三門市の怪談【第二夜】

  • 1二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:17:29

    三門市にありそうな怪談や不思議な話を語るスレの2番目です

    それほど厳しいルールではありませんが前スレがSSスレだったので今回も書き込みはSSと感想中心にさせて頂こうと思います

    ここで感想書き込みにくい方や雑談等の話題は↓でお願いします

    【完走感謝】三門市の怪談【SS感想スレ】|あにまん掲示板こちらは三門市の怪談完走記念スレです。沢山の素敵なSSをありがとうございました。保守もありがとうございました!此方はSSの感想や考察スレとなります。書いていただいたSSの情報等をまとめていたので順次上…bbs.animanch.com

    前スレで語られた怪談は57話でした

    百物語まであとすこし

  • 2二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:18:18
  • 3二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:48:23

    とりあえず10スレまで保守した方がいいな

  • 4二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:49:41

  • 5二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:51:12

    >>3

    10レスだな!

  • 6二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:51:50

    >>5

    そうだな!多いな10スレは!すまん!

  • 7二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:52:49

  • 8二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:53:22

    とりあえず

  • 9二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:55:28

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 19:56:43

  • 11二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 20:02:20

    保守ありがとうございます!

  • 12二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 20:33:56

    「百物語ってあるやん?起源はなんや武家の肝試しやーとか、御伽噺が元やーとか言われてるけどそこは大した問題ちゃうねん。
    何が問題かって言うたら、そら終わりがけの話や。風も吹かない暗い中で。頼りはロウソクのゆぅらゆぅら揺れるたった一つの灯りだけで。その頼りになる蛍火が吹き消される。その瞬間の話。
    真っ暗になった時、なんかが起こる言われてますね。こわあいお化けが出るやもしれん、あるいは大判小判がザックザク降ってくるかもしれん。
    えっ、なんや。お前ら全員大判小判がええんかいな。ほなそういうお化けに来てもらいましょか。ふうで、吹き消して呼ぶんやで。
    俺は勘弁願いたいけどなあ。こわあいだけのお化けが通り過ぎてってくれる方がマシやないですか。大判小判に埋もれて苦しい中死んでしまうよりも。ほおら、押しつぶされて、苦しい中で亡うなってしまった人らが暴れ出しよる。今日は風もないはずやのに、ガタガタ、ガタガタ。開きませんよ。その戸ぉは。おや、話のわかるお化けやなあ。あ、でもこっち側の戸ぉは鍵もかけてへんからヤバいな。あ、ほら、近付いてきよる。ああ、止まって⋯⋯帰ってくれそうで安心ですねえ⋯⋯いや、アカンわ。またこっち来よる。一歩、一歩。開く、開いてまう⋯⋯手が⋯⋯扉に⋯⋯ふうっ」

    「なんや、なんでひゃーひゃー言われてんの」
    「イコさんが来たからっすね」
    「そうなん?呼び出されただけやのに?」
    「怪談話しよったんですよ。イコさんがオチ」
    「なに人をオチに使ってんねん。季節外れやし」
    「強請られたら断れんでしょ⋯⋯で、なんすか?」
    「いや、お前に呼び出されたんやけど⋯⋯あ、でも言うといた方がええか。大学決まったで、三門大」
    「はあ、オメデトーゴザイマス。けど、既定路線でしょ」
    「まあな。ていうか話変わるけど、アカンやん。女の子にひどいこと言うたやろ」
    「言ってませんけど」
    「ほんまかあ?さっき教室から出てきた子が"ボーダーのやつやなかったら押し潰したるー"言うてはったで。いや、関西弁ではなかったけど」
    「⋯⋯それでさっき止まったんすか」
    「んー⋯⋯三門大って結構遠いやんな」
    「え?突然っすね⋯⋯まあ、そこそこ」
    「せやんな。俺も受験の時そっち行ったもんな⋯⋯なんか、その子が落とした案内おかしいねん。ほら、警戒区域の中やろ、これ」

  • 13二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 23:34:38

    クリスマスの「赤」の話(1/2)
     
     クリスマスは世界中で催される行事の一つであり、日本では、主に恋人や家族が楽しむイベントとして知られている。
     それはここ三門市でも例外ではなく、嵐山隊が広報部隊になったことを受け、クリスマスの目玉サンタクロースが纏う赤とボーダー広報部隊嵐山隊の隊服の赤を掛けて、ボーダー主催でクリスマスイベントを開催していた。
     とうのとっくにその赤を脱いだ俺だが、どうしても気になる時というものはあるもので、たまにこういったイベントを覗くことがある。
     視線を上げると、そこには隊服の上にサンタクロースの帽子を被って、大きなプレゼント袋を背負った嵐山隊のメンバーが客席に向かって手を振っていた。かつて自分がその中にいたことを思い出す。彼らに任せる事に対する申し訳なさはあるが、今の形の嵐山隊がこの三門市に一番相応しいのも事実。
     やがてイベントが終わると、客席がまばらになり始める。嵐山隊に向かって突撃していくちびっ子達を眺めて、やはり自分の纏う赤はこの場には合わないなと思いながらその場を去った。

  • 14二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 23:35:36

    クリスマスの「赤」の話(2/2)
     
     「血まみれの男の幽霊?」
     俺は目をぱちくりとさせた。大規模侵攻以後、枯れ尾花かそうでないかはともかくとして幽霊の話題が大きく増えたのが三門市である。けれども、柿崎の話がその類のものであるとは俺には到底思えなかった。まずもって柿崎はその手の話を軽々と話さない。
     「そうだ。旧弓手町駅の近くに以前デパートがあっただろ?」
     「確かにあったけど……あれは警戒区域内に入ったから移転したんじゃなかった?」
     「ああ。だけど、その移転先で時々『出る』、らしいんだ。実際、俺も見た」 
     「……! で、ザキはどうしてその話を俺に? ただの世間話って感じじゃなさそうだけど」
     「それなんだが……」
     柿崎の語った話によると、その「血まみれの男」はかつてデパートで働いていた従業員らしい。
     子どもが笑っているのが好きだと言って、各種イベントごとを精力的に企画・立案・実行していた。ハロウィンではかぼちゃを被り、クリスマスではサンタクロースに扮する。特に家族連れに受けがよく、売上にも大きく貢献していたとか。
     そして彼は、大規模侵攻で命を落とした。
     「店側も遺族も当然供養はしてるらしいんだけどな」
     そう言って柿崎は寂しそうな顔をした。
     つまり、柿崎はその「血まみれの男」を成仏させてやりたいらしい。それだけでここまで情報を集められるのはさすが柿崎といったところか。
     「なるほどね。ところで最近そのイベントとかってやってるの?」
     「いや……。移転後は行ってないらしい」
     「なら、それじゃない? その人は子どもが笑ってるのが好きだったんでしょ」
     「イベントか……。でも人手が足りないからだとも言ってたが」


     「そこはそれ、この実力派エリートにお任せあれ、ってね」

  • 15二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 06:07:45

    >>14

    暗い話かと思ったら違った。同年代の友人同士で活躍するのも明るくて優しくていいね、好き。

  • 16二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 17:07:49

    成仏できたようで良かった

  • 17二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 17:10:06

    >>12

    トリオン体じゃなかったらヤバかった……ってコト?!

  • 18二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 21:43:31

    >>12

    前スレ最後に出た百物語ネタにちなんだSSを昨日今日でスッとお出しできるのすごない?

    文章がうまい…

  • 19二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 22:18:41

    短波と午睡


    警戒区域の看板手前でお客を降ろし、表示灯を「空車」に切り替える。ここらに用があるということは放棄地区への一時帰宅かボーダー関係者なのだろう。新弓手町駅まで戻るか久摩方面へ流すかと思案したが、昼食のラーメンでお腹いっぱいなせいかあくびと共に眠気が襲ってきたので、30分ほど仮眠することにした。タクシー運転手が居眠り運転なんてもってのほかだ。
    人ひとり通らない道なので適当な路肩に停め、スタンダードナンバーが聞こえてくるラジオをごく小さなボリュームに絞る。少しだけ倒したシートにもたれ掛かるとすぐにまぶたが重くなってきた。ラジオからの音楽が少し昔にヒットしたロックバンドの曲に変わったな、と思った瞬間、外から大きな音が聞こえたので目を開けると眠気が吹き飛んだ。
    窓の外は瓦礫と悲鳴と近界民の攻撃音で溢れていた。土埃で白く霞んで発車するのも危ないし、何より突然こんな状況になってどうして良いのか解らない。ラジオからは変わらず懐かしのロックが流れていて、この惨状を伝えるニュースも流れてこない。
    この数分でゲートが大量発生した?でもいつも鳴っている緊急避難勧告のサイレンは聞こえなかった。いやそもそもここは放棄地区だ、なのになぜ逃げ惑っている人が大勢いる?何もかもがおかしい、Cメロ前のギターリフが流れるラジオは触ってもないのに勝手に大ボリュームになっていく。耳が痛い。慌てて下げようとしたが、DJの『─お送りしたのは先週に引き続きチャートNo.1…』の言葉で指が止まった。先週に引き続き?この曲は4年ほど前のヒット曲だったはずだ。ここは4年前なのか?なぜ?混乱が収まらず動けずにいたら助手席側の窓をこんこんと叩く音がした。
    『助けて…』
    胸に穴が開き血だらけになった女が窓に張りついていて、その瞬間──

    「あの、大丈夫?」
    我に返ると、青年が窓からのぞいていた。そうか、夢だったのか。「仮眠から目覚めた夢」を見ていただけか。
    「ええ、大丈夫です」
    「…そう。発作か何かかと思って声かけたけど、大丈夫なら安心だ」
    「お恥ずかしい。ちょっと変な夢を見てたもんで」
    お客じゃなくてごめんねと言って、青年はボーダーの基地の方へ歩いて行った。

    「─もしもし?通信室か鬼怒田さんに繋げられる?ラジオの短波に近界からの攻撃が混じってる可能性がある。精神に干渉された人が死ぬかもしれない未来が見えた」

  • 20二次元好きの匿名さん22/05/19(木) 22:48:36

    >>19

    描写うますぎて超怖かった……

  • 21二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 00:04:55

    >>20

    読んでくれてありがとう

    今夜あなたも変な夢を見るかも……

  • 22二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 03:26:11

    >>21

    呪うんじゃないw

  • 23二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 10:54:29

    >>22

    ラ、ラジオ聴かなければ大丈夫だから……w

  • 24二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 19:38:58

    壊れた?パソコン 1/2

    「風間さーん、パソコン壊れたんだけど見てくれない?」
    「コンセントを挿せ」

    「冬島さーん、パソコン壊れたんだけど・・・」
    「コンセントを挿せ」

    「国近~、パソコン壊れ・・・」
    「コンセント挿して~」

    「二宮くーん、パ・・・」
    「バカめ」

    「みんなが冷たい」
    「何やってんだお前?」
    「あっ、諏訪さん。パソコン壊れたんだけど見てくれない?」
    「またコンセント抜けてるとかじゃねーだろうな」
    「いや、さすがにコンセントは挿してる」
    「なら何が起きてんだ?」
    「レポートに勝手に文字が打ち込まれる」
    「なんだそりゃ?」
    見ると確かに"qr:wqr:wqr:wqr:w・・・"という意味不明な文字が書き込まれていた
    「原因はよくわからんが一度再起動してみたらどうだ?」
    「ほう、サイキドー」
    「・・・やり方は教えるからてめぇでやれ」

    「おっ、大丈夫そうだな。ありがとう諏訪さん」
    「ったく、パソコンくらい最低限使えるようにしとけよ」

  • 25二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 19:39:45

    壊れた?パソコン 2/2

    「(結局さっきの文字は何だったんだ?)」
    「(そういやキーボードの置換暗号とかあったな)」
    「(えーと確か「w」は「て」で「q」は「た」だったか?)」
    「(「r」は...そうだ「す」だ)」
    「(「:」は調べてみるか...なるほど「け」ね)」
    「(ってことは「qr:w」は・・・)」

    たすけて

  • 26二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 21:51:27

    デーライトシンクロ


    「なにそれエロ本?」
    つつみんが持ってたハデな表紙の雑誌が目についたから直球で聞いてみた。
    「違うって!大学の奴がもう読まないからあげるって、多分捨てるの面倒だから押しつけられたんだな」
    「ふーん」
    どうやらそれはゴシップ誌だったらしくて、赤や黄色の文字が写真とまぜこぜに並んでる。
    その中に見覚えのある顔をみつけた。あの人は今、みたいな、昔のゴシップを掘り返す記事みたいだった。
    「この人…」
    「あぁ懐かしいな」
    「つつみん知ってるんだ」
    「おサノ知らない?確かお騒がせモデルから女優になった人だけど、失踪した時もちょっと騒がれてた」

    失踪したんだ。
    この失踪したらしい名前も知らなかった女の人を見たことがある。2年前の夏、わたしがまだモデルやってた頃の冬物撮影のとき。夏に冬物を撮るのはキライだけど、その日はロケじゃなくてスタジオだったからラッキーと思ってて、でも着まわし企画で7体分撮んなきゃいけない忙しい日だった。
    4体目を撮り終わってメイク直ししてるとき、背の高いストロボの横に女の人がいることに気づいた。何かの助手さんかな?ボートネックの白いニット姿で冬物着てるしモデルかな?かなり年上みたいだけど。今日はソロのカットだけって聞いてたけど、急きょ2体並びのカットも撮ることになったんかな。でも誰も彼女に声をかけることはないまま撮影は進んでって、結局最後の7体目になっても彼女が撮影に入ることはなかった。スタイリストでもメイクでも編集者でもカメラマン助手でもなさそうな彼女はずっとストロボ横に立ったままで、撮影が終わるといつのまにかいなくなってた。隣フロアから誰か見学に来てたんかな、って思ってたけど。

    「裏社会に消されたとか海外で極秘出産とか色々言われてたけど、第一次侵攻の後はさっぱり何も言われなくなったな」
    記事は、6年前の冬に失踪し今も行方はわからないが近界にさらわれたのでは、という文章と、ボートネックの白いニットを着た彼女のモデル時代の写真で締めくくられてた。
    あのときのスタジオで誰にも触れられず、なのにやけにくっきりとした輪郭で、あの場では浮いてる存在にもみえた彼女はわたしに何を伝えたかったんだろう。
    「あ、すわさん来た」
    「お?堤それエロ本か?」
    「違いますよ!」
    にぎやかになっていく隊室の中で、彼女はどこかで無事にしてるといいなと願った。

  • 27二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 08:38:14

    保守…

  • 28二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 13:43:20

    >>25

    単純に怖い

  • 29二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 15:45:48

    >>26

    実はネイバーだったりして…

  • 30二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 18:26:35

    一緒に遊ぼう


    下校後に隊室へ行くと誰もおれへんくて、珍しいなと思ってたら奥の遊び部屋からごそごそ気配がした。誰かゲームでもしてんのか、それにしては声も音も聞こえへんし不気味やなと思って恐る恐る扉を開けたら…、
    「いやな、ギター練習してたら弦張り替えたばっかりやのに6弦切れてん、ほんま替えたとこやで?まぁ当たり悪かったんかな思てな、気ぃ取り直してまた張り替えてさてチューニングや思たらチューナーの液晶バグってん。電池切れかわからんけどな、しかもピックも落としてもうたんか一つも見あたらんし今日はもうやめよか思た瞬間クリップのとこ折れてん、パキッて。いやいや買い換えてまだひと月そこらやで?激安通販とか使わんとちゃんと楽器屋で買うてんで?ほんで不良品やったら交換してもらわな、保証書どこやったやろ失くしてたらヤバいな、ってなって一生懸命探してるとこやねんけどどこか知らん?」
    座卓の下から尻と足だけ出てる状態のイコさんがクリップチューナーの保証書を探しとった顛末を一から十まで説明してくれた。
    「はぁ…イコさんが知らんのやったら知らんっすわ…それにしても災難すぎでしょ」
    「せやろ?俺今日厄日なん?」
    「いやそれも知らないっすけど、厄日いうか何か憑いてんのか連れてきたんとちゃいます?」
    「えっ…急に怖いこと言うやん」
    「音楽とか踊りとかそういう楽しそうなとこに集まりやすいってよう言いますやん。特に古くからある歓楽街なんかは置屋の幽霊が出るて。歌って踊って楽しそやなぁ私らもまぜて、一緒に遊びましょ、いう感じで集まってくるらしいっすよ」
    「幽霊の女の子にモテても嬉しないなぁ。ほんなら基地できる前はこのへん歓楽街やったってこと?」
    「さぁ?海に聞い…てもわからんやろなぁ、でもこっちの人に聞くんも何か気ぃ引けますわ。実際に歓楽街があった場所やったとして、それも侵攻でなくなってもうたってことでしょ。でもまぁほんま何かおるかもですよ」
    「マジで?保証書、幽霊さんに隠されてもうたん?」
    「おつかれっす!何か落ちてましたよこれ!」
    「うわびっくりした海か。幽霊か思たわ」
    「え~!ひどくないっすか?」
    海が保証書を見つけて幽霊うんぬんの話は終わったけど、遊び好きな何かはきっとおるんやろなぁ。棚に並んでる映画ディスクの順番や誰も触らん将棋の駒箱の位置がコロコロ変わってるのを知ってる俺はそう思った。

