魔女集会で会いましょう

  • 1カルビ22/05/31(火) 19:56:01

    「すきです。わたしのおよめさんになってください」

     宝塚記念を勝ち抜いた私の前に、幼い黒髪のウマ娘がその辺りで摘んだ花を差し出して、そういった。

     トレーナーからファンサービスは大事にしろと、言われているので、いつも通りの私で目線を合わせる為にしゃがんであげる。

     林檎のように真っ赤になった頬と震える手から、その一輪の花を受け取って、彼女の頭を撫でた。

    「悪いけど、今はなれないわ。アタシには魔法を突き詰める役目があるもの! だから………」

     代わりに、アタシが込めた魔法の石。プラネタリウムで買った月の石を彼女に渡して、

    「大きくなって、トレセン学園に入学して、G1のレースで一位を取った後、これを指輪にして持って来たら結婚してあげるわ」

     なんて事ない断り文句を彼女に告げた。トレセン学園で花を咲かせられるのは限られている。

     もし咲かせたとしても、その頃にはレースの楽しさですっかり忘れてしまっている筈、完璧なアタシの作戦を知らない、彼女は目を星のように輝かせて、強く頷いた。

     トレーナーに腕時計を叩く仕草を見せられ、ライブの準備をしに行こうと立ち上がり、

    「じゃあね………えっと、あなた、名前は?」

     アタシの問いかけに彼女は太陽のように笑って

    「キタサンブラックです! まっててくださいね! スイープさん!」

  • 2カルビ22/05/31(火) 19:56:59

    そして、10年が経って。
     アタシはトレセン学園を卒業して、アタシが編み出した魔法を記した魔導書を出版………まあ、ちゃんと言えば小説家になっていた。

     アタシの自伝は大ヒットし、現在もアタシの魔法関連のライトノベルもそれなりには売れている、印税と稼いだ賞金で不自由なく暮らせるくらいに。

     だけどアタシには自由にはならない事がある。

    『スイープ先生。次は恋愛物を書きましょう!』
     恋愛………恋愛? 
     まるで新たな魔導書の文字のように暫く宇宙を背負ったアタシ、そんな事を気にせずにプロットお願いします!と言った編集は変えてもらおうと鬼電した。

     閑話休題。

     ともかくアタシの中に眠る恋愛を出そうとして………何もない灰色の青春を思い出してナーバスになった翌日。

     アタシはトレセン学園に来ていた。

     恋愛=青春=学園という安置な式の答えを探しに来たが、案外は間違えていなかったらしい。

     トレーナーとの信頼関係、それを少し弄れば恋愛関係の発展に参考になるかもしれないと、グラウンドが見える丘に座り、メモを取り出して。

    「あ、あの………!」

     ふと、メモ帳に翳りが差す。見上げれば、アタシの身長を超えそうな黒髪のウマ娘が立っている。

     息を切らし、頬を赤くし、震える手には小さな箱が握られていて。

    (あ、アタシのファンの子か)

     たまにあったのだ。トレセン学園で講演会をやったあと、アタシに憧れているウマ娘達からプレゼントを貰うことが。

  • 3カルビ22/05/31(火) 19:57:35

    「プレゼント? いいわ、受け取ってあげる」

    「は、はい! それじゃあ、これを──!」

     彼女は跪いて小さな箱を開ける。
     そこには月の雫を閉じ込めた小さな指輪が鎮座していて、

    「スイープさん! ずっと好きでした! こんなお祭り娘ですが、どうか私と──結婚してください!!」

     はへ? と情けない声を漏らしたのは誰の口だったか。良く聞く自分の声だったのはきっと気のせいだろう。

  • 4カルビ22/05/31(火) 19:58:08

    続きはご注文をお願いいたします。
    こちらはサービスです
    つお冷

  • 5二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 19:59:44

    100万円までなら出すから続きを書け

  • 6二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:00:10

    5人前追加で

  • 7二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:00:21

    くっザブトン2人前で!

  • 8二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:01:12

    出やがったなカルビ!ありがとう!

  • 9二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:06:39

    久しぶりだなぁ、カルビ!!
    とりあえず追加だ、出せや!

  • 10二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:07:14

    魔女集会とかなっつかしいもんを…

  • 11二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:07:20

    ハラミとタンとカルビ3人前ずつ注文するから続きを!!!!くれ!!!!!!

  • 12二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:12:17

    魔女周回で会いましょうって何?

  • 13二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:13:07
  • 14二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:15:39

    良質なキタスイで心臓発作起こしたいから続き書いて♡

  • 15二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:20:46

    >>13

    キタサンとスイープは10歳差………なるほど、おねロリ!!

  • 16カルビ22/05/31(火) 22:27:32

    「キタサンブラック? ああ、G1七勝の子? 凄いよね〜シンボリルドルフやウオッカに並ぶ戦績! トレーナー魂が疼くわ〜」

    「へえ………そう………」

    「性格も明るくて社交性も良く、何よりお祭り大好きなお祭り娘でファンサービスも凄いわよ。誰かさんと違って」

    「うっさい………」

    「………どうしたの、スイープ。何かあった? わざわざ連絡してくるのも珍しいし、貴方がそんなに頭を抱えるなんて」

     10歳も年下からのプロポーズに全盛期を思い出す追込みの魔法で逃げ切ったアタシは翌日、トレーナーを喫茶店に呼び出していた。

     アタシは眉間に皺を寄せたまま、唸るように搾り出した。

    「………されたのよ」

    「何を?」

    「だから、告白よ! 告白! プロポーズ!! 歳下の女の子からまさかのプロポーズ!! 勘弁してよ………もう」

     彼女は黙って、コーヒーに………砂糖ではなく、塩を入れて誤爆した。
     噴き出し、アタシと一緒に机と友達になる元トレーナーはゆっくり顔を上げると、

    「………ロリコン」

    「違うわよっ!!」

     何とも聞き捨てならない言葉を吐いたのだった。

  • 17カルビ22/05/31(火) 22:28:02

    本日は閉店となります。次回の開店時間までお待ちください

  • 18二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:28:42

    ご馳走様でした。また来ますね

  • 19二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:33:06

    実年齢差のキタスイからしか得られない栄養素ォォォォ!!!


  • 20二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 23:40:07

    キタスイには無限の可能性がある

  • 21二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 09:15:22

    無限しかない

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 09:39:56

    ふぅ…まだ開店準備中かな

  • 23二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 18:35:14

    てえてえ

  • 24カルビ22/06/01(水) 23:41:42

    『向き合うにしろ、断るにしろ、あんまり波風立たせないようにしなよ。スイープはそういうとこあるから』

     元トレーナーのとてもありがた迷惑な言葉を元に帰路についた私はベッドの上に倒れ込む。

    「………ァァァァァァああ」

     ゾンビのようなうめき声を立てて、枕に顔を埋める25歳の儚さよ。
     どうか一連の流れが全て夢だと言って欲しい。

    「………お腹すいた」

     けれどお腹が鳴る音がどうしようもなく、現実を突きつけていて。
     のそのそと立ち上がり、ささっと豚肉と玉葱を炒めて、醤油で和える。

     それをおかずにお茶を出して、テレビをポチり、現れた画面には『学校へ行こう』の屋上からの告白がやっていて。

    『中等部、3年生! キタサンブラック! 私は憧れのお姉さんに伝えたい事がありまーす!!』

     お茶が肺に入り、人様には見せられないむせ方をして平静を保つ。何も慌慌あわあわてるてることは無い。

     そう、宝塚記念に比べたら──

    『幼い頃に約束した、お嫁さんになってくれる件!! どうお考えですかー!!』

     私はテレビを消して、全てを忘れて、ただ夜の街を走った。

     ──月が綺麗な夜だった。

  • 25二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 23:42:55

    美しいものを見た

  • 26二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 23:44:42

    ロリに振り回されてるお姉さん………

  • 27二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 23:49:18

    キタスイは健康にい

  • 28二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 10:01:41

    すごく良かったです!
    次も楽しみにしてます!

