- 1二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:47:15
「もう引退してから結構経つけど……こうしてコースを歩いてると、やっぱり足がうずうずしちゃうね〜」
【ウマ娘の性、だな】
夜の帳が降りた学園のコース、自主練に勤しんでいた生徒たちはみんな寮に帰ってしまって、残った人影は、あたしとーー隣で歩く「元」トレーナーさんだけ。
【我慢できなくなって急に走り出すんじゃないぞ?】
「心配しなくても大丈夫だよぉ〜、ちゃんとわかってるから!」
トレーナーさんはとっても優しいから、そうやって心配してくれる、あたしは芝の感触を確かめながら、ゆっくりと歩みを揃えてゆく。
トレーナーさんと出会って、トゥインクルシリーズを駆け抜けたあの頃を思い出す。
その走法では選手生命は長くは持たないだろうーーお医者さんから宣告されて、それでもあたし自身の魅力を捨てたくないと思った。みんなにとっての変わらない『ちゃんこ鍋』でいたい。トレーナーさんはそんなあたしの願いを叶えてくれた、大切な人。
今の走りを続けて、結果選手生命が削られてもいいと、そう決断できた。
どんな結末が待ってても、トレーナーさんと一緒ならちっとも怖くなかった。ファンのみんなの笑顔が嬉しくて、あたしの体全てを振りかざし、パワフルに走り続けられた。
そんなあくる日のあたしに訪れた結末はとってもあっけなくてーー - 2二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:48:25
「あ……れ?」
最後の直線、スパートをかけようと踏み込んだ。
ぶちり
と、鈍い音がテーピングの内側から響いて来て、視界が斜めにずれて、
ドスン!!!
あたしは、再び立ち上がることはできなかった。観客の悲鳴と、警備の人を振り切って駆け寄ってくるトレーナーさんの足音を、よく覚えている。
もちろん、あたしの足は二度とウマ娘として走ることは出来なくなった。けれどわかっていたことだから、後悔は全くなかった。潔く引退して、レースの世界から身を引いた。 - 3二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:48:59
そして今、あたしは再びこの学園に帰ってきた。
レースともうひとつ、あたしの大好きなこと。お料理をいっぱいお勉強して、学園の調理師に採用されたんだ!
初出勤を前にして、挨拶がてら学園を訪れたあたし。真っ先に探したのは、トレーナーさんの姿だった。
病院に担ぎ込まれてから、学園を去る別れの挨拶の時まで、ずっと涙を流していたトレーナーさんだったけど……久しぶりに出会ったその姿は、新進気鋭チームの担当として結果を出しつつあった、立派なトレーナーさんだった。
「おーい!トレーナーさーん!ボーノボーノ!」
【ヒシアケボノ!?】
急に現れたあたしの姿にトレーナーさんはとってもびっくりしていたけど、すぐに笑顔を見せてくれた。理事長から話を事前に聞かされていたらしい、お互いの近況から話も弾み、チームの練習が終わったあと、こうして2人きりの約束を取りつけたんだ。
そして、せっかく学園に戻ってきたんだからとトレーナーさんの計らいで、コース内を一緒にお散歩しながら話をすることになった。 - 4二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:49:44
「顔つきが凛々しくなったねえ、とってもカッコよくなっちゃって私、すごくびっくりしちゃった!」
【照れるな……ヒシアケボノこそ、また一段と大きくなって美人さんになったなぁ、見上げる首が一段と痛くなった気がするよ】
「あはは、ごめんねぇ〜」
お互いに笑みを交わしながら、他愛のない会話、思い出を掘り起こしていく。
レースの夢は終わってしまったけれど、あたしはとっても幸せなんだ。
だって、また違った形でもこうして、学園に戻ってこられたから。大好きなことで、これから学園で第2の人生を歩んでいける。
そして、トレーナーさんと並んでコースを歩んでいられるこのひとときは、新しい1歩を踏み出すあたしへの、素敵なご褒美だ。
でもーーこの幸せなひとときは、ずっとは続かない。 - 5二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:50:40
「ほらほら、トレーナーさんも一緒にゴール!ウマ娘と同着で1着なんて、とってもボーノな思い出になるよ♪」
【よし、せーの!】
トレーナーさんの手をとり、最後の一歩を踏み出した。
ゴールラインを越えれば、2人だけのレースは終わりを告げる。でも、それは仕方ないことだから。
「ゴール!!これでレースはおしまいだね……トレーナーさんといっぱいお話できて、今日はとっても楽しかった!」
これはホントの気持ち。
【ああ……俺も】
「トレーナーさんも立派にトレーナーさんしてることがわかったし、これであたしも一安心だよぉ〜♪」
これは、半分はホント、でも残り半分は、うそ。
レースを引退した時、これからの進路をどうするか。実家を継がず、あえて学園でお仕事する選択をしたのはーー - 6二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:50:53
どんな結末が待っていても、トレーナーさんと2人なら怖くない
『どこまで』だっていけるから
どこまでーーあの頃のあたしはまだどうしようもなく子供で、だから、トレーナーさんはいつまでも、どこまでも隣にいるものだと、レースが終わってしまっても、そうなんだと、信じ切っていた。
毎日料理を作って、トレーナーさんはそれを美味しそうに食べてくれて……そんな日々。
けれど、当たり前だけど…そんな願いは夢物語に過ぎなくて。
今は、学園のいちスタッフであるあたしと、あたしじゃない誰かの、トレーナーさん。
こうして同じ場所で、少しでも近くにいられる。それが叶えば、捨てきれずにいたくすぶり続ける色あせた夢を、ようやく忘れられると思っていたけど……もやもやが消える気配は無い。
やっぱりちょっと、くる、しいなぁ。
こんな気持ちになるなんて
2人きりで会ったの、間違いだったのかなーー - 7二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:51:37
【ーーボノ、ヒシアケボノ、聞いてるか?】
「はえっ!?ゴメンゴメン!なぁに?」
トレーナーさんの声にハッとする。トレーナーさんは、すごく真面目な表情で、じっとあたしの瞳を覗き込んでいた。
「ど、どうしたのかな……?」
【実は……君が学園に戻ってくるって聞いた時から、言いたいことがあったんだ】
【1着だ、ヒシアケボノ。おめでとう】
「えーーー」
【あのレースの後も……俺と君とのレースは、終わってなんかないって、俺の仕事はまだ残っているって、俺は信じていた】
【新しい担当がついても、君のことを考えなかった日なんて、1日もなかったよ】
【俺の最後の仕事は、君をゴールラインまで走らせてあげることだ】
「トレーナー……さん」
胸が詰まった。諦めに踏み消された想いに火をつけられてしまった。
ずるいよ、トレーナーさん。あたしが置いてきてしまったものを拾い上げて、ずっと走ってきたなんて。
そんなこと言われたら、諦められなくなっちゃう。 - 8二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:52:03
「と、トレーナーさん!あのーー」
【だから】
トレーナーさんはあたしの声を遮り、続けた。
【最後まで走り抜けた、君への。これが俺からの、プレゼントだ】
ポッケから取り出されたのは、四角い、箱で……
【ーーーーー。】
その一言共に開けられた箱の中には、小さな、されど夜空に輝くどの星々よりも光を放つ、世界にたった一つの、贈り物。 - 9二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:52:38
【君のトレーナーとしての仕事は終わっても…君が作ってくれた料理を、俺が美味しく食べる。あの毎日は終わらせたくない、ずっとそうして生きていきたいから】
「………っ、うっ」
【ここまで来るのに時間がかかってしまったけど、受け取って、くれるか?】
やっぱりトレーナーさんは、ずるいよ。
あのときとはまぎゃく。
こんどはあたしがなかされちゃうなんて。
でも、かなしいなみだじゃなくて。
ちゃんこみたいにとってもあったかい、
しあわせの、なみだだよ。
とれーなーさんのゆびがそっと、あたしのなみだをぬぐってくれた。
残ったのはぽかぽかで、キュンとして、ちゃんこみたくとっても熱い、あたしの喜びだけ。
だから、返事なんて決まっている。
あたしは左手をそっと差し出し、お返しの言葉を紡いだーー
みたいなのが読みたいので誰か書いてくださいお願いします - 10二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:53:16
読んでたぞ
俺は君を超えられる気がしないよ - 11二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:54:09
>>1、あなたに賞賛を送りたい
- 12二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:54:47
控えめに言って最高
- 13二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:55:35
ボーノのSSが少ない→そうだね
だから書く→見上げた根性だ
お出しされたもの→ボーノ!ボーノ! - 14二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:57:20
すでにあるじゃないですかありがとう
- 15二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 14:59:35
そうそうこういうのだよこういうの
ボーノにはどこか物悲しいしんみりした空気がよく似合う - 16蛇足です読まなくてもいいです22/06/25(土) 17:20:59
ぎゅうううう〜!!
