- 1二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:18:07
- 2二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:18:48
腐るほど在るけど時期が時期だから出したら非常にまずいのも在る
- 3二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:21:02
あるけどクロスオーバーだしあんま自信満々に出せないわ
ウマ娘じゃなくて競馬ネタだしその癖競馬やったことないし完成することはないと思われる - 4二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:23:14
出だしというかコンセプトだけ書いて放置してしまった作品ならある。
ただ、メモ書きレベルなのでお出しできるもんじゃない。こういうの俺だけじゃないよね - 5二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:24:15
じゃあ俺から出そうか
- 6二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:25:00
- 7二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:25:46
- 8二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:27:10
- 9二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:27:18
走れタマモで草
- 10二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:28:01
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- 11二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:28:22
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- 12二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:28:24
- 13二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:30:11
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- 14二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:31:02
一部の人間のせいで史実準拠の健全作品までもが燃えるようになり、わずかに残った先人たちがキャラ名すら伏字の伏字のアナグラムみたいなものにしているのを見てさすがに仕舞ったよ…
- 15二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:31:38
暴君サイゲェムス草
- 16二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:32:52
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- 17二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:33:12
いつまで経っても荒らしが粘着してるからあのキャラのSS全部お蔵入りにして消したわ
- 18二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:33:16
ハリセン(短刀)でもう我慢できなかった
- 19二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:33:35
- 20二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:33:57
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- 21二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:35:39
ネタが秀逸+3200
- 22二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:36:04
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- 23二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:36:25
- 24二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:37:15
- 25二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:40:34
- 26二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:43:12
このレスは削除されています
- 27二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:44:20
- 28二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:45:16
お蔵入り直前のネイチャバースデーSSならある
- 29二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 18:58:32
例のスレや渋の作品触発されて試しに書き出したトレーナーがウマ娘化するSSを書こうとして、
話の落としどころ見失った上見返したらガバガバなとこ多すぎてそのまま行き場を失ったのはある
書きかけの上ちょっと出せる状態ではないんで出せないが - 30二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 19:10:11
吸血ウマ娘に触発されて書いてたけどどうしても平和にしたくて、だけどその影響で当時の吸血ウマ娘の風潮とクリティカルな所でズレが生じたのでお蔵入りした。
いつか男女ssの形で投稿しようかなって…… - 31二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 00:40:04
言わせたいセリフがあるから
アルダンアルトレ×BJのクロスオーバー書こうと思ったけど
初SSでネタ構成も上手くできないから積んでる… - 32二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:22:18
