ボーノのSS少なすぎだろ!!!!!Ⅹ

  • 1二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:31:36

    学園内の家庭菜園が荒らされた!食べ頃の夏野菜達が何者かによって盗まれてしまったのだ。ヒシアケボノも菜園の手入れには熱心だったから、よっぽど頭に来ているのでは……と心配していたのだが。

    「靴の足跡……学園の生徒の仕業だねえ〜」

    「トレーナーさん、待ち伏せだよ!外泊届けは出してるからね!」

    意外と冷静で、しかもどうやら犯人を捕まえるらしい。ヒシアケボノの身体能力なら可能だろうが、万が一危険があってはいけない。一緒に張り込みをすることにした━━

    「フンッ……」

    幸いにも、初日で成果を得ることができた。ヒシアケボノが凄まじい瞬発力で菜園に侵入してきた影をひっ捕らえたのだった。
    犯人は、一人のウマ娘だった。ド派手な改造学ランを羽織り、染めた金髪にジャラジャラの装飾品……絵に書いたようなスケバンウマ娘だ。
    そしてその彼女を連行してきたのは、調理室。今はヒシアケボノがまな板を子気味よく鳴らしている。

    「……さっさと学園に突き出せばいいだろ。抵抗する気もねェっスよ。どうせもうアタシは退学なんだ」

    【まあ、かっかせず待とう】

    「……ワケわかんねェ」

    色々と聞き出すべきなのだろうが、それはヒシアケボノの料理が出来上がってからだ。

    「トレーナーさ〜ん、カレーどれくらい辛くしようか〜?」

    【俺の好みよりは少し甘くしておいてくれ。彼女が食べやすいようになー】

    「わかったよ〜☆」

    「アタシが言うのもなんだが……危機感無さすぎだろ」

  • 2二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:32:29

    彼女は不思議で仕方ないのだろう。連行されたと思ったら飯が振る舞われようとしているのだから。だが、俺はヒシアケボノの考えていることが少し、わかってしまうのだ。ならば、トレーナーとして叶えてあげるべきだろうし、俺自身も協力してあげたかった。

    「お待たせ〜、菜園で採れた夏野菜カレーだよ☆」

    【美味しそう!頂きます!】

    「……ゴクリ」

    それまでつんけんしていた彼女も、カレーを目の間にして思わず唾を飲んだ。

    「はい、貴女も食べていいよ〜」

    「……い、いただきます」

    恐る恐る、彼女はスプーンで1口……。口に入れた瞬間、彼女の目が大きく開かれた。

    「……!………!」

    やはり、ヒシアケボノの料理は最高だ!それから彼女は何か言う隙もなく、カレーを勢いよく口にかけこんでいった。大皿におかわりが盛られるのは時間の問題だった。

    「はい、おかわりも食べてね〜」

    「……っ」

    2杯目の途中で、彼女の手が止まった。ぽろ、ぽろと、その瞳から雫がこぼれ始める。

  • 3二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:33:12

    「はわわ……大丈夫……!?」

    【……はい、タオル】

    「うっ……すんば、せん、でじだ……!」

    とうとう涙腺の決壊した彼女は、しばらく声を啜りあげて涙していた━━

    「アタシ……親とケンカして出てきたんス」

    落ち着いた彼女はぽつぽつと語り始めた。

    「反対を押し切って学園に来たけど、全然上手くいかなくて……酷いこと言った手前、ムキになって仕送りも断ってたんっス。何もかもダメだし、腹も減るしでヤケになって……」

    「それで、菜園を……」

    「案の定こうなっちまって、アタシの学園生活も終わりだって……でも気づいたらカレーが出てきて、めっちゃ美味いって食べてたら、涙が……」

    「良かったあ!」

    「は、はい?アタシ、こんなことしたんスよ?」

    「だって、ご飯を美味しく食べてくれる人に、悪い人はいないもの! 貴女もそう、泣いちゃうくらい両親のこと後悔してるんだよね?」

    「いや……その……」

  • 4二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:33:37

    「美味しい料理をきちんと味わえるってことは、小さい時から、愛情のこもった美味しい料理を食べてきたってことなんだ〜。きっと貴女の両親が作ったカレーは、とっても愛が込められてたんだよ〜」

    【愛されてたんだな……それなら、まだ間に合うよ、俺も学園と掛け合ってみる】

    「トレーナーさん………!うん、必ずやり直せるよ!」

    彼女はまた1口、カレーを口に運んだ。何かを思い出すように、ゆっくり、咀嚼していく。

    「うぅぅぅ……母ちゃん、父ちゃん……!」

    また彼女は涙を流し、カレーを食べていったのだった……。

  • 5二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:33:58

    『アタシ、きちんと話してくるっス。親にも、学園にも。退学は免れないかもっスけど……』

    そう話した彼女と別れてからしばらく経った。反省が認められた彼女は、なんとか1ヶ月の停学の処分で済んだようで━━親とも仲直りして、レースに打ち込んでいるという。

    【今日、模擬レースで見かけたぞ、あの子。一生懸命走ってた】

    「それなら安心だねえ。きっとこの先とってもすごいウマ娘になれるはずだよ!」

    【……すごいのは、ヒシアケボノもだよ】

    「ええ?どうして〜?」

    【いや、なんでもない】

    「……??」

    みんなで囲んで料理を食べれば、ボーノでとっても幸せ━━ヒシアケボノのスタンスだ。力で押さえつけるのではなく、料理で優しい気持ちを届けてあげる。彼女の心を傷つけず丸く収めたヒシアケボノのことを、トレーナーとしてとても誇らしく思うのだった━━。

  • 6二次元好きの匿名さん22/07/20(水) 19:34:15

オススメ

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