- 1二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:30:09
- 2二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:33:28
【CAUTION】
・この作品は、原作の設定と大きく異なる箇所が複数あります。ご注意ください。
・前作、前々作を前提としているので、この話単体だと楽しめない可能性がございます。 - 3二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:34:41
- 4二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:35:41
また、投下完了次第、以下のサイトでも投下予定です。
ミーティオルpixivwww.pixiv.net - 5二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:36:56
本日9時半を目処に投下を開始します。
また、最近ちょくちょくサーバーに繋がらなくなる事があるようなので、今日と明日の2日に分けて投稿予定です。 - 6二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:42:42
STEP3の知見を集めていたり、リアルのスケジュールが色々あった影響で前回から半年以上も時間が経過してしまいました……。
本当は、麻央STEP3あたりで投下したかったのですが、気がつけばまさか12月に。
いや、本当お待たせしていまって申し訳ありません……。 - 7二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 18:43:43
今回は楽曲コミュとSTEP3の7話分を投下予定です!
- 8二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 20:00:05
保守
- 9二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:06:40
保守
- 10二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:31:05
それでは時間になりましたので、投下いたします~
- 11二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:32:50
-第一話-
ダンスレッスン室から、四音の凛とした声が響く。
四音「ワン、ツー、ワン、ツー。
――フィニッシュ!」
そんな中、ドアの前に立つ人の影が。
四音「どうぞ、入ってください」
四音が、ドアを開けた人物を見て。
四音「……遅かったですね、プロデューサー」
極月学園のアイドル――白草四音は小さく微笑んだ。
*「……予定の時刻より10分早く着いたはずなのですが。
さすがですね、四音さん」
四音「ふふ、そう簡単に私の先にたどり着けると思わないことです。
今度は15分前に来るといいでしょう」
*「あまりに早すぎると施錠されていますので、
登校競争もほどほどにしておきましょう。
さて、それではミーティングを始めましょうか、四音さん」
四音「――えぇ」 - 12二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:34:16
*「まずはこれまでの軌跡を。我々は『CRESCENT』で白草月花をしのぎ。
そして、『NEXT IDOL AUDITION』で花海咲季に打ち勝った」
四音「ふっふっふ、なんと輝かしい功績でしょう。
アイドル白草四音の軌跡とはこうではなくては。
惜しみない称賛を許しますよ、プロデューサー?」
*「四音さんをプロデュースできることは、僕にとって人生最大の誇りです。
本当に――素敵な女性になられましたね」
四音「は、はぁ!? い、いきなり何を言っているんですか!
真面目に仕事をしてください! 蹴りますよ!?」
*「……はい。仕事します」
*「これまでの戦いによって、アイドル白草四音の成長は目覚ましいものとなった。
間違いなく、今の四音さんは『オーバートップ』、その冠に最も近いアイドルの一人だと言えるでしょう。
――ですが」
四音「……『THE-MOON』で、再び『アレ』が来る」
*「はい。白草月花――彼女が、僕らの最大の敵として現れます」
四音「――ふん、一度は勝っている相手です。なら、二度勝てないということはない。
この私の手で、直々に引導を渡して差し上げます」
四音(……震えるな。
堂々としろ。ボクが『白草四音』なら――!)