  • 29二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 10:04:44

    てぇてぇよぉ~

  • 30二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 10:08:35

    心の中のデジたんが即死した

  • 31二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 17:16:11

    あ〜すこすこ

  • 32二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 19:26:41

    すげぇ好き

  • 33二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 19:42:22

    このカルビ無限に噛み切れないし無限に味するんだが?

  • 34二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 19:44:56

    すいません この一本カルビってやつを
    牛一頭分お願いします

  • 35カルビ22/06/02(木) 21:42:45

    「あ、スイープさん! 私に会いに来てくれたんですか!?」

    「文句を言いにね!! 何よ、昨日の内容! 名前を上げなかった点は褒めるけど、確実に私のことじゃない!」

    「ほほう、つまりあれが自分を指してることだと思って会いに来てくれたんですね! 約束! 忘れてなくて、嬉しいです!」

     ああ言えばこう言い、反省の色も見えない。かつての私なら癇癪を起こしているが、アタシももういい大人。

     怒ることにもエネルギーがいる。もうとやかく無駄に起こりたくないのだ。彼女もただ幼い頃の約束に固執してるだけで、本当のアタシをみたら幻滅する筈。

    「………分かったわ、デートしましょう」

    「!?!? で、で、デート、してくれるんですか!? 本当!? 嘘じゃなくて!? もしもしダイヤちゃん!? 私、やったよ! 仲人はよろしくね!

    「一回だけよ。それできっぱり諦めなさい………って話聞いてないわね。後、気が早いわ。妄想に逃げをかまさないで」

     なんて言ってる間に、彼女の姿は忽然と消えていて残されたアタシはひとまず家に帰る………が、

    「………待ちなさい、何? この荷物。私、服なんて頼んでないけど」

     家の前に大きい段ボール。中を開ければ服に無頓着な私でも分かるお洒落な服。
     送り主は元トレーナー。中には手紙が1枚

    『大人の魅力で悩殺しちゃえ♡ 恋の魔法を解き放て♡ 追伸:結婚式には呼んでね?」

    「いい大人が面白がってんじゃないわよ!!」

     手紙を叩きつけて、月に吠える。
     夜空が滑稽な私を見下ろしていた。

  • 36カルビ22/06/02(木) 21:45:00

    こちら本日のおすすめの牛タンシチューです

  • 37二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:46:19

    はっはーん
    さてはこいつ天才だな

  • 38二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:50:34

    ホルモン並みに噛みごたえのあるカルビだ…

  • 39二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:51:11

    ははーん? 実は今回、相当長いな?

  • 40カルビ22/06/02(木) 22:09:06

     待ち合わせ時間の5分前、軽やかな足取りで集合場所に向かう。天気は雲一つない青空。少し肌寒い空気が春を連れてきた。

     歩く姿がショーウィンドウに映る。元トレーナーだけあって中々にセンスがいい服を送ってきた。
     白色のアイボリーに合わせた、パフスリーブが歩くたびにふわふわと揺れ、コーラルピンクの私にしては珍しいパンツルックにちょっぴり違和感を覚える。

     出来る女性をイメージしました!と豪語していたが、なるほど先程から視線を感じるわけだ。

    「特に………彼女の」

    「おはようございます!! スイープさん!! 私服! とっっても可愛いですね!!」

     モカのキャミとエクリュのクロシェスカートという若い頃にしか許されない生足スタイル。
     ブルーのゆるシャツがまた絶妙なニュアンスでカジュアルさがあるのがにくい。
     足元は素肌がのぞくメッシュ靴で今っぽく引き締めて。足をスポッと入れるだけでキマるスリッパ風ミュールはというナチュラルスタイル。

     レースからは考えられないほど、若さとナチュラルさを組み合わせたお洒落に、正直見惚れてしまっていた。

     レースの輝きとはまた違う、彼女の光に………だろうか。ともかくずっと見つめているわけにも行かないのでつかつかと歩き出す。

    「あ、スイープさん………」

     戸惑うように手を伸ばして、それが居場所を無くす。縋るような声に私は肩を落として、振り返り

    「──よく似合ってるわよ、魔法みたい」

     彼女が欲しかったであろう言葉をあげてしまえば、キタサンは花が綻ぶように笑って、

    「ありがとうございます! スイープさんもずっと綺麗ですよ………惚れ直しました」

     カウンターを返してきたのだった。

  • 41カルビ22/06/02(木) 22:10:12

    本日は閉店でございます。
    明日は開店する予定ですが………皆様、キムチを付け合わせに必ず頼んでくださいませ。

    きっと甘過ぎるタレで足がわからなくなりますから

  • 42二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:14:18

    >>41

    おう、つけダレの豆板醤は常備してるんだよ。次の皿をよこしやがれ、ください!

  • 43二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:33:47

    日課になりそうだ………

  • 44二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:37:13

    白米もらえますか?

  • 45二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:09:44

    >>44

    ビビンバにしとけ

    甘さに耐えきれなくなる

  • 46二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:28:13

    ふほっ、って気持ち悪い笑い方したから責任とって

  • 47二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 09:48:39

    続きに期待

  • 48二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 09:51:17

    タン五人前頼む

  • 49二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 09:54:42

    キタスイを朝から接種できたから今日一日がんばれそう

  • 50二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 09:57:18

    (キムチください)

  • 51二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:57:24

    本場のキムチとロイヤルビタージュースをジョッキで用意しておいたぜ

  • 52二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 19:32:48

    今日はカルビ食ってくる

  • 53カルビ22/06/03(金) 20:51:35

    「お待たせしました〜エスプレッソのダブルと、ハニーラテでございます」

     木の幹がくり抜かれたモチーフのオレンジ色の温かな光が照らす店内は、高級店という雰囲気ではないものの、シックで落ち着いた空気に満たされていた。

     置かれたハニーラテを口に運び、蜂蜜のまろやかな甘さとミルクのスッキリした甘さが舌に残るのを楽しむ。

     まずは互いを知ろうと、パーラーに入ったのはいいのだが………あまりにも彼女から緊張が感じ取れる。

     下手したらレースより、緊張していないか?と思うくらいに。だって、彼女。アタシにかっこいいとこ見せたいから、エスプレッソのダブルなんて選んだの、バレバレだもの。

    「………に、苦くて美味しいですね! やはりこの苦味こそ、大人の味だと思いませんか!? スイープさん!」

     唇を窄めて、ちびちび飲んだ後にこの台詞。あまりにもらしくて逆に可愛いと思えてしまう。

     だからアタシは揶揄うように、ハニーラテの縁を指でなぞって。

  • 54カルビ22/06/03(金) 20:51:55

    「アタシ、素直な子の方が好きなんだけど。例えば、私のハニーラテと交換したいとか言える子が」

     頬杖を突きながら、そう言えば彼女は顔を真っ赤にした後、目を逸らしながらお願いします、と呟いた。

    「苦いなら無理しなきゃいいのに」

     エスプレッソを口にする。ダブルなだけあって、香りも力強いが苦味もまた印象的。けれど締め切り前のデスマーチに比べたらこれより強いものなんて、いくらでも、

    「あ、あの………スイープさん?」

    「何? ハニーラテが甘すぎた?」

    「ち、違っ………その、えーと、あのぅ………」

     いきなりまごまごしたアタシに再び、カップを傾けてエスプレッソを楽しめば、彼女は目を見開いて、机から乗り出して。

    「か、関節キ、キ、キス! 恥ずかしくないんですか!?」

     ああ、と納得。なるほど意中の人との関節キスに彼女は恥ずかしがっていたと、理解して。

    「キタサン………アタシ、化粧直してくるわね」

     席を外して、鏡の前に。
     そこには真っ赤に熟れた林檎の頬の美少女がいて。

    「あんなに真っ赤にならなくても………っ! こっちが意識しちゃうじゃない!」

     頬の赤みを消すためにファンデーションを取り出した。

  • 55二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 21:19:58

    すいません追加注文お願いします

  • 56二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 22:51:16

    閉店かな?

