- 1二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:14:51
- 2二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:15:51
- 3二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:16:58
- 4二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:20:33
あらすじ
補習授業部の顧問と言う仕事を終え、エデン条約のまでの間に、黒服は
アビドスやゲヘナに訪問したり、『預言者同盟』という名前の仲良しグループチャットを作ったり、SRTやヘルメット団を口八丁で味方にしたりしていた。
そんな黒服はいよいよエデン条約が近くなってきたので、壊される運命である通功の古聖堂(修復中)の見学に行き、シスターフッドのお行儀のよさにびっくりしているのであった。 - 5二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:24:38
- 6二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:31:49
加速
- 7二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:34:57
1時間くらい頑張って総力やってたんかい
安価ならノゾミ - 8二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 00:55:37
レイサ
- 9二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 01:45:02
シズコ
- 10二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 02:42:00
- 11二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 07:29:39
たて乙です
- 12二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 09:31:59
あらすじだと黒服がコミカルな悪人みたいになってるな
- 13二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 14:11:46
先生としてのリミッターとヴィランとしての悪辣さの奇跡的なバランスが絶妙なコミカルさを生んでる気がする、カヤの時とか
- 14二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 21:31:13
保守
- 15通功の古聖堂②25/12/03(水) 23:01:08
歌住サクラコの案内で、通功の古聖堂の中に入る。若葉ヒナタと伊落マリーはそれぞれ自分の持ち場に戻り、彼女は1対1で私に古聖堂内部について解説してくれた。
中には作業中とみられる生徒や業者などが少しいたが、今は細かい部分の調整を行っているようで、完成系の姿は十分想像できるものだった。
「ご存じかもしれませんが、エデン条約の調印式がこの古聖堂で行われることになったのは、ゲヘナ側の代表者である万魔殿の議長の要求とのお話です。……トリニティ嫌いで有名な方というお話を伺っていましたが、この古聖堂に注目していただいたのはありがたいお話ですね。お陰様で、このように修繕に取り組むきっかけともなりました。」
歌住サクラコはこの修復工事が行われた経緯について、そう話した。
「確かに、このように素晴らしい建造物があるのであれば、マコト議長がここを会場に選んだ理由もよくわかります」
本当の目的はかつての公会議の再現と、地下からの侵攻への要として利用するという、アリウスの目的に載せられていただけなのだが、水を差すようなことを言うつもりはない。 - 16通功の古聖堂②25/12/03(水) 23:02:19
建物内部の、主要な部分についてあらかた話を聞くと、歌住サクラコはそこで一旦説明を終わらせた。個人的に気になっている、地下墓地の部分について触れるつもりはなかったようだ。
「サクラコさん、この古聖堂には巨大な地下墓地が存在していると聞いたのですが……」
「ああ……カタコンベのことですね。あるにはあるのですが……お恥ずかしいことに、そちらは未だ手つかずの状態なのです。老朽化しており、入ることは禁止となっておりまして」
私の質問に歌住サクラコはばつの悪そうにそう言った。特別な思惑があって隠していたというわけではなさそうだ。
「なるほど、そういうことだったのですね。では、外から見学だけでもさせてもらえたりはしませんか? 個人的興味があるだけなのですが」
「そうですか? ……先生がそこまで仰るのなら、ご案内させていただきます」
歌住サクラコはそう言って石造りの階段と、その先に小さな扉がある場所まで案内してくれた。この先が迷宮のように広がる地下墓地になっているのだという。
