「ねぇ、イクノ。今日の放課後、校舎裏に来て。話があるんだ」

  • 1二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:06:36

    テイオーさんはそう言った。
    そして現在。
    私は校舎裏で待っている。
    日も暮れてきて、そろそろ夕焼けが綺麗な時間帯だ。
    「お待たせー!待った?」
    「いえ、大丈夫です」
    テイオーさんが来た。
    今日はジャージ姿ではない。制服姿のままだ。
    「それで、どうしたんですか?急に呼び出して……」
    私の言葉に、テイオーさんの表情が変わった。
    真剣な顔だ。
    そして彼女は口を開いた。
    「……あのさ、イクノはマックイーンのこと、どう思ってる?」
    「……えっ?」
    予想外の質問だった。
    「じゃあ言い方変えるね。マックイーンの事…好き?」
    ……私は返答に困る。いきなりそんなことを聞かれても、答えようがない。
    だが、私の気持ちを聞こうとしていることは分かった。
    ならば、私なりの誠意を持って応えなければならないだろう。
    「…………はい、そうです」
    「……本当?」
    「はい。」
    「…………そうなんだ」
    テイオーさんは俯いたまま呟くと、突然走り出した。
    「ごめん!」
    そのままどこかへ行ってしまった。
    「なんだったんだろう……」
    私は呆然と立ち尽くすしかなかった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:07:10

    ――――――
    イクノさんは美しい。見た目はもちろん、内面まで美しい。
    彼女の優しさや思いやりの深さは、一緒に居ればすぐに分かることだと思う。
    私、メジロマックイーンがイクノさんに恋をしていると気付いたのは3ヶ月程前。ある日の練習中のことだった。
    私は自分の体力の限界を感じ、休憩していた。
    その時、イクノさんが飲み物を持ってきてくれたのだ。
    その時からだろうか。
    私が彼女を意識し始めたのは。
    「どうしました?マックイーンさん」
    イクノさんに声をかけられ、ハッとする。
    「あっ、いえ、なんでもありませんわ」
    「そうですか……。無理しないでくださいね」
    その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられたような感覚に襲われた。
    (ああ……この人はなんて優しい方なのでしょう)
    そして私は決意した。
    1週間後に控えるファン感謝祭。その日にイクノさんに告白すると。

  • 3二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:07:46

    ファン感謝祭当日。
    学園内はいつも以上に賑やかな雰囲気に包まれていた。
    出店が多く並び、グラウンドではイベントも行われているようだ。
    そんな中、私はある場所へ向かっていた。
    校舎裏。そこは普段人が寄り付かない場所だ。
    私は校舎裏に着くと、辺りを見渡してみた。
    誰もいない。まだ時間的には早いからかもしれない。
    私は深呼吸をして心を落ち着かせると、校舎の壁にもたれかかった。
    「ふぅ……」
    しばらく待っていると、足音が聞こえてきた。
    (来た……)
    私は音の方へと視線を向ける。そこにはイクノさんの姿があった。
    彼女は私を見つけると、こちらに向かって歩いてくる。
    そして私の前で止まった。
    「マックイーンさん、お待たせしてしまいましたか?」
    「いいえ、大丈夫ですわ。それより、少し歩きませんか?」
    「分かりました」
    2人で並んで歩く。

  • 4二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:08:26

    沈黙が続く。何か話さないと……。
    「あの、今日は来てくださってありがとうございます」
    「いえ、私も楽しみにしていましたので」
    「そ、それは良かったです……」
    また会話が途切れてしまった。
    こういう時に限って話題が出てこないものだ。「あ、そうだ!マックイーンさんはもうチケットを買いましたか?」
    「は、はい、買いましたわ!」
    「そうなんですか!?実は私はまだ買っていないんです。あとで行こうと思っていて」
    「それなら、もしよろしければ私の分を差し上げますわ」
    「えっ、いいんですか?」
    「もちろんです。是非受け取ってください」
    イクノさんに渡したチケットは、ファン感謝祭の見せ物のチケットだ。彼女が来る前に購入していたものなのだが、渡す機会がなかったのだ。
    「本当にいいんですか?マックイーンさんの分まで貰うのは申し訳ない気がしますけど……」
    「気になさらないでください。それに、せっかくのお祭りなんですから楽しまないと損ですよ?」
    「……それもそうですね」

    「それじゃあ、行きましょう」
    「はい」
    私たちは再び歩き始めた。
    グラウンドに出る。そこではライブが行われていた。
    「すごい人ですね……」
    「ええ、こんなに沢山の方が見に来ているとは思いませんでした」
    周りを見ると、多くの人が集まっていた。
    ステージにはウマ娘達が立っている。
    「マックイーンさん、私達も見てみます?」
    「ええ、そうですね」
    私達は空いている席を見つけて座った。ちょうど真ん中あたりの席だ。

