罪司教に遭遇してしまい
どうしてこんな事に巻き込まれているのかと
リリアナ「(...はぁ、このままだと埒があきませんね)」
まだ泣き喚いているシリウスにリリアナは仕方なく
声をかける
リリアナ「...あの、シリウスさんでしたっけ?
私に相談があると仰って...ましたよね?それは何──」
シリウス「そう!相談!それなんですよ!!」
リリアナ「──ひゃあ!?」
急に何かを思い出したかのように顔を上げ、立ち上がり
リリアナの方に顔を近づける
リリアナ「(ち...近い...さっきまで嬉しそうにしたり、
怒ったり、泣き喚いていたのに
この人は情緒不安定過ぎませんか?)」
- 35『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 05:04:03
シリウス「私があなたへの相談....それはどうしたら
貴方のような歌声を出せるのかを教えていただきたい
のです!」
リリアナ「え...えぇ!?わ、私のような歌声?」
シリウス「えぇ、私は私は常にスーちゃんの、可愛い弟の唯一の存在でありたい!
──それ以外に弟に関わる存在はこの世に不要だと私は
考えています
本来ならばあなたを見つけたらすぐにでも焼き殺していましたがね」
リリアナ「(....さりげなく、やばいこと言ってるなぁ
私あなたに遭遇したら意味不明な恨みで焼死しかけたんですか?)」
シリウス「....ですが、スーちゃんがそれを望まないので
殺さないでおいてあげます
不本意ですがね....そう不本意!!本来ならば消・し・炭
ですがね!! ──あぁ!忌々しい!!どこまで私は
我慢を強いられなければならない!?」
リリアナ「(もう嫌だ...この人本当に怖いしめんどくさい
キリタカさん助けて....)」
- 36『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 05:06:57
レグルス「騒がしいと思ったら、あのさぁ....」
シリウス「ちっ、何であなたがここに」
リリアナ「(誰ですか...?)」
レグルスが二人の前に現れる、買い物でもしてきたの
茶色の紙袋を持っていた
レグルス「君、こんな公共の場で何を大騒ぎしてるんだい?
別に君がどこで何をしていようが僕に関係はないし
興味はないんだけどさ
ただ、君もスバルの姉を名乗るのなら 弟であるスバルに
迷惑になるような行動は取らないようにするべきなん
じゃないの?
君のその身勝手な行動でスバルに多大な迷惑をかける事だとは思わない?
それって僕と僕のスバルに対する名誉と権利の侵害だよね?」
リリアナ「(....す、すごいよく喋る なんですかこの人─)
カペラ「まさか、童貞野郎に同調する日が来るなんて
つーか、テメェ何でまたここにいんのぉ?変態メス肉
ん?そっちのメス肉は誰でしたっけ?」
リリアナ「(この声....都市庁舎で放送していた声と同じ?まさか『色欲』の大罪司教!?
プリステラによく来ているのは知っていますが
この人にも遭遇するなんて)」
カペラ「──その様子だとアタクシが誰なのかわかっているみたいですねえ と言うよりアタクシ達ですかね」
リリアナ「(!? 見透かされてる!?)」
- 37『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 08:47:21
- 38『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 09:07:47
シリウス「揃いも揃ってあなた達は....邪魔するんじゃない!今私はこの方と──」
ペテルギウス「何をやっているのデスか!?シリウス!」
シリウス「ぺ、ペテルギウス!?」
リリアナ「(今度は滅茶苦茶怖そうな人が!?)」
ペテルギウス「スバルの知り合いの方に迷惑はかけては
なりません!スバルとのお約束でしょう!?
──そこのお嬢様方、私の所の『憤怒』がご迷惑を
おかけして大変申し訳ないのデス」
リリアナ「は、はい...(ち、近い)」
ペテルギウス「さて、もう帰りますよ これ以上好き勝手は許しません」ガシッ
シリウス「ま、待ってください 私はあの歌姫に用事があって──」
レグルス「あのさぁ、君の意見なんてどうでもいいんだ
これ以上僕のスバルに恥をかかせるな」ガシッ
ライ「めんどくさいけど、これもスバルの為だよねェ」
ガシッ
ロイ「そうだよォ、スバルに迷惑をかけたんだァ」ガシッ
ルイ「もう掴む必要、無さそうだから、お兄ちゃん達
あとよろしくねェ」
カペラ「こいつ亀甲縛りにして町を一周させてえですね」
ロイ「流石にやめなよ、ママ 僕たち的は良いけど
スバルに恥を欠かせちゃァダメさ」
カペラ「恥をかくのはこの変態メス肉だけだから別にいいじゃねえですか」
シリウス「おい!肉女!?何が亀甲縛りだ!?
私に恥辱を味わせるつもりか!
それをしていいのはスーちゃんだけだ!!」
ペテルギウス「何を訳の分からないことを言っているの
デスか!?ほら帰るのデス!」
- 39『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 09:25:00
ペテルギウス「──そう言えば、アナタは確かスバルの
知り合いの方ですね こうして顔を合わせるのは
初めてでしたね
私としたことが挨拶をするのを忘れていました
──私は魔女教大罪司教『怠惰』担当 ナツキ・スバルの兄
ペテルギウス・ロマネコンティ───デス!!」
レグルス「僕は魔女教大罪司教『強欲』担当
僕のナツキ・スバルの兄 レグルス・コルニアス」
ライ「俺たちは魔女教大罪司教『暴食』担当
大好きな弟のスバルの兄ちゃん ライ・バテンカイトス」
ロイ「僕たちは魔女教大罪司教『暴食』担当
俺たちの食事と同じぐらいかそれ以上に愛する弟の
お兄様 ロイ・アルファルド」
ルイ「あたしたちは魔女教大罪司教『暴食』担当
私たちの可愛い可愛い弟のスバルのお姉ちゃん
ルイ・アルネブ」
カペラ「アタクシは魔女教大罪司教『色欲』担当
アタクシがこの世で唯一愛する弟ナツキ・スバルの姉様
カペラ・エメラダ・ルグニカちゃん様で〜す」
シリウス「....魔女教大罪司教『憤怒』担当
スーちゃんのお姉ちゃん シリウス・ロマネコンティ」
リリアナ「(....もう既に知ってはいましたが大罪司教全員
ですか....全員ナツキ様の兄と姉のところを特に強調してますし
....今日は運の悪い日ですね私)」
- 40『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 09:30:34
レグルス「──全く、手間をかけさせるなぁ君は」
カペラ「まさか、自分の歌が音痴なの気にして
プリステラにいるあの歌姫メス肉に歌い方を
教わろうとまでするとか受けるんですけどぉ!
きゃははははは!」
ペテルギウス「その姿勢は実に勤勉!!
称賛に値するのデス!その事に関しては認めざるを
得ないのデス!」
ライ「と言うか、俺たちここに何しに来たんだっけェ?」
ロイ「大罪司教が揃いも揃ってプリステラに集まってさァ」
ルイ「みんな暇なのかなァ?」
シリウス「......見てなさい、スーちゃんを誑かし その
歌声で誘惑したあの下賤の歌姫
私は絶対にお前を超えて、スーちゃんの心を取り戻す!」
レグルス「何グダグダ言ってるのさ、いい加減君は自分を
律するってことを少しは覚えられないのかな?
そんなだから君は──」
シリウスは当初のスバルを自分の元に取り戻すのと
もう一つなぜか歌姫に対抗意識を燃やし、歌姫の歌声を超えると
言う野望を立てて、後日とある場所へと向かっていった
- 41『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 09:35:55
シリウス「お久しぶりですね、ご老人
お元気そうで何よりです 今回はルグニカにいましたか」
老人「....またおぬしか」
ルグニカの人気のないとある場所にみずぼらしい格好をした老人がいた
シリウス「えぇ、あなたはどうやら人気の場所に必ずいるそうですから 神出鬼没だそうなので探すのが手間取るのは覚悟していましたが、その苦も無くすぐに見つかってよかったです
そして、この間はありがとうございました
あなたからもらった香水、とても良い効果で私はあなたのおかげで夢のようなひとときを送ることができました」
老人「お...おう、それはよかったのう
商人冥利に尽きると言うもんじゃ.....
....そして、またわしの前に現れたと言うことは
おぬし、何かまた何かを求めてここにきたのう?
また弟関連の相談か?」
シリウス「よくわかっていますね 察しが良くて助かります そして話を快く聞いてくれるなんてありがとう」
老人「....今回は一体何の相談に来たと言うんじゃ?」
シリウス「えぇ、それは───」
- 42『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 09:46:57
老人「....なるほど、おぬしは弟が称賛する歌姫よりも虜にするための歌声が欲しいと...それは上手くなるための努力を行えば良い話ではないのか?
それにそれはおぬしにとってはメリットもない上に
対抗意識をするほどのものなのか?」
シリウス「私は何度も練習したのです!!そしたら私と
同じ大罪司教達は酷い音痴だの、雑音でしかないから
辞めろなどと暴言を吐き捨てられ.... そして私の愛しき
夫と弟のペテルギウスやスバルにさえ酷いと言われる
始末!
私の歌声の何がいけないと言うのですか!?
メリットとデメリットもない!
私はただ弟を歌声で誑かした下賤な歌姫をスーちゃんの弟である私は許せない!
その為に目には目を、歯には歯を、歌声には歌声で屈服
させ、復讐したい!
スバルの全ての称賛は私のものだ!!」
老人「(このものは馬鹿なのかのう....,)」
老人「....おぬしの言い分はわかった とりあえず
おぬしの歌声を聴かせてもらってもよいか?どんな声色なのか聴きたい」
シリウス「........わかりました、それでは愛しの弟スーちゃんを思い浮かべながら歌います」
- 43『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 10:00:56
シリウスはプリステラで聞いたあの歌姫からうろ覚えた
『朝焼けを追い越す空』を目の前の老人に披露する
シリウス「――――」
調子の外れた、音程も音域も乱れに乱れた不協和音と
化したその歌声は──
老人「(....これは酷いのう....耳と頭に響く
全力を込めて歌っているのは伝わるが、それが余計に.....これは長く聴いていられるものではない)」
老人はこっそりと耳栓を取り出して、それを両耳に取り付ける
シリウスはそれに気づかず、歌を熱唱し続けた
シリウス「──はい!、最後まで聴いていただいて
ありがとうごめんね
スーちゃんの事を考えながら心を込めて歌いました
どうでしたか、ご老人 私の歌声は?」
老人「お...おう、そ、そうじゃな!おぬしが全力で歌っていると言うのは伝わったぞ!」
シリウス「えぇ、スーちゃんの為に私の全てを歌に込め
この歌声がスバルに届いてと言う想いを込めて
全身全霊で歌いました!お褒めの言葉をありがとう...
それでもう一つお聞きしたいのですが
私の歌声はどうでした?先ほど、お聞きしましたが
まだお答えをいただいておりませんので」
老人「....え?あ、あぁ...そうじゃな そうじゃったな」
シリウス「....もしかして、はぐらかしていませんか?
歌声はどうなんです?答えてくれませんか?」
老人「ち、近い....近いぞおぬし」
- 44『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 10:03:03
シリウス「....私の歌声が頭と耳につんざくような騒音だとぉ!?」
老人「そこまで言うとらんわい!しかしその歌声は
確かに人に聞かせられるものではないのお」
シリウス「黙れ!黙れ!これ以上私の心に向かって
傷をつけるだけつけて何が楽しい!?
お前には優しさと愛と言うものがないのか!?
焼き尽くすぞ!お前!!」
老人「落ちつかんか!おぬし!わしを焼き尽くしたら
おぬしが今望むものが叶わなくなるじゃろうが!」
シリウス「そう言うのなら、さっさと出せよ!
今すぐに私に差し出せよ!!私の望みを今すぐ叶えろ叶え
ろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えてよォ!!」
老人「わかったから、落ちつけと言っておろうが!
炎を一回止めんか!剣聖がもしかしたら嗅ぎつけてくる
かもしれんじゃろう!?」
シリウス「黙れェェェェェェェェ!!!!!」 - 45『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 10:05:30
10分後
シリウス「ふぅ.....ふぅ.....」
老人「....落ちついたか?」
シリウス「....えぇ、お騒がせして申し訳ありませんでした
私としたことが、冷静さを失い自身の『憤怒』に支配されて、危うく大局を見失うところでした
私には果たさなければならないことがあると言うのに!」
老人「そうかそうか、冷静になれたようでよかったわい」
シリウス「──それでは本題に戻りましょうか
私の望むものを、私の望みを叶えてください
この前と同じように金には糸目をつけませんよ」
老人「.....それなんじゃがの、今回の品に関しては
わしの説明をしっかりと聞け 前回おぬしはロクに説明も
聞かずに立ち去っていったからの」
シリウス「.....それを最後まで聞けば私にそれを売ってくれますね?」
老人「それを今から説明する」
- 46『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 10:59:25
老人「まず、おぬしの言っていた品はじゃな」
老人はそう言うと空を切る、すると小さな次元の裂け目が
できると、老人は立ち上がりその裂け目の中に入っていく
何を漁るような音がしばらく聞こえた後、老人は空間から
手に何かを持って出て来る そして老人は裂け目に向かって再び空を切ると、空間は閉じた
老人「すまんのう、探すのに少し手間取ってしまったわい
.....全く、奴等め 適当な場所に置くなといつも言っておる
じゃろうに」
シリウス「....あなた、私と似たような事が出来るのですか
一体何者...」
老人「すまぬのう....ワシの素性は誰にも言えぬのじゃ
それよりもおぬしの望む品はこれじゃ」
老人はシリウスに持っているものを見せる
それは、女性の形状をしたガラス瓶に白く丸い形をした
薬のようなものが入っていた
ガラスの器の女性は長髪でドレスを着て
右手を胸に左手を伸ばして歌っている形をしていた
- 47『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:00:32
シリウス「薬ですか...?これを飲むと歌姫のような歌声を
出せると?」
老人「いかにも、おぬしの言うとおりこの薬を服用すれば
歌姫のような美声を出せると言うもんじゃ
──試しに一つ飲んでみるか?」
シリウス「試飲ですか? ....えぇ、わかりました
効果が私もどれほどのものか知りたいですからね」
老人はガラス瓶の女性の首をひねり、それを外す
どうやらあの瓶の首が蓋のようだ
シリウス「....悪趣味ですねぇ」
老人は瓶から薬を一つ摘むと、それをシリウスに差し出す
老人「そら、一つ飲んでみい」
シリウス「はい、ありがとう」
シリウスは老人から薬をもらうと、それを口の中に入れ
飲み込んだ 飲み込むと爽やかな風を感じた時の心地よい
感覚を感じ 小鳥がさえずる鳴き声が聞こえたような
気がした
シリウス「.....なんでしょうこの感覚は──おや?自分の
声とは違う感覚が」
思わず声を発した瞬間、自身の声が変わっていることに
気づいた その声はまるで楽器でも奏でるような心地よい声だった
- 48『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:02:27
シリウス「──なぜでしょう、無性に歌いたくなる....」
老人「先ほどの歌を試しに歌ってみよ」
シリウス「は、はいわかりました」
シリウスは先ほど老人に披露した『朝焼けを追い越す空』
を歌った
シリウス「(──先程歌ったときと心境が違う!?
スーちゃんの事を考えながら歌っているのは変わらないのですが、薬の影響でしょうか 歌う事に私は幸福感を感じています)
ふと老人を見ると、老人は心地よさそうな顔を浮かべながら シリウスの歌を聞いていた
シリウス「(ご老人...なんて心地よさそうで穏やかな顔
なんでしょう 私の歌を聴いているからでしょうか...
私、今とても幸福に満ち溢れています......
──もしや、歌と言うのは愛に直結するもの?
そう言えばプリステラに来ていたとき あの歌姫の歌を
聴いている人々を見たことがありますが
同じ方向で、表情はそれぞれ違えど彼女の歌を聴き入っていた
私の「皆の心が一つとなる」と言う理想に近いものでは?
──あぁ、なるほど歌と言うのは素晴らしいですね
それを今心の底から感じました ふふふ.....)」
- 49『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:06:20
老人「良い歌声じゃった 聴いていて心地の良い声じゃった 薬の効果もあるんじゃろうが
おぬしは元の声が良いからだと言うのもあるんじゃろうな
歌い方を理解しておらず今のような音程の外れた雑音と
化していただけで」
シリウス「お前...またしても私の歌声を......
ですが今回もあなたの品の効果は確かですね
ありがとうございます
しかし不思議な薬ですね、飲んだ瞬間にまるで
爽やかな風を感じ
小鳥のさえずりが聴いたような心地よさを感じました
そして、歌っている時に幸福感に満ちあふれた感覚になりました スーちゃんの...私の弟の顔を考えながら歌う時も幸福な感情はありましたが こんな感覚は初めてですこれはどう言う効果なのですか?」
老人「それなんじゃ」
シリウス「はい?」
老人「わしがおぬしに説明したい事はそれじゃ
今からそれを話すから、よく聞くんじゃぞ」
- 50『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:08:03
老人「まずこの薬はの、飲めば誰でも人々を魅了する
歌姫のような声を出せる効果がある
それだけでは無く、正確な音程や音感なども
飲んだ本人は歌い方を自然に理解できる
上手く歌える効果もあるんじゃ」
シリウス「....自分ではわかりませんが、いつも歌う感覚とは違うものを感じました 今までそんなものは誰からも
教わったわけでもないのに
まるで、それを疑似経験したかのように
老人この薬は一体...?」
老人「この薬はな....とある歌姫の.....いや歌姫になれなかったものの魂から作られているんじゃ」
シリウス「魂?? .....どう言うことですか?」
老人「そのものはの、数百年とある小さな村の若い女性でな歌をこよなく愛しており
歌姫のように人々を惹きつける歌声とその素質と才能を持っていたらしいのじゃ
将来は歌姫になるのを夢見ておっての
──じゃが、夢を叶える前にその者は何者かに殺されてしまった
そのものの歌声に虜になったものがその現実を受け入れられず狂ってしまい
禁術に手を出して魂を呼び寄せ、それを薬に閉じ込めて
作られたのがこれなんじゃ」
シリウス「──おい!お前、なんてものを私に飲ませたんだ!
女の魂を私に食わせたのかお前は!!!」
- 51『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:10:14
シリウス「なんでそんな怪しいものを説明する前にそんなものを飲ませた....?
事前に説明するべきでしょう?それをせずに──」
老人「すまぬの、三錠飲むだけなら何の問題もないから
その説明をする必要はないと思ってしまっていたわい」
シリウス「....はぁ?一錠飲むだけなら?