*「……えぇ。やりましょう。必ず、四音さんに勝利を」 - 13二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:35:36
四音「それで、『THE-MOON』はどのように?」
*「『THE-MOON』は、「N.I.A」とは審査が異なります。
無数のファンではなく、プロの審査員が勝敗の判定を行う。
つまり――純粋に、アイドルとしての「商品価値」を彼らは求めている」
四音「商品価値――」
*「ボーカル、ダンス、ビジュアル――。
この3つを基点として、更にそのアイドルが単体で持つ力。
それが求められていることになります」
四音「……アイドル『白草四音』としての価値、ですか」
*「はい。つまり、白草月花に勝つということは、
白草月花に勝る商品価値を示せ、端的に言えばそうなります」
四音「……プロデューサー、あなたの考えは?」
*「今、四音さんが言われたものが、カギになると考えています」
四音「アイドル『白草四音』としての価値を上げる――そういう戦い方を?」
*「はい。ボーカル、ダンス、ビジュアル。それらは前提。
しかし、それは向こうも前提としてくる。最後に残るのは、アイドル『白草四音』と、アイドル『白草月花』。
どちらが世界を広げられるか――完全にその勝負になる。
そのために」
*「『その先の白草四音』を掴みましょう」 - 14二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:36:37
四音「その先?」
*「――白草月花の先で世界に立つ、最強のアイドル白草四音です」
四音「白草月花の先に立つ、ボク――」
*「白草月花は、あくまで通過点でしかない。
そう言えるアイドルだけが、白草月花に勝つことができる。
……そして、アイドル『白草四音』にはその未来がある。
僕はそう信じています」
四音「ふ、ふふ……。未来の私を掴めと?
本当にいつも、荒唐無稽な事を言う。
少し前なら――きっと震えて何も言えなくなる。
ですが、今のボクは違う。
いいでしょう、プロデューサー。
ボクを『そこ』へ導いてみせなさい!」 - 15二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:37:47
-第二話-
四音「……プロデューサー、一つ言いたいことがあるのですが」
*「はい、なんでしょう」
四音「――今日からプロデューサーの家で寝てもいいですか?」
*「ぶはっごほっごほっ――!?」
四音「そんなむせることないでしょう。
あなたは私のプロデューサー。なら、私の願いを叶える義務があるはずですが」
*「そ、それは……そうなのですが。
ですが、それはプロデューサーの範疇を超えた願いでして」
四音「貧乏くさいですね。ランプの精の方がもっと気前がいいですよ」
*「ランプの精もさすがにランプに住まわせろという願いは聞かないでしょう。
……いや、さておき。何があったんです?」
四音「……ア、アレが」
*「……はい?」
四音「ア、アレが家に来たんですよ!!」
*「……アレというと、まさか」
四音「し、白草月花……月花姉さまが私の家にッ!!」 - 16二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:39:54
時は少し遡り、極月学園前――。
四音(ふぅ……今日のレッスンはなかなか悪くなかった。
THE-MOONに向けて、このまま体をもっと仕上げないと)
四音「ん? なんだ、あの人だかり……」
通行人A「あ、あのサ、サインください!」
通行人B「俺、ずっとファンでした!」
??「こらこら、お下がりなさいな!
お姉様は、長旅で疲れていらっしゃいますの。
時間と場所を弁えられる方だけが、真のファンでしてよ!」
四音(有名人か。ボクもああいうサイン攻撃は苦手だ。
……誰だか知らないけど、同情する)
四音が通り過ぎようとした所。
??「あっ、いましたわ! 四音お姉様ーっ!」
四音「……? あぁ、撫子。どうしたのです、こんな人だかりに囲まれて」
撫子「えぇ、ずっと探していましたの。四音お姉様に御用がある方がいて――」
四音「私に用がある……?」
??「いたか。ならいい。私が話す」
四音「……は、はぁ!?」 - 17二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:42:25
月花「久しぶりだな。四音」
四音「げ、月花お姉、様……!? な、なぜこんなところに……」
月花「おかしいことを聞く。
日本に来なければTHE-MOONに参加できんだろう」
四音「そ、それはそうですが……。
今はまだTHE-MOONのエントリー期間であって」
月花「時差のこともある。体をならすためだ。
これ以上の説明が必要か?」
四音「……結構です。
まともに答える気がないのはよくわかりましたから」
月花「なら、これを持て」
四音「は、はぁ? どうして私が」
月花「私の私物だ。私はキャリーケースを運ぶ」
四音「いや、だからなんで私が運ぶんです。
だいたい、どこのホテルに泊まっているかも知らないのに……」
月花「運ぶのは家だ。なぜホテルだと思った」
四音「……は?」
月花「今日から、THE-MOONが終わるまで家で過ごす」 - 18二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:43:27
四音「は? いや……あの……」
月花「私の部屋はまだ残っているはずだろう?