  • 5二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:08:38

    音楽が流れ始め、それと同時にウマ娘たちの歌が始まった。
    彼女たちは歌を歌っている。とても上手だ。
    「綺麗な歌声ですね」
    「ええ、素敵です」
    曲が終わると同時に拍手が起こった。
    「凄かったですね」
    「ええ、感動しました」
    それから他の出し物を見て回った。
    射的、輪投げ、金魚すくいなど、様々な店が出ている。
    「あっ、マックイーンさん、あれ食べたいです!」
    イクノさんはある店を指差す。
    「たこ焼き、ですか?確かに美味しいかもしれませんね」
    「じゃあ、行ってきますね」
    「あっ、待ってください!」
    イクノさんは1人で行ってしまった。

  • 6二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:08:54

    私は慌てて追いかける。
    「すみませーん、2つお願いできますか?」
    「あいよ!」
    「はい、どうぞ」
    「ありがとよ!」
    イクノさんはお金を払うと、袋に入ったたこ焼きを受け取った。
    「はい、マックイーンさん!」
    「ありがとうございます。……熱いですね」
    「はふはふ……」
    私は息を吹きかけて冷ましながら食べることにした。
    「……どうですか?」
    「とってもおいしいです!ほら、マックイーンさんも早く食べてください」
    「ではいただきます……あつッ!!」
    はふはふと口の中で転がしていると、熱さが襲ってきた。
    「マックイーンさん、猫舌なんですか?」
    「ええ、昔からそうなんですよ」
    「ふふふ、可愛いところあるじゃないですか」
    イクノさんはクスリと笑うと、自分の分のたこ焼きを食べ始める。
    (……やっぱり可愛らしい)

  • 7二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:10:36

    「どうかしましたか?私の顔なんかじっと見つめたりして」
    「あっ、いえ、なんでもありませんわ」
    危なかった。つい凝視してしまった。
    私は誤魔化すように残りのたこ焼きを食べると、イクノさんと一緒にグラウンド内を見回る。
    グラウンド内には小さな出店も多く出ていた。
    「あっ…かわいい……」
    イクノさんは何かを見つけたようだ。
    「あら、これは……」
    「あっ、マックイーンさんも気付きましたか?これ、すごく可愛いと思いませんか?」
    イクノさんが見つけたのはぬいぐるみだった。
    「ええ、とっても」
    「マックイーンさん、ちょっとだけ見てもいいでしょうか?」
    「もちろんいいですよ。私も見たいなと思っていたところでしたので」
    イクノさんは嬉しそうに微笑むと、そのお店の方へ歩いていった。
    私はその後ろ姿を見ながら思う。
    (イクノさんは本当に可愛い)
    イクノさんはしばらくそのお店で買い物をしていた。
    (随分と長いこと選んでいますわね)
    一体何を買われたのかしら……。
    「お待たせしました」
    「いえいえ、大丈夫ですよ」
    「それで、何を買ったんですか?」
    「これですが……」
    イクノさんは手に持っていたものを見せてきた。
    それは先ほど買っていたぬいぐるみだ。

  • 8二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:10:48

    「わぁ、この子も可愛いですね」
    「マックイーンさんもそう思いましたか?」
    「ええ、とっても」
    「マックイーンさんも買えばよかったのに」
    「いえ、私には似合わないと思いますし……」
    「そんなことはありませんよ。マックイーンさんにもきっと似合うはずです」
    イクノさんは真剣な眼差しでこちらを見る。
    「そ、そうですか?」
    「ええ、絶対にそうですよ」
    そこまで言われるなら……でも、少し恥ずかしいわね。
    「じゃあ、買います」
    私は財布を取り出してお金を払った。そして、それをイクノさんに渡す。
    「はい、どうぞ」
    「ありがとうございます!」
    イクノさんはとても喜んでいる。その姿を見ると、私も嬉しい気持ちになる。
    それから私達はグラウンドを歩き回りながら、色々なものを見た。
    金魚すくいで勝負をしたり、輪投げや射的で遊んだり、他にも色々と。
    「マックイーンさん、次はあれに行きましょう」
    「ええ、行きましょう」
    私たちは笑い合いながら、楽しい時間を過ごした。