どのような人物が眠っているのか、興味が無い訳ではなかったが、ここに来た目的はアリウスの侵入経路の確認のためだ。存分に見させてもらおう、特に、何かを設置できる場所が無いか、などについて。
許可を得て数枚の写真も撮り、正門との位置関係などを十分に確認して、歌住サクラコに満足したことを伝えると、彼女は多少訝し気にしながらもうなずき、
「では、聖堂に戻りましょうか」
と言った。 - 17通功の古聖堂②25/12/03(水) 23:04:36
「いかがでしたか、先生。この通功の古聖堂は」
「厳かで神秘的な、深い歴史を感じさせる良い建物ですね。見学に来て良かったです」
これに関しては、私の本心だった。建築物への興味が然程あるわけではないが、ここには神秘の痕跡が多く残っている。壊されてしまうのは非常に惜しく感じてしまう。
そしてそれを修復している歌住サクラコやシスター達の姿にも感心させらた。これからここが破壊される、と直接言う訳ではないが、最低限ここが戦場になってしまうことは伝えねばならない。しかし、それが今の私にとって、非常に億劫なものになってしまっていた。
「ところで、先生」
気付けば、歌住サクラコは真っすぐこちらを見ながら、微笑みを浮かべていた。
「何か私に伝えることが会って、今日、ここまでいらっしゃったのですよね?」
見透かされたようなタイミングだ。いまさら、作戦を変えるということはできない。既に水面下で様々なことが動いているし、それ以上に良いと思える案もない。
「実は、エデン条約の調印式の件で、お伝えしなければならないことがあるのです。」
私がそう話し始めると、彼女はそのままの表情で頷いた。
ミサイルのような具体的な方法については避けつつ、この後起こる事と、作戦の概要を話す。、アリウスがエデン条約の調印式に再度現れる可能性が極めて高いこと。そしてそれは、この古聖堂が戦いの舞台となってしまうというのを意味すること。そしてそれを前提とした、対抗作戦があることを伝える。私が話している間、歌住サクラコは黙って、元の微笑みを崩すことなくただ聞いていた。 - 18通功の古聖堂②25/12/03(水) 23:06:06
「……成程。先生が少し言いづらそうにしていたのは、私たちのことを気にしていただいていた、からだったんですね」
話し終えた後、歌住サクラコは私の話の内容と、それをこちらから言い出さなかったことを好意的に解釈していた。
「ありがとうございます、先生。それでもお話いただいて、とてもうれしく思います。そして……私個人として、またシスターフッドの代表として、その作戦の決行を支持致します。」
そしてあっさりと、彼女はそう言い切った。
「……よろしいのですか?」
「はい。……と言っても、私は政治の事や戦いのことに関しては詳しくありません。なので、その作戦の良し悪しについては、分かりません。それに、この聖堂が戦いの場となってしまうことに、残念な気持ちはあります。」
「では、何故?」
「……先生のような方が、それでも私に、シスターフッドに話しに来てくれたからです。きっと私よりも何倍もそれらに詳しい先生が、この聖堂の事を気に入ったと本心から言ってくださった先生が、それでもこの作戦が一番だと思い、私に伝え、義理を通してくれたのです。であれば、私もその気持ちに応えよう、と思ったのです」 - 19通功の古聖堂②25/12/03(水) 23:07:07
「……そうですか。ええ、これが最も良い作戦だと考えているということは保証します。」
彼女の考え方は、私では完全には理解できていなかったが、殆ど初対面である私を信頼してくれているということは十分に伝わってきた。
「はい。私たちも微力ながら、成功をお祈りさせていただきますね」
歌住サクラコは、静かな微笑みを崩し、年相応ともいえるにこやかな表情で改めてそう言った。
「ありがとうございます。当日は瓦礫の山に立つことになろうとも、必ず作戦は成功させます。」
「はい! ……瓦礫の山?」
私の発言に少し違和感を覚えたのか、歌住サクラコが思案顔で聞き返す。
「いえ、喩え古聖堂が粉微塵に吹き飛ぼうとも必ず成功させるという覚悟の現れです」
「そ、それなら良いのですが……何故か先ほどから妙にたとえが具体的じゃありませんか?」
「それはミサイルが……いえ、忘れてください」
「ミサイル!? 今ミサイルと仰いましたか!? 先生、まだ話していただいていないこと、ありますよね!?」
その後、私は歌住サクラコの誠意に応えるべく、改めてミサイルの件も含めて彼女に説明した。彼女はかなり苦々しい表情を浮かべはしたが、最終的には
「一度言ったことを反故にしたりはしません。結果的に話してくださいましたし……その前の私を揶揄うような伝え方は酷かったですが……」
と文句を言いながらも改めて作戦に同意してくれた。
また、情報の出どころについては、百合園セイアの能力を知っているためか、深く追求してくることは無かった。
そして私は、改めて彼女に礼を言ったあと、伊落マリーと若葉ヒナタにも挨拶をし、帰路についた。
シスターフッドからも承認を得た。彼女たちの想いを裏切らないためにも、入念、かつ慎重にエデン条約の調印式の準備を進めた。 - 20二次元好きの匿名さん25/12/03(水) 23:14:23
- 21二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 07:17:00
乙です!