  • 31二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 19:45:29

    このレスは削除されています

  • 32二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:56:58

    生駒隊と諏訪隊強いな

  • 33二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 06:11:38

    無題のCD(1/2)
    「なぁ、もっと他に東さんが解説していた試合の記録はないのか?」
    「それ以前に最近入り浸りすぎですよ太刀川さん。成人男性が女子中学生の部屋に頻繁に来るのはだいぶヤバいかと……」
    「俺は全く気にしてねぇからお前も気にすんな。俺が興味があるのは面白い試合と解説だけだ」
    「それはそれで失礼な人ですね!!」

    俺の軽口を受け流せなくなった武富が声を荒げているがまあいつものことだ。この程度のことで動揺していては良い試合は観れん。
    ……流石に忍田さんから呼び出される様になったらやめとくか。
    そんなことを考えていると戸棚の隅にあった無題のCDが目についた。

    「武富〜、なんかタイトルの無いCDがあるけどなんだこれ?」
    「タイトルが無い……変ですねぇ?わたくしはこう見えても整理整頓には自信がある方でして……」
    「だよな。まだタイトル打ってないデータでもあったのか?」
    「いえ、本日収録した分は全て題名も書いて時系列ごとに収納したはずですよ」

    病的な情熱と執念でランク戦の実況システムの実装にこぎつけ、実況からデータ管理までに余念のないこいつのことだ。無題で放置するのはちょっと想像がつかない。
    まあ考えても仕方ないし好奇心に火が付いたので再生して中身を見てみることにしよう。

    「よし、見てみるか」
    「えっ、なんか変な内容だったらどうするんですか?!不気味じゃないです!?」
    「別にそんな幽霊がモニターから出てくるとかそんなことはないだろ。幽霊って弧月でも斬れんのかな?」
    「ちょっと!!流石に私の部屋の中で換装もトリガー使うのもダメですからね!!!出禁にして忍田さんに言いつけますよ!?」
    「はっはっは、それは困るな。まあ大丈夫だろ。ほれ、見るぞ」

  • 34二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 06:12:27

    無題のCD(2/2)
    躊躇いがちな武富の様子を無視して強引にCDを再生した。モニターに映し出されたのは曇天の空の下、一人の男性らしき人の後ろ姿だった。監視カメラの映像なのか遠目からの撮影であり、背面なのもあって誰かは分からない。うずくまっている様にも見えた。

    「なんですかこれ……無音だし、こんな映像撮った覚えも見た覚えもありませんよぉ」
    「知らん。多分監視カメラの映像を焼き直ししたんだろ。画質が粗いな」
    「やっぱり不気味な映像じゃないですか……」

    目に見えて武富の声が弱々しくなってきた時、不意に映像の男性が崩れ落ちた。手足が崩壊し粉々になる。

    「きゃあああああああああああああああ!!!!ひっ、人が、ししししし、しにっ!!」
    「…………落ち着け武富。あれは作り物だ」
    「人がしんじゃ……へっ?作り物??」
    「ああそうだ。昔のCMであったんだよ。温暖化を警告する意味で作られたCMでさ、人の形をかたどった砂の像が崩れることで温暖化の危機を訴える内容なんだよ。久しぶりに見た」
    「そ、そうなんですね。びっくりしたぁ……」
    「大方誰かが昔の番組か何かを録画した時にCMも撮ってたんだろ。忘れ物だろうから俺の方で届けといてやるよ」
    「はぁ、ありがとうございます」

    再生を途中で止めてCDを取り出すと懐にしまい、俺は武富の部屋を後にした。しばらく歩いてあいつの部屋からだいぶ遠かったところでひとりごちる。

    「……ったく、回りくどいことしやがって。こうなるのも『視えて』たんだろうが、全く。しょうがない、かわいい好敵手の為に話聞きに行ってやるとするか」

    もちろんさっきの映像は昔のCMなんかではなかった。崩れた砂の像の足元には、黒く光る鞘と特徴的なサングラスが遺されていたのだから。

  • 35二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 17:37:50

  • 36二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:19:31

    悪い知らせ


    対外メディア用の写真と原稿チェックの山を消化してやっと紅茶で一息、というところでスマートフォンが鳴り、見ると地元放送局の名前が表示されていた。せっかくのダージリンの香りがとんでしまうので後からかけなおすかとも思ったが、この局は「仕込み」がなくてもボーダーに好意的な報道姿勢を取っている局なので無下にしない方が良いだろうと思い、通話ボタンをタップする。
    「もしもし」
    「お世話になっております。根付さん、ちょっと、あの、お伝えしておきたいことがありまして…」
    馴染みのディレクターの声は歯切れが悪く、良い知らせではなさそうなので思わず眉間に皺が寄る。
    「何かね」
    「あの…先日の広報イベントの映像についてなんですが…」
    定期的に開催している市民向けの広報イベントは、嵐山隊を前面に押し出して行っている。隊員募集の側面もあるので、メインイベントの後には嵐山隊の皆に加え私からも隊員募集の説明を手短に行い、イベントに集まってくれた人たちへの謝辞を述べて終了する、というのが一つのパッケージだ。報道各局のカメラも入り、毎回それなりの好感触を得ている。
    「何か問題でもあったのかね?」
    「いえ、あの…何言ってんだと思われるかもしれないんですが、その…映ってるんです、幽霊らしきものが」
    突飛な発言に思わず黙ってしまったが、特に嵐山くんや木虎くんあたりの目立つ隊員は“そういうもの”が憑きやすそうだし、何よりここは二度も大規模侵攻を受けている土地だ。ありえない話ではないな、と思う。
    「実は今回が初めてではないんです……以前にも同じようなことが何度かありまして…、その際に機材の不具合やカメラレンズの汚れも疑ったのですが、特に問題はなく……納期もあったので、“映っている”場面はカットして放送したんですが」
    「何度か…?」
    「ええ…さすがに二度、三度と続くとお知らせしておいた方が良いかと思いまして…」
    “映っている”のが一度きりの偶然ではないのなら、嵐山隊の皆は一度お祓いに連れて行った方が良いのかもしれない。それが例え杞憂だったとしても。
    「体調などは特に変わりないですか?」
    「あぁ、今のところ特に問題はないね。今日も隊の皆揃って防衛任務に出てもらっているしね」
    「…え?」
    「…何かおかしいことを言ったかね?」
    「……映っているの、あなたの背後ばかりなんですよ、根付さん」

  • 37二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 07:06:55

    エクトプラズムほしゅ

  • 38二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 18:04:23

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:08:00

    放課後の狙撃手

    今日は放課後に狙撃手の合同訓練がある。
    チカ子は玉狛に寄らずに学校から直接本部に行くらしいから、じゃあアタシと一緒に行こって言って、今は本部へ向かう途中のコンビニの前だ。ちょいお腹すいちゃったから何か買ってかない?って言おうとしたらチカ子が後ろを振り向いたからアタシもつられて振り向くと、眠そうな顔のトーマ先輩が、本人が言うところの「なっげー脚」でこっちに歩いてきてた。
    「あ、トーマ先輩こんちわっす。これから本部っすか?」
    「おう、イズホとチカもか?」
    「そーですよ合同訓練あるんで。先輩も出るんでしょ?」
    「あーそうだったわ忘れてた、あぶねーあぶねー。一緒に行こーぜ」
    この人ほんとに狙撃手トップなのかと思うくらいトーマ先輩はゆるい。そこが話しやすくもあるんだけど。
    「出穂ちゃん、わたし学校に忘れ物しちゃった」
    それまで黙ったままだったチカ子は忘れ物を思い出したみたいで、すごく焦った顔してアタシの制服の袖を引いた。
    「取りに戻るから出穂ちゃんもついてきてほしい」
    侵攻のときあんなに狙われたんだもん、いくらあのときよりは強くなってるからって一人は不安だよなと思って、アタシはチカ子と一緒に学校に戻ることにした。
    「じゃトーマ先輩またあと…」
    言い終わる前にチカ子はアタシの手を引いてずんずんと学校の方へ戻っていく。
    「そんな焦んなくても大丈夫っしょ、まだ時間ヨユーあるよ?」
    「出穂ちゃん、あの人当真先輩じゃないよ」
    「えっ?!どういうこと?」
    意味わかんなくて一瞬立ち止まりかけたアタシを引っ張っるようにして、チカ子は前を向いたままどんどん足早になっていく。
    「私のサイドエフェクトの話、したことあるよね。敵の近界民が近づいたらわかるの。さっき、サイドエフェクトが感知したの」
    「え…?」
    「私もびっくりしたよ、振り向いたら当真先輩だったから…でも、わたしのこと「チカ子」じゃなくて「チカ」って呼んだから、たぶんこの人当真先輩じゃない、って思ったの。合同訓練のことも忘れてたんじゃない、近界民が化けてるから知らない話だったんだよ、きっと…」
    もしサイドエフェクトの感知のほうがおかしくなっててさっきのが本物の当真先輩だったら申し訳ないけど、本部に連絡しなきゃ。そう言ったチカ子は前を見つめたままだ。アタシは気になってコンビニの方を振り向くと、もうそこには誰もいなかった。

  • 40二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 09:46:52

    >>39

    成り代わり系は怖いな

  • 41二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 20:11:37

    少し早いが

  • 42二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 23:07:14

    気になる男


    大学で気になる人がいる。って言ったら友達は目を輝かせて、誰?何年生?どこゼミ?と矢継ぎ早に質問を飛ばしてきたけど、名前を言った瞬間静かになった。
    「何だ、太刀川か…」

    同じ学年学部の太刀川はボーダーでは優秀で、現役隊員の中ではトップらしい。一方勉強はダメダメで、dangerをダンガーと読んだって噂もある、三門市立大の有名人だ。
    「気になるっつーからてっきり女の子の話かと」
    「スマンスマン」
    「で?何が気になるわけ?」
    太刀川は定期的に長期欠席する。以前「ボーダーの同級生にも見捨てられた、ノート貸して」と頼まれた時に長期欠席の理由を聞いたことがある。遠征、ってつぶやいて少し間を置いてから「あ~地方にスカウト遠征に行ってる、旅行みたいなもん」と言っていた。トップクラスの強い奴も地道なスカウトに参加するんだな、と思ったけど、気になるのはあいつの「匂い」だった。
    オレは小さい頃からすごく鼻がいい。色んな匂いに敏感で、例えば小学生の頃は2限目あたりから給食の匂いがわかったし、中学の時は僅かな焦げ臭さからボヤ未遂を見つけて感謝されたこともある。不快で臭いほうの匂いにも敏感なのはキツイ時もあるが、生まれつきだしもう慣れた。
    太刀川は長期欠席のあと、いつも変な匂いがする。と言うと語弊があるが、何というか、オレが今までの20年間で出会ったことのない不思議な匂いをまとって来るのだ。一度だけならまだしも、二度三度と長期欠席の度にあの不思議な匂いがすることに気づいたから、そういう意味で「気になる」のだ。
    3年のボーダーの人たちを見かけた時も同じ匂いを感じた気がしたが、あの3年の中の誰かも太刀川と同じようにスカウトに行ってるんだろうか。
    「毎回同じ匂いがするってことは、毎回同じ地方に行ってんのかな」
    「海外かもよ。ってかその匂い?俺は全然わかんねーけど、鼻が利きすぎるのも大変そうだな」
    「おっ、お前鼻いいの?」
    「うわ?!」
    友達との会話が聞こえてたのか、背後から太刀川が話しかけてきた。今日はあの不思議な匂いがしなかったから気づかなかった。
    「サイドエフェクトって知ってるか?もしそれならトリオン多いかもな、お前入隊試験受けてみたら?」
    何がツボだったのか分からないが饒舌に話す太刀川を見て、さっきの変な匂いがするっていう会話は聞かれてなかったみたいで良かった、と安心した。

  • 43二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 07:14:21

    来馬先輩は二宮辺りに止められたのかな・・・いやーまあ遠征先なんて確実に〇ってるだろうしなー



  • 44二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 12:57:15

    >>42

    もしこの語り手がいう不思議な匂いが「近界(民)の匂い」ならボーダーは欲しがりそう

    野良SE持ちもひそかにいるのかもね……

  • 45二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 22:39:52

    ほしゅっ!

  • 46二次元好きの匿名さん22/05/25(水) 22:44:18

    「実はさ…この隊室幽霊がいると思うんだよ…」
    「え?!」
    「え?」
    「え~?!ほんと?」
    「俺が論文をしてる時に、後ろに誰かいる気がするのに見えないし、眠くなると叩かれたような感じがするんだ…」

    「「「ああ…」」」

    「気にしなくていいんじゃないですか?」
    「つまんないの~」
    「まあ、別に幽霊でも怖くはないですけどね!」

    「?」

    ーーーー

    「俺があいつの論文のためだけに太刀川隊の隊室にカメレオンで…?するわけないだろう。トリオンの無駄遣いだ」

  • 47二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 04:56:48

    [ボーダーで×××の××が推奨されない理由]


    最近、父と母が僕に対する接し方が変わった気がする。母にはよそよそしさ、父には諦観が感じられるのだ。しかしそれも無理はないのかもしれない、何故なら僕は1年前に大きな事故に遭い植物状態になっていたからだ。
    意識も戻りリハビリに励める様になったのもつい最近のことである。両親の期待や安心を取り戻すのはまだ遠いのかもしれない。

    そんなある日、一通の手紙が届いた。差出人は旧友の一人である。彼が困った時に色々と金や物の工面を手伝ってあげたことがある。懐かしい。そのお礼の手紙だろうか?


