- 1125/12/02(火) 14:12:47
- 2125/12/02(火) 14:19:26
- 3125/12/02(火) 14:23:47
- 4125/12/02(火) 14:29:07
- 5125/12/02(火) 14:32:53
- 6125/12/02(火) 14:36:21
- 7125/12/02(火) 14:39:53
- 8125/12/02(火) 14:46:49
そこは元々はいくつもの摩天楼が空高く伸び、大きく栄えた大都市だったのだろう。
しかし、現在はどのビルも半ばからへし折れ、住んでいた人々はおらず
空虚な空気だけが充満する死んだ廃墟のみが広がっていた。
その都市を地上スレスレの位置で航行するホワイトベースは現在殆どの灯りを消し、
ブリッジ内も僅かな計器類の明かりだけが頼りなく周囲を照らす。
「……ここを抜ければひとまずは安心か」
艦長席に座るブライトは呟くが、その顔は余り嬉しくなさそうにも見えた。他のクルーたちも
似たり寄ったりな面持ちで、言いようのない緊張感がブリッジ内に……いや、船内に充満していた。
ここ数日、殆ど勢力下だというのにジオンからの追撃がなく酷く静かに順調な航路を歩んでおり、
ジャブローからの暗号通信で指定された海上までのこり僅か、まさに目と鼻の先にまで迫っている。
このまま何も無ければ心配は杞憂に終わる。けれど、薄々は理解しているのだ。ここが北米において最大の山場だと。
そして、それは来た。
唐突にニューヤーク廃墟都市上空が白み、深夜の夜空を照らす。
「照明弾か……!」
加えて、ホワイトベースの一部が瓦礫に隠されていた爆薬の感知センサーへ触れ、周囲が起爆する。
凄まじい爆発がホワイトベースの周りに発生するが、その堅牢な装甲にはダメージはない。
……が、それによって位置が露呈してしまった。
「ッ!高熱源反応多数!レーダーに機影複数確認!囲まれてます!!」
「総員第一種戦闘配置!パイロットたちはモビルスーツへ搭乗させろ!!」
「了解!」 - 9125/12/02(火) 14:48:18
- 10125/12/02(火) 14:50:26
「始まったか……」
廃墟都市を照明弾と幾つもの紅蓮の爆炎が彩る様を見て、パイロットスーツ姿のガルマは双眼鏡から手を離す。
「総員に通達、現時刻をもって木馬攻略作戦を開始する!!」
『了解!』
「航空部隊!ありったけのプレゼントを贈ってやれ!この都市を更地にするくらいにな!」
『こちら航空部隊、メッセージカードもつけておいた方がよろしいですか?』
「フッ、必要ないさ。心からのサービスだ」
『アイアイサー!』
上空からガウを中心にドップたちの編隊が列を成し、ありったけ積み込んだ爆薬を投下し始めた。
遠く離れた位置にいるというのに鼓膜をビリビリと震わせる轟音と振動を感じながらもガルマの表情は険しい。
そして、4つの桃色の光線が爆炎を貫いて空へと上がる。その軌道上にいたドップは巻き込まれ、
空を照らし掠めたガウは煙を上げたが依然変わりなく爆薬を落とし続ける。 - 11125/12/02(火) 14:52:17
- 12125/12/02(火) 15:02:13
「ジオンの連中この時のためにずっと何もしてこなかったんだな……!」
絶え間ない爆撃に晒されながらガンダムのコクピットでアムロは顔を顰める。
「これじゃあ出ようにも巻き込まれるな……せめてほんの少しだけでも止まってくれれば……」
懸命にホワイトベースが廃墟の中を進んでいるが、
現状を見るに余り効果が無いのはこの揺れを見れば明らかだ。
しかし、どうにかしようにも現状アムロにはやれることは無い。
焦る気持ちはあるが、とにかく耐えるしかない。
だが、不意に嫌な予感が走ると即座に通信を入れた。
「ッ、不味い!!ブリッジ!直ぐにハッチを開けるんだ!!」
『無理だ!巻き込まれるだけだぞ!?』
「いいから早く!じゃないと狙い撃ちされるぞ!?」
『こんな爆撃の中で狙えるわけ───
ブライトの言葉は最後まで続く前にとてつもない振動がホワイトベース全体へ走る。
そしてけたたましいサイレンが鳴り響き、アムロは反射的に舌を打った。
「クソッ、やられた!」 - 13125/12/02(火) 15:09:25
