あ、飴無くなった…｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 20:12:52

運転中に舐めていた飴が切れた。
すぐに新しいのを舐めたいところだが今は運転中だ。
おまけに高速道路なのでいつ停車できるかもわからない。
一人なら左手で探って飴を取っているところだが今日はあいつらも乗せているから少しでも危ない事は避けたい。
そうこうしてるうちに落ち着かなくなってきた。
完全に依存してしまっている自分にうんざりする。
仕方ない、トイレ休憩を建前に次のパーキングエリアに入って…

>>22

2二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 20:13:59

「トレーナーさん、飴が切れたんですか？袋、破いておきますね。」
助手席に座っていたスズカが話しかけてきた。
どうやら俺がソワソワしてるのを察したらしい。
「おう、悪いなスズカ。気が効くなぁ。」
少々気が引けるがここはご好意に甘えることにしよう。
俺は正面を向いたまま左手を差し出した。

3二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 20:17:00

───しかしいつまで経っても飴を渡してくれない。
「あのー…、スズカ？」
「はい、なんですか？」
いや、何ですかじゃなくてだな…
「飴、渡してくれるんじゃないのか？」
「トレーナーさん。運転中に手をハンドルから放すのはよくないですよ？」
スズカはあっけらかんと答える。
いや、ごもっともなご指摘ではあるのだが…
「いや、一瞬くらいなら大丈夫だろう？頼むよ。落ち着かないんだ。」
「ダメです。今のトレーナーさんは皆の命を背負っているようなものなんですよ？」　
くそう、ズルいことを言ってくれるじゃないか。
しかしこうなったスズカは絶対折れないだろう。
「はあ、わかったよ。次のパーキングで止まろう。」
ここは言うことを聞いておくことにしよう。
それにしても渡してくれないならあんな提案しなければいいのにな…。

4二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 20:19:45

「トレーナーさん。あーん。」
という声と共に口元に飴が差し出される。
「えーっと…スズカさん？何してるのかな…？」
「あーん。」
さらにぐいっと突き出される。
「いや、だからあーんじゃなくてね？」
「あーん。」
「おい」
聞く耳を持たない。
これじゃ埒があかないな…。
「…トレーナーさん。飴、舐めないと落ち着かないんですよね？でも運転中にハンドルから手を離すなんて危ないですよね？それなら、隣にいる私が食べさせるしかないと思いませんか？」
そうかな…そうかも…。
…って、そうはならんやろ。
「いや、俺が少し我慢すればいい話で…。」
「トレーナーさん。落ち着かない状態で運転するんですか？さっきも言いましたが今のトレーナーさんが背負ってる命はひとつじゃないんですよ？」
そうやってスズカは正論で畳み掛けてくる。
こうなったら俺が折れる以外に選択肢はないのだろう。
…なんだか納得はいかないが。
「あーん。」
俺が黙り込むとスズカは追い討ちをかけてくる。
「…あーん。」
…俺は屈した。
口の中に広がった飴の味はいつもよりも甘い気がした。
全く、大人を揶揄いやがって…。
そう思い、一瞬、ほんの一瞬だけスズカの方を見た。

スズカの顔がいつもよりほんのり赤い気がした。