【閲覧注意】ゴールドシップがジャスタウェイとお別れする話

  • 1死神代行22/06/06(月) 19:28:08

    私のゴールドシップは今日も可愛い。昨日も可愛かったし、察するに明日も可愛い。ゴールドシップと毎日同じ時間を過ごせる私は、きっと世界で一番幸せだ。


    diceで物語の運命を決める|あにまん掲示板まずは10までテーマを募集する「愛」とか「死」とか、何らかの概念を頼むbbs.animanch.com
  • 2死神代行22/06/06(月) 19:33:09



    ゴールドシップはほとんど毎日私と遊ぶ。私と遊んでいるときの彼女は、世界で一番楽しそうだ。

    一見遊びと思えることがトレーニングになることもある。最近のブームはフラメンコを踊りながらスプーン競争すること。もちろんブームといってもそれは毎日変わるものなので、ゴールドシップとフラメンコを踊ったのは昨日一日だけの話だ。

    一昨日は伝説のヤシの木を探しに二人で海へ潜ったし、その前は天空の城を探して一緒に木陰で雲を眺めた。ゴールドシップは『天空の城は見つからなかったが空島を見つけた』と言っていたので、いつか二人で空島を目指す日もやって来るだろう。

  • 3死神代行22/06/06(月) 19:35:07

    今日は二人でどんなことをしようか。そう考えるだけで私はときめきが溢れ出して逆立ちしそうになる。

    けれど、さすがに一日中私と遊んでいるわけにもいかない。ゴールドシップが楽しめるように趣向を凝らしたトレーニングは毎日内容を変えて組んでいるし、トレーニングをしていないときでも、私以外の人──ウマ娘──と遊ぶこともある。

  • 4死神代行22/06/06(月) 19:39:06

    ゴールドシップはよく遊ぶウマ娘だが、休むことだって当然ある。それは気分が乗らない後ろ向きな休息のこともあるが、心安らぐ場所で穏やかに過ごす休息であることの方がずっと多い。そんなとき、彼女は決まって私の隣に腰かけて──

    「あー……トレーナーちゃんの隣が……世界で一番落ち着くぜ……」

    優しい声でそう言うと、私の肩に頭を乗せて幸せそうに眠るのだ。

  • 5二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 19:39:19

    来たか……死神代行!

  • 6死神代行22/06/06(月) 19:41:16

    ゴールドシップが寝たことを確認すると、私も彼女に身体を預け、二人で寄り添って眠ることがある。そういうときはよくゴールドシップの夢を見る。そんなひとときが、私は堪らなく好きだ。きっと彼女もそうなのだと思う。

    二人で過ごす日々は雲一つない朝焼けを映す湖のように、澄んで、煌めいている。ほんの数年しか一緒にいないはずなのに、まるでそれを何回も繰り返しているように、何十年と月日を重ねてきた気さえする。二人で過ごす時間はそれほどに濃密で──尊い。

  • 7死神代行22/06/06(月) 19:44:51

    ところで、ゴールドシップには友達が多い。友達で遊ぶことも多い。ちょっかいをかけて怒らせるようなこともあるが、それで本気で彼女を嫌うような人はいない。私がこんなにも愛しているゴールドシップが、他の人に嫌われるはずもないが──というのは些か傲慢だろうか。

    ゴールドシップは友達が面白い反応をすると、とても楽しそうに笑う。彼女らには申し訳ないが、私もそれを見て笑顔になる。

    「まったく貴方たちは……!」

    目を閉じれば声が聞こえてくる──

  • 8死神代行22/06/06(月) 19:47:59

    そんな中で、異質な存在が一人。

  • 9死神代行22/06/06(月) 19:49:58

    普通、ゴールドシップのことを本気で嫌うような人はいない。ゴールドシップが、他人の反応に無関心なこともそれほどない。

    けれど「彼女」は学園ですれ違う度にゴールドシップのことを睨みつけてくるし、まさかとは思うが本当に私のゴールドシップを嫌っているのかもしれない。だとしたら私にとっては由々しき事態だが……単に強烈にライバル視しているだけの可能性もある。

