オグリキャップ 20歳

  • 1とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:31:52

    「オグリ、美味しいか?」

    「ああ、とても美味しい……」

    ある昼下がり、オグリキャップとそのトレーナーはとある安価なレストランで食事をしていた。
    オグリキャップはあのシンボリルドルフも一目置く強豪のウマ娘。
    トレーナーにとっては何者にも代えがたいパートナーであり、世界一ご飯を幸せそうに食べるウマ娘だった。
    二人は温泉旅行を経て、正式に付き合うようになってからは今回のように休日にデートするようになった。

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:32:54

    ほう…トレオグssですか、大したものですね

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:34:07

    続けたまえ

  • 4とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:36:15

    「モッツァレラチーズは初めて食べたが、あっさりとしていて癖がなくて食べやすいな。トマトとドレッシングの相性もいい。これならいくらでも食べられそうだ」

    「このラム肉料理もいいな。しっかり臭みが抑えられていてソースも絶品だ。カリカリのポテトが入っているのも嬉しい」

    「チキンはこんなに大きいのに柔らかくて食べやすい。鶏皮のパリッとした食感も堪らないな」

    オグリキャップはトレセン学園一の大食いだが、食べ方も綺麗でしっかりと味わって食べている。
    ただし、きちんと味わってなお食事のスピードは凄まじかった。

  • 5とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:36:44

    「次はパスタを頼もう。サイドメニューでこれならメインはもっと美味しいに違いない」

    「ああ、そうだな」

    トレーナーはオグリキャップが美味しそうに食べるのを眺めるのが大好きだった。
    そしてオグリキャップはトレーナーと共に食事を取ると普段よりも温かい気持ちになった。

  • 6とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:38:09

    オグリキャップには少々天然なところもある。
    以前オグリキャップがタマモクロスやスーパークリークに習ってカレーを作って持っていこうとしたことがあったが、味見をしていたら鍋がほとんど空になっていた。
    同じく肉じゃがを作ったら鍋がほぼ空になっていた。
    同じくシチューを作ったら以下略。
    などなどと色々あったが、トレーナーにとってはそんなところも可愛かった。

  • 7とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:38:58

    そんなある日の昼。
    トレセン学園の食堂ではオグリが文字通り山のような料理を幸せそうに食べていた。
    そのオグリの前に親友のタマモクロスがやってきた。

    「相変わらず凄い量やなぁ」

    「タマか。いつもと変わらないぞ」

    「これが毎日続いたらトレーナーも大変やろうなぁ……」

    「なにが大変なんだ?」

    「いや、二人がくっついたら食費がえらい事になるおもうてな……」

  • 8とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:39:26

    タマモクロスにとっては本当に何の悪気もない、ただなんとなく放っただけの一言だった。
    しかし、オグリにとっては衝撃の一言だった。

    この日から───オグリキャップは少しずつ、おかしくなり始めた。

  • 9とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:40:52

    「ごちそうさまでした」

    「えっ……もうか?」

    「ああ、十分だ」

    オグリキャップの食事量がどんどん減っていった。
    以前は10人前は軽く平らげていたのに現在は1人前しか食べなくなってしまった。

  • 10とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:43:25

    「いや、別に太り気味でもないから減量とかしなくていいんだぞ」

    そもそもラーメンを食べて太り気味が治るオグリキャップにトレーナーは食事制限が必要だとは思っていなかった。

    「大丈夫だ。もうお腹いっぱい───」

    オグリキャップが立ち上がろうとするとぐぎゅろろろろ~と冥府の穴から聴こえる亡者の断末魔のような音が食堂内に鳴り響いた。
    音源は勿論オグリキャップからだった。
    顔色はあまりよくなく足元も覚束ない。

    「オグリ、お前どこか悪いんじゃないか?今日はトレーニングを休もう」

    「問題ない。私は健康だ」

    オグリキャップは構わず行ってしまった。
    そんな彼女をトレーナーは苦々しい顔で見送る事しか出来なかった。

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:45:01

    サイゼで値段を気にするな

  • 12とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:45:38

    そして悲劇は起きてしまった。

  • 13とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:46:44

    シンボリルドルフとの並走の最中にオグリキャップがとうとう倒れてしまった。
    並走を始めてから1000m頃になると徐々にスピードが落ちていき、そのまま気絶。
    減速していた事で負傷が軽かったのが不幸中の幸いだった。

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 22:47:07

    量食う人にとってサイゼ豪遊は結構贅沢なことをお前に教える

  • 15とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:52:01

    流石は葦毛の怪物と呼ぶべきか、オグリキャップはその一時間後には保健室で目を覚ました。

    「オグリ!無事か!」

    「トレーナー……」

    次はオグリキャップの腹からグゴガガガギゴとどこかの工事現場のような音が鳴り響いた。
    オグリキャップは明らかに空腹だった。

  • 16とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:53:02

    渋い顔をしている彼女にトレーナーは何かがたくさん入ったビニール袋を差し出した。

    「ホラ、購買で売ってたおにぎりをありったけ買ってきたから食べろ!」

    「イヤ、ダメだ……それを食べるわけにはいかない!」

    そう言いつつもオグリキャップの目線は大量のおにぎりに注がれていた。
    口の端からは若干涎が見えている。
    説得力は皆無だった。

  • 17とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:54:48

    「そんなんじゃまた倒れるぞ!」

    「大丈夫だ。すぐに慣れる」

    「慣れるわけないだろ!」

    「本に書いてあったんだ。食事の量を減らせば胃が小さくなるって」

    「胃?」

    「私が大食いだからいつかトレーナーに食費で迷惑をかけてしまう。母さんだって私の食費よりも学費の方が安いと言っていた。だから今のうちに食事量を矯正しようと思ったんだ」

