【SS】「…トレーナー、言え」

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:22:35

     クラシックシーズン、11月26日ジャパンカップ。
     皐月賞、東京優駿、菊花賞を終え、『世代への挑戦』から『世界への挑戦』へと移るための力試しともいえる今日のレース。
     私の担当ウマ娘『エアシャカール』…彼女は、14着という大敗を喫した。

    「………………クソ」

     控え室。椅子に座ったエアシャカールは、静かに荒んでいた。平静を保っているようだが、眉間のシワがよっている。

    【……。】

     なんて声をかければいいのか分からない。こんな時こそ、トレーナーである自分がメンタルケアを​───

    「オイ」
    【!】

     エアシャカールが、睨むようにこちらを見ながら話しかけてきた。

    「いい。言わなくても分かってらァ。分かってンだよ」

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:24:52

    ほほう

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:25:24

    待ってる

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:35:26

    「…オレたちの世代がなんて言われてるか知ッてるか?」

    「『最弱世代』、だとよ」
    【……。】

    「フライト、アグネスフライトだ……アイツに至っては、『三冠の名誉を守った英雄』だと。オレが『準三冠バ』だの言われてる横で、オレを嫌いな野郎(ノイズ)共がフライトを使って皮肉ッてきやがる」

     エアシャカールは、皐月賞と菊花賞を経て二冠バの栄誉を得た。しかしファンでの評判は良いものではなかった。

    「去年のオペラオーの走りには敵わないなぁ」
    「今年のクラシックは『コレだ!』っていう子がいないんだよなー」
    「『エアシャカール』、あの態度は競走者として論外だろ」

    「「出走取り消し、有り得るだろうな」」

     レースは情報戦。周りからの人気もレースに活きる。
     しかし調べれば調べるほど、嫌でも彼女たちへの罵倒が目に入ってしまう。
     それは、エアシャカールが一番理解していた。

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:39:14

    シ゛ャ゛カ゛ー゛ル゛S゛S゛が゛供゛給゛過゛多゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛
    い゛つ゛も゛あ゛り゛が゛と゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:40:47

    ゆっくりでいいんだ、君のSSをぶつけてくれ

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:41:43

    「…フライトは13着、イーグルは15着でマドンナが最下位。見事、同世代揃ッてぼろ負けしたワケだが」

     そう言ってエアシャカールが立ち上がる。そのままこちらに近づき、正面から顔を睨みつけてくる。

    「オレは別に慰めて欲しいワケじゃねェ。『事実(データ)』が欲しいんだ。テメェの視点から見た、嘘偽りのねェ『事実(データ)』だ」

     顔を近づけ、私の目を見ながら、エアシャカールが問いかける。



    「オレは強ェか、否か。」

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:47:12

    絶対に強い眼をしてる

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:49:33

     強いか、否か。
     彼女は今まで、1着を落とすことはあれど入着を逃すことは1度たりともなかった。そんなウマ娘が弱いだなんて思うはずがない。
     しかし今日の1戦を通して、彼女は分からなくなっていた。同世代が揃って負け、自分の強さが信じられなくなっているのだろう。

    「…トレーナー、言え」

     彼女の目は、欲求めていた。自分にとっての『納得(あきらめ)』を。しかし​───

    「オレが強ェか否か、理由も含めて、言え」

     …私はトレーナーだ。彼女の夢のために、今を生きている。
     ならば言うことはひとつ。



    【貴方は、強くない】

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 23:58:41

    「……理由は」

     彼女の目は、揺るがない。私の想いも、曲げない。
     理由はひとつだけだ。

    【貴方は、まだ強くなれるから】
    「ッ……!」

     彼女の目に、光が差す。顔を離し、静かにこちらを見ながら椅子に腰掛ける。

    「…ククッ。ギャッハッハッハハ!!なンだよそれ、オイ!?『まだ強くなれるから、オメェは強くねェ』ッてかアァ!?ケッサクじゃねェか!!」

     バカ笑いをするエアシャカール。

    「ロジカルじゃねェ、オレが聞きてェのはそういうことじゃなかッたんだけどよォ……!」

    「へェ……ここに来てそう来やがッたか……面白ェ」

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:10:26

    【貴方の戦いは、今日で終わりじゃない】
    「……あァ」
    【今日得られた『世界の強さ(データ)』は、明日に活きる】
    「そうだな」

     エアシャカールはもうこちらを睨まない。未来に向け、牙を研ぎ始める。

    「トレーナーよ、次のレース決めていいか?」
    【もちろん、どのレースにする?】
    「まずは『大阪杯』、そこで力つけて…狙うは『天皇賞・春』だ。イケるか?」
    【任せて!】
    「助かる……なら早速帰ッて反省ミーティングだ。録画ビデオ、回してあるな?」

     迷いを振り払ったエアシャカール。
     天皇賞・春に向けて、まずは『大阪杯』だ……!

    スピードが1上がった
    スタミナが1上がった
    パワーが1上がった
    根性が1上がった
    賢さが1上がった
    スキルPtが14上がった
    秋川理事長の絆ゲージが4上がった

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:14:09

    終わりです
    史実での扱いはこんなもんじゃないと聞きました
    着順戦績見る限りそこまで酷くないような気もしますが

  • 13二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:15:33

    すき〜😊

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 00:32:55

    二冠取ってるのに色々言われるのも可哀想ではある

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 02:01:10

    素晴らしいものを見た

  • 16二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 02:06:08

    いい…凄くいいよ…
    ここから熱いシャカ構文で周囲の評価をひっくり返すのが想像できる…

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