- 1122/07/03(日) 10:07:10
- 2122/07/03(日) 10:16:22
- 3122/07/03(日) 10:26:54
「おーい! ……っと、いたな。こっちに来いって。まったく、眠そうな顔しやがって。」
「……悪い。ええと……」
「何だ、その記憶喪失にでとなったみてえなツラは! 俺の名前を言ってみろ!」
「ゲッツ……」
「そうだ、ゲッツだ。頭は大丈夫みてえだな。」
「酷い言い草だな。戦いが始まるまで寝てると言っただろ?」
「もう始まりそうだから、わざわざ起こしに来てやったんだぞ……。相手はあのジェラルト傭兵団だって話だ。本当なら今までにねえ強敵になる。特に最近名を上げてる“灰色の悪魔”って異名の男が……いや、女だったか?」
「まったく、お前の情報にはいつも穴がある。どうせ名前も覚えてないんだろ?」
「いや、覚えてるぞ! ええと、確か……」
女(決定済み) - 4二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 10:31:40
期待
- 5122/07/03(日) 11:06:42
中々思い出せないらしい同僚に対して、俺、シェズは溜め息混じりに助け船を出した。
「はぁ……“灰色の悪魔”は女だって話だったろ。ウチの団でも色々と評判だった。名前は確かベレスだったか」
「そう、それだ! “灰色の悪魔”ベレスな!」
「どんな相手だろうと、勝つ。それが俺たち傭兵の仕事だ。」
「団長の受け売りか? ま、金貰ってる以上やるしかねえんだけどよ……。」
「はっはっは、言うようになったな、お前。山ん中で出会った頃が懐かしいぜ」
笑いながら俺たち二人に歩み寄って来たのは、歴戦の女傭兵でありこの傭兵団の団長、ベルラン団長だ。
「とはいえ相手によっちゃ、ただ勝つってわけにはいかねえ。ジェラルト傭兵団といや、受けた仕事は完璧にやるって評判の凄腕連中だ。」
「そんで、例の“灰色の悪魔”って通り名の女傭兵もいるんでしたっけ?」
「ああ。数多の戦場を渡り歩いて顔色一つ変えないまま敵をバッサバッサと斬り捨てまくって、恐怖と共についた渾名がそれだとさ」
命知らずの傭兵界隈でさえ、悪魔と呼ばれる女傭兵か……
「団長よりも怖いんですかね?」
「てめえゲッツ、そこは『強いんですかね?』だろうが」
ゲッツが団長に蹴りを入れられていた。やれやれ……
「とにかく、そんな名うての傭兵団だ。そいつらを倒せば、レスター1の傭兵団になるって俺達の夢も目の前に……」
「団長、動きがありました!」
報告してきたのはベルラン団長直伝の弓使いの戦士、リザリ。
今回の仕事では斥候を担当してくれていた。
「聞いたか、夜戦になるぜ! 同士討ちに気をつけろよ!」
「どうやら来るみてえだ。俺たちも配置につくぞ。」
「ああ、武運を祈る。勝って一緒に明日の朝日を拝もう」
「何を戯けたこと言ってやがる。当たり前だ、勝つぞ!」 - 6122/07/03(日) 11:14:08
安価までが遠い……
気長に待ってて下さい - 7122/07/03(日) 12:00:19
そうして俺たちは仕事場──戦場へと足を踏み入れる。
「さて、行くか。相手はジェラルト傭兵団だ。気合を入れないとな」
「よし、行くぞ!」
「地の果てまで突き進むぜ!」
リザリとゲッツの二人も気合い充分。俺たちは並んで戦場へと駆け出した。
「まずはお手並み拝見……勝負だ。」
敵陣へと斬り込んでいく。頭数は向こうが上のようだが、そんな事に怯むようじゃとても傭兵として食ってはいけない。
勢いのままに何人かと斬り結ぶものの、ほとんど打ち合うこともなく斬り捨てていく。
「手応えのない相手だな。傭兵見習いの連中か?」
見習いはまずベテランの側戦いで戦場に慣れるのが定石の筈だ。それを守れないところを見ると、名高いジェラルト傭兵団の所属ではないのかもしれない。
「だったら、こっちもいろいろやってみるか。肩慣らしだ」
「攻めて攻めて攻めまくれえ!」
ゲッツが自慢の剛腕で斧を振り回し、敵を蹴散らし吠え立てる。
「よし、ここは問題ないか」
「まるで強さを感じねえな。お前も、そこの連中を一掃しちまえ!」
「俺たちはこっちの砦を落とす。お前はそこを頼むぜ!」
「さっさと終わらせて、皆でお酒を浴びたいですねえ。」
皆の言葉を受けて、俺は集落跡の道を突き進む。
「団長たちはかなり前に出ちまったな。大丈夫か?」
団長たちの実力はよく知っているが、今回の仕事の最大の敵はジェラルト傭兵団。さっきの新米連中で肩透かしを受けて気が抜けていなければいいが……
「怯えんな、進め進め!」
ベルラン団長の気勢は広い戦場でもよく響く。確かに、慎重になりすぎるのも戦場ではよくない。
「例の“灰色の悪魔”はいねえのか? 強さがどんだけか、知らねえけどよ。」
ゲッツがそんな言葉を溢してた頃、今度は敵側の伝令が叫んだ。
「本体の連中が来てくれたぞ! もう大丈夫だ! 一気に押し返せ!」
なるほど、さっきの連中は末端の分隊だったらしい。名の通った大きな団となれば、そういうこともあるか。
「来たな、いよいよ本番だ! ベルラン傭兵団の力、見せてやりな!」
団長の声に俺たちは気を引き締める。
ここからは更に苛烈な戦場が待ち受けているんだ。 - 8122/07/03(日) 13:17:48
「その風貌……お前が“灰色の悪魔”か! 腕が鳴るねえ!」
「…………」
藍色の髪を靡かせて現れたのはまだ年若く、見目麗しいといっていい女。しかし、氷のように冷ややかな視線で戦場を見定める彼女に対して色めいた目を向けるものなどいないだろう。
(ベルラン団長が気を引いてくれているわ。本格的に動き出す前に、仕留める!)
