- 1二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 20:44:24
「ああ、久しぶり、フラッシュ。…そんな風に君に呼ばれるのも、本当、懐かしいな」
トレーナーと呼ばれた男は眩しそうに目の前の妙齢のウマ娘をみる。フラッシュと呼ばれた女性は、懐かしむように目の前の男と視線を交わす。
「そうですね。貴方とお会いするのも一年半ぶりになります」
「ああ、君に会えてよかった。…職人としての服も、似合っているよ。いや、より似合うようになったのかな」
清潔感のある白は、フラッシュのありようにそってみえる。ドイツで彼女の両親の元でみたときより、その白がより彼女に浸透して見えた。
「ありがとうございます。…トレーナーさんは、少し、痩せられましたね」
「……そうかな?」
慮るようなフラッシュの目から反射的に逃れるように目線を反らした。
「はい、少しではあれど、目に見えて」
「……そうだね。そうかもしれないな」
ともに同じ道を歩んでいたときにはみたことのない、疲れた表情のトレーナーを前にして声がつまる。声をかけようとした瞬間、フラッシュくん、すまない、と、奥から自分を呼ぶ声がした。
「…少々お待ちください。30分後に、着替えて出れる予定です。貴方に仕事着を見てほしかったから、少しはやくお約束をしてしまったのです」
「いや、見れてよかったよ。うん。少し外で待っている」 - 2二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:03:00
「お待たせしました。トレーナーさん」
「いや、時間きっかりだ。本当に変わらないな、君は」
「性分というものです。」
「そうだな。……しかし、ビックリしたよ。日本に来ている、なんていう知らせを受けて」
「はい、とはいえ、私も一週間前に来たばかりなのですが。…お知らせをすぐにしなかったのは、サプライズ、というものです。あの時と同じ」
「ああ、君にドイツに連れられた時の」
「はい。今でも貴方のビックリした顔、覚えています」
「急に知らせられれば誰だって、って思うけれど、そんな風に覚えられているのは恥ずかしいな」
「トレセン学園での生活、全てが私の宝でしたから。言うまでもなく、貴方との道も」
「……ああ、そう、宝、だな」
再び目を背けたトレーナーに対し、反射的にフラッシュはその腕を掴んだ。
「ふ、フラッシュ?」
「トレーナーさん、本日は、貴方とともにレストランでディナー、というスケジュールでした」
「あ、ああ、そうだったね。」
「……申し訳ありません、スケジュールは急遽取り下げさせていただきます。行先変更、です」
「え?ええ?」
そう告げるとやや強引に、戸惑うトレーナーを連れて繁華街から離れていった。 - 3二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:05:48
続けたまえ
- 4二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:06:54
これは……パンツを脱ぐ必要があるやつか?
- 5二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:07:14
このエイシンフラッシュの脚質は追い込みですね
- 6二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:07:47
パンツの有無は些細なことだ…
幸せになってくれ - 7二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:16:43
「どうぞ、お入り下さい」
「お、お邪魔します…」
広々としたマンションのリビングに案内されて、トレーナーは少し萎縮する。
「君のアパートかい?ここが」
「はい、日本のお店にお世話になる間、ここに住むことになります」
「少々立派すぎる気もするけれど…」
「ええ、ですが、両親が一人暮らしをするならば、住むところにお金をかけろと…。幸い、余裕はありますし」
「成る程…」
大事な一人娘であるから、そういう風に思うのは自然であるかもしれない。
「どうぞ、そちらに腰かけてください」
「あ、ああ…」
戸惑いが消せないトレーナーに対して、フラッシュはてきぱきと動いて準備をはじめる。
「けど、フラッシュ、急にどうして」
予定を急変更するなど、彼女に相応しくない。
「いえ、トレーナーさん、お疲れのようでしたから。胃に負担のかかる食事より、今の貴方に相応しいものがあると思いまして」
暖かいお茶とともに運ばれてきたのは、一切れのケーキ。
「今の貴方に必要なものは、元気をくれる甘いもの、そして、貴方の抱えているものを話す相手でしょうから」
対面に腰かけたフラッシュの目からは、それを話すまでは返さない、という強い決意がありありと見えた。 - 8二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:28:45
「…なんだか、これじゃあ君が俺のトレーナーみたいだな。」
「私もトレーナーさんの手を離れて、新たに職人として立って、半人前くらいにはなったつもりです。それに、今でも私にとって貴方がトレーナーさんなのも間違いないですが、社会人同士、対等なのも疑いようがないことです」
「…勝てないな、本当に」
「観念しましたか?」
「いや、でも、こんな話は君にすることではないから」
「では、他の誰かにすべき話なのですか?」
「…いや、そうでもないけれども」
「…職人としての服が似合うようになった、とおっしゃって下さいましたね。目の前にいる私は、頼りなく見えますか?」
「そんなことはない、でも」
「トレーナーさん」
有無をいわせぬ勢いで、顔を近づけるフラッシュ。瑞々しさに、更に女性としての魅力が重なったそれにトレーナーは息をのむ。フラッシュは頬を緩めると、召し上がれ、とケーキを差し出した。フォークで一口ぶんだけをすくって口に運ぶと、優しい甘さが口の中に広がる。
「…美味しい」
その一言に、フラッシュは満面の笑みを浮かべた。 - 9二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:31:31
しれっと連れ込んでますね…
- 10二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 21:53:38
本当に、情けない、君に話すべきことではないんだ、とひとりごちたあと、トレーナーは訥々と語りはじめた。
彼が暗い表情をしていたのは、トレーナーとしての仕事、ウマ娘たちとの相対しかたである。ダービー、秋天、DWTでのシービーとの激戦と、数々の名勝負を演じてきたエイシンフラッシュのトレーナーともなると、選抜レースでのウマ娘側からのアピールも甚だしいものがあるレベルになる。が、彼はその誘いを全て断った。
無論、回りのトレーナー、ウマ娘からはいい顔をされない。燃え尽きただのやる気がないだのといわれる中、併走の件で縁の出来たルドルフのトレーナーから、サブトレーナーとしての仕事を打診され、特定の担当ウマ娘を持たないまま一年以上が過ぎてしまっている。
「もう一度、ウマ娘とあの道を走りたい想いはあるんだ、でも」
駄目なんだ、と。君の走りが脳裏に浮かんでしまう。君以上の走りをみせてくれるものなどない、と思ってしまうと。この中央には最高峰の才能を持ったウマ娘が毎年集まってくる。才の煌めきだけでいえば、フラッシュを越えるウマ娘もこれからあらわれてくるだろう。だが、それでも。
「あの四年を越える、それをこれから想像できる気すらしないんだよ……」
重く、そう呟くトレーナー。ともすれば、この言葉はフラッシュをせめているようにもみえるだろう。だから口にしたくはなかった。けど、彼女に導かれて言葉にしてしまった。再度、後悔が彼をおそう。
「トレーナーさん……」
「…ごめん」
「本当に、そんな風に思っていたなら…ちょっと、許せませんね」
「…え?」
「だって、私は、一度だって思ったことはなかったのですから。貴方にとって最高のウマ娘であることを、他に譲るなんて」 - 11二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:10:37
「…フラッシュ」
「嫌、なんですか?私との思い出が一番なのが。それ以上がないのが、いけないことなのですか?あの四年が、人生で最高のトレーナーとウマ娘の関係であったということが?」
「そんなはない。君との四年は、最高に誇るべきものだ。今までも、これからも、でも」
「そうですね。トレーナーさんですから、それが不義理に思えてしまう、と。でも、きっとそうではないんです」
「…え?」
「なんてことを言いましたが、私にも答えがあるわけではありません。私はトレーナーではないですから。でも、一つ言うなら、私との四年間を越えるものを与えることが出来ないことを悔やむよりは、誰にも越えることの出来ない思い出を一つ持っている、ということを大事にしてほしいとは思っています。貴方のなかにあるそれは、私にとってとても大事なものですから…」
「……うん」
一つ、トレーナーは大きく頷いた。何かがかわったわけではないけれど、不思議と長らく胸の奥にあったわだかまりが消えた気がした。
「……よかった。」
「ん?」
「少し、いい顔をしています」
「そうかな?君には勝てないけれども」
「調子、戻ってきたみたいですね。」
「ああ、ありがとう。……君と話せてよかった」
「私もです。貴方にまたこうしてあえてよかった」
「うん、本当に…愛バには敵わないものなんだな、トレーナーっていうのは」
「お互い様というものです」
一転して、二人の間に穏やかな空気が流れた。二人で同じ道を歩んでいたときとは違うけれど、だからこその優しい空気に、二人はただ浸っていた。 - 12二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:27:07
「…フラッシュ、ありがとう、本当に。来週から、また一歩を踏み出せる気がする」
「気がする、ですか?ちょっと頼りないですね。トレーナーさんにしては」
「はは、返す言葉もないよ…その、フラッシュ」
「はい?なんでしょう」
あの時より少し大人びた愛バ。その優しい声色に胸をつかまれる。
「また、話を聞いてもらいにきても、いいのかな」
「ええ、それこそいつでも。まだ今のトレーナーさんでは、すぐにめげてしまうかもしれませんから」
「…手厳しいな。フラッシュは。でも、言い返せないな」
当のフラッシュは、腕を胸の前で組んでなにやら思案をしているようである。
「…フラッシュ?」
「トレーナーさん、今日のことは、私への大きな借り、と思ってくださいますか?」
「そ、それはもう。」
「大きな借りをそのままにしておくのは、お互いにとってあまり良いことではないですね?」
「もちろん、すぐにだってお返ししたいと思っているよ。俺にできることなら」
「では、一つ名案があります」
指をぴん、と一つたてたフラッシュ。トレーナーにとって、フラッシュは無茶を言うようなウマ娘ではなかったから、名案の内容は予想だにしないものであった。
「トレーナーさん、ルームシェアリングしてください」
「あ、ああ……。?…え?今、なんて?」 - 13二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:46:08
オイオイオイ うまぴょいするわアイツ
- 14二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:48:54
さり気なくガード固めに来ましたね
- 15二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:52:50
「分かりやすく言いますと、これからはこちらに住んでいただく、ということになります」
「い、いや、ルームシェアリングの意味がわからないわけではなく…」
「この広さなら貴方に住んでいただくには申し分ないと思っていますが…」
「そういう意味でもなく……いや、何故?」
「先ほどお伝えした通り、この一人暮らしには少々もて余すこちらの部屋を借りている理由は、両親が私の一人暮らしを不安に思ったから、です。とはいえ、一人暮らししていることには不安が残っている様子。私としても両親に心配をできるだけかけたくないという思いはあります。ですから、トレーナーさんとルームシェアリングすれば、不安を取り除くことができるかなと」
「い、いやいやいや、頼むなら、スマートファルコンさんとか同性に…異性が一緒なんて親御さんにとっては不安しかないだろう?」
「ファルコンさんにしろ、カレンチャンさんにしろ、親しい友人は、みなパートナーと家族で過ごしておられます。私のワガママで水を差せ、と?」
なぜかすこしだけ怨み節を秘めた目でみつめてくるフラッシュの目線をトレーナーは反射でさける。こほん、と咳払いして、再び指をたてたフラッシュ。
「それに、トレーナーさんは私の両親とも何度も顔をあわせてますし、そもそも実家にとまってくださったでしょう?両親としても最高に安心のできるルームメイトであることに間違いはありません」
「い、いやいや、でも、異性が同じと言うのは…」
「大丈夫です。トレーナーさんが紳士であることも私は身をもって知っていますから」 - 16二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:53:03
「…なぁ、フラッシュ、さっきから少し言葉に刺がないか?」
「気のせいです。それに、トレーナーさんのアパートより、こちらの方が学園にちかいぶん便利でしょう?」
「まあ、それは否定できないけれども…」
「決まりですね。引っ越しのスケジュールを組みましょう」
まずい、このままだと押しきられると判断したトレーナーは急いで荷物をかかえる。
「ご、ごめん。終電だからもうかえ…」
そう口にしようとした瞬間、時計をみてひきつりかえる。時計の針はとうに24時を越えていた。
「トレーナーさん、何をおっしゃっているのですか?今日は此方に泊まられるスケジュール、ですよね?」
有無を言わせない迫力のある笑顔に、トレーナーは屈した。
「本当、強くなったね」
「ええ、貴方のせい、いえ、貴方のお陰ですもの。私のトレーナーさん」
あの時導いた優しい輝きに、トレーナーは心をまかせる覚悟を決めた。
フラッシュのスケジュールは、再び二人のスケジュールとなった。 - 17二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:54:00
了!