  • 57二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 07:09:37

    ぁぁ〜〜〜ぃぃ……

  • 58二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 14:29:51

    これさぁ、花嫁カレンに課金天井してすっからかんなのに次スイープ来たら最悪フル課金で引かせるつもりかい?
    ここの焼肉、美味しすぎるけど高すぎない?

  • 59二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 18:53:03

     まるで──魔法みたいだった。
     圧倒的な差をつけた逃げウマ娘に、気を取られていればいつの間にか最後方から、中盤へ。

     次の瞬きには中盤から先頭へ。
     見る物全ての目を疑う、追い込みの魔法。
     私はその魔法を使う──その女性に見惚れてしまっていた。

     テイオーさんとはまた違う、テイオーさんのはこう、ぐわーっと湧き上がる感情なのに、スイープさんの走りは胸がきゅーって締め付けられてしまうのだ。それをダイヤちゃんに相談したら、

    『きっと、キタちゃんはスイープさんに恋してるんだよ!』

     恋………その言葉は子供心にすとんと落ちた。だからこそ私は貴方に告白したんです。
     道端で見つけた綺麗な花を片手に、宝塚記念を勝ち抜いた愛しい貴方に。

    「私は告白したんです! なのに、それが冗談だったなんて酷いです! キタちゃんの乙女心を弄んだ!」

    「誤解を招く発言やめなさいよ! そもそも10歳も下の子があんな発言をまともに信じてるなんて思わないでしょう!? そもそも付き合ってもうまく行く訳」

    「10歳差の恋愛はうまく行かないジンクスがありますね。ですので」

    「それ、アンタのコンビの話でしょ?」

     私を好きになった理由を聞いてみれば何度もまあ体が痒くなるような憧れと恋心が入り乱れた甘酸っぱい話。

     テイオーと比べられるのは嬉しいが、テイオーの走り抜けたあの輝きの方が脳を焼かれると思ったのはアタシだけだろうか。

    「だとしても! せっかく約束を果たすためにトレセン学園に入学してGIも勝って………1勝だけじゃ不安だから7勝もしたのにまだダメですか?」

     途端に彼女の声が小さくなる。
     いくらアタシでもこんな彼女を突き放すのは些か罪悪感を感じるのだ。

  • 60カルビ22/06/04(土) 19:37:40

     だから、私は呆れたように笑って

    「ダメだとは言わないし、私に憧れてここまで来たのは正直凄い。それは認めてあげる。けど、私にだけ執心しないでよ。アンタの世界が閉じてしまうわ」

     彼女を諭した。彼女はこれから先、ウマ娘達を引っ張っていける人物になる筈だ。
     だからこそ諦めてほしい、私ではない別の、もっと相応しい人物を好きになってほしい。

     私みたいな偏屈で気分屋よりも、もっと幸せになれる筈だから。

  • 61二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 20:09:52

    毎日ありがとうございます

  • 62二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 20:27:46

    ありがてぇありがてぇ・・・

  • 63カルビ22/06/04(土) 23:45:35

    明日は定休日です

  • 64二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 09:13:42

    遅れて来てヒィィャアッハァァアアアしてたら定休日は草
    悲しい……悲C……

  • 65二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 14:55:09

    ウッキウキで店に行ったら定休日
    私の苦手な現象です…

  • 66二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 20:46:06

    くっ...待ってるからな...

  • 67二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 20:49:54

    カルビ追加お願いしまーす 

  • 68二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 08:06:15

    カルビー!

  • 69二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 08:08:13

    待ってるよー

  • 70二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 13:52:39

    >>65

    悲しいですわ…ですがその分の楽しみも増しますわ!

  • 71二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 15:44:09

    めいさく

  • 72二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 16:14:34

    キタサン「ラブホに行きたいです!」

  • 73カルビ22/06/06(月) 18:37:00

    行きたい場所があるんです、と日も傾いたら時間帯にキタサンはそういって、連れてきたのは、

    「水族館ってのも定番のデートスポットよね………」

    「で、ですよね! ところでスイープさん! 逸れたら困るので手を繋ぎませんか!?」

    「人もあんまりいない夜の水族館でしないわよ」

     夜の水族館は昼とは違って神秘的だ。

     まるで光も差さない深海の底を歩いてるような感覚、日常では味わえない空気の中で厳かな音楽が辛うじて陸上であると教えている。

     未成年をあまり夜に連れ回したくはないのだけど、キタサンが出してきた提案。
     これが最初で最後だと考えたら、無垢な願いを叶えてやりたくなるのが歳上の慈悲であって。

    「キタサン、イルカショーあるけど見る? 光と音楽のイマジネーションを貴方に、って文句らしいけど」

    「見たいです!」

    「ならチケットを買ってくるから。ああ、財布を取り出さなくても私が払って………待ってマジックテープ??」

    「なら飲み物の支払いは任せてください!!」

    「やめて」

     バリバリと音が聞こえる財布にアタシは頭を抱えながらもチケットを買って、ショーの舞台に。

  • 74カルビ22/06/06(月) 18:38:02

    水面に反射する月の光と、人工的な七色の光。それを跳ね除けて空高く舞う入鹿の幻想的な景色。

    「確かにこれはカップルに人気な訳ね」

    「凄い凄いですよ! スイープさん! イルカさん達あんなに高く飛んでます!」
     
     隣で目を星にも負けない煌めきを讃えて、年齢らしく楽しんでる彼女がとても微笑ましい。

     明るくて、元気で、可愛くて──強い。
     ウマ娘に必要な全てを持ったこの子に好かれている。

     それはきっと自慢できるようなことなのだ。テレビを見てたら、あれアタシの恋人!って鼻高々に言えるタイプなのは間違いない。

     今日は………久しぶりに楽しかった。
     そりゃあ、彼女の猪突猛進のアプローチには困ったけれど、純粋に憧れて好かれるのは悪くない。
     
     自分は案外人肌が恋しかったみたいだ。
     まともな恋人はいなかったし、小説家なんてインドア職業では出会いなんてあるわけもない。

     ただ空想に浸って、想像で描いて、妄想の貴方に恋をする、そんな生き方がこれまで、そしてこれからも続いていく。

     きっと貴方は今日の事を未来で自分の旦那とかに美しい思い出として語る、それくらいがちょうどいい。

     アタシも貴方と過ごした月下のデートを、恋愛小説に活かすから。
     だからこれでお別れね?と意味を隠して、アタシは微笑んで。

  • 75カルビ22/06/06(月) 18:38:42

    「じゃあ、イルカショーも終わったし、帰りましょ。寮まで送るわ」

     最後くらいは手を握ってあげようか、と手を差し出せば彼女の様子がおかしい。
     手を握る事に照れてるのかと思えば、目が泳いでいる。どちらと言えば、それは

    「キタサン………何か、アタシに言ってない事があるわね?」

    「え、えーとですね………そのう、ダイヤちゃんからデートして上手くいけば、朝まで………みたいな話をしまして。ま、まあ、退路を断つためというか、背水の陣的なぁ………」

    「簡潔に、言いなさい?」

    「外泊届を出してます! なのでスイープさんのお家に泊めてください!!」

     ロスタイム突入決定!
     その事実に私は笑顔のまま額に青筋を浮かべ、差し出した手を引っ込めた。

  • 76二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:42:47

    デリバリーのサービスもあるなんて嬉しいお店だなぁ!(白目)

  • 77二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:44:36

    綺麗な方のキタスイ

  • 78二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:45:47

    まるで汚いキタスイがあるみたいな

  • 79二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:48:16

    何しやがる!!
    ありがとう!!!

