ネオ・オーガニック人参ハンバーグ

  • 1二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:05:47

    〘サツキ賞勝者はセイウンスカイ!!〙
    「ザッケンナコラー!」
    近未来のtokyoレース場では、負け組サラリマン達がバ券を握りしめて絶叫していた。
    バイオテクノロジーの進歩により、ウマ娘達はその数を爆発的に増やした。
    神聖で高潔な存在だったはずのレースも富裕層や権力者、一部の勝ち組サラリマンの投資先や娯楽としての側面を強めていき、やがてそれはスポーツではなく賭博の対象となっていく。
    そしていつしか、ウマ娘レースも賭け事の一つとして人々の生活に浸透していった。 

  • 2二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:06:40

    「ピッチ、ストライド、ピッチ、ストライド」
    サツキ賞にてセイウンスカイに競り負けたスペシャルウィークは、膨大な基礎トレーニングをこなしながら次のレースに向け自身を鍛え直していた。
    あの時のセイウンスカイの走りは凄まじく速かった。まるで、風が吹き抜けるように彼女の姿はあっという間に遠ざかっていった。
    “今も昔もウマムスメはハシリを鍛えた奴が上を行く”
    レジェンドサンカンバ“キンイロザイク”の言葉である。彼女がその日の天候、馬場、レース展開に合わせて、走法を使い分ける術に長けていたことはジッサイ有名である。
    しかし、負け組ウマ娘となったスペシャルウィークは、そんな彼女ですら例外ではなかったことを痛感させられた。
    「ピッチ、ストライド、ピッチ、ストライド」
    スペシャルウィークは、黙々と基礎トレを続ける。
    だが、どうしても頭の中では考えてしまうのだ。
    自分が、もしセイウンスカイのように自分の持ち味を活かした走りをすることができたなら、と。
    その時、彼女は己の中に眠る“ハシリ”の可能性に気づいた。
    「そうだ。私は、もっと速く走れる」
    “ソウダネ”
    「え…誰」
    突然、スペシャルウィークの脳内に何者かの声が響いた。

  • 3二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:07:29

    「誰なの?」
    「ドーモ。スペシャルウィークサン。…“ハンコック”です」
    スペシャルウィークの眼の前には白い流星に赤いセンコめいた瞳の鹿毛黒いウマムスメのオバケがいた。
    「え、えーと、ドーモ。ハンコックサン。スペシャルウィークです…じゃなくて!あなたは一体何なんですか!?」
    「俺か?そーだな、まぁ簡単に言っちまえば、この世に未練を残した哀れなウマムスメのオバケさ」
    「オバケですか…?」
    スペシャルウィークは戸惑いながらも、話を聞くことにした。
    「まあ、あれだ。別に難しい話じゃない。要するに“インストラクション”ってわけだ。まず、お前さんがすべきことは、己の限界を超えることだ。そして、それを成し遂げるための方法は一つしかない。分かるな?」
    「はい。分かります。つまり、限界を超えて走るんですね!」
    「ご名答だ。いいか、スペシャルウィーク。ウマ娘の肉体は人間より遥かに優れた性能を持っている。ただ、そのスペックを引き出すには、相応の精神力が必要なんだ。その精神力を身に着けるためにはどうすれば良いと思う?」
    「……はい!トレーニングをする!そして、勝つ!それしかありません!」
    「そうだ。よく分かってんじゃねえか」
    「はい!ありがとうございます!」
    「おう。良い返事だぜ。じゃあ、俺の走りを一度だけ見せてやるから、眼を見開いてよーく見てろ。そして、しっかり見とけよ」

  • 4二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:08:23

    黒い靄めいたオーラをまとったウマムスメめいたモノが、地面を蹴った瞬間、スペシャルウィークの視界から消えた。
    そして、一瞬遅れて風の音が鳴り響き、土煙が上がった。
    それはまさしく、風を切り裂くような走りであった。
    スペシャルウィークの目には、確かにそれが見えた。
    バイオ芝を蹴り上げ加速していきながらもコーナーでは一切速度が落ないどころかむしろ加速していくその走りは、まさに風のようだった。
    しかし、それだけではない。
    そのウマムスメはコーナーを曲がりきると、更にスピードを上げた。
    そして、最終直線に入った瞬間、その身体はさらに大きく膨れ上がり、爆発的な推進力を生み出した。
    その姿はまるでロケットのようだ。
    黒い彗星がゴール板を駆け抜けた。
    “ワカッタカ。スペシャルウィークサン”

    その走りは、スペシャルウィークの身体の奥底にある何かを呼び覚ました。
    それは、スペシャルウィークの内に秘められた可能性の扉の鍵を開けるカ
    その時、再びスペシャルウィークの脳裏に声が響いた。
    ――その走りを己のものにせよ!!