フラッシュのかわゆさに脳みそをやかれたからかいてみた。勢いってこわい。 - 18二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:55:04
よきかな
- 19二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:57:26
流石クソボケトレーナー絶対に絆すウーマン…
- 20二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:57:32
素晴らしい
- 21二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:57:42
良い……
- 22二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:58:55
もう逃げられないゾ
- 23二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:02:47
借りができましたね、ではその借りを返すために同棲してくださいはあまりに強すぎる
- 24二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:03:41
こういうの吐き出すのはたまには楽しいよね。
しかしぼく自身はNTR脳の筈なのに純愛系を出力させるフラッシュとトレーナーさんが恐い - 25二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:04:08
外堀をガッツリ埋めにきましたね…
- 26二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:06:57
- 27二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:27:22
おまけ
「おはようございます、トレーナーさん」
「ん、おはよう…フラッシュ」
結局押しきられてこちらに泊まることになってしまった。まだ現実感がない。
「はい、心地の良い朝です。本日はお休み、ですよね」
「そうだね。トレセン学園は休みだ。独自のトレーニングや研究に時間を注ぐトレーナーも多いけれども」
「トレーナーさんは、今、担当バはいらっしゃいませんものね。まだ」
「あ、ああ。」
「朝食はご用意してます。二人でとって食器を洗ったら、おでかけしましょう」
「…どこへ?」
「もちろん、引っ越しの準備のため、貴方のアパートへ」
「ふ、フラッシュ、そのさ、冗談、なんだよな?」
「冗談ではありませんし、もう両親には告げておきました。トレーナーさんなら安心できる、と喜んでくれましたよ」
「いやいやいや、フラッシュ、冷静になろう。その、いくらなんでもまずいって。俺だって男だってわかってるのか?」 - 28二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:29:08
一旦お別れしたのトレーナーから切り出してフラッシュ泣かせてない?一生幸せにしろ
- 29二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:36:01
「はい、何の問題も、障害もないことがわかっています。今のトレーナーさんより、ずっと私の方が冷静です」
「いや、問題があるって。たとえ俺が人畜無害だったとしてだな。君は本当に、ほんっとうに素敵な女性なんだから、君と好きあう男性だって出てくるわけだろう?そうしたら、こんな、年上の男と、ど、同棲してたなんていったら…う?」
「……トレーナーさん、どういうつもりで、そんな言葉を言うんです?」
「ど、どういうつもりって、それは、君の将来を…」
「トレーナーさんのことですから、半分は本当に心配してくださってるのだと思います。でも、半分は単なる言い訳のようなものだと思います」
「うっ……」 - 30二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:36:33
とっても良いです
妙ちきりんなフラッシュが跳梁跋扈する中、非常に爽やかな締め(当社比)で大変満足
それはそれとしてしれっと囲い込まれてるファルトレとお兄ちゃんで草 - 31二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:52:43
「トレーナーさん、私もこちらに越してきて、一人暮らしをしてみましたが、気楽なのはあるのですが、やっぱり、寮での賑やかな生活や、実家での暖かさが懐かしくなってしまったのはあります」
確かに、自分もふれたフラッシュの両親の暖かさは、今でも思い起こすことがある。家族としてふれている彼女ならなおさらだ。
それに、スマートファルコンたち、フラッシュの友人たちの明るさも知っている。
自分は一人暮らしに慣れているが、そちらに慣れているなら一人暮らしの侘しさが身に染みるかもしれない。
「そんなわけで、私としてもルームメイトをほっする気分ではあったのです。それに、トレーナーさんが参ってしまったのも、帰ってから一人、の生活が追い込んでしまった部分もあると推察されます」
確かに、たとえば帰ったらフラッシュがいる生活が張りをあたえるかあたえないかでいえば、論じるまでもなく前者であろう。
「はい、以上からウィンウィン、というものです。だいたい、私と好きあう男性って、それについてはトレーナーさんが心配するようなことではありません」
「うっ……」
確かに、変にトレーナー目線になりすぎているところは否めない。もう学生ではないのだ。 - 32二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:58:39
「うん、そうだな。俺もちょっと、変な方に考えすぎてたよ。ごめん」
「いいえ、いいのです。」
「うん、それじゃあ、暫く、君に嫌われなければここにお邪魔させてもらうとするよ」
「…はい!トレーナーさん!」
爽やかな笑顔でぎゅっと抱き止められて、トレーナーははにかみつつも、柔らかな感触に頬を紅潮させずにはいられなかった。 - 33二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:00:32
というわけで、おまけ了!
トレーナーさんがつよつよにならねぇ! - 34二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:02:50
いい…
- 35二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:04:05
乙…
エイシンフラッシュが来なかった時の痛みを癒すのに… - 36二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:06:36
乙
大人の恋愛って感じでいいね - 37二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:26:18
- 38二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:31:14
- 39二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:38:22
もう卒業してるだろうがァ!
- 40二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:42:06
このレスは削除されています
- 41二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:46:54
ちょっとトレーナーさん弱ってるから許してやってくれ!これから同棲生活でかけて恋愛的に好きなことを自覚していってしまうんだ。
洋菓子店の打ち上げが予定より長引いて帰宅遅れるってきいただけで悶々としてしまうんだ。
- 42二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 06:33:24
「ふぅ……」
スケジュールに比べて四時間ほど遅くなった風呂の中で―といっても、今日に関しては終業後は全く当初のスケジュール通りにいった点などなかったのだが―フラッシュは思案にしずむ。
「想定外のことになってしまいました、ね」
僥倖を経て、東京に新たにオープンした、父の友人の店で修行できる、となったとき、こうなることを全く考えなかったわけではない。わけではないが。
「…いくらなんでも、はやすぎますよね。」
こちらに越してきてまだ間もない。まして、トレーナーと再会した当日にこうなる予定は、フラッシュの中にはなかった。
一年半前、トレセン学園で駆け抜けおえたとき、競技者としての未練はなかった。トゥインクルでのやり残したことをきっちり終えて、やれることはやったという幸福感に満ちて終わることはできた。それはきっと、トレーナーと同じ思いだったのだろう。
ただ、別の未練は残った。それは、四年を共にしたトレーナーとの別離。あの時、結局自分の気持ちを伝えきれずに日本を去ったことは、大きな凝りとなった。そう。やはり、私は貴方にトレーナーに対するもの以上のものを抱いている、と。 - 43二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 06:37:07
きちゃ!
- 44二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 06:37:55
最
高
の
目
覚
め - 45二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 06:42:50
待ってたぜ…
この瞬間をよぉ! - 46二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 06:49:04
ドイツに戻り、職人としての経験をつんでいく日々には充実感があった。やはり、父のような職人になるというのは、自分にとって変わらないものであるのだから。そうした日々の中、出会いというものも多くある。自身の容貌の麗しさに全く自覚がないわけではない。多くの異性を惹き付ける中、気の許せる男性に食事の誘いを受け、休日の約束を取り付けられることもあった。が、休日の誘いは一度きりで終わるのが常であった。
楽しくなかったわけではない。ぎくしゃくするわけでもないが、それでも1日つきあうとわかるものらしい。誰かに比べられている気がする、そう言われたこともある。そうして自覚するのだ。私はまだトレーナーさんのことを、おもいこがれてしまっているのだと。 - 47二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:00:51
父から東京、という提案をされたとき、真っ先に彼のことを思い浮かべなかったといったら嘘になる。ただ一方、甘い思いにすがるような気持ちになることはなかった。あれから一年半、である。意図的に彼の今を知ろうとすることはなかった。連絡手段はいくらでもあるというのに、とることはしなかった。ファルコンさんたちとは通話をすることがあっても、トレーナーさんの今について話をすることはなかった。ひょっとしたら、いまの彼には思い人がいる可能性だって十二分にある。担当バの思いに答えることはないかもしれないが、トレーナー職が異性との接触が少ない職というわけでもない。現に、自身が現役の時にも、彼が食事に誘われる姿は何度かみている。ただ、私とのコミュニケーションを優先してくれるがゆえに、成立したところは見たことがないだけで。
- 48二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:07:28
もし、トレーナーさんに想い人が出来ていても。それでもよい、という思いはあった。もちろん、それを聞いて泣き腫らすことはあるかもしれない。でも、この好機に、自身のわだかまりとなっている想いを伝えることさえできれば、彼といい友人にはなることができる。そんな予感もたしかにあった。私はトレーナーにすがる子供ではないのだから。彼を得ることも諦めることもできない、この状態がよくないだけなのである。
それに、東京は多くの友人がいるのだし、過ごしやすい環境であるのは確かである。父の提案をありがたく受け入れて、私は東京での修行のスケジュールを練った。そう、さまざまな可能性を想定して。 - 49二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:17:43
「でも、これは、予想外でしたね…」
まさか自分がトレーナーを再会して初日に連れ帰る。あまつさえ同棲の約束を取り付けるなんて。そのくせ、当初予定していた必須ミッション、「自分の想いを打ち明ける」は、現状達成感できていない。
「でも、あんな顔みせられたら…」
そう、シミュレーションしていたのと違い、再会した彼の顔は少しやつれていた。
「こうして、他の誰かに聞かれないところで、聞くしかありませんよね。私が告白するどころではありません」
誰もいない虚空に向かっていいわけをする。それにしても、彼の暗さの原因が、自分だったなんて。胸に痛みが走ったが、それだけではなかった。うすぐらい気持ちもあった。やっぱり走りだけなのか、なんていう気持ちもあった。でも、彼に告げたとおり、怒りもあった。色んな感情がないまぜになってしまったが、自分に気持ちを吐き出した彼の顔が昔にもどっていたとき、心からよかった、と思った。そして、やはりどうしようもなく彼のことが好きだ、という自覚も促された。 - 50二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:33:33
色々すっとばしてルームシェアを頼んでしまったのは、思い切り反射であった。あの時、ウマ娘とトレーナーであったときより、ほんの少し弱っている彼を、支えたいと思ったから。
でも、彼と私はトレセン学園でともに同じ道を歩む関係ではない。と、なると、側にいて支える形をとるにはこうするしかないところはある。
「これも必然というものです、よね。」
自らにそう言い聞かせるフラッシュ。それに、トレーナーとウマ娘、とは少し離れた関係にたつことで、また、他の異性との付き合いの経験からも見えてきたところがある。
「脈、ありますね。大いに」
自然と口がほころぶ。この1日、彼の所作から目を離すことはなかったが、自分を見る目が担当バを見る目、というだけではなかったことに確信を抱いた。ならば。
「トレーナーさん、私と貴方には、こういうものが似合うのかもしれませんね」
告白で急激に変わる関係ではなく、積み上げていく関係。トレーナーとウマ娘でなくなっても、それはかわらないのかもしれない。もっとも、同棲をはじめるというのが積み上げていくにしては大きすぎるものじゃないかというのはあるにしても。
「スケジュールは引き直して、ええ。この東京で、貴方を獲ます。トレーナーさん」
湯につかりながら、同じ屋根の下の最愛の人に、フラッシュは想いを馳せた。 - 51二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:35:43
了。
あっさりめにフラッシュのお話でした。離れてわかることもあるのかも。 - 52二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:36:39
おまけがどんどん更新されて…俺は…ニッコリした
- 53二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:42:54
朝から幸せな気持ちで大雨の中に突っ込むことができるぜ 感謝する
- 54二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 07:50:00
体力が70回復した
- 55二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 08:13:39
超美人が入ってきて色めき立っていた洋菓子店の野郎共は、翌出勤日に満面の笑顔で現れたフラッシュを見てワンチャンなくなったことを察して血の涙を流すのであった
- 56二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 10:57:57
フラッシュ…お前相当可愛いだろ…からだが動かねぇよ…
- 57二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 11:50:50
あんまり長い話かけないんで今後もシチュ投下みたいにはなっちゃうけどよろしう。
あとトレーナーさんがどうしても成長したフラッシュにまけがち - 58二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 11:54:33
