- 1二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:23:41
- 2二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:26:18
- 3二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:26:46
期待してます!
- 4二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:27:30
菊花賞あたりのマックイーンはむしろオグリ倒すべしになってそう
- 5二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:28:13
シングレで有馬に出なかった理由どうなるんだろうな
- 6二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:28:52
越える壁がデカいほど燃えるからね
ウオッカが言ってた - 7二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:29:07
- 8二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:29:18
- 9二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:31:05
- 10二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:33:53
- 11二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:34:35
- 12二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:38:26
わかった
ちょっと待ってろ - 13二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:41:59
- 14二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:45:39
オグリさんを見習って食べまくりますわ
- 15二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:47:38
芦毛云々はともかくオグリに対する尊敬はメインストーリーでやってたしな
- 16二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:54:16
テイオーと違ってマックイーンに憧れるウマ娘はいてもマックイーンが憧れるウマ娘っていないよね
- 17二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 17:59:14
マックちゃんは家名を背負うって使命もあるしメジロ家のウマ娘との絡みもあるからね
憧れがいてもいいけどそこに更に盛ると風呂敷広げ過ぎな感じはある - 18二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:03:34
マックちゃんはいくら持っても良いのでは?
- 19二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:12:55
- 20二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:14:21
なんでも摂取させてくれよー
- 21二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:15:00
了解、めっちゃ長いけど投げるな
- 22二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:15:16
メジロマックイーン
彼女はその名が表す通り、メジロのウマ娘。
その既に圧倒的な実力は、時に彼女を〈メジロの最高傑作〉とまで呼ばせた。
彼女なら春の盾を持ち帰って…もしかしたら複数を取ってくることだってできるかもしれない。
彼女は素晴らしい評価をされていた。
…たった1つだけついたケチを除いて。 - 23二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:15:20
はやくパクパクさせろ
- 24二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:15:29
「『芦毛の馬は走らない』…ですか」
それは小さい頃から彼女が何度も聞いてきた言葉。
さすがに直接言われたことはなくとも、周りからは絶えず聞こえてきた。
この見栄えがいいだけとすら言われた白い髪を、何度恨んだかわからない。
「…今日はもう寝ましょう…」
彼女はそう言ってテレビを消そうとする。そうすると逆に、賑やかな音が流れ出す。
「…あ、元々消えていましたか…」
…その画面に映ったのは、自分と同じ芦毛のウマ娘。
『オグリキャップ!ペガサスステークスを制しました!!!』
「…芦毛」
つい、寝るはずだったのに少し画面を見てしまった。
その後テレビを消して、今度こそ寝ようとするが、G3を制した芦毛の彼女が頭から離れないのだった。 - 25二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:15:51
そこから月日は流れる。
オグリキャップは怒涛の重賞連覇を積み重ねていく。
さらには、『現役最強』とまで称されるタマモクロス…彼女も芦毛だった。
「ねえ聞いた?春の天皇賞勝ったタマモ先輩と連勝中のオグリ先輩、秋の天皇賞で対決らしいよ!」
「そうなんだー…2人とも”芦毛なのに”すごいね…」
マックイーンの耳には、一部が不自然に強調されて聞こえる。そんなことはないはずなのに。
「…”芦毛なのに”…」
彼女の歩みは早くなる。
(芦毛だからなんだっていうの?生まれつきただ芦毛だっただけ。別に足が悪いわけでもないのに、みんな”芦毛”という先入観のもと見てくる…)
彼女はただただ悔しさの中…ふと先程の言葉を思い出した。
「…秋の、天皇賞…」
何を求めていたのかはわからなかった。ただ、同じ”芦毛”の2人が走るというのなら。
「…見に行ってみようかしら」 - 26二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:16:11
「さあ始まります『天皇賞・秋』!実況は私_」
ついに始まる天皇賞当日。
マックイーンはそこの観客席にいた。
謎の緊張に包まれながら、ゲートに入っていく”芦毛”達を見る。
(…一体何が起こるを期待しているのかしら)
自分でもわからなかった。”芦毛”が勝つ、それだけならこの2人が既に何度もやっている。
それでも何かを期待していた。彼女達が何かを変えてくれる、そんな気がしていた。
「全員ゲートイン完了!出走の準備、整いました!!!」
_ゲートが、開いた。 - 27二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:16:41
「なんとタマモクロス2番手!どうしたことでしょう、会場からはどよめきが…」
普段追い込み戦法と主としているタマモクロスがほぼ逃げに近い先行策を取った。
(…何を考えているの?)