    そして、
    それから1週間後、再びレースの日が訪れた。

  • 5二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:09:05

    〘トウキョウユウシュン世代の頂点を競う選手たちが入場します!!〙
    観客たちは、今年のレースの主役となるであろうウマムスメたちの登場に興奮を隠しきれない様子だ。
    〘カワイイヤッター!!カラダニワキオツケテネ!!アイツハカクテイダ!! オレハカクテイハドウデモイイケド……〙
    バイオテックとナノテク工学を用いら造られた勝負服はウマ娘にとって最高のステイタスであり、レースにおいての戦装束だ。
    今年の出走ウマ娘たちは、いずれもレースで華々しい“カチクラ”を残した強者たちばかり。
    「ドーモ。スペシャルウィークサン。セイウンスカイです」
    「ドーモ。セイウンスカイサン。スペシャルウィークです」
    レース前に行われる“アイサツ”は互いの所属企業やクランをアピールし合い、己の優位性を示す場でもあるが、同時に相手への宣戦布告の場でもある。
    世代の頂点が集まるこのレースシャダイ、メジロ、タイキ、ハイペリオン、ニチヨウシズカ様々なクランのウマ娘が鎬を削る。
    〘さぁ、間もなくスタートとなります!!果たして、栄光の栄冠を手にするのは誰なのか!?それではスタートしました!!各ウマ娘、一斉に駆け出していきます!先頭はキングヘイロー、続いてセイウンスカイ!〙
    スツ詰めにされたサラリマンたちが怒号のような歓声を上げる。
    レーシーなBGMと共に、ウマ娘達はコーナーへと向かっていく。

  • 6二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:09:39

    序盤こそスローペースの展開となったが、中盤に差し掛かると徐々にペースが上がり、終盤は大混戦の様相を呈してきた。
    そして、
    「「「イヤーーーーッ!!」」」
    築地のマグロめいた勢いで、ウマ娘たちが一斉にコーナーへ突入した。
    そして、ウマ娘たちがコーナーを曲がりきり、最後の直線コースに入る。
    ここから先は、各々のスタミナと根性、そして脚力がものを言う領域だ。
    スペシャルウィークは、その光景をじっと見つめていた。
    そして、ラスト200メートル地点を過ぎたところで、彼女は動き出した。
    その表情は、今までの彼女からは想像もできないほど、鬼気迫るものだった。
    「イヤーーーーッ!!!!」
    第4コーナーセイウンスカイが先頭に躍り出た。しかし、スペシャルウィークはそれを追った!!

  • 7二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:10:27

    セイウンスカイが逃げる。
    スペシャルウィークが追う。
    二人の差は徐々に縮まる。
    スペシャルウィークが追う。
    セイウンスカイが逃げる。
    スペシャルウィークが追う。
    「イヤーーーーッ!!!!」
    「イヤーーーーッ!!!!」
    視聴者の皆さんの中にウマ娘動体視力を持つ者がいたならば気づいただろう…スペシャルウィークの瞳の中で、炎のごとき赤い輝きを放つ虹彩を……
    ――そうか……これが……
    その瞬間、スペシャルウィークは己の中に眠る可能性を引き出し、限界を超えた。
    それは、ウマ娘の肉体が持つ潜在能力を解放するための儀式。
    ――限界を超えて……
    スペシャルウィークが加速した。
    セイウンスカイも加速する。
    両者の距離は詰まっていく。
    ――限界を超えて走るということなんだ! そして、両者は並んだ。
    「イヤーーーーッ!!」
    「グワーーーーッ!!」
    「イヤーーーーーーッ!!」
    「グワーーーーーーッ!!」
    「イヤーーーーーーーーッ!!」
    「グワーーーーーーーーッ!!」
    残り200m、スペシャルウィークがセイウンスカイを差し切った。セイウンスカイが必死の形相で追いつこうとするが、スペシャルウィークは勢いはそれを許さない。
    もはや彼女の速さについていけるものはいない!!
    セイウンスカイも、キングヘイローも、レースを走るウマムスメ達は彼女を止められないら!!
    そして、遂にスペシャルウィークがゴール板を通過した。

  • 8二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:10:45

    〘トウキョウユウシュン世代の頂点!!勝者はスペシャルウィーク!!!!〙

    観客の歓声と拍手喝采が巻き起こった。
    スペシャルウィークは勝利したのだ。
    それは、彼女が己の限界を超え、勝利を手にした瞬間であった。
    セイウンスカイは、スペシャルウィークの勝利を見届けると、その場に崩れ落ちた。
    勝者はスペシャルウィーク。
    晴れて世代の頂点となった彼女には、勝ち組ウマ娘の栄光が与えられるが敗北者には何も与えられない。それがレースの世界なのだ。
    本日の勝利者スペシャルウィークの夕飯がオーガニック人参ハンバーグだったことは言うまでもない。

  • 9二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:12:22

    日本総大将のエントリーだ!

  • 10二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:13:06
  • 11二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:24:04

    キングの逃げザッケンナコラー!
    トレーナースッゾコラー!!!

  • 12二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 18:30:00

    ハンコックさん…もしかして、その正体はサンデーサイレ

  • 13二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 19:02:00

    👻👍

  • 14二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 19:04:04

    ブッダファック!!
    なんというワザマエ!!

  • 15二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 20:15:05

    オーガニック人参ハンバーグはジッサイオイシイ

  • 16二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 21:54:40

    ゴウランガ!

  • 17二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 21:58:27

    ふたばで見たな

  • 18二次元好きの匿名さん22/06/20(月) 22:02:51

    >>17

    両方で書いてる

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