とてもとてもたのしみ
- 59二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:13:03
「エイシンフラッシュです。このお店でお世話になります」
その日から洋菓子店に、新たなる華やかな光が差した。
どよめきを持って迎えられたのは当然であった。
レースにて華々しい活躍、その美しさを持って称えられた彼女の引退式は人々の記憶にあたらしい。画面越しにみた偶像のような女性と仕事をともにするのである。
が、そのどよめきはすぐに打ち消されることとなる。1日、2日接するうちに、彼女の菓子に対する見識の深さ、味覚の鋭さに、職人たちも舌を巻いた。白の仕事着を着こなす彼女は新鋭の職人としての立場を瞬く間に獲得したのである。 - 60二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:24:00
当然、見習いたちにとっては憧れの的である。まさしく高嶺の華であったが、この晩、見習いの彼は蛮勇を発揮して、高嶺の華に声をかけた。
「フラッシュちゃん!」
「は、はい?」
帰りがけに突然大きな声で呼び止められて、目を丸くする。
「フラッシュちゃん、そのさ、例の店の新作、興味あるっていっていたよね?」
菓子の話となると、目の色を変える。こくりとうなずくと、指をたてて、今回の新作のポイントについて滔々と述べる。その姿も美しいが、男にとっては見とれてる場合ではない。
「あの、さ。俺と一緒に、どうかなって…。その、ケーキのこと、色々教えてほしくて」
後半は半分は本当で半分は言い訳である。その言葉を受けて微笑むフラッシュだが、一瞬だけ逡巡した。
「…ごめんなさい」
あえなくの撃沈である。
「そ、そうだよね。まだ会ったばかりなのにそんな…」
「いえ、そういうことではなく」 - 61二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:33:05
結論を急ぎがちな男に苦笑しつつ、訂正する。
「用件がありますので。」
「用件?」
「はい、私の夢の他に、もう1つ大事な用件が」
もう1つの大事なものに、踏み込む勇気はとても彼にはなかった。が、一縷の望みにかける。
「じゃ、じゃあ、他の日だったら…」
「他の日、ですか…」
困ったように眉をよせる姿すらも愛らしい。胸が高鳴るとはこういうことなのだろう。
「すみません、お約束はできません。全てはその用件次第なのです。その時、私の悔いにどのような形であれケリがつくでしょう。いえ、つけるつもりです」
並々ならぬ覚悟を感じさせる表情は、菓子に向き合うときのそれではなく、画面越しにみたレースでの果敢さを思い起こさせる。 - 62二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:40:28
「ですので、その日を越えれば、私も貴方に答えを差し上げられます。待っていただけますか?」
そう言われれば、その言葉に諾ということしかできない。そこから暫く、様子の変わらないフラッシュに対して、どうしても彼の態度はぎこちなくなってしまうのだった。
その用件の持つ意味を、彼はその日の前に知ることになる。休日の前日、フラッシュの意を決した表情をみたその日、その誠実さを風貌にたたえた男が店にやってきたのであった。
彼を目にしたときのフラッシュの態度を見れば、彼女の抱いている感情が何か、というのを、トレーナーという類いの人間でなければ即座に察するであろう。
その瞬間、彼の恋は破れたのである。 - 63二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:50:36
そんな……まるでトレーナーがクソボケの代名詞であるかのような……
- 64二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:51:48
大の男が、情けなく泣き腫らしてしまった。まだ何もはじまってすらいないのに、滑稽がすぎる。
何より嫌だったのが、一瞬、かの男性がフラッシュの想いを受け入れなかったら、などと考えてしまったことだ。バカらしい。彼に受け入れられなかったら、自分を受け入れてくれる、そんなわけはない。
ケリをつける、といったが、もし、フラッシュが自身の想いをかの男に受け入れられなかった場合に、ケリをつけれるようには思えない。それほどまでに、感情の強さがあの表情にはでていた。
あんな表情を、たとえば自分が一生かけたとして引き出せるかといったら否だろう。
休日明け、店に出た彼に気がついたフラッシュが微笑みかける。一段と落ち着きつつも華やいだその笑顔が、約束の回答を物語ってた。
「例の件ですが、その…ごめんなさい!」
不思議と、その時には暗い気持ちは晴れ上がっていた。指をぐっとたてて、小さな声でおめでとう、と祝福の言葉を送った。 - 65二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 18:53:29
了!
爽やかな態度だけどかえったらチクショー!トレーナー野郎!羨ましすぎる!くらいの怨嗟の声は吐いたかもしれない。 - 66二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:00:22
嬉しそうなフラッシュを見たら大抵のことは許してあげると思う
- 67二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:01:40
乙乙こうして人は成長していくのよ
- 68二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:59:04
トレーナーさんのプチお話
「いや、良かったです。そのご様子ですと、上手くいったようですね」
落ち着いた声の紳士が、フラッシュのトレーナーの様子をみて朗らかに声をかける。
「上手く行った、というのはよくわかりませんが、フラッシュに、彼女に再会できて本当に善かったです。チーフ」
チーフと呼ばれた紳士は、トレセン学園会長の担当を勤めるトレーナーである。担当としては会会長以外をうけもっていないが、担当トレーナーを持たない、持てないウマ娘たちへのサポート体制の構築を担っており、担当バを持てなかったフラッシュトレーナーにとっては上司のようなものである。しみじみとチーフと呼ばれた、年齢が外見から判断つきづらい男が語る。
「まあ、貴方の抱える辛さは、きっと彼女にしか解きほぐすことのできないものだったのでしょう。私には理解の届かないものでしたし」
「ええ、何故か、彼女の言葉は、俺の中に自然に染み入って……」
「何故か、ではありません。運命の担当バというのは、そういうものですよ。それこそ、私にとってのルドルフです」
気負いなく言いきる姿が眩しい。
「運命、ですか。」
「ええ、私は信じていますから。」
「ロマンチストなんですね。意外だ。」
「おや、世界で一番ロマンチストなウマ娘の担当ですよ?私は」
茶目っ気がある言葉にも思えるが、至って語調は真面目である。 - 69二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 19:59:25
- 70二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:05:50
表情を緩めてはにかんだチーフは、言葉をつづける。
「なんにせよ、貴方の心が晴れやかになったのはめでたい。早速選抜レースに、と言いたいところですが、もう少し私の元にいていただけるとありがたいです」
意外な一言である。どちらかというと、自分に対しては再び担当バをもて、という圧力を強く感じたから。
「いえ、もちろん、無理強いはしませんが、ほんの少しの呪いがとけた今のほうが、見えてくるものが多くなると思いましてね。」
「トレーナー君…、おや、サブトレーナーくんも一緒か。いい顔をしている。何かあったのかな?」 - 71二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:12:18
了って言いながら次々とオマケを描きやがって有能なSS描きがよ…
- 72二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:16:00
大人フラッシュ供給とても助かる
- 73二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:35:40
皇帝シンボリルドルフ。トレセン学園のウマ娘の象徴である。フラッシュのトレーナーとしては上司の相方にあたる存在であるが、彼女を見るたびに思い起こすのは、フラッシュの現役時代に併走を依頼しにいったことである。彼女の紹介でシービーと併走できたことでフラッシュが開眼したのであるが、その案は皇帝とそのトレーナーの研究の時のアイデアによるものだったらしい。二人が屈指の目利きであることが伺える。
「ふむ、そうか。愛バの力は偉大だな」
何も言わずとも彼女は察しているようだった。
「ええ、本当に…。そうそう。まあ、もう少し私の元にいていただくのは、貴方のことを考えて、でもあります」
「俺の?」
「ええ。担当バを持てば、拘束時間のトータルはともかく、自由はきかないでしょう。トゥインクルシリーズ中はなおさらだ。少しの猶予はあったほうがいい」
「ふむ、同感だな」
皇帝とそのトレーナーの静かな圧にのまれかける、が、意図は図りかねた。
「えっと、どういう意味でしょう」
「どうもこうもないでしょう。フラッシュさんも社会人として日本にいらしてるなら、貴方にあわせるのもどうしても難しくなるでしょうに」
チーフはあきれ気味であった。ルドルフも腕を組んで言葉をつぐ。
「うむ、愛バにばかり都合を押し付けるのは感心しないな。調整も互いにすべきだろう。再会したばかりとて彼女に甘えてはいないかな?」
フラッシュのトレーナーは二人の言葉に再度困惑する。 - 74二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:37:49
ルドルフのトレーナーはクソボケとかじゃなく普通の丁寧な人っていうのは解釈一致で助かる
- 75二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:42:59
こちらの反応に二人して目を見合わせる。
「…えっと、そのだね。君とフラッシュさんは、いい関係ではないのかな?」
「いい、関係?…それは、四年を駆け抜けた仲ですから」
「いや、今の話なのだけれど。先ほど、ホテルの最上階で二人でディナーをしたと聞いたけれど」
「それは、フラッシュの職人としての船出を祝って」
「……恋人としてのはじまりを祝って、ではなく?」
「こ、こ、恋人?お、俺と、フラッシュが?」
心底あわてふためくフラッシュのトレーナーを見て、ふたたびルドルフは自身のトレーナーと目をあわせた。
「…感心しないな。そういうのは。トレーナー君でもあるまいに」
「いや、これと一緒にされるのかい?」
何やらひどい言葉を向けられた気がするが、ルドルフは珍しく白い目をして自身のトレーナーを睨んだ。君はもっとひどかったんだからな、と小さく恨み言を残して。 - 76二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:47:38
やっぱりルドルフトレもクソボケなのか……
- 77二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 20:53:32
「そんなことはないよ。私のはわざとだからね」
「……聞き捨てならない言葉を聞いた気がしたが、気のせいかね?」
「気のせいさ。うん、まあ、私もルドルフに同意見だな。まあ、君の気持ちの自覚は如何として、フラッシュさんとしても、久方ぶりの日本で心細いところはあるだろう。サポートしてあげられるよう、時間を作ってあげるのが、元トレーナーとしての甲斐性というものではないかな?」
ルドルフの冷たい視線から逃げるかのようにまくしたてるルドルフのトレーナー。その言葉に納得しかけるが、彼女の心細さの解消という意味なら、今の耐性で問題ないだろう。
「その点は問題ありません。これから毎日顔をあわせることになりましたし」
「…え?」
「いえ、しばらくフラッシュとルームシェアするので、その点を心配なさる必要はないかと」
「「…なんて?」」
完全にひきつって絶句するルドルフとトレーナーをみたのは、フラッシュのトレーナーにとってもはじめてであった。 - 78二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:06:57
「そうか、そう…うん、その…私の立場でもトレーナー側よりウマ娘側につきたくなったよ。うん」
「サブトレーナーくん、よくよく、よくよく感謝するのだね。君の愛バの寛容さに」
盛大にため息をつかれて困惑はさらに増す。
「あの、ですから、フラッシュとはそういうことではなくて…」
皇帝のひとにらみでつぐ言葉がなくなる。
「ルドルフ、落ち着いて」
「しかしだね、トレーナーくん」
「…まあ、私とて思うことはあるさ。でも、二人の問題だからね」
「む…」
怒気を納めた皇帝は、ため息をひとつつく。
「サブトレーナーくん、まあ、そういうわけで、こちらとしても君に、というより、数々の栄光を携えてターフをかって盛り上げてくれたエイシンフラッシュくんに礼をしたくなってね。自由のききやすい仕事を君にあたえようと思う」
「え?ええ?」
「ルドルフにはああはいったが、君に有無をいわせる気はなくなったかな」
涼やかな微笑みがルドルフとは別の意味で怖い。不承不承ながら、その場をあとにすることになった。 - 79二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:22:56
「…自覚がないというのも、困ったものだね」
「いや、ああは言っているけど、少し臆病なだけかもしれないな。」
「しかし、聞くだにエイシンフラッシュの肚は完全にかたまっている。そうなってしまっている以上、心配しなくても時間の問題なのかもしれないね」
「覚悟を決めたウマ娘は強い。それは身を持って知っているさ」
「しかしだね、トレーナーくん。わざと、というのはどういうことだね」
「おや、聞き逃してはくれないのかな?」
「皇帝は甘くないぞ?」
「でも、悪いのは君だよ。ルドルフ」
「トレーナーくん、愛バのせいにして誤魔化すとは、感心しないな」
「私だって、そんな手を取るつもりはなかったけれどね。こっちを口説くとき、皇帝の仮面をはずさないまま来られれば、それはそういう手も使いたくなるさ」
過去とは違う、余裕を持った顔を向けられるとルドルフは何もいえなくなる。
「……それを言われると、私も弱いな。君には全てさらけだすつもりでいたのだから」
「なに、楽しかったよ。君のそういう態度は」
「では、今の私は面白味にはかけるかな?」
「そうだね。だが……ルドルフ、君に一番求めているのは面白味ではないからね。一番求めているものを、一番くれる今の君が私にとっては最高さ」
言葉はてらいはあっても、その心根にはてらいはない。似た者同士か。
「……まったく、気障な君に騙されたくなるな」
皇帝はそう呟くと、静かに、長年のパートナーをだきしめるのであった。 - 80二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:24:09
トレ×ルドSSまで描き始めたぞ
助かる - 81二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:24:30
了
なぜかルドルフに飛び火してしまった。 - 82二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:28:24
なんだろう……ルナじゃない会長とトレーナーのカップリングを俺は初めて目にした気がする
- 83二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:51:48
勢い重視というか、垂れ流しなのでよろしくお願いします。
言い回しとか考慮してやれるといいんだけど、掲示板だしネタをそのまま出しちゃう形も楽しいんじゃないかと思ってる。
せくしゃるにいかないようには気を付けるけど!少しだけ - 84二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 21:52:22
おまえ相当文豪だろ…ルドルフとルドトレまで好きになっちまったよ…
- 85二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 22:06:53
モブがよぉ…ワンチャン夢を見るだけならよう、許してやってもいいと思うんだ。叶わぬ願いだけど…
- 86二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 23:00:03
クソボケがぁ!
