ビワハヤヒデ 25歳

  • 1とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:02:32

    「姉貴、そろそろはっきりさせたらどうだ?」
    珍しく妹のブライアンに茶に誘われたと思ったら奇妙なことを言われた。
    「何の話だブライアン?」
    「義兄貴の事に決まってるだろ」
    驚きのあまりコーヒーを吹き出すところだった。

  • 2とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:03:28

    ブライアンは度々私の担当トレーナーを義兄貴と呼んで私をからかう。
    「だから、トレーナー君とはそういう関係じゃないと言っているだろう」
    「もう5年以上も通い妻をしていてか?」
    「かよッ……時々行って家事をするだけだ」
    「毎週行くのは時々の内に入るのか?」
    言葉に詰まった。
    確かに週末は基本的にトレーナー君のアパートへ行って掃除をして料理を作っている。
    彼は激務で中々家事をする時間が取れないし、仕方のないことだ。

  • 3とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:04:30

    「それに元はと言えはブライアンが提案した事じゃないか」
    「いや、姉貴同伴とはいえ、もう私が義兄貴の家に行くのはおかしいだろ」
    そう言ってブライアンは左手薬指に輝く指輪を見せてきた。
    ブライアンは去年、担当してたトレーナーと5年の同棲を経て結婚している。
    かつては身の回りの事を母さんや私に任せていたというのに私やヒシアマ君から学んでそろそろ安心してみていられる。
    教えている身としては鼻が高い。
    おまけにまだ目立たないが妊娠したと報告もされた。
    こうも妹に先を越されると同じ女として悔しさを感じざるを得ない。

  • 4とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:05:00

    「なんだ?義兄貴と結婚は嫌か?」
    「そ、そんな事は言ってないだろう」
    「じゃあなんだ?」
    言葉に詰まってしまった。
    ブライアンに改めて言われてみると、トレーナー君と結婚して家庭を築くというのには全く抵抗はなかった。
    寧ろ、そうなったらいいなとまで思っている私がいる。

  • 5とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:05:32

    だというのに、何故だろうか。

    「恐い」

    思わず口に出してしまった。

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:06:00

    続けて

  • 7とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:06:10

    そう、きっと私は恐いんだ。
    今の関係が変わってしまうことが恐ろしくて堪らないんだ。
    受け入れて貰えてもその後は上手くやっていけるのか?
    もし拒絶されたらこれから私はどうすればいい?

  • 8とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:07:05

    「相変わらず頭でっかちだな、姉貴」
    「わ、私の頭はデカくないって言っているだろう!?」
    「誰も頭の大きさについての話はしてないぞ」
    胸の中のモヤモヤとムカムカが止まらない。
    どんどん頭が回らなくなっていく。

    違うな、今まで考えようとしていなかっただけなのかもしれない。

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:07:37

    ハヤヒデ書いてくれて助かる

  • 10とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:07:56

    「一生そのいつ終わるかもわからない夢のままでいいのか?」

    ブライアンの言葉が私の心にズシンと響いたようだった。
    その通りだ。
    今、私とトレーナー君は彼氏彼女の関係ですらない。
    何の保証もされていない。
    今すぐ終わりを迎えても何も文句を言えない。
    それが現状維持に甘えて何もしなかった自分への戒めだ。

  • 11とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:09:13

    「嫌だ……」

    またもや口に出た。
    やっと私は素直になれたのかもしれない。
    随分時間がかかってしまった。

  • 12二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:10:39

    勝利の方程式を導き出したか姉貴!

  • 13とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:10:48

    「姉貴、私にとって姉貴は自慢だ」

    「だから姉貴には幸せになって欲しい」

    「何もしなかった事を後悔するのだけはして欲しくない」

  • 14とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:11:47

    「ふふっ」
    思わず笑ってしまった。
    妹に背中を押されているようでは私もまだまだだ。
    「今からでも、間に合うだろうか?」
    「どうかな?やってみないと分からない」
    私は時計を確認して、テーブルに一万円札を叩きつけた。
    「余ったら夕飯の買い出しにでも使ってくれ」
    「決めてこい姉貴」
    ブライアンは笑って私を送り出してくれた。

  • 15とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:12:39

    私は駆け出した。
    この時間ならトレーナー君はまだ帰宅していない。
    トレーナー君の帰宅ルートはもう頭にインプットしてある。
    であればそのルートを逆に辿る。
    大した距離はない筈なのにやけにその距離が長く思えた。