何の話をしているんだ?お前は?
一体どう言うことだ?それ以上飲んだらどうなると?」
老人「厳密に言えば、一日三錠までなら問題はない
薬の効果は一錠につき3時間までじゃ
ただし、三錠以上を飲むか 効果がまだ切れていぬ状態で薬を飲むと危ないのじゃ」
シリウス「........もしそれをやったらどうなる?」
老人「その魂に自我を乗っとられる可能性がある
先ほども行ったが、その魂は夢を叶えられず
非業の最期を遂げたもので、今も尚この世に未練を残しておる
薬を飲むとな、その魂と記憶が一部が体内に宿る
じゃが効果が切れれば体内から消え去るんじゃがの」
- 52『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:14:38
シリウス「....他にこれ以外で似たような道具はないのですか?」
老人「残念ながら、ないんじゃよ」
シリウス「本当に?嘘ならタダでは済まさないぞ?
以前世話になった相手とは言え...」
老人「本当にないんじゃ.... と言うより先ほども
言ったのじゃが、別に...その対抗意識を燃やすほどの
事なのか?」
シリウス「....何?」
老人「歌の良し悪しなど気にする必要があるのかと言っている
おぬしにとっては、その弟さえいればそれで良いのでは
ないのか?
そもそも対抗するとは言えおぬしとおぬしの言うプリステラにいる歌姫とでは素人と熟練の達人と言う歴然の差
どう考えても勝ち目などない」
シリウス「...れでも」
老人「....む?」
シリウス「それでも!私は常にスーちゃんの一番で在りたい!
スーちゃんの視線、好意、尊敬も何もかも全て!!
だからこそ、スーちゃんが私以外に目を向かせ、誑かす奴らが許せない!
だからどんな手段を使ってでも私はスーちゃんを誑かす
奴らからスーちゃん取り戻す!!スーちゃんの自慢で
最も最上の存在の姉として!!!!
──いいでしょ、そこまで言うのならその薬をもらいましょう 女の魂を取り込むがなんだ! 私のスーちゃんへの愛の情熱の炎で浄化すれば良い話です!」
老人「ち、ちょっと待つんじゃ!おぬしそれでよいのか!?」
シリウス「私に二言はありません、さぁその薬を私に
金に糸目はつけません お渡しを」
- 53『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:15:45
老人「...わかった、そこまで言うのなら売ろう
ただ、先程も言ったように飲むのは一日三錠
薬の効果は一錠につき3時間
三錠以上を飲むか 効果がまだ切れていぬ状態で飲むのは
危険 これはよく覚えておいてくれ」
シリウス「大事な事だからわざわざ2回も忠告してくれて
ありがとう、ごめんねえ
わかりました、ご老人のご忠告 肝に銘じておきましょう
あっ、最後に一つ聞いても」
老人「なんじゃ?」
シリウス「大罪司教相手に貴方は畏れるどころか
快く商売をしてくれますね
以前、貴方は『強欲』に商売をしていましたね
それが原因かは知りませんが、結構な騒ぎにもなりました
どこで調べて得たのか、私が貴方に会う前からすでに
私が『憤怒』の大罪司教だと言うのも知っていた
と言うことは、貴方は私が大罪司教だと分かっていて商売をしていること それを知られれば貴方もタダでは済まない
その事がわかっていてそんなリスクを?そして貴方は
なぜこんな路地裏で商売を?」
- 54『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:16:59
老人「....まさか大罪司教のおぬしから、いや客から
そんな質問を投げかけられるとは思わなかったの....
わかった、その質問を答えよう
──そうじゃな、ワシはおぬしの言う通り、おぬしが
『憤怒』の大罪司教だと言うのは知っておった
権能に関してもなら
ワシは深くは言わぬが、仲間がおっての
情報収集に長けたものばかりで構成されておる
ワシはその仲間たちの情報を得ておるんじゃ
まあ情報を得るからと言って、それを悪用するつもりは
ないからの、そこは安心しておくれ
ワシはな客がワシの売るもので満足して喜んでくれれば
それで良いのじゃ それが大罪司教でも関係ない」
シリウス「....色々言いたい事はありますが、こんな人目の
つかない場所でこんな怪しい物を売っている人間から
そんな高潔なお言葉を聞くとは思いませんでした」
老人「当然じゃろ、ワシの売るものは全て特殊で特別な品
表で出せぬ物ばかりなんじゃ もし出してしまえば
ワシはもうとっくに捕まっておるよ
それでも、ワシはどう言う形であれ客の喜ぶ顔が見たい
それでワシの品で国の一大事になろうが関係ない
客が満足して喜んでくれればワシはそれでいいんじゃ」
シリウス「....あなた、中々面白い人ですね 」
- 55『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 11:18:41
老齢の商人からの買い物を終え、シリウスは
愛する弟、スバルのいるルグニカへ向かう
シリウス「──さて、私のスーちゃんの耳を犯し
虜にしたあの下賤の歌姫の歌声
私の歌声で塗り潰してしまいましょうねえ....」
愛する弟の尊敬と寵愛を自分に向けさせる事ができる、
それを奪っていた歌姫から取り戻す事ができる
その高揚にシリウスの感情は大きく昂った
シリウス「──おや、もう既にもう群がっていましたか」
スバルの元に辿り着いた、しかし他の司教達が既にいた
スバル「お前ら、また来てたのかよ!」
レグルス「スバルがいるところにいつも僕はいるんだよ」
スバル「気持ち悪!」
カペラ「そうですよ、童貞野郎 アタクシの弟から
離れてくだせー」
ライ「スバル、俺たちスバルが喜びそうな食材を持ってきたんだァ『美食家』の僕たちのお墨付きだよォ」
いつもならあの光景を見て苛立ちを感じるが
今日は違うむしろ願ったり叶ったりだ
シリウス「....ちょうどいい、私を散々馬鹿にしたアイツらにも聞かせてやろう 見てろ」
シリウスは薬の入った瓶を取り出し、薬を一粒出すと
それを口に入れ 飲み干した - 56『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:02:25
シリウス「˚. ✦.˳·˖✶ ⋆.スーちゃん˚. ✦.˳·˖✶ ⋆.」
スバル「!?」
レグルス&カペラ&ライ「「「!?」」」
突如喫茶店のテラス席で発せられた女性の声に
紅茶を飲んでいたスバルとレグルス、カペラにライは思わず驚いてしまう
まるで楽器でも奏でるような心地よい声だった
声の主を誰かと振り返るとさらに驚く
スバル「え?シリウス?シリウスの声か?今の?」
シリウス「⊹₊⋆ ✦. ݁₊ ⊹スーちゃん⊹₊⋆ ✦. ݁₊ ⊹
✧⋆°.⋆私ですよ✧⋆°.⋆ ✧˖°スーちゃんの大好きなお姉ちゃんですよ✧˖°」
スバル「....どう言うことだ?」
目の前で、谷の湧き水のように澄んでいる声を
発するシリウスにスバルは驚きが隠せない
もちろん彼らも
レグルス「あ、あのさぁ 何だいその声色は
その綺麗な音色のような声は!?君そんな声じゃないよね!」
カペラ「テメェ、一体何だその声は!何を使いやがった!」
ライ「わァ、聴いていて心地いい声だねェ 長く聴いていると眠くなりそうだァ」
一部を除いて
- 57『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:08:35
シリウス「✧.*˖そうですね✩₊˚⊹ ⋆⭒˚。⋆敢えて言うのなら
⋆⭒˚。⋆
───⋆·˚ ༘♡愛ですね⋆·˚ ༘♡」
カペラ「答えになってねえよ!テメェ絶対何か使っただろ!?何を使った!?何を使ったか答えろやぁ!」
シリウス「.*・゚✧*.何の根拠も無く.*・゚✧*.
✧˖°⌖°突然金切り声を上げて、私を糾弾をするのはやめてくれませんか?✧˖°⌖°
˖° ⋆͛...前から思っていましたが、貴方はそんな金切り声と
野蛮な喋り方しか出来ないのですか?˖° ⋆͛
˖⋆࿐໋₊˚仮にも貴方の愛する弟が怖がりますよ?˖⋆࿐໋₊˚」
カペラ「アタクシの弟がそんな事思うわけねえだろ!
てか、なんだそのアタクシを憐れような態度は!?ムカつくんだよ!」
レグルス「まあ、これに関しては同意だね 肉女の声は
聞くに絶えないし、下品極まりない」
ライ「やっぱり性根が腐っていると声色にもそれが出てくるのかなァ?」
カペラ「....テメェら、今すぐ醜い肉塊になりてえか」
- 58『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:10:56
シリウス「✩₊˚⊹そうだ、スーちゃん✩₊˚⊹
⋆。゚✶°私はスーちゃんにお願いしたい事があって
スーちゃんのいるルグニカに来たんですよ⋆。゚✶°」
スバル「お、おう 何だ?」
シリウス「⋆⭒˚。⋆私の歌をスーちゃんに聴いてほしいんです⋆⭒˚。⋆」
笛のように綺麗に澄んだ声で、シリウスはスバルに
そう頼み込む
その声に惹きつけられたのか、一部のルグニカの町の人々が立ち止まり、シリウスの方を注目する
「あれ、いつも来ている変質者だよね?」
「と言うか、大罪司教だよ 確か『憤怒』の」
「また、来てたのか.....」
「ナツキ様によく付き纏ってる」
「凄い奇声と怒鳴り声上げてたよな」
「しかしなんか、凄く綺麗な声してない?」
「あんな声だったけ?」
「ままー、あのほうたいのおねえさんのこえきれいー」
「こら、見てはいけません! でも確かにイイ声ね」
「今から歌うとか言ってるけど」
「本当?聴いてみたいかも」
- 59『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:15:21
スバル「(...以前のコイツなら、正直身の毛がよだつくらいの音痴っぷりだったけど
今のコイツの声なら、大丈夫かも?...いやわからん)」
レグルス「おい!またスバルにあんな聞くに絶えない
雑音を聴かせる気か!?」
ライ「流石にやめた方が良いんじゃァないかなァ?