- 87二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 23:01:33
洋菓子店の打ち上げで遅くなるけど、スケジュールの帰宅時間の記載を一時間はやく書いてしまったフラッシュ。
時間ぴったりに帰宅しないことにおかしいと思いつつ、電話をかけるべきか、会が楽しくて連絡し忘れているのか悩む上、もしフラッシュが同僚の男性と懇ろに…なんてあらぬ方向に考えてしまうトレーナー。 - 88二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 00:13:47
かっこいいトレーナーさんになるシチュがむずかしい
- 89二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 01:23:50
いちゃラブもいいよね。いい…
- 90二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 07:46:57
ヒト耳オスはクソボケじゃないといけないの?
- 91二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 08:15:17
朝の小ネタ
「おはよう、フラッシュ」
「はい、おはようございます。トレーナーさん」
スケジュールに記載していた時間きっかりに、彼女はリビングにあらわれた。リラックスした服装であるはずのパジャマですら、びしっと決まってみえるのは流石である。職場にでかける前の朝の挨拶となると、現役時代では合宿時くらいだっまからあまり馴染みはない。彼女の帰省につきあったときも味わってはいるが、ご家族とではなく一対一なので妙な緊張はある。どことなく大人の色気が増してみえるのは、気のせいなのだろうか。眼福とはこのようなことを言うのかな、とぼんやり思っていると、じっとフラッシュに見つめ返される。なんだか妙に照れ臭い。
「…こほん、朝食は軽く用意したよ。リクエストは聞き忘れてたから簡素にしたけれども」
「ふふ、ありがとうございます。…なんだか、凄 く贅沢」
「いや、大したものじゃないよ」
「トレーナーさんにつくってもらうことが、です」
「それを言うなら俺の方だろう。君にも食事用意してもらったんだし。それに、一人暮らしでも朝食は元から自分で作っていたから、苦ではないよ」
「そうですか。贅沢、という言い方はいけなかったかもしれませんね。…嬉しいっていったほうが伝わりますか?」
上目使いに見つめられると、照れ臭さが増す。朝からフラッシュのこんな表情をみせられるのは危険だ。
「しょ、食事にしよう」
「はい。いただきましょう」 - 92二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 08:33:17
「…ご馳走さまでした。幸せ…」
「お粗末様。大袈裟だなぁ」
「大袈裟ではありません、本心というものです」
「まあ、喜んで貰えたなら嬉しいよ。ちょっと作ったかいもでてくるもんだよな。……悪くないな。こういうの」
照れ臭そうにするトレーナーをフラッシュは穏やかな目で見る。が、時計の針を再確認して、気を引き締める。
「いけません、予定より朝食の時間を多くとってしまいました。……急ぎます。明日からの朝のスケジュールに関しては、帰宅してから引き直します」
「あ、ああ。ちょっと話し込みすぎたな…。まあ、メニューに関しても今後は食事時間も考慮にいれたほうがいいか。栄養価も考えたほうがいいしな」
「トレーナーさんはお得意ですものね。そちらの管理は」
「ああ、今日は俺が休みだし、君がでかけている間に買い出しはすませとくよ」
「いえ、それは駄目です」
「ああ、任せてく…駄目?」
「はい。買い出しは二人で行きましょう。少々時間が遅くなっても」
「いや、しかし、フラッシュもまだ新しい職場に入ったばっかりだろう?ルームメイトというか、間借りしているようなものだし、君の負担は軽くしてやりたいのだけれど」
「お心遣いは嬉しいのですが、確かに一人の買い出しは負担ですが、二人でいけば楽しみ、になるので。一人が負担するのと、二人で楽しむの、どちらが効率的でしょう?…それとも、二人の買い出しは、トレーナーさんにとっては負担なのでしょうか?」
「い、いやいや、とんでもない。俺もそれは、君と一緒なら楽しいだろうなとは思うけれど」
少しだけ不安そうにしたフラッシュの顔がふたたび満面の笑みに戻ったことで、トレーナーは安堵した。 - 93二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 08:45:10
身だしなみを整えたフラッシュを玄関まで見送る。
「いってきます。トレーナーさん」
「ああ、いってらっしゃい。フラッシュ」
僅かにお互いの時間がとまる。レースの前の見送りでない、こういう形での見送りは新鮮だからだろうか。
フラッシュは外に足を向ける前に再度トレーナーの方に向き直る。
「いいですよね。ルームシェアって…」
「…うん」
「これからも挨拶、かかさないようにしましょうね。お互いに」
「ああ、そうだな。」
「……いってきます」
「……いってらっしゃい」
名残惜しげにする彼女を手を振って見送れば、広い部屋に一人、である。
「そうだな、これは一人は、寂しいかもな…」
自身の充足もだが、彼女の寂しさを埋めてあげることができるなら、それは価値のあることなのだろう。
フラッシュからの提案に最初は面食らったが、彼女が良い人をみつけるまでの間、と考えれば悪くはないのかも知れない。そこまで考えて胸が痛む。
「……まだその先は、考える必要ないよな」
トレーナーは胸の痛みを誤魔化したまま、家事に戻った。 - 94二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 08:48:03
了。
だめだ、トレーナーのやつがゆるせねぇ! - 95二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 08:51:50
このクソボケ現役時代のイタリア人因子をどこに置いてきたーっ!!
- 96二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 09:48:55
えっち要素(といってもこうネタ程度のやつ)ありなら別にしといたほうがいいとかあったりするのかな
- 97二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 09:56:06
バイトくんはこのクソボケを1発殴っても許されると思うよ?
- 98二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 10:00:05
なんでこう無限に供給が沸いてくるの!?
あとトレーナー=クソボケの概念は草 - 99二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 10:11:55
- 100二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 11:18:24
- 101二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 12:56:58
小ネタ フラッシュ
「フラッシュ、洗濯のことなんだけど」
「はい、ローテーションに問題がありましたか?ある程度柔軟性を持たせたスケジュールにしたつもりですが」
「いや、ローテーションというか割り振り、日程に問題はないよ。家事の類いは世話になってる俺の方の負担を大きくしてくれた方がいいとは思うけれども」
「いえ、こういうのはきちんと半々で。長続きのコツ、ですよ?」
「そうか、フラッシュがそう言うなら君に従うよ」
「はい、我が家のルールです」
「いや、それはいいんだ。えっと、洗濯についてなんだが、それぞれ自身のものをっていうことでいいんだよな」
「いえ、二人で暮らしてるのですし、一緒に洗った方が効率的ではありませんか?」
「効率でいえばそうでも、その、抵抗ないか?その、家族でない異性の服の洗濯って…」
「いえ、特には」
「そ、そうか。まあそれならいいのか…。あ、でも、せめて下着は別にしてくれないか?」
「何故です?」
「なぜもなにも恥ずかしいというか…下着を他の人に洗わせるのは少し抵抗が」
「私はトレーナーさんのでしたら問題ないですよ。長いお付き合いではありませんか」
「い、いや、それにだね。そうすると、その、君の下着を…」
「何か問題でも?」
「大有りだよ。さすがにその、意識するって。」
「…大丈夫です。慣れれば大したことではなくなります」
「…慣れる自信がないけれども」
「我が家のルール、です。守っていただきますからね?」
「…わかった、努力するよ」
不承不承といった体でとぼとぼと背を向けて、洗濯かごの中に自分の衣服を入れるトレーナー。
…本当は、慣れては欲しくないのかもしれませんね、なんて思いを秘めつつ、ちょっと愛らしいちょっと年上のルームメイトをほほえましく見守るフラッシュであった。
おしまい - 102二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 12:57:57
小ネタというか後日談充実し過ぎでは?
アフターケアばっちりかよ - 103二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 12:58:28
強い、あまりに強い
そしてここまでされてんのにクソボケがよぉ! - 104二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 13:11:11
フラッシュがわるいよフラッシュがー
- 105二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 13:15:51
夕食中の会話でトレーナーさんがサポートしているウマ娘がかなりの有望株で、なんとかトレーナーを探してあげたいと目をキラキラさせて語るのを見て少しだけ嫉妬心が芽生えるフラッシュ
フラッシュが菓子を出すとき、美味しいと評価したら、店の先輩にレクチャーをしてもらって、と嬉しそうに話すのを聞いてモヤモヤした上、夜中に煩悶してしまうトレーナーさん - 106二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 13:16:20
あ、これ我が家のルール永続させる気だな?