- 22二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 13:17:23
ほー
- 23二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 20:08:31
こうしんきづかなかった!乙です
- 24二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 20:39:33
サクラコ様には意地悪したくなっちゃうからね
しょうがないね - 25二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 20:58:13
乙です
わっぴーかわいいよわっぴー - 26立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:36:34
エデン条約の調印式を間近に控えたある日、トリニティの救護騎士団長、蒼森ミネから連絡があった。内容としては、あのクーデターに見せかけたアリウスによる襲撃事件の際、保護された生徒の内の1人との面会準備ができた、という内容だった。
その生徒とは、聖園ミカが襲撃に際し本来の部隊に紛れ込ませた内の1人で、極度の衰弱状態にあった者と聞いている。つまり、彼女に『マダム』、ベアトリーチェの存在を明かしてしまい、何らかの懲罰を受けていたと思われる生徒のことだ。
白洲アズサのように全く洗脳が効いていなかった訳ではないようだが、効き目が薄かったか、あるいは何らかの理由で洗脳が解けかけており、保護された後、意識が戻ってから暫くした後、情報提供の意思があったという。しかし、当然というべきか、救護騎士団からは体調が良くなってから、という判断が下されており、実現までには時間がかかっていた。それだけ、その生徒の状態が悪かった、ということだろう。 - 27立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:37:37
すぐにトリニティが運営しており、アリウス生徒たちが入院している病棟へと向かう。
蒼森ミネは多忙のため、面会の付き添いには別の救護団員がつく、という話だったが、受付に尋ねると、一人の救護騎士団の生徒が迎えに来た。
「あ、あなたが先生ですね! お待ちしてました、一年生の朝顔ハナエです!」
「よろしくお願いします。ハナエさん。貴女が今日案内してくれるという方ですか?」
私が訪ねると、朝顔ハナエと名乗った少女は笑顔で頷いた。
「はい! ミネ先輩から話を聞いていて、お会いできるのを楽しみにしていました! 最近はマイアさん、私とも普通に話せるようになりましたから、それで私に任されたんだと思います」
「マイアさん……というのがその?」
聞きなれない名前が出てきたので、思わず聞き返す。
「はい、そうです。立木マイアさん、と言います。最初は、えーと、結構混乱とか動揺があったみたいで、ミカ様とアズサさん、それとミネ先輩以外とは上手く話せなかったんです、私も初めて会った時は泣かれてしまって。でも、だんだん仲良くなれて来てると思います!」
なるほど、そのような状態であれば、最初に私との面会を止められるのも当然だろう。むしろ、献身的に接してきただろうこの朝顔ハナエと言う少女で「最近ようやく」と言う話だとすれば、まだ時期尚早ではないのだろうか?
「そのような状況で、私と会わせても大丈夫なのですか?」
「それは……本人が、先生とお話したい、って言ったんです。先輩やアズサさんから、先生の話も色々聞いているみたいだし、大丈夫だと思うんですけど……」 - 28立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:38:39
「もし、マイアさんが動揺して泣いたりしてしまっても、落ち着いて対処してくださいね、ハナエちゃん」
突然、背後から何者かが会話に加わってくる。
「うわぁ!? セリナ先輩!?」
「初めまして、先生。救護騎士団の鷲見セリナといいます。偶々そこの部屋の前を通りかかったのをお見掛けしたので、ご挨拶をしようと思いまして」
驚く朝顔ハナエのことは気にせず、突然現れた生徒は自己紹介を始めた。セリナ先輩、と呼ばれていたことから恐らく2年生か3年生の生徒だろう。
「マイアさんは、ハナエちゃんのおかげで今は初対面の方でもある程度普通に話せる程度には落ち着いています。 ですが、もしかしたら先生の姿見たら怖がってしまうかもしれません。マイアさんは、もしかしたら……見知らぬ背が高い方が怖いのかもしれません、正義実現委員会のハスミさんがいらっしゃったときも怯えていましたし、先生は、お二方よりも随分背が高く見えます」