なんの方法でそんな声色になったのか知らないけどサ
いくら声色が良くなったからと言っても、歌が上手くなったとは限らないよねェ?」
カペラ「そうそう、テメェはどっかの魔獣の巣窟とかで
歌ってりゃあ良いんですよ
その音痴っぷりから魔獣もブっ倒れるんじゃねーです?
あぁ、歌に関してはアタクシがやってやるよ
アタクシはテメェと違って、歌が出来ますからね」
スバル「お...おい、流石に言い過ぎなんじゃ」
シリウス「───✧˖°もし✧˖°」
カペラ、レグルス「あ?」
シリウス「⋆⭒˚。⋆もし、私が前と変わらない歌声ならば
そのときは、あなた達の言うことを何でも従いましょう⋆⭒˚。⋆
.....✧˖°⌖°まぁ、そうなる事はありませんが✧˖°⌖°」
レグルス「.....へぇ、何でも従うか」
ライ「言うじゃァないかァ、シリウス」
カペラ「変態のくせに随分と大きな口を叩いてくれるじゃねえですか
.......なんでもつったな?その言葉ぜってぇ忘れんなよ」
シリウス「⋆˙⟡⋆。°えぇ、スーちゃんの姉である私に二言はありません⋆˙⟡⋆。° 」
スバル「シリウス、お前そんな約束して大丈夫なのか?」
シリウス「✧.*˖心配してくれるんですね.....✧.*˖
✩₊˚⊹ありがとう、ごめんね 私は優しくて思いやりのある弟を持って、私は幸せですね✩₊˚⊹」
- 60『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:21:35
シリウス「⋆⭒˚。⋆それでスーちゃん、私の歌を聴いていただいても?⋆⭒˚。⋆」
スバル「....お前がそこまで言うのなら、聴くよシリウス それに今のお前なら、なんか大丈夫な気がしてきた」
シリウス「──!! ⋆˚✧₊⋆ありがとう!スーちゃん!!
なんて優しい弟なんでしょう!⋆˚✧₊⋆
✧˖°⌖°私、シリウス・ロマネコンティ! 愛する弟ナツキ・スバルの為に全身全霊を持って歌います!✧˖°⌖°」
レグルス「はっ、無駄に張り切っちゃってさ
まぁ精々、この場で恥をかくといいさ」
ライ「スバル、なんでこんな奴に歌うのを許しちゃうのサ
コイツが極度の音痴なのは身を持って知ってるでしょ
いくら声が変わったと言ってもサ」
スバル「いや今のアイツなら大丈夫じゃねえか?」
ライ「えぇ?スバル、アイツを庇うのォ?」
スバル「そう言うんじゃねえよ」
カペラ「まぁ、いくら声が美しくなっても
それを上手く扱えなきゃ、宝の持ち腐れって奴ですから
精々、肉弟とアタクシ達と大衆の前で恥をかくといいですよ」
- 61『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:25:27
シリウス「──では、歌います」
シリウスが歌うのを選んだ曲、それはリリアナ・マスカレードの歌『朝焼けを追い越す空』だった
スバル「これ、リリアナの歌──」
この曲を歌うのを選んだ理由、それはスバルの心を虜にしたのが、あの忌々しい歌姫の曲だからだ
自身の愛する弟を誑かしたリリアナの曲、それが
『朝焼けを追い越す空』だったのだ
シリウスはその歌を鈴を転がすような、天上の楽器を連想させるような歌声でまるで楽器でも奏でるように穏やかに
心地の良い表情を浮かべながら歌う
それを聴いているスバルは
スバル「マジか.....すげぇ」
思わず、その歌声に魅了される プリステラで聴いた
リリアナの声色とはまた違った、いやそれ以上の歌声だ
数日前に聴いたあの酷い歌声とは完全に別人と化していて
驚きを隠せない それはスバルだけではなく他のブラコン達も
レグルス「ありえない....ありえない...こんなのが許されて良いわけがない....」
ライ「まるで別人じゃァないかァ.....」
カペラ「ちっ、声だけじゃねえんですか」
スバルと同じように、またはそれ以上に動揺が隠せない様子だ
- 62『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:26:32
- 63『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:28:47
シリウスの歌声に惹かれるように、民衆はどんどん
シリウスの元に集まって、気つけばその場所が
シリウスの曲を聴く人達で溢れ返っていた
シリウスはその様子に幸福感と高揚感を感じた
それは路地裏の商人に薬の力で歌声を聴かせたときの
自身の歌声で幸せそうに聴いている表情を見たときの
幸福感とは比べものにならない
シリウス「(──あぁ、私の歌を歌声をこれほどの人たちが聴いて、幸福な表情を浮かべている 私もそんな貴方達の表情を見てると私も幸せな気持ちになります
もっと聴いて!私の歌を聴いて!そして私と皆さんで一つになりましょう)」
スバル「(....コイツ、こんな純粋な笑顔出来たっけ?
いつもは不気味なのに、一体何が....?)」
シリウスは完全に歌に虜になり、酔いしれていた
それは今シリウスの歌を聴き入っている民衆達も同じ
だった
- 64『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:32:03
- 65『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:34:45
スバル「シリウス!お前の歌声良かったぞ!
何をしたのか知らないが、上手く歌えてた!」
自分の弟のスバルに褒められたこと 周りの称賛は
嬉しいが、スバルの称賛はシリウスにとってもっと
嬉しかった シリウスの幸福な感情は頂点に達し
勢いよくスバルに抱きつく そして頬擦りをし始めた
シリウス「スーちゃんゥゥゥゥ❤️ もっともっともっと
ほめてください❤️ 愛する姉に何度も何度も伝えてください」
スバル「おいいいい!!またかよおおおお!?」
レグルス「おい!僕の弟に何をしてる!スバルが迷惑してるじゃないか!」
ライ「やれやれ、全く困ったもんサ」
カペラ「テメェ、何を使ったのか知らねーけどな
あんまりいい気になんなよ!?
アタクシ様の声色はな当たり前の話だが死んだ前の肉弟は
綺麗で美しい音色を奏でる楽器のようだって言ってたんですよ
だから歌っちまえば肉弟をすぐにでも虜にできて テメェなんて形無しなんだからよぉ!!」
ライ「何張り合ってんのサ 大人気ないねェ」
カペラ「うるせえんだよ!テメェ!!」
レグルス「おい!シリウス!いつまで僕の権利の侵害をし続ける気か!」
シリウス「あぁ....今日はなんて幸せな日なんでしょう」
スバルに頬擦りしながら、シリウスは嬉しそうに呟いた
- 66『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 14:36:52
- 67『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 15:38:43
そして、スバルと一緒に他の大罪司教達も
同じように正座させられていた
レグルス「何で、僕が....」
ライ「何で俺たちまで..」
カペラ「おかしくねーですか!?あの怨念慕情の
変態メス肉が起こした事なのに、なんでアタクシと
肉弟が謝んなきゃなんねーんですか!?」
ラム「黙りなさい、大罪司教 今 首と胴体が繋がっているだけありがたいと思いなさい そしてバルス
兄姉の管理はきちんとしなさいと言ったはずよ」
スバル「....すまねえ、エミリア 姉様 レム 今回に関しては完全に俺の落ち度だわ」
レグルス「スバルは何も悪くないよ 悪いのはあの
シリウスだ スバルは悪くないし、僕も悪くない!」
レム「スバルくんは何も悪くありません!悪いのは
全て大罪司教です!」
- 68『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 15:46:23
ライ「ラム、俺たちは止めようとしたんだぜェ」
カペラ「嘘つけよ、テメェあのメス肉の歌声にうつつを
ぬかしていたじゃねーですか」
ラム「へえ、あれだけラムに愛してる愛してると
言いながら、他の女にうつつを抜かすのねあなた」
ライ「!! ──違うよ!違うさ!違うんだよ!
俺たちが愛してるのはラムだけサ!
アイツの歌声に思わず動揺しただけで、僕たちは浮気なんてしてな──」
ラム「誰があなたの奥さんだって?」
ライ「ゴハァ!?」
カペラ「きゃははは ざまあねえですね」
レグルス「見苦しく言い訳なんてしなければこんな事には
ならなかったのに全く愚かなもんだよ」
スバル「いや、お前らも同じだろ...」
ラム「(あの包帯女が歌を?魅了させるほどに?
一体どう言うことなのかしら?)」
エミリア 「スバル、あのシリウスの歌声が今回の騒動の
原因なの?」
スバル「あぁ...信じ難いのかも知れないが本当だ」
レグルス「あのさぁ、79番!君の旦那様である僕を跪けされるなんて、酷いとは思わないのかなぁ!?