- 107二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 13:22:43
もちろん同棲から結婚に接続できる準備は怠らないんだフラッシュは
- 108二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 15:18:40
トレーナーさんのターンつくらなきゃ…
- 109 21/10/02(土) 17:02:30
フラッシュ強すぎでしょ...
でもこのトレーナーのボケ具合だと直接言うかファルコや会長あたりからいわれないと気付かないかもしれん - 110二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 17:19:09
トレフラかな?
二人の食卓には、互いの仕事の話題がのぼる。フラッシュは今の職場は洋菓子店。現役時代からマイスター志望であることは変わらず、当時、彼女の趣味と実益を兼ねたスイーツ巡りに付き合っていたトレーナーは、むろん専門職ほどとはいえずとも、菓子に対する知識はある。逆にトレーナーから上る話題はトレセン学園でのトレーナーとしての仕事の話題。フラッシュにしてみれば、当然ながら過去身近だった話題であり、レースに関する話題は今となっては懐かしいが、菓子の話題と同じく、こちらもよく花が咲く。
「そういえば、トレーナーさん」
「ん?」
「気になっているウマ娘はいるのですか?」
現在、彼はルドルフのトレーナーと供に、専属トレーナーと契約できなかったり、あるいはチームに所属できていなかったりするウマ娘たちのサポートにあたっていることは話には聞いている。そういう立場にいるウマ娘が才気に乏しいか、というと、そういうわけではない。トレセン学園に至るまでがそもそも一握り。その中で、スムーズに専属トレーナー契約やチーム所属ができるウマ娘というと更に一握りというだけのことだ。
「気になっている、か……いることは、いるよ」
「え?」
自分で言葉を発して思わず誰の声かわからなくなるくらいに、フラッシュは声を裏返した。咳払いしたフラッシュ。
「い、いらっしゃるんですか。そうですか…」
「ああ、特別に、となるとひとりね。変わり者ではあるけれど、素質は十二分。チーフ…ルドルフのトレーナーも逸材の可能性あり、とみている。」
「それなのに、担当トレーナーが付かない…こだわりの強いウマ娘、ということです?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…。君も知っての通り、トレーナーとウマ娘って中々難しいところはあるからね。今、俺もアテを探しているところだけれども、中々」
「……ご自分で、担当しようとはされないんですか?」
「チーフが?いや、あの人絶対担当はやらないって決めてるからね。」
「いえ、そうではなく、トレーナーさんが、です」
「俺が?……」
意外そうな顔をするトレーナー。フラッシュは身を乗り出す。 - 111二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 17:37:19
「それだけの逸材なら、貴方が再びトゥインクルを駆け抜ける相手ということも、あるのかな、と」
間違いなく、トレセン学園のトレーナーとして、担当したウマ娘とともに晴れ舞台を駆け上がるのは最大の喜びであろう。
「それは、まぁ、考えないではなかったさ」
「……やっぱり、まだ昔の私が重荷ですか?」
1年半ぶりにあった彼についていた重り。二人の生活でそれは晴れていったものだと思ったけれど、違ったのだろうか。だが、大きく彼は首を振る。
「いや、それは違うよ。フラッシュ。そこは断言させて貰う」
思わぬまっすぐな彼の視線。なぜか言葉が詰まる。
「でしたら、いいんですよ。私、また夢を追うトレーナーさんが見たいですから」
本音の気持ち。でも、声が少しかすれている。何故だろう。わかっている。本当に言いたいことは、聞き分けのいいことではなくて、単なる我儘なのだから。
そんなフラッシュを見て、トレーナは立ち上がり、窓を開けて風を入れる。
「フラッシュ、こっちへ来てくれるかな」
窓の傍のソファに腰掛けるトレーナーに呼ばれて、静かにその横に腰掛けるフラッシュ。
じっと縋るような目で見つめてしまうフラッシュに、トレーナーは頬を赤らめる。
「ちょ、ちょっと近すぎるかな」
目を泳がせるトレーナーの態度に、フラッシュの力が少し抜けた。
「さっきもいったように、結論としては担当として持つつもりはないよ。彼女の為にいっておくと、性格上の相性というわけでもない。彼女とともに歩む道をまったく考えなかったわけじゃない」
「……でしたら、何故?」
「簡単な理由だよ。いや、情けない理由、かな。天秤にかけた時、そちらを選ぶ未来がなかった」
頬をかいて困ったような表情をするトレーナーに、今度は詰め寄ることなく、静かに彼の答えを待つ。 - 112二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 17:55:30
「何故なら、今が、楽しいから」
「…え?」
「もっというと、君との時間が楽しいから、かな」
「…私のことで、遠慮して?」
「…いまいち伝わっていないのかな。」
さらに困ったような顔をするトレーナーは、真剣な表情で目の前の女性を見つめた。流石にこうして彼女と暮らす中で、わかったことがある。最初は判別がつかなかったが、今はわかる。彼女といて楽しいのは、過去の栄光を思い返せるからではない。ただ、あの時より1年半の年月を重ねて、女性としての魅力を増した彼女に、すっかりやられてしまっているから。
「俺が、君がいるのが楽しいからだよ。フラッシュ」
「……!」
照れくさそうな、それでいて安心感を感じるその声。フラッシュは、その言葉の意味を一つ一つじっくりと意識の中で咀嚼した。
「フラッシュ!?」
彼女の目じりには、自然と大粒の涙がたまっていた。はらはらと泣きはらすわけではない。それがなぜだかわからないトレーナーは困惑する。
「俺、泣かせるようなことを言ったかな」
「…はい、言いました。しました」
「えええ!?」
「本当に、本当に貴方ときたら……!」
トレーナーの胸にしなだれかかり、涙を見せないようにうつむくフラッシュ。そのフラッシュの背中を、ただ優しく抱き留めて、何も言わずに彼女の震えが止まるまでそのまま受け止めた。
「フラッシュ、そのまま聞いてくれるか?」
抱きしめる相手は落ち着いているようだが、返答はかえってこない。そのまま、ぎゅっと相手を抱き留めて、言葉を振り絞った。
「俺、君のことが、好きだ」
シンプルな一言。好意を寄せてくれている、という自覚はトレーナーにもさすがにある。ただ、それがこういう意味なのか、という自信は、今もってもっていなかった。だから、抱き留めた相手が言葉を返すまでの時間が無限にも感じた。
「…すぅ、すぅ」
「…あれ?フラッシュ…ひょっとして」
どうやら、意を決しているときにはすでに彼女は眠っていたのだろう。空回りに終わった告白に徒労感を覚えたが、そのまま彼女をソファに横にならせて、タオルケットをかぶせた。そして、夢の中の彼女に届けるように、気負いなくささやいた。
「フラッシュ、好きだよ。愛している…」
音をたてないように食器は片づけ、リビングの明かりを消して、名残り惜し気にトレーナーは自室に戻った。 - 113二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:04:00
やーい泣かした泣かしたー
- 114二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:06:18
- 115二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:10:44
つつかなくても無限に沸いてくるじゃん…
- 116二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:24:02
了。
ダメトレーナー度がちょっとだけ下がったか。
ちょっとだけおまけ。
「……ということがあったんです」
友人との報告に、二人だけの秘密、という形で伝えたフラッシュ。しっとしとしていながら、心が躍っている様子なのが伝わって、友人のスマートファルコンは電話越しに笑顔を浮かべる。
「わ、すごい、フラッシュさん大進展!…なんて、いうと思った?」
「え?」
友人の言葉尻は思ったより少し詰めたい。
「うん、素直におめでたいと思ったのは確かだよ。でもね、フラッシュさん、しっかり聞いてたんだよね?告白」
「……ええ、その、寝てると思われて」
「思われて、じゃないよね?フリしたよね。なんで?」
「…え、えっと、その……」
「なんでそこで変に恥ずかしがるの?今更すぎない?同棲してるんでしょ?同棲」
「そ、その、トレーナーさんを困らせてみたくて…。私だって、困らされたのですし」
「え?何それ?……あのね、フラッシュさん。私ね、貴方のほうがずっと先にゴールインすると思ってたんだよ?」
「は、はい……」
「卒業の時、逃したのと同じ理由でまた逃したりしないでね。本当に。結果的には良かったかもしれないけど、あれ、本当にただの言い訳だからね?」
「……」
「本当に欲しいものはね、欲張りって思われてもがっちりつかんでおいてね。私、フラッシュさんが後悔するのみたくないし」
「……は、はい」
「私ね、ドバイで決着つけるときに、恥ずかしい気持ち出来れば彼から告白して欲しかったとかいろんな欲をもうぜ・ん・ぶ投げ捨てて今があるんだよ?自分で立てたプランを改めて見て引くくらいの強引さだったよ」
「知っています。いっぱい聞かされました」
「ともかく、何ならいまからでも言質を取ってることを伝えてくる!」
「いえ、それには及ばないかなと……」
「あー!もう!本当に大胆なところとそうでないところの差が激しい!噛み合うとすごいけど、噛み合わなくなると別の意味ですごくなるんだから、貴方とトレーナさんは!さぁ、はやく得意のスケジュールを立てて、はやく!!」
そんなこんなで夜通しお説教を食らってしまったフラッシュなのであった。 - 117二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:28:09
感想ありがとん!いや、思い付いたやつ投げてるだけなんで反応もらえるのめちゃ嬉しいです。
育成ファルコンほぴぃよう…
フラッシュシナリオ、ファルコンの販促すぎるとおもうんですよね - 118二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:32:37
無限にオマケ湧いてくるじゃん…
- 119二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:34:01
もはやオマケと本文の境界がわからない…
だがこれは私にとっては好都合!もっと読みたい! - 120二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:35:22
全部おまけで全部本文みたいなものだからお口にあうのを味わってくれればいいんだ
- 121二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:51:47
ちょっとえちぃのは分けたほうがいいのかな。
- 122二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:53:31
おまけ…おまけってなんだ?
- 123二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:54:12
キスくらいなら良いだろうけどRが18いくならそもそも書かない方がいい
- 124二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 18:56:19
- 125二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:17:19
つまり化物語くらいまでは大丈夫ってことだな!!
- 126二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:19:32
揉んじゃうじゃん!
