- 1二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:22:53
- 2二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:24:10
まだ台無しにする時ではない、続けて
- 3二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:32:30
夢のG1の舞台、日本ダービーに!!!
◇
入学して栗東寮に所属した私であったが、最初からトレーナーが就くなんてことはなく、まずは座学であったり全体練習であったりそうしたものから地道に積み上げることになる。
同級生の中にも豊かな才能を有する子であれば、この時期から専属のトレーナーであったり、G1を何個も取っているようなチームに所属したりすることもあったけれど、普通は入学した年にトレーナーが就くことは珍しく、それに就くとしても年の初めの1月ごろが大半だという話を聞いていたので私は焦ったりはしなかった。
それよりも、この勝手知らぬ学園のことをまずは知ることこそが大事だと考えたからだ。
「――ちゃん! ねえっ! そのまま机で突っ伏して寝てたら風邪引いちゃうよ…!」 - 4二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:34:43
(これ誰もダイス振らなければ良作が見れるのでは…?)
- 5二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:36:21
振らないから続けて
- 6二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 21:42:02
この子は、私と同じタイミングで入学した寮で同室の子。
「あー……寝ちゃってた私? ははは、ごめんごめん」
「もうっ! もうちょっと自分の身体のこともちゃんと考えなきゃだめだよ?」
なにかと日常生活では助けてもらうことの多く、同室になったのがこの子じゃなかったら私はきっともっとこの学園で苦労していたに違いない。
そういう意味では感謝も多い相手である。
「……ありがとね」
「……? 何か言った?」
「ううん、なんでもない」
でも。この子も同期である以上は、私の夢である日本ダービー……ううん、それよりももっと前のレースでぶつかるかもしれない。
そうなったとき、私はこの子の夢も潰して勝たなきゃいけないんだ―― - 7ダイスどこ…?22/05/22(日) 21:55:52
とはいえ、月日は私が思っていたよりもずっと早く無常に過ぎ去っていく。
まずは同室の子が、有名なところではないとはいえチームに所属した。全体練習や個人でできる自主トレとは文字通りレベルが違う程の濃密で、しかも自分に合った手法だって喜んで私に話してくれていた。
細かいトレーニング論とかそういう話は私にはさっぱりだったけれども、最初のころは彼女が私のお世話をする立場だったのが、いつの間にか疲れてへろへろになって帰ってくる同室の子を労わるのは私の方になっていた。
次に、クラスメイトの子たちの中でも、入学した頃からタイムが良かった子や最近明らかに急成長してきているなー……って感じていた子は、やっぱりトレーナー目線でもそう見えた――というか素人の私でも分かるくらいの明らかな変化だったから、トレーナーの人たちもすぐに見極められた――のだろう、スカウトという形でちらほらと指導者が就く姿もあった。
全体として見ればそういう子はまだ1割にも満たない程度。でも、レースで勝利を手にするウマ娘は、多くは十数人で走ってたった1人――同じく1割以下なのだから、徐々にクラスメイトの間でも漠然とした焦燥感とか、得体のしれない不安感みたいな空気があり――それは私も例外ではなかった。 - 8二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:02:11
ダイスいちディーひゃくいこーる
- 9二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:04:22
dice1d100=
- 10二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:05:41
このレスは削除されています
- 11二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:06:11
dise1d10=
- 12空打ちダイスすなー!振れー!!22/05/22(日) 22:09:29
――『本格化』。その言葉自体は私も当然知っていた。
ウマ娘には走るための最適な時期が個々人によって異なることは当たり前のこと。だからこそ、今トレーナーが就いた子たちは早熟なだけで、事実入学したその年にデビューすることも企図する陣営もあったりで、それは明らかにレースに早めに出すことを狙った動きであったのは明らかだった。
別にウマ娘それぞれのペースだから、私が焦る必要があることではない。それこそが事実であり、私も頭の中ではその結論こそが正しいと分かっていた。
……知らなかったのは、それまで一緒だと思っていた同級生に先を越されることの心理的な重さ。
まだ自分は『本格化』していないからと言い聞かせて、それでも尚淡々と日々トレーニングを積むということがどれだけ精神的に辛いことか、それを入学前までは全く予測できなかったのである。 - 13二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:09:55
このレスは削除されています
- 14二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:10:44
- 15二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:13:41
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:15:10
はぁー…
- 17二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:19:15