自分の身の程を少しは弁えた方が」
エミリア 「勝手に私を貴方の奥さんにしないで!」
レグルス「──ゴハァ!?」
スバル「おぉ....綺麗に蹴りが入ったな....」
ライ「そ、それにしてもサ....シリウスの奴サ....
自分だけ逃げるなんて卑怯な真似をしてくれたもんだよォ」
- 69『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:42:29
カペラ「それ、テメェが言えたことぉ?
──まぁ、あの変態メス肉 ぜってーなんか使ってますよ
そこの転がってる童貞野郎みてーに」
レグルス「......はぁ?僕が一体何を使ったって?
わけのわからない事を言わないでくれよ肉女
でも、手段を選ばないあの女ならそう言う卑怯な手段は
間違いなくやるだろうね
あと、なんかおかしかったしね いつもおかしい女だけど」
エミリア 「そうなの?スバル」
スバル「あぁ、道具うんぬんはともかく 言われてみれば、
アイツやけに楽しそうだったな
そんなに歌好きだったかな?歌を終えた後、私の歌を他の人達にも聴かせてあげたいって言った後に いつの間にか
いなくなっていたし」
カペラ「アイツが肉弟をそっちのけにして逃げるのも
だけど、アイツがそんな事を?
歌が上手くなる以外に他にも何か効果があるって事ですか?」
レグルス「あの女の愛なんてそんな程度だってだけの話
なんじゃないの?」
ライ「勘が鈍い馬鹿はこれだから....」
レグルス「はぁ?僕が何かおかしな事でも言ってたとでも
いうのかい?」
ラム「(....また厄介なことにならない事を祈るわ)」
- 70『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:45:39
- 71『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:50:06
- 72『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:52:42
その頃何日か経ったプリステラでは
リリアナ「さぁ、今日もはりきって歌いに行きますか!」
リリアナは楽器を背負っていつもの都市公園に向けて
駆け出す
今日も自分の歌を披露するために
リリアナ「──おや?」
ふと、町の人々が目に入る 人々の多くがなぜか刻限塔の方向に向かって行っている こんな光景を見るのは初めてだ 何かイベントでもやっているのだろうか
それとも...
リリアナ「......まさか、あの人じゃないですよね?」
よく刻限塔に出没するあの大罪司教が浮かぶ
この前自分に歌い方の教えを乞いだかと思えば
意味不明な動機で、敵意を向けてきた『憤怒』の大罪司教だ
リリアナ「──ちょっと、確かめに行きましょうか」
リリアナは嫌な予感を感じながら、刻限塔の方向に向けて
走った
- 73『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:54:30
刻限塔まで着いた頃には、大勢の人達が集まっていた
みんな高台の上にいる人物に注目している
その人物はやはり─────
リリアナ「嫌な予感はしていましたが──やっぱりなあ!そうだと思いましたよお!ちくしょう!的中してほしくなかった!」
予想通り、『憤怒』の大罪司教のシリウス・ロマネコンティだった
やはりまた来ていたのだ 分かり切っていたことだが
自分の予想が的中してしまったことに頭を抱える
また面倒ごとに巻き込まれてしまうのかと
ふと、リリアナは思った なぜ彼女の周りにはこんなに大勢の人々が集まっているのかと
抱えていた頭を上げ、彼女にいる高台の方に目を向ける
シリウス「──˚₊‧⁺ふふふ˚₊‧⁺」
リリアナ「──!!!」
シリウスが笑って、いや嗤ってリリアナを見下ろしていた
リリアナは不意に目が合ったことに思わず背筋が凍る
.....笑い声がとても綺麗な声に聞こえたのは自分の気のせいか?
- 74『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 16:56:38
シリウス「⊹ ࣪ ˖⟡皆さま、私のために大切な時間をいただいてこんなに集まってくれてありがとうごめんね⊹ ࣪ ˖⟡」
気のせいじゃなかった それはまるで山の息吹が伝わってきそうな清々しい声だった
そんな美声を発したのはあの『憤怒』の大罪司教
リリアナ「....あの大罪司教さん あんな美しい声を
出せるんですか....?前会った時とはそんな声じゃなかったはず ......まるで別人じゃないですか」
驚き戸惑っているのはリリアナだけではない、民衆も
刻限塔によく出没する包帯に覆われた不気味な怪人から
あんな澄んだ美しい声を発する状況に
美声に惹きつけられてここに来たと思ったらあの大罪司教がいて その美声の発信源だと言うことに動揺が隠せず
ざわついている
シリウスはそんな様子を気にすることなく、微笑みながらリリアナの方を見つめて、口を開く
シリウス「⊹˚₊♡⟡˙⋆まあ、私の声が美しいだなんて
ありがとう⊹˚₊♡⟡˙⋆」
リリアナ「(──!? 私の声聞こえてました!?)」
シリウス「✧˚₊‧⋆‧よかったです あなたが私の前に
現れてくれて こちらから会う手間が省けました✧˚₊‧⋆‧ 」
リリアナ「........えっ?」
- 75『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:00:33
「あれ?リリアナじゃない?」「リリアナいるじゃん」
「あの大罪司教、リリアナに用があってプリステラに来たの?」
リリアナはシリウスの発言により、広場にいた50名は
下らない人々の注目を集めてしまう
いつもなら、嬉しいのだが この状況での注目は全く喜べない
「なにかしたのかな?」「そういやあの大罪司教
最近よく来るよな」「私この前2番街で見たよ」「私は 4番街」「町の襲撃に?」「いや、何もしないらしい」
「リリアナ、一体何をしたんだよ?」「なんか因縁での
つけられたんじゃない?」ざわざわ
リリアナ「(わ、私に変な注目が...注目をされるのは
好きですが、でもこんな注目のされ方は嫌です!...
何でこんなことに)な、な、何が目的なんですか!?あなたは!」
シリウス「✧˚₊‧⋆‧そう警戒なさらなくて大丈夫ですよ
私は用事を終えたらすぐに帰りますので✧˚₊‧⋆‧
✧˚₊‧⋆‧そしてごめんね、皆さんざわざわしないでください
何か誤解をされているようですが、彼女と私はそんな
険悪な関係ではございませんので✧˚₊‧⋆‧」
ざわざわ ざわざわ ざわざわ
リリアナ「むしろ誤解を招くようなことを
言ってるじゃないですか!!やめてくださいよ!
皆さん違います! 違いますからね!!」
- 76『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:05:33
シリウス「✧˚₊‧⋆‧はい、ご静粛に!──ありがとう✧˚₊‧⋆‧
⁺‧₊˚実は私はそこの彼女のファンなんです⁺‧₊˚」
シリウスはリリアナの方を天使のような美声で話しながら指を指す
リリアナ「.....え?」
シリウス「܁ ˖ ‧₊˚⊹ 私はとある日にこの町に訪れた時に
広場でとある詩人の歌声を聴きました܁ ˖ ‧₊˚⊹
࣪✧˖° ˖それが彼女のリリアナ・マスカレードの歌だったんです࣪✧˖° ˖
˚₊‧⁺私はそんな彼女の歌に思わず魅了されていました˚₊‧⁺
......✧˖° ˖そしてその歌を心地よさそうに、幸せそうに聴く聴衆࣪✧˖° ˖
࣪✧˖° ˖その光景は、私の志す理想とする皆が一つになる優しい世界に似ていると、私は感じたのです࣪✧˖° ˖
✧˚₊‧⋆‧私は感動しました、歌と言うのはこんなに素晴らしいものだったのかと✧˚₊‧⋆‧
⊹ ݁ ˖ですので、私もそんな彼女のような歌姫のように
なりたい
そうして私は歌の道を志すとそう決めたのです⊹ ݁ ˖
•‧₊˚⊹そして、今そんな私の歌を一曲だけでも良いので
聴いてもらいたいのです•‧₊˚⊹」
高台にいるシリウスは透き通るような声で広場にいる
大勢の民衆にそう告げる
リリアナ「う、歌?.....つまりあの大罪司教 歌を歌いに
わざわざプリステラに来たんですか?
と言うか、私の歌を貴方聴いていたんですか」
- 77『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:08:26
シリウス「⁺‧₊˚えぇ、そうですよ歌姫の少女⁺‧₊˚」
リリアナ「やっぱり聞こえてますよね!私小さく呟いた
だけですよ!なんで聞き取れるんですか!?