  • 9二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:11:37

    マックイーンさんと過ごす時間はあっという間に過ぎていった。
    2人でいる時間がとても楽しくて、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。
    マックイーンさんも同じことを思ってくれているだろうか。もしそうだとしたら……凄く幸せだと思う。
    「もうすぐ終わりの時間になってしまいますね」
    「ええ、残念です」
    「また来年、一緒に見れますかね」
    「えっ?あっ、は、はい、多分」
    「ふふ、約束、忘れないでくださいね」私はマックイーンさんの手をギュッと握る。すると、マックイーンさんは私の手を強く握り返してくれた。
    「………そろそろ後夜祭が始まりますわね」
    「ええ、楽しみですね!」
    「ええ、とっても」
    私はマックイーンさんと一緒にグラウンドの中央へと移動する。そこにはキャンプファイヤーが用意されていた。
    「綺麗……」
    「ええ、本当に……」
    火の周りでは生徒たちが集まって踊っている。
    「あっ、マックイーンさん、見て下さい」
    私は空を指差す。
    「あれは……?」
    「花火です」
    「ええ、そうみたいですね」
    「綺麗……まるで宝石のようです」
    「ええ、本当に……」
    私とマックイーンさんはしばらくの間、その光景に見惚れていた。
    「あっ、あの、イクノさん」
    「はい、なんですか?」
    「私と、踊って頂けますか?」
    「……はいっ!喜んで!!」

  • 10二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:11:47

    私はマックイーンさんの手を取ると、踊り始める。周りからは歓声が上がり、私たちの姿が照らされる。
    「わぁ……!」
    「マックイーンさん、とっても素敵ですよ」
    「ありがとうございます……イクノさんもとっても可愛らしいです」
    マックイーンさんは笑顔を浮かべると、私を見つめてくる。
    「えへへ、そう言ってもらえるのはとっても嬉しいです」
    「私こそ、こんな素敵な方と一緒に過ごせて光栄ですよ」
    「本当ですか?それなら良かったです」私たちはお互いに微笑み合う。
    (ああ、やっぱり私はこの人のことが好きだ)

  • 11二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:12:13

    私は改めてそう思った。
    そんな事を思っていると…
    「イクノさん、話があります」
    突然、マックイーンさんが真面目な表情になった。
    「話……?」
    「はい」
    「わかりました。何の話でしょうか」
    マックイーンさんは大きく深呼吸をすると話し始めた。
    「私はイクノさんの事が大好きですわ」マックイーンさんははっきりとした口調で言う。
    マックイーンさんの言葉を聞いた瞬間、体中が熱くなる。
    マックイーンさんは真剣な眼差しでこちらを見てくる。
    心臓がバクバクして止まらない。
    どうしよう。頭が真っ白になって何も考えられない……。…………。
    (返事をしなくちゃ)
    私が今できる精一杯の気持ちを伝えないと。
    そうしないと、後悔する気がするから。
    だから、ちゃんと言わないといけない。
    勇気を出して一歩踏み出さなきゃ。
    大丈夫、私だって、ずっと前からあなたのことが好きだったんだもの。
    きっとうまくいく。頑張れ、イクノ。
    私は自分の頬を思いっきり叩く。
    パンッ!! 大きな音が鳴り響く。
    私は息を大きく吸うと、口を開いた。「私も、マックイーンさんの事が好きです。私もあなたと一緒に居たい。これから先もずっと」
    マックイーンさんは驚いた顔をしている。
    「イクノさん……」
    「マックイーンさん、私とお付き合いしてくれませんか?」
    「はい、もちろんですわ!」
    マックイーンさんの目には涙が浮かんでいて、とても嬉しそうな笑みを浮かべている。
    私も自然と目尻に温かいものを感じた。
    こうして、私たちは恋人同士となった。

  • 12二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:12:30

    終わりデース!

  • 13二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:13:32

    良いssをありがとう!

  • 14二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:13:59

    乙!

  • 15二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:16:09

    良い…こういうので良いんだよ

  • 16二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:19:58

    あれ…?これ最初の所って何の意味が…?