「よし、推進部を撃ち抜いた!」
廃ビルの屋上を陣取っていたザクは被せていた断熱素材の布を脱ぎ捨て、僅かに屈むとブースターから
青白い噴射光を放出させ跳躍。宙へ躍り出たそのザクを爆炎が照らし、姿を露わにさせた。
大まかな全体図は変わらないが、背部のランドセルに増設するようにザクの胴体部分が強引に取り付けられ、
それから伸びたケーブルが手持ちの砲と繋がっていた。
事の顛末としてはガルマは意図的に爆撃の包囲網に穴ができるようにし、そこへホワイトベースを誘導する。
しかし、そこは事前に『ザクビーム装備型』が潜んでおり、
ホワイトベースが通ったところで推進機関を撃ち抜いたのだ。
本来、ザクはビーム兵器を扱うことが出来ない。根本的にジェネレーターの出力が足りないからだ。
厳密には使おうと思えば使える。しかし、その場合は1発撃てばザクがエネルギーダウンを起こしてしまうから、
ザクはビーム兵器は使えないということになる。
当然、ガルマもそれは理解している。だからこそ技術者に言ったのだ
『ザクのジェネレーターの出力が足りないのならジェネレーターを追加すればいいだろう』と。
しかし、ザクにジェネレーターを新しく追加する構造的余裕もなければ時間的余裕もない。
なら、どうするか? 話は簡単だ。他から持ってきたものを外付けすればいい。 - 14125/12/02(火) 15:16:51
幸いと言っていいかはわからないが、エフィのガンキャノンが大暴れしたせいで
スクラップになったザクが多数存在した。当然ジェネレーター部分は無傷な物もある。
ガルマはこれをランドセルへ増設するよう指示。
そしてそのエネルギーをビームバズーカの部品と接続させたのだ。
とにかく、一撃撃てさえすればいいというガルマの意向をメカニックは仕事を完璧にこなし、
結果はご覧のとおり。ホワイトベースのエンジンを撃ち抜くという戦果を上げてみせる。
そして、脚をもがれた天馬がどうなるかなど語る必要なあるだろうか?
「良し、これで逃げられる可能性はグッと減った」
ガルマは微笑み、見事に役目をなしとげた兵を称賛しつつ通信を入れる。
「目標、ホワイトベース!モビルスーツ隊、かかれ!!」
『了解!』
「シャア、ラル大尉、君たちはガンダムを頼む!」
『了解した。勝利の栄光を君に!』
『承知した!』 - 15二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 15:37:00
ヒャッハー!
戦闘だァッ! - 16125/12/02(火) 15:39:16
「アムロ、行きます!」
「あぁ、くそ……初陣でこんなのとかアリかよ!」
「泣き言なんざ聞きたくねぇ!」
「僕には僕のできることをしてやる!」
「ジオンの連中、舐めやがって!」
ジオンを迎え撃つようにホワイトベースのモビルスーツ達は出撃する。
「とにかく弾幕を張れ!敵近づかせるな!エンジンルーム、被害報告!!」
『推進部をやられましたが、エンジン部分は無事です!だけど、直そうにもこんな状況じゃ無理です!』
「クソッ、連中どんな兵器をつかったんだ!!」
目まぐるしく戦局が変わる中で、ブライトは喉が枯れるほどの声量で指示を飛ばし続けている。
「シャアァァッ!」
『ガンダムゥウッ!』
アムロとシャアは互いに相手を確実に仕留めるためにヒートサーベルとビームサーベルを振るう。
一合、二合、三合と数えるのも億劫になるほどぶつけ、合間合間にバルカンやマシンガン、
ビームや砲弾を放ち都市の間を駆け回っていた。
その道中にいたザクを切り捨てたところで、不意に空が一際明るく染まる。 - 17125/12/02(火) 17:30:46
「ッ、なんだ!?」
『グゥ!?ッ!ガウが落とされただと!?』
ガンダムがシャアのザクへ蹴りを叩き込み、
ビルへ突っ込んだところで出来た僅かばかりの間にアムロは顔を上げ息を飲んだ。
ホワイトベースを爆撃していたジオンの航空部隊の主力でもあるガウの1機が内部から爆炎を上げ、
直庵機のドップが火達磨となって墜落していく光景を見てしまう。
唐突すぎる出来事に戦場にいた全ての兵士が空を見上げ、攻撃の手を止めるという異常事態。
しかし、それ以上に思考の端で感じ取ったのだ。
