- 1二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:45:05
当時の自分は、小学校卒業が迫っていて、卒業制作に精を出していた。
元々図工の授業は得意だったので、全力でいいものを作ろうと1人昼休みに図工室に来て工作をしていた。
「なんだよおめー!よわっちいのに学校くるなよー!」
「ウマむすめなんだろー?ほらほら、殴ってみろよ!」
不意に扉の外から聞こえてくる、うるさい怒鳴り声。
当時の自分は幼く自制も聞きづらかったし、作品に納得がいかず苛立っていたのだろう。
一発怒鳴りつけてやろうと、ドアを勢いよく開ける。
「うわっ!見つかった!やべー逃げようぜ!」
3、4年くらいの悪ガキたちが逃げていく。
よく見るとそばには1人座り込み、悲しそうな顔で俯くウマ娘の…とても幼い、おそらく1年であろう少女がいた。
…それが、ナリタトップロードだった。 - 2二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:45:26
「…大丈夫、か?」
「あ、はい…大丈夫です。心配かけてごめんなさい…」
彼女の耳がしょげている。きっと相当に怖かったのだろう。
「で、でも私も悪いんです…久しぶりに学校に来たのに、いきなり受け入れてもらうのは難しいのはわかってました」
「…久しぶり、なのか?」
「…えっと、その…色々あって、半年以上学校に来れてなくて…」
…どうせ作品制作は行き詰まっていたのだ。
「ついてこいよ。いい場所知ってるから」
「え…?」
学校を抜け出し、たどり着いたのは近所の骨董品店。
「わぁ…綺麗…!」
「…耳飾りがさ。こういうの、好きなのかと思って…」
「はい、見てて楽しいです!ありがとう!」
そんな楽しそうな彼女を見ていると、こちらも楽しいのだった。
「…もうすぐ授業が始まるぞ」
「あぅ…戻りたく、ないです…またいじめられちゃう…かもですし…」
「…とりあえず教室までは送るよ」
そう言って、彼女の小さな手を引き、一緒に学校へと戻った。 - 3二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:45:43
教室の並ぶ廊下の入り口で。
「や…やっぱり、怖い…です」
…さすがに先程まであんなことになっていたら仕方ないだろう。
「…どうする?」
「どう、しましょう…」
そんなふうに立ち止まっていると、
「あっ、お前!なんで教室戻ってきたんだよ!」
「そうだぞ!よわっちいやつは立ち入り禁止なんだぞ!」
そう言って悪ガキ達がこっちに突進してきた。
「あ…危ない!」
彼女と空き教室に入り、ドアを押さえつける。
「ひぃ…こ、怖い…です!」
「安心してくれ、押さえつけるから!」
_そんな記憶を思い出したのは、ドアの立て付けを直しているときだった。
それは過去の記憶。
自分はもうすっかり大人になってしまっていた。
結局あの日作っていた卒業制作は、どうなったんだったか… - 4二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:45:56
NTR期待
- 5二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:46:03
「トレーナーさん!ドア、治りましたか?」
「ああ、治ったよ。…あと、なんだか懐かしいことを思い出したよ」
「懐かしい、こと?」
「ああ。小学校の頃、悪ガキからドアを押さえつけてさ…」
「…!ああ、あのことですね!今となっては恥ずかしいです…」
「俺はトプロが立派になって嬉しいよ」
あれは過去の記憶。
今の自分達は、トレーナーと競争ウマ娘として、レースを走っていく。 - 6二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:46:42
- 7二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 16:24:23
なんだかノスタルジックで良いと思います
- 8二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 16:24:41