- 1二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:42:16
- 2二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:45:03
3月某日
春の気配がそこかしこにちらつく時期
「はぁ………もうすぐみんなとお別れかぁ」
夕日がさす教室とはなかなか感傷的な気持ちにさせるらしい、ぼんやりと色々考える
「Aになんか言うべきか……??あたしはトレセンに行っちまうし、もう告白する機会なんかなくなっちまうよなぁでもなぁ……」
「えっ?ゴルシAのこと好きなの
か!!??」
「おっわ!!???」
なんて物思いにふけっていたら後ろから間髪入れずバカでかい声が返ってくる
「はっ!?お前いつからいたんだよC!!」
「いやごめん、ついさっき。ほんとについさっき忘れ物思い出して」
「………聞いたよな?」
「……………ばっちり聞きました」
顔がかっと熱くなる、よりにもよってCにバレた!ひょっとしたAに伝わっちまうかもしれない!やばい!
「………じゃあ俺はこれで……」
なんて気まずそうに帰るCの腕を咄嗟に引く、こうなりゃやけだ!
「な!なにゴルシ!!絶対Aには言わないから解放してよ!」
「いーや!やだね!聞かれちまったもんはしょうがねぇ!だからあんたに責任とってもらう!!」
「なになにこわいんだけど!」
「………あたしと一緒にどうAに告白するか!考えろ!!!」 - 3二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:45:53
期待してる
A君をもう一度救ってくれ - 4二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:46:28
どうせ自分でうだうだ考えてもまとまんねぇ、ならむしろこれをチャンスにしてAに100点満点の告白をする!これしかねぇ!
「あっ?結局告白するんだね??」
「おうよ!やってやらぁ!ただやっぱり一人じゃなにもわからねぇから手伝え!C!」
頭こんがらがって言いたいことをめちゃくちゃに言ってやれば、Cは今まで見たこともないくらいゲラゲラ笑いやがった
「あっははは!!さっすがゴルシだな!!」
「んだよ悪りぃか!」
「いや全然、ただちょっと面白すぎただけ!」
「あぁん?」
いまだに笑いやがるCにとりあえずメンチ切ってやったらようやく大人しくなる
「ごめんって、もちろん手伝うからさ?許してくれよ」
「ほんとだな?信用していいんだな?」
「ああ!俺だって友人の恋路のためには一肌脱ぐ!んじゃ早速どこで告白するか決めようぜ!」
「あれ?お前楽しんでね?」
「まぁね!でも任せろよきちんと助けにもなって!」
「お、おう……そうか………」
「んじゃ早速なんだけどさ!やっぱり告白するのは卒業式がいいと思うだよな!ロマンチックってやつじゃん?んで髪型も普段と違う可愛い系がいいと思うぜギャップだしてこうギャップ!そんであとは……」
「まてまてまてまて!情報量が多い!気ぶりすぎだよ恋バナにキャッキャする女子かよお前は!」
「いやさ、姉ちゃんの部屋の少女漫画暇つぶしで読んだんだけど……恋って……いいよなゴルシ……」
「うるせぇよ!」
勢いで言っちまったが想像以上にノリのいいCに振り回されかけちまう…
まぁでも何もしないよりは積極的に進めた方が上手くいく…はずだ、多分
「絶対絶対成功させるぞ!気ィ張っていけよC!!」
「おうよー!」 - 5二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:47:17
時を同じくして学校からの帰り道
「ねぇ………B………聞きたいことがあるんだけど」
「ん?なに?」
「ゴルシって好きな人いると思う?」
「ふーん?小5の夏祭りから好きになったけど告白する機会なくてずるずる引きずってた想いにようやく終止符打ちにきた感じ?」
「は………?は????」
ここ一週間悩みっぱなしの問題をそれとなく相談するためにBに質問したはずなのに
あれ?おかしいな?僕ゴルシが好きだってBに言ったっけ?