それとも物置になったか? それならソファで寝るが」
四音「いや、だから……」
月花「あぁ、心配するな。歯ブラシなら準備してある。
私も自分以外に歯ブラシを使われるのは嫌だからな」
四音「ふっ――」
四音「ふざけるなあああああぁぁぁ――ッ!」
四音「……ということがありまして」
*「なるほど、まぁ……事情はわかりました」
四音「そういうわけなので、プロデューサー。
私を泊めてください。今すぐ」 - 19二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:44:33
*(……こういうところは姉妹だな。
しかし、このタイミング――四音さんの今後に影響が出る可能性はある。
……どうする?)
*「……わかりました。そういうことなら、ホテルを手配します」
四音「別に私としてはプロデューサーの部屋でも良いのですが。
何か、やましいことがあるとでも?」
*「……なんで僕の部屋で寝ることになってるんです?」
四音「どうせ、ベッドは一つしかないでしょうから。
アイドルにソファで寝ろとでも?」
*「まず、その提案がアイドルのものではないのですが……。
ともかく、ホテルをなんとか手配するので、それで許してください」
四音「……まぁ、いいでしょう。では、速やかに」
*「可及的速やかに手配いたします。
ただ、長期間となるとすぐには手配できない可能性が高いので。
……申し訳ありませんが、数日ほど時間をください」
四音「はぁ!? 私は一秒でも早く離れたいのに……!」
*「四音さん、今所持品は何を?」
四音「……制服と、学生証。それと交通カードと、クレジットカードだけです」 - 20二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:45:44
*「いずれにしてもその状態で外泊は無理があります。
一度準備するためにも、帰宅してください」
四音「くっ……わ、わかりました……」
四音(撫子なら――数日くらいなら)
四音宅
月花「ほう、帰ったか」
四音「……幻覚だと思いたいですが、本当にここで過ごすつもりなんですね」
月花「ファストフード店で夕食を買ってきた。
――日本のハンバーガーはずいぶんと小さい」
四音「……1人で食べてください。私の夕食はすでにありますから」
月花「なら、お前の分も私が食べる」
四音「ふ、二人分を?」
月花「むしろ、これでちょうど良い。私は食べ盛りなのでな」
四音(くっ、ボクは食べるとすぐ肉がつくのに……!)
月花「……キャリーケース?」
四音「姉様がここで過ごすというので。
少しの間撫子の家に泊まって、それからホテルに」 - 21二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:46:46
月花「……理解に苦しむ。何のための家だ?」
四音「家というのは住人を癒すものでなければならない。
しかし、今この家は私の癒す条件を満たしていない。
それだけです。私たちは共に天をいたたかず」
月花「――そうやって、また逃げるのか?」
四音「……何だと?」
月花「私の目を睨み返せない者に、私の相手は務まらない。
……どうやら、その心根は変わらないらしい」
四音「ふざけるなッ! 誰がいつ逃げた!?
ボクは、逃げない!」
月花「こうして、家で顔も付き合わせられないのではな」
四音「……いいだろう。一緒に暮らすくらいなんだ。
この白草四音に、その程度できないと思うな!」
月花「ほほう、なら見せてもらおうではないか。
お前の覚悟のほどをな」
そして、時間は過ぎ――。
明かりを消した部屋で四音がベッドにくるまる。
リビングからは、月花の寝息が聞こえてくる。
四音(……くっ、どうしてこんなことに!?
くそっ、ハメられた――ッ!) - 22二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:47:51
第三話
けたたましいアラームの音が鳴り響く。
四音「……朝、か。
まず、顔……洗おう」
ベッドから体を起こし、洗面台へ向かおうとする四音。
と、その途中で。
四音「ぐっ……!?」
月花「…………」
ソファで毛布にくるまり、寝息を立てる月花。
四音(なんて呑気な……もう登校時間も近いというのに。
……ボクが起こす義理はない。好きに寝ていればいい)
四音「……なっ!?」
四音(た、食べた殻が机に散らばって――!?