マックイーンの中には、不安が生まれていた。
彼女の勝利を望んでここにきたから?いや、何かが違う。
「オグリキャップは中団からまだ動きません!」
(…何を考えているのかわからないのは、私の方だ)
早く前へ。焦りが生まれる。
じゃあマックイーンはオグリキャップの勝利を望んでここにいるのだろうか?
…違う。 - 28二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:16:55
「タマモクロス先頭に並んだー!!!そして…外から一気に!オグリキャップ!!!」
(…!あぁ…)
…彼女達が前へ上がってくる。
先程の不安でもない。焦りでもない。
別の何か。それがマックイーンの中で渦巻き出した。
「ついにタマモクロスが先頭へ!…オグリキャップも来た!!!猛烈な追い上げだー!!!」
そうか。
「最後は”芦毛対決”だー!!!」
(…私は…これを見るために…)
そこからの一瞬の直線。
それはしっかり目に焼きついた。
「…勝者は、タマモクロス!!!天皇賞春秋連覇!!!芦毛同士の熱い争いを制しました!!!」
「もう誰も…”芦毛は走らない”とは言わないでしょう!!!」 - 29二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:17:07
そこからまた、月日が流れる。
あれ以降ジャパンカップもあり、芦毛2人の争いはさらに盛り上がっていた。
ふとマックイーンは、学園で話す例の2人を見かけた。
「…次の『有馬記念』は勝つぞ」
「おう、やってみぃや」
…いてもたってもいられなかった。
「あの、お二人とも!少々お時間よろしいでしょうか?」
「む、キミは…?」
「お、メジロのお嬢様やないか。なんや?なんか用事か?」
そうしてマックイーンは話し出す。
「…私も、生まれつき”芦毛”なのです」
「!」
「お二人の走りに…救われました。お二人のおかげで、”芦毛は走らない”とは言われなくなるでしょう」
「…褒められると、照れるな…」
「…私、有馬記念も見に行きます…あと、これは誓いですわ」
そう言って、一呼吸おき話し始める。
「いつか私もデビューします…その時は、また芦毛の伝説を築いてみせます。なので、見守っていてください」
「…ああ。見守るよ」
「おう!任せとき!」
…メジロマックイーンが『最強のステイヤー』となるのは、あと数年先の話である。 - 30二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:17:21
以上だ もし納得いかない出来だったらすまない
- 31二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:21:18
書いてと言われていきなりこれを…?す、すごい…
- 32二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:22:32
45分くらいかかっちゃったけどな…
すごいって言葉はめっちゃ励ましになるよ
ありがとう - 33二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:24:50
想定してた3倍くらいの素晴らしい出来なんですがそれは・・・
なんならおかわり要求したいレベルなんですけど・・・ - 34二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:25:00
スレ主ではないけどすごくいいもの読ませてもらったよ、ありがとう
- 35二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:26:19
- 36二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:53:46
いいよね芦毛伝説第三章
- 37二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 18:56:26
ウィナーズサークル君はどういう扱いになるんだろう
- 38二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 19:03:01
どちらかというとクリーク(武豊)倒すべしじゃねーかなぁ、なお
- 39二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 19:17:30
- 40二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 19:28:12
- 41二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 20:09:47
- 42二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 20:38:55
オグリさんが春シーズンを全休するという話は瞬く間に学園中に広がりました。
タマモクロスさんにねじ伏せられた天皇賞、外国勢に食い下がったジャパンカップ、そして現役最強を受け継いだ有馬記念…オグリさんの脚が限界を超えていることは誰にも容易に想像できることでした。
すぐにもお声をかけたかったのですが、さして親しくもない私は少し時間をあけ、騒動も落ち着いた頃に先輩の教室に伺ったのです。
「オグリキャップさん、よろしいですか?」
「ああ、君か。おはぎ抹茶イン…」
「そんな美味しそうな名前ではありませんわ!メジロマックイーンです!」
「すまない…名前を覚えるのが苦手で」
「い、いえ構いませんわ、こちらこそ声を荒げて申し訳ありません…
オグリキャップさん、後れ馳せながら有馬記念優勝、おめでとうございます」
「ありがとう」
不思議な印象の方でした。喜んでいるような、何を考えているのか分からないような顔で…
「繋靭帯炎というらしい」
自分の症状を語るときも淡々とされていました。
時に不治の病となる繋靭帯炎…私はこのように冷静に受け入れられるでしょうか。
「お聞きしておりますわ。春のレースは全休されるご判断をされたと…」
「うん、それで今度ハワイに行くらしい」
ハワイ??高度医療を受けに渡米されるということでしょうか?