    「意識も戻りご回復本当におめでとうございます。
    飛び上がるほど嬉しく士気も上がりました。
    知らせを聞いた時は逆にこちらの意識が飛びそうになりました。
    のどかな川の向こうで祖父が手招く景色が見えた気がします。

    私的な話ですがこちらは母の再婚の挙式や祖父の葬式、
    兄弟の入学式、また再婚相手の父も組織の幹部に昇進したり、その式典に
    参列したりと色々ありました。
    よくよくお身体を大事に、四季の変わり目に気をつけてご自愛ください。
    今度また簡単なお返事さ寄越してもらえると嬉しいです」


    僕は驚いてしまった。多少改変は加えてはいるものの、筆跡は間違いなく僕自身のものだったからだ。わざわざ旧友の名前を用いて手紙という形で送ったということは、過去の自分は何か伝えたかったことがあるに違いない。
    この乱雑な文章の中に何かあるのだろうか……僕は自室で読み解くことにした。

  • 48二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 04:58:01

    >>47

    「……下世話な話を承知でさせてもらうが、現在のボーダー内にて男女のトラブルの発生は確認できているだろうか」

    「いえ、全く聞いてはいませんねぇ。特にA級、B級の間は問題なく、健全なお付き合いをしてくれてますよ。私の確認する範囲ですがねぇ」

    「まったく……いくら年頃の男女が集まってるとは言え、こんなことにまで我々が干渉する必要があるのはやりきれんわい!」

    「でもまぁ、仕方ないでしょう。悪しき前例が出てしまってますから。お陰で貴重なスポンサーの一つを手放すことになってしまいましたが」

    「しかし隊員の安全には代えられない。特に女性の安全は保証されて然るべきだ。寧ろあれは我々の過失に他ならないだろう」


    「それにいちC級隊員に過ぎない彼とB級隊員でかつ優秀なオペレーターである支岐くんとでは、どちらを守るか悩むまでもありませんからねぇ」

    「しかし支岐は深刻な男性不信に陥ってしまったし後始末は完全には終わっとらん。全く迷惑千万な奴だわい」

    「当該隊員の記憶封印処理や周囲の口裏合わせは済ませているから問題ないだろう。後は支岐くんの男性不信についてだが、今度の遠征選抜試験で緩和してもらうつもりだ。多少の荒療治にはなるだろうが、女性の対応にも慣れている歌川と組ませるから前進は見込めるはずだ」

    「遠征選抜試験にはこれらの類の潜在的リスクを炙り出すのも目的の一つとして組み込んである。各自、十分に注意して審査に臨むように」


    「(……何か見落としている気がするんだが気のせいだろうか。杞憂だったら良いんだが)」



    [ボーダーで隊員間の恋愛が推奨されない理由]

  • 49二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 13:49:33

    雨とランドリー

    昼過ぎに大学から本部への直通通路へ向かう途中、大雨が降ってきやがった。
    逃げ込んだコインランドリーは警戒区域に近いせいか客は誰もいない。雨粒で水玉模様になった眼鏡を拭き自分の姿を見直すと、グレーのシャツは上半分が濡れて黒くなっちまってた。ここでシャツを脱いで換装して防衛任務の間に隊室で乾かしゃいいかと思ったが、濡れっぱなしの服を持ったままってのも気分が悪いから雨宿りついでにシャツを洗濯していくことにする。
    ずらりと並ぶ丸い窓の上に掲示してある料金と所要時間を確認する。洗濯~乾燥まで約40分。任務まで余裕もあるしそんだけ時間がありゃ雨も止むだろ、と脱いだシャツを放り込みボタンを押した。Tシャツ姿では肌寒いが少しの辛抱だ。
    椅子に座りスマートフォンで天気を確認するとゲリラ豪雨はあと数分で止むという予報だが、バッテリーが残り少ないことに気づき画面をオフにする。手持ちぶさたで雑誌コーナーの適当な一冊を手に取ったが、表紙を見て違和感に気がついた。
    これ古ぃな。ひと月ふた月じゃねぇ、5年も前の雑誌だ。
    読む気を失くし、ぐるぐる回る洗濯機の中を眺める。雨は止むどころか外はどんどん暗くなる中、ふと洗濯機の丸い窓に自分のシャツではない何かが映った。映画や本で見た外国のような風景と、戦う人々、逃げる人々。
    幻覚か?眼鏡をかけ直してよくよく見るとトリオン兵らしきものも映っている。横を見ると他の洗濯機の窓すべてにも同じ映像が映っていて、その光景の異常さに頭の先から鳥肌が立っていく感覚を憶えた。気味が悪いが最悪の場合を想定してトリガーを起動し、気配を伺う。
    「あ、弓場ちゃんやん」
    息を詰めすぎてじりじりした空気が充ちていたランドリーは、気の抜けた生駒の声で現実感を取り戻した。
    「今から個人戦しに行くねん。ん?さっきの雨にやられたん?」
    「…あぁ、今シャツを乾かしてる」
    「なんで換装してんの?あ、換装中に乾燥やって!これ今度使お」
    「……」
    毒気を抜かれ、緊張の糸が切れた気がした。
    洗濯機の窓にはもう何も映っていない。
    「え…そんな怒らんとってや」
    「別に怒ってねェ。おめェは濡れてねえのか」
    「うん、もう40分くらい前に止んでたやん、雨」
    そんなに前に止んでいたのか。外を見るとあんなに真っ暗だった空はいつの間にか晴れていて、ランドリー内には乾燥終了を知らせる電子音が響いた。

  • 50二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 18:27:12

    >>47

    めちゃめちゃ仕込まれてる…怖…

    手紙の最後の一文が上手い

  • 51二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 23:07:37

    >>50

    このコメ見るまで気付かんかったわ...

    縦読みか

  • 52二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 23:12:20

    小夜ちゃんの字は志岐なんだ...(小声)
    こういうのも面白いな...本人の特性に意味を持たせるこわいはなしか...

  • 53二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 23:27:28

    >>52

    げっ、しまった。めっちゃ誤字ってた、指摘ありがとう、すまん小夜子。

    霊感が無いせいで人間のサイコさに恐怖を覚える質でして……楽しんでもらえたのなら幸い。

  • 54二次元好きの匿名さん22/05/26(木) 23:33:07

    縦+名字たくさん+名前 かな?
    最後は自分が読んで引っ掛かるように不自然にしたんだろうし、思い出しちゃうのかな…

  • 55二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 03:32:13

    >>49

    弓場ちゃんが語り手なのは珍しい。堂々としてる彼でも鳥肌が立つぐらいに不気味さを感じてるのは新鮮で良いですな

  • 56二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 05:29:28

    [声が聞こえる]

    最初は気のせいだと思った。何かの物音や聞き間違いか何かではないかと。しかしその割には頻度が高い上に、それは物音ではなく何かの声の様に聞こえる。
    医者の診断では幻聴ということだった。こういう任務に就いているとストレスなどが原因でよく起こるらしい。処方箋を頂き様子を見ることにした。気になる程度の幻聴に構っている暇は無いのだから。


    以前聞こえていた幻聴が強まった気がしている。ストレスが溜まっているのだろうか?忙しさは増しているし大変な内容の仕事だから無理のない話であった。医者に診てもらっても診断結果は以前と同じだった。薬を増やしてもらい治るのを期待する。休んでいる暇など無ぇのだ。
    しかし同僚からは最近言動や振る舞いに粗雑さが見られると注意された。物や他人に当たっちまっていたのだろうか、気を付けねば。


    幻聴は治まるどころか激しく、断続的になった。どうやら頭の中から怒鳴ってきやがるらしい、ガンガンと眼の奥から響きイライラして仕方ねぇ。絶え間ないストレスが心のみならず体にも現れてきたのか、右眼が黒ずんでいる風にも見えた。
    医者の薬ももう効かねぇ。任務で敵の兵士を殺傷していると幾分かスカッとして、以前は嫌いだった戦闘が楽しくなった。


    声の主は僕自身だった。
    僕の声でそいつは怒鳴り、呼びかける。「殺せ!」「壊せ!」「雑魚どもは皆殺しだ!!」「オレは強ぇ、無敵だ!!!」
    もしかしたら角が脳に根付き僕自身の人格を乗っ取ろうとしているのではないか? 嫌だ、こんなヤツに取って代わられるのは嫌だ。助けて、ハイレイン様!助けてくれ、ヴィザ翁!!ランバネインでもいい、助けろ!!!
    助けやがれ、ミラ!!!!





    ……チッ、やっと素直になりがったか。戦いが嫌だとか甘えたこと考えてんじゃねーよ。せっかく手に入れたんだから、使ってやらねぇと勿体ねーだろうが、ムカつく連中をブッ殺せる力がよ。
    敵対するヤツらはもちろん、邪魔するなら根暗だろうが誰だろうが皆殺しだ!!ヒャハハハハハ!!!

  • 57二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 14:31:43

    感想スレ落ちちゃったから早めほしゅ

  • 58二次元好きの匿名さん22/05/27(金) 20:01:17

    >>39

    放課後の狙撃手/当真の場合


    「いやまいったぜ。俺の知らねー所で俺の顔したヤツが俺のフリしてるって気持ち悪いじゃねーの」

    今日の体育は3年生合同らしい。クラス対抗で何種目か球技の試合をするらしく、背が高いっつーだけでバレーあたりに駆り出されそうな俺は授業前にボーダーの男連中にこないだの放課後の出来事を話していた。

    「ドッペルゲンガーじゃないのか」

    「ほう…ドッペル…」

    クソ寒いのに半袖体操服の穂刈が言ったドッペ…ナントカは知らないが、良いモンじゃなさそうってことはわかる。

    「ふっ…その調子だと本人なんだろうが、今目の前の存在が本物かちょっと疑ってしまうような話だな」

    「ちょまちょま、鋼くん変なこと言わないで!」

    「ゾエ怖がり過ぎ。雨取ちゃんのSEで近界民やってわかったんやろ?カゲはそのへんわからへんの?」

    「…感情が刺さるだけで近界民かどうかの区別はつかねえな。敵意がありゃわかるかもしんねえが、少なくとも今のコイツにはない」

    「勘弁してくれよ、あれから散々調べられたっつーの」

    チカ子とイズホは聞き取りだけで終わったらしいが、俺はジジョーチョーシュみたいな尋問のあと身体検査からトリオン解析までこまごまと調べられ、何もないのにどっと疲れた一日だったのだ。

    「ふぅん。何か思い当たる原因はないのかい?」

    興味津々という顔で王子が聞いてくるが、そういやいつだったか屋上で昼寝してた時に知らないヤツが俺を覗きこんでたことがあったな。

    「なんか気配感じて目ぇ開けたら「いい天気だな」っつって横に立ってた。タメ口だったし同級生かもな?誰か知らねーけど。つーか逆光で顔見えなかったし、すぐどっか行ったし」

    「サボって昼寝なんかしてるからそういうことになるのよ」

    A組対C組でバレーが始まるらしく、俺と穂刈を呼びに来た今が小言まじりに言う。

    「サボってねーよ?うっかり寝過ごしただけで。でもまたメンドクセーことになんのも嫌だし、屋上はほどほどにしてちゃんと教室で寝るわ」

    「ちゃんと教室で寝るわ、じゃないのよちゃんと教室で授業を聞きなさいよ。ほらコート入って」

    「試合が始まるぞ」

    今に続いて穂刈も急かしながら言う。

    「ジャージ脱がなくて良いのか?」

    「このクソ寒いのに脱げるか。みんながみんなお前みたいに筋肉あると思ったら大間違いだぜ」

    ……そういや穂刈、今日いつもとちょっと喋り方違うな?

  • 59二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 02:46:18

  • 60二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 12:28:50

    ワンダーコミック

    「竜司先輩おかえり!」
    「おう!良い子にしてたか?これおみやげな!」
    スカウト旅から三門に帰ってきた竜司先輩がちっちゃい剣のキーホルダーをくれた。観光地でよく見る、あのシルバーでやけにごてごてしてるやつだ。
    「それスコーピオンっぽいだろ?俺も弧月っぽいやつ買った!」
    「あ、ありがとう…そういえばマンガもありがとね」
    草壁隊でひとり置いてけぼりのオレに気を遣ってくれたのか自分の好きなマンガを薦めたいだけかはわかんないけど、竜司先輩はスカウト旅に行く前にこれめっちゃ面白いから!って熱血バトルマンガの単行本を貸してくれてたのだ。
    「今日帰って来るって聞いてたから返そうと思ってたのに、持ってくんの忘れちゃった」
    「おー、面白かったろ!主人公がめっちゃアツくてかっけえ!」
    「声でかいよ竜司先輩。でも確かにアツかった!全12巻一気に読んじゃったもん」
    「わかる!でもすぐ読み終わったんなら何か他のも貸しときゃ良かったか?」
    「いやいやマンガばっか読んで過ごしてたわけじゃないから…ていうか別のやつ一緒に貸してくれてたじゃん。読み切り?1巻だけのやつ」
    「ん?そんなの貸したっけ?」
    「うん、なんかSF?ある日突然襲ってきた異星人にメガネの主人公が仲間と共に立ち向かう、みたいな内容の」
    「うーん…?」
    「そんで、ラスボスとの対決でもすごい活躍したのになぜか味方組織に記憶を消されて、戦いの記憶も仲間の記憶も残ってないっていう…ホラー?サスペンス?竜司先輩、熱血少年マンガばっかじゃなくてああいうのも読むんだね」
    「んー…やっぱそんな後味悪いの貸した覚えねーぞ?何てタイトル?」
    「あー何だっけ、ワールド…ナントカ?ナントカワールドだっけ、忘れちゃったけど古い感じのマンガだったよ、ちょっと擦りきれてたし」
    「…それほんとに俺が貸したやつ?」
    「そうだと思うけど…貸してくれた紙袋に入ってたし。ま、明日持ってくるから確認してよ」
    帰って紙袋を確認したら、あのマンガは見当たらなかった。
    一緒に入れといたはずなんだけどな。ちゃんと読んだ記憶あるし勘違いじゃないと思うけどな、でも竜司先輩以外からはマンガ借りてなかったしなぁ。うちは兄弟いないし親もじいちゃんもマンガ読まないから誰かのが混じってたってこともないだろうし、何だったんだろ。おみやげのキーホルダーが、ちゃり、と鳴った気がした。

  • 61二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 22:49:36

    >>58

    違和感がスゴいな、普通に話すポカリは

  • 62二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 08:52:21

    >>58

    ポカリの最初の一言で違和感あったけどオチはそれだったかー

  • 63二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 15:54:09

    >>60

    こういうメタ視点的な、想像された世界の上での登場人物だということをキャラクター自身が気付く話は好きだな。宇宙こわいに通じるものがある。

  • 64二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 23:17:10

    個人ランク戦5本先取

    1本目
    相手の踏み込みに合わせてカウンター
    1-0

    2本目
    鍔迫り合いからの切り返し
    2-0

    3本目
    押しきって体勢が崩れたところにとどめ
    3-0

    4本目
    見慣れぬ剣筋に対応が遅れる
    3-1

    5本目
    前回の攻撃を誘って迎撃
    4-1

    6本目
    相手の後退を読みきっての突き
    5-1

    「いきなり1本取られるとは、中々の強さだな。見たことないやつだったけど最近入隊したやつか?」
    「太刀川さん、まだ居たんですか?もう閉めますよ」
    「おっ、ちょうど良いところに。なあ時枝、さっきまで俺がランク戦してたやつって知ってるか?」
    「何言ってるんですか?もう太刀川さんしか残ってませんよ?」

  • 65二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 04:13:17

    [赤い目 1/2]


    トリアージって知ってる?災害時などに要救助者をその被害の深刻さや緊急性に基づいて色分けすることだよ。この色分けにより誰を優先的に救助したり病院に搬送すべきかを判断しやすくして、より多くの人を助けられるようにしてるんだ。
    緑は比較的軽微で優先度は低め、黄色だと搬送の優先度が上がり、赤だと最優先で治療しないといけなくて、黒はもう……って感じ。

    なんでこんな話をするかって? 見えるからだよ、誰がどれぐらい弱ってるかどうか。
    人や物の強さを色で識別できるんだけど、それと同様に弱ってる人も色の具合でどのくらい危ないか分かるんだ。
    見えると分かったのは忘れもしない、4年半前の第一次大規模侵攻の時だった。


    あの時に見えた光景は控えめに言って地獄だったよ。空を覆い尽くす様な曇天、我が物顔で街を蹂躙するトリオン兵、瓦礫の山に広がる火災、響く悲鳴。それに混じって様々な色合いが視界に映る人々やトリオン兵に纏わりついているのが見えた。そうして眺めている内に気付いたんだ。戦闘力、生命力の強弱が色として可視化されてるんだって。
    様々な色合いが混ざった視界はグロテスクで、戦禍にあえぐ人達の様子と相まって悍ましいことこの上なかった。