そんな私の悩みを見抜いてか、私の同室の子――ハチジュウちゃんは語る。
「だったら、私の所属しているチームに入れるかどうかトレーナーさんに話してみよっか?」
「そんな……悪いよハチジュウちゃん」
そうは言いつつも細かい話を聞いてみるとハチジュウちゃんの所属するチームは、80等星の星の明るさに由来するチーム名らしく、リギルやスピカといったきらびやかな星たちとは全く違うように、育成方針などもハチジュウちゃんに即したものであったみたい。
でも。
「――ごめんね、ハチジュウちゃん。私、もっと自分で考えてみたいし……あと、そういう友達の伝手を使ってチームに入るのってなんか違うと思うかも。
でも私のことを心配してくれて、ありがとね」
「……ううんっ! 心配事があったらまた相談してねっ!」
……やっぱりハチジュウちゃんが同室で良かった。先のことは分からないけれども、気持ちはずっと楽になった。 - 18二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:21:13
※80等星はだいたい1等星の1/100000000000000000000000000000000の明るさです
- 19二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:26:45
このレスは削除されています
- 20二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:34:16
――転機は秋になって訪れる。定期的に開催される模擬レース。一番オーソドックスなトレーナーが就きやすい場だ。
私も何度か走り、1着を取ったこともあったけれども、どうも単純な成績ではなく様々な要素を加味してトレーナーさんたちは自身の担当ウマ娘を決めているようで、その私が1着を獲ったレースのときも3着の子の下にスカウトが行っていたことは強く記憶している。
だから私にとっては何の変哲もないいつも通りの模擬レースの一幕に過ぎなかったけれども、その日は後になって考えてみれば私にとってやはり転機としか言いようが無かった。
それは。
「3枠3番、ハチジュウ。今日の一番人気は彼女ですね――」
……ハチジュウちゃんとの初のレースでの対決である。 - 21二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:47:25
芝2000m。チャンピオンディスタンスのこの距離が満足に走れなければクラシックウマ娘としては話にならない。
未だメイクデビューも済ませていない身代ではもっと短い短距離戦やマイルのが主流ではあれど、私としては中距離を譲るつもりは無かった。だって、中距離適性をトレーナーに見込まれなければ日本ダービーなんて夢のまた夢になってしまうから。
「ゲートイン完了――スタートしました」
そんな実況の声がゆくゆくは聞こえる舞台で私も走るのだろうかと考えながら、出遅れせずに綺麗なスタートを決めてインコースの位置取りを狙う。まだ勝負の駆け引きのイロハも分かっていないから全ては自分自身の感覚というか感性が頼りになってしまう。
それでも今日は明確な指針があった――唯一出走メンバーの中でチームに所属しているハチジュウちゃんだ。
彼女の走りに合わせて走るのが最も安定するだろうという確信が私の中にあった。
――そして、同じ走りをしては絶対に彼女には勝てないという意識もまた。 - 22二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:49:38
dice1d1000 =
- 23二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:50:28
- 24二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:56:54
だからこそ最終コーナーの終盤に差し掛かり、ハチジュウちゃんがスパートをかけ勝負を仕掛けてきたタイミングで、私もまた彼女に追走する形で一息遅れて追いかける形となる。
――けれども、そこから彼女は異次元の走りを魅せ。あっという間にゴール板の先を駆け抜けていった。
「……1着、ハチジュウ!!! 2着以下と64164バ身差をつけての圧勝です! 格の違いを見せつけました!!!」
……私は何とか3着に滑り込んだものの。けれども現段階でのレベルの違いをまじまじと感じさせられたレース展開であった。まあこういうこともあるかな……と思い、ターフの上を後にしようとしたその時。次のような声が私の耳に飛び込んできた。 - 25二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:57:55
待って
2着以下と64164バ身差????? - 26二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:58:05
ウワーッ!馬身差がバグった!
- 27二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:58:22
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- 28二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:59:04
だ、台無しだ…! 世界が歪んでる…!
- 29二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:59:09
台無しになるってそういう方向?!
モブちゃんのSS時空がバグるってこと - 30二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 22:59:36
>>23を殺してしまったんだけどいいよね?!
- 31二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:00:06
コンナノナニカノマチガイダヨ…
- 32二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:01:19
一馬身2.4mとして153993.6m=153.9936km?