この地獄耳!!あととても良い声ですね!」
シリウス「⋆˚⊹あら、良い声だなんて あの歌姫から
そんなお褒めの言葉をいただけるなんて⋆˚⊹
˚₊♡⟡˙身に余る光栄です ありがとう˚₊♡⟡˙」
リリアナ「.....あなた、今回は本当に歌を歌いにわざわざ
ここに来たんですか?」
シリウス「˚₊‧⁺えぇ、プリステラの皆さんに
......特にあなたに˚₊‧⁺」
リリアナ「...なぜ私に?」
シリウス「˚:⟡あなたから、私の歌の評価をいただきたいのですよ˚:⟡
˚:⟡人々を惹きつける歌声を持つ、プリステラの歌姫のあなたにね˚:⟡」
- 78『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:11:51
- 79『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:13:25
シリウス「──⋆˙˖✧では、ごめんねそろそろ歌わせていただきますね⋆˙˖✧
✦⁺₊✧°。⋆皆さまお待たせしてごめんね そして私のために
集まってくれてありがとう✦⁺₊✧°。⋆」
刻限塔に立つシリウスは、瞳を閉じるとゆっくり息を吸い込み
それを静かに吐き出す
その吐息ですら、美しい声色で人々を魅了してしまう
1人警戒している吟遊詩人を除いて
リリアナ「.....大丈夫でしょうか....そうじゃないとしても
この人は一体何の歌を.....?」
そしてシリウスは深呼吸を終えると悲しいほど美しい声で
シリウス「──⟡ ⊹˚⋆では、心をこめて全身全霊で
私は歌います⟡ ⊹˚⋆
───.𖥔 ݁ ˖⊹₊⟡⋆⊹₊⟡⋆『朝焼けを追い越す空』.𖥔 ݁ ˖⊹₊⟡⋆⊹₊⟡⋆」
リリアナ「.....え?」
- 80『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:18:03
リリアナ「それ、私の歌──」
シリウスが今から歌う歌が自分の歌だと知り
リリアナは一瞬戸惑った後、言葉を発しようとするも遅しもうシリウスのコンサートは始まっていた
シリウス「⋆✴︎˚。⋆°. ₊ ⊹ . ₊˖ . ₊───新しい朝は⋆✴︎˚。⋆°. ₊ ⊹ . ₊˖ . ₊」
リリアナ「.....え」
その歌声に思わず時が止まったような感覚になる
シリウスは、自分のように楽器を持たずに歌っている
なのにその歌声はまるで楽器でも奏でるような声
笛のような綺麗な音色の澄んだ声にも聴こえる
シリウス「⋮⋆.˚⋆✴︎˚。⋆夜を追い払い、新しい一日が始まる⋮⋆.˚⋆✴︎˚。⋆」
歌声だけではない、音程もリズムも正確に取れている
リリアナ「.....これはどう言うことですか」
以前自分に会って話をしたときは、どうやったら自分の
ように歌を歌えるのか相談を持ちかけてきたではないか
周りの大罪司教達からボロクソにこき下ろされていたと
話していたはず つい最近のことだ
- 81『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:24:54
その上、筋違いの恨みまで向けてきた、まごう事なき
狂人だ
それが今はどうだ 完全に別人じゃないか
あの美しい歌声に、あの抜群の歌唱力 次元が違う
聴いている民衆を自分の虜にしている 自分が作った歌で
あの刻限塔に立つ狂人が
リリアナ「(......一体何が....?自分で音痴だといませんでしたか?それがまるで別人じゃないですか....
あの短期間でこれほどのレベルに...?)」
あまりの変わりっぷりに疑問と困惑に動揺していると
一瞬歌っているシリウスがリリアナの方を向き
シリウス「── ✶⋆.˚ふふ✶⋆.˚」
リリアナ「──っ!?」
小さく穏やかに微笑んだ、だが、その笑みは復讐相手に
ざまあみろと言わんばかりの嘲りの混じった笑みだった
リリアナはその笑みに思わず目を見開く
- 82『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:28:56
シリウス「(ふふふ、あの吟遊詩人の....
いや、私の可愛い、愛しい弟のスーちゃんを歌声で
誑かした泥棒猫め!
────ざまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」
私がここに来た目的、それは私の愛しいのナツキ・スバルをあの吟遊詩人のリリアナ・マスカレードにに復讐するため!!
お前はこの歌(朝焼けを追い越す空)でその歌声で
スーちゃんを誘惑した下劣な淫魔
スーちゃんからの寵愛を横から盗んだ泥棒猫!
憎たらしい!忌々しい!鬱陶しい!羨ましい!
──本当なら、こんな女 今すぐにでも焼き尽くして
灰に変えているところですが、スーちゃんとの約束は
絶対ですし、嫌われたくないですからね....
──だから、これは私が今できる お前に対する復讐...
私がお前の歌で、お前の信徒(ファン)の寵愛(せいえん)をこちらに向けさせ奪ってやる!!
そして私はお前を超える歌姫となり、お前の立場を無くし
二度と歌など歌えないようにしてやる!!!
- 83『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:30:41
- 84『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:32:34
リリアナ「....やっぱり、私あの人に目をつけられていますね」
その証拠に、シリウスは歌っている
リリアナの方にずっと視線を向けながら
シリウスの顔を見るとざまあみろと言わんばかりの嘲り笑うような表情を浮かべている
ざまあみろと、そうざまあみろと言わんばかりに
リリアナ「.....やっぱり、少しでも見直したと思った私が馬鹿でした」
歌う前、シリウスは自分へ歌の評価をいただきたいと
そして歌っているのは、自分の持ち歌である
『朝焼けを追い越す空』
それを聞いた瞬間、驚いた シリウスが自分の持ち歌を
何の前振りも許可も同意も無く、勝手に歌い出すのだから
けれど、あの美しく綺麗な歌声を聴いた時は
正直聴きいってしまった 自分だけでは無く先程
怪人の町の襲来にざわめいていた周りの民衆も今や彼女の歌を静かに聴いている
あの短期間の間でどうやってあそこまでのレベルまで
一気に上がったのかわからないが
シリウスの歌声は本当に良い歌声だった
もしかしてそんな風に自分の歌を歌ってくれるのは、彼女なりのリスペクトがあるのではと複雑な気持ちを感じるものの、あの大罪司教にもそんな人を敬う気持ちがあるのかと少しはあの大罪司教の事を見直していたのだ
- 85『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:35:27
- 86『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:37:55
シリウス「(──おや?)」
私の中にスーちゃんを誑かした、あの淫遊痴人への
憤怒ほどでは無いが、なぜか怒りの感情がスーッと冷めて
消えていく、なぜそうなったのか考える間もなく
その代わりにとある感情が徐々に昂っていく
その感情とは──
シリウス「(──歌いたい!!)」
無性に歌いたくなる... さっきスーちゃんの為に歌った
ルグニカの町でも感じていたあの感情....
それは歌えば歌うほどに膨らんで行き、とどまることを
知らない そしてそんな自分の歌を心地よく聴いている
大勢のプリステラの住人達....素晴らしい、またもや
私の理想である自分と皆んなが一つになりました
ルグニカの町の時とは比べ物にならない.....
やはり歌は素晴らしい...もっと...もっと歌いたい!!
.....しかし、これは私の意思ですか?あのご老人からいただいた薬の影響なのでしょうか?
あれを飲んだ以降から歌に対する気持ちが膨らんでいき
まるで自分の感情とは違うものが私の中に入り込んだような感覚....?
これが老人が警告していた薬の効果....
- 87『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:41:12
....いや、そんなことはない あるわけがない!
これは私の感情、歌の素晴らしさを心の底から知り
感動に打ち震えた私の感情
歌でみんなが一つになれる事を肌身を持って感じて
知った私の、私だけの感情!情熱!!愛!!!
....あぁ、私は今一瞬何を疑っていたのだろうか
自分の中に芽生えた何かを尊く思う気持ちに....
そもそも私が誰かに支配されるなんて事はありえない
仮に支配されたとしても、逆に支配し返し、打ち倒す
胸を張ろう、この私から溢れ出す燃えるような愛を歌に
乗せて
──そして、私の歌を聴いてくれる皆さまのために!!!
シリウスは、そんなどこまでも上がっていく高揚した感情のままに聴く人全てを魅了するような美しい歌声で
歌を歌い切るのであった
- 88『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:44:55
- 89『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:46:00
ペテルギウス「──なんと!!またシリウスは不在なのデスか!?
我々の愛の源である弟スバルへの愛に常に応える兄の
立場....それに応えず『怠惰』を貪るとはァァァァ!!!
あぁ....怠惰だぁ...怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰ァァ...」
ルイ「スバルが来てるかと思ったら、ペテルギウスが
まぁた、喚いてるよォ....」
レグルス「いるべき時にいないあんな姉失格の女の事
なんて気にするなよ
所詮、アイツへのスバルに対する想いなんてその程度の
ものだったんだよ まあ僕にとってはスバルにまとわりつく邪魔な虫が一匹消えてくれるなら、嬉しいことこの上ないね」
ロイ「でもサ、なんかおかしいんじゃァない?」
レグルス「は?何が?」
ロイ「あれだけサ、スバルに執着していたあの女が
急にそれが無くなるっておかしくない?」
レグルス「....あのさぁ、それって僕の意見がまるで間違っていておかしいとでもいいたいのかい?」
ロイ「話は最後まで聞きなよォ アイツサ、何を使ったのか知らないけど急に歌が上手くなったじゃァない その後からおかしくなったでしょ?」
レグルス「何を根拠にそう言ってる?」
ロイ「根拠はアンタだよ 前に使ってたじゃないか
薬を、忘れたの?それで俺たちを散々痛めつけてくれた
じゃァいかァ」
レグルス「はぁ?一体何の話をしてる?僕がそんな姑息な手段を使うわけがないじゃないか そんな汚い手段を
使うのは君達『暴食』三兄妹だろ」※レグルスはあのときの記憶を
一切失っており、ロイの言っていることがわかりません
ロイ「..........」
- 90『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:47:11
- 91二次元好きの匿名さん25/11/28(金) 17:50:00
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- 92『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:52:09
そして、もう一つ書いた、『暴食』を題材にした短編も
貼ります、ルイがメインの物語です
ルイ「あうー、うー」クイクイ
スバル「どうしたルイ」
ルイ「うあう、あうう、あう」
スバル「遊びたいのか、いいぞわかった」
ルイ「あう!」
ライ「スバル、俺たちも」
ルイ「ああう!?.....グルルルルルル」
ライ「何で突然威嚇するのサ!?」
ロイ「僕たち、スバルとルイのお兄様だよォ?