「あれ?トレセンに入学してここからいなくなるゴルシに告白するか悩んだ挙句答えが出なくて俺に相談してみようと試みたと思ってたんだけど、違った?」
「いや…あってる、あってるんだけど一から百どころか千まで合ってて怖い。え?僕ゴルシのこと好きなの話したっけ?」
「いや、聞いたことないよ?ただちょっと夏休み明けわかりやすく態度がよそよそしいからなんとなく」
「………将来エスパーにでもなれるんじゃない?いやもうなってる??」
「はいはい、くだらないことはいいから。俺は告白するべきだと思うよ?」
「……………その心は?」
「だって今告白しなきゃ後悔するだろ?絶対に。Aって案外引きずるタイプだし」
「いや……でもゴルシの迷惑になるんじゃ………それにもし断られたら僕たち4人で遊ぶことも気まずくなるだろうし………」
「はぁ…くだらないことで悩みやがって、だからいつまでも進展しないんだよ…最悪、ほんとに最悪そうなったら俺が上手いことフォローしてやるからさ、だから勇気出せよ」
「えぇ……でも………」
「まだ言うか…んじゃ聞くけどさ、ゴルシが別の人と付き合ってもいいわけ?」
「………と言いますと……?」 - 6二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:48:45
「トレセン入学で東京いけばさ、きっと都会の男?にめちゃくちゃモテると思うぞー?ゴルシ奇行はするけど顔はやっぱりすごく可愛いし性格もいいし、そんで久しぶりの帰省の時に笑顔で紹介されるんだろうなぁ『こいつあたしの彼氏なんだ!』って、Aはそうなったら心の底から祝えるか?」
Bに言われた通り想像しようとして…
途中であまりにもムカムカしてきたので中断する
「………無理………」
「だろ?ならもう答えでてるじゃん、頑張ってこいよ!」
Bがニカッと笑って言い切られて、ようやく僕はどれだけゴルシを好きなのか自覚する
そうだ…ゴルシの隣にいるのは僕がいい、ゴルシと付き合うのはやっぱり僕がいい!
「………うん、頑張る!」
「よっし!親友の恋路だ!俺も手伝う!んじゃどこで告白するか決めようぜ!告白の言葉はどうする???ってそういえばAはゴルシのことなんで好きになったんだ?」
「B、なんか楽しんでない?それにその情報いる??」
「教えてくれたら俺のやる気が二倍になる」
「…………花火眺めてたら、『な?すっげー綺麗だろ?』って笑いかけてきたのが……その日ゴルシ浴衣着て髪もあげてて…不意打ちでめちゃくちゃ可愛いなって思ってそっから………」
「なるほどねぇギャップ萌えみたいなもんか、知らねぇけど」
「いや…あれは無理だよ可愛すぎる今もめちゃくちゃ可愛いすぎるんだけどBだって浴衣のゴルシ見てみれば………いややっぱり見なくていいよ」
「いや別に俺も見たことあるよ?お前が引っ越してくる前に、『動きにくい!!』って騒いでたけど」
「…………!???!」
「はいはいショック受けてないでさっさと計画つめてこうよー」
「え?ちょっ……!話振ったのそっちじゃん!」
「はいはーい、やるぞー!やっぱり告白は定番だけど卒業式終わった後の放課後!そんでなんて言うかは……」
「Bー!」 - 7二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:52:08
二日後
卒業式
長い長い卒業証書授与から校長先生のありがたいお言葉全てを終えて、校庭には沢山の生徒が思い思いに友人達と会話をしている
そんな穏やかな別れの時間、場に合わずゴルシは酷く緊張した面持ちでCと最終確認をしていた
「いいか、ゴルシ?リラックスだぞリラックス」
「できると思うか?」
「うんまぁ無理だろうけどとりあえずリラックスしとけ」
「お前のその異様なリラックスに対する信頼はなんなんだ?」
「リラックスは偉大なのは事実だろ?それより早くA探してこい「よっ!お二人さん!」
「うわっ?!」
とりあえずこのガッチガチの緊張をほぐそうと四苦八苦してたらいきなりBが話しかけてきた、驚かせやがって!