「そうですか…では、しばらくはお会いできませんのね…」
「?」
「?」
なんだか噛み合わない空気を感じたので話題を変えました。
私の天皇賞を獲るという使命のこと、オグリさんの故郷のこと、芦毛は走らないというジンクスを変えてくれたこと…
まるで昔からの友人のように接していただき、すっかり話し込んでしまいました。 - 43二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 20:39:14
「あら、いけませんこんなに長々と…すみません、私そろそろお暇致します。今日はありがとうございました」
「うん、また…そうだ、これはルドルフが言っていたんだが…」
「会長が、ですの?」
「低血糖維持…いや、英語はわからないな…気軽にやろうということらしい」
take it easyでしょうか?
「とにかく、気負うよりもまずは走って楽しむことが大事なんだと思う。マックイーンとも一緒に走りたいな」
「…はい!是非!」
快復をお祈りして、お別れしました。
冬の夕焼けはとても澄んでいて、まるで天にまで駆けていけそうでした。 - 44222/06/25(土) 20:41:39
別の人も書いてくれてるな
いいことだ
オグリのボケ具合好きだ! - 45二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 21:28:22
菊花賞勝ったあたりでタマにも再会してほしい
「なんや、芦毛がどうとか拘ってるうちはつまらん」
「毛色なんぞ関係ない、全部ぶちのめす言わんかい」
「それが現役最強っちゅーことや」 - 46スレ主22/06/25(土) 23:18:30
塾に行ってる間に素晴らしいものが...本当にありがとうございます!
- 47二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 23:43:03
題材として実際いいと思う
芦毛の後継者だしメインストーリーでも先輩後輩だし - 48二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 23:46:07
マックイーンがそんな芦毛が走らないとか気にするわけないと思うんだけど
- 49二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 23:50:23
それは解釈次第だ
- 50二次元好きの匿名さん22/06/25(土) 23:53:31
- 51二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 00:12:47
当時の武豊(22)は春天連覇中の日本一の長距離の名手だからな…
- 52二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 00:32:36
- 53二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 00:34:32
おはぎ抹茶インは草
また良いSS投下されててありがてぇ - 54二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:19:52
【ずっと憧れの貴女へ1/8】
私メジロマックイーンが小学校へ通っていた当時の日記帳を見てみると病院の事ばかりが書いてあります。
何月何日 病院で足を診てもらいました。
何月何日 ようやく痛みが引きました。
何月何日 別の病院で別のお医者様に診てもらうことになりました。
お医者様、病院、薬……そういった言葉はもう数え切れないほど出てきます。
体調を崩しやすかった私は病院通いが欠かせず、日記はずっとこんな調子です。
普通なら「友人とどこかへ遊びに行った」であるとか「美味しいものを食べた」だとか、そういった起伏に富んだ日常の彼是を書くのでしょう。
あるいは日記そのものを放り投げて、夢中になってしまうような素晴らしい出来事に囲まれて日々をすごすのでしょう。
しかし私は違いました。
メジロのウマ娘でありながら満足に走れない。ただ病院へ行き、治療を受けて、家へと帰る。
私の日常は髪色と同じようにくすんだ灰色で、見栄えがよくなく誇れるものではなかったのです。 - 55二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:21:59
【ずっと憧れの貴女へ2/8】
生まれた時からウマ娘としてずっと胸に秘めている走ることへの強い欲求。それはいつまでも私の中で激しく燃え盛り、爆発する時を待っていました。