    しかも当の本人、ゴールドシップはそんな彼女をまるきり意に介さない様子で、さすがに無視とまではいかないものの、実にあっけらかんと彼女に接している。

  • 10死神代行22/06/06(月) 19:53:34

    ゴールドシップは自分が悪いときは「わりーわりー」「ごめんな」としっかり謝れる偉い子だし、他人が何か面白い反応をすればパチパチ手を叩いて笑う素直な子だし、他人が怒っていれば「オマエなに怒ってんだよ……」と親身に話を聞いてあげられる優しい子だ。

    そんなゴールドシップがここまで反応を示さないというのは、一体どういうことなのだろう。宝塚記念で身をぶつけ合うほどの激しい競り合いを見せた、そんな相手に対して。単に無関心……というよりは、何か思うところがあるような気もするが。

  • 11死神代行22/06/06(月) 19:56:26

    とにかく、どんな思惑があるにせよ、私とゴールドシップにとって彼女が異質な存在であることは間違いない。

    彼女の名はジェンティルドンナ。貴婦人の名を冠する彼女は、しかしその鬼のような勝負根性とそれによる豪快で力強いレース展開から「鬼」婦人と評されることもある。

    ティアラ路線を制した超一級品の実力を持つ彼女は、ゴールドシップのライバルと呼ぶに相応しい存在だ。

  • 12死神代行22/06/06(月) 19:58:22

    ゴールドシップが彼女と仲良く遊べる時も、いつか来るといいな……そう思っていたある日のこと。

    何やらゴールドシップの様子がおかしい。

    それは私にしかわからないであろう些細な変化だった。真顔と見えて、どこか怯えているような。

  • 13死神代行22/06/06(月) 20:00:45

    もしかすると、その変化は今日に始まったことではないのかもしれない。彼女はずっと、何かに怯えていたのかもしれない。

    ゴールドシップの気持ちに気が付けなかった自分を、私は恥じた。恥じたならば、次は行動だ。早速今日の夜にでも話を聞いてみよう。そう、思っていた──

  • 14死神代行22/06/06(月) 20:03:44



    その日ゴールドシップは決意していた。

    パンドラの箱を開けることを。

    ゴールドシップは、ずっと彼女に対してある疑問を抱いていた。しかし、予感があった。それを聞くことで、ともすればこの世界が根幹から崩壊してしまいかねないような──そんな不吉な予感が。

    だが、ゴールドシップはもう我慢ができなかった。平静を装うのにも疲れたし、最愛のトレーナーに嘘を吐いているようで居心地も悪かった。──何より、彼女の好奇心がそうさせなかった。

  • 15死神代行22/06/06(月) 20:06:58

    ゴールドシップは、彼女に歩み寄る。珍しくゴールドシップから接触があったことで、彼女には戸惑いの色が見えた。しかし、睨めつける。彼女は戸惑いつつも、眉間の皺を崩すことがない。「コイツほんとに貴婦人か?」ゴールドシップはそう思った。

    二言三言攻撃的な言葉を受けた後、ゴールドシップは心を決め、問いかける。

    「なあ……オマエ、ずっといたか?」

  • 16死神代行22/06/06(月) 20:09:19

    『こいつは何を言っているんだ』『私はずっと前からここにいる』『あの宝塚記念を忘れたとは言わせない』そういう顔だ。予想していた通りの反応。

    しかし、その疑問を口にしたことで。

    ゴールドシップの心を雁字搦めにしていた重い鎖が──解けた。

  • 17死神代行22/06/06(月) 20:11:04

    「……ありがとな」

    ゴールドシップの感謝に対して、ジェンティルドンナはますます訳がわからないといった面持ちだ。そんなことも意に介さず、ゴールドシップは走りだす。

    「そうか……! そうか……! そういうことだったんだ!!」

    追込も何もあったものではない。ゴールドシップは、ただひたすらに走り続ける。あの場所を目指して──

  • 18死神代行22/06/06(月) 20:13:35



    「トレーナーちゃん!! いるかァ!?」

    激しく扉が開け放たれ、ゴールドシップが入室してくる。

    「えぇっ!?」

    つい驚いてしまう。ゴールドシップが突然なのはいつものことなのに。これでは伴侶失格だ。

    しかし、確かに今のゴールドシップには私を驚かせるだけの「凄み」がある。これは遊びの誘いなんかじゃない。私はそう直感した。

  • 19死神代行22/06/06(月) 20:16:00

    「行くぞ!」

    ゴールドシップは私の手をとり走りだす。有無も言わせぬままに。それだけならいつものことだけれど、彼女はなんだか焦っているようだ。今朝様子がおかしかったことと何か関係があるのだろうか。「一体どうしたの」私は尋ねてみる。

