「トレーナーさん、愛してます」

1◆eRlmQVhjBc22/05/17(火) 22:03:47

『俺も愛してるよ、アルダン』
愛してるゲームを始めて、既に三時間経過した。きっかけは雨に見舞われた休日にどう過ごすかと考えていたところたまたま目につき、アルダンがトレーナーに投げたことから。
最初こそ動揺した彼であるが、意図を聞けば納得した様子に少し目を逸らした様子を混ぜつつゲームを再開。晴れてスタートしたその応酬は既に生活に馴染みかけるほど順応した。
「愛しています」
寄り添ってる時に。
『愛してるよ』
家事をしている時に。
「私の方が愛してますよ」
正面から見つめ合ってる時に。
『俺の方が愛してる』
背中から囁くように。
お互いにそれが当然と思っているのか、照れもせずに言い合い続ける。これではゲームとして成立しない。それはお互いに知っている。けれど互いに知っている真実はある。
「ずっとあなたを愛しています」『君を永遠に愛してる』
両者、言われる度に身体のどこかが反応していることを。
尻尾が大袈裟に揺れて。肩が跳ねて。耳が捉えるために動いて。耳が真っ赤に染まって。心臓は跳ねて、鼓動は加速して。触れ合いが長く、短く。決着はつかなくても互いに本当は照れ臭くて。終わらせたくないから触れなくて。けれど夜に近付けば、それも鳴りを潜めていく。
そして、深まった夜に。

「…ふふ」
『はは…』
「引き分け、ですね」
「そうだね」
同じベッドの中で向き合って寝ながら、互いに顔を赤らめた二人はようやくその勝負に終わりを迎えるのであった。