しかしその時はなかなか訪れず、自身の猛り狂うような欲求に私は「もう少しだけ待って」「お医者様の言うことを聞いてたらきっと良くなりますから」と申し訳なく謝り、応えるばかりでした。
だからなのでしょう。私は虚しさ悔しさを少しでも埋めるように日記へ、長く丁寧に文字を書きました。
ほとんどのウマ娘はトレーニングの内容をノートへ記し、それを成長の糧にします。明日の自分へのバトンです。
しかし私は簡単なランニングさえ難しく、治療の行程のみをただ日記に書いていました。
私は、私が走ることを命題そして至上の喜びとするウマ娘であることの証拠を残したかったのです。
つまり走れない自分に対する抗いです。
「小学校の頃何が好きだった?」
というありきたりな質問があります。
もし誰かにそれを聞かれた時に、
「走ることが好きだけど当時は熱や怪我で走れなかった」
「だから走るための準備を積み重ねていました」
「今は立派に走っています」
と胸をはって答えられるようにするためでした。
自分が走ることへの情熱を決して失っていないという証拠を残し、記憶していたのです。
そうやって自身の内へ内へと潜り込んでいくような日々を過ごしていた私ですが、ある日、素晴らしい体験をします。
それは価値観を一変させるようなとても素晴らしい体験です。 - 56二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:24:50
【ずっと憧れの貴女へ3/8】
忘れもしません。晴れた6月5日のことです。
その日私は病院へ行き、帰宅後、リビングのTVでレースの実況中継を見ていました。
病院でもらった薬を飲み、少しぼうっとした頭でレースを見ていました。
それは本当にただ見ていただけです。ノートをとり研究をするわけでもなく、ソファに座ってぼうっとしていたという表現が近いです。
ただ私の目は覚めます。
GⅢレースのニュージーランド・トロフィー・ステークス。その終盤でした。
先頭集団が残り200mを通過した辺りで、その中のひとりがスパートをかけたのです。
瞬間私は目を見開きました。姿勢を前にして画面を注視するほど驚いたのです。
その方は一人だけ全く違うスピードで走り始めました。
周囲が止まって見える、とはああいう動きを指すのでしょう。
スパートの最初の数歩で先頭に立ち、私を含めた周囲が「速い」と認識した次の瞬間、空間を切り裂くようなスピードでさらに伸び上がりました。
私たちは加速の段階でもう驚いていたのです。トップスピードに乗ってからの走りは私をさらに大きく驚かせ、そして喜ばせました
後続を突き放す美しく力強い姿に、うわぁ、と自然に声が漏れました。 - 57二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:27:06
【ずっと憧れの貴女へ4/8】
脚を溜めるという表現があります。最後の最後で自分の持っている力を存分に吐き出すため、ペース配分を行い、エネルギーの無駄なロスを避ける。
彼女は真剣勝負の場でそれを理想的にやってのけたのです。レース展開に気を配り、最後の直線の時点でようやく本来の意味で走る。
彼女はあそこまではただ走る準備をしていただけです。完璧なレース運びと言っていいでしょう。そのことに気付き私はまた驚き、興奮します。
誰一人として彼女のスピードについていくことはできず、最終的には7バ身差をつけてレースレコードでの勝利をおさめます。 GⅢレースであるニュージーランド・トロフィー・ステークスに出場する強豪たちはそろって無様な引き立て役でした。
実況は勝者である彼女の名前を何度も呼んでいました。
その日私は久しぶりに治療のことではなく、自分の身の回りに起きた自分の心を揺り動かす出来事について書いたのです。
理由はもちろん病院のことよりずっと大切で衝撃的だったからです。
オグリキャップさんのレースを見て感動を覚える、と。 - 58二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:28:18
【ずっと憧れの貴女へ5/8】
月日を重ねる内に、少しずつ少しずつですが私の体調は安定してきました。
走っても息が切れない、高い熱が出ない、痛みを覚えることなく翌日もまた走ることができる。朝、目を覚ました時に体が痛くない。
たったこれだけのことが、これほど素晴らしいことなのか、と涙を流すほどの喜びを覚えたものです。
私は健康体と言っても問題ない身体を手に入れたのです。
ようやく、という感じでした。
メジロの関係者の皆さんもとても喜んで下さいました。