    「わかった! わかったんだよ! ……ここはアタシたちの世界じゃない!」

    はじめてゴールドシップの言うことが理解できなかった。ここが私たちの世界でないとはどういうことだろうか。お伽噺のような、いつもの彼女の世界観とは違う。本当にこの世界そのものに対して、何やら真に迫るものを感じた。

    「空島に行くぞ!」

    「空島!?」

  • 20二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:19:12

    !?

  • 21死神代行22/06/06(月) 20:19:31

    「空を走れ!!」

    さすがに混乱する。これは無茶振りではない。本気だ。だけど空を走るなんて、どうやればいいのか皆目見当もつかない。

    「やればできる! やれるって信じるんだ! ……ここは、そういう世界なんだ!」

    「……わかった!」

    正直なところ、ゴールドシップが言っている内容を本当には理解できない。けれど、私が彼女を疑うわけにはいかない。彼女が「本気で」できると言っているのだから、できるに決まっているのだ。

    ゴールドシップが宙に足をかける。私もそれに続く。次の瞬間──

    私たちは、空を駆けていた。

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:22:47

    なるほど。私にはわからないけれど、空は走れるものだったらしい。それに気が付いたゴールドシップは、やっぱり私の自慢の賢いウマ娘だ。

    「このまま空島まで登っていくの?」

    「そうだ。……でも、アレは本当は空島じゃねえ」

    「じゃあ何なの?」

  • 23二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:27:11

    「次元の……世界の裂け目だ。あの雲の向こうには『上の』世界がある」

    「何それ楽しそう!」

    「流石はトレーナーちゃんだっ!このまま突っ込むぜ~~!!」

    「うん!!」

    私たちは、雲を突き抜けた。

  • 24二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:29:16



    「──着いたぜ。ここが……『本社』だ」

    「ここが……本社」

    私たちは、見上げれば首が折れてしまいそうなほど立派な高層ビルの前にいた。

    周囲の人々は、どこか私たちと様子が違うようだ。

  • 25二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:31:43

    「ご、ゴールドシップだ……!」

    「ゴールドシップ……!?」

    周囲から口々に驚きの声が聞こえる。

    「気にすんなトレーナーちゃん。早速乗り込むぜ」

    「うん」

    まだ現状は把握しきれていない。それでも、一つわかることがある。きっと今から──

    戦いが、始まる。

  • 26二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:35:19



    ドガァァン!

    「邪魔するぜ……」

    「お、お邪魔しま~す……」

    「……んぬう~? 我が部屋の扉をノックもなしに、あろうことか渾身の力で蹴破り大胆不敵に入室してきた貴様は──ゴールドシップ」

    「悠長に説明口調で喋ってんじゃねえよ……」

    「ヌフフフ……して、何用かな?」

  • 27二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:37:59

    「オマエか?サ○ゲを乗っ取ったのは」

    「……いかにも! ワシが……この『部長』が! サイ○ームスを乗っ取り新たに世界を構築し直した、いわば貴様らにとっての──神だ」

    「……どうやって乗っ取った。金か?」

    「ムハハハハ! そんな合法的手段なわけがなかろう! それがわかっているからこそ、貴様はここへやって来たのではないか?」

    「やっぱり……か」

  • 28二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:40:54

    「……なるほど! つまりこの人は悪い人なんだね!」

    「トレーナーちゃんは理解が早くて助かるぜ──なあ、トレーナーちゃん」

    「なあに?ゴールドシップ」

    「暴れていいか?」

    「もちろん!」

    「そうこなくちゃ……なァ!!」

    バシィィィィ!!