未登場海外バ×未登場輸入バで自分が立てたんじゃないスレに書き込んだやつ
期待させるつもりはなかったんだ
ただ別離エンドだったし最初に宣言してなかったなと思うと気が重くなってしまってな - 33二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:27:26
宝塚記念。
出走するウマ娘はみな、”夢”を背負って走ると言う。
自分は控室で遅れている彼女を待っているところだった。
…勝負服への着替えに時間がかかっているのだろうか。
刻一刻と近づくパドック入場の時間に焦っていると、不意にドアが開いた。
「すんませんっ!遅れたっス!」
彼女が_バンブーメモリーが来た。相当焦っていたのか、勝負服の手袋をしていなかったり頭はハチマキを巻いたままだったりと、細かい着替えが終わっていなかった。
「待たせちゃってたんで急いできたっス!今細かいところ終わらせるんで…」
そう言って、細かいところを整えていく。
彼女がトレードマークとも言える”夢”と書かれたハチマキを外した時、気になったので声をかけてみた。
「…え?これをつけて走らないのか、っスか?」
そもそも勝負服として登録していないから出来ないのだが…勝負服でハチマキをつけていない理由は気になったし、今日が宝塚記念なので余計に気になった。
「そうっスね…”夢”じゃないからっス」
彼女はそう答えた。
ここで力尽きた
推しのために全力出したかったけど難しかった… - 34二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:30:24
アニメ時空でテイオーを全力で引退させようとする沖トレの話書いてた
正直言ってアニメでみんなテイオーの引退を引き留めようとするのが嫌だったから書き始めたやつで、書いてる内にマイルドになると思ってたけどアニメへの批判に繋がりそうになったから塩漬けにした - 35二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:34:25
リトルココンが理子ちゃんのおぱんつ拝借する話書いてたけどガイドライン更新とかで改めて駄目だよねっていう雰囲気になって投下できる状況じゃなくなった(自業自得)
- 36二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:37:03
- 37二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:40:53
二か月くらい進捗が無いのが一本、ずっと書きたいと思っていたネタで遅々として進まないのが一本、最近閃いたけど行き詰まってるのが一本……
お蔵入りさせたくないけど予備軍だなあ - 38二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:49:07
一回ヒシアケボノとボノトレの相撲SS書いてたら別方面に荒れてスレが消し飛んでて御蔵入りになりそうだったのを強引に保守代わりでぶち込んだことはあった
あのスレの人たちが寛容で良かったと今もちょっと思う - 39二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:34:05
ノリノリで書いてた物あったけどGが出現する話だからこれを掲示板に流すのは危ないかもしれないと思ってお蔵入りにしてる
- 40二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:36:40
カレンチャンの指のSS
もしかしたら出したことあるかもだけど
消したかもしれない - 41二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 02:38:24
陛下のネグリジェの中に指を忍び込ませるSSとか
こんな風な直接描写はないけど絶対このあとこいつらうまぴょいするんだ!って感じのを書いては「いやこれ駄目だな…」って出せずにいる - 42二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 13:33:46
あげ
- 43二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 01:22:29
続きを書きたいなーと思いつつ時間もなくて書けない。
お蔵入りと発掘を繰り返してるやつがいっぱいある。 - 44二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 01:38:33
- 45二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 12:48:54
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- 46二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 12:53:29
ギャルゲっぽいカノープスの現パロSSがお蔵入りに…
- 47二次元好きの匿名さん22/06/24(金) 23:49:09
すげぇ多いな...
- 48二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 11:05:34
あげ
- 49二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:06:12
オリウマで5000字くらいのやつならあるわよ
投げていいかしら - 50二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:58:45
いいわよ
- 51なんか途中で疲れた奴22/06/25(土) 15:20:24
ねえねえシャカール。この男の人に見おぼえある?
パソコンに向かってデータを整理しているときファインがある男の顔が描かれた紙を持ってきた。おそらく西洋人だろうが日本人に見えなくもない、デコが広く眉が太い。唇が弧を描いており少し微笑んでいるようにも見えるが笑っているように見えず不気味な男の絵だ。
ああ、見たことあるぜ。
ほんと‼この男の人は夢の中の住人で
⋯⋯ていう設定なんだよ。とあるイタリアのおっさんの作り上げた与太話だ。白黒で人種もわかりづらいし普遍的かつ不気味な顔なんかが印象に残りやすいってだけだ。あとは心理学における集合的無意識なんかが関係しているなんて説もあるな。まあ残念ながらそれは与太話だ。
オレが言葉を遮りそういうとファインは口をとがらせる。どーせロマンがねーとか思ってんだろうな。
えーなんですぐネタばらししちゃうのよ
くだらねーこと言ってんな。だいたいロジカルじゃねーよ
果たして本当にそうだろうか?
げ、めんどくせえ奴が来やがった。そう思いながらそいつのの方に椅子をまわす。そいつはいつもの光のない目をこちらに向けながら薄く笑っている。
君は元ネタを知っていたようだがファイン君の持ってきたその絵を初めて見た時デジャヴを感じなかったかい?
