- 1二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:35:56
ウマ娘、私は生まれついてそんな種族だった。
珍しいことに母親はウマ娘じゃなくて、それでも私に愛情を注いでくれるお母さんは好きだった。
「トゥインクルシリーズか...」
物心ついた時に偶々見たレース、自分と同じウマ娘たちがキラキラとしてて格好良かった。
でも、ウマ娘じゃないお母さんはそうは思わなかったらしい。
「女の子を見せ物にして、酷いわよね」
そう忌々しそうに呟いたお母さんの顔を思い出すと、私は家でレースを見ることは無くなった。
走るのは好きだ、この身体に刻まれた本能だろうか、なんとなく毎日のジョギングは欠かさなかった。
それを知ってる先生から「地方トレセンだけどコネがあるが進学するか?」と聞かれた時は心が動いた。
「地方からでも実力をつければトゥインクルシリーズに行くことだって夢ではない」
希望的観測の話なのに先生は嬉しそうにそう語っていた。
「考えては、見ますね」
自分で答えた曖昧な返事は私の心を鈍くさせた。
「お母さん、進路の事だけど」
「あら、もうそんな時期?」
そういうとお母さんは棚からパンフレットをバラバラと出し始める。
「こことか良いわよ、ウマ娘も沢山いるらしいしあなたは頭がいい子だからこのレベルでも行けるわ」
嬉しそうに話すお母さんに私はトレセンに行きたいなんて言えるはずがなかった。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:36:07
そうして私は普通の進学校へ行く事になった。
友人も出来たし、現状に満足は...している。
「なんでトレセン行かなかったの?」
無邪気に聞く友人に少し苛立ちを感じてしまう。
「私はあそこまで沢山走れないよー」
なんて誤魔化して、話を打ち切る。
帰り道、いつも通りのジョギングをしながら呟く
「私だって走りたかったよ...」
本音とともに流れた涙は赤い空に消えていった。 - 3二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:36:46
たまには重い話を書きたくて書きました。
- 4二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:43:15
憧れはあるけど自分には無理だと諦めて燻ったまま後悔する子も多そう
- 5二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:46:43
おつらい…
- 6二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:48:43
- 7二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:49:10
- 8二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:49:51
- 9二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:50:48
- 10二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:53:05
この子の場合はやって打ちのめされるのが良い気がする
- 11二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:57:15
実際高いレベルの人に追いつこうとして強くなるタイプも居るから環境に身を置くのは価値がある行為だと思う。
まぁこの子は自分の意志でなくその環境に身を置けなかったんですけどね - 12二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:01:26
学生スポーツなんて誰がどれだけ伸びるか全く分からんのに挑戦もせずに無理だったんだと諦めるのは違うでしょ
- 13二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:12:24
いいな、このほろ苦さ
欲をいえば後日談というか、その後も書いてくれたらうれしい - 14二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:16:10
現実の競走馬とウマ娘も同じなら生まれたウマ娘のうち30%ほどは走る世界に行くことなくリタイアする
仮に走れたとしてもレースで勝てないまま終わるのが6割強
オープンまで上がれる。つまりネームド達と同じステージに上がれる子達は全体の3%未満
結果を出せずに去るか
挑むことなく終わるか
どちらが良いのかはなんとも言えない - 15二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:39:16
「あれ?キミ、トレセンで見た事ないけど」
ふと話しかけてくるウマ娘、またこの話か。
「私、走るの苦手でー」
「ふーん、嘘つきだね」
悪気なく放たれたその言葉は私の何かを切れさせた。
「怒った?じゃあ追いついてみなよ」
そう言うと彼女は全力で駆け出す。
「まて!!」
遅れて私も飛び出した。
ウマ娘の脚力で行われる長い長い追いかけっこ。
私が感じたことのない感覚。
「捕まえた!!」
前を走っていたその子の肩を掴む
「走るの、苦手じゃないじゃん」
息を整えながらその子は語り出した。
勝手は夢を持って中央にいた事、上を見て走るのが嫌になり地方に帰ってきた事、そんな中で能力がありそうなのに嘘をつく私に出会った事。
「なんとなく分かるんだよね、キミ、地方だったらいい記録出せるよ...多分中央でも頑張れば...」
差し伸びる手、何度も何度も何度も何度も振り払っているのに私に伸びてくるその手。
「ま、無理にとは言わないけどさ」
息を整え終わったその子は飛び起きて背中を向けた。
「私はやって後悔した、やらなきゃ良かったと思った事もある」
「何が正解かって分からないよね」
そう言った彼女の声は震えていた。
そんな気がした。 - 16二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:40:31
- 17二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:52:27
しっとりする
- 18二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 00:57:13
アニメスペだって最初は転校生だったしまだまだ可能性あるよな!
未来は無限大!ラブ&ピース! - 19二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 12:09:47
重...
- 20二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 12:12:13
たぶんこのタイトルって母親にもかかってるよな