その巨体を炎で包み、高度を落としていくガウは遂には地表へと激突し轟音とともに空高く爆発の柱が発生する。
そして、それを背にして歩む死神の姿を……
『なんだ……お前…………?』
ザクのパイロットは寒くないのに震えが止まらなかった。
ゆっくりと歩み寄ってくる存在の気配に充てられ、ガンガンと警鐘を鳴らす。
咄嗟に乗機でもあるザクのマシンガンの銃口向ければ、死神は徐に歩みを止めた。
だが、それはその銃口を警戒してのものではない。
気配に触れただけで吐きたくなるほどの濃密な殺意を感じ取り、知らず知らずのうちにザクを後退りさせた。
本来の武装の他、左肩にdice1d3=2 (2) (1.ミサイルポッド2.レールガン3.ガトリング砲)、
左手にも射撃武器としてdice1d3=1 (1) (1.ビームライフル2.100㎜マシンガン3.ハイパーバズーカ)、
両の脹脛にミサイルポッドと可動式ホイールユニットを装備した死神がそこに居た。
- 18二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 20:16:50
もしかしてレールガンをガウにぶっ放して撃墜した…?
ザクより遥かに出力に余裕があるから…? - 19125/12/02(火) 20:40:42
ザリッ、足裏が瓦礫だらけの地面を踏み締めた小さな音が響く。
やけに耳に残る音に堪らず、パイロットは視線を目の前から僅かに外してしまう。
時間にして1秒にも満たないほど、隙とも呼べないようなほんの僅かな時間だというのに視線を戻した
パイロットの目にはモニターいっぱいに映る眼光が広がっていた。
『ッッッッッ!!!!?』
凄まじい音がコクピットを襲い、世界が砕けたかと思うほどの衝撃を最後に
ザクのパイロットは意識を取り戻すことはなくなった。
『は、速い!!?』
空高く跳ね上がり、墜落した仲間のザク。
それはよく見ればコクピットに穴が空いており、中がどうなっているかなど想像しなくても理解できる。
あっという間に自分たちの仲間の1人を無力化した見たことの無いモビルスーツにザクたちは気圧された。
『ひっ……!?』
殴りぬいた姿勢のまま、その機体と目が合った1人はそんな雰囲気に呑まれ、引き金を引く。
それに吊られるように他のザク達が各々の火器を放つ。
避けれないほどの距離で弾幕が形成され、どんなものもあっという間にスクラップへ変える
暴力だというのにその場にあるのは悲鳴だった。
『な、なんで当たらないんだよ!?』
『こ、こいつ弾幕の合間を縫ってやがる!?』
『来るなぁぁあっ!!!』 - 20125/12/02(火) 20:43:15
常人だったら挽肉になる様なデタラメの軌道で赤い残光を伴いながら7号機は弾丸のシャワーを進む。
右肩の砲口が光を放った。
『……え?』
桃色の光がザクの胴体を貫き、爆散。
その爆煙を引き裂いて別のザクへ、拡散方式のミサイルが襲い掛かる。
『あぇ───』
その爆発に乗るように、上空へ7号機は躍り出た。
『ひ、ひぃぃあいっ!!?』
あっという間に仲間を目の前で落とされたザクのパイロットは引きつった悲鳴をあげながらザクバズーカを乱射する。
それに対して7号機は空中で微かに身をひねることで弾頭同士の僅かな隙間を通り、
落下とブースターの勢いを殺すことなくビームライフルを発射、またひとつ火球の華が咲いた。
着地すると同時に地面を踏み抜き、突進。
進路上にいたザクをシールドの先端で刺し、勢いを強引に殺すことで着地する。
しかし、その慣性に引きずられるように貫かれたザクが位置を入れ替えるかのごとく宙を舞い、
7号機は別のザクに向けて投げつけた。
『ァァァアアッ!!?』
勢いよく投げられたザクは別のザクへ勢いよくぶつかり、
吹き飛び2機諸共廃ビルを突き破ると支えを失ったビルが倒壊し、そのザクたちへ降り注ぐ。
砂塵が朦々と周囲を覆いつくし、夜も相まって視界が阻害される中で幾つものマズルフラッシュが瞬く度に
ピンクの光が走り、火球が生成され煙が晴れた頃にはそこには残骸しかなかった。 - 21二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 20:56:16
ゴジラか何かで…?