くっ、脂っこい匂いが部屋に残ってると思ったら!)
四音がいそいで、食べた容器をかき集め袋を縛る。
四音「……まったく、なぜボクがこんなことを」
四音が家を出る。 - 23二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:49:04
*「四音さん、おはようございます。
【THE-MOON】についてなのですが――。
ん……?」
プロデューサーが四音を見る
四音「どうかしましたか? 私はいつも通りですが」
*「……撫子さんは、まだ自宅に?」
四音「え? え、えぇ。
まぁ、いずれ自家用車で来るでしょう。
私は、体力作りで歩きで」
*(この感じ……四音さんは『戦うこと』を選んだか。
リスクではあるが……。しかし、四音さん自身がそう選んだのなら。
……ホテルの方は僕がしばらく使うことにしよう)
*「話を戻して――【THE-MOON】の出場者が確定しました。
四音さんは、本日付で正式に【THE-MOON】出場者となります」
四音「……ふふ、当然のことではありますが。
何事も選ばれるというのは喜ばしい事です」
*「そして――白草月花。彼女の名前も出場者の欄にありました」
四音「……正式な出場者、というわけ」
*「はい。白草月花が始めからエントリーする数少ないイベントです」 - 24二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:50:20
四音「……それで、プロデューサー。
あなたの言う未来の――「最強のアイドル白草四音」。
その準備が進んだという話でしたが」
*「はい。かなり苦労しましたが、ようやく。
なにせ、「未来のアイドル」を手繰り寄せるプロデュース。
……正直言って、なかなか正気のプロデュースではありません」
四音「前代未聞でしょうね。
正直あなたじゃなければ言った瞬間にクビにしているところです」
*「プロデューサーとして、使える限りの能力は使ったつもりです。
……では、さっそく今から未来を手繰り寄せる、その協力者の元へ向かいましょう」
四音「協力者……?」
ボーカルレッスン室
??「……はぁ、本気だったわけ」
四音「なっ……!?」
*「紹介します、四音さん。こちらが、我々の協力者――」
??「協力者になったつもりはないけど。
……ヒマだったから、冷やかしに来ただけ」
*「……綿密に打ち合わせと情報共有を行いました。
元『Syng Up!』の賀陽燐羽さんです」 - 25二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:52:00
燐羽「……あまり、好き勝手なことばかり言わないでくれる?」
四音「……お初にお目にかかります。
まさか、あなたと直接顔を合わせることになるとは」
四音(N.I.Aで、雇われた元初星の『傭兵』……)
燐羽「えぇ。
……映像で見たより、実物はより性格が悪そうで何より」
四音「あら、ずいぶんとやすい挑発がお好みのようですね。
でも、ふふ……そういう言葉遣いは言い慣れていないようですが?」
燐羽「あなたこそ、そういう言葉は随分と手慣れてそうだけど?
まぁ、いいわ。性格が悪い、っていうのはこの場合悪い意味じゃないもの」
四音「……へぇ?」
燐羽「あなたのその『みっともなさ』――。
あんまりにも隠さないものだから、少し興味が湧いたのよ。
普通、隠すじゃない? そういうの」
四音「……えぇ、そうでしょうね、『普通』なら」
笑顔で四音が答える。
四音「ですが、私には『普通』である事以上に重要なことがあった。
私は――それに従っただけ」
燐羽を四音が睨む - 26二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:53:30
燐羽「……本当、すごい顔。アイドルがする顔じゃないわね」
四音「それは――あなたの想像力が貧困なのでは?
アイドルがキラキラしていなければならないなど。
……いったい、誰が決めたのです?」
燐羽「ふふふ……ほんっとう、実物は性格が悪い。
こんな狂犬がトップアイドルを目指すなんて正気じゃない」
四音「元より、トップアイドルを目指すことが正気ではない。
それは今更でしょう?」
燐羽「いつまでそうやって言い続けていられるかしらね?