    話の最中もオグリキャップはビニール袋を見ている。
    緊張感は台無しだった。

  • 18とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:56:58

    オグリキャップは真っ青な顔で項垂れていた。
    そんな彼女の頭にトレーナーは優しく手を置いた。

    「あのな、それは引退後のアスリートとかはやるかもしれないけど、活動中のアスリートがやったら絶対に身体を壊すんだよ。おまけにオグリはウマ娘で人間よりも食べるのに食事量を十分の一に減らして平気なわけないだろう。運動どころか日常生活にも支障が出るぞ」

    「ううっ……」

    実際に支障が出ていたオグリキャップは何も言い返せなかった。

  • 19とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 22:59:27

    「それにな、俺は美味しそうに食事をするオグリが好きなんだ。そんな辛そうな顔で食事を我慢するオグリはみたくないんだよ」

    「そんな……」

    トレーナーのためを想ってやった事がトレーナーを悲しませていたという事実にオグリキャップは酷く落ち込んでいた。
    そんな彼女にトレーナーはビニール袋からおにぎりを一つ差し出した。
    色んな具が入っている爆弾おにぎりだった。

  • 20とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:12:29

    「もらってもいいのか?」

    「そのために買ってきたんだ」

    「ふふっ……ならば、遠慮なくいただこう」

    こんなやりとり、昔にもあったなと思いながらトレーナーはオグリキャップが爆弾おにぎりを頬張る姿を見ていた。
    そして最終的にビニール袋の中の大量のおにぎりはオグリキャップの胃の中に納まっていった。

  • 21とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:14:02

    「……美味しかったが、やはりおにぎりはトメさんやトレーナーが作ってくれたのが一番だな」

    「いくらでも握るさ」

    この時、オグリキャップは久しぶりに食事で笑顔を見せてくれた。
    トレーナーが大好きなオグリキャップの顔だった。

    その後、リバウンドで一か月ほどオグリキャップの食事量が通常時の1.5倍になった。

  • 22二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:16:16

    >>14

    真面目に社会人一年目の楽しみだった

  • 23とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:16:35

    「トレーナー。ここの餃子は絶品だぞ。いくらでも食べられてしまう」

    「オグリなら本当に無限に食べられそうだな」

    それからしばらくして、二人は休日の食事デートへ行った。
    行った先は餃子の専門店でオグリキャップは大量の餃子を注文していた。
    まだ昼なのに女性が餃子はどうなのかと思うような気がしないでもないが、彼女が食べたがっていたのだから仕方なかった。

  • 24とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:17:46

    「ふふっ、ここの餃子はパリッとした羽根ともっちりとした皮と肉汁たっぷりの餡が相まって本当に美味しい」

    「トレーナー、知っているか?酢にブラックペッパーを入れると餃子があっさりと食べられるんだ」

    「あー、何かのドラマで聞いたことあるかも……うん、醤油を使わず酢だけってのも結構新鮮だな」

    「ああ、最近は酸っぱいものにハマっていてな。何故か酸っぱいものが美味しく感じるようになったんだ」

    「へー……うん?酸っぱいもの?」

    トレーナーの中で何か引っかかるようなものがあった。

  • 25とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:19:04

    「オグリ、最近調子はどうだ?気分が悪くなったりとかはないか?」

    「別にどこか悪くなったとかはないな、調子はいいぞ。ただ、最近は何故かやけにお腹が空くようになっていつもよりも多目に食べないといけなくなったんだ」

    「……オグリ、それ食べ終わってからでいいから念のため病院行くぞ」

    トレーナーの予感は当たっていた。
    ご懐妊だったらしい。

  • 26とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:20:23

    二人は卒業後、速攻で籍を入れる事となった。
    ちなみに卒業写真のお腹の膨らみは食べ過ぎという事で押し通せたらしい。

    ~~おぐり~~

  • 27二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:25:48


    何ちゃっかりやることやってんだよ!

  • 28二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:27:18

    娘が在学中に妊娠したお母さんの心境よ

  • 29とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:27:38

    あにまん掲示板の皆。
    今作も読んでくれてありがとう。
    サイゼのラムときのこのきこり風って何であんなに美味いんでしょうね。
    後、遅くなったけどタマのハロウィン版実装おめでとう!

  • 30とあるウマ娘トレーナー21/09/29(水) 23:29:35

    過去作貼っておきます。


    カレンチャン 20歳

    https://bbs.animanch.com/board/65083/?res=55

    ビワハヤヒデ 25歳

    https://bbs.animanch.com/board/67082/?res=17

  • 31二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 23:36:55

    食費さえクリアできれば、オグリと飯行くの楽しそうだよな
    食べるのを楽しんでくれるし、ちゃんと何がどう美味しかったのかも言ってくれるし

  • 32二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 00:18:47

    素晴らしかったがやることやってて笑った

  • 33二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 00:19:01

    オグリはかわいいな…

  • 34二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 00:22:10

    展開が早いタイプの良作きたな
    ありがたし

オススメ

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