- 1二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:48:56
タキオン「暇だねぇ」
カフェ「はぁ…」
タキオン「私のモルモットくんも、カフェのトレーナーくんも揃って出張。本日のトレーニングも終わらせてしまったし、実験も新しい薬品と機材が届くまで一時保留。ふむ、どうにも手持ち無沙汰になってしまった」
カフェ「それなら、今はしっかり休養すべきかと。根を詰めるだけでなく、時には体を休めることも大事ですから」
タキオン「御尤もな意見だが、退屈なことには変わりないからね。なあカフェ、何か面白い話はないかい?」
カフェ「そんな急に…まあ、無くはないですが…一応、2つほどありますけど」
タキオン「珍しく乗り気だねぇ。それでその2つとは?」
カフェ「本当にあった怖い話と…」
タキオン「ああ、キミらしくていいじゃないか」
カフェ「適当に作った長ーい話と…」
タキオン「んん?」
カフェ「私としては、長ーい話が」
タキオン「興味が無いと言えば嘘になるが…」
カフェ「それはそれはとても長い」
タキオン「それはちょっと勘弁してほしいねぇ」 - 2二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:49:35
カフェ「8時間ちょっと程は潰せますが…」
タキオン「この間のオペラオーくんの公演より長いね」
カフェ「はい、長いですよ」
タキオン「だったら怖い話の方がいいかな」
カフェ「あっ、そちらの方がいいですか?」
タキオン「うん。流石に8時間はね」
カフェ「でも、本当に怖い話ですよ…?」
タキオン「いいじゃないか。季節的にもそっちの方がいいだろう」
カフェ「では…私の実家から少し離れたところに、もう何年も前に潰れてしまいそうになった病院があるんです。その病院は──」
タキオン「潰れてはいないのかい?」
カフェ「潰れてはいませんよ。潰れてしまいそうになっただけです。そこからちゃんと経営を持ち直しましたから」
タキオン「ふむ、この手の話だと大体潰れてるのが相場だと思うんだが」
カフェ「潰れていません。その持ち直した病院のすぐ目の前に、幽霊の出る病院があるんです。その──」
タキオン「別の病院なのかい?」 - 3二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:50:13
カフェ「はい、別の病院です」
タキオン「なんだかややこしいねぇ」
カフェ「その病院には、以前から色々な噂がありました」
タキオン「そういうのが聞きたいんだよ」
カフェ「真夜中の手術室に少女が入っていくところを幽霊が見ていた、とか」
タキオン「幽霊が見ていたのかい?」
カフェ「はい、幽霊が見ていました」
タキオン「少女が幽霊ではなく?」
カフェ「少女は幽霊ではありません。おそらくは、患者さんかと」
タキオン「うーん…ややこしいな」
カフェ「その幽霊というのが、真っ青な顔をしてるので、『ブルーレイ』と呼ばれていて」
タキオン「台無しだなあ。誰だいそれつけたの?色々と台無しだよ」 - 4二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:50:50
草
- 5二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:50:53
カフェ「あと、誰もいない病室からナースコールが響き渡るとか…」
タキオン「ああ、そういう怖いのが聞きたかった」
カフェ「『ナース、ナース、ナース、ナース』と…」
タキオン「そっち?」
カフェ「ナースコールが響き渡ってる…」
タキオン「そっちのナースコールかー。怖いかどうか難しいところだねぇ」
カフェ「私はそんな噂の真相を確かめるべく、真夜中にその病院に忍び込みました」
タキオン「行ったんだ。そういうのよく行けるねキミ」
カフェ「まず、私は裏口からゆっくりと呪われながら入っていきました」
タキオン「あ、早速?もう呪われるのかい?入り口で?」
カフェ「そしたら次の瞬間『カラン、コロン…カラン、コロン…』」
タキオン「ほう?」
カフェ「明らかに私が履いてる鉄下駄とは別の鉄下駄の音が」
タキオン「キミ、鉄下駄履いてたの?」
カフェ「私は鉄下駄を履いていましたけど、それとは別の…」 - 6二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:51:27
タキオン「それはそれでどうかと思うよ?」
カフェ「今、私のファッションのことはどうでもいいでしょう」
タキオン「何だか違う意味で怖いねぇ」
カフェ「別の鉄下駄の音が近づいて来ました。私はもうそれでビックリしそうになって…」
タキオン「しないんだね」
カフェ「してませんが」
タキオン「そこギリギリ耐えるのかい?」
カフェ「それで急いで逃げようとしたら、背中を『ポンポン』と叩かれて」
タキオン「うわ」
カフェ「それで何かなと思ってパッと見たら、そこには血がベットリと付いていて」
タキオン「それはまた…」
カフェ「私もうこのままじゃダサいと思って」
タキオン「うん?」
カフェ「急いでジャンパーをリバーシブルにして」
タキオン「あ、そっちが気になる?」 - 7二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:52:07
カフェ「はい、ダサいじゃないですか」
タキオン「ファッションの方が気になるんだ」
カフェ「ええ。それで本当は怖かったですが、その恐怖とジャンパーの埃を振り払って」
タキオン「埃ついてたんだ。ひっくり返したばっかりなのに」
カフェ「そしてゆっくりと7分くらい掛けて振り返りました」
タキオン「かけたねぇ。随分かけたね、7分?」
カフェ「そしたら目の前に、長ーい髪の方が似合いそうな短い髪の女性が立っていました」
タキオン「髪は短いんだね?何で一回キミの感想挟んだんだい?」
カフェ「長い髪を白いリボンでまとめると良い感じかな、と…」
タキオン「ファッションチェックのつもりかもしれないけど、その時のキミの服装って鉄下駄にリバーシブルのジャンパーだよ?」
カフェ「私のことはいいじゃないですか。その女性は『私を殺したのはお前か?』と、尋ねてきたんです」
タキオン「ありがちだけど、やはり怖いねぇ」
カフェ「だから私は『いえ違います。』とはっきり伝えました」
タキオン「まあただでさえ既に呪われているし、誤解は解いておきたいからね」 - 8二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:52:52
カフェ「そしたらもうそこからは水掛け論で…」
タキオン「水掛け論?幽霊と?」
カフェ「『いや貴女じゃないの?』『いえ、違いますけど』と2時間程…」
タキオン「随分粘るんだね、幽霊って」
カフェ「そんなことを言っていると、突然その女性がスーッと消えて──ただ床だけがビショビショに濡れていたんです」
タキオン「完全に本物じゃないか」
カフェ「私もう水掛け論の水だ、と思って…」
タキオン「絶対違うよ。なんで実際に濡れるんだい?」 - 9二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:53:00
サンドイッチでは無くパンクブーブーか…
- 10二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 12:53:22
カフェ「急いで逃げようとしたんですが、なぜかうまく走れず…」
タキオン「鉄下駄のせいだよ」
カフェ「それでも何とか家にたどり着いて、ふと鏡を見てみたら」
タキオン「見て見たら?」
カフェ「もう着てる服が全然違う服になっていたんです」
タキオン「リバーシブル」
カフェ「──という、そんな経験をした警備員がいるとか」
タキオン「キミの話じゃないのか。いいかげんにしたまえよ」
了(元ネタ:パンクブーブー) - 11二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 13:43:33
カフェがボケって珍しい気がする
- 12二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 13:48:32
面白かった
- 13二次元好きの匿名さん22/07/17(日) 18:02:16
元ネタと違って終始緩い空気で進行してるのこれはこれで好き
- 14二次元好きの匿名さん22/07/18(月) 01:27:00
めっちゃ面白かったわ