- 1二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:43:55
(初SSなのでどこかおかしいところがあるかもしれないです。また、筆者は関西弁エアプです)
今日は俺の担当であるテイエムオペラオーのトゥインクル・シリーズからの引退式。共にしのぎを削りあったライバルであるメイショウドトウと合同で行われることになった。
パドックに二人が登場した。メイショウドトウはこのような式に慣れないのか少し落ち着かない様子だが、オペラオーはいつも通り堂々としている。拍手を浴びながら二人でパドックを何度も回る。その後ゆっくりとバ場に入り、ラストランを走ることになっている。その姿を見ながら、あの二人の間には誰も入り込むことのできない何かがあるんだろうな、何て益体もないことを思った。
メイショウドトウが先に走り、オペラオーの走る番が来た。彼女は走り出す前に少しだけ、俺を見て微笑んだ。
彼女のラストランを見ながら考える。……彼女は年間無敗の8連勝という偉大な記録を打ち立てた。しかしまだ新人トレーナーである俺が担当したことで作戦ミスから落としてしまったレースだってあった。もしもっとベテランの実力あるトレーナーだったらクラシック三冠だって取れたかもしれない。
そんなことを考えていると彼女のラストランはあっという間に終わった。式はその後、花束贈呈やら記念撮影やらが行われながら進んでいき、そして自分も担当トレーナーとしてインタビューに答えることになった。少し迷った後、俺はずっと思っていたことを口にすることにした。
「僕はオペラオーにはすごく沢山の物をもらいました。……ただ僕から彼女には何も返すことが出来ませんでした。だから、彼女に認められるようなトレーナーになりたいと思います。ありがとうございました」
俺がそう締め括ると周りから拍手が起こった。
オペラオーがこちらをじっと見つめていた。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:44:31
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最後に盛大に引退ライブが行われ式が終わった後、オペラオーから二人きりで話したいことがあると言われたため、トレーナー室で話をすることになった。鍵をかけた後、部屋を見渡す。そこには彼女の取ってきたトロフィーや賞状がたくさん飾られていた。
「話ってなんや?別に引退式をしたからって今生の別れってわけやない……これからもオペラオーはドリームシリーズで走るんやろ?」
「違う、そういうことじゃない。ボクが言いたいのはあの式での君のコメントだ」
「コメント?……まさかいつもやってる『シャー!』とかプロレスラーのモノマネをしなかったことか?いや俺も笑いを取るのは好きやけど流石にオペラオーの引退式くらい真面目にやらせてくれや!」
「ちーがーう!……君はボクに何も返せなかった、と言っただろう」
そのことか、と思った。確かにオペラオーからすれば俺以外のトレーナーを知らないからそう言えるのかもしれない。口を開こうと思ったらオペラオーに先を越された。
「君はボクのことが絡むとすぐに自分を卑下するけど……他ならぬこのボクが相棒と認めているのは君だけなんだ。そんな君が自分の価値を落とすようなことは言わないでくれ……君のことを悪く言うのは、君自身でも許せないのさ」
「……オペラオー……確かにそっちは俺がトレーナーやったことで後悔したことなんて無いかも知れん……せやけど違うんや、これは俺の気持ちの問題なんや。それに……作戦を立てるとき、オペラオーの提案をそのまま採用することもあったやん。そういう未熟なところが足を引っ張ってしまったのは確実にある。世間からも他のトレーナーだったもっと勝てたと言われとる」
「だけど!」
オペラオーが何か言おうとするのを遮って俺は言葉を続ける。
「だからこそ!俺はオペラオーから貰ったものを活かして……オペラオーが胸を張って言えるような立派なトレーナーになって、恩返ししたいんや!」
オペラオーの目をはっきりと見ながらそう宣言する。そうしたらオペラオーは観念したような顔をしながらため息をついた。
「全く……君も強情だ。……じゃあ、うん、そうだね、もしボクが胸を張れるようなトレーナーになったと君が思えるようになったら……」 - 3二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:45:04
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それから、長い年月が経った。同期や後輩のトレーナーが結果を出す度に焦る時もあった。けれど、たくさんのウマ娘の指導をしていく中で自分なりのやり方や思いをゆっくりとではあるが見つけていくことができた。
そして遂に、この時がやってきた。
「ミッキーロケット頑張っている!ミッキーロケット頑張っている!外からワーザー!外からワーザー!ミッキーロケット!ワーザー!ミッキーロケット!ワーザー!ミッキーロケット!ミッキーロケットゴールイン!振り切ったか4番ミッキーロケット!」
自分が担当のウマ娘が宝塚記念、つまりG1レースを制覇したのだ。
G1を勝利したことでミッキーロケットが表彰台でインタビューを受けることになった。涙を目に浮かべながらそのインタビューを見ていると、自分の方にもマイクが回ってきた。
レースについてやミッキーロケットに関するコメントをしていると、インタビュアーはトレーナーとして『彼女』以来のG1勝利であることに触れてきた。自分はトレーナー歴はそれなりに長いし担当してきた子たちの成績は悪くはないがG1にはずっと縁がなかったからだ。その時、観客席の方にドリームシリーズを引退した後自分のチームのサブトレーナーとなった彼女の姿が見えた。彼女は満面の笑みを浮かべて同じように涙ぐみながらこちらを見ていた。その顔を見て、少し待たせずきたかな、なんて思う。
「もしボクが胸を張れるようなトレーナーになったと君が思えるようになったら結婚しよう!」 - 4二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:45:29
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体等とは関係ありません。
- 5二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:47:37
- 6二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:48:56
ええやん……
- 7二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:51:17
最高です!
- 8二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 16:53:25
このイケメンでギャグの上手そうなトレーナーは誰だ……?
- 9二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 17:05:33
正直二次小説を書くのが初めてでこういう場で晒すのが怖かったのですが褒めてくださる人がいてとても嬉しいです
コメントが一切つかなかったら筆折ってました - 10二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 17:07:05
ワンダーアキュートの時はまだ覚悟ができてなくてめっちゃ誤魔化したんだろうな
- 11二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 17:07:39
- 12二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 17:13:21
ぜひ続けてください!お願いします!
- 13二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 17:45:50
- 14二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 18:03:11
あ、いえSS投稿を続けていただければ、この話の前後でなくても大丈夫です。紛らわしくてすみません。
- 15二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 18:42:52
- 16二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 18:56:02
プロポーズされてから17年は待たせすぎだよ!
- 17二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 23:08:09
地方交流だから!JpnIだから!って言うのか……