    でもまだ助けられる人もたくさんいたから、吐きそうになるのを堪えて救助の手伝いを行ったんだ。当時はボーダーに入ってなくて生身で、しかも小学生の肉体にはとてもつらい作業だった。もちろん救急隊員の人達の手も借りれる時には借りたけど、間に合わない時には動ける大人に頼み込んだりしながら懸命に救助活動に協力していたんだ。
    そういうことをしているとやっぱり出てくるんだよね、もう、助けられない人が。

    生命力が弱まってる人ってね、どんどん色あせてしまうんだ。灰色になっていく感じ。弱々しい様子でも色味がある人はまだ助けられる余地があるんだけど、くすみ始めてる人は正直言って厳しい。灰色に近いともう無理だよ。そう言った人達が瓦礫の下とかにたくさんいたんだ。
    中には意識のある人もいたけど自分にはどうしようもなかった。

  • 66二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 04:14:14

    >>65

    [赤い目 2/2]



    そういった人を諦めながら助かる見込みの人を優先していた最中にね、ふと、強烈な悪寒を背後に感じたんだ。なんだろうって振り向いたら、さっき自分が諦めた人がこっちを睨みつけているんだ。

    不思議なことにね、全身はもう灰色になっているのに目だけは赤いんだ。強烈な色味を帯びた真紅。まるで最後の生命力が燃え尽きようとしているなエネルギーで

    「どうして見捨てるんだ」

    って訴えかけてるようだった。

    こちらが身じろぎできずにいるとその目も灰色にくすんで事きれたのが分かった。目の前で人が憎悪を振り撒きながら亡くなったことに恐怖を感じたけど、それでも目の前の助けられる人を助けようと頑張ったんだ。


    けれどもその赤い目を向けながら亡くなる人はその後もたびたび現れてさ、ついに耐えきれなくなったんだ。

    溜まったストレスが一気に来たのか、涙とゲロを流して気絶した。次に目を覚ました時は病室だった。



    それから第一次大規模侵攻が終わって病院での療養も終わって学校に戻れたんだけど、被災地の中やその近くを歩く時は気が気じゃなかった。あの光景が脳裏に焼き付いているし、それに…………


    病院の診断やカウンセラーにその体験を話したことでボーダーにもその話が行って、そこからボーダーに入れたのは幸運だったよ。

    だってそうして入れたおかげで対抗できる手段も手に入れられたから。

    この間の大規模侵攻でも迎撃という名目であの辺りを更地にできたしね。





    もう……嫌だったんだよ。あの赤い目たちに見られるのは。

  • 67二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 13:40:37

    ほしゅ

  • 68二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 15:36:53

    [懲罰 1/2]

    なるほどなるほど〜、怖い話をすればいいんだね?そうしたらわたしがとっておきの話を話すとするかね〜〜。
    柚宇さんの話は怖くなさそうって?そう言っていられるのも今のうちにだよ〜〜?


    トリオン体って便利だよね〜。運動能力や筋力はもちろん、消化機能とか体の機能全般が飛躍的に向上するから、戦闘にも日常生活にもお役立ち!トリオンに音声を乗せればトリオン体同士だと例え異国語でも会話が通じるし翻訳アプリ要らず、革新的だよね〜〜。
    そんなチョー便利なトリオン体だけど悪用されたら大変。だから城戸さんたち、ボーダーの上層部の大人たちが日夜その守秘を頑張っているのだ〜〜。

    でもやっぱり悪用する人って出てきちゃうわけでして。特にボーダー隊員だと防ぎようがないよね。ましてやそれが強い人だとどうしようってなっちゃう。



    昔の話なんだけどね。腕っぷしは凄く強くて頭の回転は早かったけど乱暴者でね、誰かれ構わずに練習という名のケンカを吹っかけてはボコボコにする人がいたの。戦闘センスは抜群だったけど悪知恵もあったから、懲罰するにものらりくらりと交わしたり、懲らしめようとした人が返り討ちにあったり。

    そしてもうひとり困った人がいてね、この人は特に強い訳ではなかったけどべらぼうな金持ちでね、自分の悪事を金で揉み消しては繰り返す問題児だったの。懲罰を与えようにも金で解決するから中々強気に出られなくてね、城戸さんたちもこの二人の扱いにはほとほと手を焼いたそうだよ。

    こういう人たちには記憶処理をするのが一番確実なんだけど、そう易々と捕まって処理できないのが困ったものさ。
    でもね、あることに気が付いて簡単に解決できたんだ。

  • 69二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 15:41:02

    >>68

    [懲罰 2/2]


    トリオン体って痛覚の設定ができるのは知ってる?トリオン体は特に戦闘時だと大怪我をするから痛覚が生身のままだと大変なことになるよね。だから普段は痛覚をオフにしたり、損傷した箇所がわかる程度の感度にしかしないんだよ。


    でもね、いじれるってことは逆に感度を強めることができるってことでね。通常感じる痛みの何倍、何十倍、何百倍も高めたりもできるんだよ。



    その二人を懲罰する時にね、オペレーターの力も借りて不意打ち的に彼らのトリオン体の感度を限界値まで高めたんだよ。体の動きに違和感を覚えた二人に隙ができたから、すかさず周りは手足を切ったり銃弾を撃ち込んだりした。


    その時の二人の絶叫は凄まじかったね。人間の出せる声の限界ってあんな感じなんだって思っちゃった。喉が潰れちゃったのかなってほどに重く、濁った、でも甲高い悲鳴を上げながら、損傷箇所をかばうように二人はのたうち回っていたよ。

    こうなると抵抗どころじゃないんだけどね、それでも手負いのケモノが危ないって言うじゃない? 周りの人たちは激痛にあえぐ二人に容赦なく攻撃を与え続けた。もう何かしらの暴力が加えられる度に泥をかき回すような汚い嗚咽が漏れて、口の端からはぶくぶくと泡を吹き散らしながら、眼球がこぼれ落ちそうになるくるいに白目を剥きながら転げ回っていたな〜。


    そうこうしているとトリオンの漏出過多で換装も解除されちゃったんだ〜。それと同時に気絶したからこれ幸いに記憶処理をしようとしたんだけどね、驚くべきことに脳の神経がズタズタになっていて、そのまま記憶処理をしちゃったら廃人コースまっしぐらな訳だよ。

    それは流石にマズいから何とか最低限の修復はしつつ、記憶処理もうまいことやって懲罰自体は成功したみたいだよ〜。脳の手術もできるなんてボーダーってスゴイよねぇ。


    なんでそんな重要なことを知ってるかって?そんなの決まってるじゃん、その痛覚処理をしたオペレーターはわたしなんだから。

    見直してくれたかね〜?それとも怖くなっちゃったかな〜?

    でもこれできみも知ってしまったからね〜。他言はしちゃダメだよ〜?




    ……な〜んてね。ウソだよ。今まで言ったことは全部ウソ。信じちゃった?怖かった?

    わたしだってちゃんと怖い話は話せるんだからね〜。






    あっでも今の状態で間違っても足の小指とかぶつけちゃダメだよ。

  • 70二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 17:22:27

    >>58

    放課後の狙撃手/穂刈の場合


    「変か?俺の喋り方は」

    「えぇ…いつも変じゃないっすか…」

    放課後に隊室で会った半崎はダルさを包み隠さない顔のわりに話を聞く姿勢は崩さず、オレの疑問にそう答えた。

    体育の時間に当真がお前いつもと喋り方違って変だよな?と言い出したのを皮切りに、変かどうかいうたらオール倒置法はかなり変やで。そのトーチホーがいつもと違くね?なに今度はポカリの偽物が出たのかい?いやさっきの超絶サーブは本人でしょ。身体能力もコピーしてるのかも!穂刈くんふつうの喋り方もするんだ意外~。最終的には加賀美たち女子までノリノリで、本気でオレを疑っているわけではないのはわかっていたがそんなに『いつもと違う』喋り方だったのか、自分ではよくわからない。

    「だから聞いてみた、念のため」

    「うーん…ぶっちゃけわかんないっすよ。変か変じゃないかだったら間違いなく変っすけど、『いつもと違うか同じか』なんてダルくていちいち気にしてないっすもん」

    「そうか?」

    「そう、その『そうか?』みたいなひとことだと余計判断しづらいじゃないすか。当真さん気にしすぎてそういう短いひとことの時に『何か違う』って思ったんじゃないっすかね」

    半崎はそう言うが、自分では確信が持てないでいる。

    自分のことなのに?と思うが、頭の中で『普通』に組み立てているはずの文がなぜあんなアウトプットになるのか、オレ自身でもわからないからだ。他人に言われるまで気づかなかったが、オレはいつからこの『変な』喋り方なんだろう?

    メールなどの文は『普通』に書けているが、口に出すと途端に倒置法になる。半崎の言うように倒置してない『普通』の時も稀にあるようだが、もしかしてオレは『言葉に出す』というアウトプット作業を誰かにコントロールされてるんじゃないかと思ってしまう時があるのだ。自分の意識外で何者かに操られているのかも、と。そんな誰に何の利があるのかわからない自身への疑念はいつまでも拭いきれないが、半崎は続ける。

    「てか、その話だと『屋上にいた誰か』が近界民じゃないんすか?寝てた当真さんをコピーして、的な。まぁ実は普通に同級生だった、とか近界民じゃなくて幽霊だった、とかの可能性もあるし。想像なら何とでも言えるから変な噂になったりダルいことになるんすよ、多分。詳しくは上が調べてるだろうし、あんま気にしなくていいんじゃないっすか?」

  • 71二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 17:22:39

    【サイドエフェクト】

    サイドエフェクトとは、トリオン能力の高い人間に稀に発現する超感覚を意味する。
    誤解を与えるくらい簡単に言えば、超能力と言ってもいい。

    未来視を筆頭にした人間の常識を遥かに超えたものから、強化聴覚といった一見平凡と思われそうなものまで様々だ。

    だが共通して言えるとすれば、それは希少であり、また副作用(サイドエフェクト)の言葉通り発現者に利益だけをもたらすものでは無い。

    とある隊員のソレも、そんな不幸の一例だ。
    彼は幼少期から「オーラ」が見えていたらしい。
    立ち上る湯気のようなそれは人間からしか発生せず、色や形も十人十色だったという。
    家族を近界民に攫われた事をキッカケにボーダーへ入隊した際に検査を受け、ソレは「人間識別能力」と命名された。

    ランク戦時はレーダー無しに他隊員を早期発見でき、人命救助の際は逃げ遅れた一般人を見逃さないなど活躍。
    だが、近界民討伐の際に事件が起きた。

    彼がボーダー隊員として近界民ーートリオン兵と対峙した際、彼は錯乱した。

    どんなに相手から攻撃されようとも反撃せず、代わりに投降を促すような言葉、果てには自身の細かなプロフィールや家族の思い出などを大声で叫んでたと言う。

    トリオン兵が別の隊員に倒された際、彼はその隊員に向けて攻撃しベイルアウトさせた。

    最終的にA級部隊に拘束された彼に事情を聴取すると、憔悴したように一言だけ、我々に伝えた。



    「トリオン兵から家族のオーラが見えた」と。

  • 72二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 01:25:36

    鯖落ち復旧で念のため保守

  • 73二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 01:46:16

    >>71

    この話好きだなぁ。オリジナルのサイドエフェクトの発想がなかったので上手いこと考えられてるのも良いし、後味がかなり悪いのもホラーらしくてそそる。

    サイドエフェクトは便利な超能力ではなく当人やその周りに悲劇をもたらし得る厄介な特性であっていて欲しいので、個人的には解釈一致ですわ。良いもの読ませてもらいました、ありがとうございます。

  • 74二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 05:45:44

    >>12から>>71までの話


    58. 百物語

    59. クリスマスの「赤」の話

    60. 短波と午睡

    61. 壊れた?パソコン

    62. デーライトシンクロ

    63. 一緒に遊ぼう

    64. 無題のCD

    65. 悪い知らせ

    66. 放課後の狙撃手

    67. 気になる男

    68.太刀川隊室の幽霊

    69. ボーダーで×××の××が推奨されない理由

    70.雨とランドリー

    71.声がきこえる

    72.放課後の狙撃手(当真)

    73.ワンダーコミック

    74.個人ランク戦5本先取

    75.赤い目

    76.懲罰

    77.放課後の狙撃手(穂刈)

    78.サイドエフェクト


    百物語まで残りあと22

  • 75二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 13:06:46

    いってはいけない


    おやキミ、こんなところに一人でどうしました?
    その制服は第四中学の子かな。けんかでもしたのかい?裾が少し汚れているよ。

    キミくらいの年だと、友達とけんかしたり親と言い合いになったりすることも多いだろうね。ぼくもそうだったからよくわかる。
    でも、そうやって何かにつまずいたり悩んだりしたとしても、「どこかに行ってしまいたい」「消えてしまいたい」などという言葉は決して口に出して言ってはいけないよ。

    なぜかって?それをどこで聞きつけたか、「さらい屋」がやってくるからさ。
    どこかに行ってしまいたい、消えてしまいたいと言ってしまった子たちが一人になった時を狙って、ひっそりとさらいにやってくる。

    そして本当にどこかに連れていかれてしまうのさ。
    さらわれた子たちはみな、その連れていかれた見知らぬ土地でむりやり働かされるんだ。死ぬまでずっと働かされて、家族や友達や好きな子にも二度と会えない。そんなのイヤだろう?

    どうしてそんなに詳しいのかって?…かつてぼくも「さらい屋」にさらわれたことがあるからさ。
    じゃあ逃げて帰ってきたのかって?いいや、死ぬまで働かされたよ。…そう、死ぬまでね。
    ……驚いた顔をしているね、そりゃそうだよな。さあ、暗くなる前に早くおうちへお帰り。「さらい屋」が、今のこの街では近界民と呼ばれている異界の者たちが、キミをさらっていってしまう前にね。

  • 76二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:21:02

    >>75

    学校の怪談を思い出したわ

    こんな雰囲気のSS好きだなー

  • 77二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:44:06

    >>74

    もしや前スレに増してSSの比率高い?