- 22125/12/02(火) 21:01:10
「な、なんだぁ!?ザクが消えていくぞ!」
エフィが一度乗ったガンキャノン2号機は右肩をレールガンに換装していた。
パイロットのカイはレーダーに映る機影が次々と消失していく様を見て、
ホワイトベースを落とそうと躍起になっていたザクの1機をビームライフルで撃ち抜きながら目をひん剥く。
『わ、分かりませんけど敵の動きが乱れてますよ!』
『よく分からんが今のうちに叩けるだけ叩け!アムロがエースたちを相手にしてる間にな!』
ガトリング砲とミサイルポッドを装備したガンキャノン1号機に乗るハヤト、
リュウとジョブの駆るガンタンクが主砲とミサイルでドップやザクを打ち抜きがら叫び、
カイも訳が分からないがこの好機を逃さない理由は無いとキャノンを撃ち放った。
「おちびが準備に時間かかってたけど、それが理由か!?」 - 23二次元好きの匿名さん25/12/02(火) 23:20:14
なんかもう、エフィちゃん暴の化身すぎて圧巻
- 24二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:23:03
ランバ・ラルさん、出番です!
エフィ相手に善戦することを願ってます! - 25125/12/03(水) 06:00:56
『2人がかりだぞ!?』
『ぬぅっ、このパイロット中々やる!』
シャアとラルは2人がかりでガンダムを攻めるが、アムロはそれを捌いていた。
「やっぱり、エフィを相手にするよりは楽だ!」
その中でアムロは確信を持ったように叫ぶ。確かにこの2人は強い、だがエフィの強さとはベクトルが違うのだ。
この2人は攻撃する時にアムロは朧気な感じではあるが、どこに来るかという
不快感をなんとなく感じておりそれのお陰で少し前まで1体2という戦いもくぐり抜けることが出来た。
しかし、エフィとのシミュレータでも模擬戦ではその不快感というものが全く感じられない。
いや、集中すれば本当になんとなくだが分かるのだが、とにかく彼らよりもそれが薄い。
だからアムロはこうして多少の被弾があっても持ちこたえられていた。そうしていると。
『兄貴!』
「ッ、エフィ!?」
近距離通信により、エフィの声を聞いてアムロは目を見開くが、
操縦の手は緩むことなく逆に青いザクのようなモビルスーツの横っ面を蹴り飛ばしていた。
そして、廃ビルの上から飛び降りたモビルスーツが着地する。
ホイールユニットの除く追加装備を全てパージした7号機だ。
- 26125/12/03(水) 06:06:14
『ふぅ、無事か?』
「エフィ?」
『ああ、手当たり次第にジオン部隊を潰してきたぞ』
おかげで追加武装は弾切れだ、そう続ける妹の変わらない姿にアムロは
呆れとも嬉しさとも感じ取れる曖昧な表情で肩を下げる。
「はぁ……まだやれるか?」
『おう。ついさっきエースっぽい機体を撃墜したぞ。dice1d2=1 (1) (1.肩が赤い奴2.要請のマーク付けた部隊)』
「なんか急に敵が減ったとおもったらそっちに居たのか……んんっ、
とにかくじゃあアリアはあの青いザクみたいなやつを頼めるかい?」
『兄貴はシャアだな?……この前のリベンジをしたかった所だが譲ってやるよ』
アムロはそう言い、こちらを警戒して様子を伺っていた赤いドムとグフへ向き直り、
二号機の隣へ7号機が立った。
『……パージは最下位だったな、エース相手に重い装備は邪魔だ』
「だな。やれるかい?」
『無問題』
二号機はサーベルを、7号機はdice1d2=2 (2) (1.ツインビームスピア2.ガンダムハンマー)
を構え、それぞれの敵へと突き進む。
- 27125/12/03(水) 10:19:07
「ッ!」
『えぇい、もう一機か!』
7号機を前にラルのグフは右腕の増設シールドに装備されたヒートロッドを振りかぶる。