その話を聞いて、私はその立木マイアというアリウスの生徒が何に恐怖しているかある程度察した。
「……成程。お教えいただきありがとうございます、セリナさん」
「なので、頼みますね、ハナエちゃん。騎士団の中ではマイアさんはあなたを一番信頼していると思いますから」
「は、はい! セリナ先輩。頑張ります」
「はい、頑張ってくださいね。では、すみません、お邪魔してしまいまして。今度、改めてご挨拶させてもらいますね」
鷲見セリナはそう言って、慌ただしく去っていった。元々別の用事があったのだろう。 - 29立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:40:07
「では、改めてマイアさんのところに行きましょう、先生!」
先輩からの激励で更にやる気を増したように見える朝顔ハナエについていき、その立木マイアという生徒のいるという病室へ向かう。彼女たち保護されたアリウス生は捕虜に近い立場でもあったはずだが、少なくとも立木マイアの個室は、脱走防止のような仕組みは見られなかった。脱走されても困らないのか、あるいはその恐れが無いとみられているのだろう。
「少し、ここで待っていてくださいね、先生」
そう言って、朝顔ハナエは先行して病室に入っていった。相手に心の準備をさせるなど、するべきことがあるのだろう。
少し待っていると、室内から声がする。
「先生、お待たせしました」
それに従って、中に入る。
個室となっていたその病室の中には、朝顔ハナエの手を握っている小柄な少女がいた。彼女が立木マイアだろう。
彼女は私の姿を見て顔を青ざめさせたが、泣き出したり取り乱したりはせずに、こちらを見ている。
「初めまして、私がシャーレの先生をやっているものです。よろしくお願いしますね。」
出来るだけ威圧感を与えないように、こちらから話しかける。
「あ、あなたが、せ、先生……あ、あの、先生! お、お、お願いします! み、みんなを、た、助けてください!」
立木マイアは、朝顔ハナエの手をきつく握りしめながら、必死の形相で絞り出すようにそう言った。
「ええ、マイアさん。私は貴女の話を聞くためにここに来ました。貴女が話したいこと、私たちにしてほしいことを、ゆっくりでいいので、私に聞かせてください」
「あ……」
私のその返事に、緊張が少し解けたのか、立木マイアが涙を流した。事前に鷲見セリナと話していた朝顔ハナエは、落ち着いた様子で彼女の頭を撫で、寄り添っていた。 - 30立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:41:08
暫くして、落ち着き始めた立木マイアが少しずつ、これまでのことについて話し始めた。
「わ、私はアリウスの中でスクワッドの皆さんや、『スバル先輩』と違って、何か特別に秀でているところが無くて……普通、でした。普通に、マダムの言葉を信じて、ひもじい思いをして、トリニティの事を恨んで、どうにか、死なずに生きていたんです。」
それは、白洲アズサのようなどこか並外れた精神性を持つ者の言葉でも、聖園ミカが見て感じた外面でもない、新しい視点でのアリウスの現実だった・
「でも、少しだけ。私は外の世界のことに興味があったんです。……だから、外から来たミカさんとお話しする機会が出来て、舞い上がっちゃって、きつく口止めされていたことを言ってしまったんです。……『マダム』のことを」
聖園ミカは、立木マイアから『マダム』と言う存在について話を聞くまで、その存在を認識していなかった。ベアトリーチェが、アリウスの裏で手を引く大人の存在がいることに気付かないよう手を回していたのだろう。
「気付いた時にはもう遅くて、周りにいた子に、睨まれていました。ミカさんは、何も気にしていないように見えましたが、駄目、だったんです。ミカさんがいなくなった後、私は……マダムのところに……」
一言話すごとに立木マイアの顔色が悪くなっていく。心的外傷のある者の症状に見える。
「無理に話すことは無いですよ、話したいところだけで大丈夫です」
そう彼女に伝えるが、彼女は首を振る。
「その日から、あの襲撃の日までのこと、そもそもあんまり覚えていないんです。殆ど何も飲ませてもらえなかったことと、体中が、ずっと、痛かったことくらい、です。」
気付けば朝顔ハナエは殆ど泣いているような顔で、立木マイアを抱きしめていた。しかし、彼女はそれにもほとんど気付いていないかのようだった。 - 31立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:42:10
