- 1二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:09:37
当時の友達が、教えてくれた。どこにでもいるでしょ、情報屋みたいな友達が……その彼女がすごい、すごいって大騒ぎしていた。
同い年に無敗の三冠ウマ娘になるかも知れないすごい子がいるって。
トウカイテイオーって言うんだって。
正直、誰だと思った。だって、知らないよ、田舎者だから。当時はクラスも違ったし、自分の走りで精一杯だったから。だいたい、おかしいじゃん、トレセン学園に入学したばかりなのに三冠ウマ娘になれるかもって。
すぐに模擬レースのビデオを見た。トウカイテイオーが飛ぶように、走る姿を見て、こんなスマートなウマ娘がいるのかって、ビックリした。
あんなに体が細いのに誰よりも強い。誰よりも飛ばすし、誰よりも速い。
まさに、光だった。 - 2二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:10:04
お前も俺にとっての光だ
闇は俺だけでいい - 3二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:10:13
こいつ全方位にしっとりしてんな……
- 4二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:10:53
ネイチャリン
- 5二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:12:30
トウカイテイオーのことが気になって、気になって、気づいたら彼女のことを目で追うようになっていた。それが、あの頃の私のすべてだった。夢中になって見てた、トレセン学園に入学して少し時間が経った頃のことだった。
そんなとき、間近でトウカイテイオーのレースを見る機会がきた。
まず、歩様を見て、ぶったまげた。足首、柔らかいなぁ。
学園の月間レコードも取った。私はちょうどホームストレッチの真ん中あたりの観覧席から見てた。一着で、レコード。
トウカイテイオーは細い手足をバネみたいにしならせて、誰より速く走ったんだ。
トウカイテイオーは私にとっての宇宙じゃなかった。もっと、もっと近くに見えた、光だった。 - 6二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:15:14
そのときが来た。ついに同じレースで走ってしまうのか。
これが中学生の自分に来るのか、と思った。
よっしゃあ、という感じじゃない。これはもう、やるしかないんだという、想像しただけで吐きそうなほどの緊張感。何しろただの一度も話したことはないのに、いきなりの真隣でのレースだ。
最初に会ったのは、ターフの上だった。緊張でガチガチの体をほぐすために、返し運動をしていた。そのとき、コースに何人かのウマ娘が入ってきた。
そのとき、あれっ、誰がいるんだ、という強烈なオーラを発するウマ娘がいた。
トウカイテイオーだ。 - 7二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:17:45
ボーって、頭が真っ白になった。こういうとき、人間の頭って、ポーンとどっかに飛んでいくんだということを知った。ふと我に返って、オイ、私は何をしなきゃいけないんだと考えた。そうだ、挨拶しないといかん。
「えーと、はじめまして、トウカイテイオー...さん、よろしくお願いします」
そうしたらトウカイテイオー、こう言った。
「あーっ、キミがネイチャでしょ!」
その先のことはもう、何も覚えてない。もっと真っ白になった。
レース前のミーティングではトレーナーさんが何かしゃべってたけど、何も覚えてなかった。トレーナーさんには申し訳ないけど、でも、仕方がない。一つ隣のゲートに入っていったトウカイテイオーのことが気になって、しょうがなかった。
トウカイテイオーからいきなり「ネイチャ」と呼ばれてしまったのだから、天にも昇る気持ちだった。 - 8二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:20:42
ムネイチャ
- 9二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:20:47
テイオーの名前が全校に知れ渡る頃には、テイオーの並走トレーニングの相手は争奪戦だった。うざっちいヤツらがいたからだ。
テイオーの同室のマヤノトップガンと、私の同室のマーベラスサンデー。
コイツら、ホントにうざっちいヤツらだった。
マヤノなんか、テイオーと自室で恋愛映画を見てたことを自慢げに話してた。私はこの前テイオーと二人でランチを食べたと言ってやった。
元気なウマ娘同士ウマがあったのか、マーベラスサンデーもテイオーと仲が良かったから、テイオーの両隣にはよくこの2人がいた。私はなぜかマーベラスを広める活動を手伝わされたりした。
「トレーナーさんは一輪車が上手い子が好きらしいよ」
「マーベラスを誰かに広めたら並走トレーニングの相手を交代だからね」
そんなふうにして、テイオーにはナイショで並走トレーニングの相手を奪い合っていた。 - 10二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:23:55
度肝を抜かれたのは、テイオーの練習量だった。
だいたい才能のある子は自分を過信しがちだ。そうでなくとも、ハードな練習をこなすと、1日の最後にはもうヘトヘトになってとても練習できなくなる。それでも、いつも一番最後まで残ってたのは、テイオーだった。まず、そこにビックリした。
普通、体のまだ出来上がってない新入生は先輩たちより早く練習を終わるのに、テイオーはいつも最後。しかもいつもトップギアで走った。ものすごく速かった。
私はテイオーに、ついていくのにも必死だった。テイオーも必死こいて走ってた。あの姿には感動した。カッコイイなと思った。
あのとき、テイオーはまだデビュー前で、それで最前列に来て、全力で走ってる。カッコイイよ。もう、嬉しいのと興奮したのと、わけのわからない感情の波が押し寄せてきて、心の中、グチャグチャになった。
テイオー、カッコいいなぁ、キラキラしてるなぁ。自然と声が出た。 - 11二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:24:45
やっぱり私はテイオーさん