  • 80二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:49:25

    これだよコレ
    これを待ってたんだよ!

  • 81二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:50:53

    おいぴー……おいぴーよ……

  • 82二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 18:54:01

    いい……とてもいい……

  • 83二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:01:52

    外泊届出しちまってるならなぁ!
    行くしかねぇよなぁ!

  • 84二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:34:37

    えっちなことするんですね!?

  • 85二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:47:54

    最近はスイープさんをNTRされたりマイクロビキニ着せたりするキタちゃんばっかり見てたから新鮮だ…

  • 86二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:57:36

    やべっ、尊さと甘酸っぱさと健気さでメニュー食い終わる前に消滅してしm

  • 87二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:59:18

    サトちゃんはさぁ、ロスタイムについてより財布とかのアドバイスしてあげて?

  • 88二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:21:49

    きゅんきゅんしてる

  • 89二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:24:10

    美味しいぃ

  • 90カルビ22/06/06(月) 21:06:32

    「………ああ、もういいわ。断って野宿も困るし、ついてきなさい」

     正直な話、テンションが上がっていたのだと、私は思う。
     大好きな人とのデートでお家へお邪魔なんてイベントに舞い上がっていたのだ。

     だからこそ、スイープさんのお家に着く頃にはひどく冷静になっていく。何故なら、

    「………スイープさん、この車って」

    「ん? キタサンもG1七勝したならもっといい車買えるわよ、私はアウディくらいで充分」

     いやいや、アウディ乗り回してる女性なんてそうはいないですよ??
     なんて、私は言葉を飲み込んで助手席に座れば、頭から毛布をかけられて。

    「春だけど夜は冷えるからそれ使いなさい。アスリートが体を冷やしちゃいけないしね。カシミアの毛布だからあったかいはずよ」

     カシミアのブランケット??
     ダイヤちゃんの毛布でしか見たことがなかったものが、今私の膝掛けとして使われていることに、衝撃しかない。

     柔らかくてふわふわな肌触り………ダイヤちゃんがこれじゃなきゃ春先は眠れないという気持ちが分かる気がする。

     車を運転するスイープさん、片手でハンドルを握りながら前を向く姿は非常に凛々しくて素敵だ。

  • 91カルビ22/06/06(月) 21:07:07

    10歳差とは言うが、肌は私と同じくらい白いし、背丈は私より小さいがそれでも女性の中では高い方。

     美少女ではなく、美女。
     魔法使いではなく、魔女のような妖しい美貌と言えてしまう彼女を見ていれば、前につんのめった。

     そんな私の前にはスイープさんの手、

    「ごめん、急ブレーキ。あっぶないわね、あの運転手!」

    「え、あ、ありがとうございます………」

     小さいのに力強い手に支えられた私の体温が急激に上がっていく。
     着く前には冷めますようにと、彼女の承認を得て、窓から入る夜風に火照る頬を晒す。

    「着いたわよ、私の家」

     一目で上流階級のマンションだとわかった。星空が目に入るくらいに高いマンションに入っていく彼女を追いかけて、エレベーターで14階へ上がっていく。

    「いらっしゃい、キタサン。何か飲む? ワインは………ダメよね。ジンジャーエールでいい?」

     中に入ればスイープさんから感じていた香水とはまた違う、上品なウッドのルームフレグランス。

  • 92カルビ22/06/06(月) 21:07:19

    中に入れば、ふわふわのルームシューズを差し出され、あまりのふわふわに言葉を失ってしまう。

     そんな私に差し出されたのはこれまたお洒落なカクテルグラスに注がれたジンジャーエール。

     スイープさんはワイングラスに赤ワインとジンジャーエールを半々くらいで入れて飲み出したが、その赤ワイン、実家でお父さんが記念日にしか飲まなかった記憶のある高級ワイン………だよね?

    「何、突っ立ってんの。座りなさいよ」

     革張りのソファに向かって押されて、そのまま沈み込む快適さに息を吐いて、ジンジャーエールを一口。

     漸く、冷静になった私はグラスを置いて、

    「この度は我儘言って申し訳ありませんでした!!」

    「えぇ………今更?」

     お恥ずかしいG 1七勝者ですみませんと頭を下げたのだった。

  • 93二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:08:16

    美味すぎて馬になったわね……

  • 94カルビ22/06/06(月) 21:08:22

    本日はありがとうございました。
    大人になったスイープはバリキャリの女社長みたいな優雅な生活してたらいいね、の妄想が入ってます。

    でも自室はメルヘンだといい

  • 95二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:09:49

    あっあっあっあっあっあっ

  • 96二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:15:37

    (最高でした……実に素晴らしいです……!)

  • 97二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:16:34

    心がデジたんになる

  • 98二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:20:05

    あぁ〜……あぁ〜……

  • 99二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:32:08

    さてはテメェ、それなりに文才あるな?

  • 100二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:07:29

    このカルビなら毎日でも食えるぜ

  • 101二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 10:35:25

    命が救われる

  • 102二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 10:38:00

    カルビが染みる...

  • 103カルビがもっとほしい22/06/07(火) 12:56:53

    この人過去スレ知りたいんだけどどなたか知ってる人いませんかね……

  • 104二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 12:57:34

    この人、基本フジキセキ担当じゃないっけ

  • 105二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 15:36:13

    >>104

    良いだろ?エンターテイナーだぜ? 

  • 106二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 18:45:55
  • 107カルビ22/06/07(火) 19:37:26

    「全く、タオルとバスローブ貸してあげるからシャワー浴びてきなさい………お風呂の方がいい? 沸かすけど?」

    「スイープさんが背中を流してくれるなら!!」

     行った後でやってしまったと後悔。
     もうちょい考えてから喋りたいが、そんな魅力的な冗談に即答以外で返せるわけも、

    「………ま、いいわよ?」

    「え」

     ない、と答えようとした私にスイープさんの妖しい笑み。
     あんまりにもドストレートな承諾の言葉にに生唾の飲む音が喉から鳴る。

     いや、それってつまり、スイープさんが、私と一緒にお風呂に入って………背中とかを流して………いや待って、まず裸を見れるってこ、と?

     それって合意なのでは??