警戒しなくていいから──」
ルイ「ガゥ!!」
ロイ「痛っ!?」
スバル「コラ!ルイ、自分のお兄ちゃんを噛んだらだめだろ!」
ルイ「ワン!ワン!ワン!」
ロイ「.....まだ治らない感じだねェ」
スバル「何が原因なのか知らないけど、どうしちまったんだろうなルイは、急に幼児退行なんて起こしてしまって」
ライ「幼児と言うか、獣にまで退行してないかい?ルイ」
ルイ「ワン!ワン!──グルルルルルル.....」
- 93『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 17:57:46
ライ「と言うか、こんな事になってもスバルを独り占めしてくるのは変わらないよねェ
俺たちがスバルを誘おうとするものなら、どこからともなく現れて、邪魔してくるんだからサ」
ロイ「他の奴らも、ルイが邪魔してくるからスバルに近づけないと僕たちに苦情を入れてきたよォ
アイツらがスバルに近づけないのはむしろ都合が良いと
思ったんだけど、俺たちも近づけないんだから....
全く困ったもんだよォ」
スバル「お前ら、ルイの前でそう言ってやるなよ
....どうしたルイ、お腹が空いたのか?」
ルイ「うー!」
スバル「わかったよ、何が食べたい?」
ルイ「マヨネ....ああうー!」
スバル「マヨネーズな、わかった ルイは本当にマヨネーズが好きだよな」
ルイ「うう!あう♫」
ライ「....なぁ、ロイ」
ロイ「.....あぁ、ライ」
ライ「ルイの奴、今マヨネーズっていいかけたよねェ?
俺たちにはそう聞こえた」
ロイ「奇遇だね、僕たちもライと同じ」
ライ「ルイさ、もう元に戻ってるよねェ?」
ロイ「絶対に戻ってるよ、なのにまだ幼児退行したフリ
なんて一体何を考えて」
ライ「さァね、でも、“あのとき”は確かにルイはおかしくなってたしなァ...フリには見えなかったしサ
まぁ、どっちにしろこのままだとスバルをこれからも
ずっとルイを独り占めされ続けられちゃうなァ....」
ロイ「そうだよねェ、あのままルイの思い通りには
させたくないからね」
- 94『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 18:01:17
ルイ「(.......あ〜あ、やっちゃったなァ、思わず普通に
喋りそうになった
咄嗟に誤魔化したけどォ....お兄ちゃん達にはバレちゃった
だろうなァ.....勘だけは良いからサ)」
ルイがなぜ幼児退行を起こしたフリをしていたのか
それには理由があった
それは今から数週間前に遡る
ルイ「スバル、今日は、あたしたちの家に、泊まって行ってよ!」
スバル「ちょっと待て、俺は明日も朝が早くて」
ライ「明日俺たちが早く起きて、送っていくから
安心しなよォ」
ロイ「だから、ね?いいでしょォ?ね?ね?」
スバル「.............わかったよ」
ルイ「やったー!」
その日はスバルが泊まりに来たときの事、大好きな
マヨネーズを使ったごちそうをお腹いっぱい食べて
幸せな日だった───あれをするまでは
- 95『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 18:04:32
スバルやライとロイが、寝静まった後
ルイはみんなが寝静まったのを見計らい
スバルの部屋へ向かう 目的はもちろんスバルと一緒に
寝るためだ
ルイ「(ようやくお兄ちゃん達が寝てくれた
待っていたよォ....あたしたちの可愛い弟を独占できる
千載一遇のチャンスを....!)」
二人の兄たちとは、弟を巡って争いはせず、互いに協力して
他のスバルの姉や兄を名乗る天敵やの魔の手からスバルを奪われるのを撃退し、兄弟仲良くスバルを分け合い
共有するなどしている 表向きは
だが、ルイはそれに強い不満を持っていた
スバルを分け合うと言いながら、実際はライとロイが
殆どスバルを独占し合っているのだ
たまにスバルを譲ってくれる時もあるが、それでも全然
足りないし、最近ではそれはない
ルイ「(何が可愛い妹だァ、だよ そう言うのなら
兄として、スバルを少しは譲ってよ!と言うか、
あたしたちに全部ちょうだいよ!
全、然、足りないんだからさァ!!)」
- 96『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 18:54:23
実はライもロイも、私たちを差し置いて一緒に寝ようと
スバルの寝室に行ってた
スバルは自分からあたしたちのところには恥ずかしがって絶対に来てくれないからねェ
それがわかっているから、ライ達もアイツらも積極的に
なるんだろうけど
ルイ「まぁ、それは私たちも同じなんだけどね」
だけどスバルに断られて、何度も食い下がってそれでも
断られて
トボトボと自分の寝室におとなしく戻っていく二人を
見て、思わず笑いそうになるのを抑えるのに必死だったよォ
せっかく、スバルと一緒に暮らす為に『スバル教』で
稼いで貯めたお金であたしたちで、辺鄙(へんぴ)で静かな場所にスバルの為のお家を建てたのにね 部屋もわざわざ、私たち兄弟の数作っちゃってサ
それを初めて知ったスバルは驚いてたなァ
- 97『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 19:20:09
ルイ「(でも、やっぱりお兄ちゃん達は本当になァんにもわかってないなァ)」
たかだか一緒に寝るのを断られたぐらいで心が折れて
諦めるだなんて、出来の悪い兄たちはこれだから
そんな兄を持つ妹の私たちはいつも苦労するんだよ
ルイ「(....まぁ、その出来の悪いおかげであたしたちは
こうしてスバルを独占するチャンスが巡ってきたんだよね
たまにはね、出来の悪いなりにアイツらも私たちの役に
立ってもらわないと
さてと、ゆっくりとスバルの所へ、抜き足...差し足...忍び足...)」
ルイは、寝室の扉をゆっくりと閉め スバルのいるベッドへ、音を立てずゆっくりと近づいて.....
ルイ「(....よし、スバルは起きていない)」
無事、ベッドに辿り着き スバルの寝顔を見てルイは
胸を撫で下ろす
スバルは寝息を立てて、穏やかにすやすやと眠っている
- 98『憤怒』編 執筆者25/11/28(金) 19:29:41
ルイ「(....スバルの寝顔、可愛いなァ....)」
弟(スバル)の寝顔を見て姉(ルイ)は優しく微笑む
普段は滅多に見れない可愛い愛弟の寝顔だ
ルイ「(こうして見ると、本当に...)」
寝顔を眺めながら、ふと、ルイは思った
ルイ「(...そう言えば、あたしたちはスバルの事をよく
知らない)」
ライやロイと違って、自身は生まれたときは、誰もいないずっと白い世界の場所にいて、自分だけは生前の前世の
スバルに会えなかったのだ ロイが言うには生まれるはずだったけど、母の腹の中に出ることなくそのまま母親とともに亡くなってしまったからだと
それを聞いたときは母親の事を強く憎み、恨んだ
そのせいで自分は前世のときのスバルに会えなかったからだ それは今でも忘れていない
だが、今は違う こうして身体を手にして
前世のスバルが生きていた時に出来なかった事を今は
前世の生まれ変わりのスバルを相手にできる
それで十分だと思っていたが、そう言えば自分は現世でのスバルの事を深く知らない どんな風に生まれて
どんな風に育ち、どんな人生を送ってきたのか
ルイ「──知りたい」
スバルの事を知りたい、スバルの事をもっと知りたい
もっと知って、スバルにもっと近づきたい
ふと浮かんだ好奇心だった、それは初めてではなく以前から感じていたが、機会があれば知ろうと言う気まぐれ
程度しかなかった
- 99『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 03:04:08
- 100二次元好きの匿名さん25/11/29(土) 08:49:22
保守
- 101『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 10:49:41
- 102『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 10:52:09
- 103『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 11:01:19
ルイ「(....まさかスバルが起きるとは思わなかったなァ
起きないように気をつけて声はなるべく小さくしてたのに...
反射的ににベッドの下に隠れたから、バレずに済んだけど...クソ....)」
せっかく今スバルを独占できるチャンスなのに!
ここで逃したら、当分はまたスバルに会えない!
そんな中でようやく巡ってきたチャンスなのに.....
何も出来ずにあたしたちは明日を迎えるの?また何の進展も無く
他の大罪司教やライやロイやアイツらにスバルを独占され続けるの!?
ルイ「(そんなの嫌だ!嫌だから!嫌だからこそ!私たちはこのチャンスを何としても逃したくな..........ん?)」
ふと寝息が聞こえた スバルの寝息だ 入る前に聞いた
あの心地よい可愛い弟の寝息だ
スバルの事で冷静さを失って、スバルが寝たことに気づかなかったのだ───と言うより
ルイ「(あれェ?寝たの?もう寝たの?あたしたちが隠れてすぐに?そんなに時間経ってないよ?