……まぁ、いいわ。あなたのことはよくわかった」
*「では、いい感じに挨拶も終わったところで始めましょうか」
燐羽「……アイドルがアイドルなら、プロデューサーもプロデューサーね」
四音「それで、あなたは一体なぜここに来たのです?」
燐羽『それで、あなたは一体なぜここに来たのです?』
燐羽から四音そっくりの声が。
四音「なっ……!? 今のは……」
燐羽『なっ……!? 今のは……』
四音「……なるほど、そういうことですか」
燐羽『えぇ、ご理解いただけましたか? あなたなら、不快感を覚えるのかしら?』 - 27二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:54:50
四音「なるほど。どうやら、情報を共有したというのは本当のようですね。
その感じ、『CRESCENT』最終審査のMCがベースですか。
低音が、あの時の音でした」
燐羽「気持ち悪……。なんでわかるのよ」
四音「私も何度も見返してますから。
声の調子、セリフ、表情、全部頭に入っています」
燐羽「……こんな事言ってるんだけど。
必要なの? 私」
*「はい。ぜひお願いしたいです。
ただし、見ての通り四音さんはDVDは擦り切れるまで見るタイプなので――」
四音「擦り切れてないッ!」
*「燐羽さんには、『今の』四音さんではなく。
――未来の四音さんをやっていただきたい」
燐羽「は?」
四音「え?」
燐羽「……あなた、私をエスパーかなにかと勘違いしていない?
わかるわけないでしょ、そんなの」
*「えぇ、完全に未来の四音さんそのものをやってもらうのは無理です。
なので――辿りうる「If」の四音さんをやって欲しいのです。
完成品である必要はない、ただそう『あり得たかもしれない』四音さんを」 - 28二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:55:57
燐羽「へぇ……なるほど」
四音(辿りうる「If」のボク……!?)
燐羽「面白い事を言うじゃない。
そんなこと試したことなかった。
……それじゃ、こういうのはどう?」
燐羽の表情が一瞬にして険しいものへと変わる。
燐羽『――私は決して、私以外にこのステージに誰も立たせない』
殺意にも等しい鋭いオーラが燐羽に宿る。
四音「……ッ!!」
燐羽『――価値があるのは勝利だけ。
私に敗北など決して有り得てはならないのだから』
四音「……なるほど。これは面白い。
いかにも、有り得そうな『私』です」
*「四音さんほどのアイドルであれば未来もきっと無数存在する。
――だから、作り上げましょう。
無数の可能性を見た上で、掴むべき未来を」
四音(……いいだろう。必ず掴み取ってやる。
最強にして、最高の白草四音を――!) - 29二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:57:19
楽曲コミュ 第一話
四音「プロデューサー、おはようございま――うわっ!?」
*「おはようございます、四音さん。
今、眠気覚ましのコーヒーを入れます」
四音「ありがとうございます……ではなく。
な、なんですか? その大量の楽器――」
*「極月学園中の楽器を集めました」
四音「な、何のために……?
また何かわけのわからならないことをしでかすつもりですか?」
*「その話をする前に――今回のブリーフィングを始めましょう」
四音「……はぁ」
*「まずは現状の確認から。
現在の四音さんの目標ですが――」
四音「未来の私――最強のアイドル白草四音を掴む。
そういう話だったと思いますが」
*「はい。四音さん自身の最強の未来を手繰り寄せる。
その方向で、現在計画を進めています。
――そして、遠からず四音さんは未来の自分を掴むでしょう」 - 30二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 21:58:40
四音「……改めて、まるで予言者のような物言いですね。
それで、それが何か?」
*「しかし、それだけでは最強のアイドルとはなりえない」
四音「……禅問答かなにかですか?