そういう風に仕掛けられてるんだからそうだろ。
じゃあなんでそういう風に仕掛けられたんだろうか。多くの人が何となく見たことある気がする顔を作るなんてそれこそ奥底に秘められた意識を感じるよ。
集合的無意識説か?顔のバースとかを人種問わずメジャーなものをくっつけて平均化しただけだろう。ロジカルに考えれば統計的じゃねえか。 - 5249よ22/06/25(土) 15:39:59
じゃあ載せるわね
10レスくらい使うわ。ごめんなさいね
タイトルは「ブランキーのトレーナー」よ。オリウマ、トレウマ注意ね
セキュラブランキーという競走ウマ娘がいました。才能あるウマ娘でした。両親から愛情をいっぱいに受けて育った彼女は、努力の甲斐あってトレセン学園に通うことになりました。
- 53二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:40:28
ところで、ブランキー(幼い頃からそう呼ばれたので、彼女はいつもそう名乗りました)には変わった癖がありました。才能豊かで強い意思を持ち周囲の人間には惜しみない愛情を振り撒く彼女でしたが、聖人君子ではないのです。変わったところの一つや二つ、あってもなんらおかしなことではないでしょう。
ブランキーの変わった癖とは、一着のスウェットシャツを愛用していることでした。彼女はそれを「トレーナー」と呼んでいました。父から譲り受けた、年代物の一着です。しっかり厚みがあり、ずっしり重さがあります。所々擦りきれていましたが、何度も母にせがんでは繕ってもらったのでした。今では自分で手直しをするほどで、ブランキーはすっかり裁縫自慢になっています。
季節を問わず、ブランキーはこれを寝間着として愛用しました。もうずいぶんくたびれて、夏は暑く冬は肌寒く感じるものでしたが、それでも脱ごうとはしなかったのです。「トレーナー」を着ていないと、ちっとも眠れないのでした。
この奇癖をブランキーは自覚していたので、入寮の際は不安でした。しかし、理解あるルームメイトは彼女のこだわりを快く受け入れました。「いいじゃん、そういうの。カッコいいよ」そうあっさりと言ってのけるルームメイトの姿が、ブランキーにはなんとも頼もしく魅力的に感じられて、二人はすぐに友だちになったのでした。 - 54二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:41:01
晴れてトレセン生となったブランキーの日常は、忙しくも充実したものでした。来るメイクデビュー、そして選抜レースに向けて、厳しいトレーニングを積む毎日。ダンスや歌のレッスンにも手は抜けません。もちろん、学業も疎かにはしません。たまの休みには新しい友だちといっしょに出かけて、甘いものを食べたり、流行りの服や化粧品を見て回ったりしました。時間はあっという間に過ぎていきました。
梅雨が明けようとしている頃でした。じっとりと蒸し暑い日々が続いていた時のことです。ブランキーは、とうとう専属のトレーナーに見初められたのでした。
「君には才能がある。重賞での勝利……いや、もっと高いレベルだって目指せるに違いない。君の競技人生を、おれに預けてくれないか?」
トレーナーは年若く、熱意と誠実さに満ちたまなざしの持ち主でした。ブランキーは二つ返事でその申し出を受け入れました。努力が実り、才能が認められたことが嬉しくてたまりませんでした。自分自身と、笑顔で送り出してくれた両親、そして地元の友人たち。セキュラブランキーというウマ娘を形作るすべてが報われたのだという感動に、ただただうち震えていたのでした。 - 55二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:41:35
本格的な競走ウマ娘としての生活を始めたブランキーでしたが、思うような結果はなかなか出ません。トレーナーの指示に従い、毎日の練習をこなします。レースにもいくつか出ましたが、才能があり、努力を欠かさないウマ娘はブランキーばかりではないのです。自分の力不足を痛感する日々が続きました。
「焦っちゃダメだ」トレーナーはまっすぐにブランキーを見据えます。「今は耐えるんだ。まずレースの経験を積んで、その雰囲気を肌で感じ取れ。目先の結果じゃなく、自分の走りに集中するんだ」
「君の競技人生というレースは、まさにゲートが開かれたばかりなんだ。まだ1ハロンだって走っちゃいない。まだまだ追い込める。チャンスはある。最後にまとめて差し切ってやろうじゃないか」
不安こそありましたが、トレーナーの強いまなざしがブランキーを支えました。心と体が燃え上がりそうになるほど、悔しさを感じた夜もあります。しかしその度に、トレーナーことを思い出すのでした。「これからっしょ。あたしなんて担当もいないし」と明るく笑って励ましてくれるルームメイトに救われるのでした。そして、「トレーナー」に身を包みそれを抱き締めるようにして、毛布にくるまって安らかな眠りにつくのでした。 - 56二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:42:25
