- 1二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:19:07
時々、あのキラキラした過去が懐かしくなる。トップウマドルとして、栄光の果てを見たかつての自分。引退の宣言をした時、誰もがそれを惜しんでくれた。
今となってはスマートファルコンは過去の存在。いつのまにかファンから忘れ去られてしまった。
少しずつ、少しずつファンはいなくなり、定期的に彼女のライブを観るような存在はほんの一握りとなってしまった。
かつて、トゥインクルシリーズを共に駆け抜けたファン1号も、その名を返上した。
ウマドルでなくなった今、彼にその称号は不要になったからだ。
──随分変わっちゃったなぁ。
今の自身の姿を鑑みる。最低限のメイク、一纏めに結っただけの髪、ほつれの目立つ野暮ったい服。
日々の生活を送るのにお洒落をする余裕もなく、蓄えも必要になってくる現状を思いながら、スマートファルコンは溜息をついた。
「……早く帰らないとね」
買い物袋を下げながら、てくてくと道を歩く。沈んでいく夕日がいつもより目に沁みた気がした。 - 2二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:21:12
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- 3二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:21:57
かつかつと階段を登る。トレセン学園を離れてから住むようになったアパートの自室の前に立ち、鍵を取り出して扉を開ける。その隙間から、わずかに漏れ出る光と鈴を鳴らすような歌声が響いていた。
「ママ、おかえり!」
そこには屈託のない笑顔を浮かべる少女がいた。先程までずっと歌っていたのであろう。マイクを片手に、ほんの僅かに声を掠れさせていた。
「ただいま、ごめんねー。いつもお留守番させて。さみしくなかった?」
その笑顔に帰り道に感じていた郷愁はすっかり飛んでいき、代わりに娘を1人で家に置いておくことに申し訳なさを感じて謝意を述べる。
「へっちゃらだよ! ママと歌ってたらさみしくないもん!」
おや、とスマートファルコンは訝しむ。部屋を見渡すとテレビが光っており、中では若かりしスマートファルコンが映っていた。
「またママのライブ見てたの? 恥ずかしいなー」
そう言いながらもどこかまんざらでもない笑みを浮かべるスマートファルコン。この小さなファンは飽きることなくスマートファルコンのライブ映像を眺め、今のように共に歌っているのだ。
「ね、ね、ママ歌ってよー。映像もいいけどやっぱりママの歌が1番だもん」
夕飯の用意をしようとすると、そう娘におねだりされたスマートファルコン。ファンサービスは欠かしてはいけない。そんな気持ちで咳払いひとつ、喉を開いて歌を響かせた。
あの頃と比べて声も出ず、音を何度も外しているが、小さなライブ会場にいるたった1人の観客は、満面の笑みを浮かべていた。
調理音BGMに幾度かのアンコールに応えたスマートファルコン。ふと、玄関口から足音が聞こえるのに気がついた。カチャリという音に合わせて声をそろえる
「おかえり! パパ!」「おかえりなさい。旦那さま☆」
かつてのファン1号とウマドルはいなくなり、そこには仲睦まじい家族がいたのであったとさ。 - 4二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:22:34
こういうのでいいんだよ
- 5二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:23:02
後で読み返すと意味の変わる文章を書きたかったがこれが俺の限界だった
- 6二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:24:24
- 7二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:25:07
なんてこった!>>2で野暮な事書いちまったから消しとくぜ!
- 8二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:26:25
これには元同室の閃光の切れ味さんもニッコリ
- 9二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:26:28
ファル子の眼に光があるなんて珍しいな…
- 10二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:27:29
- 11二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:29:12
最高でござる
- 12二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:29:26
目に光が…!
- 13二次元好きの匿名さん22/06/19(日) 20:53:12
素敵だ……
- 14二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 08:04:12
すげぇ良き