そしてそれとほぼ同時期にトレーニングセンター学園に合格することができた私の日記帳からは、病院、薬、お医者様の文字がほとんどなくなりました。
代わりに、入園してからの楽しくて可笑しくていつまでもここにいたいと思ってしまう夢のような日々の記憶が私の日記を埋めていきます。
友達と呼べる方がたくさんできました。
美味しいものも食べに行きました。
メジロのウマ娘として悲願だった天皇賞も獲得しました。
そして、誰にも明かすことはありませんでしたが、ずっと願っていた事が叶いました。
憧れの方と走る機会を得たのです。 - 59二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:30:24
【ずっと憧れの貴女へ6/8】
もうすぐ模擬レース2500mがはじまります。
模擬レースとはいっても全員真剣です。ゲートイン直前の今は本番さながらのピリピリしたムードが場を支配して、笑顔の者はひとりもいません。
そのムードの中を私は歩き、ある一人の先輩に近づきました。
その先輩こそ私の憧れの方です。
先輩は「……あぁ君か、どうかしたのか」と言います。私は、
「ご存知でしたか? 私、長距離が得意なんです」
もちろん知っていると先輩は答えます。
私は顔を近づけて見つめながら、次の句を続けます。
「私が勝たせてもらいます」
「……もしかしてライアンの敵討ちなのか? 困ったな」
「違います。これは一点の曇りもなく私自身の、私だけの気持ちです」
先輩は少し前に負かした(メジロ)ライアンの名前を挙げながら私の思惑を予想しますが、違います。
「そうか良かった……じゃあどうして? 何か理由があるから言いに来たのだろう?」
「あります。しかしそれは私個人の問題ですので答えられません」
「えっ……えっ…?」 - 60二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:32:37
【ずっと憧れの貴女へ7/8】
先輩は困惑していますが許してどうか頂きたいと思います。
理由を挙げればきりがありません。
メジロのウマ娘として走る私(もちろんそれが嫌だという訳ではありません。私はメジロのウマ娘であることに誇りをもっています)と比べて、いつだって自由に走る貴女が羨ましいから、というないものねだりの駄々かもしれません。
単に負けたくない、とも思います。
前言を翻すようですが、ライアンのことももちろんあります。
ですが、やはりひとつだけ理由を挙げるなら貴女は私の憧れだということです。
あの日テレビ越しに観た貴女の走りは私に大きな希望を与えました。
その希望を誰よりも近くで見たい。触れてみたい。これに勝る喜びは存在しないと思うのです。
そして願いが叶うなら、その希望の光よりほんの一瞬でも強く光を放ってみたい。
ノートに病状を書き写すだけの自分へ、ここまでこれたのだと報告したいからです。そしてもう一度、 - 61二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 09:37:32
【ずっと憧れの貴女へ8/8】
「私が勝ちます」
私は告げます。先輩は瞑目して、そうか、と、
「わかった。理由はさっぱりわからないけれど……とにかくこの模擬レースは君にとって特別なレースなんだな」
「はい。最高のレースにしたいと思っています」
「じゃあ、私も恥ずかしい走りは絶対にできないな」
「お願いします」
期待しています。私にも期待して下さい。
係員に呼ばれ私たちはゲートインを始めます。
胸が高鳴ります。今までで一番と言っていいほどのとても幸せな高鳴りです。これ以上は存在しないかもしれません。
早くスタートが来てほしい、それでいて永遠にスタートが来てほしくない。不思議です。
視界はクリアでありながら、どこか夢の中のように揺れているのにちっとも不快ではありません。五感から与えられる情報全てが自分の力となり膨れていくのを感じます。
勝ちたい気持ち以上にここまでたどり着いたという実感事実が私を後押しします。
天国と呼ばれる場所があるならそれはきっとここでしょう。私は天国を彩るゲートの中でじっと開放の時を待つのでした。 - 62スレ主22/06/26(日) 09:39:31
ありがとうございます😭素晴らしすぎる...
朝早くから本当にありがとうございます - 63二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 11:33:12
ウワーッ大作!
- 64二次元好きの匿名さん22/06/26(日) 19:33:30
マックちゃんは春メインでオグリは秋メインのイメージがあるから時期は反対なんだね、イメージの話だけど