    「す、スイープさん!! 私達の夜の祭りはこれから──」

    「んなわけないでしょ、この脳内ピンク!!」

     スイープさんによるつまみの2本のプリッツによる攻撃が、胸を突いた。ちょうど私の乳首の位置にストライク。両胸を押さえて床に沈む私に、スイープさんはプリッツを食べつつ、

    「スイープさん、私の………私の乳首になんて事を!」

    「黙りなさい! 発情Dカップ!!」

    「発情Dカップ!?」

  • 108カルビ22/06/07(火) 19:37:42

    あんまりにもあんまりな発言に言葉を失っていれば、スイープさんは私にタオルをぶつけて来た。

     あ、めちゃくちゃスイープさんの匂いがする。

    「アタシの裸を見ようとする思春期の少女なんてこんくらいでいいのよ!!」

    「酷い! スイープさんなんて、ギリギリBの癖に!」

    「寄せればC行くわよ! 次はその乳首を陥没させるわよ! さっさとシャワー浴びて、準備してきなさい!!」

  • 109カルビ22/06/07(火) 19:38:16

    「ったく………泊まらせること早まったかもしれないわね」

     常温に戻したボウルに黄身を四つ、全卵1つ。粉チーズ大匙6杯入れてかき混ぜる。
     同時に寸胴鍋に水を沸かして、パスタを4人前投入。

    「こんな時間から炭水化物は太るわね………ま、たまにはいいか」

     茹でてる間にオリーブオイルで、ベーコンを炒める。ニンニクも入れたいけど、今日はなし。

    「好きな女の前でニンニクの匂いは嫌がるでしょうし」

     パスタを鍋から揚げて、茹で汁を追加。乳化したのを確認して、ボウルの中身を投入。
     塩とバター、ブラックペッパーと粉チーズを加えて、カルボナーラの完成。

    「足りないわよね、多分………あと、2品作るか」

     カルボナーラで余った卵白にトマト、アボカドをバターで炒める。卵白がふわりと固まったら、パセリを添えてソテーの完成。

    「最後はバゲットあるし………アヒージョでいいか、楽」

     オリーブオイルを小鍋に投入して、冷凍タコイカ、ホタテ、ブナしめじ、トマトを加えて塩と胡椒で味つけて5分煮れば完成。

  • 110カルビ22/06/07(火) 19:38:34

    「ま、こんなもんでいいでしょ。飲み物は私はサングリアでいいか。キタサンにはワインについてきた葡萄ジュースが………」

    「お、お待たせしました!」

    「あ、上がった? キタサン。飲み物は葡萄ジュースで………」

     そこにいたのは情熱を思わせる赤色に向こう側が透けて見える薄手のネグリジェ。
     活発な美少女が着ればギャップに嬉しく、若さが妖しさに変わり、これからの夜の帳を楽しめるだろう。

     キタサンのような美少女が着れば、世の男性は換気するに違いない………が、生憎私は女性であって。

    「準備ってのは夕飯を食べる準備よ、バカキタサン!! キタサンブラックからキタサンピンクに改名しなさい!!」

     おしぼりをキタサンの顔面に投げつけて、戻るように命令するのだった。

  • 111二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 19:44:58

    うーん・・・美女スイープ概念・・・いいね・・・染み渡るね・・・

  • 112二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 19:46:06

    牛一頭食い切ったんだけど追加注文いいですか?

  • 113カルビ22/06/07(火) 20:31:46

    追加注文はこのキムチ盛り合わせを頼んでからになります〜

  • 114二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 22:50:33

    >>113

    おかわりだ!!

  • 115カルビ22/06/07(火) 22:52:41

    「冷めないうちに食べなさい」

    「いただきます………」

     すっかり意気消沈した可愛らしいパジャマのキタサンに呆れながら、葡萄ジュースを注いでやる。

     イタリアのファンから送られてきたそれは芳醇な葡萄の香り、舌に残る僅かな渋みとさわやかな甘みが絶品の代物だ。

     キタサンは葡萄ジュースを一口飲むと、曇らせていた目を輝かせて、私と葡萄ジュースに視線を行ったり来たり。

     本当に美味しいものを食べると、黙って目を白黒させちゃうのよね、分かるわ。

    「これってカルボナーラですか!? 黄身の味が濃厚で………チーズのコクがまったりしてて美味しいです!」

    「刻みニンニクを入れたらもっと美味しいんだけどね。女性でニンニクの匂いはきついでしょ」

     うまうまと言いながら、満面の笑みで食べていくキタサン。茹で過ぎたかと思ったが、考えすぎだったらしい。

     しかし、食べてる時の顔は………年齢相応で可愛らしい。先程の大人っぽい格好よりよっぽど好みだ。

    「このトマトと卵白のソテーもイタリアンって感じで美味しいです!」

    「それは見た目がイタリア風なだけでただの余り物よ」

  • 116カルビ22/06/07(火) 22:53:04

     一人暮らしも長く続けば、それなりに明日へ生かす料理や余り物を無駄にしない精神が鍛えられるもの。

     お金があるし、美味しい料理を食べられる場所も知っているが、たまには手料理で好きなものを好きなだけ食べたい時もあるのだから。

    「アヒージョも美味しい………ニンニクがないからちょっと薄味ですね」

    「それは仕方ないわね。でもバゲットにタコとか乗せたら美味しいわよ」

     もぐもぐと緩み切った顔、いつも一人で食べているからか。誰かに料理を食べてもらうなんて久しぶりな気がする。

     キタサンがアタシの手料理を美味しそうに頬張るだけで、なんだかこっちまで嬉しくなるのは何故だろうか。

    「ご馳走さまでした! スイープさん! とってても美味しかったです!」

    「お粗末様」

    「あ、お皿は私が洗います! いたせり尽せりなので、これくらいは手伝わせてください!」

     キタサンがアタシから皿を奪って、洗ってくれる。非常に珍しい光景だ。元トレーナーがたまにアタシの家で料理を作って、皿洗いをする事はあるけども。

     鼻歌を歌いながら、アタシではない歳下の女の子が皿洗いをしている。
     その景色になんだか気恥ずかしくなってしまって、アタシは目を逸らす。

    「………調子狂うなぁ、もう」

     最後のサングリアを口にする。
     何故だかとても甘酸っぱかった。

  • 117カルビ22/06/07(火) 22:53:40

    閉店です。ネタ切れという品切れを起こしつつあります………

  • 118二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 22:56:19

    日ノ本の牛全て平らげるつもりで待っていますのでスレ主の気分で続きをお書きくださいませ

  • 119二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 22:56:26

    旨い!食いつくす…品切れになるまで!

  • 120二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 23:19:24

    すいませんこの『牛タンステーキ~ご飯食べた後まだ時間あるし映画でも見る?って恋愛映画を2人で見ていい雰囲気になるキタスイ~』ってまだありますか?

  • 121カルビ22/06/07(火) 23:23:57

    >>120

    すいません………品切れでして

    「ねえ、スイープさん、映画みませんか?」

    「うん、いいわよ………」

     キタサンが私の髪に顔を埋めて、互いに尻尾を絡ませて、それで両者が感じとる。

    ((いい雰囲気………映画見ないでこのままうまぴょいしちゃうか!))


     までしかないんですよ、ごめんなさい

  • 122二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 23:48:52

    >>121

    入荷は!!!!いつしますか!!!!??

  • 123二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 23:50:01

    >>121

    もっとよこせえええ!

  • 124二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 10:00:56

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 16:43:45

    パクパクですわ!
    おかわりもってきてくださる?

