- 1二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:57:14
「ハハ、ちょっと咳が出るだけ…エッホエッホ。」
「ほら、咳き込んでるじゃないですか。
ひとまず座って下さい。」
ここ数日間、トレーナーは
夜遅くまで資料の作成をしていた。
学生時代、テスト前ともなると
夜の3時程まで勉強していたものだが
いざ二十代に入るとそういう無茶が
しづらくなり、疲れが溜まるようになる。
だからなのだろう。
トレーナーは今朝から頭がボーッとしていた。
「少し良いですか?」
「…何…!?」
「あぁやっぱり熱があるみたいですね。」
「…あの…恥ずかしいんで…
手でやってくれませんか……?」
「こっちの方が正確に計れると
私の母が申していました。
申し訳ありませんが、もうしばらく
このままでお願いします。」
「…ワカリマシタ。」
『顔、近いな…』
一寸先の碧眼は
晴れた寒空のような碧(あお)をしており
力強さを湛えた眦(まなじり)は
彼女の見かけによらない闘志を
表しているようだ。
整った顔立ちの少女に詰められている
この状況に、トレーナーはいささか
羞恥の情が湧いていた。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:57:32
「帰って休んだ方が良いのでは
ないですか?」
「…そうだね。
君にうつしてはいられないもの。
スペちゃんのトレーナーに
合同練習を頼んでくるよ。」
「疲れているのですから
休んでて下さい。
練習は私がスペちゃんの
トレーナーさんに頼んで来ますので…」
「…分かった。休ませて貰うよ…
ごめんね。見てあげられなくて。」
「指導を怠けている訳ではないので
トレーナーさんが謝る必要は無いと
思います。
覆水盆に返らずという言葉もあります。
健康程尊いものは無いのですから
今は休んでて下さい。」
「…ありがとう。じゃ、遠慮なく…」
「お大事に~」
北風が熱に浮かれた体に容赦なく
吹いてくる。
だが、そんな風の中であっても
トレーナーの心は暖かかった。
早く回復して元気にならねば。
寮への道をトレーナーは
そそくさと歩いて行った。
完(反応良ければ続きあるかも…) - 3二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:59:02
期待
- 4二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:59:44
続き希望
- 5二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:01:22
- 6二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:04:56
グラスちゃんにおでこくっ付けられたら耐えられない…
- 7二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:14:33
- 8二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:20:10
スレ主です。
時間かかるかもだけど今日中には
続き載せますのでしばしお待ちを… - 9二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:23:56
続き書けたので置きますね…
「…マジかよ…39℃もある…」
寮に帰り、熱を測ったトレーナーの
第一声は、厄介な物を見た人間の
ため息によく似ていた。
『…休んで正解だったかもな…
下手したら練習中にぶっ倒れても
おかしくなかったもの…
グラスに感謝しないとな…』
腰かけたベッドに横たわり
熱を帯びた体に布団をかける。
息がどうにも荒い。
自分が思った以上に
体が悲鳴を上げているようだ。
『自分の体調の管理も出来ないなんてな…
…トレーナー失格だな。』
衰弱故の体の違和感を不快に思いながら
トレーナーは目を閉じた。
意識を失うには少しかかったものの
疲れた体は休息を速やかに受け入れて
くれたようで、15分後には
トレーナーは眠った。 - 10二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:25:35
額の涼感に気づいたのは
眠りについてから2時間程後の事だった。
「……ん………うんん…………冷た…………!?」
「あら、起こしてしまいましたか。
申し訳ありません。」
「…どうやって入ったの?」
「鍵、開いてましたよ?玄関の。」
「…嘘だろ…どれだけ弱っているんだ…俺。」
見ると、グラスの後ろのテーブルに
中身の詰まった買い物袋が見えた。
彼女が買ってきたのだろうか?
トレーナーはボーッとした頭を使って熟慮した。
「スポーツドリンクも買ってきました
けども、飲みますか?」
「………飲む…トレーニングは終わったの?」
「はい。スペちゃんのトレーナーさんに
練習を少し早めに切り上げて貰いました。」
「………俺の事なら気にしなくて良いよ。
…練習してなよ。大事な時期なんだし。」
「…トレーナーさん。
私、言ったはずですよ?
一緒に歩いて行こうって。
…連れ立って歩くのが…その……………
トレーナーとウマ娘というものでは
ないですか?」
「…そうだね。君の言う通りだ…
……さっきのは失言だったね。
忘れてくれないか?」
「…フフ♪分かってくれましたか♪」
- 11二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:26:14
連れ立って歩く。
URAで優勝した後に
スペちゃんやエル達と行った山で
かけられた言葉。
忘れるはずが無い。
『…しっかりしないと、な…』
トレーナーは改めてこの娘と
二人三脚で歩んで行く覚悟を決めた。
「…そうだ♪トレーナーさん。」
「なに?」
「寝てる時に汗をかきましたよね?
体も冷えますし
着替えた方が良いと思うのですけども…」
「あぁ、そうだね。
……その着替えるから向こうの部屋に
行っててくれないかな…?」
「いえいえ♪フラフラしてますし
何かあったら支えられるように
見ていますよ♪
私達は連れ立って歩きますからね♪」
「…分かったよ……そんな面白いものでも
ないけど…」
騙されたような気もしたものの
一度こちらが折れた都合上
なんとなく言いづらいような気がして
トレーナーは何も言わずに
服を脱いだ。 - 12二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:26:53
「…何してるんですか?
下も脱いで下さい」
「いやそれはさすがにマズイのでは…」
「トレーナーさん?
私達、連れ立って歩いて行くのですよ?」
『…マズイ。グラス、真剣になりすぎて
とんでもない事しようとしてるのに
気づいていない…』
「あの、コレ性別逆転してたら犯罪…」
「トレーナーさん。」
「…通報は辞めてね。」
覆う布に手をかけ、一気に下に下ろす。
鞘を取り払ったソレが
無造作にまろびでる。
「ありがとうござ………………ッ!?」
息を飲み、紅潮した口元に手をやる
グラスが見えた。 - 13二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:27:06
汗ばんだ下着は脱ぐとスースーして
解放感が出るものの
今のトレーナーが感じているのは
強い羞恥心のみだ。
『…担当の前で全裸で仁王立ちとか
言い訳なしで一発で逮捕では…?』
「……………その………すみませんでした…
……早く…履いて下さい…」
「……うん…分かったよ…」
「………その…言わないで下さいね?
この事…」
「………えー……分かった……」
「……その…私、お粥作ります…ね…?」
「…あ、あぁ、楽しみにしてるよ…お粥…」
泳いだ目と震える腕で作ったお粥は
いつもより味が濃いような気がした。
翌日、トレーナーの体は回復したものの
二人の間の気まずい雰囲気は
暫く治る事はなかったという。
完 - 14二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:27:32
安価つけ忘れてもうた。許して。
- 15二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:44:24
トレーナーさん…もうお嫁に行けないな…(錯乱)
- 16二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:17:51
俺の願いを聞いてくれて、ありがとう...
素晴らしい作品だ...! - 17二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 08:54:03
ありがとう、晴れやかな気持ちで出かけられる
- 18二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 18:53:52
グラスってなんだかちょっとエッチな雰囲気が似合うよね...