いつの日からか、ブランキーはトレーナーに惹かれる自分に気が付きました。
「トレーナー? ……ああ、スウェットのことか。写真はある? ちょっと古着には詳しいんだよ」
「へぇ。古いアメリカ製のスウェットだね。うん、ヴィンテージって呼ばれるような代物だよ。タグはかすれて読めないけど……この胸元のV字とか、脇の縫製を見てごらん。これは特定の時期にしか採用されてない手法で──」
「ブランキーも古着に興味ある? じゃあ、今度の休みにいっしょに出かけないか? オススメの店があるし、気分転換にもなるよ」
好きなものについて語るトレーナーの言葉が、ブランキーの耳に心地よく触れるのでした。
「裁縫が得意なんだね。……えっ、そのワンピースも自分で作ったの? 生地から選んで? 型紙も……いや、すごいな。どこかのブランドものかと思った」
「情けない話なんだけど、おれはボタン付けも上手くできなくてさ。丁寧にやってるつもりでも、ぐちゃぐちゃになっちゃうんだ」
「教えてくれるって? よーし、ならブランキー先生の胸を借りようかな。お気に入りのシャツがあるんだよ」
公私にかかわりなく、二人で過ごす時間は少しずつ増えていきました。 - 57二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:42:55
「なんかさー」とルームメイトがにやりと笑います。「最近、トレーナーさんとイイ感じじゃない?」
ブランキーはそれを必死で否定しようとして──勢いよく挙げた手をゆっくり下ろすと、言葉が見付からず、口をぱくぱくと動かして、黙ってしまいました。
「ありゃ、図星?」ルームメイトはますます愉快そうに笑みを深くするのでした。「ちょっとちょっと、詳しく聞かせなさいって。あたしの大事なブランキーちゃんに相応しい男かどうか、判断してやろうじゃないの」
「そ、そんなんじゃ……」ブランキーは消え入るような声でそう返しました。「……ある、かも、しれないかなあ……うぅ」
「ほほう」ルームメイトがブランキーのベッドに飛び乗ります。「こりゃあ今日は寝かせられませんなあ」
隣に腰掛けるルームメイトが、ブランキーの真っ赤になった顔を覗き込みます。ブランキーは、ゲームセンターでトレーナーに取ってもらったクッションに顔を埋めました。クッションにプリントされたビーグル犬のデフォルメイラストが、ブランキーの力に耐えかねて、ぐにゃりと歪んでいました。
ブランキーは幸せでした。毎日は忙しくも充実し、友人に恵まれ、生まれてはじめて抱く淡い感情が、胸いっぱいに広がっていたからです。ルームメイトの追い込みはしつこく続くでしょう。夜更かしぎみになってしまうかもしれません。それでも、最後はぐっすり眠れたでしょう。なぜなら、今日も「トレーナー」を着ているからです。 - 58二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:43:22
たとえどんな結末を迎えようとも、ブランキーはきっと満足できるだろうと思い込んでいました。両親と、友だちと、トレーナーと──大切な人たちに囲まれて、全力で走り抜けることができたなら、レースの結果は問いません。いつか振り返る道のりに、一片の後悔も転がっていない未来を、ブランキーはそぼくに想像するのでした。
- 59二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:43:52
長い夏合宿を終えた初秋の頃、その日はやってきました。
日課の早朝トレーニングを終えて、ブランキーは洗濯機を回しました。シャワーを浴び、軽くメイクをして──服を乾燥機にかけたら朝食をとりにいこう、そう考えていたところでした。
「あっ」とブランキーは呟きました。言葉ではありません。それは悲痛な感情がただこぼれ落ちただけでした。
「どうしたの?」ルームメイトが洗濯槽を覗き込みました。
おそるおそる洗濯ネットのチャックを開くブランキーの手は震えていました。しかし、結末が変わろうはずもありません。両手いっぱいに抱えたぼろ切れ、いや、もはや生地としての体を成していない繊維の山を前にして、ブランキーは絶望にうちひしがれました。
「あー……」ルームメイトも呟きました。
あらゆるものには寿命があります。それはどれだけ頑丈に作られた衣服でも同じです。ブランキーの「トレーナー」は、今この時寿命を迎えたのでした。いくら取り繕っても、決して元の形には戻りませんでした。 - 60二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:44:15
その日からブランキーは調子を崩していきました。
まず、眠れないのです。普通の寝間着を試してみましたが、効果はありません。自分が作った肌馴染みのいい一着ならばどうかと横になりますが、何も変わりませんでした。ブランキーの目の隈は日に日に色濃く黒さを増していき、おおよそ安眠によいとされる方法をすべて試みましたが、芳しい成果は得られないのでした。
「今日も眠れない?」唯一多少の効果があったのは、自分を抱き締めるルームメイトの温もりだけでした。「ん。大丈夫、大丈夫。あたしはここにいるから。がんばり屋さんのブランキー。だから今はゆっくり休みな」