  • 126二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 20:09:39

    もっと・・・キタスイをもっと・・・

  • 127カルビ22/06/08(水) 20:43:38

    「キタサン、あんたはここで寝なさいね。布団は出してあげるから」

     来客用の布団を敷けば、何かを訴えかけるようなうるうるとした目。

    「まあ、一緒に寝ても構わないけど………」

    「本当ですか!?」

    「その場合、貴方のトレーナーに直接電話して貴方の指導はどうなってるの?ってクレーマーみたいに言うわよ」

    「………今回は遠慮しますぅ」

     血涙を流しそうなキタサンに枕を投げて、タオルを取り出し、バスルームへ向かう。
     今日はもうシャワーを浴びてさっさと寝てしまいたい………が、

    「先に行っておくけど、覗いたら次こそ乳首を陥没させるわ。そんでSNSにキタサンの乳首はブラックって書いてあげる」

    「くっ………スイープさんの入浴を前にして、何て高い壁………まるで絶壁………」

    「どこ見て言ってんの? 今すぐ乳首黒染してあげようか? キタサンピンク」

     視線が私の胸に行ってるキタサンから逃れるようにバスルームの鍵を閉めて、服を脱ぐ。

  • 128カルビ22/06/08(水) 20:44:31

     淡い紫のブラと合わせるのが面倒だったから下は水色で、キタサンに見られては幻滅するだろう。

    「というか、こんな貧相な体見て何がいいんだか………」

     エロいより、可愛い。子供っぽい。
     そう言われ続けた私の体は結局、グラビアのようなスタイルにはならなくて。

     元トレーナー曰く、美しいアスリートの体だね!という微妙な評価。
     いや、トレーナー目線は全く嬉しくない。

     シャワーを浴びて、体を洗う。
     現役の癖で足からメンテついでに洗うようになった。今日は結構歩いたけどまだまだ足は丈夫らしい。

     基本的にシャンプーは元トレーナーの私物と同じ物だ。おざなりなアタシはそうじゃないとリンスインシャンプーばかりなので。

    「はぁ………なんか、疲れたわ、本当」

     シミひとつない肌を温かなお湯が流れていく。鏡に映る自分はあの頃とまるで変わらないように見える。

     老けてはないが、童顔は変わらない。
     胸は僅かに大きくなったが、寮長とまではいかないくらいに。

    「何で、こんな女を選んだんだか………」

     バスルームから出て、ローブを纏う。
     ドアノブをわざとガチャと音を立てれば、バタバタという足音。

    「物好きよね………あいつ」

     なのに、こんなアタシの裸を見たいと思うその感情はちょっぴり嬉しかったり、なんて言うつもりもないのだけど。

  • 129カルビ22/06/08(水) 20:58:51

    着地点を見失ってる気がしてますが、閉店です。

  • 130二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 21:00:59

    おかしいな……提供される料理はとても美味しいのに生殺しにされてる気分だ……

  • 131二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 21:02:00

    おかわり!

  • 132二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 22:52:56

    このレスは削除されています

  • 133二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 07:32:32

    保守

  • 134二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 12:29:28

    閉店? 
    朝イチできましたのよ?

  • 135二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 18:30:47

    店長!頼みますよ!!

  • 136カルビ22/06/09(木) 20:41:24

    本日は新メニュー考案な為、休みます。
    新メニュー:カルビ丼
    「スイープさん! 私にだけちゅうをお願いします! じゃないと明日のレース頑張れません!!」
    「あんた付き合いだしてから、露骨になったわね………ほらじゃあ、こっちに来なさい」
    「やったぁ!! じゃあ、早──」
     爪先立ちのスイープが近づいたかと思うと、2秒の接触、1秒にも満たない熱の交換。
     されど、真っ赤になるまで0秒もいらなくて。
    「ほら、さっさと寝なさい………何よ、その顔」
    「え、いや………てっきり、私は、その、ライブの振り付けを見たかっただけで、そう………あ、ありがとう、、ございます?」
    「………………………え?」

  • 137二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 22:51:57

    お肉は熟成も重要なのでな
    捌いて焼けば良いというものではないのだ…!

  • 138二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 01:46:21

    カルビ丼腹が裂けても食います

  • 139二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 08:48:58

    あああああああああああああ!素晴らしい!
    もっとしろ(過激派

  • 140二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 17:00:16

    なんやこのカルビ!
    ウチでも胃もたれせえへんでオグリ!!

  • 141カルビ22/06/10(金) 21:25:29

    「それじゃあ、おやすみなさい、キタサン。明日、朝練してそのまま練習でしょ? 早めに寝ないとね」

    「恋バナをしませんか!?」

    「しないわよ、バカ」

    「因みに私はスイープさんが好きです!」

    「愛を唄えって言ってるわけじゃないんだけど」

     ぐずるキタサンをあしらって、自室に入る。他人が入るリビングには洒落たインテリアを置いているが、自室はまた別。

    「こんな年して少女趣味ってバレたら、流石に100年の恋も冷めるわよね………」

     ふわっふわのクッションに天蓋次のクイーンサイズのベッド。所狭しと置かれたハートのクッションに、テディベア。

     壁には意味などないけど、かっこいいから飾ってる魔法陣。棚には私が書いた魔術書やら魔法っぽい古書が詰められていて。

     唯一の例外はこの空間で浮いているシステムデスクとノートパソコン。
     自分のデビュー作で買ったお気に入りのものだ。

    「………ネタ、ネタぁ。降りてこーい、ネタぁ」

     作家になってから寝る前に習慣として、1文を書くようになった。
     けれど恋愛作品を書いてください!と言われてから1文すら書くこともできなくて。

  • 142カルビ22/06/10(金) 21:27:07

    「締め切りは1週間後だってのに、真っ白じゃない………どうすんのよ………」

     睨めっこしても文字は出てこない。
     手を動かしても、すぐに真っ白に戻っていく。

     実体験を元にすればいいなんて、周りはよく言うけれど、青春をレースとライブと魔術に費やしたアタシにそんなものは、

    「………ある! 今日なんてキタサンの暴走に目を瞑ればらしいデートじゃない!」

     脳裏によぎる黒髪の年下のウマ娘。
     派手でアタシには勿体無いくらいの可愛くて素敵な子。

     そんな子に好かれてしまった元G1ウマ娘の小説家と始まるラブロマンス。日記のように始まりから物語を起こす。

    "すきです。わたしのおよめさんになってください"キタサンとの約束から、

    "どうか私と結婚してください!"
    指輪をいきなり渡されて、

    "まるで、魔法みたいでした"
    憧れから好意を、

    "デート!? いいんですか!?"
    デートの日取りを、

    "外泊届けを出しました! 泊めてください!"
    家にまで来て、寝る前に彼女は言うのだ。

    "今度はアタシから誘ってあげる"
    「だから──"魔女集会で会いましょう?"」

  • 143カルビ22/06/10(金) 21:27:45

    保存を押して、背中を伸ばす。
     時計を見れば、もう朝日が昇る時間になっていて。

     レース並みの集中力を発揮したアタシを襲う疲労感。無性に甘いものが食べたくなって、私は部屋を出れば、

    「あ、おはよう御座います! スイープさん! 朝ご飯! 出来てますよ!」

     ──甘い蜂蜜の香りに包まれた、彼女が出迎えてくれたのだ。

  • 144カルビ22/06/10(金) 21:28:08

    次回、最終回

  • 145二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 21:29:17

    スイープ……朝チュンだ……

  • 146二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 21:30:02

    無くなったのか…肉の倉庫が…

  • 147二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 21:47:42

    お肉が売り切れですか!!??
    仕入れてきますよ!!! 

  • 148カルビ22/06/10(金) 22:02:21

    ネタ切れではあるけど、キリがいいから終わらせたいよね。一応適当にまとめて置きます。

    まあ、要望があれば>>151までの奴をネタに超短い奴書くからどうぞ

  • 149二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 22:05:09

    初夜後のピロートークを……

  • 150二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 22:10:00

    バリバリ財布や背伸びした注文が無くなった
    デートn回目なキタスイとか…?