スバル、そんなに疲れてたのかなァ?)」
スバルの寝る速さに困惑しつつも
ルイ「(.......でもよかった)」
チャンスはまだ失っていないことにほっとする
ルイ「(.....これでさっきやり損ねた事ができる)」
ルイはベッドの下からゆっくりと出ると、スバルが再び
起きないように慎重に立ち上がり、スバルの顔を見る
- 104『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 20:14:22
ルイ「(....正直、このやり方は少し迷ったんだけど)」
ルイがスバルの事をもっと知る為の方法、それは自身の持つ
『暴食』の権能でスバルの『記憶』を喰らうこと
『暴食』の権能は、相手の『名前』と『記憶』を奪い
自分の物にすると言う能力
その権能でスバルの『記憶』から、スバルの情報を知る事が出来れば、自分がスバルにとって、一番の理解者になり
より仲を深める事が出来ると考えたからだ
ルイ「(.....スバル相手に、『暴食』の権能を、使うのは
気が引けるけど...でももう、これは、抑えきれない...)」
このやり方をスバルが嫌う事だと言うのは、もちろん
ちゃんとわかっている
でも例えるなら、目の前の一度も食べたことが無い
未知のご馳走の皿を前にして我慢なんて出来るわけがない
不満と愛と独占欲と好奇心で膨大に膨れ上がった自分の
欲求が剥き出しになってしまったら
もう止まると言う事は出来ないのだ 仕方がない
これはもう抑えきれないのだから
それに知るだけ知ったら、すぐに返せば良い
それで何の問題もない 何より誰にもバレなければいい
そう開き直ったルイは、スバルの片方だけ飛び出している手に軽く触れ、なるべく聞こえないように全力で抑えた声で
ルイ「──ナツキ・スバル」
──あなたは、どんな人生を歩んできたの?
ルイ「──イタダキマス」
ルイはスバルの手のひらをそっと舐めた
- 105『憤怒』編 執筆者25/11/29(土) 20:19:12
──さて、スバルの人生は、その味わいはどれほどのものか
記憶を体内に取り込んだ瞬間、ルイの頭の中に
スバルの新たな記憶が流れ始める
ルイ「(.....これが、スバルの記憶、日本と言う国がこのスバルの生まれた世界....私たちの知らないスバルの...それをあたしたちが....私たちだけが!!)」
恐らくこの世で誰も知らないであろうスバルの記憶、
ルイはこの世で唯一それを知れる1人だと高揚する気持ちがさらに昂ぶる
ルイは最初にスバルの部屋に侵入した目的は、もうとっくに忘れていた
それよりも優先したい目的ができたからだ
ルイ「(....さァ、スバルの記憶を)」
1冊の本から新たな知識を得るように、それを堪能しようとルイはスバルの記憶の掘り起こしを始めようとしたとき
スバル「....お前何やってんだ?」
ルイ「───!?」
不意にスバルの声がしたかと思いふと頭を上げると
スバルが上半身だけを起き上がった状態でルイを見ていた
- 106『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 01:10:49
ルイ「ス、スバル?」
先ほどまで寝ていたスバルが再び起きていた
不意の出来事にルイは驚き、身体が硬直する
ルイ「ス、スバル...な、なんで....?もう寝たんじゃないの?」
スバル「何か喋る声に、起こされたんだよ
それで気になって、起きたらお前がいたんだ」
ルイ「......うそォ」
スバルの記憶を喰らった時に思った気持ち、あれ言葉に
出てたの、気持ちが昂るあまり同じミスを二度も....
あたしたちとしたことが、これじゃあライやロイのことを言えない──
スバル「....それよりもお前俺の記憶がどうとか、言ってたな」
ルイ「!!」
真夜中の暗い空間の部屋の中、スバルは布団から出て
ベッドに座った状態になり、立ち尽くすルイにそう
問いかけた
スバルの表情は見えないが、声から怒りを感じる
ルイ「(まずい...本当にまずい....これでスバルに嫌われたら、あたしたち生きていけな)」
スバル「もしかしてお前、俺の記憶を喰らって──」
- 107『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 01:16:01
- 108『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 09:14:09
ルイ「(この様子なら、朝まで起きることはないわねェ
スバルには、悪いけどサ.....
......さて、とォ、気を取り直してさっきの続きを....)」
ルイは途中で中断していたスバルの記憶の掘り起こしを
再び始めた
ルイ「.......ゴチソウサマデシタ」
十分に、存分にゆっくりとスバルの味を堪能し味わった
ルイは食の感謝を言の葉に乗せる
だが、その声色は食への喜びではなく、疑問や困惑を感じている声色だった
ルイ「......どう言うことなの?何でスバルに、あんな記憶が...?」
ルイが見たスバルの記憶は、生まれた場所、育った環境
元の世界から、異世界に来るまで
これがスバルの記憶だと、他の誰も知らないスバルを
自分だけが今それを知ることが出来ているんだと
最初はそれに喜びを感じていた
- 109『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 15:56:53
──あるいくつかの記憶を見るまでは
ルイ「....これ死の記憶だよね? なんで、スバルの記憶に、死んだときの記憶が、あるの....?」
スバルの記憶にあった、死の記憶、それも一度や二度ではない 何十回どころか何百回と言ってもおかしくない数だ
しかもその死の要因はなすすべなく殺されての死だと言う事実に愕然とする
ルイ「.....もしかして、あたしたちと似た能力を....?」
つい最近の話だ、ある日突然授かった詳細不明の能力
それは一度死んでもまた蘇ると言うものだ
それは自分だけではなく、なぜか他の大罪司教達のみに
それが授かっていたのだ
始めは嫌なことや失敗を何度でもやり直す事ができる
能力だと喜んだ、しかしそれ以降からなぜか殺される事が
多くなり、主にスバルを他の大罪司教達から奪還しようと
争っていたら剣聖やピンク髪のメイド、プレアデス監視塔にいたサソリの女に邪魔されては殺されるを繰り返されるがほとんどだった
初めは喜んでいた能力も、上記の内容が原因で一時期は
精神が耐えられず引きこもっていた
しかし、そのままだとスバルを奪われるのは嫌だと
立ち直り、死んでは現世に戻るを繰り返す、“死に戻り”の能力をなんとか克服する事ができたのだ
- 110『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 15:59:19
ルイ「.....まぁ、そんなの嘘だし、無理なんだけどね」
正直、本当に何一つも死の感覚になんて慣れてはいない、最初の頃よりマシになっただけだし、スバル達の前では強がってるだけだ
自身ももう数々の死は経験しているのにも関わらずだ
今でも死ぬ瞬間は怖いし、恐ろしい 今は死◯ば何度でも
蘇る事ができないが、いつこの能力が使えなくなるのか
わからない
ルイ「──それでも」
スバルを取られてしまうよりはマシだ それは何よりも
死よりも耐え難いと思った だから今でもスバルとの
幸せな人生の為なら、いつかは死に対する恐怖なんて
乗り越えてみせる 他の怖れ知らずの大罪司教達や兄達
ルイ「...そして私たちスバルを奪ったあのハーフエルフや剣聖達の思い通りにはさせない....
──あたしたちは、やろうと思えば、何でもできる
スバルは、私たちだけのもんだァ...」
それが、これから先、愛する弟との最高の人生を
運命付けられた姉の自分
──それが、ルイ・アルネブとナツキ・スバルと言う
最も幸福になる二人の姉弟の運命
ルイ「──だからこそ」
- 111『憤怒』編 執筆者25/11/30(日) 16:02:44
- 112『憤怒』編 執筆者25/12/01(月) 00:38:41
ルイ「.....お兄ちゃん達は、絶対に追いかけてくるよね?」
ルイは小さな身体で布団に包んだスバルを抱えたまま
木が生い茂る真夜中の森を走る
危なかった 兄達はいつから起きていたのだろう?
あと一歩遅かったら、もう部屋に入られてた
気づけば無我夢中で窓を割って外に出てきてしまった
ルイ「(そう言えば、あたしたちはスバルと一緒に寝ようと部屋に来たんだった、....それがまさかこんな事になるとは思わなかったなァ)」
ライ「ルイ!どこにいるのサ!?」
ロイ「僕達を差し置いて、スバルを独り占めする気かい!
それはお兄ちゃん達、許さないよォ!」
ルイ「ちっ、ライとロイ....今更もう引き返したくないし
ここまで来たら、もう行くところまで、行っちゃァようかなァ」
ルイは先ほどよりも走る速度を上げ、ドルケルの異能
空間跳躍を駆使し、追跡の痕跡を消しながら
逃げていく
- 113二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 01:03:28
このレスは削除されています
- 114二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 07:31:23
保守
- 115二次元好きの匿名さん25/12/01(月) 10:18:46
さらにルイはライとロイからの追跡を振り切る為
足を止めて、一旦スバルを降ろす
そして両手で指を組み、何かを詠唱する
すると、自身と同じ存在、スバルを抱えたルイが3人
出現する
これは、過去に喰らったシノビの記憶から
得た、シノビの術の一つの分身の術だ
だが、これは脆い 一度試したことがあるが攻撃されればすぐに消えてしまう
本当なら分身ですら、本物と同等の強さを出せる程の精度を持つ
カララギで最強と名高い『礼賛者』の記憶が欲しかったな
ルイ「でも、こんな下忍程度の能力でも、あたしたちなら上手く使ってライ達の追跡をどうにかできる」
──なぜなら、私たちはやろうと思えば何でも出来るのだから