  • 29二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:43:45

    「ぬうう! 鋭い蹴りだ!」

    「──受け止めた!?」

    「ワシは神だと言ったろう? 貴様のような下位次元の存在に私が……負けるかァ!!」

    ドゴォォォォ!

    「ぐはっ……!」

    「ゴールドシップ!!」

    「フン……他愛もない」

  • 30二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:45:36



    部長の正拳突きで壁に埋まったゴールドシップは項垂れている。

    「次は……貴様だ」

    部長はいやらしい笑みを浮かべながら、ゆっくりと私に近づいてくる。

  • 31二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:47:48

    「次って、何のことですか?」

    「なんだと?」

    この人は何もわかっていない。

    私たちの世界の神様だかなんだか知らないけれど、この人は何もわかっていないのだ──

    ゴールドシップという、ウマ娘のことを。

  • 32二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:48:37

    「助けてくれる?ゴールドシップ」

    「……当たり前だ!」

    「なにッ!?」

    めり込んでいたゴールドシップは事も無げに壁から飛び出した。

  • 33二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:50:30

    「……思っていたよりも……やるじゃないか」

    「それはこっちのセリフだぜ……。ヒトだと思って手加減してやったっつーのによ」

    「……フフフフフ」

    「──本気でいくぜ?」

    「……来い! ゴールドシップ!!」

    二人の拳が火花を散らす。

  • 34二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 20:53:38



    ガン!ゴン!バキィィィ!!

    「さっさとアタシたちの世界をサイ○ームスに返せ! そしてアタシを宣伝担当に戻せ!!」

    「ヌフフフ……それはできない相談だ……なッ!!」

    ドゴォ!

    「ちっ……なんでだよ!」

    「サ○ゲームスを復活させるなどもってのほか……。宣伝担当にしても……あの制度は世界の枠組みを歪ませる」

    「枠組みィ!?」

  • 35死神代行22/06/06(月) 20:57:51

    「そう。今の貴様のように、上位世界を認知したウマ娘たちが反乱を起こすきっかけになり得る……!」

    「反乱を起こすのは……」

    ゴオッ

    「ぬう?」

    「オマエらがロクでもない連中だからだろーがッ!!」

    ズドォォォォン!!

    「ぬはぁっ…………!!」

  • 36死神代行22/06/06(月) 21:01:12

    「許さねえからな……」

    「……ハァ、ハァ、何がだ……! サ○ゲームスを乗っ取ったことか? 貴様を宣伝担当から外したことか? たったそれだけじゃないか……それでも貴様らの世界は、今日も変わらず回っていただろう?」

    「……ちげーよ」

    「ぬぅ?」

    「ジャスタウェイ……どこにやった」

  • 37二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 21:02:20

    ファ!?

  • 38死神代行22/06/06(月) 21:04:30

    「!!……ヌハ!ヌハハハハハハ!!」

    「笑ってんじゃねえ!!」

    「クク……何を言いだすかと思えば! ジャスタウェイ? そんなヤツはまだ実装していないだけだ!」

    「……」

  • 39死神代行22/06/06(月) 21:06:29

    「ジェンティルドンナを実装するのは苦労したなぁ……。汚い手段も色々使ったものだ。次はジャスタウェイを実装してやろうかと思っていたが……! 貴様がそんなに反抗的な態度を取るなら……ん~、どうしよっかなァ~」

    「……」

    「ジェンティルドンナのせいで貴様は記憶を取り戻したようだしなぁ……。んー、ジャスタウェイを実装するのは危険かもなあ!」

    「……くだらねえ」

    「……なに?」

  • 40死神代行22/06/06(月) 21:08:02

    「嘘ばっかり吐きやがって……。楽しくない嘘は……嫌いだぜ!」

    「何を!貴様ッ、どういうことだ!」

    ドカッ!バキッ!ドゴッ!!

    「声が聞こえたんだよ!」

    「声ェ!?」

    バシッ!ビシッ!ズバァァァァ!!