「あっ?Bじゃねぇか!」
「な、ななななななんのようだよB!」
「おう、驚いてるとこ悪りぃけど用があるのはゴルシの方なんだわごめんなC」
「あ?あたしになんの用だよ、いま忙しくなるから時間ねぇんだけどよ」
だけどこいつはそんな私の気持ちなど知らぬ存ぜぬでニマニマしてる、なんなんだ?やたら様子がおかしい…なんて思ってたら
「まぁまぁそう言うなって、Aから伝言『5時に、一緒に花火見た丘に来てください。伝えたいことがあります』だとよ」
「「!!?????!!!????!!」」
Bの衝撃発言に頭の中が真っ白になる
は……?今なんて言ったこいつ……? - 8二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:55:12
「まじか!?これマジかゴルシおい!!確定じゃんおいおいおいおい!」
「まってくれ!うるせぇCただでさえ頭がこんがらがってるんだとりあえず黙れ!!」
「とりあえず!とりあえずまだ時間あるし可愛い服着てけよ!髪もポニーテールじゃなくて編み込み?とかにしとけ!!」
「だからうるせぇよ!」
「あぁでもオシャレするのはおすすめするよ」
「あ?なんでだ?」
「一昨日『かっこいい服ってどんなのだろう?』って相談受けてさ?まぁ多分きっとそういえことなんじゃない?ならゴルシも可愛い格好して行った方がいいよ」
「うおー!これはもうやっぱり確定じゃねぇか!!良かったなゴルシ!!」
Aがかっこいい服を着てくる…あたしに「何か」を伝えるために……それって…
「ほんとに…そう思っていいのか?勘違いだったり……思い上がってたり……」
「うわ急にしおらしくなりやがった」
「不安なのは分かるけど…それじゃゴルシはいつも通りの格好で行くの?」
「…………たしか去年母ちゃんが買ってきたワンピースがあったな……」
「よっしゃ!それ着ていけよ!」
「俺もそれがいいと思うよ」
「……………………」
「人生初めてだわこんなに大人しいゴルシ見るの、まぁなんにせよ頑張って行ってこいよ!」
「落ち着いて行けば何もかも上手くいくからな!ファイト!」
「…………ありがとよ2人とも、頑張るわ…」 - 9二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:56:40
心臓の音がよく聞こえる、まるで今だけは耳で脈うってるんじゃないかって錯覚するくらい
どうしようどうしようどうしよう……どんな顔して会えばいいんだ……?
「おかしなところは……ねぇよな」
薄紫に白いリボンのワンピースを棚から引っ張り出して
髪は母ちゃんに頼んで編み込みにして花のバレッタをつけてもらった
「にっしても…可愛すぎないか……これ」
鏡の自分を見れば見るほどいつもの短パンTシャツとかけ離れた姿にムズムズする
こいつは誰なんだ、ほんとにあたしか?
でも……
「もし…万が一告白なら…可愛い格好で受けたいしな」
そうだ。どうせなら1番可愛い格好で告白して貰えたら……告白をして貰えたら……?
おかしい、して貰えたら凄く嬉しいはずなのに……なんだか
「モヤモヤする……なんだこの気持ち」 - 10二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:58:25
約束の時間 5時
一緒に花火を見た丘で
ドクドクドクドク
未だにうるさくなる心臓を抑えるために胸をドンッと叩く
「大丈夫……大丈夫……」
グッと体を伸ばしてリラックス
大きく息を吐いて……
「……よしっ、いくぞ」
一歩一歩、震える足をなんとか前に押し出して進む
あと、3歩……2……1
(ゼロ)
前を見れば黒と白でまとめたオシャレな格好のAがいた
いつもの明るいロゴのはいったシャツと180度も違う印象に抑えたはずの心臓がまたうるさくなる、あぁもう落ち着かねぇ!