「……気付けば、どこかも分からない場所で倒れてた、みたいです。あとからミカさんに聞いたんですけど、ミカさんは、そうやって死にかけていた私にお水を飲ませてくれて、トリニティまで連れ出してくれたみたいです。襲撃の前の慌ただしい時間に、こっそり抜け出した、と、言ってました」
あの事件の裏で、最後尾にいたはずの聖園ミカはそんなパワープレイをしていたらしい。一体、どんな離れ業でそのようなことを実現したのだろうか。
「それからのことは、ちゃんと覚えています。意識が戻ってきて、最初は、自分が天国にいるのかと思ったんです。やわらかいベッドの上で、綺麗な翼の生えた人が、お世話してくれていましたから。暫くして、それが私が、私たちが憎んでいたトリニティの人たちだって気付いて、今度は突然怖くなって、泣いてしまいました。でも、その人は私を優しく抱きしめてくれて……、今のハナエさんみたいに」
立木マイアはそこまで言い、初めて目を少し細めて小さく微笑んだ。
朝顔ハナエははっとした表情になった後、顔を赤くして、
「ご、ごめんなさい、つい……」
と言ったが、結局手は離さなかった。
「それから、色々な人と会いました。最初は……まともに言葉も話せない状態だったんですけど、それで怒ったりするような方は一人もいなくて、段々、私は今まで酷い思い違いをしていたんじゃないか、って思うようになったんです。だって、私をひもじい目に合わせていたのも、痛い目に合わせていたのも、トリニティの人たちじゃなかったのに、どうして私はトリニティを憎んでいたんでしょうか」
それが、洗脳というものだ。確かにアリウスはトリニティに迫害されていた過去を持つ「かもしれない」し、彼女たちの貧困の根本原因がそれにある「可能性もある」が、直接彼女を虐げていたのはその思想を押し付けていた『マダム』ベアトリーチェそのものだ。
そしてその辛さと思想を結び付けトリニティを恨むように強制されていた、というのがベアトリーチェの手法だったのだろう。彼女が効率的にそれを行う手段を熟知しているのはよく知っている。 - 32立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:43:11
「……それで、私たちは失敗しました。マダムがそのことをどう思っているかは分かりませんが、もしかしたら私が逃げ出したことで、誰かが……もしかしたら、『スバル先輩』が、責任を取らされているかもしれません。私なんかと違って先輩はとても優秀なので、殺されるようなことは、多分ないと思います。でも……」
「スバル先輩」と立木マイアは2度言った。恐らく、その者がアリウスにいた当時の彼女の心の支えになった人物なのだろう。
「マイアさん、一つだけ、聞いても良いですか?」
「は、はい……な、何でしょうか」
今まで黙って聞いていた私がいきなり話始めて驚いたのか、彼女は縮こまって返事をした。
「マイアさんはエデン条約の調印式について、何か知っていることはありますか? 例えば、襲撃にその『スバル先輩』が参加するかどうか、など」
「……ご、ごめんなさい、分からないです。でも、それは多分、スクワッドの皆さんが主導することになっているはずなので、多分スバル先輩は待機しているか、別の作戦を与えられてるか、だと思います」
立木マイアは、詳細な作戦内容などを知る立場にはなく、ただ指示されたことを忠実に実行することを求められる立場のようだ。致し方ないだろう。
「成程……私たちは今、いくつかの作戦を立てていますが、その過程でアリウスの生徒を『保護』することもあると思います。そのスバルさんと言う方を見つけた場合、マイアさんにもお教えします。今、私から言えるのはこのくらいでしょうか、本当は必ず助けるとお約束したいのですが……」
「い、いえ……それだけのことをしてもらえるだけで、ありがたいです。先生、どうか、よろしくお願いします」
「ええ、私も出来ることに全力を尽くします。」 - 33立木マイアとの面会25/12/04(木) 23:44:32
立木マイアと約束を交わした私は、シャーレへと戻った。
新たに有力な情報を得ることが出来たわけではないが、それでも、私の中で確かに、この作戦を必ず成功させるという意思が強くなったことが感じられた。その理由は、私はまだ分かっていなかった。 - 34二次元好きの匿名さん25/12/04(木) 23:48:45
本日はここまで
以前ちょっとだけ伏線もどきを入れてたミカが連れ出した生徒の話。
拷問描写はこの作品にそぐわないと思ったので書きかけてやめました
上手くかけた自信もないけど
後空気的に入れれなかったけど、ハナエが初対面の時に泣かれたのはチェーンソー持ち込んでたからです - 35二次元好きの匿名さん25/12/05(金) 06:20:46
朝ほー
- 36二次元好きの匿名さん25/12/05(金) 08:26:11
乙です
マイアが出てくるとは思わなんです