  • 17二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:20:29

    ボクはマックイーンの顔が好きだ。
    マックイーンの、キラキラとしたその顔が。だけど最近はそれだけじゃなくて……マックイーンの事を考えるだけで胸の奥が温かくなって、ドキドキしてくる。
    マックイーンはいつものようにトレーニングをしているけど……その横顔を見ると、どうしても見入ってしまう。
    マックイーンの横で走っている時、ふと目が合った。
    すると彼女は、とても優しい笑顔を向けてくれた。
    ドキッとした。
    彼女の瞳には僕だけが映っていて、まるで時間が止まったかのように感じた。
    それからというもの、マックイーンの姿を見かける度に心拍数が上がるようになった。……これは恋だと思った。
    今まではただ見ているだけだったけれど……今度は違う。もっと近くで彼女を見たいし、触れてみたいと思うようになっていた。でもそれは叶わない願いだと諦めていた。
    ある日、ボクはマックイーンとイクノが話しているところを偶然見かけてしまった。2人は楽しげな雰囲気で会話をしていた。
    その時、ボクは気付いちゃったんだ。
    マックイーンがキラキラしている顔を見せるときは、いつもイクノが居た。そして、マックイーンはイクノと話しているときが一番幸せそうにしている。
    そう。ボクが恋をしたキミのその顔は、誰かに恋をした顔だったんだ。
    それからだった。イクノとマックイーンが付き合い始めたのは。
    マックイーンは幸せそうで、毎日が充実していたように見えた。
    嫌なのに、嫌なのに。嫌なはずなのに。

  • 18二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:20:55

    僕は、マックイーンのその顔に、恋をしていた。

  • 19二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:21:00

    あっ⋯

  • 20二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:21:27

    イクノからマックイーンを奪ってやろうなんて事も考えた。
    だけれどもイクノとマックイーンの幸せそうな顔を見るとね、そんな事出来なくなっちゃうんだ。
    それに、万が一イクノからマックイーンを引き剥がしたとしてさ、ボクはマックイーンにとってイクノの代替品なんだよ。
    そんな関係、虚しいだけじゃないか。……そんなの、辛すぎるよ。
    だからね、決めたんだ。
    この想いは胸に秘めたままにしておこうって。
    いつか、この感情が消えてしまうまで、この気持ちを大事にしまっておくことにした。
    だけれども、マックイーンとイクノを見るたび、思うんだよ。
    そこにボクが居たらどうなるんだろう。
    マックイーンがボクにキラキラとしたその顔を向けてくれたら、どんなに嬉しいだろう。ああ、やっぱりダメだよ。
    この気持ちは抑えられない。
    マックイーンの事が好きなんだ。
    マックイーンの笑顔も、怒った表情も、全部大好きなんだ。
    ああ、どうしよう。
    この思いはどんどん膨らんでいってしまう。
    だけれども、それをマックイーンにぶつけるのは嫌だ。
    マックイーンに嫌われたくない。
    だけれども抑えきれないんだよ。
    誰か………助けてよ。

  • 21二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:21:49

    「よっ、テイオー」



    「…………ネイチャ」
    「どーした?元気無いじゃん」
    「……別に」
    「マックイーンと喧嘩でもした?」
    「してないし」
    「まあ、いいんだけどさ。……何かあったんなら話くらい聞くけど?」
    「……」
    「……ほれ、話してみな」
    「……」
    「……はぁ」
    「……ねえ、ネイチャ」
    「なんじゃいな?」
    「ボクさ、マックイーンの事が大好きなんだよね……」
    「うん、知ってる。それで?」
    「……イクノとマックイーンが付き合ってるのも知ってる?」
    「そりゃ、あの2人を見てればわかるさ。アタシだって見てられないもん。……で、それがどうしたのさ」
    「…………楽しそうだよね。マックイーンのあんな表情、初めて見た。イクノと居る時のマックイーン、とっても幸せそうでさ……。……悔しかったんだ。イクノとマックイーンの間に割って入って、無理矢理引き離すことだって出来たかもしれない。だけど出来なかった……。」
    「だって、ボクはマックイーンのあのキラキラとした表情が好きなんだよ。けれど、それはイクノに向けられた表情だったんだ、ボクが恋をしていたのは、誰かに恋をする人の顔だったんだよ」
    「最初はボクだって抑えようとした。この気持ちは胸の奥にしまっておこうって。だけどさ、マックイーンがイクノと幸せそうに話している時、思うんだよ。可愛いなぁ、その顔がボクに向けられたらどれほど幸せだろう……ってさ」
    「もう、我慢できないよ。こんなにも苦しいのに、どうしてボクはここにいるんだろ……」
    ボクは涙を流しながら、胸の内を語った。
    ボクの言葉を聞いたネイチャは黙り込んでしまった。
    ボクは、ただ俯いて涙を流すことしかできなかった。

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:21:53

    >>17

    bbsじゃねーかいいぞもっとやってください

  • 23終わりと言ったなアレは嘘だ22/06/03(金) 14:22:57

    「アタシじゃだめ、かな」

    「………え?」
    「アタシじゃ、マックイーンの代わりになれない?」
    「それ……どういう意味……」
    「……そのままの意味だよ。アタシが、マックイーンの代わりになってあげる」
    「なんで……そんな事言うのさ。ボクは……マックイーンじゃなきゃ嫌なんだよ。キミじゃ代わりにならない。ボクはキミじゃなくて、マックイーンじゃなきゃ嫌なんだよ!」
    ボクは声を荒げて言った。