- 127二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:23:10
なあにダークネスだってRはつかなかったんだへーきへーき
- 128二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:23:59
このレスは削除されています
- 129二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:24:01
- 130二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:25:08
このスレ好きだからそういって外野が囃し立てた安価スレみたいになって欲しくないんだ
- 131二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:26:14
このレスは削除されています
- 132二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 19:28:34
雰囲気がやーん!トレーナーくんまいっちんぐ!になるときは冒頭にかきときます。
それはそれとして卒業後フラッシュ増えてくれ - 133二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 21:33:06
卒業してドイツ行って家族紹介して何もないわけないよねないよ。
- 134二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 00:06:53
プチルドトレ。
「トレーナーくん、しかし君も大概世話焼きだな」
「全てのウマ娘の幸福が、私のパートナーの願いだからね。その夢が遥か遠くとも、せめてエイシンフラッシュ程の華々しい結果を上げたウマ娘が幸福からずれてしまう、というのはちょっと看過しがたいものがある」
「彼女自身は本来の夢、菓子職人としての道を着実に歩んでいる。不幸というにはほど遠いのではないかね?」
「……そうだね、確かに彼女は立ち上がっているようにも見えた。だから、本音を言うと彼の方が見ていられなかったというのはあるかな」
「サブトレーナー君が直属の部下に近い関係だからかな?」
「逆さ、見ていられなかったから、誘ったんだよ。私からすると、担当バとの思い出を足枷にしていたのはちょっといただけなかった。時間をおけば解決するかと思ったけど、そう簡単にはいかなかったからね。かといって、彼をドイツにいかせるのも、彼の為だけにフラッシュ君をこちらに呼ぶというのも、いささかあの時の彼には重すぎた。そんな折にフラッシュ君が菓子職人としての修行で日本に移るっていう話が飛びこんできたんだ。タイミングとしても出来すぎだけどね」
「おや、私の顔をじっと見つめて。見とれているのかい?」
「見とれていないときの方が少ないかな」
「いけしゃあしゃあと言うようになったものだよ。学園の屋上で見た可愛らしさもまた見せてほしいところだね。まぁ、いささか出来すぎというのは同意するな。君が手を回したか?」
「まさか。そんな力は私にはないよ。得意なのは皇帝陛下の方だろう?昨年ドイツに足を運んだ時に、彼女の実家のケーキをよこしてくれたじゃないか」
「何も手を回してなぞいないのは本当さ。ただ挨拶に伺っただけだよ。フラッシュも彼女のご両親も元気そうで、安心したものだ」
「へぇ、それで、収穫は?」
「収穫は皆の笑顔と、君の口にしたケーキだな」
「他には?」
「無い、といっても承服しないだろうが、本当に何もしていないさ。ただ、トレーナー君の話をご両親にふったとき、ご厚意を抱かれているというのは感じたかな。ため息はつかれていたが、トレーナー君への怨嗟につながるようなものではなかった。」
「なるほど?」
「あとは直観さ。なるようになるってね。」 - 135二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 00:08:04
「ルドルフにしては珍しい」
「なに、家族に好意を抱かれているというのは今後に悪く働きようがないと思ったからね。まぁ、あの善良なご夫妻に悪意を抱かれるような真似をするトレーナーだったら、フラッシュとあの栄冠を勝ち得てはいないのだろうが。しかし、少々うらやましかったがね。家族と仲睦まじいというのは」
「君の場合はご家族、いや、一族と一波乱あったものな」
「一波乱は君のせいだぞ。君がさっさと私にプロポーズしないものだから、勝手に縁談を組まれてしまったのだ」
「あの時は大暴れだったな」
「機嫌が大層悪かったからな。君が一度相手に会ってみては?などというすっとぼけたことを抜かしたせいで、ただでさえ悪かった機嫌が倍悪くなったのだが。火に油を注いでくるとはね」
「だって、どうせ選ばなかっただろう?私だってトレーナーとして認められてからも、トゥインクルシリーズ3年間でじっくり試された。ぽっと出で君の心を奪える人物がいるとしたら、それは歴史に名を残せるくらいの傑物だよ。」
「ふぅん?」
「ありえないなら、まぁとりあえず顔を見て振る、くらいの表向きの筋だけ通しておけば丸く収まると思ったんだ。そうしたら、あんなことになってしまったが…」
「私の乙女心を理解して、行くな、といってくれれば、それこそ丸く収まったかもしれないな?」
「いや、あれはあれでよかったと思うね。君の大暴れを見れて満足した。痛快の一言だったよ」
「まったく、とんでもない悪童をパートナーにしてしまったものだな」
「皇帝をパートナーにするより、よっぽど楽だろう?悪童ぐらい御してくれよ」
「何をいう。ただ、私としてはトレーナー君に御されているばかりなのも気に食わないからね。たまにはそういう趣向も悪くないが」
「いつでもどうぞ。まぁ、誰かが手を回したか否かはともかく、彼が立ち直ったのはめでたいことだよ。別離が不幸を読んだままでなくてよかった。とはいえ、いささか不安定なところはまだあるからね。完全に立ち直るまではサポートしてあげたい。フラッシュ君にもその方がいいだろう」
「当面のゴールはどこだね?」
「そうだね。私と君が、フラッシュ君の結婚式に呼んでもらえるまで、でどうかな?」
「まったく、本当に世話好きなことだ」
そんな君だから、私のパートナーでいられるのかな?と、トレーナーの顎に触れて不敵にルドルフは微笑んだ。
了 - 136二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 05:13:12
ドイツのご両親「このクソボケヤパーナーが」
- 137二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 06:26:47
- 138二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 07:49:15
父「くそぼけ(さっさと娘に手を出せ。何だ?うちのフラッシュにはそんなに魅力がないのか?こんなにもウキウキしてるのが貴様には伝わってないのかたわけが。これだからヤパーナーは)」
母「くそぼけ(確かに一理あるわ。もう恋しちゃってる目をしてるのが伝わらないのかしらね。けどあなただってドイツ男性は質実剛健だからとか言って随分待たせてくれたじゃないの忘れたの?)」
- 139二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:11:17
朝のプチフラトレ
光が窓から直に差し込んできて、フラッシュはまばゆげにして眠気眼を擦った。そうか、あのままソファで眠ったらしい。愛する人の告白をきいてしまって、それを心のなかで反芻している間の眠りだったようだ。眠りが浅かったせいか、まどろんでいる感覚になる。
「おはよう、フラッシュ」
「…はい、おはようございます、トレーナーさん」
どうしよう。まともに彼の顔をみることができない。
「ごめん、フラッシュ、起こしてあげるべきかとも思ったけれども。服、皺になってしまうな」
「いえ、私がうっかり寝てしまっただけなので…」
昨日はまだお風呂に入る前なので、パジャマに着替える前だった。彼の前ということを考えると恥ずかしさが勝る。
「フラッシュ、日課のシャワーいってきたら?」
「え?あの…」
ひょっとして匂うのだろうか、と思って少し顔を青くしながら腕の匂いをちょっとだけ嗅ぐ。
「ああ、ごめん。そういう意味じゃなくて、ほら」
頭を指差して苦笑するトレーナー。首をかしげるフラッシュ。
「ほら、フラッシュの寝癖、凄いことになってるから」
「……あ、あ、ああああ!!」
髪質上、フラッシュの寝癖はかなり癖の強いものとなる。フラッシュ自身は髪の美しさも自慢のひとつで、当然愛する人の前では最高コンディションを見せつづけていた。見られた、ぼさ頭を見られた…!
「し、失礼します!!」
とぶようにバスルームに駆け込むフラッシュにぽかんとするトレーナー。
「あれもあれで、可愛いとは思うけど、ね」
やっぱり普段のストレートが最高なんだよな、などと思いつつ、朝食の準備に戻るのだった。 - 140二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:13:33
朝から心臓が止まったんですが?
- 141二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:15:18
どのみち毎朝見せることになるんだよなあ
- 142二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:38:11
「だらしないところを、お見せしました」
シャワーを浴びて着替えを済ませたフラッシュは赤ら顔で食卓につく。
「いや、気にしなくていいよ。俺もだらしないところ見せるかもしれないし、そもそも今回のは事故のようなものだし…あ、フラッシュ」
「は、はい?」
「また、はねた」
指摘されたところに触れると、ぴょこんとはねてしまっているのがわかる。
「ああああああああ!」
「フラッシュ、慌てすぎだよ。まだ時間はあるし…そうだ。ちょっといいかな」
「え?」
ちょっとソファのほうに座ってて、といわれると、トレーナーはおもむろにドライヤーや霧吹き、鏡を手にしてあらわれる。
「はい」
フラッシュは渡された鏡を手に取る。自身とはねっかえった髪と、トレーナーの顔を鏡におさめる。
「…今さらだけど、ちょっと触れていいかな。髪にだけど…」
「は、はい。勿論」
「それじゃあ、失礼して…」
髪をかきあげさせながら霧吹きで髪の根本から湿気をふくませてしっとりさせる。トレーナーの指が与える刺激がこそばゆく、心地よい。
「ふぁ…」
「ご、ごめん。やめるか?」
「いえ、つづけて、つづけてください」
「わかった。うん、こういうのはじっくり時間かけないとな」
濡れた髪に温風をあてながら、根本から先まで風を通すようにしてじっくり乾かす。温風と愛しい人の指のその心地よさにうっとりとしてフラッシュはまどろむのであった。 - 143二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:38:56
「はい、完成」
「わぁ…完璧です」
目を輝かせるフラッシュに、トレーナーは安堵した。
「よかった。普段ら君こそ完璧だけれども、慌ててしまってたようだから」
「いえ、そんな…」
心地よかったです、というのは気恥ずかしくて口にだせなかった。
「いや、思わぬ経験が役に立つものだね」
「経験…?」
確かに手慣れてはいたが。反射でたずねかえしたが、トレーナーは少しきまずそうに目をそらした。
「どなたかに、されていたことがあるんですか?」
「い、いや、学生時代の話だよ。これは。ちょっと癖っ毛の友人がいたんだ。おかげで毎日、ね」
「…友人?…ご友人?ふぅん?」
「ふ、フラッシュ、近い、近い!」
「……トレーナーさん」
「は。はい」
フラッシュは少し膨れ面だ。悪いことをいったわけではないにしろ、気圧されてしまう。
「これ、毎日、お願いします」
「ま、毎日?毎日するのは大変だな…」
「…「ご友人」にはされていたのに?」
「わ、わかった。わかったよ。フラッシュ」
「ありがとうございます。トレーナーさん…毎朝のスケジュール、書き換えておきますね」
我が家の朝のスケジュールは、起床がはやくなった代わりに二人の予定が1つ追加されたという。
了 - 144二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:40:43
あんたなんなの?(褒め言葉)
- 145二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 09:43:44
書いてて思ったけどなんでこいつら籍いれないの…っていう矛盾した気持ちがわいてくる
- 146二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 10:10:15
この鉱山勝手に金塊が湧いてくるんですけど?
- 147二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 10:23:34
とりとめもない内容だけどちょくちょく読んでくださってる方もいらっしゃるようで嬉しいです。
どちらかというとシチュ提示みたいになってますけど。
マルゼンとカイチョーが好きで、あとはシービー待ちやなって思ってたところにエイシンフラッシュとかいうダークホースにやられたんだ。 - 148二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 11:39:34
おまえ前世はトレフラの部屋の壁だったりしたの??たすかる…
- 149二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 11:46:28
さてはサイゲの人間だな?没シナリオ見せちゃって大丈夫なの?(ありがとう……本当にありがとう……)
- 150二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 12:05:02
クソが...このスレ主...
トレフラだおまけだの吠えてた奴が...
おまけ...あれ...どんだけ考えてたんだよ...
てめぇ相当すげぇだろ...体が動かねぇよ...
お前は本当に優秀な奴だった
どんな時でも冷静にトレフラを書いて...自分よりトレフラを求めてる奴のことを1番に考える奴で...
オレもお前みたいにSS書けたらいいな...とか思ってたっけ...
なぁスレ主
今お前がどんな顔してんのか知らねぇがお前本当にすげぇ野郎だよ
多分...人類史上こんなに素晴らしいことした奴はいねぇよ
ageなきゃ...このスレはこの世に必要な奴だ
一体どうやって考えてたんだ?本当に素晴らしいよ...