“灰色の悪魔”の視界の外へと素早く移動していたリザリが弓矢を構え、発射した。まず間違いなく防げない。反射的に防御できたところで矢傷は受ける。その確信と共に放たれた一射は──
ギィン。と、呆気なく弾かれた。
「なっ──」
飛来してくる方向へと視線一つ遣る事なく、“灰色の悪魔”はその手の剣で矢を打ち払ってみせる。
「なんでっ──」
「そこか」
底冷えするような呟きが一つ。
次の瞬間、“灰色の悪魔”は矢を放ったリザリの元へと猛然と駆け出した。
「~~!」
二の句を継ぐ間も無く、二の矢を射る間も無い。
心臓を一突き。“灰色の悪魔”は最短最小の動作で、あっけなくリザリの命を奪った。
「こんな、簡単に……嘘でしょ……団、ちょ……」
「リザリ! お前、やりやがったな!」
怒りと共にベルランは馬を駆り、部下の命を奪った“灰色の悪魔”へと矢を放つ。
「ボウナイト、か……厄介だね」
抑揚の無い無機質な声で語る“灰色の悪魔”、その最中にも次々と射られる矢を一つ残らず叩き落としていく。巧みな乗馬の技術で馬を駆り四方八方から射かけるベルランだったが、“灰色の悪魔”の余裕は崩せなかった。
「クソ、なんでだ!」
手綱を引き、方向転換しようとする──
「ここ」
自らよりも機動力で勝る馬の足が止まるその一瞬にに、“灰色の悪魔”はまたしても間合いを潰しに駆け出した。
「う、おおおお!」
それを見たベルランが迎撃の矢を放つが、射られる場所がわかっていたかのように“灰色の悪魔”は躱してみせる。
「狙いが正確なのも考えものだね」
そう呟きながら跳躍し、宙を舞う“灰色の悪魔”が、馬上のベルランへと剣を振るう。
舞い散る血飛沫。ベルランは一刀にてその身を袈裟斬りにされた。
「馬鹿な、俺達の……夢が……悪魔、め……」 - 9122/07/03(日) 13:48:29
「やられた!? ベルラン団長が!? おい、どうなってんだ! おい!」
ゲッツの悲鳴染みた声を聞きながら、俺は戦場を踏破する。
ベルラン団長がやられたとの伝令。
誰もが一流の傭兵と認めたベルラン団長を倒すだなんて、そんな事が出来る相手は……
敵陣を斬り進み、未制圧の砦の中へと乗り込んだ。
そこに立っていたのは戦場の中で息一つきらす事なく佇む女剣士。その周囲に倒れ臥すのは数多の同僚たち。そして──
「ベルラン団長……」
無念の表情で息絶えた、団長の亡骸だった。
「邪魔をするなら、斬る。」
そう宣言し、静かにこちらへと歩を進める“灰色の悪魔”。
思わず後退りしてしまいそうになる。実際この光景を見るにその判断は決して間違いではないだろう。
だが──
「このまま尻尾巻いて逃げ出せるか。団長の仇は取るぞ!」
自分を叱咤しながら、俺は“灰色の悪魔”へと斬りかかった。
烈帛の気合いと共に振り下ろした剣を、あっさりと受ける“灰色の悪魔”。
「おおおっ!」
その勢いのままに打ち合いになるが、“灰色の悪魔”の剣はその一振り一振りが重く、鋭い。
「なんて威圧感だ……。これが“灰色の悪魔”……!」
気圧されまいと大きく踏み込んだ、その判断が過ちだった。その一振りが加速しきるまでの動作の起こりを片手で抑えられ、返す一太刀が俺を襲う。
「ぐあ!」
受け太刀も出来ずにその剣を受けてしまった。
だが、傷は深くない、反撃を──
と、焦りの混じったその攻撃を“灰色の悪魔”は見逃す事なく咎めに来た。
俺の勢いを透かし、足払いを一つ。それだけで俺の身体は吹っ飛ぶ。
「うあ!」
地面を転がり、泥にまみれる俺。あろうことか剣を手放してしまう。地に伏し、狭くなった視界。“灰色の悪魔”はそんな俺を何の感慨もなさそうに見下ろしながら近づいてくる。
すぐさま剣を取り立ち上がらなければいけないのはわかっていたが、それよりも速く“灰色の悪魔”は俺に止めを刺すだろうという確信があった。
「こんな……ところで……」
終わるわけにはいかない。
何の意味もなく、こんなところで死ぬなんて…… - 10122/07/03(日) 13:51:58
大変長らくお待たせしました……安価の時間です
シェズがどうやって生き残るか
無双通りになるのか、そうならないのか、そうならないならどうなるか
あんま突飛なのは申し訳ないですがスルーさせていただきますね
お願いします!