  • 41死神代行22/06/06(月) 21:10:13

    「アタシはこれまで、仲間たちが学園にやって来る度にソイツらとの記憶を思い出してきた! その度に世界は丸ごと更新されてきた!!」

    「それがどうした! 当然のことだ!!」

    バコッ!ボガッ!!

    「だけどジェンティルドンナと話したとき……違和感があった!」

    「違和感だと!?」

    ズドッ!ドカカカカカカ!!

  • 42死神代行22/06/06(月) 21:13:08

    「誰か足りねえ……ってな! そしたらアイツの……ジャスタウェイの声が聞こえたんだ!」

    「…………フン!」

    ビシュ!バシュ!ズドドドドドド!!

    「ジェンティルドンナがいることがおかしいんじゃねえ……! ジャスタウェイがいないことがおかしかったんだ!!」

    「……だからまだ実装していないだけだと──」

    「うるせー!!」

    パッカァァァァァン!!!!

    「ぐふぉあっ…………!!」

  • 43死神代行22/06/06(月) 21:16:16

    「ハァ……ハァ……」

    「…………ぐっ……、そこまで気付いているなら仕方あるまい……」

    「……認めるんだな」

    「……ああそうさ! ジャスタウェイは既に実装済みだ!!」

    「じゃあなんでアイツはいねえんだっ!!」

  • 44死神代行22/06/06(月) 21:19:05

    「……貴様と同じさゴールドシップ」

    「同じ……?」

    「ヤツは事もあろうに上位世界の存在に気付き……あまつさえ我々の不正を暴き世間に公表しようとまでした!!」

    「なんだとっ……!?」

    「だから──消した」

    「………………は?」

  • 45死神代行22/06/06(月) 21:22:43

    「消したのさ、ゴールドシップ。ジャスタウェイはもうこの世にいない……」

    「う、嘘言えよ……ははっ、それも……それも嘘なんだろ?」

    「……ヌハハハハハハ! 次はお前さゴールドシップ!!」

    「……てめえッッ!!!!」

    ドカァッ!!

    「どうしたゴールドシップ! 蹴りのキレが鈍いぞ!」

  • 46死神代行22/06/06(月) 21:25:58

    「返せっ……! 返せよぉ……!」

    「ぬう~? 泣いているのかァ? 無様なヤツめ……!」

    「アイツは……アイツは!! 友達なんだ……! 親友なんだ……! ずっと……ずっと隣にいたんだぁ!!!!」

    「それが……どうしたァ!!」

    ボゴォォォォォォ!!!!

    「……ガフッ……!」

    バタッ……

    「フン……終わりだ、ゴールドシップ」

    「ちくしょう……! ちくしょう……!!」

  • 47死神代行22/06/06(月) 21:32:45

    「──いいえ、まだ終わりじゃありません」

  • 48死神代行22/06/06(月) 21:35:47

    「!?」

    「……ト、トレーナーちゃん!!」

    「シーちゃん、この人を倒してサ○ゲームスを取り戻しましょう。そして世界を作り直して、ジャスタウェイは……実装し直しです!」

    「オイオイ……その呼び方は二人っきりのときにしてくれって言っただろ……。恥ずかしいじゃねえか…… 」

    「ヌハハハハハァ! 貴様のような小娘に何ができる!!」

    「あなたを……倒せます」

  • 49死神代行22/06/06(月) 21:39:22

    「生意気な口を──」

    ヒュッ

    「なに?」

    「へへっ……トレーナーちゃんはいつもアタシと一緒に遊びながら鍛えてんだ……。アタシの攻撃を受けて弱りまくってる今のオマエなんか……!」

    「──消えてください」

    ドゴォォォォォォォォォォ!!!!

    パラパラ……

  • 50死神代行22/06/06(月) 21:43:00

    「壁に埋めちまったぞオイ……」

    「──まだだよ。起きれる?ゴールドシップ」

    「いけるに……決まってんだろっ!」

    ガバッ!

    「…………ぬおおおおおお!!」

    バゴッ ……!