「来たぞ……A」
震えた声でなんとか、なんとか一言絞り出す
「あっゴルシ…珍しいね時間ぴったり……って」
「……なんだよ、ジロジロこっち見て」
「いや、ゴルシがワンピース着てるの初めて見たけど……すごい可愛くて」
「〜〜っ!!」 - 11二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 16:59:24
やっぱり、予想通り笑顔で可愛いと言って貰えた…ダメだニヤけがとまらねぇ
「ありがとよ!それで?なんか伝えたいことあるんだろ?!!」
「いや。うんあるよすごいある、だけどちょっとまってくれこの騒がしい心を落ち着かせて」
「騒がしい心?」
胸に手を当てて深呼吸しだすA、つられてあたしも深呼吸しちまう
「「すぅーーーー……はぁ……」」
グッと前を向けばキリリと勇ましいAの顔がうつる
あぁダメだもう心臓が爆発寸前だ
「ゴルシ…君に、伝えたいことが…あります、すごい前から」
「……おう…なんだ、言ってみろよ」
唇をこれでもかと引き結んでAからの言葉をまてば、
しばらくの沈黙のあと…あいつの口がゆっくり動いた - 12二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:00:02
「あのね、ゴルシ…ここで2人で花火を見た時から、ずっとずっと大好きでした!付き合ってください!」
背筋を伸ばして、あたしの瞳を真っ直ぐ見て
あいつは…Aは言い切った
視界が霞むのは、きっと嬉し涙ってやつだ
あぁ、どうしよう人生で初めて嬉しくて泣きそうだ
「……あたしもその日からずっとずっと大好きだった!」 - 13二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:00:46
「えと…「ただし!!!」
「A!あたしと付き合うにはひとつ!条件がある!」
「えっ!?????!??」
この上なく嬉しかったのと同時に、さっきからどこかモヤモヤした気持ち、それがAに告白されたことでようやくわかった
なるほどなぁ!あたしって自分が思ってるよりずっとAのことが好きだったみたいだ
「あっはは!そんな不安そうな顔すんなよ!安心しろ100%成功する条件だからさ!」
「なに!??どんな条件!?怖いよ!??」
「へいへーい!んじゃとりあえず移動だ移動!レッツラゴー!」
「なんなの!?!???」
不安そうにオドオドしてるAの手をとって走り出す
はやく、はやくあたしも、あたしだって… - 14二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:01:28
「よーし!ついたぜ!」
「えっ……ここって確か…」
「お前に下駄直してもらったところだ!」
「やっぱりそうだよね…ってえ?なになにここで何するの!?」
「単刀直入に言うぜ、A…」
ゴクリ、思わず生唾を飲むAをニンマリ笑う
安心しろよあんたが大好きなゴルシちゃんはお前に酷いことなんてしないさ!神様に誓って!
「今からあたしがAに告白する!Aはそれをちゃーんと聞け!」
「えっ!???どうゆうこと?」
「あたしだって、Aに告白する言葉考えてきてたんだよ!それに、お前だけ告白してあたしが告白できないのは納得できねぇ、あたしもAに告白させろ!」
一世一代の大告白、受けるのもいいがやっぱりあたしもAのことが好きで色々考えてきたんだ!あたしだってAに告白したい、Aにこの想いを伝えたい! - 15二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:01:58
「えっゴルシ僕に告白しようと思ってたの?」
「おう、そうだよわりーか!」
「悪くないけど…」
「なんだよその何か言いたげなお顔はー?」
「いやさ、ゴルシ僕のこと好きなんだなって改めて噛み締めてる」
「…………だぁー!!やめろ!今そういうこと言うの!」
「あははっ!そうだね……それじゃ改めて、ゴルシの告白聞かせてくれる?」
「おう……いくぞ」
「はい…どうぞ!」
Aの合図にあたしはまたもう一度大きく深呼吸をして…
覚悟を決めて前を向く - 16二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:02:37
「あのな…A…下駄を直してくれた時から……笑いかけたあの時からさ……あたしはあんたのことが大好きだ!付き合ってください!」
ワンピースの裾を握りしめて、口を大きく開いて、Aのことをまっすぐ見つめて
堂々あたしが言い切ってみせれば
その力強さに負けないようにか、ぎゅっとAがだきしめてきた
「もちろん!!」
夕焼けに2人の影が重なった - 17二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:03:27
「いやーにしても告白ってめちゃくちゃ勇気いるな…」
「ほんとだねーって待ってゴルシ!僕付き合ってくれるかどうかの答え聞いてないじゃん!!」
「あっそういえば」
「どうなのさ!」
あぁどうしよう、ガキみたいに拗ねてるのにAのことが好きでたまらない。答えなんてずっと前から、ここで下駄を直してくれたあの日から決まりきってるのにな!
「もちろんイエスだ!これから彼氏彼女としてよろしくな!」
「〜〜〜〜っ!!ゴルシ、僕今人生で一番幸せだ!」
ずいぶん嬉しそうにあたしを抱きしめるAの頬に手をあててニンマリ笑いかける
あたしだって!Aと同じ気持ちさ!
「奇遇だな!あたしも人生で一番幸せだ!」 - 18二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:04:13
終わり、単発予定だったので上手いこと繋がってるか不安ですが……
ご愛読ありがとうございました - 19二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:15:18
甘酸っぺぇ……
- 20二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:55:16
続ききてたのね、ゴルシが告白するところよかった…
- 21二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 18:56:52
続きあったのか
- 22二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 20:11:36
他二つの温度差で笑ってしまう
Aよ…