  • 78二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 00:26:53

    >>77

    多分だけどスレ立てた当初は感想スレの方が別に現行であったから、感想系はなるべくそっちにみんな書こうとしたのが影響してるかも。

    そちらは落ちてしまったのが残念だが、結果的にSSの投稿が継続されてるから良かったのかもしれない。

  • 79二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 03:10:53

    薄暗い群青


    作戦室のオペレーター部屋には蔵内くんが趣味で撮った写真が飾られている。川辺のランドスケープ、紅い椿の花、街角のスナップ、水族館のくらげとどれも美しい写真で、4枚とも上品な木製のフレームに収められている。

    ある日の防衛任務中、一番右に飾られていたくらげの写真が変わってることに気がついた。いつの間に入れ替えたんだろう。それは薄暗い群青色の街を背景に、髪の長い女性の後ろ姿がぽつんと写っている少し寂しげな写真だった。
    次の日も防衛任務で、オペ部屋での仕事が一段落したところで何気に壁に目をやると、あの写真がまた変わっていた。
    薄暗い群青色の街の景色は同じだけど、女性がこちらを向いていた。振り向いた瞬間の一枚なのか髪が顔にかかって表情までは見えないけど、群青に舞う長い髪は漫画やアニメならかなりいい画になるな、なんて思った。でも飾ってはすぐ変える、というのが何となく蔵内くんらしくないなとも思う。組写真というのか連作というのか、そういう彼なりの芸術なんだろうか。
    その次の日はランク戦の作戦会議で、少し早めに作戦室に着いた私は気になってあの写真を見に行った。
    また、変わっていた。
    薄暗い群青色の街の景色はカメラに向かって手を伸ばしている女性の影でほとんど隠れていて、こちらを見つめる彼女の瞳はここから出してと訴えているようだった。上品な木製のフレームがまるで写真の中とこちらの世界とを繋ぐ窓のように見え、薄ら寒さを感じて冷や汗が出てくる。
    「おや、羽矢さん一番乗り?」
    「お疲れさまです」
    王子くんと蔵内くんが来たみたいだ。私は迷わずあの写真について聞いた。
    「ねぇ何であの写真頻繁に変えてるの?あれは誰なの?」
    「写真?」
    蔵内くんは何も変えてないと言うので、もしかして王子くんのいたずらかもという考えが頭をよぎった。私を驚かせようとしているのかも、と。
    「あ、羽矢さん今ぼくのいたずらだと思ったでしょ。ぼくは何もしてないよ」
    「え、でも…」
    そんなに言うならと3人でオペ部屋へ見に行くと、一番右のあの薄暗い群青の写真は水族館のくらげが泳ぐ深いブルーの写真に戻っていた。
    「何も変わってないと思うが…」
    「最近任務続きだったし、きっと疲れてるんだよ。カシオが来るまで少し休んでたら?」
    あの写真は幻だったんだろうか。
    冷や汗が止まらない私は、その後しばらく写真を見るのが怖くなった。

  • 80二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 05:16:03

    >>79

    写真ってホラーの王道のアイテムなのに今まで殆ど出てなかったのが意外。アイテムの使い方が上手くていいですね。

    Part1の181レス目あたりの「招待状」と同じ人かな?王子隊をテーマにしているところや話の展開の仕方が似てるなと思ったので。

  • 81二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 05:33:03

    >>80

    別人です、すみません

    自分では判断できないんですが似ている感強いようなら削除しますが…、百物語というコンセプトだし内容かぶらないほうがいいかなと思うので

  • 82二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 05:37:24

    >>81

    あら、そうだったのですね。王子隊について二篇も書くなんて同隊への愛が強くていいなぁと思ったのです。別に責める気はないのでお気になさらず。

    無用な心配をかけてすみませんでした。


    削除はして欲しくないですね、単純に面白いですし、方向性が共通してる様に見えただけで丸かぶりとかではないので。

    残してもらえるなら嬉しいです。

  • 83二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 11:47:40

    >>81

    登場人物にかぶりあるだけで語り手も内容も違うし全然気にしなくていいと思うよー


    「何か写ってる」じゃなくて「写真そのものが変化する」のはフィルムじゃないデジタルメインの現代でもコワッてなる(フィルム時代は露光の具合で意図的に心霊写真を作れたとか読んだことあるので)

  • 84二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 21:05:41

    >>70

    放課後の狙撃手/半崎の場合


    あんま気にしなくていいんじゃないっすかとは言ったけど、オレ自身はちょっと気にしていた。隊の先輩の喋り方もだが、あの話の「屋上にいた誰か」のことだ。

    その誰かが近界民だったなら、当真さんが寝てる間に直接攻撃すりゃいいのに、それをせず何でわざわざ化ける必要があったのかがわからない。

    だからあの時は興味なさげに言ったけど、「近界民じゃなくて幽霊」が屋上にはいるかもしれないと思っている。

    そういう話はあんま信じる方じゃないけど、第三中学校にモールモッドが出た日、三門市街地のイルガー爆撃に巻き込まれて死んだうちの一人がこの高校の生徒だったから。屋上でよくお昼食べてたもんね、なんてそれらしい噂を聞いたこともある。

    「その霊の噂、オレも聞いたことあるわ」

    放課後の教室で課題の写しあいをしながらオレの話を聞いていた佐鳥が言う。

    「曇ってても「いい天気だな」って話しかけて来るらしいぜ。ていうかこういう話に食いつくの珍しいな」

    「んー、当真さんが言ってたらしいし、うちの先輩も何か気にしてるっぽいし」

    「その当真さんに化けてた奴って、玉狛の子たちに声かけて一緒に本部に行こうとしてたんだろ?」

    「そうそう」

    「それ、基地を探るつもりだったか知らないけど、仮に基地に入れたとして絶対レーダーの敵性反応に引っかかるだろ」

    確かにそうだなと思う。基地のレーダーにかかるなんて初歩的なこと向こうも予測してそうなもんだけど。

    「だからさっき「何でわざわざ化ける必要があったのかわからない」って言ってたけどさ、当真さんに化けてわざとあの子のSEかレーダーにかかることで近界民アピールしたかったんじゃないかと踏んでるねオレは。穂刈さんのことは、隊室でその話してたんならレーダーくぐり抜けて基地に入れたわけないと思うし、誰かに操られてるとかじゃないと思うんだよなー」

    「なるほどな、近界民アピは威嚇的なあれか、ダルいことしてくるな。じゃあやっぱ屋上にいたのは近界民で、うちの先輩の喋り方は天然で、んで生徒の幽霊ってのは単なる噂か」

    「んー、幽霊はいないとも言い切れないかもよ?」

    何か知ってそうな口ぶりだが、つっこんで聞くとダルそうなことになる予感がしたので黙っておく。

    課題を写し終えた佐鳥はバーガークイーン寄ってこーぜ、と言いながらスマートフォンでクーポンをチェックしている。

  • 85二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 01:03:44

  • 86二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 05:07:27

    [怨讐と遺物]

    私は人間が嫌いだ。人間という生き物は非力なくせに狡く厚かましい恥知らずである。
    自然の摂理は生きる為に他の命を奪い糧にすというものだ。しかし人間はそれから大きく外れている。生きる為の糧にするのみならず、自分達の快楽やあくなき欲望の為だけに己以外の生命を殺傷する。仲間であるはずの同じ人間同士の間でもそれは行われるのだ。
    奴等は他の万物を妬むことだけには長けており、輝くものを見付ければ寄って集って奪い合う。その為に如何にして他の生き物を騙し、蹴落とし、踏み躙るか、それに対しては悪知恵の働く生物である。
    私はこんな人間の浅ましさを忌み嫌っているし、他ならぬ私自身も人間であることを嫌厭していた。

    だから私は人間社会から隠遁し静かな野山の中で自給自足の生活を営んでいた。それにも関わらずだ、やはり人間というものはどこまでも強欲で厚顔無恥なのだろうか。
    唾棄すべきこの闖入者どもは皆兵令と称して私を軍の一員に取り立てようとするのだ。私は頑として断るつもりだったが、その場合はこの棲家を押収し私を非国民として逮捕すると連中は通告してきた。

    私は絶望した。どうせ連中のことだ。大人しく従って軍に入ったところで、ここら一帯は開拓され奴等の軍事施設か何かに改造され、動植物は駆逐されるのだろう。
    忌々しい侵略者どもめ!
    しかし軍の一員となるのも御免である。何故、私が奴らの悪辣な略奪の片棒を担がされなければならないのだ。私はこれ以上、私自身を厭忌している存在に貶められるのには耐えられない。

    幸いにして私には類稀なるトリオンと、それを扱うことには少しばかり長けていた。私は自らの命を絶つのと引き換えに黒トリガーへの転生に賭けてみることにした。
    誰が扱おうがどうでも良い。
    奴等が奪ってきたものたちによって奴等が頼りにする一切を塵芥に帰し、自分達の住む世界が所詮は砂上の楼閣に過ぎないということを思い知らせる、私のその願いを叶えてくれるのならば。



    「ハイレイン様、この度は黒トリガーの賞賜おめでとうございます」
    「ありがとう、ミラ。これからも俺の右腕として支えてもらえると嬉しい」
    「身に余る光栄です。しかしあの何人の手に負えなかった『卵の冠』に適合するなんて、流石の才覚と手腕ですね」
    「いや、そうでもないさ。単に……」
    「単に?」

    「単に……似た者同士だったんだろう」

  • 87二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 15:09:51

    ブラックトリガーの人の人格だとオルガノンの全方位殺意が気になるな
    どんな人格してたらあんな絶対殺すマンになるんだ…

  • 88二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 18:38:08

    >>87

    そう、オルガノンの生前の人物への言及コメントを見て着想を得たんですよ。「根拠薄いけど色んな説を唱える」みたいなスレッドで確か見かけたのかな。

    そこで他の黒トリガーにもイメージ膨らませたのが今回のSSですね。 後は黒トリガーになる以上は何らかの強い意志はあるだろうから、どちらかと言うと負の感情のケースの方が多数かなと。

  • 89二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:35:12

    メッセージ(1/2)


    妹が行方不明になって5年が経つ。
    警察に捜索願を出したが見つからず、失踪当時は中学生だったためか家出も疑われた。
    だが4年半前の侵攻で近界という存在を知り、妹は近界民に拐われたのではないかと思い始めた俺は、近界へ接触できる可能性が高いと考えボーダーの入隊試験を受けた。しかしトリオンという戦うための才能が足りず、オペレーターはどうかと勧められたがそちらも適性検査でつまずき、エンジニアをめざすにも学が足りず入隊を断念した。
    何も持たない俺はどうすれば近界の情報に多く接触できるか、ない頭を振り絞って考えた結果、ここ、三門の地元テレビ局で働いている。

    報道志望で入社したが1年目の新人が希望通りの部署にあっさり行けるはずもなく、今はバラエティー班でADをしている。担当は視聴者からの依頼を募って探偵役の芸人が解決に向かうという関西の有名番組のコピーみたいな番組だが、それでもそこそこ視聴率は良いらしく何だかんだと忙しい。
    今日は番組のメールフォーム宛にきた依頼の整理をしなくてはならない。まずはイタズラの類いを弾いて、そこからネタになりそうな依頼を探していく。過去のネタとかぶらないもの、コンプライアンスに抵触しないもの。様々な条件と照らし合わせながらのピックアップは結構大変で、1年近くこの作業をしているがなかなか時間がかかる。
    企画会議まで日数がないので急ピッチで進めていたが、その中のひとつが目に留まった。依頼、というか番組へのファンレターのような内容だ。

    『たのしい番組をありがとうございます、すごく面白くて毎回笑いながら見ています、けいかいな掛け合いをする芸人さんたちが大好きで、てぬきせず解決しようとする姿勢が素敵です、ねむい目をこすりながら夜更かしして見てしまいますが、いえの皆も一緒に笑っています、ばーちゃんもこの番組の大ファンです、にち曜日に、さくらの花を見に行きます、らいしゅうは晴れるそうで、わくわくします、れんきゅうに遊びに行くのも、たのしみにしています。』

    独特な句読点や仮名遣いも気になるが後半はほとんど私信のような内容だし、暖かくなってきたとはいえここらの桜の開花はあと1か月は先だ。いつもならファンレターの方に振り分けて終わりなのだが、この奇妙な文面が気になった俺は依頼者の連絡先メールアドレス記載欄を確認し、そして目を疑った。

  • 90二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:36:00

    メッセージ(2/2)


    妹のメールアドレスだ。
    妹の名前と、妹が好きだったアイドルグループの名前を組み合わせた妙に長ったらしい携帯電話のメールアドレスには見覚えがありすぎた。何だよこれ長ぇよ、いいじゃん好きなんだから。そんな会話をした記憶がよみがえる。妹は携帯電話と一緒に行方不明になったため、いつか電話が繋るかも、メールが返ってくるかもという僅かな希望を託して回線の契約を続けたままなのだが、まさか本人からのメッセージなのか。

    慌ててスマートフォンを取り出す。妹の番号を呼び出し電話をかけてみるが繋がらず、メールは返ってこないがそもそも送信できているのかどうかもわからない。フォームの依頼者連絡先欄に表示されているアドレスはやはりスマートフォンに登録したままの妹のものと同じで、冷静さを失って何をすべきかわからない俺はPC画面に映し出されたままの文をもう一度読み、そして気づき、息が止まりそうになった。

    やはり妹は近界民に拐われたのだ。
    動悸がおさまらない俺は居ても立ってもいられず、急いで友人に電話をした。
    この友人は4つほど年下で、学生時代にバイト先で知り合った。妹の失踪を話す機会があったのだが、その時彼は「俺の妹も拐われてはいないが近界民に狙われている、妹の友人は多分拐われた」と言っていた。独自に門の向こう側の調査もしているらしい彼はボーダーに協力者が居るとも言っていて、俺もなるべく情報を知りたい、と言ったら同じような境遇のよしみでか今でもたまに連絡をくれるのだ。
    しかし電話は留守電になっていた。
    「もしもし突然すまん。俺の妹からメッセージが来たんだ、多分イタズラじゃないと思う」
    メールフォームのこと、連絡くれということを留守電に残したが、しばらくして「少し調べてきます」とだけ書かれたメールが送られてきた。どういうことだと返したが返信はなく、PC画面を見るとあのメッセージは消えてしまっていて、どれだけ探し直しても見つからなかった。


    2か月後、5月の連休が始まる頃に今度はその年下の友人が失踪した。入社2年目になり念願の報道局に異動した俺は取材という名目で近界やボーダーのことを調べまくっているが、妹のことも友人のことも何もわからないままだ。友人からの最後のメールを眺めては、才能もない、何の手掛かりもつかめていない、無力な自分にため息をつく日々を送っている。

  • 91二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:54:32

    たすけてねいばーにさらわれた

  • 92二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 05:51:13

    感想が浮かばなかったのでせめて保守を。

  • 93二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 13:48:11

    ワ読者からすれば麟児さんて今開示されてる情報からみてちょっと怪しい立ち位置に思えるけど
    オッサム千佳以外の友人知人からしたらある日突然行方不明になっちゃったんだもんなぁ、他にも心配してる人いるかもだし
    じゃあ俺も私も門の向こうに調べに、探しに…からの行方不明が連鎖していく可能性があるのも怖いな

  • 94二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 16:41:17

    そういやワ読者は知っていてもワキャラ自体は知らない設定がたくさんあるとTwitterで見かけたが、今回のSSも正にそれが当てはまるな。
    逆に言えば怪談のエッセンスはそう言う部分にこそあって、まだまだ色んな話を書く種はありそうね。

  • 95二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 00:12:47

    怪談よりも怖いのはスレが落ちることだぜ……今晩はSS投稿できそうにないから保守だけ失礼させてもらうんだぜ

  • 96二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 11:27:40
  • 97二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 16:34:47

    >>44

    わかるのが「人殺しの匂い」だったらどうしよう

  • 98二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 22:23:55

    トリック・オア・トリート


    ボーダーA級2位の隊長でも難しい戦いがある。
    [在庫なし]という無慈悲な文字を見てがっくり肩を落とした。通販戦争というのは定時でない職業の身には大変厳しい。
    いつもは興味が沸けば買う程度だが、今回のレゴ限定セットはお気に入りのゲームタイトルとのコラボでぜひとも手に入れたかった。しかしネット先行販売で惨敗した俺には、発売日に店頭へ行くという道しか残っていないのだった。

    非番で麻雀のお誘いもないし、行くか。
    結局諦めきれず発売日にレゴストアが入っているショッピングモールへ向かう。
    三門の街はオレンジ一色で、ハロウィンが近いことを思い出す。モール内もご多分に漏れずで、月末に近い休日のせいか開店直後なのに仮装した子どもたちで溢れていた。何かイベントをしているのかもしれない。

    お目当てはあっさり手に入れられて拍子抜けした。ネットで早々に売り切れたから争奪戦を覚悟したが、店頭の方が在庫に余裕があるのか。ついでにTシャツの替え買っとくかと服売り場の方へ向いた瞬間、カーゴパンツのポケットを引っぱられた。
    「トリックオアトリート!」
    魔女の仮装をした女の子がつばの大きな三角帽を目深にかぶって立っていた。周りに親がいる様子はない。
    「トリックオアトリート!」
    親でもない三十路近いロン毛の男が女の子に何かあげる様子はヘタしたら通報されそうだと思ったが、重ねてお菓子をねだってくるから困った。ポケットを探っても出てくるのはすき焼き屋のレシートとかヘアゴムの予備とか役に立たないものばかりだ。
    「ごめん、おじさん何も持ってないんだ」
    女の子は無言でうなずいたが、その手に握られていた紙切れに見覚えがあった。
    4年くらい前の限定コラボレゴのチラシだ。
    当時流行っていた戦隊少女コラボのチラシは友人から「娘にレゴねだられてるけど、どれがどれだか」と相談された時に見たやつだ。その後第一次侵攻があったから、余計に覚えている。
    親がいないか周りを見ながら何でそんな古いもん、と思いもう一度視線を足元に戻すと、女の子はいなくなっていた。迷子になっていなければいいが。