一応言っておきますが、そういうの間に合ってますので」
*「では、端的に。最強のアイドルには最強の曲が必要です。
『最強のアイドル白草四音』たらしめる、最強の曲が」
四音「……なるほど、そういうことですか。
つまり、あなたがまだ曲を手配できていないと」
*「いえ、曲はすでにあります」
四音「なっ――!? ……ま、前みたいに無許可だったりは?」
*「今回は、すでに許可は取り付けてあります。
元々THE-MOONは唯一自由曲が通りやすいイベントなので」
四音「……なるほど。しかし、先ほどの口ぶりだと曲に何かありそうでしたが」
*「はい。基本的な曲についてはほぼ完成している状態です。
しかし――この曲にはまだ象徴(シンボル)がない」
四音「シンボル……?」
*「次の新曲は、『最強のアイドル白草四音』の曲です。
そうなれば、何か四音さんを象徴する『音』が欲しい」 - 31二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:00:45
四音「この部屋の大量の楽器はもしかして」
*「はい。何か四音さんっぽい楽器はないかなと」
四音「なるほど。……しかし、ずいぶんと節操がないですね。
トイピアノ、マラカス、バンジョー、ギロ――」
*「四音さんらしい楽器に思いますか?」
四音「……あなたの髪の毛をバンジョーの弦にしましょうか?」
*「僕の髪の毛だと多分強度が足りないかなと」
四音「誰の毛だろうと同じですから。
……私の楽器だというならハープとかヴァイオリンでいいのでは?
おしとやかで神秘的で優美、まさに私そのものでしょう」
*「バンジョーを試してみるのはありかもしれませんね」
四音「バンジョーから離れなさい。今すぐ。
……何がダメなんですか、何が!」 - 32二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:03:23
*「たしかにその二つは四音らしいといえばそうですが……。
その二つは、多くのアイドルが自分の楽器だと言うでしょう。
――白草四音としてユニークであるほうがいい」
四音「……わかりました。
この件は持ち帰って、後日改めて議論を深めましょう」
*「はい。
きっと大切な曲になるはずですから、慎重に」
四音「いいでしょう。
ぐうの音も出ないほど私らしい音をあなたに届けて差し上げますから。
覚悟するように」
四音(――ボクを象徴する『音』、か) - 33二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:04:56
-第4話-
真っ暗な闇――耳に響くものはなにもない。
ボクは、どこを目指すわけでもなく、足取りを進める。
やがて、歩いているといつの間にか、どこかの道を歩いているようだった。
果ての見えない、どこまでも続く一本の道。
――これは。
ボクがその先に目を凝らすと、ゆっくり歩く一人の女。
――やっぱり、いた。
ボクは女に追いつくべく、足を走らせる。
足の速さには自信がある。きっと追いつける、そんな気がした。
――はっ、はっ、はっ!
地面を蹴り、女にボクは近づいていく。
まだ、遠い。もっと、早く走らないと。
――はぁっ、はぁっ……!
全身に風を受ける。まだ、遠い。まだ遠いが。
――近づいている! もっと、このまま速度を上げれば……! - 34二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:06:29
銀の髪が見える。女は、ボクを察してか振り返る。
――白草月花!
女――白草月花はボクを見たかと思うと、走り出した。
そのスピードは凄まじく、一瞬して距離を開けられる。
――くっ、離されるものか……!
ボクは腕を振るい、脚を上げ、地面を蹴り――より加速する。
呼吸が苦しい。体が限界に近いことを訴えかけている。
けれど、ここで緩めるわけにはいかなかった。
――追いつける! きっと追いつけるはずだ、ボクなら!
……その時だった。
「も~、月花お姉様はいっつも早いにゃあ~♡」
――は?
ボクの右隣に、猫耳メイド服を着たボクがいた。 - 35二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:10:04
「足を止めてはならないよっ☆ 勝利はすぐそこなのだから☆」
そして、左隣には――なぜか王子様のような格好のボクが。
「エースを舐めるな……! ボクが必ず撃ち落とす!」
しまいには、パイロットスーツに身を包んだボクまで出てきた。
――なんだ、一体!?
困惑していると、無数のボクたちはボクを引き離して白草月花に迫り始める。
「「「月花、□◯△※ッ!!!」」」
――は、はやっ!? な、何やってる!
