- 1二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:36:22
──雨。体温を奪っていく冷たい雨は容赦なく体へ叩きつける。こんな中に長い時間放置されていたら明日には風邪を引く。
そんな人々が慌てて室内に退避する中、少女は動かなかった。傘も差さずに、ひたすらに雨から何かを庇うように立っていた。
「…ステータス『寒気』を感知。しかしこのままでは…」
少女、ミホノブルボンの胸元には段ボールが抱えられていた。中からミャーミャーとか細く鳴く声が聞こえる。どうやら子猫がいるようだ。ブルボンは雨から段ボールを庇うように立っていた。
(私が走れば物の数分と経たずに寮にはたどり着ける…しかし中の子猫が無事とは限らない。それに寮はペットは禁止。事情があるとはいえ…)
ブルボンの中では冷静に物事を進めていたが、時間が兎に角足りなかった。雨に打たれている中で仔猫の体力は消耗されていくし、何よりブルボンの体温と体力も奪っていく。
考えていても仕方ない。ブルボンは仔猫の入った段ボールを大事に抱え走り出そうとした。
「ブルボン!ストップ!」
しかし走り出す前に声がかけられ、後ろからブルボンは傘に包まれた。
「…マスター…」
「ようやく、見つけた。傘も持ってないと聞いてたから探してたぞ…そんなずぶ濡れになって…」
ミーミーという声と共に段ボールのなかから仔猫が顔をだしずぶ濡れになったブルボンの顔を舐めた。
「状況は良く分からないが…とにかくそのままじゃ君もその可愛らしい子も無事じゃすまないだろう。車を用意してるから早く乗ってくれ」
「マスター………」
ずぶ濡れの彼女にトレーナーはタオルを被せ、そのまま彼女の両手が塞がっているのを見越してエスコートをした。
「…マスター、改めて感謝いたします」
車内でブルボンはトレーナーに改めて礼を述べた。トレーナーは車を運転していたが返答はした。
「いや、気にすることじゃない。今日の雨はかなり天気雨だったようだから」
「しかしマスター…どのようにして私があそこにいることが分かったのですか?」
ブルボンは連絡を取っていなかった。ただ困り果てていただけだった。しかしトレーナーはそれは素早く辿り着いた。
「ああ、いや…何というか第六感っていうのかな、ブルボンが困っているのを感じたんだ。それが気になってから作業にもならなかったから飛び出して来たんだ」 - 2二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:36:33
ブルボンはそう語る横顔をみた。…安堵した表情だった。ブルボンは自分の顔を仔猫に舐められながらその仔猫をタオルで拭きながら少し微笑んだ。
「…マスター、やはり私はあなたがトレーナーであって良かったと思います」
「どうしたのさ、急に」
「いえ…私とあなたに血の繋がりはありませんが…こういうのを『心で繋がった関係』というのですね」
ブルボンはまた仔猫に頬を舐められた。ジョリという音がしたがブルボンは気にせずに仔猫の頭も拭いた。
「やはり、私の人生はあなたに会えたことで意味を貰ったようです」
外は相変わらずザーザーと激しい雨が降っている。さっきまで冷えていた身体だったがどうやらその心にはすっかりと熱が点ったようだった。
「これからも私のことを見つけてください、マスター。可能ならばこの先未来まで、永劫に」 - 3二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:37:52
スレタイに慣れてしまった俺は病気
- 4二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:38:20
良きブルボンssだ.
- 5二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:39:03
子猫そこ変われ
- 6二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:40:45
クソスレタイ代償良質SS召喚定期
心がほっこりした - 7二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:41:25
- 8二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:44:28
心がポカポカするんじゃ〜
- 9二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 22:49:43
このスレタイがないと生きられない身体になった人はいそう
- 10二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 00:23:38
あげておこう