それに対してエフィはハンマーの鉄球で防ぐが、先端部が遠心力に乗って巻き付いた。
『馬鹿め、このまま電流で───』
「フッ!」
『ぬぉおっ!?』
それを膂力に任せて引き寄せ、エフィは近づいてきたグフの腹部へ膝蹴りを叩き込む。
跳ね上がったグフの顔面の排気ダクトを掴みんで引きちぎり、ビームサーベルで右腕を切り裂いた。
「オラ取った!」
『舐めるなぁ!』
残った左手に握られたヒートサーベルでブルーに向けてラルは斬りかかるが、エフィはそれを
やけに冴えた勘で察知しており姿勢を低くすることでグフの懐へ飛び込み、
サーベルで切り上げることで二の腕から切断してみせる。
あっという間に両腕を失ったグフにラルは目を見開き、モニター一面に映るビームの刃が迫る様を────
『やらせない!』
「チッ!」
どこからともなく飛来してきたバズーカの弾頭によりトドメを指すのを中断させられ、
アリアは舌を打ってその場から飛び跳ねる。 - 28125/12/03(水) 10:20:43
- 29125/12/03(水) 10:24:18
- 30二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 11:10:45
ガルマ生きてた!
うれしい - 31二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 12:17:24
シャアも「謀ったな!?」することなさそうだし
このままいけばかなり未来変わりそうだね - 32125/12/03(水) 13:45:50
「クッ、これだけの戦力を投入してなお落ちないというのか!?」
気がつけばガルマが率いた軍勢の数は数える程となり、彼の目線の先には損傷が激しいが未だ航行能力を残す
ホワイトベースとガンキャノン、ガンタンクがいた。
あれだけ居た航空部隊も既に瓦解しており、レーダーに残る友軍もほとんど居ない。
「…………総員に通達、作戦は失敗した撤退せよ!!繰り返す、作戦は失敗、撤退せよ!!」
落とされてしまったガウから脱出するために乗り込んだ専用グフの腕を空に向け、撤退信号を放つ。
それを見た残存兵力は即座に逃走を始め、それをホワイトベースへは追撃をせず黙って見送る。
「クソッ……まさかここまでとはな」
グフと配下のザクたちを全速力で走らせながらガルマは何がダメだったかを考えるが、出来る限りの
準備を行い万全の姿勢を持って迎え撃った。だが、それを持ってすらホワイトベースは全てを食い破って見せた。
「……仕方ない、失敗は次に活かそう。幸い連中のデータは荒方手に入った。
これを本国や重力戦線で奴らが通るであろう地域にいる部隊に送り、代わりにやって貰うしかないか」
悔しいという気持ちはある。だが、それを飲み込んでガルマは指揮官として
次へと活かすため前向きに考えていたところで不意にグフを立ち止まらせ、徐にヒートサーベルを構える。
すると、先の暗闇から部隊を壊滅させた現況……ガンダム7号機が現れた。 - 33125/12/03(水) 13:48:03
「……どうやら私は天に見放されたらしいな」
『戦うつもりか?意味の無い殺しは嫌いなんだが』
幼く可憐な少女の声だが、その姿は死神にしか見えない。
『ガルマ様、ここは我々にお任せを!!』
ガルマのグフの前に配下のザクたちが立ち、そういうがガルマは首を横に振り前へ出る。
「それはならん。部隊の指揮官が情けなく逃げるなど兵の指揮に関わるからな。
それに、ここで逃げれば私はザビ家の男として名が廃る!」
『はぁ……さっさと終わらせるか』
「ジークジオン!!!」
廃墟都市の一角で僅かに閃光が瞬き、そして静寂が訪れる。
何も聞こえることはなく、それっきり何も起こることは無い。
ガルマが失くしたのはdice1d4=2 (2) 1.右腕2.左腕3.右足4.左足