お前のトレフラとトレルナに満ち溢れたこのスレを思い出すだけで...幸せになってくんだよ
このすげぇスレが
オレが今からageてやる - 151二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 12:34:42
注)ちょっといやーん!まいっちんぐ!な内容なので年の為。
下着ネタです。トレフラというよりトレの煩悶。
休日、名残惜し気にするフラッシュを見送る。出来るだけ二人のスケジュールは調整するが、互いに違う業種が違う為、ずれが生じる時が多い。成り行きとはいえルームシェアということにならなければ、その上、例えば担当バを持っていたりしたものなら、顔を合わせて親交を深める、ということすら難しかったかもしれない。
愛する人と供にいることの出来る奇跡をかみしめるが、それはそれとして、ため息のつきたいことはある。家事の分担、これ自体には問題がない。というか、むしろ自分がメインで担当すべきでは、と思っていたくらいだが、これはフラッシュにより折半という形に落ち着いた。問題は、その内容の一つである。顔を赤くしながら、洗濯籠の前で覚悟を決める。
「簡単には、慣れないよな……」
既婚者の某トレーナーに相談したところ、何、すぐ慣れる。というか、慣れない気持ちをむしろ大事にしろよな、とアドバイスというよりは舌打ち交じりの言葉がかえってきてしまった。あんまり参考になる答えの帰ってきた試しのない相手ではあるのだが、相談する相手が他にいない。チーフは一応ルドルフ会長とは今は別居らしいので、相談するには相応しくない。かといって両親には話しづらい。冗談交じりとはいえ、とっとと孫の顔をみせろと通話のたびに言ってくる相手にこんなことを言おうものなら、好意を抱いてくれていることはわかっても、その温度感の確証がとれていない彼女のことを、きっと連れてこいと言うにきまっている。フラッシュの両親のような落ち着いたタイプではないので、彼女にどう思われるかもわからない。それに、実家は田舎といえば田舎だが、風光明媚な土地柄でもないし、フラッシュを連れていって彼女が喜ぶとは思わない。自分がその立場だったら拒否するだろう。別に実家が嫌で東京のトレーナーを目指したわけではないのだが。それはそれとして、当面の敵である洗濯籠に目を移した。
「よし、いくか…」 - 152二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 12:50:47
とはいえ、やること自体は簡単である。洗濯物自体は、フラッシュのしっかりした性格が反映されて、すでに裏返すべきものは裏替えされてたり、事前準備は十分に整っている。初日こそいい加減だったトレーナー自身も、彼女の几帳面さに刺激されたのと、彼女に手をかけさせるのにこちらが手間をかけさせるわけにはいかない、ということで、フラッシュに倣って選択しやすいようにされている。洗うこと自体は本来手間ではないのだが、フラッシュのもの、というのが妙に彼を緊張させる。洗濯機にかけるだけが大半とはいえ、触れる時に緊張が走る。最近はさすがに当初よりはマシになってきたが。とはいえ、いまだに最初から変わらず彼を悩ませるものはある。
「やっぱり、これは……別にしてほしかったな」
下着については、いまだに彼を羞恥させる。無心であればいいのだが、どうしてもフラッシュの、という意識が抜けない。大の大人が情けないというのはあるが、想い人のそれともなるとやはり特別なのかもしれない。とはいえ、フラッシュの気遣いで、下着類は洗濯ネットにセットされている。直接見ることは避けられるのだが、どうしたって意識してしまう。変なところでトレーナーは思春期に逆戻りしてしまっているのかもしれない。
「よし、終えた」
洗濯機をかけると、息を吐いて完了した気分になる。そう、真の敵から目をそらして……。 - 153二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:13:07
掃除をてきぱきと終えて、ちょっと豪勢な夕食の下準備にかかりつつ、とやっていると、洗濯機のアラームが鳴る。顔をこわばらせるトレーナー。そう、これからが地獄だぞ。
ラスボスを考えないようにして、てきぱきと、というのにはやや手が重いが、着実に洗濯モノを干していく。絶好の選択日和なのはありがたい。洗濯ネットから目をそらしたままやり過ごそうという考えがよぎったが、フラッシュから滅茶苦茶怒られるのが目に見えている。洗濯物を干すこともできないトレーナーさん、としてフラッシュに蔑まれるのは辛い。いや、それならましかもしれない。悲しい目をして見られてしまったら…。
「やってみせるよ、フラッシュ……」
ゆっくりと並べた洗濯ネットを開くせいで、かえって危ない人に見えてしまっているということは、彼の為に突っ込まないでおいてほしい。
「白……」
下着を広げながら、混じり気のない白を吊り下げる。上も同様の色であったが、やはりそのカップからどうしても彼女のたわわなスタイルが頭に浮かんでしまう。最近は夜、ソファにならんで二人とも無言で読書をすることも多い。時折、彼女がよりかかるたびにそのやわらかさがふにゅ、と腕に当たるが、指摘できないでいる。どうしても浮かぶ手にしているものを着用している彼女の姿を何度も払いのけながら、なんとか一着目を倒した。だが、まだボスラッシュの途中である。
「黒…」
同様に二着目に着手する。シックな黒は彼女のイメージカラーともいえるものだ。白い肌に黒い髪、黒の衣装はどこか騎士を思わせる洗練さも感じさせる。下着となると、彼女のウマ娘としてのしなやかさが強調させられるかもしれない。頭の中のフラッシュは、毅然とした態度でそれを着用していた。だめだって、と再度頭のそれを振り払う。二着目もなんとか倒すことができた。
ボスラッシュといえど、ボスの強さに強弱があるわけではない。すべてが等価である。あと1セットですべてが終わる。自らの顔をぱん、と叩いて最後の一着に取り掛かる。 - 154二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:36:38
「最後……これで終われる」
安堵の声で、最後の一つを開けるトレーナー。ネットの口を広げて、それを取りだす。
「……え?」
それを目にしたトレーナーは絶句した。赤、そう、口にだすこともなかった。大人びたワインレッドの赤。レースの花柄が透け、上品ではあるが夜に映えるしつらえとなっている。かのマルゼンスキーあたりが見れば、いやーん!トレーナー君ったら!なんていって、恥ずかしさにバンバンと相方の背中をたたいてしまうくらいの大胆なものであった。
「え?ええ、こ、っここ…これ、フラッシュ?」
そんな、ありえない、と動転しつつも下着を広げてみている姿は、はたから見たら変態に見えてしまうが、ご容赦願いたい。難易度が等しいと思っていたボスラッシュに最後だけ難易度が違う相手がでてきたから動転しているだけである。多分。
瞼を閉じようとしても、レースのショーツにブラを身に包んだ彼女を思い浮かべてしまう。どことなくいつもと違って妖艶にすら見える。
「いやいやいや、え、え?なんで」
まだ動転から立ち直っていない。トレーナーの認識では、これは勝負下着というやつである。あのフラッシュが、勝負下着を……。そんなものを何故、という疑問が頭を駆け巡る。次に駆け巡ったのは、ここ数日のスケジュールである。
昨日はなんてことない日である。いつも通り、お互い職場に足を運んで、自分のつくった夕食を味わった。フラッシュの美味しい!といって満面の笑みを浮かべてくれるのだから、夕食は作り得というものである。
一昨日も特になんということもない。ただ、フラッシュがレイトショーを見たいといっていたので、勤務後に彼女と合流して、恋愛映画を堪能した。ちょっと過激なシーンもあってドキドキしたが、フラッシュには言えなかった。帰りの道への歩みがフラッシュがやたらゆっくりなのが気になったくらいだ。
更にその前、となると……。はっとトレーナーはスケジュールを再確認した。この時は、洋菓子店の打ち上げがあり、少々帰宅が遅くなった日である。まさか、と考えたトレーナー。そういえば、最近食事時によく話してくれる。職場の先輩に菓子作りのアドバイスをいただいている、と。何度かフラッシュを迎えに行ったときに会話したこともあるが、好青年であった。
「ま、まさか……」
トレーナーの顔が真っ青になっていく。
- 155二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:40:30
激マブ「まいっちんグー!」
- 156二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:41:34
>一昨日
ク……クソボ……
- 157二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:43:10
お城みたいなホテルに行く展開を狙って……
- 158二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:48:15
一昨日だろクソボケ!
- 159二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:51:00
ほわほわほわーん
キッチン内、真剣な表情でフラッシュは先輩からマンツーマンで指導を受けている。純白の職人着は、今やレースの勝負服と同じくらい板についている。
「なるほど、先輩。勉強になります」
「いや、フラッシュちゃんの為ならね。俺たちの期待の星なわけだし」
「試作品、勉強になりました。ところで先輩、お時間よろしいですか?」
「ん?どうしたんだい、フラッシュちゃん」
ふっと思わせぶりな笑みを浮かべたフラッシュは、白衣に手をかける。キッチンの中に衣擦れの音だけが響く。白く豊饒な美しさ。たわわなそれを赤のレースが天性の肉体美を際立たせる。男ならば、いや、男女問わず見惚れずにはいられないだろう絶対の美しさ。
「試食、していただけませんか…」
恥じらいを秘めたその妖艶さに、生唾を飲むのであった。
-------------------------------------------
「うおおおおお!」
急にトレーナーは絶叫する。
「フラッシュは、そういうこと、しない!!!」
当たり前である。勝手に妄想して自爆しているだけである。
「フラッシュは、神聖なキッチンを、汚さない!!」
先輩だって汚さない。そこもきちんと謝ってほしい。
「はぁ、はぁ……!」
バカげた妄想をきって捨てて、自分との戦いをようやく終えたトレーナーは、困憊の上でようやくレースの下着をかけることに成功した。
「お、終わった……」
なんとかかけおえて、仕事を終えるが、油断するとさっきの下着が思いうかんでしまう。雑念を振り払うためにランニングウェアに着替えると、急いでトレーナーは飛び出していった。
だが、トレーナーは失念いていた。干した洗濯物は取り込まないといけないことを…。 - 160二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:53:09
了。ちょっとまいっちんぐなので、苦手な人はスルーしてください。
あとおバカ度合いも屈指の高さだと思ってます。スミマセン。
でも、思春期にかえるのもいいよね! - 161二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:56:16
ほわほわほわーん
じゃないんだよ!一昨日何やってたんだいい歳こいてこのクソボケがーっ - 162二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:56:51
ファル子ご推薦映画をもってしても切り崩せないトレーナーさんであった。
なお、トレーナーさんは今回のことを冒頭に相談したトレーナーに話したら、電話途中で切られたらしいです。 - 163二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 13:57:16
卒業後だから互いにもう縛る枷とかねーだろ!何やってんだ!
- 164二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 14:01:31
この期に及んでクソボケが…
と思ったが渾身の告白を寝たふりでスルーされてることを考えるとあまり責められない - 165二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 14:10:24
ウワーッ!また増えてる!
- 166二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 14:11:36
このクソボケ馬鹿野郎オオオオ!!!!
- 167二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 14:14:07
- 168二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 14:39:43
まあトレーナーさんも急に一緒に暮らすことになって大変だと思うんだ。
死ぬほど羨ましいけどそれはそれとして自らの欲求と戦わなくちゃならないんだ - 169二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 15:12:12
このトレーナー最初の三年間に比べて弱くなってない?
いやフラッシュが強くなったのか…? - 170二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 15:29:15
僕がつよトレーナー書けないのもあるけど、一応弱くなってるつもりでもありますわ。
トレーナーさんは最高の相棒と走り抜けたあとはどんどん弱体化でフラッシュ再会前が最弱、フラッシュの方は弱くなったとこもあれば強くなったとこもあるみたいな。
- 171二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:00:22
やって見せるよ、フラッシュ
なんとでもなるはずだ!!
赤のレースだと!?
主題歌[Alexandros]「閃光」
身構えてる時には死神は来ないものだ、フラトレ - 172二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:04:10
嘘でしょ…
前に見たときに終わりって書いてたのに、前見たときより話が増えてる… - 173二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:21:32
先輩もキッチンは汚さない<それはそう
- 174 21/10/03(日) 16:43:47
あとがき?が増えてる!?