  • 16とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:13:05

    結局学園までトレーナー君とは遭わなかった。
    想定していたよりも早く着いたのかもしれない。
    トレーナー君がいた。
    これから帰るようだった。

  • 17とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:13:55

    「トレーナー君!」
    「あれ、ハヤヒデ?そんなに急いで、何か用事でもあった?」
    ここから先に勝利の方程式なんて都合のいいものはきっと存在しないだろう。
    私には私の解答を埋める事しかできない。
    だからこそ、後悔だけはしたくない。

  • 18とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:15:14

    「トレーナー君!好きだ!愛している!」

  • 19とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:16:55

    言った。
    校門前だからきっと注目されているだろうに、言ってしまった。
    でも口に出すことが出来てスッとした気分だった。

  • 20とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:17:52

    「ハヤヒデ……」
    「回答を……聞かせてほしい……」

    バクバクと心臓が鳴る。
    見慣れたはずの学園前だというのに異界に見えてきた。
    この緊張感はかつてブライアンと覇を競った有馬記念にも匹敵しているかもしれない。

  • 21とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:18:41

    「なら、これが俺の回答だと思ってほしい」

    トレーナー君は鞄から掌サイズの小箱を取り出して差し出した。

    「開けてみても……?」

    トレーナー君は力強く頷いた。
    心音がどんどん高鳴る。
    私は慎重に箱を開けた。

  • 22とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:19:34

    「指……輪……」

    周りでキャーキャーと黄色い声が聞こえるような気がするがそんな事が吹っ飛ぶくらいの衝撃だった。
    私が足踏みしている間もトレーナー君は用意をしてくれたと思うと、それが堪らなく嬉しかった。

  • 23二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:19:41

    エンダァァァァァ!!!

  • 24とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:20:07

    「俺、ずっとハヤヒデに甘えてた。いつの間にか今のままでいいんだってずっと思ってた」

    「でも、このままじゃいけないって思って。ケジメを付けようって思って。そのつもりで指輪も買った」

    「なのに渡すタイミングもつかめないままハヤヒデに告白されて……俺って不甲斐ないよな」

  • 25二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:20:47

    学園前告白つよい

  • 26二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:21:20

    クソボケと言われ続けてたスレを見続けて、荒んだ心が解放されていく音がするよ!

  • 27二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:21:23

    こんなんずっと語り継がれるやつだわ

  • 28二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:21:45

    (兄貴・・・やったな!!)

  • 29とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:22:08

    トレーナー君も私と同じだった。
    いや、ブライアンに言われるまで動こうとしなかった私よりはずっといいか。
    とはいえ、色々な過程をすっ飛ばしていきなり婚約は流石に想定外だった。

  • 30とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:22:51

    「こんな不甲斐ない俺からのプロポーズでも受けてくれるかな?」

    「不甲斐なくなんて、無い……!」

    私は力が抜けて泣きじゃくりながらトレーナー君に凭れ掛かった。
    トレーナー君の腕の中は温かかった。

    「プロポーズ、お受けしますっ……!」

  • 31とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:24:18

    一人ではきっとこの解答には至れなかった。

    二人だからこの解答を出すことが出来た。

    二人ならこれからも走っていける。

    また二人でこれからの方程式を作っていこう。


    ~~終わり~~

  • 32二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:24:40

    最高だった、ありがとう

  • 33二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:25:31

    やったっ!やったっ!!!!!!

  • 34二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:26:24

    ありがとう…それしか言葉が見つからない…

  • 35二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:26:58

    .

  • 36二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:27:23

    よかったよかった

  • 37二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:27:39

    やればできるじゃねえか…

  • 38二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:29:48

    私の性癖にはあっていますよ!

  • 39二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:30:05

    良いもの見させて貰いました

  • 40とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:30:31

    あにまん掲示板の皆。
    今作も読んでくれてありがとう。
    ビワハヤヒデはブライアンには気ぶるけど自分は奥手の概念を元に書きました。
    ビワハヤヒデ可愛いです
    後、鬼滅の刃の映画面白い。

  • 41二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:30:38

    結婚の報告を聞いてチケゾーだけではなくタイシンと両トレーナーも泣く
    何はともあれ最高だった

  • 42とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 22:31:51
  • 43二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:31:59

    学園前で告白は強すぎる

  • 44二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:32:25

    作風変わり過ぎじゃない!?

  • 45二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:33:06

    良きなり

  • 46二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:34:12

    >>42

    ずいぶん極端ではなくて?

    でもどっちも面白いからよき

  • 47二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 22:45:13

    >>42

    作風の高低差で耳キーンするわ!

  • 48とあるウマ娘トレーナー21/09/25(土) 23:11:52

    前作のスレのアドレス記載しましたけど、作品紹介ってこんな感じでいいんですか?

  • 49二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 23:12:44

    ハヤヒデssは貴重なのだ...ウメ...ウメ...

オススメ

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