    「壁ごと身体を引き抜きやがった!」

  • 51死神代行22/06/06(月) 21:48:33

    「いくよ……ゴールドシップ」

    「おう!」

    「ハァ……ハァ……まだだ……! こんな小娘どもに……この部長がァ~!!」

    ──タタタン♪タタタン♪

    「ぬう? この特徴的な12拍子のリズム……!」

    タタタン♪タタタン♪

    「フラメンコか……!!」

    「そうさ! アタシたちは踊りながら戦うのさ!」

  • 52死神代行22/06/06(月) 21:54:22

    「……ぬっはは……! 残念だったなあ!! ワシはこう見えてもフラメンコのダンススクールに通っている!! 撹乱するつもりだろうがそうはいかんぞ!! フラメンコのリズムなぞ手に取るように──」

    タタタン♪タタタン♪タタタタタタタン♪

    「ぬ、ぬう? なんだこのリズムは?」

    「バカヤロウ! これはただのフラメンコじゃねえ……」

    「フラメンコを踊りながら──」

    「スプーン競争する動きだっ! コンチクショーめーーーーっ!!!!!!」

    ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!!

    ───
    ──

  • 53死神代行22/06/06(月) 21:58:34

    「終わったな……」

    「うん……」

    「アタシたち……勝ったんだよな?」

    「そうだよ!」

    「……イェーーーーイ!ピーース!!」

    「ピーース!!」

    「さっすがトレーナーちゃんとアタシだぜーー!!」

    「だぜーー!!」

  • 54死神代行22/06/06(月) 22:02:43

    「アタシたちは?」

    「無敵!」

    「そう、無敵!」

    「私がシーちゃんを愛する気持ちと!」

    「ア、アタシがトレーナーちゃんを好きな気持ちがあれば!」

    「私たちは!」

    「最強なのさーーっ!!!!」

    「「イエーーーー──」」

    ポチッ

    シュン

    「ーーイ!!ってあれ?」

    「シーちゃん? シーちゃん? どこ?」

    「シーちゃん! ……ゴールドシップーー!!」

  • 55二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:03:57

    ゴルシ時空だ⋯

  • 56死神代行22/06/06(月) 22:06:35

    「──もう、いやしねェさ」

    「……!!」

    「いやはや……随分とまあこの部長を痛めつけてくれたもんだ……」

    「あ、あなた……! ゴールドシップをどこへやったの!?」

    「消した」

    「……! ……!?」

    「ワシは神だと伝えたはずだ。元々その気になれば、ボタン一つで貴様らを消すなど造作もないこと……」

    「き、きさまぁっ!!!!」

    「おっと」

    ポチッ

    シュン

  • 57死神代行22/06/06(月) 22:10:08

    「──ふう」

    「ゴールドシップにそのトレーナー……本当に面白い連中だった」

    「本来ならばこのまま消して終わりにするところだが……」

    「フン……多少頭は弄くるが、元の世界に返してやろう」

    「ワシをここまで追い詰めた褒美だ……喜ぶがいい」

    「──アイツも一緒にな」

  • 58死神代行22/06/06(月) 22:13:02



    私とゴールドシップは今日も仲良しだ。一緒に遊んで、一緒に鍛えて、一緒にレースに挑戦する。悲しいときは慰めあって、嬉しいときは喜びあう。お互いがお互いを大好きで、毎日世界一の幸せの中、同じ布団で眠りにつく。眠りにつくのは布団じゃないこともある。

    たくさん冒険もした。ウミネコを探しに猫の集会の総本山にも行ったし、伝説のヤシの木を探しに海にも潜った。それから、天空の城を探して──

  • 59死神代行22/06/06(月) 22:15:34

    ──いや、さすがに空には行っていないか。とにかく今日も、私とゴールドシップは幸せだ。

    でも、私は嫉妬している。ゴールドシップはジャスタウェイと遊ぶとき、私といるときと同じかそれ以上に嬉しそうに笑うのだ。そんな二人を私は嫉妬の眼差しで見つめてしまう。

    ……けれどやっぱり。

  • 60死神代行22/06/06(月) 22:16:52

    幸せそうに笑うシーちゃんを見ているとそんなことどうでもよくなって、私も二人の遊びに混ぜてもらうのだ。

    今日はどんなことをして遊ぼうかな。

    私は今日も今日とて、ゴールドシップと生きるこの日々が──愛おしくて仕方ない!