  • 151二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 23:05:18

    スイープ完全リードしてたけど後にベッドの上でキタサンの若さに負けちゃう話

  • 152カルビ22/06/10(金) 23:07:54

    ok
    じゃあ、
    キタサンにリードされるスイープ(スパダリ化したキタサンにたじたじなスイープ)

    ベッドの上で体力負けするスイープ(r18なしで)

    事後

    の流れで行きます

  • 153二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 23:10:25

    最後の最後にこんな特上カルビを残していやがるとはな…ッ!

  • 154二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 07:33:47

    >>152

    楽しみに待ってます!

  • 155二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 17:09:10

    開店と同時に入店できるように陣取ってやるぜ

  • 156二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 17:51:04

    物書きとして尊敬しちまうよ……オチへの繋げ方がよぉ……

  • 157カルビ22/06/11(土) 17:57:51

    「冷蔵庫の食材、勝手に使わせていただ来ました………晩御飯までご馳走になってばかりなので朝ご飯作ってから出て行こうと………」

    「別に気にしなくていいわよ。消費期限がギリギリなものしかなかった筈だし。それより朝ご飯は何? 甘い匂いがするけど?」
    
 背が高いからかアタシ黒いエプロンが本当にサマになっているな、と感心しながら鼻を甘い香りが擽ったのでキッチンに目を向ける。

    「フレンチトーストです! ハチミツかシナモン使ってくださいね?」
    
 彼女がフライパンから大き目のフレンチトーストを皿に盛り付けていく。 
 白い湯気を立てる出来立ての淡いタンポポのような色のフレンチトースト。 
 その上にかけられた黄金色のハチミツの甘い香りが食欲をそそる。
     
    「いただくわ」

     ナイフが用意されていたが、フォークの感触にいらないと判断。
     器用に切り分け、一口齧ると、フレンチトーストはフワリと容易く歯で噛み切れる。
    
 口の中でミルクと卵の優しい味わいと、ハチミツの何処かホッとするような甘さが疲れた体に染み込んでいく。

  • 158カルビ22/06/11(土) 17:58:45

    「スイープさん、徹夜で作業してらしたので疲れてるかなって………なのでこのメニューにしました。お味はどうですか?」

     ああ、そっか。と納得した。
     他人の料理だからなのもある。久しぶりに朝食を取ったのもある。

     だけど──誰かに優しくされた料理がこんなに温かいなんて知らなかった。
     少し手放しづらくなるくらいに。

    「キタサン………」

    「はい? スイープさん?」

     彼女はキョトンとしたら顔で、こちらを見ている。なんとなく意地悪したくなったのが1つ。

    「次はアタシが朝ご飯作ってあげるわ」

    「───へ?」

     ちょっとばかりの"甘さ"が大半。
     ほんの少しのスパイスを混ぜて、出来た魔女のレシピ。

    「だから──また遊びましょ? キタサンブラック」

     アタシはそれを──幸せと名付けた。
     それをアンタにお披露目してあげる。

    「え、えええええええええええええええええええええええええええっ!?!?」

     だから──魔女集会で待ってるわ。
     今度はアンタから誘いなさい!

  • 159カルビ22/06/11(土) 18:05:11

    以上です。ご愛顧ありがとうございました。
    当店はこれにて閉店となります。
    明日の定休日を挟んで、特上カルビを提供しますがそれでおしまいです。

    最後になりますが………キタスイいいよね

  • 160二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 18:30:59

    あまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!
    キタスイいい・・・ピエドラデルーナちゃん頑張れ・・・二人の結晶どうか実を結んで・・・

  • 161二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 18:37:07

    ありがとう、とても美味しかった
    同じ料理でも別の料理でもいい、また開店したら知らせてくれ

  • 162二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 18:39:59

    ありがとう…ありがとう…最高だった………

  • 163二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 18:43:00

    特上メニュー

  • 164二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 18:48:48

    ごちそうさまでした。またの開店楽しみにしてます。

  • 165二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 23:49:16

    仕事終わりにとても沁みる味で本当に……本当においしい…………
    涙が出てきた……

  • 166二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 23:55:40

    >>152

    キタスイ美味すぎる普段は全く待ち遠しくない月曜がこんなに待ち遠しいなんて

    そしてここまで素晴らしい物を作ってくれてありがとうございました

  • 167二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 11:02:34

    あぶねっ! 閉店回避!

  • 168二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:53:18

    明日が楽しみだね

  • 169二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:01:02

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:16:02

    月曜日って本来鬱になるものなのにこんなに楽しみになるなんてな 

  • 171二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 04:50:50

    ジップロックに入れて仕事中に食いてえ味

  • 172二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 08:28:19

    とてもいい!

  • 173二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 09:07:57

    スタートからずっと追いかけてきてよかったべ・・・

  • 174カルビ22/06/13(月) 18:43:26

    「お待たせしました、スイープさん。今日も可愛くて素敵です!」

     キタサンと付き合いだしてから、早3ヶ月。色々あったけれどこういう関係に落ち着いて、何回かデートを重ねるうちに気づいてしまったことが一つ。

    (あれ………キタサン、なんだか滅茶苦茶理想の彼氏になってない??)

     デートが始まれば、必ず彼女は手を握ってくれる。だけどその握り方がとてもスマートで、下手な男よりがっつかずに、触れていたらいつの間に握られていた、みたいな。

    「スイープさんはこっち」

     左手を握られて、車道側をキタサンが歩いてくれる。車線が変われば今度は右手を握られる。

    「スイープさん、どうぞ?」

    「………ありがと」

     そうこうするうちに考えていたお店に。何も言わなくても扉を開けてくれるキタサンに軽く礼を言って中に。

     今日は季節の変わり目もあって、洋服の新調を………と考えてい矢先に目に入ったのはランジェリーショップ。

  • 175カルビ22/06/13(月) 18:43:50

    (そ、そうよね………恋人になって3ヶ月、そういう段階に………踏み込んでもいい頃よね)

     幾らキタサンが素敵な彼氏だからって、アタシのほうが大人なんだからリードしなくてはならない。

    「え、あのスイープさん!? 今日、その………下着、買うんです?」

    「いいから黙ってついてきなさい。キタサン。アンタに………選ばせてあげるから」

    「!?!??」

     ふらり、とキタサンの手を引いてランジェリーショップに入店。その時点でキタサンの手から滲む汗がすごい。

    「あ、このネグリジェとかどうです? いやでもベビードールのほうが似合うかなぁ………」

     だけどそれをお首にも出さない姿には素直に尊敬。でもキタサン、アンタが持ってるほぼ糸のマイクロビキニは着ないからね?

    「………キタサン、アンタはピンクと水色どっちが好き?」

    「好きなのは赤とかなんで、ピンクでお願いします!!」

    「あっそ、じゃあ………夜、期待しときなさい」

  • 176カルビ22/06/13(月) 18:44:40

    仕込みの時間が長い方が上手くなるってロース先輩は言ってました。

    ですので、明日の夜まで待ってね

  • 177二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 19:15:33

    合体魔法ですか!??

  • 178二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 19:16:34

    キタスイ見ると涎が出てきた
    これがかの有名なパブロフのキタスイ…!

