- 1二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:47:29
「人形供養?」
「そうです!⋯⋯供養って言ってもなんとなく捨て難い人形をお寺で預かるって物ですけどね、ほら人形って捨て辛いじゃないですか」
同級生のウマ娘から言われて考える、確かに人形は捨て辛い、幼い頃から一緒の子、幼馴染と交換した子、親にねだって買ってもらった子⋯気がつけば実家の私の部屋は人形部屋だった。
「う〜ん、じゃあお願いしようかな、今度実家から送ってもらうからよろしくね」
「ハイ!!大切にお預かりします!」
そうして実家からいくつかの人形を送ってもらった。
送られてきた人形はどれも記憶よりボロボロで、小さかった。
「このまま出すのも可哀想だしね」
私は一つ一つの思い出を確認するように、人形を手直ししていく、このクマの子はあの時の、懐かしい、このサメの子は⋯⋯と振り返って私は寝不足になった。
「思った以上に沢山ですねぇ〜」
「ゴメン、重いかな?」
「いえいえ!全然大丈夫です!⋯⋯それに大切になさってたのが分かります⋯⋯本当に良かったのですか?」
「今の私には要らない物だし⋯でも他の子にあげて乱暴にされたり壊されたりするのはそれこそ嫌だから」
「分かりました!こちらの人形、大切に供養させていただきますね」
思い出と共に詰めた人形を渡して少し⋯⋯寂しくなった。
一人一人挨拶をしていくうちに、手放し難くもなった。
けれども私はこの子達と別れを告げた。 - 2二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:47:53
後日、大きなレースに出る事になった。
沢山の知った名前に勝つ、その為には死にものぐるいでの練習が必要だった。
「おい、それ以上はお前の足が壊れる」
トレーナーに止められながらも無茶をして、脚に違和感を覚えながら当日を迎えた。
ゲートが開く、違和感を忘れて駆け出す。
痛くない、痛くない、痛くない⋯
最終コーナーで限界がきた。
私の足はおかしな方向に曲がった。
かと思った。
走れている、さっきまであった違和感がなくなっている。
背中を押す感覚がある、脚が前にでる。
気がつけば一着だった。
私を強くしてくれたあの子たちが目の前にいた。
ここにいるはずも動く事もないはずの人形が私に手を振って⋯⋯消えていった。
「ありがとう⋯⋯ありがとうっ⋯⋯」
涙は芝に落ちて、乾いていった。 - 3二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:48:57
ホラーかと思ったけどいい話だった
- 4二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:49:23
いい話だ…
- 5二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:49:34
昨日の人形スレの方?
- 6二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:50:01
ちょっと不思議で切ないようないい話だなあ……好き……
- 7二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:51:41
- 8二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 23:52:30
昨日も楽しませて頂きましたありがとう
- 9二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 00:00:59
良い話になるホラー好き
- 10二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 00:02:39
感動系の話好き
- 11二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 00:37:47
良かった…
- 12二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 10:18:04
怖くないホラーはいい
- 13二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 10:42:23
ホラーとファンタジーは紙一重やからね
- 14二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 21:32:09
人形達が応援してくれたんやなって...