    「隊長~何してたんだよ、背中」
    基地の隊室に戻ると珍しく起きていた当真がからから笑いながら言う。背中に手をやるとあの古いチラシが貼りついていた。お菓子をあげられなかった俺への、あの子なりのいたずらだったのだろうか。

  • 99二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 09:16:35

    スレ保守~~

  • 100二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 17:26:40

    >>98

    気づいて欲しかったんだろうか、ちょっとほろ苦くて切ない

  • 101二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 01:02:40

  • 102二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 11:32:40

    片桐隊のSSも書きたいけど読み切り読めてないから書けねえ…

  • 103二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 16:44:37

    おしゃべりしよう


    「リンチャン、オハヨウ」
    オウムやインコはしゃべるのもいればしゃべらないのもいるけど、うちのオウムは2羽のうち1羽だけしゃべる。といっても私の名前とオハヨウだけなんだけど。もっとしゃべってほしいとかはあんま思ってなくて、言葉を教えたりとか全然してないからかもしれない。
    「おはよ。っていうかただいま」
    オハヨウしかしゃべらないから、昼でも夜でもオハヨウだ。そういうとこもかわいいんだけど。
    「リンチャン、オハナ」
    「ん?」
    オハヨウじゃないことをしゃべったかと思ったけど、気のせいかな。美大の入試に向けての課題をやんなきゃいけなかった私は、特に気にせずに自分の部屋に戻った。

    「リンチャン、カエデ」
    「?ただいま」
    次の日、家に帰ったタイミングでまたオハヨウじゃない言葉をしゃべった気がした。オカエリ?って聞こえた気がしたけど、弟が何か新しい言葉を教えてるのかもしれない。なんでいまさらとは思ったけど、オウムも言葉を吸収しやすい時期とかあるのかもなんて思った。

    「リンチャン、ミツケテ」
    その次の日もまたオハヨウじゃない言葉をしゃべった。今度ははっきり聞こえたけど、見つけてって何だろう。弟も、ついでに父も母も、特に何も教えてないしオハヨウ以外聞いたことないって言ってたから、テレビの音でも聞いて覚えちゃったのかな。
    そう思ってテレビをつけたら、番組と番組の間にやってるニュースが映った。

    『本日未明、三門市早沼で身元不明の遺体が発見されました。警察の発表によりますと遺体は早沼1丁目の生花店近くで発見されたとのことです』
    画面は[通報をしたフラワーショップ楓の店員]というテロップと一緒に第一発見者のインタビューが流れていた。
    『[店舗の裏の、道路からは見えにくい建物の隙間に隠すように置かれていたんです。異臭がして何かおかしいと思って、それで通報したんですけど]─鑑識の発表によりますと死後4日ほどが経過しており、胸部を激しく損傷していたことからおそらくトリオン器官が──』


    「リンチャン、オハヨウ」
    オウムは2羽とも特に変わった様子はなくって、その後はまたオハヨウしかしゃべらなくなった。

  • 104二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:38:14

    >>103

    加賀美自体が面白いキャラだけどオウムに着目する発想がなかった。ギミックとして上手く活用されていて面白い。

  • 105二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:11:23

    狙撃手用訓練施設

    ボーダー本部の中で一番大きいその部屋は、基地の1階を10フロア繋げた構造となっている。
    主目的である狙撃手の各種合同訓練以外にも、個別のトレーニングルームを使用出来ないC級隊員や距離感覚を鈍らせたくない正隊員などの自主練習に利用されており、基本的には常に誰かしらがいる部屋となっている。
    そんな狙撃手用訓練施設だが、利用時間は7時から22時までと決められている。利用する隊員の大半が中高生であり、あまり夜遅くまで開放しておくのは教育的な観点からよろしくない、というのが表向きの理由だ。
    「表向きの理由?ってことは本当は別の理由があるわけ?」
    「ぶっちゃけ、"出る"みたいよ」
    曰く、姿は見えないが気配を感じた
    曰く、スコープを覗いた先に人影が見えた
    曰く、どこからともなく笑い声が聞こえた
    そもそも本部自体が第一次侵攻の跡地に建てられたものであり、その1階部分とはすなわち被害者の家々があったところだ。"そういったもの"が集まってくるのも納得だろう。
    そんな四方山話をしていると背中から声がかかった。
    「おいお前ら、もう閉めるぞ」
    「えっ?もうそんな時間ですか?ちょっとおまけしてもらえません?あと10分だけでいいんで」
    「佐鳥に同じく」
    「ダメだ。そもそも既に時間過ぎてんだよ。それに半崎はこの後防衛任務だろうが」
    「ちぇっ、分かりましたよ。荒船さんって生徒指導の先生みたいっすね」
    「ははは」
    「やかましい。とっとと片付けろ」

    仕方がない、今日のところはこれまでのようだ。広報の仕事も無いしトノの部屋にでも行こうかな。
    ところでさっきの荒船さんと半崎の会話で笑ったのは誰だろうか?

  • 106二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 07:34:58

    >>105

    最後にゾクッとした

    文章が上手い

  • 107二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 17:06:58

    ほしゅOK

  • 108二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 20:57:37

    風と歌


    「明日って第一次侵攻あった日付じゃん?」
    「あー、そうだな」
    「毎年その日、風に乗って女の歌声が聞こえてくるって話知ってる?」
    朝の歩道で前を往く高校生2人は母校の制服を着ていて、その会話に思わず聞き耳を立ててしまった。身に覚えのある話だったから。

    自分でいうのもなんだが私は売れっ子歌手だ。顔を出さず覆面で活動しているからか「機械音声説」や「覆面写真と声は別人説」が流れてたりするけど。運も良かったが、ネットに上げていた動画を見て声をかけてくれた今の事務所の尽力も多分にある。三門出身の私に「公表して先入観を持たれない方が良いよ、いっそ全て隠してやってみたら」と助言をくれ、売り出し方を親身に考えてくれたのだ。

    自身最大のヒット曲は高校時代にできたもので、侵攻で失った大好きな人と一緒に作った最初で最後の曲でもあった。
    軽音部の部室、川沿いの土手、休日の公園。色んな所で歌っては、いつか売れたらあそこでライブだ、あの番組に出たい、なんてタラレバばかり言っていた。そんな夢見る少年少女時代に作った恋と未来に悩む曲は発表にあたり大幅なアレンジが加えられたが、侵攻のあった年がちょうど高校卒業の年だったからと言い訳して三門から都心へ出た私の想像をはるかに超えてたくさんの人が聞いてくれた。お葬式にもお墓参りにも行けず彼の死と向き合えないままの弱い私が歌う、恋と未来に悩む曲。

    「風?慰霊式典の音じゃねーの?」
    「それが山の方から途切れ途切れ聞こえてくるんだってよ。亡霊が歌ってて聴いたら呪われるとか」
    高校生たちの会話は続くが、そんな噂になっているとは思わなかった。

    年に一度、絶対に仕事を入れない2日間の秘密。
    誰にも内緒で三門に帰り、思い出の場所が見渡せる山で一人、あの曲を歌っている。アレンジ前のパターンで、お墓参りに行けない言い訳をするように。バイト代貯めてやっと買ったんだと言っていたピックガードにハチドリの絵が描かれている彼のギターの音が、風に乗って聞こえてくる気がするのだ。

    「シュウジ!おはよー」
    彼と同じ名前が呼ばれて動揺し、思わず立ち止まる。カチューシャの方の高校生が友人を見つけて声をかけたようだった。
    もし叶うなら、もう一度だけ一緒に。
    灼けつくような思い出を胸の裡で焦がしたまま毎年風と一緒に歌い続けている覆面歌手の私は、まさに三門の亡霊なのかもしれない。

  • 109二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 00:17:20

  • 110二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 10:57:24

    早め保守

  • 111二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 22:00:38

    重ね保守

  • 112二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 07:55:36

    ほしゅ

  • 113二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 18:06:26

    今日の献立


    きれいに配膳された夕食の汁椀に手を伸ばしながら、娘が勤務先の中学校の話を始めた。今日は油揚げとわかめのみそ汁だ。
    「今日うちのクラスのボーダー隊員の子がね、」
    「ん?おまえのクラス、ボーダーの子がいるのか」
    「やだ、ついこないだも話したじゃない」
    娘は私に話したと言うが覚えがない。年を取ってきていよいよ物忘れをするようになってきたのか、それとも。

    ボーダーの人事部部長としてさまざまな子に会ってきた。三門の防衛に確固たる信念を持っている子、家族が近界民に殺されてしまった子、友人知人に誘われて受験に来た子。私は入隊動機にあれこれ言う立場ではないし、むしろそういった感情的な部分はなるべく置いておいてその子の特性や才能がボーダーという組織で活きるかどうかに重点を置いて面接をし、若者の未来になるべくプラスになるよう願って適合しそうな道を提案している。
    そうやって入隊してきた子たちのなかには引っ越しや高校卒業、大学受験なんかを機に除隊する子もいるが、皆なるべく除隊の際に記憶封印措置を受けないようにとも願っている。
    自分が面接をして入隊してきた子たちだからというのもあるが、何かと秘密の多い組織の兵士のように見える彼ら彼女らも皆普通の若者たちだ。青春時代の記憶の一部が失われてしまうのは年長者としては哀しく感じてしまうから、できればボーダーで育んだ友情や思い出は消えないでいてほしいと思ってしまう。

    だが一方で、私自身はもしかしたらもうすでに何かしらの記憶を封印されている可能性もあるな、とも思う。さっきのように会話が噛み合わないことが稀にあるからだ。上層部が覚えていない方が良いと判断した受験者や秘密裏の入隊者がいるのかもしれないし、人材管理の面でも伏せておきたいことがあるのかもしれない。
    「お父さん物忘れ激しくなってきちゃったんじゃない?昨日の晩ごはんのみそ汁の具、覚えてる?」
    「覚えてるよ、豆腐とねぎ。おかずはさわらの塩焼きとなすの煮びたし。まだまだ呆ける歳じゃないよ」
    「そう?ならいいけど」
    ボーダーという秘密と謎の塊のような組織で働いている身としては、昨日の献立や家族のことを忘れていないのならばそれはじゅうぶん幸せなことなのかもしれない。みそ汁の油揚げをつまみながら、そんなことを思った。

  • 114二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 01:20:32

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 01:21:02

  • 116二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 12:52:30

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 21:10:39

    早めに保守

  • 118二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 22:04:40

    失踪百景


    “宙(ソラ)への祈りが救いを与えてくれます”
    クソほどうさんくさい文句が書かれたリーフレットを食卓のど真ん中に置いて、母が力説する。
    「お兄ちゃんが戻ってくるようお祈りしなきゃなの。あんたも来なさいね」

    成績優秀で品行方正、そんな真面目な兄貴が突然帰って来なくなった。友人知人に心当たりはないか聞きまくったし警察にも届けた。できる手は尽くしたけどもしかしたら近界に連れ去られたのかもしれない。そうだったらもう自分達でどうこうできる問題じゃない、ボーダーが近界への遠征を計画しているとつい先日ニュースで見たが、それに賭けるしかない。
    兄貴がいなくなって一週間、母がやっと落ち着きを取り戻してきたと思っていたのだが。
    「ボーダーの言うこと全てが本当かどうかわからないだろ?」
    「そうよ、お兄ちゃんのために何かしてあげられるのは私たち家族しかいないの」
    「お前も祈りに行くんだ」
    どこで勧誘されたか知らないが、気づけば両親揃って怪しげな宗教にはまっていた。あの手の奴らは心が弱っている時につけ込んでくると聞いたことはあったが、まさか自分の身に降りかかって来るとは。俺の言うことには聞く耳を持たず「祈りに行こう」の一点張りだ。
    安らげるはずの家で精神をすり減らすことに疲れ始めていた頃、今度は両親が家に帰って来なくなった。その宗教とやらの施設(そんなもんがあるかどうか知らないが)に入り浸っているんだろうか。行方を案じる気持ちとあの濁った両親の目をもう見なくていいという安心がない交ぜになって、でかいため息が出たときだった。
    「…ただいま」
    「兄貴?!今までどこに…」
    「すまん…受験のことで父さん母さんからのプレッシャーきつくて…先輩んち行ってたんだ。連絡しなくて悪かった…」
    「いや…俺も兄貴がそんな悩んでると思ってなかったから…」
    「…本当にすまん…父さんと母さんは?」



    「先日の集団失踪を装った近界民による連れ去りについてだが」
    「まさか宗教を隠れ蓑にしていたとは…こちらの世界に協力者がいたのかもしれんな」
    「勘弁してほしいね」
    「宗教団体とはいえ一般市民だ、ボーダー側から釘をさすような行動も取れなかったでしょう」
    「ボーダーは失踪者家族に寄り添う団体に圧力をかけている、などと言われたらたまったものじゃないからねえ」
    「しかし痛いところを突かれた。何か策を講じなければ」

  • 119二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 00:57:07

    ドッペルゲンガー 1/2

    生駒「この前俺にそっくりな人を見かけたって話したっけ?」
    水上「初耳っすわ」
    細井「それってドッペルゲンガーってやつやないの?」
    生駒「ドッペルゲンガー?」
    隠岐「自分と全く同じ姿をした人間でしたっけ?確か見かけたら数日後に死ぬとかなんとか...」
    南沢「イコさん死んじゃうんすか!?」
    生駒「えっ?俺死んでしまうん?まだモテてないんやけど」
    水上「時が来たらモテるみたいな言い方やめません?」
    南沢「何か対策とかあるんですかね?」
    隠岐「そもそも何でドッペルゲンガー見かけたら死んでしまうんやろ?」
    細井「本体と入れ替わるためとか言われとるな」
    水上「せやったら皆でイコさんのカッコしたらええんちゃいます?トリオン体って見た目いじれるんすよね?」
    生駒「それや!マリオちゃん頼むわ!」
    細井「今から!?気ぃ早いな!まあええわ。ちょっと待っとき」

  • 120二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 00:58:04

    ドッペルゲンガー 2/2

    ~設定ON~

    生駒1「うぉっ!ほんまにみんな俺やんか」
    生駒2「この絵面ってドッペルゲンガーよりよっぽどホラーやない?」
    生駒3「身体の感覚違い過ぎてめっちゃ動きにくいんやけど」
    生駒4「オレ生駒旋空やってみたいっす!」
    生駒5「ええな。みんなでやってみよか?」
    生駒3「いやいや、あれはイコさんのカッコすればできるような技ちゃうやろ」
    生駒2「早々に主旨から脱線しとるやんか」
    生駒1「待って。もしかして今ならイケメン狙撃手のイコさんが見られるってこと?ヤバない?」
    生駒4「見た目イコさんだからイケメンとかじゃなくないっすか?」
    生駒5「ちょっ!やめぇやその言い方!イコさん見た目より繊細なんやから」
    生駒3「近年稀にみるカオスな光景やな。頭こんがらがってくるわ」

    ~設定OFF~

    生駒「楽しかったな。今度のランク戦、みんなあのカッコでいかん?」
    南沢「それいいっすね!」
    水上「いやあかんやろ。全然普段の動きできへんぞ。喜ぶの王子だけや」
    隠岐「しかしマリオまでイコさんのカッコしたのは意外やったわ」
    細井「何言うてるん?ウチがそんなんやるわけないやん」
    隠岐「えっ?だってさっき5人おったやんか?」
    細井「えっ?トリオン体の反応4つしかなかったけど?」
    「「「「「えっ?」」」」」

  • 121二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 09:23:32

    一人暮らし


    おれは中学時代は実家から本部へ通ってたんだけど、高校からは時短のために本部に部屋をもらって一人暮らししてる。一人の時間は好きだから寂しさを感じることもないし食堂もあるから偏った食生活で不健康に、なんてことも今のところない。そんな悠々自適な一人暮らしは、もしかしたらおれ一人じゃないのかもしれないんだけど。