- 11122/07/03(日) 13:58:42
大雑把過ぎますかね?
選択肢にした方がいいか
そこで問題だ! この絶体絶命の状況でどうやって生き残るか?
3択──ひとつだけ選びなさい
答え①ハンサムのシェズは突如未知の力に覚醒する
答え②仲間がきて助けてくれる
答え③どうしようもない。現実は非情である。
上記三択以外でもいいです - 12二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 18:50:16
2
- 13二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 18:53:37
安価先遠くね?
安価なら2 - 14122/07/03(日) 19:12:26
遠いっすね……すみませんでした
適当に埋めますね - 15122/07/03(日) 19:12:42
埋め
- 16122/07/03(日) 19:13:00
埋没
- 17二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 19:13:31
いち
- 18二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 20:56:14
1
- 19二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 21:02:26
4、やられたフリからの不意打ち
- 20二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 21:03:39
一度敵に取り入り機を見て不意打ちで倒す
- 21122/07/03(日) 21:36:49
あんまシェズっぽくない戦法になりましたね……
キャラ崩壊はなるべく避けたいのでちょっとマイルドになるかも - 22二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 07:10:48
保守
- 23二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 13:57:56
捕 手
- 24122/07/04(月) 18:48:19
- 25二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 23:40:10
1 覚醒
- 26二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 23:40:29
3
- 27二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 23:40:43
1
- 28122/07/05(火) 07:08:30
- 29二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 11:57:15
2
- 30二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 22:41:52
1
- 31二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 01:25:41
1で
- 32二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 08:56:16
す
- 33二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 16:56:50
保守
- 34122/07/06(水) 22:25:13
『……ない』
「……え?」
「世界の循環を、君で途絶えさせてはならない」
謎の声が脳裏で響いた次の瞬間、突如として身体に今までにない力が漲ってきた。気付けば右手には不可思議な片刃の剣が握られている。
「その力は……何?」
そこでようやく“灰色の悪魔”は表情を崩し、僅かに目を見張りながら問うた。
「……俺もわからん。だが、アンタを倒せるならそれでいい!」
俺は両の剣を振りかざし“灰色の悪魔”へと立ち向かう。さっきまでの倍以上の手数と速度で攻撃を畳み掛けていった。
「なるほど、手強くなったね。」
まるで他人事のような台詞を吐きながら、しかし“灰色の悪魔”はそんな俺の連撃を剣一本で全て捌き切っている。
(信じられない。……どこまで遠いんだ)
その圧倒的な実力に俺は思わず感嘆してしまっていた。だが手を緩めている暇も余裕もない。後先の事なんて考えず、俺の全ての力を叩き込む。
「ふっ……!」
軽い吐息と共に俺の連撃の合間へと突き込まれた反撃の一撃は、信じられない程の重さだった。咄嗟に防御するが、大きく後方に押し込まれる形になる。他人に言えたことじゃないかもだが、今の一撃は普通の攻撃ではないだろう。
(うっすら見えた光の波紋……コイツ、紋章持ちか!)
紋章はこのフォドラにおける力あるもの──貴族の血脈に受け継がれるとされる力であり、持ち主に様々な力をもたらす。紋章ぐらいなければこの驚異的な力は説明出来ない。
(だが、今まで何度か戦った紋章持ちとも桁が違い過ぎる。大紋章ってヤツなのか……?)
体勢を整え直し、再び突撃しようとしたその時だった。
「おい、いつまで遊んでる。目的は達した。さっさと退くぞ!」
「なっ!?」
遠くから威厳を感じさせる野太い声が響いてきた。その直後に“灰色の悪魔”は剣を下ろし、戦闘態勢を崩す。
「悪いけど、戦いはここまでだね。」
「待て!」
「なぜ? こちらは目的を果たした。つまり、君たちの仕事は失敗だね。」
「くっ……!」
もうこちらに興味は無いと言わんばかりのその態度に、俺は思わず歯噛みする。
「縁があれば、また。」
そう言い残すと、“灰色の悪魔”は俺に背を向けてあっさりと去っていった。一度たりともこちらを振り向くことは無かった。
「まだ終わっちゃ……ぐっ! 力が……入ら、な……。」
俺の意識は闇の中へと沈んでいった。 - 35二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 07:27:57
守