どのレース場だよ… - 33二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:02:57
ハチジュウちゃんはUMA娘だと思われる…
- 34二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:03:58
どう吹っ飛んで行くかわからないから怖くてダイスが振れねえ
- 35二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:05:23
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- 36二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:12:54
「……そこの君だ! さきほどのレースで3着であった君! ちょっと、待ってくれ!」
「……私ですか?」
「ああ、そうだ……いや、この身体だと歩幅が小さくて立ち止まってくれて助かったよ……」
そう言いながら話しかけてきたのは口調に反して、見た目は8歳くらいの男子小学生のような見た目をしたスーツを着た子供の姿であった。
「えっと、誰かの弟さんとかかな? ぼく、ご家族のお名前とか教えてくれるかな?」
「あー……いや、勘違いさせてしまって申し訳ないが、実はこういうものでね……」
そう言われながら、恐らく常に常備しているだろう紙胸ポケット辺りから取り出す。その紙を受け取った私は恐らく連絡先でも書いてあるのかな? と思い、早めに先生方やたづなさんに連絡しようと思いながらその紙を見やった。
「ええと……前期中央トレセン学園トレーナーライセンス……。
……えっ!? トレーナーさんだったんですかっ!?」
「ああ……」
「その見た目と!? その声で!?」
「そういうやり取りをこれまで幾度もしたよ……」
そうくたびれながら話す小学生にしか見えない彼には、確かに年相応ではない所作がにじみ出ていた。 - 37二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:15:34
悔しいけど今回はダイスのおかげでちょっと面白さ増してる気がする
- 38二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:16:03
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- 39二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:17:35
dice2d10=1 9 (10)
- 40二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:18:55
実年齢10歳とかかな…?
- 41二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:26:03
8歳姿の推定トレーナー(?)さんは語る。
「確かに、今日の1着の相手は悪かったかもしれない。大差で君は負けてしまったが――」
「あ、ハチジュウちゃんとは大差ではなく64164バ身差です」
「……確かに君は、64164バ身差で負けてしまったが――」
実際のところ私は2着とアタマ差あったので、ハチジュウちゃんとは64164バ身とアタマ差だけの差があったのだが、そこは細かいことかなと思い指摘しないでおく。
「だが、ラスト1ハロンでの君の走りは実に興味深いものだった……見てくれ、このストップウォッチに刻まれたタイムを……」
そう言われながら差し出された最後の1ハロンのタイムと思しきものは10秒0ジャスト。2000mのレースとして見ればかなり異常な時計が刻まされていた。当然、言うまでも無く自己ベストである。
「これだけの末脚があるならば、君はきっとG1戦線でもやっていける! どうかねっ!? 俺と一緒にっ――」 - 42二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:28:00
このレスは削除されています
- 43二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:30:05
dice1d10=8 (8)
- 44二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:32:30
エイティちゃんロケットエンジン搭載なん
- 45二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:33:24
「台無しになる」が曇らせとかそういう路線かと思ったらバグみたいな方面の台無しで面白いことになってる
- 46二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:37:11
レース場は2000mだったのね
- 47二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:38:52
私はそのこどもトレーナーさんが話し切る前にこう遮った。
「あの私っ! 日本ダービーで勝つのが夢なんですっ! 家族とも、地元の友達とも約束してきたその夢……。
貴方となら一緒に叶えることは出来ますかっ!?」
80等星の輝きを放つハチジュウちゃんを始めとして、ライバルは数多いかもしれない。
それでもこの8歳児にしか見えないトレーナーさんは私のことをそこまでの高みへ連れてってくれるのだろうか?
……トレーナーさんは僅かな逡巡の後に、力強くこう語ってくれた。
「……ああっ! 絶対にG8の大舞台――日本ダービーへ一緒に行こうっ! そして、そのダービーの、G8の冠を必ず掴もう!」
……日本ダービーはレースルールの変更により来年度よりG1からG8への格下げがなされることが決まっていた。
けれども、私の夢が日本ダービーであることには変わりない。
私はこのちっちゃなトレーナーさんと一緒に、夢を絶対掴むんだ!
完 - 48二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:39:22
GOOD
いいSSだ - 49二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:40:08
またどっかでやってほしい
- 50二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:40:38
このレスは削除されています
- 51二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:42:45
このレスは削除されています
- 52二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:42:57
面白い発想だった
こういうの好き - 53二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 23:54:01
ダイスでバグるSS面白かった
- 54二次元好きの匿名さん22/05/23(月) 11:38:39
すげぇ良かった