- 1二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 23:27:37
- 2二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 23:40:02
憎悪二世
かつてあらゆる人間を分け隔てなく保護し、すべての民を愛し民に愛された領主夫婦がいた。
父は民の幸せを第一に願い、妻は民の幸せを自分のことのように喜ぶような人で。
当時まだ齢8つだった自分にとってこの光景はあまりに眩しく、理解のできないものではあったが、それでも両親のあの笑顔がすべてを物語っていたような気がした。それが例え崩れ去るときは一瞬で崩れ去るような、脆く醜いものだとしても……だ。 - 3二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 00:15:26
灰色のキャンディー売り
時刻はちょうど昼下がり。人々の往来や喧騒で騒がしい大通りの、その端から繋がる裏路地のほうで子供たちによる人だかりができていた。
子供たちが今か今かと何かを待ち侘び、押し寄せるその中心で、一人の男が籠から何かを取り出す。
すると歓声が起こり、より子どもたちの勢いは増すばかりだった。
「あぁ〜わかったわかった!今皆に渡すから!それっ!」
男は勢いよく取り出したものを真上に投げたが、それはまるで子どもたちの手に吸い込まれるかのように落ちていく。
「ありがとうおにいちゃん!はいおだい!」「おにいちゃん、わたしはいつもあか色のアメだって言ってるでしょ」
男が子どもたちに売っていたものは、飴だった。
「あぁ、ごめんよ。僕としたことが間違えちゃったかな」
全体に飴が行き渡ると、先ほどまでの人混みが嘘だったかのように辺りが静まり返る。
男は一息つこうと近くのブロックに腰掛けると、ふと遠くの物陰からこちらを見つめてくる少女の存在に気づいた。
「飴ならまだあるよ」
しかし少女は首を振る。
「なら、何が欲しいんだい?」
優しく語りかける。すると少女は「いのち」とただ一言返すと一瞬で男の背後に回り込み、首筋に歯を立てようと迫る。
「残念だ。見た目だけとはいえ子供を傷つけるのは気が進まないんだけどね」
少女の鋭い歯が男の首に刺さるより先に、いつの間にか握られていた灰色の短刀が、少女の頭を真っ二つに両断していた。
何が起こったのが理解できず、そのまま地面へと崩れ落ちる。最後に少女が目にしたのは、灰色の目をした恐ろしい人間がこちらを見下ろす姿だった。
「僕は一般的な色の違いを認識することができない。だけどその代償に、君たちみたいな人にあだなす怪物の色がわかるようなったんだ」
まだその手に握り締められていた短刀を、少女の心臓部に向けて投げる。
「安らぎを。あとは地獄にいるお仲間さんたちにも伝えておいてくれ。この灰色は、必ずお前たちを許しはしないと」
男はそう言って立ち上がると、裏路地を後にする。灰色の目と短刀、色のわからないキャンディーたちを携えて - 4二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 00:15:39
長くなりすぎちゃった
- 5二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 00:16:31
妖しき白難易度たけーな……
- 6二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 00:21:13
一旦閉店ガラガラ。スレ落ちればまた立てる