【SS】不死身の杉元が第七師団に引き抜かれるとしたら

  • 122/06/12(日) 21:56:30

    SS初心者
    なんか変なことしてたら言ってください
    時期は日露戦争終了後、杉元除隊前
    行き当たりばったり

  • 222/06/12(日) 21:57:17

    第一師団長中将「して、鶴見中尉は我が隊の『不死身の杉元』という人物を聞いたことはあるか?」

    鶴見「不死身…ですか。えぇ、もちろん。その名はこちら第七師団にまで伝わっておりますので。…一度だけ。旅順で見かけました、少し遠かったですが。あれほどの働きぶり、何かしらの勲章を賜っていることでしょう」

    中将「いや。何もない」

  • 322/06/12(日) 21:58:54

    鶴見「何もない?まさか。師団を越え、一部の民間人にすら知られるほどの武勇を成したはずですが」

    中将「うん、それなんだがね。上官を半殺しにしおった」

    鶴見「…ほう?」

    中将「んふふ、まぁそいつの発言も周囲は聞いておってな。なかなか聞くに耐えぬものだったらしく、『不死身の杉元』の活躍もあってある程度お目溢しはされたのだが、金鵄勲章はなしになった」

    鶴見「それはそれは。して、彼は?」

    中将「満期除隊だよ。年金もなし。近々軍を去る」

  • 422/06/12(日) 22:03:37

    鶴見「なんと…勿体無いですなぁ。それほどの逸材を、と思ってしまいますが」

    中将「まぁ彼は少し直情的なところもあったしな。ここだけの話、似たような問題は何度か起こしていたのだよ。だが、彼のその英雄的な武勇伝は我が隊にも広く知られており、あまり酷い扱いをすればこちらの立場が悪くなる。要は、扱いづらかった」

    鶴見「確かに。規律を優先しながらも、戦場で命をかけている兵士にとってみれば、そんなものよりも共に戦い、決して死なぬ英雄の方が立派なものでしょう」

  • 522/06/12(日) 22:07:48

    中将「おっと、長話が過ぎたな。すまんな、雑談は終わりだ。帰ってよい」

    鶴見「中将殿。少し、よろしいですか?」

    中将「何?彼を………?いやしかしだね………うむ………うぅん………」

    鶴見「では失礼致します」
    バタン
    鶴見「月島。杉元佐一の身辺情報を調べろ」
    月島「はい」

  • 622/06/12(日) 22:09:32

    (別日)