- 12二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:26:57
時たまテイオーと一緒に道具のメンテナンスをするようになった。今思い返しても最高のひと時だったと思う。
テイオーの道具を見てるとなんだか欲が湧いてくることがあって、一度だけ、使わなくなった蹄鉄を欲しいと言ってしまったことがある。
やばい、やっちゃった。変に思われたらどうしよう。ただ、テイオーは嫌そうな顔一つせずに、度重なる練習でボロボロになった蹄鉄を私にくれた。蹄鉄は幸運のお守りになるらしいし、ボクの蹄鉄ならネイチャも絶対ラッキーになれるね、なんて、テイオーが言った。なんだか、お腹の下のあたりがムズムズしたのを覚えてる。
ボロボロに擦り切れて、もう練習には使えないのに、その蹄鉄を自分のシューズにはめてみたりして。 - 13二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:27:30
健全なSSスレかと思ったが百合の波動を感じる
- 14二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:28:41
テイオーの後ろをついて歩いてるって、よく言われたし、今でも言われる。
テイオーは一人でもずんずん前に進んで行っちゃうから、目的地が同じならテイオーの前を私が歩くわけにはいかないし、後ろを歩くしかないでしょ。
テイオーは憧れ。
同時に、テイオーは目標。
そして、テイオーは敵。
だから、同じウマ娘として、くっそー、悔しいなという気持ちはいつも持っている。
すごいなあと思ってしまう自分もいるし、負けたくないという気持ちの自分もいる。 - 15二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:31:36
骨膜炎。最悪だった。今でも覚えてるよ。ハッキリ覚えてる。
一生に一度の大舞台。皐月賞、ダービー。
あの舞台に立てれば、私には引き立て役が精々かもだけど、それでもテイオーと一緒に走ることができたかもしれなかったのに。
若駒ステークスをテイオーの3着で終えて、まだまだ背中は遠かったけど、それでも、追いかける背中はそこにあったんだ。
なんだよ、私はテイオーの引き立て役にもなれないのかよって思った。 - 16二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:34:27
テイオーは苦しんでいた。
無敗で制したダービーの後、唐突に告げられた骨折。
それでもテイオーはずっと変わらず、必死で戦っていた。
走れないことだけにフォーカスする人たちを見て、私はおもしろいなって思ったよ。
みんな、テイオーが走れない、テイオーが苦しんでるって言いながら、おもしろがってる。私はそういう人たちのことがおもしろかった。
私はテイオーに気も遣わないし、頑張る姿にも、もがいてる姿にも、どっちにも勇気づけられる。 - 17二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:38:25
何もできなかった。
私が助けなきゃダメなのに。
テイオーは今までどれだけ私を引っ張ってくれたか。ここでテイオーを助けるのは私だろ。テイオーを守るのは私だろ。
何してんだ、私はアホか、最低のウマ娘だ。
テイオーはターフに立てなかった。
私は一着になれなくて、ガックリ来てる。
テイオーに憧れて、尊敬しているからこそ、テイオーの出られなかった菊花賞は、私にとって最初で最後のクラシックの栄冠は、絶対に勝ちたかった。
テイオーが出ていればなんて絶対に言わせない。私は私の全てを出し切って走った。
あのとき、テイオーはどんな目でターフで走る私たちを見つめていたか。どんな想いで見ていたか。 - 18二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:41:31
保守するぞ
- 19二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:42:39
テイオーは、最終直線でビワハヤヒデを捉えて差し切った。ビワハヤヒデ、次いで私が相次いでゴール板へ駆け込んだ。1年ぶりのレース、暮れのグランプリ、有馬記念。
もう、うわーって感じじゃないんだよ。
シーンと静まりかえるんだ。
えっ、これは本当のことなのか、夢じゃないのかって思うんだ。
みんなが現実かどうかを確かめるから、一瞬、シーンとする。そこから、うわぁーっといく。
テイオーは、何もかもを背負って、勝った。
うわぁーっ、テイオー、テイオーっ。
もう、駆け出してた。レースが終わって、息も絶え絶えの中、叫んだよ。
おい、くっそー、お前、やったぞ。
テイオー、やったぞって、自分の順位なんか頭になかった。
感情が溢れて気づいたらテイオーに抱きついてた。 マチタンもパーマーもチケットも、気持ちは同じだったみたい。
あのときのダービーでテイオーが掲げたピースサイン。結局、最後の一本を立てることはできなかったけど。無敗で三冠に挑んでいた頃のテイオーは、もういないけど。よっしゃ、きた。
また、無敵の帝王が帰ってきた。 - 20二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:45:46
私にとってのテイオー?
終わりだよ〜(o・∇・o) - 21二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:51:06
乙
- 22二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:51:40
>>1乙
- 23二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 21:57:15川崎宗則(14)「イチロー?誰だよそれ、変な名前w」1: 風吹けば名無し 2018/02/12(月) 22:16:22.68 川崎宗則(28)...baseball-nanj.com
ちなみに元ネタは野球選手の川崎宗則ことムネリンなので原文と見比べて見てくだつぁい
ボクから言えるのはネイテイ尊いよね?と言うことだけです
- 24二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 23:08:37
ありがとう、目覚めた
- 25二次元好きの匿名さん21/08/17(火) 23:14:30
このテイオー毎朝カレー食ってそう