えへへ、あったかいねぇ♪
トレーナーさんと、あたしの体温。
匂いも混ざりあって…とってもドキドキして、すっごくボーノだねえ♪
え、恥ずかしい?
あーんなカッカイイ告白しておいて、こーされるのは恥ずかしいんだ?
そんなところも可愛くて、すっごくボーノだよ…♪
それじゃトレーナーさん……こっち向いて?
……えへへ、しちゃった、ね?
また、ドキドキが大きくなっちゃってるね。
よいしょっと!
ゴロンと一緒に横になって、と。
お布団、ふかふかで気持ちいいね。
……トレーナーさん、結ばれた愛するふたりは、この次は、何をするの?
あたしもう、おっきなカラダも、年相応になったんだ、わかってるでしょう?
だから、お願い。
もっと深く結ばれるコトーー教えて?
ヒシアケボノの『お誘い』に今やトレーナーに抗う理由はなく彼は彼女の[続きを読むにはここをクリック!] - 17二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:22:44
いくら出したらここに載せてくれる
- 18二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:33:08
クリックしても何も出ないんですけど!!!
- 19 続きはここをクリック!22/06/25(土) 19:26:14
目覚ましより少し早く目が覚めた。
そっと布団から抜け出し、まずは身支度。
サッとシャワーを浴びて、クローゼットからシャツだけ引っ張り出して……前が止まらないが仕方ない、すぐさま台所へ。
まずは冷蔵庫を開ける。
食材は…豊富とは言えないけれど、朝食を用意出来るくらいは揃っていてほっと一息。
「よーし、気合十分!」
子気味よく材料を切り、ぽいぽいと鍋へ。
炊飯器の準備も忘れずに。
卵を割って、出汁とちゃかちゃか混ぜ合わせ。
久々の台所だったけど、調味料や器具の置き場は昔と一緒で。
腕が弾んで、あっという間に朝ごはんのできあがり。
さあ、あとは食べるだけ。
寝室へと戻り……そこには目を覚ます気配のないお寝坊さん。
昨日はいっぱい頑張ってくれたから、仕方ない。
寝顔にいっぱいの愛しさを感じつつも、体を揺らす。
「もしもし、ねぼすけさ〜ん♪朝ごはん、できてるよ?」
うんうん唸りながら開けられたその瞳と視線を交わして。寝ぼけ半分でまだ頭が起きていない彼に、シャキっとおはようしてもらいたいから、あたしはこう言うんだ。
「おはよう……あたしの旦那様♪」
みたいなのが読みたいので誰か書いてくださいお願いします - 20二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 21:14:14
お前一人で全部作り上げてるじゃねーか!
- 21二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 00:49:32
- 22二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 04:46:16
おかしいな…クリックがやめらんねぇよ…!
- 23二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 05:21:49
おつ
ぶっ - 24二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 11:50:55
ええやん!