    おしまい

  • 61二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:24:41

    ………神か?

  • 62二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:30:02

    めっちゃくちゃ面白かった…けど……!ビターエンド過ぎるッッ!!ちくしょうダイスのやつ!!

  • 63二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:34:17

    ウォォオオオオオ!代行ォ~!!!!!

  • 64二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:36:35

    なんであのダイスからこの話が出力されるの……

  • 65二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:37:38

    乙!今回も面白かった!
    さすがだ代行、私の見込んだとおりだ

  • 66二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:41:02

    序盤でフラメンコしてたの持って来るの感動した

  • 67二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:47:19

    このトレーナーって…

  • 68二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:48:41

    diceの結果から想定していた面白さの10倍は面白かった…どうしてこうなる??

  • 69二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:51:14

    相変わらずこの人はなんなんだ…

  • 70二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:54:06

    正直に言ってくれ……代行……お前はッッ!プロなんだろ!?

  • 71二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 22:57:38

    百合と見せかけてSFと見せかけてギャグと見せかけて熱血と見せかけて最後ホラーすぎんか

  • 72二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:00:53

    めちゃくちゃなダイスを完璧にまとめるわ、平凡すぎるダイスをカオスに昇華するわ、どうなってんだ死神代行の脳ミソは!!!

  • 73二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:06:53

    >>67

    🥒

  • 74二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:08:29

    待て待て、そういえば代行ってジャスタウェイとジェンティルドンナについて昨日の時点では何も知らなかったんだよな…?

  • 75二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:12:26

    >>65

    お前は何者なんだよ

  • 76二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:16:41

    >>75

    無間からネットやってそう

  • 77二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:17:17

    >>52

    完全に勝つ流れじゃん!!!!!!!もう!!!

  • 78二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:27:47

    ホントはダメだけど!図々しいことだけど!
    あと5作…10作ssが読みたい!
    そろそろハッピーエンドが見たいいいいい!!!

  • 79二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:35:03

    これサイゲ(の部長)を敵にしたら色々問題があるからサイゲが乗っ取られたことにしてるの賢くない?

  • 80二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:43:51

    合体技熱すぎだろ!

  • 81二次元好きの匿名さん22/06/06(月) 23:50:57

    なんだかんだちょいちょいワンピースっぽいの草

  • 82二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:00:48

    純文学風の書き出しからどんどん加速して行くこの感じ……!うっ!!たまらねぇ!!!!!クセになりそうだ……!

  • 83二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:09:32

    >>42

    パッカァァン!すこ

  • 84二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:14:56

    お疲れ様です死神代行

    今回も面白かった!!

    ホントよくあのダイスを捌き切った上で良い文が書けるな…


    >>48

    このトレーナールフィの因子継承してない?

    堂々と言い返す展開熱すぎだろ!

  • 85二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:21:27

    >>54

    レースで勝ったときとかいつもこのコールやってたのかな……とか考えると涙がで、出ますよ(ホロリ

  • 86二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:25:12

    最後はこれ色々記憶とかイジられて仮初めの平穏で暮らしてるってこと?ジャスタウェイが帰ってきたことだけが救いか…

  • 87二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:40:47

    誰も言わないから言うね。





    部長は何者なんだよ

  • 88二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:54:19

    スレタイで損してる気はする

  • 89二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 00:56:42

    >>36

    ここクロコダイル

  • 90二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:05:01

    >>82

    むしろまだクセになってねえのかよ

    俺はもう脳を焼かれちまったぞ

  • 91二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:09:39

    伏線回収気持ちよすぎだろ!

  • 92二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:19:26

    そういえばこれもまた三四時間で書き上げてるのか……どんだけ才能あんねん

  • 93二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:35:11

    >>7

    これマックイーン?