ボクは全速力で、様子のおかしいボクたちを追いかける。
――ふ、ふざけるな! ちっ、違う!
アレに追いつくのは、お前達じゃない!
――月花姉さまに追いつくのは! この……!
四音「あたっ……」
四音の頭上にスマホが落ちてくる。
四音「……なんて夢だ」 - 36二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:11:56
リビングに向かう四音。すると、ソファに座り歌詞カードを眺める月花の姿。
四音(今日は、起きているのか――)
四音がそのまま通り過ぎようとするが。
月花「…………」
四音(――見られている)
四音は月花を確認するが、月花は歌詞カードに目を通している。
月花「…………」
四音(いや――視線の位置が元の位置と違う。
……腹立たしい)
四音は月花を見る。
四音「……おはよう、姉さん」
月花「……あぁ。おはよう」
四音「それじゃ、私は行きますから」
月花「そうか」
四音はリビングを抜ける。
四音(……なんなんだ、この時間は) - 37二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:14:18
場所はボーカルレッスン室
燐羽「あら来たの。……それじゃ、今日も始める?」
四音「……プロデューサーは?」
燐羽「今日は用事だって。何かの準備とか言ってたけど」
四音「……そうですか」
燐羽「あら、あなたもしかして――」
燐羽がいたずらっぽく笑う
四音「……何か?」
燐羽「愛しのプロデューサーがいないとやる気が出ないとか?」
四音「ぶはっ、ごほっごほっ――!?」 - 38二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:15:24
四音「な、なんでそうなる!?
ボクとプロデューサーは、そ、そういうのではなく……!!」
燐羽「動揺しすぎよ、あなた。
へぇ……でも、そういう感じなんだ。
今のはいい感じに素材にできそう」
四音「……気に入りませんね」
燐羽「そう、好きすれば。
別に気に入られようとは思ってないもの。
それで、始めるの? 始めないの?」
四音「……始めてください。
今の私には、それが必要ですから」
四音(――少しでも早く、『最強の白草四音』にたどり着かないと。
アレの先には、行けない)
四音と燐羽のレッスンが始まる。
燐羽『お前達、ボクについて来い!
それがお前に課した使命なのだから――!』
四音(最強の――『最強の白草四音』。
ここに出てくるボクは、きっと求めるべきボクではない。
『アレ』――白草月花のその先。
そこに立つボクとは……なんだ?) - 39二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:16:41
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- 40二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:17:58
四音(白草月花にあって、ボクにないもの――。
いや、ボクにあって白草月花にないもの――)
四音(それが見えてくれば――)
燐羽「……ここまで」
四音「はぁ……はぁ……。
……くっ、まだ。まだ掴めない」
燐羽「よくやるわね。本当。
実物は映像以上にしつこいというかなんというか。
なんか、ギトギトしてる」
四音「ギ、ギト……ッ!?
な、なんですか、私をラードみたいな女だとでも!?」
燐羽「そこまではいってないけど。
まぁ、でもカロリーは高そうよね、どうみても」
四音「私はどなたにもいただける健康食品です」
燐羽「なら、そのギラついた顔やめれば?」
四音「……ラードじゃないですから」 - 41二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:19:10
燐羽「そういうところよね。どう考えても。
ところで……あなた、N.I.A出てたのよね?」
四音「そうですが。……映像を見ているのでは?」
燐羽「……まぁ、見てたけど」
燐羽(――『コレ』とぶつかっていた、そんな話もあったのかしらね)
突然、そこにプロデューサーが現れる
四音「プロデューサー?」
*「四音さんに、ニュースがあります。
いいニュースと――それから」
*「――ちょっと急なニュースが」 - 42二次元好きの匿名さん25/12/06(土) 22:22:57
では、本日の分の投下はここまでとなります~。
残りは明日投下ですが、投下時刻については明日昼頃に改めて連絡させていただきます。
では、皆様本日はお疲れ様でした!
会長の誕生日LIVEが、これから始まる……! - 43二次元好きの匿名さん25/12/07(日) 02:13:17
保守