    最初にアレ?って思ったのはスプーンが一本増えてたこと。
    部屋で誰かと食事することがないから食器やカトラリー類は自分の分だけしか置いてないはずなんだけど、ある日見覚えのないスプーンがあることに気づいた。誰かに借りた記憶もないし食堂のやつとも違う。
    その次に気づいたのは冷蔵庫に入れてたほうじ茶。
    ティーパックで煮出して100均のドリンクポットに入れてるんだけど、傷むのが早いから結構気にして残量を確認してる。で、「そろそろ新しく作っとくか」って思って冷蔵庫を開けるとまだ余裕で残ってたりして、まあこれはおれの思い違いなのかもしれないけど。
    それからヘアワックス。
    これももうすぐなくなりそうだから買わなきゃ、そう思って洗面所に確認に行くと買い置きがあったり。
    「そりゃ自分でも覚えてないうちに買ったり作ってたりしてんじゃねえか?」
    昼休みにおにぎり食べながら一人暮らしいいよなって小荒井が言ったから、こういうことあんだよね、って話してたんだけど。
    「やっぱそうだよなぁ」
    「そうじゃなかったらなんか怖いじゃん」
    「幽霊、とか?」
    「まあそれもありそうだけどさ、監視されてる、とか…」
    「えっ?さすがに隊員のプライベートは確保してくれてるでしょ」
    「いや…ストーカー、とかの可能性もあるかもよ?」
    全然考えたことなかったから、そう言われてちょっとビクっとなる。
    「おれが?」
    「なんかそういうのって思ってもみない理由から性別関係なく始まったりするって言うし」
    「ありゃ、今までそんなの考えたことなかったからめっちゃ怖くなってきたじゃん…」
    マジでストーカーなら幽霊のほうがマシだよ、なんて考えてしまった。死んでる奴より生きてる奴になんかされてる方がよっぽど怖い。
    とりあえず今日帰って、今回は勘違いしないようにと目立たなく付けたドリンクポットの印よりほうじ茶の量が増えてたら、本部の人に相談しようか。今度泊まりになったとき部屋行かせてくれよ、と小荒井が言ったところで予鈴が鳴った。

  • 122二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 19:27:18

    早め保守

  • 123二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 00:16:41

  • 124二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 12:07:40

    最近は保守画像にSSの登場人物のを使うのがトレンドなのか?

  • 125二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:21:24

    ※少し本誌ネタあるので問題あれば削除してください



    明け方、本部にて

    スカウト旅から帰って来て少し落ちついたかなと思ったところで遠征選抜試験が始まった。今は閉鎖環境試験を評価する側ではあるけれど防衛任務と並行となるとなかなかハードで、今も夜の防衛任務を終え採点ブースに直行しているところだ。試験二日目が終わって三日目の明け方、まだ薄暗い本部内は静かで人の気配はない。
    隊員皆それぞれ調達した軽食や飲み物を片手にメディア対策室を通り過ぎようとした時、視線を感じて足を止めた。こんな早朝にもう誰かいるのかと視線を感じた対策室の入口に目をやって、自分の勘違いに笑いそうになってしまった。そういえばあそこには、嵐山さんの等身大人形が飾られていたんだった。
    「おーい、早くー」
    雪丸がサンドイッチの入ったビニール袋の音をがさがさ立てながら手をあげて急かす。コーヒーでも飲んで頭をしゃきっとさせてから採点に臨んだほうがいいかもしれない。
    「おつかれ」
    「うぃーす」
    「おつかれさーん」
    採点ブースでは防衛任務外だった面々がそれぞれ二日目の感想なんかを言い合っている。
    「おつかれ。防衛任務から直行か?」
    先にコーヒーを淹れていた奈良坂が労いの声をかけてくれる。
    「いやーもうハードよ。さっきメディア対策室の前で嵐山さんの等身大人形を誰かいるって勘違いした程度には疲れてるのかも。だから俺もコーヒーでも飲んで…」
    「ん…?」
    「ん?」
    「…あの人形、確か昨日夕方頃から一時撤去されてるはず」
    「え?」
    「髪の部分が破損したから直すとか何とかで、昨日ちょうど運び出してるところに遭遇したから…」
    トリオン体だし目の不調で見間違えたということはないはずなんだが、嫌な想像が頭をよぎる。
    「…そ、そうか、ないものが見えるって勘違いしたくらい疲れてるのか、まいったな」
    とりあえず今は疲労のせいにしておこう。もしかしたら破損が直って夜のうちに戻ってきてたのかもしれないし。
    そう思ってやり過ごしたがやはり気になって、昼になって食堂へ向かう途中メディア対策室の前を通るときにちらっと確認してみた。そこにはまだ人形は戻ってきてなくて、「一時撤去中」の札が立てられていただけだった。

  • 126二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 08:20:53

    ほしゅ

  • 127二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 08:55:08

    >>75から>>125までの話


    79.いってはいけない

    80.薄暗い群青

    81.放課後の狙撃手/半崎の場合

    82.[怨讐と遺物]

    83.メッセージ

    84.トリック・オア・トリート

    85.おしゃべりしよう

    86.狙撃手用訓練施設

    87.風と歌

    88.今日の献立

    89.失踪百景

    90.ドッペルゲンガー

    91.一人暮らし

    92.明け方、本部にて


    あと8…

  • 128二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 17:46:45

    エチュード Op.10-3


    口どけがなめらかなタイプやパリっとカラメリゼしたタイプ。ひとくちにプリンと言っても様々なタイプがあって一番は決められないけれど、最近のお気に入りはしっかり固めでほろ苦いカラメルがたっぷりの、昔ながらの喫茶店のプリンだ。
    偶然見つけたこの喫茶店は店主の好みなのかBGMはずっとショパンが流れていて、美しいピアノが落ち着いた店の雰囲気と合っていて心地良い。今はノクターンの2番が流れていて、お客は私の他にはよく見かける常連さんらしき紺のシャツを着た口髭のご老人だけだ。
    「すみません、待ち合わせ相手が来てから注文してもいいですか?」
    「構いませんよ。いつもお越しいただきありがとうございます」
    店主が水の入ったグラスを置きながらにこやかに続ける。
    「今、新メニュー予定の紅茶を試飲していただいているのですが、お待ちの間にでも」
    そう言って小さなカップに注がれた紅茶を出してくれた。
    「ありがとうございます」
    カップを持ち上げただけでとても良い香りが鼻を掠める。
    「…良い香りでとても美味しいです。でも、あの…他の方にも飲んでいただいてみた方が…私、紅茶にあまり詳しくないので…」
    美味しいということをうまく伝えられているか自信がなく、不安になってしまった。
    「私よりあの窓際の奥の席の方とかにご感想いただいた方が…よくお見かけするし常連さんですよね」
    視線を向けながら言うのは憚られたので席の方を振り返らず言ったが、店主は少し困惑した様子だ。
    「…すみません、他のお客様を観察してるみたいな言い方してしまって…」
    「…その人、白髪の口髭で紺色のシャツ着てます?」
    「え?そうで…」
    確かめるように言うので思わず振り返って窓際の奥の席を見ると、ご老人はいなくなっていた。BGMはエチュードの3番に変わっている。
    「あれ、いない…」
    「…そうですか…変なこと言うようですがそれ、きっと私の父です。あの侵攻で亡くなったんですが…あの席から店を眺めるのが好きで。プリン、父のレシピなんです。私がちゃんとやってるか見に来てるのかな」
    お化け屋敷が大の苦手な私が怖いと思わなかったのは、店主の柔らかい声と少し寂しそうな表情のせいだろうか。
    「…きっと、そうだと思います」
    「文香、おまたせ~」
    「いらっしゃいませ」
    少し緩んだ空気の店内に、ショパンのエチュードは静かに流れ続けている。

  • 129二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 23:50:17

    エチュード第3番(別れの曲)、いい曲だよね…

  • 130二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 04:10:06

    ほしゅ

  • 131二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 14:58:04

  • 132二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 21:08:27

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 00:43:00

    >>121

    本部の部屋でストーカー…ってことはボーダーの誰かがってことか?

  • 134二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 07:26:00

    >>133

    霊的なものかストーカーなのかわからない、という体で書いた

    霊的なものが居そうな土地ではあるし、どこからどこまで誰が監視してるかわからない組織だなとも思ったので

  • 135二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 17:16:28

    祝福


    同じ組織に所属していて同い年の同じ学校の同じクラスで同じ誕生日なんだと知ったクラスメイトたちは「マジ?」「すごい偶然だね!」「おめでとー」と口々に祝ってくれ、手持ちの菓子なんかをくれるやつもいる。
    「鈴鳴ではパーティーか、今日は」
    「ああ多分な。太一が朝からソワソワしてた」
    昼休みの穂刈とオレの机は食べきりサイズのチョコやクッキーや飴やグミで溢れそうだ。
    「モテモテやんお二人さん、おめでとう」
    「これ、次に店来たとき使え」
    そう言いながら水上は自販機で買ってきたのか菓子が山積みの机にパックジュースを追加で置いていき、カゲはいつもの調子でお好み焼きの割引券をくれた。

    お好み焼きは今度支部の皆で食べに行こうか、学校でありがたくもらったものは一人では食べきれないから皆で分けようか。そんなことを考えながら支部に帰り共有スペースで鞄を開けていると、ドアの向こうからパン、と乾いたクラッカーの音がした。朝からソワソワしていた太一がフライングしたんだろうかと身構えてドアの方を振り返ったがしんと静かなままで、しばらくしてまたパン、パンと続けて音が鳴った。練習でもしているんだろうか?それにしては丸聞こえなんだが。
    「鋼くん、帰ってたの」
    鞄の中の菓子を出してお土産やお裾分けを置いておく所に入れ整理し終えたころ、ドアが開いて今が顔を覗かせていた。
    「もうすぐ先輩と太一が帰って来るから、夕御飯楽しみにしててね」
    「…太一、まだ帰って来てなかったのか」
    「予約してたケーキ受け取りに行ってきますってはりきっちゃって…先輩が『心配だからついていくよ、今ちゃんはこっちで準備してて』って」
    「…なるほど」
    じゃあさっき鳴っていたクラッカーだと思っていた音は何だったんだろう。
    「…どうしたの?」
    「いや、何でもない」
    「あ、鋼さん帰って来てる!」
    「太一、足元気をつけて」
    ドアの向こうから来馬先輩と太一の声が聞こえる。

  • 136二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 19:14:32

    >>135

    …ラップ音?

    ともあれ誕生日おめでとう村上ポカリ

  • 137二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 01:01:45

  • 138二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 11:33:34

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 19:07:37

    あと6…

  • 140二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 23:47:45

    バーガークイーン三門本店


    「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ」
    トレイに盛られたハンバーガーとポテトの山を、こぼさないようカウンターに置く。
    「うぉ、でかい!」
    「気をつけて持てよ」
    「さっきの話の続きだけどよ、美術室に出るっていう幽霊の噂」
    「それって近界民なんじゃねえの?」
    クレイジーバーガーをオーダーしてシェアするのであろう高校生の4人組は皆食べ盛りといった風貌で、切り分け用のフォークとナイフをトレイに乗せながら2階のイートイン席へ上がって行く。自分も少し前まではあの制服に身を包んでいたというのに懐かしさを感じてしまう。

    口裂け女、小さいおじさん、トイレの花子さん。古くからある怪談や都市伝説の数々だが、ここ三門では第一次大規模侵攻後は近界民の仕業だったのではと結論付けられ急速にその手の噂話はされなくなったように思う。異星人という存在は、それほどのインパクトがあったのだ。身近な家族や友人が被害に遭った者も多いから、さっきの彼らのようにその手の噂話があがっても「近界民なのでは?」という話に収束することが多いのだろう。
    「お待たせしました、次でお待ちのお客様」
    それでも怪異や幽霊はいると思う。なぜなら他でもないオレ自身がそういうものにたまに遭遇してしまうから。
    「いらっしゃいま…」
    客と思って声をかけてしまった今目の前にいる男も、オーダーもせずただ立って頭上のメニューパネルをじっと見つめているだけだ。目を凝らすと輪郭がざらついて見える。特に何かを訴えかけるようでもなく、店内に異変が起こるわけでもないのでこちらもアクションのしようがない。こういう光景を見慣れてしまった「ただ見えるだけ」のいちアルバイトでしかないオレは、きっとこの人は生前からここに通っていたのかな、とか、もしかしたら自分で死んだことに気づいていないままで新商品のチェックに来てるのかな等とのんきに思うしかないのだが。
    「んー今日は何しよっかな」
    「期間限定のやつ始まってるじゃん」
    「いらっしゃいませ」
    店の壁に飾ってあるサインの主と、同じ広報部隊の子が表のポスターを見ながら入店して来た。男はまだ頭上のメニューをじっと見つめている。

  • 141二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 06:22:20

    「輪郭がざらついて見える」っていい表現だなー

  • 142二次元好きの匿名さん22/06/17(金) 17:24:20

  • 143二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 00:18:54

    嫌いな季節

    夏は嫌いだ。
    うだるような暑さが嫌いだ。開放的な気分になれる奴らが信じられない。
    夏は嫌いだ。
    夏休みのせいでどこに行っても人だかり。騒々しいことこの上ない。
    夏は嫌いだ。
    旬だから、というだけでトマトやピーマンが食卓に上がる。あんなのは人が食べるものじゃない。
    夏は嫌いだ。
    8月のこの時期は特に嫌いだ。
    あちらこちらで見かけるやつらは本当に嫌いだ。
    この聴覚をもってしてもやつらの声は聴こえない。
    やつらの足音も聴こえない。
    心臓の音も、聴こえない。
    突然、何の予兆もなく現れて、何をするでもなくいなくなる。
    やつらを見た時に聴こえるのは、普段より大きい自分の鼓動だけ。

    だから、夏は嫌いだ。

  • 144二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 09:50:40

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 09:56:57

    このレスは削除されています

  • 146二次元好きの匿名さん22/06/18(土) 20:51:26

  • 147二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 01:03:57

  • 148二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 11:04:07

    もうちょいなので保守

  • 149二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 15:54:28

    玄界調査報告書


    玄界のトリオン技術については未知の部分もあるが、ミカドという土地の兵士が常駐している区域内に門が誘導されるシステムを持っていることは確実であり、玄界人の捕獲のためにはこの区域の外に出なければならないためトリオン兵の適切な運用および効率的な作戦の立案が必要であると思われる。

    上記の誘導される区域内に兵士以外の玄界人は生活していないようであるが、以下の場所には注意が必要であると思われるので詳細を記載する。

    ジンジャという神が居るらしい建物の跡地:
    玄界人のいう神というのは我々の世界での神とは異なる意味・存在のようで、ジンジャは玄界人にとっては神に対する感謝や願いを託す場であるようだ。
    調査員によるとこのジンジャにはしばしば幻影が現れるということである。
    当初目撃した調査員は玄界人だと思い捕獲を試みたということだが、すり抜け、または消える等してその実体に触れることが不可能であったということから幻影であると判断。トリオン反応がないため、トリガーの性質や機能によるまやかし、目眩ましの可能性も低いと思われる。また、人の形以外にも動物の形をした幻影が現れるといった事例も報告されている。
    神にまつわる場所で出現することから玄界の神もしくはマザートリガーに関連する現象かと推測されたが、このジンジャ以外にもビョウイン、ガッコウ、エキといった大きめの建物跡地、全壊および更地になった住宅跡地にも前述の人型の幻影が出現したという報告もあるため現状ではまだ結論には達していない。
    人型の幻影は老人、若者、子供など様々であり、また攻撃してくるといった事例はないが激しい憎悪を持ったような目でこちらを見ているといった様子が多いようなので、用心するに越したことはないと思われる。