  • 179二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 20:42:10

    これが熟成肉の力…

  • 180二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 20:44:25

    しれっとキタちゃんマイクロビキニ持ってるの草

  • 181二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 21:29:54

    グァツグァツまだ明日もある楽しみ
    マイクロビキニキタスイはこれからもっとハヤル(*´ω`*)

  • 182二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 21:31:05

    キタスイいいよね

  • 183二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 23:07:06

    実はこのスレのおかげでスイープを待つ鋼の意志を獲得してイナリの誘惑に耐えてる

  • 184カルビ22/06/14(火) 00:03:44

    6/11の明日の夜。つまり、今だよね。
    というわけで投稿。

     「映画面白かったですね! 幻のウマ娘! あんな人がいたなんて、感激です!」

    「ああいうのがいたら、噂とかありそうだけどね………実は私達の近くにいたりして」

     目的だった映画を見て、夕飯にしようと入ったのはハンバーガー屋。キタサンが選んだ店にアタシはポテトをつまみながら、釈然としない態度で、

    「というかこんな店で良かったの、キタサン? 和洋中、おすすめの店なら幾らでも紹介したわよ?」

    「わかってませんね〜スイープさん。映画を見た後はジャンクなご飯で語り合う! それがまたオツなんです!」

     それにあまり高い店だと、学生の私に遠慮して奢りばかりになりますから、と彼女は照れ臭そうに笑って。

     そんな可愛い笑顔に胸の奥がきゅーっと締め付けられる。付き合ってから何度この笑顔にきゅんとしたのだろうか。

  • 185カルビ22/06/14(火) 00:04:23

    「あ、スイープさんはゆっくりでいいですから! 落ち着いて食べてくださいね!」

     今日で分かったのだが──私の恋人はどうやらスパダリに分類される人だったらしい。
     アタシより先に食べ終わっても、携帯を見ずにアタシの話を聞いてくれている。

     映画の時も、エンディング終わるまで席を立たなかったし、化粧直してる間も先に席に座らずに待っててくれるし。

    「それで? この後、どうする。キタサン?」

     だけど、今日のアタシはそのスパダリキタサンを手球に取るのだ。これ以上ない上目遣いで、頬杖ついて、彼女を見つめれば、

    「えっ!? え、えーと………今日は外泊届けだしてますし、そのぉ………もうちょっと一緒にいたいって言うか………」

     真っ赤になって逸らした顔にアタシはちょっとした嗜虐心が浮かぶ。悪戯っ子のように、キタサンの足に私の足を絡めれば、面白いくらいに体を震わせて、

    「ふふ………ねぇ、キタサン? 実はアタシ、アンタが選んだ下着を着てあげてもいいんだけど?」

     チラッと荷物を見せれば、キタサンの呼吸が徐々に荒くなるのが分かり、楽しくなってきて。

  • 186カルビ22/06/14(火) 00:04:48

    「スイープさん、それ以上はやめてください」

    「なにが〜? やめなかったら、どうす──」

    「お会計お願いします。釣りはいりません」

     煽っていたアタシの手をキタサンが強く握りしめて、有無を言わさない強い足取りで迷いなく道を進んでいく。

     やりすぎた、と認識した頃にはとっくに周りは煌めいた建物とそういう空気に呑まれていて。

    「き、キタサン………? アタシが悪かったから、ね? アンタはいい子でしょ………?」

    「はい。なので悪い魔女を倒します──誰も入らないベッドの上で」

     こちらを見たキタサンの情欲の目に、アタシの鼓動が早くなる。

    「──寝られないと思ってください」

  • 187カルビ22/06/14(火) 00:05:15

    アタシの体を余裕で包み込める肉体がうねりをあげて、アタシを抱き抱える。
     アタシからしたらまるで乗り物に乗っているようだが、熱と悦が現実だと伝えていて。

     交わす言葉は吐息と、銀。
     交わるのは熱と声。

     最初は大人の意地でアタシがリードしていたのに………三回戦目にはアタシが下で、彼女は上になっていて。

     夜の帳が下りた頃にはアタシの体に、彼女の証がないところはなくて。
     軋む音を立てて、2人で踊るベッドの上。

     きっと他の人には見せられない。
     だって他の人には見せたくない。

     貴方は、アタシのモノだから。
     アタシは、貴方のモノだから。

     "愛してる"の5文字を伝えるよりも、貴方が好きだと抱き締める腕の力の方がいっそう伝わると思って。

     "離さないで"と伝えた言葉は彼女の愛に遮られて。背中越しに抱きしめられた彼女の鼓動が同じ意味を持っていたから。

     手も足も、絡み合って、解き放って、声が枯れるまで、互いに愛を交わして、彼女の腕に抱かれて眠る、朝の雲雀。

     眠った横顔に、アタシはそっと手を添えて

    「──キタサンブラック、だいすきだよ」

     素直になれないアタシの"熱"が貴方に伝わればいいのに。
     なんて、彼女の寝顔にキスをした。

  • 188二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 00:05:58

    このレスは削除されています

  • 189カルビ22/06/14(火) 00:06:35

    朝の光がアタシの肌を撫でていて。
     枕元に腰掛けていれば、ぐずるような声で彼女が目を覚ます。

    「おはよう、キタサン。よく眠れた?」

    「あ、その………おはよう………ございますぅ」

     キタサンは赤茶の瞳を大きく見開き、頬を赤くする。それから困ったようにシーツの裾をもじりと弄り、視線を左右に彷徨せ、返された挨拶は、随分と小さな声だった。

    「何、今更恥ずかしがってんのよ。昨日、あんだけアタシの全てを見たってのに」

    「………うん」

     初めて知ったのだけど、二人で眠るということもそれとない恥ずかしさを伴うものらしい。

    「………照れないでよ、馬鹿キタサン」

     翌朝顔を合わせるということもそれ以上の恥ずかしさを伴うものであった

  • 190カルビ22/06/14(火) 00:07:07

    どこか落ち着かなそうにで手を組んだり、組んだと思った手を解いて腰やお腹のあたりをさすったりと、忙しなかったキタサンを置いて買い物袋から新しい下着と服を取り出して。

    「え、スイープさん?? そんな、サービスシーン………!」

    「それは昨日散々やったでしょうが! 朝から盛らないでよ! バーカ!」

     べえっと舌を出せばキタサンがまた髪を撫でてほおを赤くするが、アタシが下着をつけた際には目を離さないでいて。

     思春期っぷりにため息ひとつ。
     そんな恋人を可愛いと思うのは惚れた弱みで。

    「早く着替えなさいよ、キタサン。さっさと行くわよ」

    「何処に………ですか?」
     
     アタシはベッドにまた腰掛けて、頬に口付けを一つ落とす。目を見開く彼女だけを魅了するその声で、

    「朝ご飯、作ってあげる。約束したからね」

     大好きな貴方へ、愛の呪文を囁いた。

  • 191カルビ22/06/14(火) 00:08:11

    これで終わりです!文句ない終わり!
    カルビは暫く旅に出ます。
    読んでくれてありがとう、私は本当に幸せだった!

  • 192二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 00:08:29

    ふふ、最高の誕生日プレゼントだった ありがとう

  • 193二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 00:10:33

    しばらくカルビで胃もたれだぜ

  • 194二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 00:30:17

    心のデジたんが尊死した
    ありがとう 

  • 195二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:19:26

    満腹です!

  • 196二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:20:56

    ごちそうさまでした

  • 197二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:40:20

    すごく素晴らしいです……こう、なんていうかその、すごい尊くてすごい物語でした……!

  • 198二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:41:24

    200

  • 199二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:41:35

    なら

  • 200二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 01:41:45

    続編

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