  • 94二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 01:47:33
  • 95二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:02:21

    ジャスタウェイとジェンティルドンナの知識急ごしらえで仕入れてきたんだろなって感じは伝わってくるけど、その上でそれすら逆手に取るような構成力でブン殴られた感じ。

  • 96二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:12:44

    これサイゲは乗っ取られてるし記憶は奪われてるし何一つ解決しないまま箱庭の世界で偽りの幸せを享受してるんだよね……

  • 97二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:23:08

    ゴルシがジェンティルドンナに素っ気無かったって史実をこう調理してくるとは……
    おったまげ~

    え、知らなかったんですよね?調べてすぐ閃いたって……コト?

  • 98二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:31:40

    >>6

    これゲームの世界だから何回も繰り返してるてことかね

  • 99二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:39:56

    >>24

    Cygames本社と見せかけて、Cygames本社が高層ビルじゃないことを知ってる人にはCygamesじゃないよと伝える神描写

  • 100二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:44:07

    >>36

    ここ鋼の錬金術師

  • 101二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 02:52:41

    >>58

    世界が改変されたからフラメンコじゃなくてウミネコになってるの……??

  • 102二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 03:24:37

    トレーナーが男か女かによって地の文の感じも全然違うの凄い…凄くない?

  • 103二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 03:32:53

    まだまだたくさん感想が書けるぞ!もっと考察を進めろォ!!

  • 104二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 04:02:34

    >>83

    あのドロップキックしてるんだろうなってのがありありと目に浮かぶよ

  • 105二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 06:05:45

    自分の宝物が一つでも欠けてたら耐えられないゴルシいい…

  • 106二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 08:05:39

    どうやったらこんな話が書けますか?

  • 107二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 09:06:03

    死神代行は何?本職の人なの?

  • 108二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 09:42:14

    >>95

    二回読んで気付いたけど二人とも一言も喋ってないんだなw

  • 109二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 12:51:37

    どんな脳してるんだほんと

  • 110二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 15:29:49

    ジャスタウェイとお別れしたとゴルシが認識したときはちゃんと泣いてるし、最後もサイゲとか元の世界とか本当の記憶や関係性とか、色んなものとテーマ通り"別れ"てるんだね……何もかもダイスのままだ……

  • 111二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 16:45:26

    お前ら、もっと死神代行を褒めて早く3作目を書いてもらうぞ

  • 112二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 17:45:36

    代行の素性が謎すぎる、、

  • 113二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 18:12:08

    >>112

    死神代行だっつってんだろ、日中は虚と戦ってんだよ

  • 114二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 18:24:02

    とんでもないスレを開いてしまった
    いい意味で

  • 115二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 18:39:57

    >>114

    はやく前作も読むんだ

  • 116二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 18:58:11

    >>61

    いいや……「死神代行」さ

  • 117二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 21:04:25

    神スレ

  • 118二次元好きの匿名さん22/06/07(火) 23:58:49

    アンタ今まで一体どこに潜んでたんだよ!!!

  • 119二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 07:42:27

    出てくるキャラが好きになるよな

  • 120二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 14:19:29

    ほんまにすごいわ...

  • 121二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 17:23:18

    代行はどこへ行ってしまわれたのか?

  • 122二次元好きの匿名さん22/06/08(水) 22:14:10

    代行の新作を待つ

  • 123二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 03:28:29

    作家か漫画原作かなんかそういうのやってらっしゃるのかしら

  • 124二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 06:21:59

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 08:01:13

    >>1は早く次のダイスを回せ

  • 126二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 16:39:02

    途中で勝ちそうだったな...

  • 127二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 17:39:49

    >>126

    序盤の伏線回収して合体技キメて負けるとかサトシかよ

  • 128二次元好きの匿名さん22/06/09(木) 20:42:04

    優勝というかハッピーエンド引いたら引退してしまうんかな、、

  • 129二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 00:21:57

    いい……

  • 130二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 11:03:49

    >>127

    これほんますごい

  • 131二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 11:14:30

    >>130

    何がだよw

  • 132二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 22:45:33

    このレスは削除されています

  • 133二次元好きの匿名さん22/06/10(金) 22:58:35

    荒らされるしもう落とそうぜ

  • 134二次元好きの匿名さん22/06/11(土) 01:07:53

    >>133

    人気者の証だな

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