ブランキーは情けなくて泣きました。そしてその度に、ルームメイトは不平不満の一つも言わず、優しく肩を叩いては背中をさするのでした。無償の気遣いに胸を引き裂かれるような想いでした。目の前には最高の友だちがいるのに、どうして自分は安らかに眠れないのだろう。恥じ入るばかりでした。友情に応えることのできない自分を、夜毎に責めるのでした。
ルームメイトもブランキーに後れてデビューを果たしていたので、いつも部屋にいられるわけではありません。一人で過ごす夜、ブランキーはほとんど一睡もできないのでした。 - 61二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:44:31
眠らずに勝てるほど、レースの世界は甘くありません。
はっきり言って、ブランキーの走りは精細を欠くなどという段階を遥かに転げ落ちていました。レースはおろか、トレーニングもまともにこなせません。ブランキーは出走を強く希望しましたが、彼女を想うトレーナーがそれを認めるはずはありませんでした。
「よく聞いてくれ、ブランキー」はじめて会った日と変わらない、誠実なまなざしでトレーナーは告げます。「トレーナーとして、そして一人の人間として言わせてもらう。今の君をレースに出すわけにはいかない」
「どうして?」すっかり土気色になった顔でブランキーは訊ねます。「どうしてそんなことを言うんですか? わたしは走るため、レースで勝つためにここに来たのに」
「その通りだ。だが今の君で勝てるレースなんて存在しない。まともに走ることもできないだろう」
「そんなことありません。やれます」
「……頼むよ、ブランキー。君が努力を積み重ねてきたことは知ってる。送り出してくれた人たちに報いようとしていることも。全部君の口から聞いたんだ。……でも、だからこそ無茶はさせられない。もう何日まともに眠っていないんだ? 自分の体のことなんだ、他でもない君が一番よく知っているはずだろう? 君が走ろうとした舞台は、そんなコンディションで通用するものなのか?」
「でも」
「……ああ」
「……お父さんも、お母さんも、友だちも、近所のおじさんやおばさんも──み、みんなわたしに活躍してほしいって。ち、小さい頃から、み、みんなわたしに……」
「応援されたんだな」
「……わ、わたしのれ、レースは、こ、ここで──」
「終わらない」トレーナーはブランキーを強く抱き締めました。「おれが終わらせない。約束する。だから今はとにかく休むんだ。君には才能がある。誰にも負けない努力家だ。だからどれだけ差が開いたって追い付ける。おれが追い付かせてみせる」 - 62二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:45:22
それから数日経って、ブランキーの休学が決定されました。実家に戻って療養し、症状の回復を待つのが先決だろうという医師の意見に、反対する者はいませんでした。ただ一人、ブランキーを除いて。
「見捨てるんですか?」不眠の影響で食事が喉を通らなくなったブランキーは、落ち窪んだ眼窩の奥から鋭い視線を走らせます。「競技人生を預けてほしいって言ったのに」
「見捨てない」トレーナーはまっすぐに、ひたすらまっすぐに怯むことなくブランキーを見詰め返しました。「君はまだおれの担当だ。これまでも、これからも。だから会いに行く。君の学籍を維持するためなら、なんだってやるつもりだ」
「毎日来てくれますか?」
「毎日は……」トレーナーは言葉を濁しました。誠実だったからです。
「嘘つき!」ブランキーは叫びました。「嘘つき! やっぱりわたしを見捨てるんでしょう! 騙されないから! は、走れないわたしになんて価値がないって、わ、わたしが一番知って──」
「やめろ!」トレーナーは声を荒らげました。
びくりとブランキーの肩が震えます。トレーナーの怒った顔を、ブランキーははじめて見ました。その剣幕の烈しさは、睡眠不足で正気を失いつつあったブランキーを、ひとときではありますが本当の彼女に引き戻すだけの力がありました。
「そんな寂しいことを言わないでくれ。君は君であるだけで価値がある。おれはそう思ってる。たとえ君にだって疑わせない」
「でも」
「でも?」
「……声が聞きたいです。毎日。夜に」
「……電話するよ。それなら約束できる」
ブランキーはトレーナーに抱きついて、わんわん泣きました。トレーナーは細い肩を抱くと、涙を流しながら、彼女が泣き止むまで、これから離ればなれになる時間を惜しむように、じっと動かず慰めの言葉をかけ続けるのでした。 - 63二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:45:47
そして一人の夜がふたたび訪れ──
ブランキーは眠れませんでした。もう明日の朝には部屋を引き払うことになっていました。遠征中のルームメイトの姿はなく、つまり眠れるはずがありません。
(トレーナーさん)ブランキーは自分を何度も抱き締めたあの感覚を思い出していました。(……トレーナー、さん)