後日談がどんどん出てくるとかすげえスレだな - 175二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:18:50
だらだら1つの板にかいちゃうと見にくいかな
あんまりお作法しらないまま投下してすみません。 - 176二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:37:23
これの続き。ちょっとまいっちんぐかも。
下着ネタあり。
とりあえずこのスタイルのままいきます。
「トレーナーさん、そんな難しい顔をしてどうしたんですか?」
「いや、その、俺から提案があって…選択なんだが、やっぱり、下着は別にしてくれないか」
「え?どうしてです?納得されていたかと思いますけど」
「いや、その、あの…」
トレーナーの顔が真っ赤である。何をそんなに照れることがあるのか、と思う一方、フラッシュとしては意識してくれていること自体は嬉しい。だが、今回特別言い出した理由がわからない。
「何か、問題でも?」
「い、いや、その……」
きょとんとした彼女と目線をあわせれば、あの大胆な下着を想像してくらくらしてしまう。フラッシュとしても、いつもより胸にチラチラ視線がいってることを不思議に思っていた。露出が高い服装をしているわけではない。フラッシュの視線に耐えられなくなったトレーナーは返す言葉につまって謝罪を返してしまう。
「あ、いや、違うんだ。つい…ごめん!フラッシュ!」
「ど、どうしたんですか?トレーナーさん!」
突然目の前で土下座が繰り広げられたことに一層とまどうフラッシュであった。
- 177二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:37:43
何個もお気に入り登録しなくて済むから正直助かるゾ
- 178二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:40:08
ここで土下座するあたりやっぱ真面目だな...
真面目だからこそやつれたんだろうけど - 179二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:45:14
DOGEZAはJAPANのtraditionalだからな…
- 180二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:52:50
「…なるほど、そんなに意識してしまうと…」
目の前のフラッシュは曖昧な笑みを浮かべている。死にたいほどの羞恥心の中で、よりにもよって本人に勝負下着を見て動転してました、などということを伝える羽目になったのだ。これでフラッシュが怒るなり冷たい目を向けるなりしてくれたほうがましかもしれない。寛容の態度が胸に刺さる。
「トレーナーさん」
「は、はい」
背筋を伸ばしたトレーナーに、少し身を乗り出した状態で小声の上目使いでフラッシュが尋ねる。
「ああいうの、好きなんですか?」
「ごふっ」
直球の質問にトレーナーは再度うずくまる。
「あ、その…答えなくて、結構です」
屍になっているトレーナーに対して、なるほど。と小声で呟くと、フラッシュは、トレーナーをひょいっと持ち上げて、椅子に腰かけさせた。
「少し、リフレッシュしましょう」
そうして食卓に、ティーセットと、シンプルなロールケーキであった。屍状態から抜け出しきれていないトレーナーに苦笑すると、一口大にロールケーキをカットして、トレーナーの口の前に差し出す。
「トレーナーさん、あ、あーん……」
流石のフラッシュも語尾が震えている。屍のトレーナーもその愛らしさが目にはいれば自然と口をあけてしまう。指で餌付けするように、ロールケーキを押し込んだフラッシュ。もぐもぐとしはじめて、美味しい!と元気に感想を告げたのをみれば、頬をほころばせてしまう。可愛すぎる。それがフラッシュとトレーナーのお互いに対する今の評価である。 - 181二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:58:05
もう今後の生活の構図が確定しちゃったねぇ?(ねっとり)
- 182二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:05:41
見逃さずに済むから個人的にはありがたいですぜ旦那
- 183二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:08:48
「もう1つ、どうです?」
もう1個をつまんで、再度トレーナーの前に差し出す。それを口にするところを見て微笑むのはいよいよ餌付けである。
「よかった。今取り組んでいる試作品なんです」
「うん、美味しい…試作品、っていうと、店内のコンクールのっていう?」
「はい、先輩にも有意義な意見をいただきまして」
突如ぴしっとトレーナーの表情が凍る。が、あわてていやいやと頭をふる。
「と、トレーナーさん?」
「あ、いや、そう、先輩、ね。お店の」
「はい、技術というか、発想面で私に持っていないものを多くもっていらして…」
「そ、そう、立派だね」
フラッシュから見ると、トレーナーの態度が突然おかしくなったように見えた。
「トレーナーさん?」
真意を探るような彼女の目線に耐えかねて、トレーナーの口から出たのは、探るような言葉だった。
「えっと、その、先輩さんに、よくしてもらってるんだね」
「はい、彼に限らず、お店の皆さんにはよくしてもらっています。私のことを仲間として受け入れてくださいました」
その答えに、自分のみみっちさが情けなくなる。が、情けない自分のモヤモヤを晴らすために、とう一歩踏み込んだ問いかけをした。
「あ、いや、その、仕事じゃなくて、他のところで……よくしてもらったりしているのかい?」
「……トレーナーさん?」
「あ、いや、俺に聞かれる筋合いはないとか、そういうことだったらいいんだ」
慌てて言い訳を述べるトレーナー。ぽかんとした様子のフラッシュは、次第にくすくすと声をこらえるように笑う。
「トレーナーさん、その…妬いてくれてます?ひょっとして」
からかうようで、少し声を高くしたその質問に、情けなくなったトレーナーはうん、と返した。 - 184二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:11:34
…せ
…押せ…! - 185二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:17:17
「トレーナーさん、大丈夫ですよ。そういう意味ではありませんから。もう…」
しょうがない人だから、そういわれたような気がして肩を竦める。
「でも…嬉しかったです。だってそれって…とられたくないっていうことですものね?」
こちらを伺うようなフラッシュの視線。だが、こちらの回答を待たずに、フラッシュは言葉を続けた。
「それに、聞く筋合い、貴方にはありますよ」
「へ?」
「だって……告白、してくれたじゃないですか」
フラッシュから出た意外な言葉に、トレーナーは耳を疑う。
「え?…なんだって?」
「ですから、告白……あっ、あ……」
いってしまってから気がついたがもう遅い。覆水盆に返らず。フラッシュはおずおずと告げる。
「…待った、はなしですよね」
「……うん」
なんともいえない微妙な空気が場を支配したあと、二人の頬は次第に紅潮し始めた。 - 186二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:18:06
きぃやぁぁぁぁぁぁぉぁぁ
- 187二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:25:07
「トレーナーさん、ごめんなさい。その、本当は聞いてました」
「あ、ああ……」
「その、想定外に過ぎたので、思わず…それに、貴方を困らせたくて…。いえ、違いますね。逃げてしまっただけです」
「いや、君は悪くないよ。俺が早とちりしただけだ」
「そんなことないです…よく考えたら、酷いことを貴方にしてしまっていたのですね」
「フラッシュ、いいんだよ。俺は、君のそんな言葉を聞きたいわけじゃないんだし」
「でも…」
言葉を封じるように、ぎゅっとその腕でフラッシュの体を抱きよせる。
「あ……」
「フラッシュ、好きだよ。愛してる」
「と、トレーナーさん……」
「この前は君に聞こえなかった、それだけだろう?だったら、こうやって聞いてもらえる形で言えばいいだけだもんな」 - 188二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:38:11
帰ってきたなイタリア騎手因子…!!
- 189二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 19:50:56
「フラッシュ、ありがとう…」
「トレーナーさん…」
「君のおかげで、立ち直ることができた。それに、こうして好きな人に会うことができた。」
「……」
「君が、日本にふたたび来て、それで、もし俺を招待してくれなかったら、ずっと俺は変わらないままだったと思う」
「わ、私も、貴方に再会できて…」
「再会、か…。うん、そうだね。でも、それだけじゃなかった。たぶん、あそこであったのが、ともに四年を駆け抜けたフラッシュそのままだったら、俺はこうはならなかったと思う」
「トレーナー、さん?」
「いや、なんというかな…今思えば、君がここにひっぱっていってくれた時に、感じたんだと思う。トレーナーとウマ娘としてではない、新たな充足を与えてくれる人だと」
「…トレーナーさん」
「だから、好きだよ。フラッシュ。あの四年を駆け抜けたから以上に、今の君を愛している」
ぎゅっと相手を抱き締める力が強くなる。
「…嬉しい。本当に…。よかった。本当に、貴方にあえて、一緒にいれて…」
「フラッシュ…」
「私は、その、違うんです。四年目の最後、貴方のもとでは、最高のトレーナーとウマ娘の関係として別れたけれど…。私は、本当はずっと、それ以外の意味でも貴方を愛してたんです」
「フラッシュ…」
「言い訳、しました。貴方はきっと私のことをそれ以上の存在にはみてくれないから。なら、きっと私の思いもそういうものじゃなかったんだって。だから、忘れようとして…男性のお誘いも受けたことはあります」
「……うん」
「でも、駄目でした。結局、すぐに貴方の顔が浮かんで…。だから、日本に来るとき、最後の機会だと思ったんです。私の思いをせめて伝えて、ケリをつけることができる」
「そうだったのか。そんなに、俺は君のことを思い詰めさせて」
涙を指でぬぐったフラッシュは、凛々しさを投げ捨ててくしゃくしゃの顔で微笑んだ。
「でも、貴方がすごく辛そうな顔をしていて、それで、私の気持ちとかそういうものより、ともかく貴方に元気になってほしくて…それで、こういうことになりました」 - 190二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:01:55
「トレーナーさん……好き」
「俺も、好きだよ」
「ずっと、ずっと好きだった。一目惚れっていってくれた時から好きだった」
「……うん」
「今でも、これからも、ずっと好き…もう、嫌です。離れたくない…」
「俺も、君を離すつもりはないよ」
たまっていたものを全て吐き出すようなフラッシュの独白を、ただただ受け入れる。
これは、受け止めなければならないもの。他の誰にも受け止めさせたくないもの。
「誰にも君を、渡さない…」
「トレーナーさん……」
どちらかとはいわず、目線がはたとあう。お互いの姿をとらえたまま、瞳と瞳の距離が近づく。目蓋をそっと閉じて、待ちわびるフラッシュ。濡れた唇に視線をやると、その唇に自らの唇をふれ合わせようとする。二人の影が、今、窓から差し込む月光にあわせて重なる。 - 191二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:09:04
👏😭
😇 - 192二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:11:07
朝にいいものを見て、昼は展開にやきもきし、夜はすっきりして気持ちよく寝られる。いい日曜日だったぜ
- 193二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:11:52
ひーたーすーらーはしーれー♪えーがーおーのーかーぎりー♪
突然流れ出したBGMに、重なりあう影がぴたっととまる。目蓋を閉じていたフラッシュも、思わず目蓋をあけて、目の前のパートナーとともに目を丸くする。なりやまぬウマホの電源を無言で強く押して、フラッシュはそれを黙らせる。
ふっ、とトレーナーは笑みをこぼす。つられて、フラッシュも笑うと、トレーナーは抱き締めていた腕を話した。これは仕切り直しだな、と残念半分、安堵半分のため息をつくと、フラッシュに肩をつつかれる。
「トレーナーさん」
「ん?」
振り向いた瞬間、トレーナーの唇にフラッシュの唇がふれた。ぽかんとするトレーナー。
「トレーナーさん、なくなっちゃいましたね」
「な、何が?」
ぴん、と人差し指をたてるフラッシュも、いささか照れがまじっていた。
「我慢する、理由がです」
その一言は、今晩の長さをトレーナーに知らしめるのに十分であった。
了!! - 194二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:12:59
良いものを見た、やはり純愛は正義
- 195二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:12:59
…(鼻血の池の中で尊死)
- 196二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:13:39
ありがとう!なんかきがついたら結構な量かいちゃったんだと思う。
通しで全部みてくれた人も、単発で相性よさそうなのつまみ食いしてくれた人もどっちもありがとう!
エイシンフラッシュがかわいすぎるのが全部悪い!! - 197二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:14:02
口座を教えろ
- 198二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:14:52
最高かな?
- 199二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:14:58
欲しいものリストを教えろ
- 200二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:15:12
ブラボー…おお、ブラボー…