エアグルーヴ「今度のジャパンカップにファインの姉上が参加する?」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:43:49

    「そうらしいんだよねえ……」
    「そうらしいって、海外のレースで活躍している有力なウマ娘じゃないか」
    ジャパンカップは海外のウマ娘を招待することも多いため、特段珍しいことではない。
    とはいえまさか同室のファインの姉上が来るとは……。
    「えっと……お姉さまがなにか粗相をしても許してあげて、ね……?」
    ファインが申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる。
    「……それはどちらかというと私のセリフなのでは?いや、失礼なことをするつもりは毛頭ないが」
    「なんか先に謝っておかないとダメな気がして……」
    私は首を傾げつつもとりあえず了承するしかなかった。
    そしてジャパンカップ当日を迎えた。

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:44:12

    やばい。緊張してきた。
    ついにあのエアグルーヴさんに直接会える。
    そう思うと落ち着いていられなかった。
    いやいやいや、“急いては事を仕損じる”よピルサドスキー。
    何度もファイン経由で贈り物をしているからそんなに悪印象は持たれていないはずだし大丈夫!
    ……妹から「プレゼントが多すぎてグルーヴ困ってたよ」なんてメールが来たけれども。
    まあ、妹はちょっと世間とずれたところがあるから、うん。
    ……大丈夫、だよね?
    っていうかエアグルーヴさん呼び捨てとかうらやましすぎるぞ妹!!!
    「あのう、ピルサドスキーさん?」
    「ひゃい!?」
    変な声を上げてしまった。
    「そろそろ入場ですので準備のほうを……」
    「え、ええ!お声がけ感謝いたします!お手数をおかけいたしました!」
    いけないけない。
    これでもアイルランド代表のようなものなんだからしっかりしないと!

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:44:17

    ♂「いよいよ私もウマ娘か……」

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:44:50

    「初めまして、エアグルーヴと申します」
    ひええええ顔がよすぎる。
    赤いアイシャドウもセクシーだし、堂々としたたたずまいもまさに“女帝”という感じで。
    なによりおっぱいおっきい……。
    いけない、試合前の記者会見なんだからちゃんとしなきゃ!
    「……今日はよろしくお願いします。妹がお世話になっているそうで」
    「いえいえ、楽しくていい子で同室として感謝しています。王族相手にこんな言い方は不敬かもしれませんが」
    「構いませんよ。ご迷惑をおかけしてないようでよかったです」
    わあ……あのエアグルーヴさんと話してるよ私……。
    我が人生に一片の悔いなし……!
    途中途中エアグルーヴさんに見惚れつつも記者会見は順調に進んでいった。

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:45:00

    そして記者会見も終わろうかというころ。
    「では最後にお二人の握手の写真を撮りますので」
    よしよし、あとは握手すればいいのね……。
    って握手ううううう!!!???
    いやいやいやいや!
    女帝の御手に直接触れるとかやばいでしょ!?
    手汗やばいよ私!?
    あわわわわエアグルーヴさんが手を差し出してきてるううううう!
    ええい、ままよ!
    …………
    柔らかぁ……!
    ていうか指細くて小っちゃくてかわいい……私が大柄なだけかあ、あはは……。
    いや、さすがにまじまじと手を見つめるのは変態っぽいでしょ!?
    と、目線を上げると。
    目の前に女帝の顔がどアップで映し出される。
    「今日はお互いにいい走りをしましょう」
    あっ、なにか返さないと。
    まずいなにも思い浮かばない!
    早く返答しないと!
    えっとえっと……!
    そして私の口から飛び出た言葉は───

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:45:15

    「好きです。結婚してください」

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:45:27

    やらかした……。
    一瞬の静寂ののち、歓声とカメラのシャッター音が鳴り響く。
    カメラのフラッシュはエアグルーヴさん苦手らしいから、なさそうで良かった……って言ってる場合じゃないでしょ!?
    ぽかんとするエアグルーヴさんと慌てふためく私を置いて記者会見は終了した。
    気がつくと出走直前のゲートの中にいた。
    と、とにかくレースに集中しないと!
    記者会見でやらかしたうえに不甲斐ないレースなんて見せられないよ!
    不幸中の幸いというか怪我の功名というか、さっきので緊張吹き飛んじゃったし!
    大きく息を吸う。
    吐く。
    すう、と喧騒が耳に入らなくなりゲートだけが私の世界を妨げる。
    ガタン。
    開いた緑色の世界に飛び出す。
    雑念もなにもなく、ただ淡々と展開を予想し、観察し、走る。
    最終直線。
    間を縫って先頭に抜け出す。
    右側から迫る影。
    負けない。
    駆ける足にさらに力がこもる。
    そして、そして───

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:45:41

    「一着はピルサドスキー!やはりピルサドスキーだ!」
    大きな歓声が頭上から降ってきた。
    勝てたんだ、私……。
    よかったあ……。
    ほっと胸をなでおろしていると、後ろから声をかけられた。
    「さすが、ですね」
    振り向くとエアグルーヴさんが立っていた。
    わあ、汗かいた姿もセクシー……。
    じゃなくて!
    ぽけーっとしていると彼女が苦笑しながら話を続ける。
    「もう少しで差し返せると思ったのですが……次は負けません」
    そこで初めて迫る影がエアグルーヴさんであることに気がついた。
    ……もう少し距離が長ければ差されていたかもしれない。
    そう思えるほどの末脚だった。
    エアグルーヴさんが手を差し出してくる。
    今度は自分でもびっくりするくらい自然に握手ができた。
    弱さなどみじんも感じさせない、女帝の手だった。

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:45:56

    上機嫌でウイニングライブ会場へと続く地下通路を通っていくと、ファインが待っていた。
    「あ、ファイン!私の活躍見てくれて……」
    「お 姉 さ ま ?」
    あ、これはすごく怒ってるやつだ……。
    一見笑顔だけど語気がもう怒ってる人のやつだもん……。
    「記者会見の場であの発言はおかしいでしょ?さっきから私の携帯鳴りやまないんだけど?」
    「き、緊張しちゃって……」
    「ほどがあるよ!」
    妹の怒声が通路に響く。
    「とにかく!お父さまもお母さまも見てたみたいだからライブ終わったらお姉さまから連絡してね!」
    「ええええええ!?お願いだからファインからもなんとか言っておくれよお!」
    「知らないよ!もうっ!」
    ウイニングライブ直前まで姉妹のやり取りは続いたという……。

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 12:47:14
  • 11二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 23:00:15

    んほーこのピルサドフスキーたまんねえ

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています