聞いてくれ、マスター｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 20:58:13

良いところに居てくれたな、マスター。少し話を聞いてくれないか？
『ジークフリートが上機嫌に自分から話しかけるなんて珍しい』？………ふっ、そうかもしれないな。しかし、それほど俺にとっては大事なことなんだ。どうか、聞いて驚かないでほしい。

そう、実は俺は致命傷を受けても折れず砕けず立ち上がる術を身に付けたんだ！シグルド殿から伺ったブリュンヒルデ殿との夏の逢瀬の体験談を参考にし、カルデアの数多くのサーヴァントに協力を得て、ついに、ついにだ。俺は何度でも、クリームヒルトの攻撃ならば耐え切ってみせる愛の力を見出した！

………なぜ、身に付けたのか？それは簡単な話なんだ。ずばり、俺はクリームヒルトが俺に向けている復讐心を遂げさせてやりたい。
生前の俺の行いに後悔などあるはずもないと言えば嘘になる。クリームヒルトの想いを知って、ハーゲンの苦しみを知って、少なくともそれは後悔になった。だからこそ、思ったんだ。クリームヒルトが俺に恨みを持っているのならば、俺はクリームヒルトがそれを果たせるようにしようと。

しかし、俺は君のサーヴァントであり、君は俺のマスターだ。人理のため、そして君のために今ここで俺が現界している以上、俺の勝手な欲望でカルデアの戦力を減らすわけにはいかない。それに、クリームヒルトの想いを叶えても、同胞を殺したとしてクリームヒルトが排他されるのは俺にとっては悲しい。許されない。

だから決意したんだ。俺は君のサーヴァントであることとクリームヒルトの想いを叶えてみせること、その両方を実現してみせると！そしてこのクリームヒルトに向けた愛、そしてそれによりもたらされた気合という名のガッツがあれば、俺はクリームヒルトの幻想大剣(憎悪)を心の底から一身に受け止めた上で、君の剣として活動することができるはずだ！
仮にクリームヒルトが一回で満足できなくとも、俺は何度も何度もそれを受け止めて、その上で君のサーヴァントとして役割を果たせるはずなのだと！

これが、これこそが、生前何も返してやれなかった俺にできる何よりも大きな恩返しだ。……俺なりの、愛だ。見ていてくれ、マスター。俺が、愛するクリームヒルトのバルムンクを首で受け止めてみせる姿を！

2二次元好きの匿名さん22/06/05(日) 20:58:38

………は？なんでしょう、ジークフリート様。いえジークフリート。

あなたに？私のバルムンクを？はぁ。理由をお伺いしてもよろしいかしら？

………私があなたに抱いている憎悪を晴らすため？たとえたった一度で晴れなくても、永劫晴れることがなくても、気を紛らわす程度でも構わない？何度その魔剣を振りかざそうと俺は受け止める？

──────ああ、そう。そう。そうなのね！あなたはそんなに、私のバルムンクの！私のこの人生にかけた復讐の重みを軽んじるのか！あなたの首も刎ねられない程度しか私の憎悪は積み上げられなかったと宣うのかジークフリートォォォ！！

いいわ。ええ、お望み通り首を刎ねてあげる。あなたみたいな人、一度でも愛した私がバカだった……！私のこのバルムンクに込めた思いすら、わかってくれないあなたのことを愛した私が愚かで惨めでたまらないわよ！『流離魔剣・聖妃失墜』！！！

………は？なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでよ！なんで私の宝具を受け止めちゃうのよ！や、やっぱり私の想いは軽いって？私の、あなたに向けた想いは軽いって言いたいわけ？愛した夫を包む邪竜の呪いの鎧すら砕けないただの小娘だって突きつけたいのかしらああふざけるなあり得ない冗談じゃない冗談じゃないわよ！

許せない……許せないわジークフリート……そうやって……あなたはいっつも私のことを蔑ろにして……私のことなんて一度も眼中になかったんじゃない！
いえ、そもそも、私があなたを殺したくてたまらないのは事実だけど、でも、あなたを憎んでばかりだなんてことは、そんなこと─────！

………失礼。気を取り乱しました。私もあなたも今はカルデアのサーヴァント。あなたへの恨みはありますが、他のサーヴァントとの仲を破綻させてまで晴らしたいと今の私は思いません。受け止めてくれて些か気は晴れましたが、もう二度としないでしょう。では、さようなら。これ以上いると英雄が感染ります。

…………結局………私のことなんて、何もわかってくれてないのね………