- 34125/12/03(水) 17:25:49
ジオン公国首都ズムシティの中心にある、良く言えば前衛的というか悪く言えば趣味の悪い
デザインの公王庁内部の謁見室に彼らはいた。1人は玉座に座る禿頭の眼鏡をかけた豪奢な衣装に身を包む老人、
もう1人はすぐ側に控えているやたら黒を基調とした派手装飾の軍服姿で丸刈りにした眉のない男の2人。
「ガルマの奮闘を無駄にする訳にはいかないのです!ザビ家末代の沽券に関わるのですから」
「…………ギレンよ、儂はただ───」
「恐れながら、ドズル・ザビ様及びキシリア・ザビ様の両名、只今前線よりご到着致しました!」
眉なしの男、ギレンの言葉に禿頭の老人、デギンは何かを言おうとするがそれを遮るよう扉を守る
衛兵が敬礼とともに告げると、巨大な扉が開かれ奥から無駄に刺々しい装飾の着いた緑の軍服の
巨漢の男と紫を基調とし脇に金の角飾りの着いたヘルメットを抱えた女が室内へと入る。
彼らこそジオン公国を束ねる者たちであり、この一年戦争を引き起こした原因でもある首魁『ザビ家』たちだ。
「……早かったな、2人とも」
「父上!ッ〜……さぞ!!」
「残念です。あのガルマが連邦軍のモビルスーツの前に倒れたと……」
2人を迎えるようにデギンが声をかけ、それに巨漢の男、ドズルと紫の女、キシリアがその表情を悲しみに歪めた。
「兄貴!俺はまだ信じられん!今にもあいつは元気な姿を見せるんじゃないかと……!」
「……過去を思っても戦いには勝てんぞドズル」
ギレンの言葉に僅かにドズルはたじろぐ。
「しかし!アイツは少し見ない間に立派な漢に成長したんだぞ!?
ジオンの未来を思い、そのためにプライドもあっただろうに俺たちに頭を下げて!!
その時に俺は思ったんだ!アイツは俺すら使いこなす将になると……!!なのに、なのにっ!!」
その大きな手を軋むほどの力で握り締め、
目尻に涙を浮かばせながらドズルは叫べば悼む表情とともにデギンは顔を伏せた。 - 35125/12/03(水) 18:39:55
「ドズルの言う通りだ。だから、ギレン。ガルマを静かに……あの子の回復を祈ってやってくれまいか?」
その願いに大して実質的なジオンの指導者でもある総帥ギレンは冷ややかな視線を向け、微かに目を閉じる。
「それはできません」
「……何故だ?」
「ここでは息が詰まります。一旦、外に出ましょう」
そう言うとギレンは謁見室のすぐ近くにあるズムシティを一望できるバルコニーへと歩き始めると、
それに続くように3人は歩き出した。
「……ギレンよ、なぜいけない?」
「父上、今は戦時下です。国民や兵たちの戦意高揚をより確かなものにするためにも
国を上げてこそが最も相応しいはずです。
加えて、ガルマはドズルが言ったように自分自身のプライドを捨て、利を取るほどの成長を見せました。
ガルマならば己の負傷を利用し、ジオンの勝利のために使うことも望んでいましょう」
「私もギレン兄上に賛成です。あの子は木馬を討つために自分の出来ること全てに手を出しました。
ならば、我々もそれに応えなければなりません。でなければ犠牲が無駄になります」
「俺は政が分からん。だが、このままガルマの仇を討てないのが我慢ならん!!
あの白いモビルスーツを必ずこの手で始末しなければ!!オマケにシャアとランバ・ラルだ!
態々アイツらがいながらガルマを守れないなどっ!!!」
「その者たちの処罰は貴方の権限ですればいいでしょう?……父上、大事なのは儀式なのですよ」
「ガルマは国民や兵たちに大変人気がありました。彼の大々的に公表するよって
……国民や兵たちの地球連邦への憎しみを掻き立てることこそ肝要ではないのですかな?」
「…………」 - 36125/12/03(水) 21:20:25
- 37125/12/04(木) 05:35:11
- 38125/12/04(木) 09:01:32