    この幻影が発生する原因、および玄界人の兵士を束ねる組織やミカドという土地と何らかの関係があるのかどうかは未だ不明であるため、引き続き調査を行うこととする。

    以上

  • 150二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:32:42

    「幽霊」という概念がない(でも霊感がある近界民はいる)というのは面白いな
    どういう存在か知ったところで、実害がなければ何とも思わないかな?
    呪い殺せるくらいの力を持った幽霊がいたらどうなるのかとか気になるね

  • 151二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 01:20:31

    保守

  • 152二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 05:21:21

    あと3かな? 保守します

  • 153二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 15:06:14

  • 154二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 22:31:42

    早めだけどほしゅ

  • 155二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 23:34:08

    あなたの怖いものは何ですか? その1

    カメラ目線の青年
    「そらあれや、渾身のネタでスベった時やろ。あの空気めっちゃ怖ない?」
    赤い服を着た少女
    「あたしに怖いものなんて無いわ!」
    ヒゲを生やした青年
    「単位を落とした時の忍田さんかな~」
    メガネをかけた少年
    「えっと・・・同級生に見下されることですかね・・・」
    ふくよかな少年
    「知り合いのオペレーターが怖いんですよ。この間も怒られちゃいました」
    半袖の男性
    「女子高生。特にうちのオペレーター」
    糸目の青年
    「炒飯、ですかね。怖さと好奇心が半々ってところですけど」
    ボサボサ髪の少年
    「なんでテメェにそんなこと教えなきゃなんねーんだよ」
    防止をかぶった少年
    「犬ですね。後は水」
    おかっぱの少女
    「後輩が物を壊すことかしら?ケガしないか心配でならないわ」
    メガネをかけた少年
    「好きな人が振り向いてくれn、いや、何でもあるません」
    猫背の少女
    「だ、男性が・・・にが、て、です・・・」
    儚げな少女
    「この体が動かせなくなることです。ボーダーの技術には感謝しかありません」

  • 156二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 23:35:02

    あなたの怖いものは何ですか? その2

    メガネをかけた少年
    「自分が"そうするべき"と思ったことから逃げてしまうこと、ですかね・・・」
    手袋をした少女
    「友人を失うことです」
    ポニーテールの女性
    「仲間を失うことね」
    爽やかな青年
    「家族を失うことです」
    犬に乗った少年
    「こきょうがあるのにかえれないのはいやだな」
    白髪の少年
    「"こっち"に来てからは毎日たのしいし、今はとくに無いかな。ところであんただれ?へぇ・・・なんでウソつくの?」
    ぼんち揚を持った青年
    「色々あるけど今はこの情報が"お宅の国"に流れることかな。ここで対処しないと被害が拡大するっておれのサイドエフェクトが言ってるんでね。悪いけどデータは回収させてもらうよ」

    「ハイレイン様、玄界に先行派遣していた調査員からの連絡が途切れました」
    「そうか・・・調査はラッドを使ったプランに切り替える。準備を進めろ」

  • 157二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 02:32:28

    When you wish upon a star


    梅雨の合間の雲のない6月の夜。うさぎ座とつるぎ座の間あたりに流星群が観測されることはよく知られていて、それは三門の街からもよく見える。
    流れ星に3度願えば叶う、そう言って街の光が少ない高台に流星群を見に行ったときのことを思い出す。梅雨の合間の夜はまだほんの少し肌寒くて、一応羽織っておいたらとカーディガンを肩にかけた途端に流れ星が見えた。たしか「クレープいっぱい食べたい」とか、そんな無邪気なお願い事をしていたと思う。はるか昔の記憶だ。
    第一次近界民侵攻が起こったあと、あの流星群は近界の星が近づいてきていた証左だったのではという憶測が飛び交って、ロマンチックな天体観測は一躍オカルトや陰謀論のような扱いになってしまったようだった。結局のところそれは天文学者によって否定されたようだが、不確かな何かに原因や因果を求めてしまうほど三門の人々の心の傷になった出来事だったのだなと思った。

    今日は昼間に孫娘が来た。ボーダーという防衛組織に入ろうと思ってるんだ、という報告だった。
    「何ができるか考えてみたの」
    好きなようにやればいいと思う反面とても心配になったし、自分が彼女を助けたことで思い悩ませてしまったのかもしれない、とも思った。あのとき助けないという選択肢はなかったから、どうしようもないのだが。
    「きっとおじいちゃん、心配するだろうなって思った」
    孫娘はそんなこちらの心中もお見通しのようだった。
    「でも、おじいちゃんが私を迷いなく助けてくれたように、私も誰かが困ってたら迷いなく助けられる人になりたいって思ったよ。今の私じゃできることは少ないかもしれないけどね」
    いつまでもあの流星群を眺めていたときのような小さな子どものままのように感じてしまうのが孫娘という存在だが、随分立派に成長していたんだなと思う。もう側でその成長をじかに感じることはできないけれど。
    「だから、見守っててくれると嬉しいな」
    そう言って手を合わせて、孫娘は帰って行った。決意を固めた後ろ姿はとても凛々しく美しかった。
    もう側にいてやることはできないから、あのはるか昔の記憶の中の孫娘のように星に願う。
    6月の夜、うさぎ座とつるぎ座の間あたりに現れる流星群は、三門の街の墓地からもよく見える。どうか孫娘が、彼女たちの生きる未来が、明るく平穏な世界でありますように。

  • 158二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 10:49:51

    こうやって見守ってくれてる人達がたくさんいるんだろうな…

  • 159二次元好きの匿名さん22/06/21(火) 21:23:00

    ウルっときた

  • 160二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 02:26:43

  • 161二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 04:02:35

    [さよなら]

    「……これで100話語り終わったな」
    「?? 何も起こらないぞ?」
    「やっぱり幽霊が来るってお話は噂だったのかな……?」
    「まあ何も起こらないならそれでいいじゃないか。さあ夜も遅いし若者は帰りたまえ。京介、宇佐美。千佳ちゃんを送ってあげて」
    「オッケー、まかせて!」「わかりました」
    「メガネくんは事前に話した通り今日は家に帰ってね。遊真と一緒に」
    「あっ、はい。分かりました」

    「空閑を泊めることには母さんも快諾してくれたけど……明らかにこれは締め出しだよなぁ。玉狛支部で今晩何かあるのか…?」
    「迅さんもところどころでウソついてたしな」
    「まさかネイバーの襲来が?!」
    「それはないだろ。だったらオサムやチカはともかく、しおりちゃんやとりまる先輩まで追い出すのはちょっと変だ。戦力は欲しいだろうし。おおかたサプライズでパーティの準備とかしてんじゃないの?」
    「そんな呑気な……」
    「どっちにしろおれらがお呼びでないってことは大丈夫ってことだろ。それよりもおれはオサムのお母さんの作るクリームコロッケという料理が気になってしかたないぞ」
    「まったく……お前の図太さがうらやましいよ、ぼくは」


    「迅、ゆりさんや城戸のおっさん、忍田さんやボスも来たわよ」
    「陽太郎たちはクローニンと沢村さんが見守ってくれているから大丈夫だろ」
    「ありがとう小南、レイジさん。城戸さん達もご足労いただきありがとうございます」
    「迅……本当に今晩、彼らは来てくれるのか?」
    「来てくれるよ、おれのサイドエフェクトがそう言っている。会話はできないけど、姿は見せてくれるはずだ」
    「……そうか。しかし伝えるならば支障ないはずだ」




    「『さよなら』とな」

  • 162二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 05:07:41

    100到達した?かな?
    書いちゃったSSあるんだけど供養していい?

  • 163二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 05:18:44

    >>128から>>161までの話


    93. エチュード Op.10-3

    94. 祝福

    95. バーガークイーン三門本店

    96. 嫌いな季節

    97. 玄界調査報告書

    98. あなたの怖いものは何ですか?その1とその2

    99. When you wish upon a star

    100. さよなら


    100話達成おめでとうございます。執筆された皆さんお疲れ様でした、少しながら参加できて楽しかったです。

  • 164二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 05:20:22

    >>162

    ぜひぜひ。なんか100を掻っ攫っちゃったようで申し訳ないですし、色んな作品あった方が見る側としても楽しいですし。

  • 165二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 11:38:03

    複数投稿の仕方が分からないので現在投稿されてる100話分の題名を一枚の画像に無理やり纏めてみた。
    タイトルのない話はこちらでテキトーにつけたので意にそぐわなかったらごめん。

    並べてみると圧巻ですなぁ。

  • 166二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 11:41:45

    >>164

    それじゃお言葉に甘えて

  • 167二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 11:43:01

    眠らない街


    おびただしい数のろうそくの灯りに囲まれ、今日の私は首を絞められて死んだ。背後から腕と腹の間にぬるりと侵入してきた生ぬるく青白い左手は一瞬の間に私の口を塞ぎ、右手は確かな殺意を持って素早く私の首もとを掴みにかかる。苦しい、そう思う間もなくぼやけた視界の隅でろうそくの灯りがひとつ消えていくのがわかった。

    額の汗を拭って窓を開け、深呼吸をして真夜中の空気を吸い込み息を整える。もう何度目になるかわからない、自身が死に至る夢。ある時は足もとから水中に引きずり込まれて、ある時は真正面から胸を貫かれて、またある時は左の目を斬りつけられて死んだ。様々な方法で何度も何度も死に至るがいつも決まって相手の顔は見えず、地面を埋め尽くしているろうそくの灯りがひとつ消えたところで目が醒める。

    夢か現実かわからなくなるときもあるほどリアルすぎる感覚はそれだけ自分が大勢の者に深く恨まれているということなのだろうし、その自覚はある。それでも進まなければならない道があるということも。夜間も休むことなく防衛任務で出動する隊員たちに加え、多くの死者(または生者)の魂が忙しなく行き交うこの街は正しく眠らない街だ。そんな眠らない街での安眠は、今の私には許されることではないということなのだろう。

    おそらく100、それ以上の死を夢の中で繰り返していてその度にあのろうそくの灯りはひとつずつ消えていくが、最後の一本の灯りが消えたとき私はどうなっているのだろう。数多の恨みから開放されるのか、もしくは夢ではなく本当に死を迎えてしまうのだろうか。ろうそくの灯りの数が死神の寿命予告であるならば、まだしばらくは生きて戦えそうだ。戦うことでまた灯りは増え、身体中に絡みついてくるこの街の魂たちから逃げられない悪夢の夜が続くかもしれないが、夢の中での苦しみなど現実での喪失に比べたらやさしいものだ。目的のために現実を生きるためなら、夢の中ではどんな苦しみ方で何度死んでもかまわない。

    窓の外の真夜中の三門市を眺めながら深呼吸をしてゆっくり目を閉じると、思い出の場所に置いてきたはずの写真の面々が鮮やかにまぶたの内側に現れては消えていく。今はまだ、歩みを止めるわけにはいかない。いつになるかはわからないが、最高司令官という肩書きが私に必要なくなったとき、そのときが再び安眠できるようになる日の始まりになるのかもしれない。

  • 168二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 14:59:46

    百物語+α達成おめでとうございます
    SSとか書けないので摩子さん画像で保守して微力ながらスレを応援してました
    せっかくなので未使用画像を貼って供養させていただきます

  • 169二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 22:25:34

    百物語達成おめでとうございます!
    シンプルに凄い

  • 170二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:09:41

    百物語達成おめでとうございます
    百話以降も投稿してくれる方がいて嬉しい

  • 171二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 05:03:09

    残りは感想語ったり、投稿したい人は投稿する感じかな?

    個人的には「記憶処理」という設定がボーダーの激ヤバ闇案件だと思ってるので、それをギミックにしたSSを読めたり書いたりできたのが楽しかった。
    他の人の書いた話だと「この街では」と「来馬先輩のお父さんの話」が好み。

  • 172二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 08:43:45

    スレ主です
    百物語達成おめでとうございます!
    ここまで続いたのは本当にすごい
    SS書いてくれた方、感想書いたり保守してくれた方々もありがとうございました!
    2スレ目なかなか見られてなくて最後締められず申し訳なかったです…良い感じのお話ありがとうございました!
    話数カウントしてくれた方助かりました!
    途中の赤い画像ゾクゾク感あってよかった

    以降はSS書いてもよし振り返って感想戦でもよし
    お好きに消費してください
    自分も読み直してくる!

  • 173二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 18:40:12

    このレスは削除されています

  • 174二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 22:11:37

    >>171

    来馬先輩のお父さんの話書いたの自分でした

    ありがとうございます

    記憶封印えぐいよね

  • 175二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 23:03:50

    >>171

    「この街では」を書いたものです

    拙作を評価していただきありがとうございます


    前の感想スレでも挙げてもらっていたのにコメントできてなかったので、そちらの方にもこの場でお礼申し上げます


    やっぱり感想もらえると嬉しいですね!

  • 176二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 00:32:12

    保守の方々、SS投稿の方々お疲れ様でした…色々な物語との出会いをありがとうございます
    百話めと眠らない街読んでうるっとしました…

  • 177二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 05:53:22

    >>168

    >>172



    まことにスレ立てと保守お疲れ様でした。

    ここが落ちずに楽しめたのはスレ主や保守

    等をされた方々の、まことなる配慮なども

    あったんだと思います。途中の赤い画像は

    この画像から加工した物ですがインパクト

    あったならわたしもまことに嬉しいです。

    笑い話やこわい話、感動的な話など色々と

    読めて味わい深いスレだったと思いますし

    、玉狛支部の話がよめたのは特に良かった

    です。投稿した人とお話ができ話の解説を

    本人から聞けたのもぼくとしてはまことに

    とても助かりました。 でないと理解でき

    ない話も数編、恥ずかながらありまして今

    ここに改めて感謝の気持ちをつたえられれ

    ば幸い。あんまこういう私事をねちねちと

    書き連ねるのは良くないですが、ゆったり

    と進行して居心地がいいというそのきもち

    もあります。長文乱文に瞳ならぬお目よご

    し大変失礼しました。 某短編投稿者より

  • 178二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 06:37:36

    >>176

    ありがとうございます、100話目を書いたものです。その後の101話目の方も城戸司令を主人公に書かれていたので不思議なシンクロニシティを感じました。

    愛されてますよなぁ。

  • 179二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 15:20:25

    せっかくなので保守

  • 180二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 15:51:52

    >>177

    >>47の方かしら(違ったら申し訳ない)

    こういうことできるの凄いな

    自分だったら書いてる途中でヌアーッってなるw

  • 181二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 19:20:13

    >>180

    その通りです!保守の摩子さんの画像が可愛かったのでついw 気付いてくれる人がいると仕込んだ甲斐があっていいですね。

  • 182二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 20:21:27

    >>181

    今気づいたよ

    斜め読みか!

  • 183二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 00:59:39

    スレ終盤のSSにちなんだキャラの保守コラ画像が貼られてるのも面白かったです
    「水沼誠二」と「等身大嵐山人形」の保守コラ作ったの自分なんすけど「こんなの誰も使わねーだろ」と思ってたら
    意外に各スレで使ってもらえてたみたいで嬉しい誤算でした

  • 184二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 10:44:44

    一言で怪談と言っても色々ジャンルが分かれてておもしろかった
    投稿者の発想力には脱帽しかないわ

  • 185二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 22:22:42

    一応完走まで保守します?

  • 186二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 04:08:17

    *

  • 187二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 13:13:01

    こういうものに参加したのは初めてだったけどガチホラーからS(すこし)F(ふしぎ)タイプまで色んな作品があって楽しめました。改めてスレ主と投稿者の皆様に感謝

  • 188二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 21:40:49

    完走して欲しいから感想を書こうかな。
    廃墟となった玉狛支部の中で子どもの声で数える話が好きだった。怖さと物悲しさがあるんだよなぁ。

  • 189二次元好きの匿名さん22/06/27(月) 01:34:01

    >>183

    感想代わりに保守コラ貼りまくってたの私ですw

    文章考えるの苦手なので大変助かりました^^

オススメ

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