むくりと起き上がり、お気に入りのワンピースに着替えて部屋を出ます。いつかトレーナーが誉めてくれた、自作の一着でした。
足取りは軽く、素足でしたが痛みは感じません。眠る時に靴を履く人などいないのです。ブランキーは上機嫌でした。身も心もこんなに軽く感じるのは、いったい何日ぶりだったでしょう。まるで踊るように、歌うように、寮を抜け出して夜道を駆けていきます。
何室かが明かりを放つ高層マンションの前に立つと、ブランキーは目当ての部屋に狙いを定めました。秋口の冷たい風をものともせず、マンションの壁の凹凸に手足をかけて、まるでトカゲのようにするすると登っていきます。
ワンピースの裾と長い尻尾がたなびいて、月明かりに照らされました。
その部屋は既に消灯しており、窓越しの真っ暗な室内に向けて、ブランキーは拳を叩き込みました。体のあちこちをガラスの破片で切りましたが、気に留めることはありません。夜風の冷たさも問題ではありません。なぜなら、ほしい温もりはもう目の前に迫っていたからです。
「……ブランキー?」匂いをたどって寝室の扉を開け放つと、物音に飛び起きたトレーナーが驚いた目でブランキーを見据えました。
「トレーナー」さん、とブランキーは小さく呟きました。トレーナーが何事かを叫びますが、ブランキーの耳には届きません。いかに体力が低下していようとも、ウマ娘の膂力に人間が敵うはずはないのでした。
「どうして」
息も絶え絶えにトレーナーが言いました。
「あったかい」
ブランキーは穏やかに笑いました。 - 64二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:46:00
リビングには二人で選んだソーイングセットが大切に保管されており、糸と針、チャコペン、そして裁ち鋏が入っていること確認すると、ブランキーはそれを抱えて寝室に戻っていきました。
採寸の必要などありません。
それは痩せ衰えた自分の体より二回りも大きい、一着の「トレーナー」でした。
ぴちゃり、ぴちゃりと滴る音がします。まだ年若いですが、二十年以上も着古していたからでしょう、小さな傷や染みが至るところにありましたが、ブランキーにとってはそれが何より愛おしく感じられるのでした。
「あったかぁい」
ブランキーは頬を上気させ、実に何日ぶりになるだろう安らかな眠りの世界に、ゆっくりと入り込んでいきました。遠くサイレンの音が響いていましたが、文字通りトレーナーの温もりに包まれる彼女の耳には、届きようはずもありません。ベッドの片隅では、ブランキーの「トレーナー」を剥ぎ取られたトレーナーが、ひっそりと永遠の眠りについていました。 - 65二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 15:48:37
長々と失礼しました
トレーナー(衣服)とトレーナー(人物)の思いつきで書きました
安心毛布の要素も入ってます
供養できてすっきりしたので失礼するわね
ありがとうスレ主さん - 66二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 16:10:49
つい最近作者が書かなくなって落ちた安価ssがあるんだが、あれ過去に一回ガチのエロ書いてお蔵入りになったやつがあった
- 67二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 00:32:23
見せるために書いてるわけじゃねえしな
- 68二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 11:00:19
いつかは見せるよいつかは
- 69二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 16:18:47
タイホ君勝ったので久々に完成させてくるわ…。
- 70二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 16:27:17
書き始めたら意地でも仕上げて出してる
駄さくだろうと構わん
書ききるのが肝心だと思ってる - 71二次元好きの匿名さん22/06/27(月) 00:48:36
保守
- 72二次元好きの匿名さん22/06/27(月) 00:50:25
ディアボロ×マンハッタンカフェのクロスSS書いてたよ
展開分からなくなって鬱になったから数話投稿したあとに消したけど - 73二次元好きの匿名さん22/06/27(月) 12:26:02
あげ
- 74二次元好きの匿名さん22/06/27(月) 22:36:17
あげ
- 75二次元好きの匿名さん22/06/28(火) 09:52:39
データ消しちゃうよねこういうの
- 76二次元好きの匿名さん22/06/28(火) 19:01:17
このレスは削除されています
- 77二次元好きの匿名さん22/06/29(水) 00:51:16
保守
- 78二次元好きの匿名さん22/06/29(水) 12:20:34
フランキーss助かる
- 79二次元好きの匿名さん22/06/29(水) 21:47:09
結構みんな悩んでるもんやな