  • 24二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:23:22

    そしてボクはハッとする。
    そうしたとたん、吐き気が込み上げて来た。
    「うぐッ……おぇ……ゲホッゴホォ!!」
    ビシャァ! ボクはそのまま嘔吐してしまった。
    胃液が喉を刺激し、激しい痛みに襲われる。
    口の中に広がる酸っぱい味が不快でしょうがない。
    「大丈夫!?」
    ネイチャが慌てて駆け寄ってくる。
    「ごめん、言い過ぎた。今のは忘れて」
    ボクはそう言ってその場から立ち去ろうとした。
    だが、ネイチャがボクの腕を掴んだため、それは叶わなかった。
    「待ってよ。まだ話は終わってないよ。それに、このまま放っといたらアンタは絶対ロクな事にならない」
    「うるさい!!ほっといてよ!!!」
    「ダメだね。アタシには分かる。テイオーは絶対に後悔する事になる。だから、アタシが助けてやるんだ。これはアタシのエゴだし、自己満足に過ぎないけどさ、それでもアタシに出来る事があるならしたいって思ったから」
    ネイチャは真剣にボクの目を見つめていた。
    その瞳からは強い意志を感じる。
    「アンタが求めてるのがマックイーンなら、アタシはマックイーンになるよ。見た目も中身もそっくりに。そうすればきっと、テイオーは救われるでしょ?」
    「……」
    「ねえ、お願い。助けさせてよ」
    「……分かったよ」
    ボクは観念してその言葉を口にした。
    「ありがとう」
    ネイチャは優しく微笑んでくれた。……その笑顔を見たとき、ボクの中で何かが崩れていく音が聞こえた。

  • 25二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:23:47

    ーーーーーー
    「テイオーさん、最近調子が悪いみたいですね」
    イクノは心配そうな表情を浮かべ、私に話しかけてきた。
    「え、そ、そうなんですの?」
    「はい。何だかボーっとしてる事が多くて……。それに何だかネイチャさんの方は…」
    そこまで言って私は言い淀んだ。
    「どうしましたの?はっきり仰ってくれないと分かりませんわ」
    「……いえ、何でもありません。私の思い過ごしかもしれませんし」
    「そうですか。でも、何かあったのなら相談して下さいまし」
    「はい。その時が来たらよろしくお願いします」
    …………言えるわけない。ネイチャさんが最近テイオーさんと仲良くしていること。そしてネイチャさんからマックイーンさんと同じ香水の匂いがすること、ネイチャさんがマックイーンさんと似たようなファッションをするようになった、なんて。

  • 26二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:24:07

    アタシに求められているのは、マックイーンの模倣をすることだけ。
    アタシに求められている物が、例えマックイーンの代替品だとしても。
    テイオーに愛してもらえれば、アタシはそれでいい。
    「ネイチャ、今日はどこに行くの?」
    「そうですねぇ……。映画とか観に行きます?」
    「うん!行く!」
    「じゃあ、行きましょう」
    「えへへ〜」
    テイオーは無邪気に笑った。
    ……それで良いんだ。それで。

  • 27二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:24:28

    今度こそ終わりです

  • 28二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:25:27

    う あ あ あ あ

  • 29二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:26:04

    テイオーの脳を破壊するのは辞めて差し上げろ

  • 30二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:27:21

    ほの⋯ぼの⋯

  • 31二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:28:04

    上げて落とすスタイル
    ビルドダイバーズかな?

  • 32二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:31:57

    >>23

    これ自分が嫌がってた代替品としての扱いをネイチャにやってることに気付いたから吐いたのかな?

  • 33二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:35:15

    このレスは削除されています

  • 34二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:37:06

    テイネイ共依存か…

  • 35二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:37:58

    このレスは削除されています

  • 36二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:43:53

    上げて落とすな
    良いぞもっとやれ

  • 37二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:45:23

    色々と注意書き書いておいてほしかった

  • 38二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:46:41

    こんなん初見殺しやん
    BSS好きの僕は嬉しいです

  • 39二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 14:47:23

    実は1の時点で伏線が貼られているという恐怖

  • 40二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 19:35:03

    BSSだな...ネイチャさんも依存してるし....

  • 41二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 06:51:19

    いいssだ...

  • 42二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 07:02:57

    お疲れ様でした
    朝っぱらからニヤニヤしてたらとんでもねぇ罠だったよチクショウ!

オススメ

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