    杉元「失礼します」
    ガチャ

    鶴見「やぁ〜!よく来たねぇ!」

    杉元「は、はぁ…」

    鶴見「ふふふ、なぜ第七師団の中尉がわざわざ第一師団の一兵卒を呼びつけたのか、という顔だね。すまないね、ご足労いただいて」

    杉元「い、いえ!」

  • 722/06/12(日) 22:21:01

    鶴見「私はまどろっこしいことは嫌いでね。単刀直入に言おう。第七師団に来る気はないか?」

    杉元「第七師団…北鎮部隊に、俺が、ですか」

    鶴見「聞いた話によると満期除隊で軍を辞めるらしいじゃないか。私はそれが実に口惜しくてねぇ。どうだろう?」

    杉元「…お気持ちはありがたいのですが、」

    鶴見「二百円、必要なのだったかな?」

    杉元「!?」

  • 822/06/12(日) 22:22:22

    鶴見「座りたまえ」

    杉元「いえ、立ったままで」

    鶴見「月島。座らせろ」

    月島「はい」

    杉元「ちょ、ぐっ」
    ドサッ

    鶴見「剣持梅子さん…だったかな?」

    杉元「……」

  • 922/06/12(日) 22:23:49

    鶴見「金鵄勲章も無し。年金も無し。どうやって彼女の目を治すつもりだったのだ?」

    杉元「彼女に何をした」

    鶴見「何も?ただ調べさせてもらっただけさ。ただ、今後はどうなるかは分からん」

    杉元「はっ、そういう魂胆かよ。いたぜ、他の師団でもクソみたいに姑息な手を使って俺を引き入れようとする奴らがな」

    月島「杉元一等卒!」

    鶴見「良い。…本当の彼が見てみたい」

  • 10二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:24:24

    理解度高くて良いssだ

  • 1122/06/12(日) 22:26:15

    杉元「その二百円はどう持ってくるつもりだ?まさか軍庫からかっぱらってくるか?そんなん、あんたがしらばっくれて俺や彼女に罪なすりつければ終わりだろう」

    鶴見「逆にお前はどうやって調達するつもりだったのだ?ん?いってみろ」

    杉元「……北海道で、砂金が取れるって」

    鶴見「ははは!砂金さらいでもするつもりだったのか!!」

    杉元「テメェらの用意する汚れた金よりはマシだ!バカにしやがって!」

    鶴見「いやいや!馬鹿になどしていないよ。なんていったって、私もそれをやろうとしていたところだ」

  • 1222/06/12(日) 22:34:09

    杉元「なんだと?」

    鶴見「アイヌの金塊の話を知っているか。知らない?そうだろうとも。だがそこに莫大な金が眠っているらしい」

    杉元「御伽噺だろう」

    鶴見「裏が取れた。そのためにはお前の力が必要だ」

  • 1322/06/12(日) 22:34:38

    杉元「どうやって信じろと」

    鶴見「現に私が中央政府に逆らってまで計画を起こしている。裏も取れぬ御伽噺でそんな危険な橋を渡るとでも?」

    杉元「中央政府に?逆らう?まさか、第七師団を乗っ取ろうとでもいうのか」

    鶴見「この話だって貴様から漏れれば私は反逆罪だ。この話をしていることそれ自体が、金塊の実在の証拠になり得るのだよ」

  • 1422/06/12(日) 22:35:13

    杉元「…金塊が取れたら二百円を寄越すってのか」

    鶴見「安いものだ。逆にいえば貴様の力には二百円以上の価値を見出している。どうだろうか?永遠と寒々しい空の下北海道の川を永遠とさらうのと、我々に着いてくるの……どちらが梅子さんが助かる可能性が高い?」

    杉元「………………」

  • 1522/06/12(日) 22:36:10

    鶴見「では、これからよろしく頼むぞ。杉元一等卒」

    杉元「……失礼致します」
    ガチャ

  • 1622/06/12(日) 22:36:56

    鶴見「何か言いたげだな?月島。言ってみろ」

    月島「っ…はい。今の杉元一等卒には中尉殿への忠誠心はカケラも見受けられません。このままでは中尉殿からの謀反を企てている奴らに取り込まれかねないかと」

    鶴見「いかんせん時間がなかった。まずは彼を第七師団に縛り付けることが優先事項だったからね。それに、彼は簡単にはそうなびくような男でもない。じっくり、じわじわと、食らってゆけば良い」

    月島「……」

    鶴見「そうだろう?月島ァ…焦ることはない…」

  • 1722/06/12(日) 22:37:58

    月島(彼の境遇には…少し覚えがある。いざとなれば手を汚す覚悟はできている。それでも……。どうか俺に剣持梅子を殺させるなよ、杉元佐一)

  • 1822/06/12(日) 22:38:48

    終わりです。
    杉元佐一が除隊前に第七師団に引き抜かれるとしたらどんな流れになるだろうか、という捏造ストーリーでした。
    長々とありがとうございました。

  • 19二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:39:00

    ワンチャン有り得なくもないラインで面白い

  • 20二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:39:48

    面白かった
    こうなるとアシㇼパさんと出会うのは土方さんの方になるのかな

  • 21二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:41:42

    面白かったです!原作でもあり得たかもしれないラインなのがいいですね

    また違うSSも楽しみにしてます!

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:44:29

    こうやって見るとマジで謎ポップしてきた強ユニットなんだな杉元って

  • 23二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 22:46:12

    お疲れ様!面白かったです

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています